ARのリモートワークへの活用事例5選|3大メリットも紹介
関連技術の進歩やMetaやAppleのデバイス発売などに伴い、多くの企業がARの活用を進めています。
最近では、ARとリモートワークとの相性の良さから、ARをリモートワークに活用する企業が増えています。
そこで今回は、リモートワークへのARの活用事例9選を、活用のメリット、成功のポイントなどとともにわかりやすくご紹介します。
本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。
- リモートワークへのAR活用を検討している
- 他社によるリモートワークへのARの活用事例を押さえておきたい
- ARをリモートワークに活用するメリットが知りたい
本記事を読めば、リモートワークへのAR活用を進める上で押さえておきたい知識を、一気にキャッチアップできる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。
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目次
そもそもARとは?
ARとはAugumeted Realityの略称で、拡張現実とも呼ばれます。リアルの世界にデジタルの情報/コンテンツを視覚的に重ね合わせることで、リアルの世界を拡張する技術のことを指します。ARには、ゴーグルを装着せずに、スマートフォンやタブレットの画面にデジタルの情報/コンテンツを表示させるものも含みます。
ARを活用することで、「Pokemon Go」のように、リアルの街にポケモンが存在するかのようなゲームを楽しんだり、「GoogleMap」のARナビのように、リアルの街に道順を示す矢印などの情報が表示され、スムーズに目的地にたどり着くことができたりと、私たちの暮らしをより豊かに・便利にすることができます。
ARをリモートワークに活用する3つのメリット
ARをリモートワークに活用することで大きく以下の3つのメリットが存在します。
- ①生産性の向上
- ②コミュニケーションの円滑化
- ③自然発生的なコミュニケ―ションの創出
それぞれについてわかりやすく解説します。
①3D映像での共有による生産性の向上
従来のリモートワークで行う議論では、複雑なデザインや試作品のイメージを共有することが難しく、対面で行う会議と比較して生産性が低下する場合がありました。
AR技術を活用することで、リモート環境であっても各参加者が設計図やデザインを3Dで確認することが可能になるため、議論の質を担保することができます。
②コミュニケーションの円滑化
SlackなどのチャットツールやZOOMなどのビデオ通話の活用により、以前よりはコミュニケーションが活発に行われるようになったものの、相手の細かい表情やボディーランゲージなどから相手の心理状況や伝えたいニュアンスを読み取ることは難しいのが現状です。
そこでARを導入し、ホログラブで人物の姿をリアルに映し出すことで、それらの課題を解決し、よりコミュニケーションを円滑化することができます。
③自然発生的なコミュニケ―ションの創出
リモートワーク環境下では、SlackなどのチャットツールやZOOMなどのビデオ通話の活用により、明確な目的がある際のコミュニケーションは行えるものの、オフィスでたまたま近くにいる同僚と雑談するといった自然発生的なコミュニケーションの機会が限られているのが現状です。
そのため、ARを導入することで、自然発生的なコミュニケーションの機会を創出し、社員同士での心理的な繋がりや新たな取り組みへのきっかけを提供することができます。
ARのリモートワークへの活用事例5選
ARのリモートワークへの活用事例として、代表的なものに以下の5事例が挙げられます。
- ①TOYOTA:車両整備の研修をリモート化
- ②東急建設:建物の完成イメージをリモートで共有
- ③Nestle:専門家がリモートで工場での作業を指示
- ④NEXCO中日本:高速道路の点検作業をリモートから安全かつ効率的に
- ⑤NECソリューションイノベータ:電子聴診器とスマートグラスでリモート医療の質向上
それぞれの事例に関して、わかりやすく紹介していきます。
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①TOYOTA:車両整備の研修・効率化に活用
トヨタ自動車は、全国56の販売店で車両整備の研修・作業のサポートにHololens2の導入を行いました。
従来の作業整備の研修や作業時に参考にする情報は、2Dの図面などによって共有されていましたが、立体的な作業が求められる現場には不十分でした。そこで、Hololens2を活用することで、車両の各所に合わせて表示されるデジタルオブジェクトを参考にしながら点検・修理作業を行うことで、作業ミスの抑制や作業の効率化を実現しました。
また、Hololens2の導入により、円滑な遠隔地と現場のコミュニケーションが行えるため、専門家が遠隔地の現場に対して作業指示を出すなどの連携も可能になりました。
②東急建設:建物の完成イメージの共有に活用
東急建設は、設計者や現場の作業員、また外部の発注者など様々な関係者が共通の建物の完成イメージを持つことで、施工の品質や効率を高めるためにHololensの活用を進めています。本取り組みには、Hololens上でAzure Remote Renderingという、3Dモデルをクラウド上でレンダリングし、それをストリーミングすることで、リアルタイムにHoloLensのデバイスに表示できるサービスが活用されています。
この活用により、発注者、設計者、施工者間での認識のズレを防ぐことができ、施工品質の向上や無駄な手戻りの削減による業務効率化を実現することができます。
③Nestle:専門家が遠隔で工場での作業を指示
創業150年、世界最大手の食品・飲料メーカーであるNestle(ネスレ)は、工場での作業にAR技術を用いた遠隔コミュニケーションを導入しています。
Nestleは全世界に工場を持つため、各種専門人材と各工場は遠隔のやりとりをします。作業者がスマートグラスを着用することで、専門家から直接リアルタイムで指示を受け取ることが可能です。
④NEXCO中日本:高速道路の点検作業を安全かつ効率的に
高速道路の建設、維持管理を行っているNEXCO中日本は、高速道路の点検作業にスマートグラスを活用しています。
1人で作業を行う必要のある場所でも、スマートグラスを通じてリアルタイムで状況をシェアし、音声でコミュニケーションを取ることで、より安全に作業することが可能となりました。また、業務経験の少ない作業者も、スマートグラスを活用したOJTで、本来なら行くことのできない難しい現場での作業を実践できています。
⑤NECソリューションイノベータ:電子聴診器とスマートグラスでリモート医療の質向上
NECソリューションイノベータは、電子聴診器とスマートグラスを用いた遠隔診療サービスを開発しています。このサービスは、患者宅に出向いた看護師を介して、遠隔にいる医師が指示したり心音を聞きながら診療することを可能にするサービスです。
医師は病院に居ながらにして、スマートグラスを装着した現場の看護師と視野や器具を共有して診察を行うことが可能です。医師がその場にいなければ医療行為が行えないという遠隔診療に関する法整備の問題がクリアされれば、過疎化が進む農村部や島嶼部への医療サービスの提供という社会課題の解決に向け大きく前進する可能性があるといえるでしょう。
リモートワークにARサービスを活用する際の5つのポイント
リモートワークにARを活用する際のポイントとして以下の5つが挙げられます。
- ①リモートワークでARを導入する目的を明確化する
- ②AR導入を推進する人員リソースを確認する
- ③候補のARサービスがどのような仕様・機能を有しているか確認する
- ④候補のARサービス提供会社がARの環境の提供中心か、導入計画から一貫して支援してくれるか確認する
- ⑤自社の実現したいリモートワーク環境に最適な料金プランを選択する
それぞれについて分かりやすく紹介していきます。
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①リモートワークでARを導入する目的を明確化する
1つ目のポイントは、自社がリモートワークにARツールを導入する目的を明確化することです。
ARツールを”導入すること自体が目的”となってしまっている企業は、成果を上げることができない傾向にあります。
そもそもリモートワークの何の課題解決のためにARツールを導入するのかを明確化することで、自社に最適なARツールを具体的に設計し、制作することができます。
②AR導入を推進する人員リソースを確認する
2つ目は、AR導入を推進する人員リソースを確認することです。
ARの導入には、導入計画から、ARサービスの選定、導入後の運用など、様々な役割を担う人材が必要となります。
そのため、あらかじめ、ARを導入・運用するにあたって十分な人材を確保できるかを確認することが重要です。
③候補のARサービスがどのような仕様・機能を有しているか確認する
3つ目のポイントは、ARサービスがどのような仕様・機能を有しているか確認することです。
一言でARサービスといっても、特定のデバイスにしか対応していないもの、パワーポイントの共有ができるもの、距離に応じて声の大きさが変わるものなど、様々な仕様・機能があります。
したがって、選定しようとするサービスが、自社にとって望ましい仕様・機能を有しているかを確認することが重要です。
④候補のARサービス提供会社がARの環境の提供中心か、導入計画から一貫して支援してくれるか確認する
4つ目のポイントは、ARサービス提供会社がARの環境の提供中心か、導入計画から一貫して支援してくれるか確認することです。
サービス提供会社の中には、あくまでARを活用したリモートワークを行う環境を提供するにとどまる一般的な会社と、ARを活用したリモートワーク導入の計画から導入後の運用まで一貫して支援してくれる会社の2つのタイプが存在します。
ARの導入で成果を上げるためには、導入以前に「どのようなARを導入すべきか」の計画のプロセスが極めて重要であり、社内に知見を有する人材がいない場合などは、計画の策定から支援してくれる会社を選ぶと良いでしょう。
⑤自社の実現したいリモートワーク環境に最適な料金プランを選択する
5つ目のポイントは、自社の実現したいARに最適な料金プランを選択することです。
ARサービスには、月額料金制のもの、単発で料金が発生するもの、基本機能は無料で利用できるものなど、様々な料金プランがあります。そのため、ARを開催する頻度や人数などに応じて、最適な料金プランを選択することが重要です。
また、サービスによっては、無料トライアルが可能なものもあるので、VR会議を導入するか迷っている企業は活用してみると良いでしょう。
リモートワークへのAR活用を成功に導く5つのポイント
企業がAR活用で成果を上げるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。
- ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
- ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
- ③ユーザーファーストなUX設計
- ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
- ⑤強力な開発・運用体制の構築
それぞれについて分かりやすく紹介していきます。
①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。
デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。
AR活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。
②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案
2つ目のポイントは、ARを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。
現在AR活用に取り組む企業には、AR活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。
その結果、活用のPDCAが回らない、AR活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。
自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜARではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。
③ユーザーファーストな企画・UX設計
3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなARの企画・UX設計です。
現在、多くの企業がARに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなARが多く存在します。それらのARは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。
そのため、「ARならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。
④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。
AR市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。
そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。
⑤強力な開発・運用体制の構築
5つ目のポイントは、強力なAR開発・運用体制の構築です。
高いユーザー体験と事業性を両立するARの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。
AR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。
リモートワークへのAR活用を進めるための4つのステップ
AR活用を進める上では、大きく4つのフェーズと以下の35ステップを抑える必要があります。
<Phase1:業界動向・知見のキャッチアップ>
- ARの基礎知識
- ①ユーザー・企業ができること/メリット
- ②注目を集める背景・歴史
- ③XRデバイス・Web3等の関連テクノロジー
- ④今後の普及・発展への展望
- 市場/ユーザー動向
- ⑤ビックテックなどの戦略・取り組み
- ⑥主要ARプラットフォーム
- ⑦各業界における大手企業の取り組み
- ⑧国内外のユーザーの動向
- AR活用手法・先行事例
- ⑨AR活用手法の全体像
- ⑩自社と類似する業界における国内外の事例
- ⑪自社が検討する活用手法の国内外の事例
<Phase2:戦略/企画の立案>
- 自社が取り得る活用の方向性の洗い出し
- ⑫ターゲットとする経営課題と活用目的の明確化
- ⑬目的達成に向けた活用手法候補の幅出し
- 目的達成に向けた活用の方向性の評価
- ⑭自社の目的に合わせた評価軸の設定
- ⑮評価軸に沿った活用の方向性の評価
- AR戦略の立案
- ⑯自社の強み・アセットの活かし方を検討
- ⑰中長期で目指す姿と企画のコンセプトの立案
- ⑱ビジネスモデルの設計
- 詳細な先行事例ベンチマーク
- ⑲企画コンセプトに類似する国内外の事例ベンチマーク
- ⑳企画の立案・具体化に向けた示唆出し
- 企画の立案・具体化
- ㉑コアターゲット像と提供価値
- ㉒ユーザー体験/コンテンツ案
- ㉓活用チャネル/プラットフォーム案
<Phase3:事業計画の策定>
- 事業計画の策定
- ㉔期待する成果/主要KGI・KPIの設定
- ㉕開発・運用アプローチ(活用ツール・ベンダー等)の設計
- ㉖必要なリソース(コスト・人員等)の算出
- ロードマップ策定
- ㉗開発・運用のタイムラインの設定
- ㉘主要マイルストーンの設定
- ㉙想定されるリスクと対処方法の検討
<Phase4:開発・運用>
- 開発
- ㉚不足するケイパビリティやリソースの補完
- ㉛要件定義・システムの基本設計
- ㉜開発の実行
- 運用
- ㉝ARへの集客/マーケティング
- ㉞運用・保守の実施
- ㉟効果測定と運用方法の見直し
それぞれのフェーズとステップの詳細については以下の記事をご覧ください。
※関連記事:ARを活用した事業を作る方法|全4フェーズと35ステップ
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