αUの総合プロデューサー 天野氏が考える「クリエイターエコノミー×メタバース」

本格的にメタバース関連ビジネスを加速させるべく、2022年2月にメタバース関連事業専門部隊を立ち上げた面白法人カヤック。

同社はKDDIが今後3年で1000億円を投じることを発表し、大きな話題となったメタバース「αU metaverse」のコンセプト企画からサービス企画、設計までを一気通貫で推進しています。また、カヤックアキバスタジオにて開発も担当しています。

そんななか、カヤックのメタバース事業部長であり、αU metaverseの総合プロデューサーも務められる天野さんに取材の機会を頂きました。

カヤックがメタバース領域に本格参入する狙いから、メタバースの発展に向けた課題と展望までをぜひご覧ください。

天野 清之氏

面白法人カヤック メタバース専門部隊 事業部長 / カヤックアキバスタジオCXO

映像制作会社で3DCGプログラマーを経て、カヤックにインタラクティブプログラマーとして入社。ディレクターに転身し、xR、展示、映像の分野で没入感をコンセプトにした企画・開発を手がけ数々の賞を受賞。メタバースにおける総合プロデュースやデザインとプログラムを組み合わせた企画・開発を行うチームを率いる。
主な作品は、VRイベント「ソードアート・オンライン エクスクロニクル- Online Edition」の企画・制作、総合演出、TVアニメ「マギアレコード 」の作中演出制作、『傷物語VR』の開発など多数。
一般社団法人Metaverse Japan アドバイザー、日経メタバースコンソーシアム・未来委員会 アドバイザー、経済産業省・Web3.0時代におけるクリエイターエコノミー創出に係る研究会メンバー。

 

面白法人カヤック 天野 清之氏
(画像:面白法人カヤック)

入社直後に手がけたARアプリが大ヒットを記録

ー天野さんがXR/メタバース領域でご活躍されるようになった経緯を教えてください。

天野:僕がカヤックに入ったのは2011年。iPhoneが普及し始めた頃です。入社後すぐにARを活用したドミノピザと初音ミクのコラボレーションアプリを担当しました。このアプリはGPSを活用しどこからでもピザを注文できる機能や、届いた箱を使い初音ミクのARライブが楽しめる機能など、当時の先進技術とIPのかけ合わせがユーザーに受け、App Store無料ライフスタイルカテゴリで1位を獲得するほどのヒットを記録しました。

このアプリの開発基盤にはUnityを使用したのですが、2012年頃にUnityのようなゲームエンジンを広告などのゲーム以外のジャンルに使用することは珍しかったようで、Unity社とも関係値ができ、同社の技術カンファレンスで登壇させていただく機会も頂きました。これがきっかけで、AR/VR関連のお仕事の依頼を様々な企業から頂くようになり、この10年間で150件ほどの最新テクノロジーを活用した様々な案件を手がけています。

 

初音ミク ドミノピザ
(画像:面白法人カヤック)

メタバースは”インターネットの次”に来るもの

ーカヤックがメタバースに参入する背景や狙いを教えてください。

天野:我々はメタバースを、「インターネットの次に来るもの」として捉えています。カヤックはインターネット企業であるため、その延長としてメタバースに取り組むという流れです。加えて、カヤックはコンテンツ企業でもあるので、面白い(使いたくなる動機)コンテンツがメタバースにないと流行らないと考えています。

また、カヤックは多種多様な人材による様々な思考や企画力を有しています。その武器がデバイス・プラットフォーム・コンテンツなど、複雑さや不確実性のあるメタバース領域のカオスさへの対応力という形で活かされると考えています。

クリエイターエコノミーはメタバースの発展を加速させる

ークリエイターエコノミーとメタバースの関係性とは?

天野:クリエイターエコノミーはインターネットと同様、メタバースの発展においても非常に重要な役割を果たすと考えています。

先ほど例として挙げた初音ミクという存在あるいは文化も、元々はニコニコ動画でクリエイター同士が相互に作用し合うことでできあがった、いわゆるUGC(User Generated Contents)で作られたキャラクターだと考えています。

インターネットの次にメタバースがあるという前提に立つと、インターネットの普及により個人の活動が価値を生み出す機会が生まれたのと同様の流れがメタバースでも起こるというのは必然と言えます。

さらに、近年台頭するNFTや暗号資産のウォレットなどを上手く活用すれば、クリエイターとユーザーが価値交換を行うことが可能になっていきます。企業の位置付けが代わり、個はより活発になるのだと思います。

 

面白法人カヤック ドミノピザ
(画像:面白法人カヤック)

クリエイターエコノミーにおける企業の果たすべき役割

ー企業はクリエイターエコノミーとどう向き合えば良いのでしょうか?

天野:現状、クリエイターと個人が円滑に経済活動を行えるようにするためのインフラはまだまだ発展途上と言えます。このクリエイターが活躍しやすいインフラの開発・整備は企業が取り組むべき領域です。

例えばNFTに関しても、あらゆるコンテンツを勝手にNFT化する人が出てきた際に、NFTの発行元は個人より企業の方が信頼に値し、価値を持ちやすいと考えられます。あらゆるデータを安全に管理し、また利用できるようにする事でクリエイターはメタバースを活用し、そしてコンテンツ発信していけるのではないでしょうか。

ーコンテンツ大国の日本として取り組むべきことは?

天野:Generated AIが話題ですが、それらによって生成された画像や動画には学習元があるが、クリエイターの意図しない形で学習し量産される事は一つの問題だと思います。もちろんより自由に多様なコンテンツが生まれることは大事ですが、一方で日本の誇るコンテンツ/IPの権利をどう担保するかも大事な観点です。

企業や国が、日本の宝であるコンテンツ/IPをいかに守る仕組みやシステムをどのように構築していけるかが非常に重要となります。また、消費者ユーザーの価値は、体験の記憶やストーリーなどがより重要となる可能性があり、すでに歴史のあるコンテンツはどのように立ち回るかが重要な局面になっているようにも思います。

ユーザーが定着するメタバースの実現へ

ユーザーが定着するメタバースの実現へ 面白法人カヤック
(画像:面白法人カヤック)

ーカヤックのメタバース領域での今後の展望を教えてください。

天野:カヤックとしては、今後3年間で新しい技術領域への挑戦とユーザーが定着するメタバースの実現に取り組みます。

具体的には、KDDIと共に進める「αU metaverse」にて、ユーザーがイベントのタイミング以外でも、普段から利用するようなメタバースの実現に向け、段階的に魅力的な体験を提供していこうと考えています。その為に必要な新しい技術は可能な限り取り入れたいです。

また、メタバースといってもAR・VR・デジタルツインなどの領域があり、それぞれが大きな可能性を秘めており、かつどの領域でデバイスの進化など大きな技術革新が起こるか分からない状況です。

そのため、カヤックとしては、なるべくメタバースの関連領域に広く貼り続けるというスタンスを変えず、デバイスの進化に沿った形で、要素技術を含めたメタバース領域でビジネスを展開していこうと思っています。

若者に何を届けられるかによって5~10年後の社会が変わる

若者に何を届けられるかによって5~10年後の社会が変わる 面白法人カヤック
(画像:面白法人カヤック)

ー今後メタバースは社会にどのような影響をもたらすとお考えでしょうか?

天野:僕が10代20代の時にインターネットを通して触れていた面白くて新しいものが、今の仕事に影響を与えています。eスポーツ選手や動画配信者など当時は考えられなかった仕事がここ10〜20年で生まれ、世の中は一気に変わりました。

今度は僕たちが、子供たちへ純粋に面白がり憧れるようなことをどのように創っていけるかが重要だと考えています。すなわち僕たちがとりくんでいる仕事が若い世代の人に何を届けられるかによって、5~10年後の社会が変わってくるのだと思います。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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