【活用事例6選】エヌビディアが提供する産業用メタバースとは

関連技術の進歩やオンラインコミュニケーション需要の高まりなどを背景とし、今後急速に人々の生活や仕事に普及していくと考えられるメタバース・XR。

 

現在、メタバースはゲームやエンタメ業界を中心に活用されていますが、今後は業種を問わず、プロモーションや業務効率化など幅広い領域でのビジネス活用が進んでいくと考えられています。

 

そんななか、NVIDIAが提供する産業用メタバースである「NVIDIA Omniverse」が、AmazonやBMWなど幅広い業界の大手企業に採用されています。

 

一方で、「NVIDIA Omniverseで何ができるのか知らない」、「どのような活用事例があるのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか?

 

そこで今回は、NVIDIAが提供する産業用メタバースであるNVIDIA Omniverseについてできることや活用事例をわかりやすく紹介します。

 

本記事を読めば、NVIDIA Omniverseや業務効率化に向けたメタバースの活用方法について理解が深まると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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NVIDIA Omniverseとは

NVIDIA Omniverseとは
(画像:NTTPCコミュニケーション)

NVIDIA Omniverseとは、大手半導体メーカーNVIDIA社が企業に対し提供する、業務効率化向けのメタバース構築プラットフォームです。

同ツールを活用することで、企業の企画・設計・製造・配送・アフターフォローという幅広いバリューチェーンの効率化を進めることができます。

 

同ツールの提供する機能は大きく2つで、1つ目は3Dデザインのコラボレーション空間の利用、2つ目は製品や製造ラインなどのデジタルツインの構築・シミュレーションです。

 

2020年のリリース以来、BMWやAmazonなどの大手企業700社、15万人以上のユーザーに利用されており、業務効率化向けのメタバースサービスとしては最有力といえます。

 

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NVIDIA Omniverseの2大機能

NVIDIA Omniverseの2大機能

NVIDIA Omniverseの主な機能として以下の2つが挙げられます。

 

  • ①同僚との3Dデザインのコラボレーション空間の利用
  • ②製品や製造ラインなどのデジタルツインの構築・シミュレーション

 

それぞれの機能についてわかりやすく紹介していきます。

①同僚との3Dデザインのコラボレーション空間の利用

NVIDIA Omniverse 同僚との3Dデザインのコラボレーション空間の利用
(画像:NVIDIA Omniverse)

NVIDIA Omniverseでできることの1つ目は、同僚との3Dデザインのコラボレーション空間の利用です。3Dデザインを要するプロジェクトのメンバーと、リアルタイムでのコラボレーションを実現することができます。

 

各メンバーがBlenderやUnrealEngineなど異なる3Dデザインツールを使用していても、それらをNVIDIA Omniverse上に統合することで、ワークフローが簡素化され、リアルタイムでのデータ更新が行われるようになります。

この機能はアニメ/映画業界やゲーム業界、建築業界など幅広い業界で活用されています。

 

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②製品や製造ラインなどのデジタルツインの構築・シミュレーション

NVIDIA Omniverse 製品や製造ラインなどのデジタルツインの構築・シミュレーション
(画像:NVIDIA Omniverse)

NVIDIA Omniverseでできることの2つ目は、製品や製造ラインなどのデジタルツインの構築・シミュレーションです。

設計・製造・配送・アフターフォローという一連のバリューチェーンにおいて、製品や製造ラインなどのデジタルツインを構築し、効率化に向けた高度なシミュレーションを行うことができます。

 

粒子や流体から製造ラインの機械の動作まで詳細なシミュレーションが可能なことに加え、ロボットアームや自動車などの様々な機械の知能自体のトレーニングをすることも可能です。

NVIDIA Omniverseの業界別の活用事例6選

NVIDIA Omniverseの業界別の活用事例6選

NVIDIA Omniverseの活用事例として以下の6つが挙げられます。

 

  • 製造業:BMW
  • 小売:Amazon、PepsiCo、Lowe’s
  • エネルギー:英国原子力公社、Siemens Energy

 

それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。

 

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製造業:BMW

①BMW:バリューチェーンの各プロセスのデジタルツインを構築

BMW:バリューチェーンの各プロセスのデジタルツインを構築
(画像:BMW)

BMWはバリューチェーンの各プロセスのデジタルツインを構築し、効率化のためのシミュレーションを行っています。BMWの製造する多くの車両が顧客の要望を受けたカスタマイズ車両であることから、顧客の要望をいかに生産ラインに的確に反映するかが生産性に直結します。

 

そこで、BMWのエンジニアはNVIDIA Omniverseを活用した工場全体のデジタル・ツインを使って、各モデルの生産工程のどこをどのように改善すればよいかを迅速に把握することができます。

小売:Amazon、PepsiCo、Lowe’s

②Amazon:グローバル規模での倉庫の配送オペレーションを最適化

Narrowing the Sim2Real Gap with NVIDIA Isaac Sim
(動画:NVIDIA)

Amazonはグローバルで50万台以上の倉庫内の配送ロボットのオペレーションの最適化にNVIDIA Omniverseを活用しています。
AIを活用したデジタルツインを構築し、倉庫の設計と流れを最適化しています。

③PepsiCo:流通センターの効率化とコスト削減

PepsiCo Simulates and Optimizes Distribution Centers with NVIDIA Omniverse and Metropolis
(動画:NVIDIA)

PepsiCoは、流通センターの効率化とエネルギー消費量の削減にNVIDIA Omniverseを活用しています。
AIを活用したデジタルツインを構築し、機械と作業員の作業を最適化することで、ダウンタイムとエネルギー消費量を減らすことに成功しています。

④Lowe’s:顧客の人流データを活用し店舗のレイアウトを最適化

Reinventing Retail: Lowe's Builds Digital Twins of Stores to Deliver Enhanced Shopping Experiences
(動画:NVIDIA)

リフォーム大手であるLowe’sは、店舗のレイアウトの最適化にNVIDIA Omniverseを活用しています。
店舗のデジタルツインを構築し、実際の店内の顧客の人流データを活用することで、売上最大化に繋がる商品のレイアウトを実現しています。

 

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エネルギー:英国原子力公社、Siemens Energy

⑤英国原子力公社:原子力発電設備の設計と製造の効率化

Building a Fusion Reactor Digital Twin in NVIDIA Omniverse
(動画:NVIDIA)

英国原子力公社は、原子力発電設備の設計と製造の効率化にNVIDIA Omniverseを活用しています。
設計フェーズでは、物理や建築、デザインなど様々な分野のエキスパートがリアルタイムでコラボレーションしながら3Dデザインを進めることができたり、製造フェーズでは各設備の最新の製造進捗がデジタルツインに反映され、製造計画を常に最適化することができたりします。

⑥Siemens Energy:発電施設の保守管理の効率化により大幅なコスト削減

Siemens Energy HRSG Digital Twin Simulation Using NVIDIA Modulus and Omniverse
(動画:NVIDIA)

Siemens Energyは、発電施設の保守管理の効率化にNVIDIA Omniverseを活用しています。デジタルツインを活用し、設備の腐食を正確に予測することで、検査回数を減らしながら安全に運用することができ、大幅なコストと工数の削減に成功しています。

デジタルツインを活用する5つのメリット

デジタルツインを活用する5つのメリット

デジタルツインを活用するメリットとして主に以下の5つが挙げられます。

 

  • ①品質の向上・リスクの削減
  • ②オペレーションの効率化・標準化
  • ③シュミレーションのリードタイムやコストの削減
  • ④アフターサービスの充実
  • ⑤技術の継承

 

それぞれのメリットについてわかりやすく解説していきます。

 

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①品質の向上・リスクの削減

デジタルツインは、生産管理の最適化や業務効率の向上に活用することができます。物理的な製品を仮想的に表現したもので、物理的なシステムと統合し、継続的なデジタル上での実験が可能です。これにより、需要に応じた人員の再配置や、リードタイム短縮のためのプロセスの置き換えなど、さまざまな方法で最適化を図ることができます。

 
また、物理的な試験より先にデジタルな試験を行い、多くの関係者が視覚的に確認をすることができるため、製品の品質の向上やリスクの削減に寄与します。

②オペレーションの効率化・標準化

デジタルツインは、生産ラインの運用における重要なソリューションの1つです。常時あるいは一定の間隔でセンサー情報をデジタルツインに送ることで、トラブルの予測や故障の予防に役立てることができます。

 
また、現場の状況が変化した際にも、迅速なシュミレーションに基づく対応が可能となるため、最小限の時間・リソースで現場での対処を実施できます。加えて、定期メンテナンスの頻度を減らし、ダウンタイムのリスクを低減することも可能です。

③シュミレーションのリードタイムやコストの削減

デジタルツインの活用により、デジタル上で仮説検証を行うことで、これまで物理的な試作品や試作ライン、物理的な検証に費やしていた時間を最小限に抑え、さらにコストも抑えながらシュミレーションのスピードを向上させることができます。

④アフターサービスの充実

デジタルツインを活用することで出荷後の製品に関する情報収集、シュミレーションを行う事が可能です。この情報があれば、仮に製品に問題があったとしても、サプライヤーは適切なタイミングでアフターサービスを提供しやすく、お客様のニーズに迅速に対応することができます。これが顧客満足度の向上につながり、LTVの最大化が期待できます。

⑤技術の継承

デジタルツインを活用し、卓越した技術を持つ作業員が遠隔地から作業指示を行ったり、各作業員の仕事の進め方のデータが可視化・集約されることで、今まで共有されていなかった価値あるノウハウを、デジタルツインを通じて他社員に継承

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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