ARの金融への活用事例8選|3大メリットや5つのポイントも解説
本記事では、AR×金融に関心のある方向けに、ARの基本から金融での活用事例までわかりやすくご紹介します。
こんな方におススメ
- ARを金融業界で活用したい
- ARを金融業界で活用するメリットが知りたい
- 具体的な活用事例を知りたい
本記事を読めば、金融業界でのAR活用の検討に必要な最新情報を、一気に理解することができますのでぜひ最後までご一読ください。
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目次
そもそもARとは?
ARとはAugumeted Realityの略称で、拡張現実とも呼ばれます。リアルの世界にデジタルの情報/コンテンツを視覚的に重ね合わせることで、リアルの世界を拡張する技術のことを指します。ARには、ゴーグルを装着せずに、スマートフォンやタブレットの画面にデジタルの情報/コンテンツを表示させるものも含みます。
ARを活用することで、「Pokemon Go」のように、リアルの街にポケモンが存在するかのようなゲームを楽しんだり、「GoogleMap」のARナビのように、リアルの街に道順を示す矢印などの情報が表示され、スムーズに目的地にたどり着くことができたりと、私たちの暮らしをより豊かに・便利にすることができます。
ARを金融業界に活用する3つのメリット
ARを金融業界に活用するメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- ①既存の金融サービスの新たな営業チャネルとしての活用
- ②既存の金融サービスへのAR上でのデータの活用
- ③AR上の活動に対する新たな金融ソリューションの提供
それぞれの取り組みの方向性をわかりやすく説明していきます。
➀既存の金融サービスの新たな営業チャネルとしての活用
1つ目の方向性は、ARの既存の金融サービスの新たな営業チャネルとしての活用です。AR上で仮想店舗を設置し、現実の店頭で行っている営業活動を強化したり、ARならではの体験を通じたプロモーションへの活用が想定されます。
企業サイドにとってのメリットとして、従来金融機関との接点が少なかった若年層を顧客の獲得できる点や各企業が取り組みを進める、支店での窓口業務のバリューアップに繋がる点が挙げられます。
この営業チャネルとしての活用は、3つの方向性のうち、最も早期に立ち上がってくると考えられる活用の方向性です。既に、みずほ銀行やSMBC日興証券が、AR上に仮想店舗を開設し、社員がアバターを介した顧客との対話を行う取り組みを進めています。
②既存の金融サービスへのAR上でのデータの活用
2つ目の方向性は、既存の金融サービスへのAR上でのデータの活用です。ARを活用することによって得られるデータや、都市全体をAR上に再現した各種シュミレーションなどから得られるデータを、既存の金融サービスのリスク評価や需要予測、マーケティングに活用することが想定されます。
既に、東京海上日動などが都市全体をAR上に再現したシミュレーションを、地震や洪水などの災害対策に役立てる取り組みを始めています。
③AR上の活動に対する新たな金融ソリューションの提供
3つ目の方向性は、AR上の活動に対する新たな金融ソリューションの提供です。
将来的に、食事や睡眠など限られた活動以外の様々な人間の活動がAR上でも行われると考えられており、現実世界に存在する金融ソリューションのARVerが多数登場することが予想されます。
代表的な例としては、AR上でのデジタルアセットに関する保険やAR上での経済活動にまつわる決済機能の提供などが挙げられます。
ARの金融への活用事例8選
ARの金融への活用事例として、以下の8事例が挙げられます。
- ①琉球銀行:ARを活用した年賀状や名刺を活用してプロモーション
- ②National Bank Of Oman:自社ATMの所在地をARで表示
- ③DESJARDINS BANK:手書きの質問に対してARを活用して回答
- ④セブン銀行:地図やカメラ画面に自社ATMまでの経路を表示
- ⑤ウエストパック銀行:ARを活用してスマホから講座情報を管理
- ⑥東京海上日動:災害体験ができるARアプリを開発
- ⑦あいおいニッセイ同和損保:ARを活用して自動車保険の商品PR
- ⑧三井住友海上:ARを活用して緊急時に避難所まで誘導
それぞれについて、わかりやすく紹介します。
①琉球銀行:ARを活用した年賀状や名刺を活用してプロモーション
琉球銀行は、デジタルマーケティングの一環として、紙の名刺にAR機能を搭載しています。
紙の名刺をもらった顧客は、スマートフォンのアプリから紙の名刺をスキャンすると、スマートフォンの画面上でその名刺の社員が出現し、挨拶やお辞儀をしている様子を見て楽しむことができます。これにより、顧客エンゲージメントを向上させ、単なる「顧客」から琉球銀行の「ファン」へとつながりを強めることが狙いです。
こうした取り組みによって創出したファンが、各コミュニティの中で琉球銀行を宣伝し、最終的にはセールスパーソンが要らなくなるほどの効果を生み出したいと考えているとのことです。
②National Bank Of Oman:自社ATMの所在地をARで表示
National Bank of Omanというオマーンの銀行は、自社のATMの所在地へ顧客がスムーズにたどり着けるように、ARを活用した案内サービスを展開しています。
顧客は、スマートフォンのNational Bank of Oman専用アプリから、位置情報を読み取らせることによって、最寄りのATMの所在地を表示し、カメラで写した風景にARで道案内を表示させることができます。
他にも、ショッピングモール等でのお買い得情報をARを介してユーザーに紹介する機能など、同行の口座を持たないユーザーもアプリを楽しめるようになっています。これらの便利機能によりARアプリを営業チャネルとして活用した新規ユーザーの取り込みも行っています。
③DESJARDINS BANK:手書きの質問に対してARを活用して回答
カナダの銀行であるDESJARDINS BANKは、ARを活用して金融商品の顧客への理解促進サービスを提供しています。
顧客は、アプリを通じてカメラを起動し、手元の紙に書いた質問やキーワードを撮影すると、ARで投資に関する情報やアドバイスを見ることができます。
また、ARを活用した投資のシミュレーションやポートフォリオの分析も可能となっています。
ARを顧客の課題解決を行うツールとして活用している事例となっています。
④セブン銀行:訪日外国人をAR「和」フィルターでお出迎え
セブン銀行は、各コンビニ店舗や駅などに設置しているATMコーナーで、ARフィルターを楽しめるATMラッピング施策を実施しました。
スマホを持っている人であればだれでも、対象のATMコーナーにあるアートワークのQRコードをスキャンすることで、NYを拠点に活動するアーティストFantasista Utamaro氏のデザインしたARフィルターを体験できます。
訪日外国人を対象とした施策によって、AR体験を通して「和」のアートとSNSの連動を行うことで外国人にもATMを利用してもらうことによる売上増加を図っています。
⑤ウエストパック銀行:ARを活用してスマホから講座情報を管理
ニュージーランドのウエストパック銀行では、ARアプリを活用して、顧客の銀行口座管理をアップデートしています。
顧客は専用アプリで起動したカメラから、ARカメラをかざすことで現在の残高や過去2週間の支出、最も多く費やした費用項目などの各種情報を瞬時にチェックできます。
クレジットカード番号の入力や本人確認などのプロセスをAR技術により簡略化し、顧客のUX の改善が実現しています。
⑥東京海上日動:災害体験ができるARアプリを開発
東京海上日動は、スマートフォンやタブレット端末を使って、河川の氾濫による洪水や土砂災害の危険性を疑似体験できる「災害体験AR」を開発しました。同アプリは、洪水や土砂災害の危険性をより多くの人に理解してもらい、社会全体の防災意識を高めることを目的として開発されました。また、今後は自治体や企業との連携による小学生や住民への防災教育、スマートシティなどでの活用を予定しています。
さらに、日系企業の多いタイでの浸水深の可視化も可能で、今後はニーズに応じてグローバルに展開も検討中とのことです。
⑦あいおいニッセイ同和損保:ARを活用して自動車保険の商品PR
あいおいニッセイ同和損保は、ARを活用してユーザーに対して自社サービスをPRしています。
ユーザーは、専用アプリからカメラを起動し、パンフレット等のブランドマスコットを撮影することによって、同社のサービス「TOUGH」のコンセプトや実際のサービス内容について、マスコットによるAR解説動画を楽しむことができます。
顧客との接点の中でも特にサービスへの入り口を強化することによって、顧客への認知を広げ、サービス拡大を目指しています。
⑧三井住友海上火災保険:AR上にビジネス拠点開設
2022年3月に、三井住友海上火災保険は、AR/XRが浸透した未来を目指し、「Metaverse Project」の立ち上げを発表しました。XR上の拠点「GDH(Global Digital Hub)Meta」を開設し、新規事業の設計・開発を行うとしています。本プロジェクトは、中長期的な社会変革を見据え、外部の知見を取り入れた社内外のクロスセクタープロジェクトを展開する三井住友海上の第一弾となります。
同社は立ち上げの理由として、XR上で発生する新たな損失を補償する商品やサービスの提供を通じて、AR/XRが普及し、人々が安心して楽しめる環境を構築するためとしています。
同社は、テクノロジーを活用した新規事業推進で最先端のノウハウを持つPwCコンサルティング合同会社と共同で、サービス提供者、プラットフォーム提供者、ユーザーなどが被るリスクを特定し、損失を補償する商品・サービスを開発します。また、メタバース業界団体への参画や他業界の企業・専門家との協議を行い、新しい価値観を持つ未来のお客様との対話の場として、実空間とAR/XRを横断した新しい保険の開発を目指します。
また、GDHの開設だけでなく、今年の8月13日から28日までの16日間開催される「バーチャルマーケット2022」に出展し、新しい時代の到来に向けて保険のイメージを一新するブースを企画しています。
金融へのAR活用を成功に導く5つのポイント
金融業界へのAR活用を成功に導くポイントとして以下の5つが挙げられます。
- ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
- ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
- ③ユーザーファーストなUX設計
- ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
- ⑤強力な開発・運用体制の構築
それぞれについて分かりやすく紹介していきます。
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①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。
デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。
AR活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。
②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案
2つ目のポイントは、ARを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。
現在AR活用に取り組む企業には、AR活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。
その結果、活用のPDCAが回らない、AR活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。
自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜARではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。
③ユーザーファーストな企画・UX設計
3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなARの企画・UX設計です。
現在、多くの企業がARに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなARが多く存在します。それらのARは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。
そのため、「ARならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。
④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。
AR市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。
そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。
⑤強力な開発・運用体制の構築
5つ目のポイントは、強力なAR開発・運用体制の構築です。
高いユーザー体験と事業性を両立するARの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。
AR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。
金融にARを活用するための4つのステップ
金融へのARの活用を進めるステップとして、大きく以下の4つのフェーズが挙げられます。
- Step1:市場動向・知見のキャッチアップ
- Step2:戦略/企画の立案
- Step3:事業計画の策定
- Step4:開発・運用
それぞれのフェーズについて分かりやすく紹介していきます。
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Step1:市場動向・知見のキャッチアップ
1つ目のStepとして取り組むべきは、最先端の市場動向・知見のキャッチアップです。MetaやApple、Microsoftなどのビックテックやユーザーの動向・先行活用事例など、日々変化する市場動向やナレッジへのキャッチアップが必要です。
このフェーズが、成果に繋がる骨太な戦略/企画策定の基盤となります。
Step2:戦略/企画の立案
2つ目のStepはAR活用の戦略/企画です。活用目的を踏まえ、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方、実現に向けた企画を立案しましょう。
ユーザーバリューと自社の事業性の両方を満たす、質の高い戦略/企画の立案が、成果につながるAR活用の実現に向け最も重要なポイントとなります。
Step3:事業計画の策定
3つ目のStepは事業計画の策定です。事業に期待する成果や開発・運用のアプローチやタイムライン、必要な投資額などを検討しましょう。
AR開発・運用といっても、プロジェクト毎に求められるケイパビリティは様々であるため、自社にマッチするツール・ベンダーの選定が非常に重要です。
Step4:開発・運用
4つ目のStepが開発・運用です。AR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを有効活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完しつつ、ユーザーに届けたい体験を実現するARの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。
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