バーチャルオフィスoviceとは?約4,000社に導入されるワケを広報担当者に直撃
目次
oVice株式会社紹介
代表取締役CEOジョン・セーヒョン氏が2020年2月に設立。「仲間と一緒に働ける空間をオンラインに作りたい」と考え、ビジネスメタバース「ovice(オヴィス)」の開発・提供を行っている。oviceは既に約4,000の団体・企業に導入されている。同社の勤務形態自体も完全リモートでフレキシブル勤務を採用しており、韓国やチュニジアにも社員がいるほか、日本人メンバーも東京、大阪、石川をはじめ日本各地からオンライン上のオフィス=oviceに出勤している。
画面はまるでゲーム?2Dメタバースオフィスovice
ー早速ですが、oViceのサービスの概要を教えて頂けますか。
薬袋:oviceはまるで同じ空間で働いているかのような体験ができるメタバースのオフィスです。oviceは2Dのメタバースで、アバター(利用者)は人型ではなく丸い形で表示されます。特徴として、アバターの位置関係に応じて聞こえ方が変わります。アバターに近い人にはより大きく、遠い人には小さく声が聞こえ、リアルと同じような感覚で聞こえる仕組みを取り入れています。2Dとしたことでデータ量が少ないため、PCにも通信環境にも負荷を抑えた状態でスムーズな動作を実現しています。ユーザーのうちの8割程度はオフィスとして利用し、残りの2割がビジネス以外のコミュニティやイベント会場として使っています。
ー実際にサービスを利用したい場合には、どんなフローとなるのですか。
薬袋:まずは2週間の無料トライアルを申し込んでいただき、その後有料の契約に変更するか否か判断して頂く形になります。スペックがそれほど高くないPCでも利用できますし、離れたアバターとの間では通信が発生しない仕組みになっており携帯電話の3G環境程度の通信スピードでも使えることが特徴です。導入に際して、ハード面でイニシャルコストをかけずに、既存の環境のまますぐにバーチャルオフィスを利用できるという点はoviceの特徴だと思います。
導入約4,000社、バーチャルオフィスをリモートワークのインフラに
ー現状何社程の企業に導入されているのでしょうか?
薬袋:導入自体は2023年4月末時点で約4,000社となっており、約180,000人の方に有償登録して頂いている状況です。現在、コロナによる行動制限がなくなり、社会の大きな流れとしてオフィス回帰が進んでいます。バーチャルオフィスの事業を行う環境としては、行動制限があったときと比べて厳しい場面もありますが、一方で、過去3年で浸透したリモートワークを含めた働き方改革を本腰を入れて推進していこうという流れもあり、きちんと市場で認知いただくことで、より多くの企業に価値を届けていけると考えています。
ネットワークやデバイスに依存しない環境を整え、No.1シェアを達成
ー類似したサービスが乱立する中でoviceが多くの企業に選ばれているのは、どの様な要因によるものと分析されているのでしょうか。
薬袋:oviceが提供できている強みは大きく3点あると考えています。
1点目は、リアルの価値を活かすことを大事にしている点です。コロナ収束によりオフィス回帰が起こることを想定し、リアルとオンラインをシームレスにつなぐ技術開発を行っており、そうしたソリューションを提供することがoviceが選ばれている理由だと感じています。
2点目は、主要用途が”オフィス”であることを念頭において開発されている点です。毎日oviceにアクセスし、勤務時間中はoviceに滞在し続けることを前提に開発されているため、デバイスのスペックやネットワークに依存せずに、自然な会話が行えるよう、あえて2Dにしています。低スペックのPCでもきちんと使えるため、oviceを導入する際にデバイス面でネックとなる状況を少なくすることができています。
3点目は、安定性を担保していることです。数万人規模のアクセスによる膨大なトラフィックにも耐えられる安定したシステムを構築しています。
ー導入した企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
薬袋:導入企業さまのメリットは大きく3点あります。1点目は、物理的に離れていても、oviceに参加することによって同じ空間にいるという状態をつくれることです。スペックの低いPCでも利用できるため、誰でもアクセスできますし、アバターに話しかける、アバターがそこにいるという視覚で存在を感じることができることが安心感につながります。
2点目は、組織としての一体感が醸成できる点です。ovice上で「空間」を共有していることにより偶発的な会話が生まれたり、チームに一体感が生まれます。今までリアル空間でしか得られなかったものをオンラインでも実現できていると思います。
3点目は、生産性の向上です。ある導入企業が社内でアンケートを行ったところ、テレワークで感じている不便さとして、相手の様子がわからないことによりコミュニケーションがとり辛いというものがありました。oviceで相手のアバターに近づいて話しかけたり、ステータス機能を活用して相手の状況を把握できることによって、コミュニケーションに対する心理的ハードルが下がり、ちょっとした質問や疑問を解消しやすく、生産性が向上したというフィードバックが得られています。
ーoviceによって生まれた新しい働き方としてどんなものがありますか。
薬袋:コクヨ社には、oviceをバーチャルとリアルのハイブリットワークの実証実験の形で利用して頂いてます。コロナ禍という外的要因によってリモートワークをせざるを得なかった2020年〜2021年と比較すると、オフィスに人が戻ってきている一方で、フリーアドレスを導入したオフィスでは、どこに話したい人がいるのかわからないという課題が生じていました。そこで、オフィス(リアル空間)にビーコンを配置することで、誰がどこにいるかovice上でもわかるような技術開発も行っています。
「ロックダウン下でも、対面と同じようなコミュニケーションを実現したい」という思いから生まれたovice
ーそもそも、oviceを開発した背景や経緯を教えてください。
薬袋:そもそもはCEOのジョンがチュニジア出張中にロックダウンに巻き込まれたことがきっかけです。「明日からロックダウンするので、もし帰国するなら今日出国する必要がある」と告げられ、否応なくロックダウンに巻き込まれました。こうしてリアルでのコミュニケーションができなくなったのですが、ジョンはもともとリアルのコミュニケーションを重視していたため、かなりストレスを感じていました。ロックダウン下でリモートワークを行っている中で、オンライン会議ツール等を活用していたのですが、ずっと違和感を感じていたようです。そこで、「チュニジアの様にネットワーク環境が十分でない環境でも、リアルで一緒に働いているような感覚を得られるサービスを作りたい」という想いでoviceのサービスを開発しました。
目指すのは「テレワーク」ではなく「フレキシブルワーク」
ー最後に、今後oviceはどのように発展していくのでしょうか。
薬袋:コロナが収束し、オフィス回帰が進んでいる中で、これまで以上にニーズが多様化してきています。こうした状況で、今後場所や時間にとらわれない柔軟な働き方である「フレキシブルワーク」が浸透していくと考え、oviceはそれをサポートしていきたいと考えています。オンラインでも対面と同じような感覚でコミュニケーションを行える環境を整え、「オフラインに戻りたい派」と「このままオンラインで働きたい派」のどちらも実現できるような環境づくりを行っていく予定です。
oViceで働くメンバーは、CEOのジョンをはじめとして私達も仲間とリアルで接することが大好きです。リアルの良さはある一方で、コロナ前の社会の様に働く人全員がオフィスに毎日通うという働き方よりも、個人個人の状況に応じてその人に合ったフレキシブルな働き方が求められると考えています。そこで目指すのは、ある人はバーチャルオフィスで働き、ある人はリアルなオフィスで働く中でも、質の高いコミュニケーションで生産性を向上させていく「フレキシブルワーク」が社会に広がっていくことです。
ー今回はお忙しいところ貴重なお話をありがとうございました。オフラインで顔を合わせたコミュニケーションが好きだからこそ、オンラインオフィス事業を通じてオンラインとオフラインの垣根をなくしていきたいというお話には大変感銘を受けました。今後も業界の注目企業/ビジネスパーソンを取材し、メタバースのビジネス活用の最前線に迫っていきますので、どうぞお楽しみに。
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