メタバースの実用化に向けた展望|XRコンソーシアム代表理事 藤井氏を直撃

メタバースの実用化に向けた展望|XRコンソーシアム代表理事 藤井氏を直撃

XRコンソーシアム代表理事やハコスコ代表取締役を務める藤井直敬氏は、ハコスコにて無料ではじめるECメタバース「メタストア」を提供するなど、様々な実験を通じてメタバースの実用化に取り組んでいます。

そこで今回は、メタバースの実用化の展望や代表的な事例を探るべく、藤井氏に取材の機会を頂きました。

本記事を読めば、メタバースの実用化に繋がる知識をキャッチアップできると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。

藤井 直敬氏

藤井 直敬氏 ハコスコ
(画像:株式会社ハコスコ)

XRコンソーシアム代表理事、株式会社ハコスコ代表取締役、脳科学者、実験家、医師、カフェオーナー。デジタルハリウッド大学の大学院教授や、ブレインテックコンソーシアム代表理事も務める。主な著書に「つながる脳」「拡張する脳」「脳と生きる」など。

株式会社ハコスコ

ハコスコでは脳科学をベースにしたワンストップなソリューションの開発・提供を行っています。

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脳科学者の藤井さんがメタバースに取り組まれている背景

―脳科学者の藤井さんがメタバースに取り組まれている背景を教えていただけますでしょうか?

藤井:研究者として会社を経営しているので、ハコスコは実験の一部として考えています。なぜハコスコを始めたかというと、「人と人が上手く繋がる豊かな世界を作るための技術や手段を作りたい」と思ったのがきっかけです。その中で色々やってきて、結果としてメタバースに繋がりました。したがって、メタバースは手段の一つとして考えています。そして、メタバースの中でもアバターに着替えて、現実ではあり得ないような風景を見に行くようなメタバースではなく、日々使えるメタバースに取り組んでいます。

ー日々使えるメタバースに取り組む背景を教えていただけますでしょうか?

藤井:まず課題として、商売をする人たち、もしくは日常生活を送る人たちからすると、オンラインとオフラインっていう大きく2つのコミュニケーションのスペースがあると思いますが、その両方が全く違う種類のコミュニケーションになっていて、そこがちょっともったいないなと思っています。

本来であれば、人のコミュニケーションは、今自分がいる、ここから始まると思っています。

ですが、例えば商売なら、リアルな店舗には人がいるけれども、オンラインの店舗には、人がいないですよね。完全に合理化されたECの差別化要因は、値段が安いか、ポイントがつくかぐらいしかないと思います。したがって、大企業のECしか生き残らず、中小企業のECは全然売れにくいと思います。本当は魅力のある商品があるのに、オンラインの利便性を活かせてないのがもったいないと感じています。コロナもあり、直接会うことで得られていた利便性が完全に失われた時期を通じて、その利便性をオンラインで実現する方法を考えていました。そして、そのための技術としてメタバースを使ってみたらどうだろうっていうのが、「メタストア」の根本にあります。

ーメタストアで提供している日々使えるメタバースとはどのようなものなのでしょうか?

藤井:メタストアで提供している価値の1つは、リアルとオンラインのいいところ取りをした新しいコミュニケーション空間です。つまり、僕らが作りたいのは人と人を繋げる新しい方法であり、そこで何らかの価値が生み出されると思います。例えば、バーに行って蛇が入った変な酒が出てきたんだけど、実は飲んでみたら美味しかったみたいな事例です。

メタバースの実用化のメリット

メタバースの実用化のメリット ハコスコ
(画像:株式会社ハコスコ)

―メタバースの実用化のメリットを教えていただけますでしょうか?

藤井:メタバースの実用化のメリットは3つあります。1つ目が「繋がり」、2つ目が「空間の制限が取り払われる」、3つ目が「コミュニケーションそのものを価値として提供できる」という点です。

1つ目のメリットである「繋がり」について、例えば価格帯が高いアパレルのお店に行って買った洋服の評判が良くて、もう一度同じ店員さんから買いたいなって思ったことは、多かれ少なかれみんな経験としてあると思いますが、実際にもう一度買いに行ってみたら、店員さんがいなくてがっかりすると思います。メタバースを活用すれば、そういった際に、あの人に相談してから買いたかったんだよなっていうのが実現できると思います。

2つ目のメリットである「空間の制限が取り払われる」について、オンライン化することによって空間の制限が取り払われて、人と人との繋がりを作ることができます。一方で、人と人との繋がりはECみたいに数をこなせないデメリットもあります。したがって、マス向けの商売ではなく、1対1の関係性に基づいた単価が高い商売の方がビジネスとして成り立ちやすいと思います。

3つ目のメリットである「コミュニケーションそのものを価値として提供できる」について、例えばイベントとかは、誰かに会いたいっていう気持ちが人を集める大きな要因なので、ミュージシャンやクリエイターなど、その人自身に魅力がある場合は、コミュニケーションそのものを価値として提供できると思います。

―メタバースの実用化のポイントを教えていただけますでしょうか?

藤井:メタバースを実用化する上で、空間に人が結びついてるのが大事だと考えています。

例えば、僕は熱海に住んでいるのですが、僕に会いたいんだったら熱海にあるハコスコカフェに行こうかっていう人もいれば、メタバース上にあるハコスコカフェに行こうかっていう人もいると思います。(*ハコスコカフェとは熱海市伊豆山にある廃小屋を再生したカフェであり、メタバース上にもオープンしている)

つまり、僕はある特定の物理的な住所にいる僕と同じように扱えるようになっています。一般のメタバースは場所っていうものを持っているのにURLがないので、もったいないと思います。そうではなく、ブラウザ上のブックマークをクリックして、そこに行くと藤井がいるというのは全然違うと思います。

メタバースの実用化の可能性や展望

―ユーザー / 社会目線での可能性を教えていただけますでしょうか?

藤井:メタバースっていうと、特別なもの、今までなかった新しいものっていう風に、皆さん考えがちだと思いますが、 僕らが提供したいメタストアっていうのは、ウェブページぐらいのものと考えています。WEBサイト等にあるバナーなどから入ることができるので、平らな画面の後ろに3Dの世界が広がっているのが特徴です。それはユーザーからすると、別に普通にブラウザ使ってたら、なんか奥に空間があって、さらに人がいる。同じブラウザ使ってるのに全く体験が異なってくると思います。つまり、ブラウザを経由した新しい空間の認知の仕方が起き、そこで人と人との繋がりや新しい関係性の作り方が生まれて、それがどんどんこう広まっていくと思います。

―企業目線での可能性を教えていただけますでしょうか?

藤井:企業によって異なりますが、全ての企業に対して共通しているのは、独自の世界観で空間を作れるっていうことだと思います。その中でも特に、人をベースとした商売をしている人たちは相性がいいと思います。人をベースとして商売をしている人たちは、メタストアを使うことでオンラインでも今までと同じ形で商売ができるので、可能性がより広がっていくと思います。例えば、魚屋で「おばちゃん 今日はいいのある?」って聞いたら、「今日はこの魚がおすすめだよ、ただもうあと2匹しかないけど」と回答があり、回答に対して「じゃあ、その2匹ちょうだい」といった人をベースとした商売がオンラインでも生まれると思います。

メタバースの実用化の代表的な事例

―メタバースの実用化の代表的な事例を教えていただけますでしょうか?

事例1:熟成肉を販売する「格之進メタストア」

熟成肉を販売する「格之進メタストア」
(画像:株式会社ハコスコ)

藤井:面白い事例の一つとして、熟成肉を提供するレストラン「格之進」を運営する株式会社門崎が「格之進メタストア」という熟成肉を販売するお店をメタストア上にオープンした事例があります。このメタストアでは、店頭にお肉が並んでいて買うことができます。むしろ面白いのは予約してお店に行くと、担当の人がいて、その人に「こんな肉が欲しいんだけど」って言うと誂えてくれるところです。

例えば、「来週パーティーで6人ぐらい友達来て、 焼肉パーティーやりたいんだけど、どんなお肉いいかなって」と聞くと、「油多いのは好きですか」などと聞かれて、「来る子はね、女の子が半分だから油は少なめがいい」などの会話をして、最終的にお肉とグラム数がきまったら、ビデオ越しにPayPayのQRコードを表示されて「これで払ってください」っていうようやり取りになります。このような購買体験は、今までなかったと思っています。

事例2:学生相談の窓口 等

学生相談の窓口 等 ハコスコ
(画像:株式会社ハコスコ)

藤井:大学の学生相談の窓口もメタストアで今テスト的に運用が始まっています。学生は相談のために、リアルな窓口に行かないといけなく、いつでも気軽に参加できるオンラインにしてみようっていうことで、テスト運用をしています。

大学でも教授室をメタストアで作ろうと思っています。これも同じく大学に行くのがめんどくさいっていう課題を解決するためです。教授室がオンライン上にあって、URLをブックマークして、予約して行くだけになるので、手間が省けると思います。

事例3:アーティストのポートフォリオ

アーティストのポートフォリオ ハコスコ
(画像:株式会社ハコスコ)

藤井:あとは芸術系の学校と、アーティストのポートフォリオをメタストアに置くという話を進めています。アーティストはクリアファイルなどでポートフォリオの写真を持ち歩いたりなどしているけど、それらをメタスターの中に置くことができます。特に立体物は3Dで見ないと分かりづらいので、メタストアと相性がいいと思います。

メタストアのターゲットや提供価値

―メタストアのターゲットや提供価値を教えていただけますでしょうか?

藤井:ターゲットは大きく3つかなと思っていて、1つ目は商空間です。2つ目はコミュニティですね。3番目が展示空間ですね。その3つが大きくあるかなとは思いながら、結局、商売の形って、それぞれの業種と ターゲットのお客さんによって違ってくるのは当然なので、場所とツールの提供をしているメタストアを使って、お客さんと良い関係性を繋ぐことを各事業主が取り組む必要があると思います。ですが、メタバースみたいなものを使った商売の仕方って、まだ成功事例が少ないから、僕らが一緒に考えるっていうフェーズだと思っていています。

メタバースの実用化に向けたハコスコの取り組み

メタバースの実用化に向けたハコスコの取り組み
(画像:株式会社ハコスコ)

―メタバースの実用化に向けたハコスコのお取り組みを教えていただけますでしょうか?

藤井:ハコスコっていうのは、最初にお話した通り僕の脳科学者として、どうやったら世界をもっといい世界にできるかっていうのを考えた時に、脳の外側からと内側から攻めてあげた上で、現実を科学して豊かにすることを目指しています。その上で、外側から攻めてるのがVRとかメタバースです。つまり視覚とか聴覚です。人工的な世界を作って、新しいコミュニケーション空間を提供するっていうのがメタバースやVRで、内側から攻めるっていうのがブレインテックです。ブレインテックでは、ニューロフィードバックっていって、脳の中も可視化してあげることで、自分がリラックスするにはどうすればいいのかなどを明らかにしていくことをしています。それで、内側からはブレインテックで、外側からはメタバースやVRで、その人の暮らしている現実っていうものを、よりよくデザインして、いい世界を作ることに取り組んでいます。

まとめ<ハコスコ代表 藤井様インタビュー>

業界の最前線でご活躍される藤井さんから、メタバースの実用化の展望や代表的な事例を学ぶことのできた取材でした。

日々使えるメタバースは私たちの現実世界の生活をより便利に、豊かにしていく大きな可能性を秘めています。

まだ成功事例が少ないですが、今後はその事例が徐々に増えていき、メタバースの実用化が大きく進展した時代がそう遠くない将来やってくるかもしれません。

ぜひこの機会に、メタバースの実用化についてご検討されてみてはいかがでしょうか。

今後も業界の注目企業/ビジネスパーソンを取材し、メタバースのビジネス活用の最前線に迫っていきますので、どうぞお楽しみに。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却した後、日本企業の海外マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を設立して代表取締役社長に就任。メタバースのビジネス活用を支援するメタバース総研を設立して代表取締役社長に就任。

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