ARの百貨店業界への活用事例3選|3大メリットも紹介

関連技術の進歩やMetaやAppleのデバイス発売などに伴い、多くの企業がARの活用を進めています。

 

最近では、ARと研修との相性の良さから、ARを社員研修に活用する企業が増えています。

 

そこで今回は、研修へのARの活用事例9選を、活用のメリット、成功のポイントなどとともにわかりやすくご紹介します。

 

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

 

  • 研修へのAR活用を検討している
  • 他社による研修へのARの活用事例を押さえておきたい
  • ARを研修に活用するメリットが知りたい

 

本記事を読めば、研修へのAR活用を進める上で押さえておきたい知識を、一気にキャッチアップできる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。


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そもそもARとは?

そもそもARとは? ポケモンGO
(画像:ポケモン)

ARとはAugumeted Realityの略称で、拡張現実とも呼ばれます。リアルの世界にデジタルの情報/コンテンツを視覚的に重ね合わせることで、リアルの世界を拡張する技術のことを指します。ARには、ゴーグルを装着せずに、スマートフォンやタブレットの画面にデジタルの情報/コンテンツを表示させるものも含みます。

 

ARを活用することで、「Pokemon Go」のように、リアルの街にポケモンが存在するかのようなゲームを楽しんだり、「GoogleMap」のARナビのように、リアルの街に道順を示す矢印などの情報が表示され、スムーズに目的地にたどり着くことができたりと、私たちの暮らしをより豊かに・便利にすることができます。

百貨店がARを活用する3つのメリット

百貨店がARを活用する3つのメリット

百貨店がARを活用するメリットとして以下の3つが存在します。

 

  • ①若年層の取り込み
  • ②EC化率の向上
  • ③新たな購買体験の提供

 

それぞれのメリットについてわかりやすく紹介していきます。

①新たな購買体験の提供

新たな購買体験の提供 大丸松坂屋
(画像:大丸松坂屋)

ARを活用した商品の販売は、実店舗・ECに次ぐ第三の販売チャネルとなる可能性を秘めています。AR上の店舗での商品販売は、販売スタッフのアバター姿での接客や、実店舗では実現の難しい体験型のプロモーション施策などを行うことができます。

 

そのため、実店舗とECそれぞれの課題を解消した、新たな販売体験を提供することが出来るのではないかと考えており、各社が顧客に求められる体験構築に向け多数の実証に取り組んでいます。

②若年層の取り込み

若年層の取り込み JM梅田
(画像:阪神阪急HD)

AR空間上では人気のIPコンテンツとのコラボやゲーミフィケーションを取り入れたプロモーションなど、若年層をターゲットとした多様なプロモーションを行うことができます。

 

既に大手百貨店が主催するAR上でVTuberなどのバーチャルアーティストのライブを開催したり、有名漫画のキャラクターとコラボした特設ブースを設置するなど、百貨店の既存の客層とは異なる若年層の取り込みに向けた動きを見せています。

③EC化率の向上

AR上での商品販売は、購入後商品が自宅へ郵送されるECの形を取ることが多く、百貨店が長年課題としていたEC化率の向上への貢献が期待されています。既にAR上では、販売スタッフがアバター姿で接客するという取り組みが進んでいます。

 

そのため、対面での丁寧な接客を通じた、顧客ひとり一人に合わせた商品・スタイルの提案という従来のECでは発揮できなかった百貨店の強みが活かされるのではと考えられています。

ARの百貨店への活用事例3選

ARの百貨店への活用事例3選

ARの百貨店への活用事例として代表的なものとして、以下の3つが挙げられます。

 

  • ①大丸松坂屋百貨店:アプリでキャラクターAR体験企画を導入、集客が2倍に
  • ②阪急百貨店:ARメークアプリで若い女性来店の”百貨店離れ”解消
  • ③小田急百貨店:日本の伝統工芸を楽しめるARイベントを開催

 

それぞれについて、以下でわかりやすく紹介します。

①大丸松坂屋百貨店:アプリでキャラクターAR体験企画を導入、集客が2倍に

大丸松坂屋百貨店:アプリでキャラクターAR体験企画を導入、集客が2倍に
(画像:大丸松坂屋百貨店)

大丸松坂屋百貨店は、企業キャラクターである「さくらパンダ」を中心にした企画「サンクスフェスティバル」において、ARを活用することで集客力向上につなげました。

 

来店者は、店内床に設置されたマーカーを各自のスマートフォンで読み取ることによって、大丸松坂屋のキャラクター「さくらパンダ」が店内でダンスしている様子を鑑賞して楽しむことができます。

 

さらに、この「さくらパンダ」をストーリー化したムービーを作成することで、「さくらパンダ」のダンスというコンテンツをリッチにしました。

 
こうした取り組みにより、「500%さくらパンダダンス」の動画はネット上で好評となり、リアルで行ったイベントにも200-300名の顧客が来場し、百貨店への集客数増加を実現することができました。

②阪急阪神百貨店:ARメークアプリで若い女性来店の”百貨店離れ”解消

阪急阪神百貨店:ARメークアプリで若い女性来店の”百貨店離れ”解消
(画像:阪急阪神百貨店)

阪急阪神百貨店は、大阪の阪急うめだ本店店頭と同社が運営する化粧品のECサイト「Hankyu BEAUTY」にバーチャルメイクアプリ「YouCamメイク」を導入しています。

 

顧客は、自分のスマートフォンまたは店頭設置のipadからアプリを開き、阪急阪神百貨店で取り扱う化粧品を選択し、カメラに映った自分の顔に化粧をします。AR技術によって、その商品で施したメークをカメラに写した自分の顔にリアルタイムで合成することによって、実際に自分の顔に化粧をしているかのような感覚を体験することができます。

 

様々な化粧品を試用した上で納得して購入できるこのサービスの導入によって、”百貨店離れ”が進む若年層へのアピール強化につなげる狙いがあるとのことです。

③小田急百貨店:日本の伝統工芸を楽しめるARイベントを開催し、EC利用に繋げる

小田急百貨店:日本の伝統工芸を楽しめるARイベントを開催し、EC利用に繋げる
(画像:小田急百貨店)

小田急百貨店は、小田急百貨店新宿店の特設会場にて、AR技術を活用した日本の伝統工芸文化を楽しめる「TSUKUMO-KAMI:soul of folk toys」を開催しました。

 

来場者は、展示されただるまや人形などの九州地方の郷土玩具をARグラスを通して見ることで、それぞれの玩具の神様が目の前に出現したかのような演出を楽しむことができます。また、それぞれの誕生ストーリーなどの説明も表示され、ナレーションでの解説を楽しむことができます。

 

展示された玩具に親しみを持ってもらい、ECの利用につなげていくことが目的ということです。

AR活用を成功に導く5つのポイント

AR活用を成功に導く5つのポイント

企業がAR活用で成果を上げるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
  • ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
  • ③ユーザーファーストなUX設計
  • ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
  • ⑤強力な開発・運用体制の構築

 

それぞれについて分かりやすく紹介していきます。

①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ

1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。

デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。

 

AR活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。

②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案

2つ目のポイントは、ARを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。

現在AR活用に取り組む企業には、AR活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。

 

その結果、活用のPDCAが回らない、AR活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。

 

自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜARではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。

③ユーザーファーストな企画・UX設計

3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなARの企画・UX設計です。

現在、多くの企業がARに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなARが多く存在します。それらのARは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。

 

そのため、「ARならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。

④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進

4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。

AR市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。

 

そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。

⑤強力な開発・運用体制の構築

5つ目のポイントは、強力なAR開発・運用体制の構築です。

高いユーザー体験と事業性を両立するARの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。

 

AR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。

ARの活用を進めるための4つのステップ

ARの活用を進めるための4つのステップ

AR活用を進める上では、大きく4つのフェーズと以下の35ステップを抑える必要があります。

 

<Phase1:業界動向・知見のキャッチアップ>

  • ARの基礎知識
    • ①ユーザー・企業ができること/メリット
    • ②注目を集める背景・歴史
    • ③XRデバイス・Web3等の関連テクノロジー
    • ④今後の普及・発展への展望
  • 市場/ユーザー動向
    • ⑤ビックテックなどの戦略・取り組み
    • ⑥主要ARプラットフォーム
    • ⑦各業界における大手企業の取り組み
    • ⑧国内外のユーザーの動向
  • AR活用手法・先行事例
    • ⑨AR活用手法の全体像
    • ⑩自社と類似する業界における国内外の事例
    • ⑪自社が検討する活用手法の国内外の事例

  

<Phase2:戦略/企画の立案>

  • 自社が取り得る活用の方向性の洗い出し
    • ⑫ターゲットとする経営課題と活用目的の明確化
    • ⑬目的達成に向けた活用手法候補の幅出し
  • 目的達成に向けた活用の方向性の評価
    • ⑭自社の目的に合わせた評価軸の設定
    • ⑮評価軸に沿った活用の方向性の評価
  • AR戦略の立案
    • ⑯自社の強み・アセットの活かし方を検討
    • ⑰中長期で目指す姿と企画のコンセプトの立案
    • ⑱ビジネスモデルの設計
  • 詳細な先行事例ベンチマーク
    • ⑲企画コンセプトに類似する国内外の事例ベンチマーク
    • ⑳企画の立案・具体化に向けた示唆出し
  • 企画の立案・具体化
    • ㉑コアターゲット像と提供価値
    • ㉒ユーザー体験/コンテンツ案
    • ㉓活用チャネル/プラットフォーム案

  

<Phase3:事業計画の策定>

  • 事業計画の策定
    • ㉔期待する成果/主要KGI・KPIの設定
    • ㉕開発・運用アプローチ(活用ツール・ベンダー等)の設計
    • ㉖必要なリソース(コスト・人員等)の算出
  • ロードマップ策定
    • ㉗開発・運用のタイムラインの設定
    • ㉘主要マイルストーンの設定
    • ㉙想定されるリスクと対処方法の検討

  

<Phase4:開発・運用>

  • 開発
    • ㉚不足するケイパビリティやリソースの補完
    • ㉛要件定義・システムの基本設計
    • ㉜開発の実行
  • 運用
    • ㉝ARへの集客/マーケティング
    • ㉞運用・保守の実施
    • ㉟効果測定と運用方法の見直し

 

それぞれのフェーズとステップの詳細については以下の記事をご覧ください。

 

※関連記事:ARを活用した事業を作る方法|全4フェーズと35ステップ

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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