ビジネス向けのDX用語集35選|初心者にもわかりやすく紹介
更新日:
基礎知識本記事では、DXの取り組みを検討している担当者の方に向けて、ビジネスパーソンが絶対に押さえておきたいDX関連の用語を全部で35個、分かりやすく解説していきます。
またDX総研では、DXを検討・推進する上で必ず押さえておきたい、DX成功事例50選の取り組みや成果をまとめたレポートを無料で配布しています。ご興味のある方は、以下リンクからダウンロードしてご活用ください。
目次
DXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。
単なるデジタル化・IT化ではなく、デジタル活用により、業務やサービス、ビジネスモデルを大きく変革していく取り組みであるという点が大きなポイントです。
経済産業省は、2018年に発表した「DX推進ガイドライン」において、DXを以下のように定義しています。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
ー出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0
例えば、動画配信大手のNetflixが、宅配型のDVDレンタル事業からサブスクリプション型のオンライン動画配信サービスへとビジネスモデルを変革したのは、DXの代表的な事例といえるでしょう。
※DXを検討・推進する際に必ず押さえておきたい、基礎知識から進め方、ポイントまでをまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒DX推進まるわかりガイドブックの資料ダウンロードはこちら(無料)
ビジネス向けのDX用語集35選
ビジネスパーソンが押さえておきたいDX関連の用語35選をご紹介します。
<まず押さえるべき基本用語>
①IT化

IT化とは、既存の業務プロセスを効率化する手段のことです。例えば、書類に人手で記入・集計していたデータを、PC上の新たな社内システムに入力し、機械的に集計するようにすることで、作業時間が30%削減されるといったものが挙げられます。
IT化はDXと密接に関係しています。DXは、IT化を含むデジタル活用による、業務やサービス、ビジネスモデルの大きな変革に向けた取り組みを指すため、IT化はDXの手段と位置付けられるのです。
言い換えると、DXはビジネスに「質的変化」をもたらすもので、IT化はビジネスに「量的変化」をもたらすものと区別することができます。
②デジタイゼーション
デジタイゼーション(Digitization)とは、紙などで管理しているアナログデータをデジタル化することを指し、DXを目指す企業が最初に着手すべき取り組みです。
例えば、過去の膨大な用紙に記入された取引データを、社内システムにデジタルデータとして転記するといった取り組みが挙げられます。
③デジタライゼーション
デジタライゼーション(Digitalization)とは、デジタイゼーションで生み出されたデータを活用し、業務フローをデジタル化することを指します。
例えば、これまでは、取引データの管理方法を、用紙に人手で記入し、集計するというものから、PC上の新たな社内システムに入力し自動で集計されるようにすることで、業務効率化を図るといった取り組みが挙げられます。
デジタイゼーション・デジタライゼーションを経ることで、デジタル技術活用による変革の下地が整い、DXの実現に繋がっていきます。
④DX人材
そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。そして、DX人材とは、DXを推進するために必要となるスキルを持った人材全般を意味します。
DX人材というと、ITツールに詳しいエンジニアを想起する方も多いかもしれません。しかし、DXを推進するためには、プロジェクトを推進するマネージャーや、データ分析により効果を検証するデータサイエンティストなど、様々なタイプの人材が必要となり、これらの人材もDX人材に含まれます。
特に、全社的なDXを推進する場合、最新のテクノロジーを使いこなせるエンジニアはもちろん、ビジネス戦略とデジタル活用の両方に知見をもつリーダーが各部門に必要となります。
⑤ペーパーレス化
ペーパーレス化とは、紙の書類を電子データに変換して、コンピュータ上に格納することです。これにより、紙を持ち運ぶ必要性がなくなり業務の効率性が上がるほか、印刷や保管にかかるコストを削減することができます。
経済産業省が2022年7月に発表した「DXレポート2.2」によると、紙媒体で管理されている情報の電子データ化(=ペーパーレス化)に取り組んでいる企業は60.2%に達しており、そのうち24.5%はすでに実際の成果が出ています。
ペーパーレス化は、やるべきことが明確で、やり方もある程度決まっているため、DXの取り組みの中でも、最も手軽に始めやすい行動の一つです。DXを実現するための第一歩として位置付けることができるでしょう。
※ペーパーレス化を含む、企業による最新のDX成功事例50選の取り組みや成果をまとめた資料をダウンロード頂けます。
<経営・戦略に関する用語>
⑥DX推進部
DX推進部とは、DXプロジェクトの推進を専門的に担当する企業の部署のことです。DXの目的・ビジョンの設定、計画の立案、プロジェクトの推進までを一気通貫で主導する専門の部隊であり、大企業中心に多くの企業がこのような部署を設けています。
DXは、ビジネスモデルの変革や業務プロセス全体の改革を伴う全社的な取り組みであるため、DXを成功させるためには、部門横断的な協力体制の構築が必要となります。DX推進部は、各部署との連携の橋渡しを行い、会社全体が同じ方向に向かってDXの取り組みを開始できるようリードしていく役割を担います。
DX推進部の形態は企業によって様々です。例えば三井不動産は、DX本部と各事業部が連携しながらDXを推進する体制を構築しています。また、旭化成はデジタル共創本部を設置し、グループ横断的なDXを推進しています。
※300事例の分析に基づく、企業によるDX推進方法の13の王道パターンと成功事例をまとめた資料をダウンロード頂けます。
⑦CDO(Chief Digital Officer)
CDO(Chief Digital Officer)とは、最高デジタル責任者のことで、会社全体のDXを主導していくリーダーです。
類似する役職としてCIO(Chief Information Officer)というものがあり、主にITシステム保守や運用を担当します。一方で、CDOは、デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革や新規サービスの創出などの経営判断を行う役割を担っています。
デジタル技術による全社的な組織変革を引っ張っていくための存在として近年注目を集めています。一般社団法人CDO Club Japanが2021年に行った調査によると、役員レベルでCDOを設置している企業は3.3%にとどまるとのことですが、DXの普及拡大を受けて、この割合は今後増加していくと考えられています。
⑧データドリブン

データドリブンとは、意思決定や業務の改善を行う際に、データに基づいて行動するアプローチを指します。これは、直感や経験に頼るのではなく、具体的な数値や事実をもとにして最適な判断を下すという考え方です。
例えば、マーケティング戦略を立てるときに、顧客の購買履歴やウェブサイトの閲覧データを分析して、どの商品がどの顧客層に売れるのかを予測し、その結果に基づいて販売戦略を立案するなどの取り組みが挙げられます。
従来の意思決定は、データに基づかず、もっぱらベテラン経営者や社員の感覚や経験に基づいたものが大半でした。そのため、一経営者/社員の独断で効果のない施策が実行されることも少なくありませんでした。
これに対して、データドリブンのメリットは、感覚や経験に左右されずに、客観的な情報に基づいた意思決定ができる点です。これにより、企業のパフォーマンス向上やリスクの最小化が期待されます。
⑨カスタマーエクスペリエンス(CX)

カスタマー・エクスペリエンス(CX)とは、顧客が製品やサービスを利用する際に感じる体験全体を指します。これには、商品の購入前から購入後のサポートまで、すべての接点で顧客が受ける印象や感情が含まれます。
CXを改善することで、顧客満足度を高め、リピート購入や口コミでの拡散を促進することができます。
DXとCXは密接に関連しています。DXの取り組みを通じてビジネスモデルの変革や業務プロセスの改革を行うことで、結果として、商品やサービスの価値が高まり、顧客満足度の向上に繋がるからです。
そのため、DXはCXを改善・向上させるための一つの手段と位置付けられます。
⑩サブスクリプション

サブスクリプションとは、定期的な料金を支払ってサービスや商品を利用するビジネスモデルのことです。代表例として、NetflixやAmazon Primeなどの動画ストリーミングサービス、定期的に届く食材やコスメのボックスなどが挙げられます。
サブスクリプション形態をとることで、企業は将来にわたり安定した収益を確保することができます。また、将来の収益の見通しが明確になるため、サービスの改善や開発にどれくらい資金を投下するかを比較的容易に判断することができます。
例えば、Netflixは、2024年、コンテンツ制作に最大170億ドル(約2.6兆円)投資すると発表しています。
サブスクリプションは、一回きりの販売と異なり、顧客と継続的な関係を構築していくことを前提にしているため、提供する側は、常にサービスの質を改善し、顧客の体験価値を高めるための努力を続けることが求められます。
⑪D2C

D2C(Direct to Consumer)とは、メーカーが自社の製品を直接消費者に販売するビジネスモデルのことです。オンライン上に販売サイトを立ち上げることで、卸や小売業者を介さずに直接消費者に製品を届けることが可能となります。
メーカーにとってのD2Cのメリットとして、①卸や小売業者を介さないため、製品の価格を抑えながら利益率を高めることができる点、②消費者から直接データを収集し、マーケティングや商品開発に役立てることができる点、③ブランドイメージやメッセージを的確に伝えることができる点などが挙げられます。
国内のD2Cブランドの具体例として、オーダーメイドスーツを提供するD2CブランドのFABRIC TOKYOや、完全栄養食を家庭に直接届けるBASE FOODなどが挙げられます。
一方で、メーカーはマーケティングの知見を持っていない場合が多いため、認知度向上や顧客獲得に苦労するケースも少なくありません。また、物流やカスタマーサポートも自社で管理する必要があるなど、課題もあります。
⑫シェアリングエコノミー

シェアリングエコノミーとは、物やサービスを所有するのではなく、共有や貸し借りを行うことで、効率的に利用するビジネスモデルのことです。インターネットやスマートフォンの普及とともに、多くの企業がこのビジネスモデルに参入しています。
シェアリングエコノミーの具体例として、移動したいときに他人の車を利用するライドシェア、空いている自宅の一部や別荘を旅行者に貸し出す民泊、必要な時間だけオフィスを貸し出すシェアオフィス等が挙げられます。
特に、民泊のシェアリングエコノミーを手掛けるAirbnbは、日本にも進出し、多くの旅行者に利用されています。また、海外ではライドシェアのUberやLyftも有名です。
シェアリングエコノミーは、資源の無駄を減らし、より多くの人が効率的に物やサービスを利用できることから、環境にも経済的にもメリットがあります。持続可能な社会を実現するための重要なビジネスモデルと位置付けられます。
<ツールに関する用語>
⑬RPA

RPA(Robotic Process Automation)とは、オンライン上で行う定型的な作業を自動化するソフトウェアのことです。データの入力・転記やメールの送受信などの単純作業を、人間の代わりに実行する技術です。「オンライン上で働くロボット」と考えるとわかりやすいでしょう。
RPAにより、オンライン上で行う様々な定型作業を自動化・効率化するとともに、ケアレスミスの防止や人件費の削減といったメリットを得ることができます。人間の従業員は、より本質的な仕事に取り組めるようになり、DXが目指す業務プロセスの改革や新たな価値の創出につながります。
RPAで業務を効率化するためには、自社の業務の中から自動化したい業務を特定し、最適なツールを選定する必要があります。
現在、多くの企業がRPAツールをリリースしていますが、中でも、NTTアドバンステクノロジが提供する「WinActor」というツールは、国内シェアNo. 1を誇る代表的なRPAツールです。
⑭SFA/CRM

SFAツール(Sales Force Automationツール)とは、商談やプロジェクトの進捗状況を管理することで、営業活動を効率化するツールです。営業プロセスの自動化を通じた営業チームの生産性向上を実現します。
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客に関するあらゆる情報を管理することで、営業活動を効率化したり、顧客情報からインサイトを得たりすることができるツールのことです。徹底的な顧客理解により、顧客との関係強化を実現します。
SFAとCRMを組み合わせて利用することで、マーケティングから商談・受注までの流れを効率化し、営業力を飛躍的に向上させることができるようになります。
代表的なSFAツールとして、Salesforceが提供するSales CloudやHubSpotが提供するSales Hubなどが挙げられます。また、代表的なCRMツールとして、5,500社以上の導入実績を誇る国産のeセールスマネージャーなどが挙げられます。
⑮CMS

CMS(Contents Management System)とは、Webサイトのコンテンツを構成するテキストや画像、デザイン・レイアウト情報などを一元的に保存・管理するシステムです。技術的な専門知識がなくても、ユーザーが容易にウェブサイトを管理できるようにします。
代表的なCMSツールとして、Webコンテンツを投稿するWordPressや、オンラインストアを開設できるShopifyなどが挙げられます。
特に、Shopifyは、自社にEC用のシステムがなくても、比較的容易にオンライン販売が可能となるプラットフォームとして、EC業界で大きな注目を集めています。
⑯BI

BI(Business Intelligence)とは、業務データを収集、統合、分析し、経営意思決定をサポートするための仕組みや手法のことです。BIを実践するためのツールを「BIツール」と呼び、データの加工や集計、レポーティングによる可視化をサポートします。
BIツールは、商品の売上げの分析や在庫管理、マーケティングの効果測定などに使われており、データに基づいた実証性のあるマーケティングが可能となります。
代表的なBIツールとして、TableauやMicrosoft Power BI、Qlik Senseなどが挙げられます。
⑰MA

MAツール(マーケティングオートメーションツール)とは、マーケティング業務を自動化・効率化するためのソフトウェアです。メール配信、ソーシャルメディアの運用、リード(見込み客)のスコアリング、パーソナライズされたコンテンツの提供、キャンペーンの分析などを自動化します。
MAツールにより、マーケティング活動の効率化と精度向上を実現することができます。例えば、顧客の行動データを分析し、その興味や行動に基づいて最適なタイミングで適切なコンテンツを提供することが可能です。これにより、リードの質が向上し、営業チームへの引き渡し時に成約率を高めることができます。
代表的なMAツールとして、導入実績1,500社以上を誇る「SATORI」や大手Webマーケティングメディアを運営するferretの「ferret One」が挙げられます。
⑱ERP

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業の主要な業務プロセスを統合管理するためのシステムです。財務、人事、製造、販売、在庫管理など、さまざまな部門のデータを一元化し、効率的な業務運営を支援します。
ERPにより、情報の一元化によるデータの整理とリアルタイムな情報共有が可能になります。これにより、従業員は社内のマニュアルやノウハウなどの知見に迅速にアクセスできるようになり、経営者にとっては迅速かつ正確な意思決定が可能となります。
ERPを導入するためには、既存の業務プロセスを棚卸し、ERPでカバーする範囲を特定した上で、最適なツールを選定する必要があります。
現在、多くの企業がERPツールをリリースしていますが、中でも、マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウドERP」は、既存のマネーフォワードの会計システム等との連携が容易であり、多くの企業に導入されています。
<開発に関する用語>
⑲クラウド

クラウド(クラウド・コンピューティング)とは、インターネットを通じて、データやアプリケーションを外部サーバーで管理・保存・利用する仕組みのことです。
従来のようにデータを個々のコンピューターや社内サーバーに保存するのではなく、クラウドサービスプロバイダーのデータセンターに保存します。これにより、ユーザーはインターネットにさえ接続していれば、いつでもどこからでもデータやアプリケーションにアクセスできるようになります。
自社でサーバー等を用意する必要がなく、低コストで迅速にソフトウェアを利用できるという便利さから、企業がDX推進のためのITツールを導入する際にも、クラウド経由で利用することが一般的となっています。
代表的なクラウドサービスとして、Amazon Web Services、Micorosoft Azure、Google Cloud Platformなどがあります。
⑳オンプレミス
「オンプレミス」とは、サーバーやコンピュータなどのハードウェア、アプリケーションなどのソフトウェアといったシステムを稼働させるのに必要不可欠な設備・機器を自社で保有しておく運用形態のことです。
これらの設備・機器を自社保有しないで、必要な分だけインターネット経由でレンタルする「クラウド」と対をなす概念です。
クラウドの登場によりオンプレミスは時代遅れのものとされてきました。しかし近年、セキュリティレベルの高さや通信速度の速さといった、オンプレミス独自のメリットが再度注目されており、クラウドの代わりにオンプレミスを積極的に選択する企業も増えています。
特に生成AI活用の場面で、オンプレミスへの回帰の動きが進んでいます。この点については、以下の記事で分かりやすく解説しています。
㉑アジャイル
アジャイル(agile)とは、ビジネスの領域では、企業が消費者のニーズの変化や市場環境の変化などに機敏に対応する能力のことを指します。アジャイルの名詞形であるアジリティ(agility)は、「機敏性」や「敏捷性」を意味する言葉です。
DXの分野においては、アジャイル開発というキーワードが頻繁に使われています。アジャイル開発とは、ソフトウェアやシステム開発の手法の一つで、絶えず変化する顧客のニーズや市場環境などに応じて、開発方法や方向性を柔軟に変化させながらプロダクトを作り上げていくことを意味します。
従来の開発手法が、「まず計画を立ててから一気に作り上げる」ことを重視していたのに対し、アジャイル開発では「少しずつ作りながら改善していく」ことに重点を置いています。
アジャイル開発では、顧客との密なコミュニケーションを通じて顧客のニーズをリアルタイムで刈り取り、それをチームメンバー全員に共有して、速やかにPDCAを回すことが重要です。そのため、アジャイル開発は、比較的小規模なチームで実施されることが多いです。
㉒デザイン思考
デザイン思考とは、ユーザーのニーズを深く理解し、それに基づいて問題を解決するための創造的なアプローチやプロセスのことを指します。デザイナーが製品やサービスを設計するときの思考方法を、ビジネスに応用する考え方です。
デザイン思考の一番大きな特徴は、徹底的なユーザー目線に立つことです。ユーザーの視点に立ち、ユーザーの悩みや求めているものを徹底的に理解することで、真に価値のあるプロダクトを開発することを目指します。
デザイン思考は、単にデザインに関することだけでなく、複雑な問題解決や新しいアイデアの創出に有効な手法として、ビジネスや教育、医療など様々な分野で活用されています。
デザイン思考は、顧客体験の向上に資するものとして、DXの分野でも注目されています。
㉓エッジコンピューティング
エッジコンピューティングとは、データの処理をデータが生成される場所(エッジ)に近いところで行う技術や考え方のことです。データを中央のサーバー(クラウド)に送って処理する方法と比べて、データ処理を迅速かつ効率的に実施できるようになります。
例えば、スマートホームの中にあるカメラがセキュリティ映像を録画しているとします。このカメラがエッジコンピューティングを利用している場合、映像データはその場で処理され、異常があればすぐに警告が出されます。
これに対して、通常のクラウドコンピューティングでは、映像データは一度クラウドサーバーに送られ、そこで処理された後に警告が出されるので、少し時間がかかることがあります。
このように、エッジコンピューティングを活用することで、低遅延かつ高セキュリティ下でのデータ処理が可能となります。
自動運転車における社内センサーや工場における機械設備など、リアルタイム性が要求される場面での活用に期待が高まっています。
㉔レガシーシステム

レガシーシステムとは、老朽化したITシステムのことです。日本企業の約8割がレガシーシステムを抱えていると言われています。
長年の継ぎ足しによって大きく複雑化したり、開発担当の社員がいなくなって中身が分からずブラックボックスとなっているなどの問題があり、多くの企業にとってDX推進の妨げとなっています。
レガシーシステムの存在により、長期的な保守費や運用費が高くなってしまい、企業のIT関連予算の約8割が既存ビジネスの維持・運用にあてられているという問題が発生しています。
経済産業省のレポートでは、このままDXが推進されない場合、2025年以降に国内全体で最大年間12兆円の経済損失が生じる可能性があると警鐘を鳴らしており、このリスクは「2025年の崖」と呼ばれています。
<最新技術に関する用語>
㉕IoT

IoTとは、「Internet of Things」の略で、日本語では「モノのインターネット」と言います。家電、自動車、建物など、日常で使うあらゆるモノにセンサーを設置し、インターネット接続することで生活の利便性を大きく向上させる技術です。
IoTにより、センサーを搭載したモノから大量の情報を取得することで、様々なことが実現できます。例えば、冷蔵庫にセンサーを設置すれば、その中の食材の状況がわかり、どの食材を買い足す必要があるのかが一瞬でわかります。また、指輪型やブレスレット型のウェアラブルデバイスを装着することで、心拍数や睡眠パターンをモニタリングするためにも利用できます。
IoT技術が広まっていけば、あらゆるモノがインターネットに繋がり、生活の利便性が大きく向上します。導入のためには、専用のセンサーやデバイスの用意、ネットワーク環境の整備、データの収集・管理システムの構築などの準備が必要となります。
㉖5G
5Gは、5th Gererationの略で、高速データ伝送、低遅延、多数のデバイスへの接続を実現する新しいワイヤレスネットワークのことです。4Gの次世代規格として、2020年3月からサービスが開始されました。
例えば、2時間程度の長編映画をダウンロードするのに4Gでは約8分かかるのに対し、5Gではわずか数秒しかかからないなど、4Gと比べて大幅に通信速度が向上しています。
5Gのもとでは、大量のデータを瞬時にやり取りすることができるため、AIやAR・VR、自動運転など様々な先端技術の発展に大きな影響を与えています。
㉗ビッグデータ
ビッグデータとは、従来のデータ処理方法では扱いきれないほど大量で多様なデータ群のことです。
ビッグデータは、Volume(膨大なデータ量)、Variety(多様なデータの種類)、Velocity(データ生成・処理のスピード)、Veracity(データの正確性)という4つのVから始まる特徴をもっています。
ビッグデータを分析することで、企業は新たな洞察を得たり、予測モデルを構築することができます。例えば、顧客の行動履歴のデータから購買に繋がる特定の行動パターンを見出したり、工場の機械設備に設置されたセンサーから取得したデータに基づいて故障の兆候を発見したりすることが可能となります。
ビッグデータを活用するためには、目的を明確にしたうえで必要なデータの量と範囲を定め、適切なデータソースからデータを取得するとともに、大量のデータを格納するためのデータストレージの準備が必要となります。
㉘OCR

OCRとは、「Optical Character Recognition」の略で、日本語では光学的文字認識と言います。手書きや印刷された文字をスキャナやカメラで読み取り、デジタルの文字に変換する技術のことです。
紙の書類のデジタル化による保管スペースの確保、データ入力作業の自動化、名刺情報等のデータベース化など様々な場面で活用されています。
近年、OCRに生成AIを搭載させたAI-OCRが注目されています。OCRの文字認識技術に生成AIの画像認識・文章生成技術を組み合わせた技術です。
生成AI搭載のOCRでは、OCRで読み取れなかった文字を生成AIによる自然言語処理技術で補完することで、手書きの文字やインクの擦れた文字なども正確に読み取ることができるようになります。
これにより、OCR技術の活用の幅が広がり、あらゆる事務作業の効率化・省力化を加速させるとして期待されています。
㉙AI

AIとは、「Artificial Intelligence(人工知能)」の略称で、コンピューターがまるで人間のように学習・判断・予測などの知的作業を行うことを可能にする技術のことを指します。
例えば、画像を認識し異常を検知する、過去のデータから未来を予測する、依頼を元に文章や画像を作成するなどの様々な活用が可能です。
近年、ビッグデータの蓄積や分析技術の進歩などにより、2020年以降その性能が飛躍的に向上し、幅広い業界・用途での活用が急激に進んでいます。
※AI/ChatGPTの活用を検討する際に必ず押さえておきたい、基礎知識から活用の進め方、ポイントまでをまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒【ゼロから分かる】AI/ChatGPT活用ガイドブックの資料ダウンロードはこちら(無料)
㉚生成AI

生成AIとは、「ジェネレーティブAI(Generative AI)」とも呼ばれ、文章・画像・音声など新たなコンテンツを生成するAIのことを指します。
近年の急速な技術進歩により、簡単な利用方法で、人間が作成したものと同等、あるいはそれ以上の質のコンテンツを自動で生成できるようになったことから、既存のビジネスや業務のあり方を変えていく存在として、大きな注目を集めています。
既に人間の作業をサポートするツールとしての活用が進んでおり、例えば、テキスト生成AIで長文のレポートを要約する、画像生成AIで広告用の独自の画像を作成する等の活用が可能です。
※生成AI/ChatGPTの活用を検討する際に必ず押さえておきたい、基礎知識から活用の進め方、ポイントまでをまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒【ゼロから分かる】生成AI/ChatGPT活用ガイドブックの資料ダウンロードはこちら(無料)
㉛VR/AR

VRとは、Virtual Reality(仮想現実)の略称で、コンピューターを介してバーチャルの空間に入り込んだユーザーに、まるでそれが現実であるかのように感じさせる技術です。
現実世界では物理的な制約により再現が難しい、さまざまな空間やシチュエーションを再現し、そこに没入する体験が可能になります。近年では、ゲームや動画などのエンタメコンテンツだけでなく、企業研修や教育、完成前の建物や製品のイメージ共有などの用途でも活用が急速に進んでいます。
また、ARとは、Augumeted Reality(拡張現実)の略称で、スマートフォンやグラス型デバイスなどを通じて、リアルの世界にデジタルの情報を視覚的に重ね合わせ、情報を追加することで、ユーザーから見えるリアルの世界を拡張する技術です。
街中にポケモンが現れる「ポケモンGO」は、ARサービスの代表的な例です。ビジネスの場面では、工場や建設現場での作業の際に画面上に作業手順を表示して現場作業を効率化するといった用途で活用されています。
VRやARは、新規サービスやコンテンツの創出、業務プロセスの改善・変革など、様々な目的を達成することができ、DXを推進する重要な技術となっています。
㉜メタバース

メタバースとは一言でいうと、人々が様々な活動を行うことのできるインターネット上の3次元の仮想空間のことを指します。
メタバースの語源は「超越」を意味する「meta」と「世界」を意味する「universe」を組み合わせた造語だと言われています。メタバースという言葉が世界で初めて使われたのは、1992年にニール・スティーヴンスン氏が発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」です。
メタバースにおいて、ユーザーはアバターと呼ばれる自身の分身の姿でメタバース空間にアクセスし、他のユーザーとコミュニケーションや経済活動を行うことができます。例えば、集まって会話をしたり、イベントやスポーツ、買い物などを楽しむことができます。
一般ユーザーに広く普及しているメタバースサービスとして、「Fortnite」や「Roblox」、「どうぶつの森」などのゲーム型のメタバース、「VRChat」や「Cluster」などのSNS型のメタバースが挙げられます。
メタバースへのアクセス方法としては、スマホやPCからもアクセス可能ですが、Apple Vision ProやMeta Questのようなヘッドマウントディスプレイからアクセスすることにより、より世界に没入したような体験が可能になります。
※メタバース/XRの基礎知識からビジネス活用方法と最新事例、進め方までをまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒【ゼロから分かる】メタバース/XRのビジネス活用ガイドブックのダウンロードはこちら(無料)
㉝ブロックチェーン

ブロックチェーンとは、分散型台帳とも呼ばれ、取引データを各端末に分散的に処理・記録する技術です。
一連の取引データ(ブロック)が鎖(チェーン)のように連結されており、各ブロック同士は暗号化によって容易に差し替えることができなくなっています。これにより、取引記録の改ざんを防ぎ、オンライン上での取引の安全化を図ります。
ブロックチェーンの主な特徴は、透明性とセキュリティの高さです。すべての参加者が同じデータを持ち、取引が検証されるため、不正行為の防止が可能です。
ビットコインなどの仮想通貨で使われていることで有名ですが、契約締結をオンライン化するスマートコントラクト(自動契約執行)や商品の追跡を行うサプライチェーン管理などにも活用することができます。
㉞デジタルツイン

デジタルツインとは、リアル空間から収集したデータをもとに、バーチャル空間上に全く同じ環境をまるで双子のように再現する技術です。
建物や設備に搭載されたセンサーやIoTデバイスなどから集約したさまざまなデータをもとに、リアル空間に存在する都市全体や建物、設備をバーチャル空間上に再現し、AIなどを活用しながらさまざまな分析を行うことで、より高度なシミュレーションを行うことができます。
デジタルツインを導入するためには、センサー等のIoT機器からデータを収集した上で、3Dモデルを作成し、デジタルツインとして運用できるようにシステムを構築する必要があります。
実装には高度な技術が必要であるため、外部の専門家やコンサルティング会社に依頼するのがおすすめです。
※メタバース/デジタルツインの基礎知識からビジネス活用方法と最新事例、進め方までをまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒【ゼロから分かる】メタバース/デジタルツインのビジネス活用ガイドブックの資料ダウンロードはこちら(無料)
㉟量子コンピュータ

量子コンピュータとは、量子力学の原理を利用して計算を行う、従来のコンピュータとは一線を画した新型のコンピュータです。
従来のコンピュータやスーパーコンピュータは、ビットと呼ばれる二進数(0か1)の単位を使って情報を処理します。一方、量子コンピュータでは「量子ビット(キュービット)」と呼ばれる単位を使い、この量子ビットは0と1の両方の状態を同時にとることができます。これを「重ね合わせ(スーパー・ポジション)」といいます。
さらに、量子ビット同士は「量子もつれ」と呼ばれる特殊な状態を取ることができ、この状態では一方の量子ビットの状態が決まると、瞬時にもう一方の量子ビットの状態も決まるという特徴があります。このような特性を利用することで、量子コンピュータは特定の問題に対して非常に高速に解を求めることができます。
スーパーコンピュータは、非常に多数のプロセッサを使って並列処理を行うことで、極めて高度な計算を行うことができるシステムです。例えば、気象予測や新薬の開発、大規模なシミュレーションなど、非常に膨大なデータを処理する必要がある場合に利用されます。しかし、スーパーコンピュータはあくまで従来型のコンピュータであり、ビット単位で情報を処理します。
一方、量子コンピュータは、特定の種類の問題、例えば非常に多くの組み合わせを持つ問題(暗号解読や分子のシミュレーションなど)において、スーパーコンピュータをはるかに凌駕する計算速度を持ちます。現時点では量子コンピュータはまだ開発の初期段階にありますが、実用化されれば、地球規模での気候変動の予測や新薬の開発など、極めて複雑なシミュレーションも可能になると言われています。
DXを成功させるための5つのポイント

DXを成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
- ②自社ならではのDX戦略を策定する
- ③十分なDX人材を確保する
- ④スモールスタートクイックウィンを実現する
- ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。
※300事例の分析に基づく、DXの成功に向けて外せない25のポイントをまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒DX成功へのチェックリストの資料ダウンロードはこちら(無料)
①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。
そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。
具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。
一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。
②自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。
その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。
そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。
③十分なDX人材を確保する
DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。
本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。
また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。
そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。
※DX総研では経験豊富なコンサルタントによる、DXに関する個別無料相談会を実施しております。DX人材の確保や自社に合った推進方法などでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
④スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。
そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。
そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。
取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。
これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。
⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。
そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。
一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。
もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。
DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。
DXの進め方|具体的な6つのステップ

DXの進め方は大きく6つのステップに分けられます。
それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。
※300事例の分析に基づく、DXの成功に向けて外せない25のポイントをまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒DX成功へのチェックリストの資料ダウンロードはこちら(無料)
ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する

DX推進の最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。
「DX推進後の理想の自社の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。
本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。
自社の業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、市場環境や自社の特性を踏まえ、検討しましょう。
例えば、業務のデジタル化すら進んでいない企業であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる企業であれば、3年後までに製品/サービスやビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。
ステップ2:自社の現状と課題を把握する

続いて、自社が現状どの程度DXを推進できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。
本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX推進指標」を活用することで、企業文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。
それぞれの観点における自社の成熟度のレベルを把握することで、特にDX推進が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。
ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する

前ステップで策定したビジョンと自社の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。
検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。
デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。
そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DXを推進しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。
例えば、受発注のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした企業であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の受発注プロセスをデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。
※300事例の分析に基づく、企業のDX推進方法の13つの王道パターンと最新事例をまとめた資料をダウンロード頂けます。
ステップ4:DX推進チームを構築する

DXを推進するには、ビジョンや戦略を社員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。
そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。
また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。
- プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
- テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
- UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
- エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
- データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当
これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、社員に対するDX人材育成を実施する方法があります。
DX推進のスケジュールや、社員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。
ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる
これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。
ここで、いきなり全社単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。
そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の事業部や部門単位から進めるのがおすすめです。
前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各社員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。
これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDXの推進が可能になります。
ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

業務のデジタル化を進めることで、企業は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。
これらのデータを分析し、新たな業務の課題やビジネスチャンスを発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。
さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、自社独自の詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強み蓄積こそが、他社には真似できない、ユニークな新サービスやビジネスモデルの創出の源泉となります。
DXに関する活用個別無料相談会実施中
DX総研では、DXに関する個別無料相談会を実施しています。
各社様のご要望に合わせ、最新の市場動向や具体的な活用アイデアなどを、個別のオンラインMTGにて、無料でご紹介させていただきます。
以下のようなお悩みをお持ちのご担当者様は、この機会にぜひお申込みください。
- 自社がデジタルを活用してどんなことができるか知りたい
- DXをどのように進めれば良いか分からない
- 自社にデジタル活用の経験や知識のある人がおらず困っている