メタバース活用で日本の人手不足問題を解決へ|パーソルマーケティング 川内浩司氏 

川内さんプロフィール 

様々な企業で IT エンジニアとしてキャリアを積む。 

2004年、PERSOL グループに入社(現・パーソルクロステクノロジー株式会社)。 2014年、パーソルテンプスタッフ株式会社にて、求職者のご登録を促進する部門責任者。

2016年、パーソルマーケティング株式会社にて、 IT 部門の責任者として基幹システムリプレイス完遂/求職者へのご登録及び仕事のご紹介する部門の責任者を経て、2022年1月よりメタバースデザイン事業部の責任者に着任。 

パーソルマーケティング株式会社 会社紹介 

1987年創業。販売職と営業職を中心に、顧客を支える人材サービス企業。創業から30余年 に渡り培ったノウハウを活かし、あらゆる課題・ニーズに対応する。北海道から沖縄まで全 国一貫したサービスを提供できることが強み。派遣・業務請負・紹介予定派遣など様々な働き 方のご提案・サポートが可能である。2022年1月より、メタバースデザイン事業部を設置 し、PwCコンサルティング合同会社との協業により、メタバース市場での人材サービス事業へ参入。 

メタバース上での新たな雇用の創造により日本社会全体への貢献につなげる 

パーソルマーケティング
(画像:パーソルマーケティング)

ーまずはメタバース市場への参入の理由を教えて頂けますでしょうか。

川内:私たちはメタバースがこれからの雇用の新たな選択肢になると考えて参画しました。 私たちがリアル社会における人材業界全体の課題として考えている点が2つありまして、メタバースが解決の一助となる、と期待しメタバース領域に事業を拡大しました。 

課題の1つ目は紹介させて頂ける業務の幅に偏りがあるということです。こういう仕事につきたい、という労働意欲のある人や、専門スキルを持っている人に対して、ニーズに合わせ た仕事のご紹介が十分できていない実態があります。具体的には、年配の方、在宅で家族の介護をされている方、子育て中の方、障がいがある方などが、リアル社会では就業条件の面 で制約があることが多いです。というのも、コロナ禍でリモートワークが社会に浸透したように、働き方の多様化が進んだ一方で求人の多様化がこれに比例していない現状があるんです。メタバース上での求人が増加することによって求められる就業条件も多様化してこの問題の課題解決につながると考えています。 

課題の2つ目は、少子高齢化、人口減少に伴い日本全体として労働力不足となる影響をダイ レクトに受けるのが人材業界ということです。現在、政府も異次元の少子化対策と銘打って少子化を食い止めようと対策を打っていますが、これは将来的な労働人口を増やそうとする施策です。メタバース上での仕事が増えれば、労働意欲のあるシニア世代や子育て世代も就業が可能となり、労働参加を促進し、働くことのできる年齢自体も広げていくことができると思っています。このように、新たな雇用を創造し日本社会全体に貢献することを見据えて、メタバース事業へ参入したという経緯になります。

メタバース事業をただの流行で終わらせない工夫

パーソル
(画像:パーソルマーケティング)

―現在展開しているサービスの種類、それぞれのサービスにおけるパーソルマーケティング様の特徴を教えて頂けますか。 

川内:大きくは「メタバース人材の提供」、「メタバースコンサルティング」、ワールドの 「構築・運用支援」の3種類のサービスを提供しています。 

1つ目のメタバース人材の提供では、私たちはあくまでリアルでの労働と同価値のものとして定義づけているので、雇用契約を結ぶなどリアルでの労働と同じように紹介を行う点が特徴です。まだまだメタバース空間での仕事はスポットや短期間での仕事が中心になってしまっていますが、市場の拡大と共にフルタイムの仕事紹介も広げていきたいと考えています。 

2つ目のメタバースコンサルティングは、現在バズワードとなっているメタバースに興味、関心はあるけど踏み込めていない、検討中という企業様に対してワールド構築の支援を行っています。どうしてもメタバース空間を作る、ということが目的化しがちな中で、メタバースを通じて誰に、どんな価値を、どんな目的で、ということを明確にしてより良いワールド構築を支援するコンサルティングを営業活動の一環として取り組んでいます。 

3つ目のワールドの構築・運用支援では、システム開発に加えて、その後の活用も伴奏するスタイルとしています。現状、メタバースプラットフォーム「Virbela(バーベラ)」の日本公式販売代理店である株式会社ガイアリンクと包括連携協定を締結し、メタバースプラットフォーム「Virbela(バーベラ)」の特約販売店契約を結び、サブスクでセミオーダーメイドの形 で顧客に提供しています。企業様にはメタバース参入ハードルを下げるためにも、安価で早期にワールドを保持いただくことでワールド構築・運用支援を行った企業に対して人材提供を行うサイクルとなっています。 

メタバースが実現する在宅×接客というニュータイプの働き方

パーソルマーケティング メタバースが実現する在宅×接客というニュータイプの働き方
(画像:パーソルマーケティング) 

―働き手の立場からしたメタバースで働くことのメリットはどのようなものですか。

川内:働き手にとって、働き方の選択肢が増えると考えています。働く場所、時間、年齢、 性別などの就業条件によるアンマッチが解消されれば、働き方の多様化につながると考えています。また、障がいがある方々に対してもご紹介できる仕事の幅が広がると考えており、インクルーシブな社会の実現にも貢献できると考えています。 

―実際の事例にはどのようなものがありますか。 

川内:直近の事例でいうと、愛知県の豊田市のメタバース空間の制作をサポートさせて頂いた事例があります。具体的には、製造業の企業様の採用活動の一環として、リクルーティングの場や情報共有の場としての空間を作りました。その際に、案内スタッフという形で2名ほど就業頂いたのですが、その内1名の方は、長年アパレルで働いていた方で、ご両親の介護があり家から出れないという状況でした。しかし、元来コミュニケーションが大好きだということで、メタバースで働くことによって家から離れずに持ち前のコミュニケーション能力を活かした接客業が実現できたという課題解決を行うことができました。 

―メタバース上で働くこととリアルで働くことの違いはどこにあるのでしょうか。 川内:メタバースはあくまでコミュニケ―ションツールだと思っています。そのため、一番 必要になってくるのはコミュニケーション能力だと思っています。例えばショップ店員の例でいえば、リアルでは顧客の目線や表情を見て話しかけるタイミングを見計らいやすいですが、メタバース上ではノンバーバルコミュニケーションが難しい中で遠慮せずに「何かお困りですか」と声をかけることのできる積極性が必要になってくると思います。 

マスコットタイプとキャストタイプの2種類の仕事が生まれる 

パーソルマーケティング アバター
(画像:パーソルマーケティング) 

ー今後どのようなメタバース人材の活用が広がっていくと考えていらっしゃいますか。

川内:確実にこうなる、ということはわからないですし、メタバースの市場自体の変化が非常に早いので今後も変わっていくと思いますが、エンタメ系とビジネス系にメタバースのユ ースケースが二分できると思います。

エンタメ系については、その空間の盛り上げや、集客を担える人材が重要視されて、それに付随した人材が求められるという広がりを見せると考えられます。具体的には、テーマパークのマスコットキャラクターの様な存在です。 

一方ビジネス系については、サービスを提供する仕事、具体的には空間内を案内したり、販売したりといった接客要素を持った業務に対する人材が重要視されると考えられます。テー マパークでいうと、キャストさんの役割ですね。この他にも、誰に何の目的で提供している メタバース空間なのかによって活躍する人材求められる人材は変わってくると考えています。 

メタバースの台頭や AI 活用の加速が予想される 5 年後 10 年後の未来における人材業界ではどのような変化を予想していますか。 

川内:10 年後にはおそらく 5G を超え 6G の世の中になり通信制限等の危惧は最小化され、 またメタバースへの各種アクセスデバイスも高性能・軽量化が進み、メタバースは極めて身近な存在となっていると思います。2015 年に野村総合研究所とオックスフォード大学の共同研究で「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能」と発表されたことはあまりに有名ですが、人材業界では、現在リソースを大きく費やしている求職者と求人のマッチングはほぼ自動化されると思います。求人に占めるメタバース上での仕事の割合も増える可能性も十分あり、その中で人材会社が最も注力するべきはマッチング~就業開始までの間のレクチャーや研修などの育成支援の部分になると思います。

新たな雇用の創出を通じて人材業界をリードする企業に 

メタバース はたらきかた
(画像:パーソルマーケティング)

―最後に、パーソルマーケティング社としてのこれからの方向性やビジョンについて教えてください。 

川内:パーソルグループ全体として、従来のリアルだけでなく、メタバース上でも雇用の創造をして関係するステークホルダーの皆様の成長をサポートしながら、社会全体への貢献につなげていく。これを実現できるリーディングカンパニーになっていきたいと考えています。雇用の創造やそれを通じた人々の成長、社会貢献はパーソルグループの経営理念でもあ り、私たちの取り組みが日本の労働力不足の課題解決に貢献できればと思います。 

ー今回はお忙しいなか、貴重なお話をありがとうございました。今後も業界の注目企業/ビジネスパーソンを取材し、メタバースのビジネス活用の最前線に迫っていきますので、どうぞお楽しみに。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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