ARの自動車業界での活用事例3選|3つのメリットも紹介

ポケモンGOやsnowなどのARアプリの普及やAppleによる初のXRデバイスVision Pro発表など、近年ARへの注目はより一層高まっています。

  

近年では、ポルシェやフォルクスワーゲンなどの大手自動車メーカーが、自動車のプロモーションや修理作業の効率化のためにARを活用しており、成果をあげています。

そこで今回は、自動車業界へのARの活用事例について、活用のメリットや成功のポイントなどとともにわかりやすくご紹介します。

 

本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。

 

  • 自動車業界でのAR活用を検討している
  • 自動車業界へのARの活用事例を押さえておきたい
  • AR活用を成功させるためのポイントを押さえておきたい

 

本記事を読めば、自動車業界へのAR活用を進める上で絶対に押さえておきたいポイントを効率よくキャッチアップできると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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そもそもARとは?

そもそもARとは? ポケモンGO
(画像:ポケモン)

ARとはAugumeted Realityの略称で、拡張現実とも呼ばれます。リアルの世界にデジタルの情報/コンテンツを視覚的に重ね合わせることで、リアルの世界を拡張する技術のことを指します。ARには、ゴーグルを装着せずに、スマートフォンやタブレットの画面にデジタルの情報/コンテンツを表示させるものも含みます。

 

ARを活用することで、「Pokemon Go」のように、リアルの街にポケモンが存在するかのようなゲームを楽しんだり、「GoogleMap」のARナビのように、リアルの街に道順を示す矢印などの情報が表示され、スムーズに目的地にたどり着くことができたりと、私たちの暮らしをより豊かに・便利にすることができます。

ARを自動車業界で活用する3つのメリット

ARを自動車業界で活用する3つのメリット

ARを自動車業界で活用するメリットとして、以下の3つが挙げられます。

 

  • ①新たなマーケティング手法による訴求力の向上
  • ②現場での作業の効率化
  • ③車内にARコンテンツを導入することによる体験価値向上

 

それぞれのメリットについてわかりやすく紹介していきます。

 

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①新たなマーケティング手法による訴求力の向上

ハイブランドなどの他業界と同様、国内外の自動車メーカーにも、製品のプロモーションにARを活用する動きが出てきています。

 
例えば、2Dの画像だけでは特徴や魅力が伝わりにくい自動車の販売において、ARを用いて目の前に自動車の3D映像を表示し、デザインや内装を確認できれば、お客様の購買意欲を掻き立てることが期待できます。

 

また、ARを用いれば、部品のカスタマイズも自由に再現することができ、購入前に具体的なイメージを沸かせることができるので、実物を見ないと不安だから買いたくないという事態を防ぐことができると考えられます。

②現場での作業の効率化

自動車の製造現場でもARを活用することができます。従来は、現場での作業指示は紙やタブレットを通じて確認していたため、毎回片手を使って確認しなければならず、大きな時間ロスの原因となっていました。

 
そこで、ARグラスなどのデバイスを活用することで、両手がふさがらない形で、適切なタイミングでデジタルの作業指示を確認することが出来ます。

また、従来の作業指示書が2Dであったのに対し、ARであれば3Dでのコンテンツ表示が可能なため、立体的な作業が求められる自動車製造の現場とは非常に相性が良いです。

③車内にARコンテンツを導入することによる体験価値向上

近年テスラなどの世界中の自動車メーカーが自動運転の実用化に向けて取り組んでいますが、自動運転が実現するとなるとドライバーが車内で自由に過ごせる時間が生まれます。

 

その時間で搭乗者にサービスを提供することが出来れば、自動車業界にとって新たなビジネス機会となります。その提供サービスの候補として車内空間にARコンテンツを導入することが検討されています。

 

具体的には、車内にARマーカーを設置し、スマホでかざすとキャラクターが出現する仕掛けを提供したり、窓ガラスをARディスプレイ化し、移動中の車からの景色に有益な情報を付与したりすることが考えられます。

 
個室かつ様々な設備を搭載しやすいという観点から、車内空間へのAR導入は今後多くの自動車関連企業が検討することになりそうです。

ARの自動車業界への活用事例3選

ARの自動車業界への活用事例3選

ARの自動車業界への活用事例として、主に以下の3つが挙げられます。

 

  • ①ポルシェ:購入前にポルシェ車の3D映像を自宅に配置
  • ②フォルクスワーゲン:車の修理にARを導入し作業効率が93%向上
  • ③NEXCO中日本:ARグラスで高速道路の点検作業を安全かつ効率的に

 

それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。

 

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①ポルシェ:購入前にポルシェ車の3D映像を自宅に配置

ポルシェ:購入前にポルシェ車の3D映像を自宅に配置
(画像:ポルシェ)

ポルシェは、ARを活用したポルシェARビジュアライザーアプリを開発しました。このアプリをスマホでダウンロードすれば、ポルシェ車のコンフィギュレーターを3Dで見ることができます。

 

また、スマホの画面を通して、お気に入りのポルシェ車の3D映像を自宅や屋外に自由に表示させることができます。これにより、購入前に自宅にポルシェ車がある様子をイメージさせることができ、購買促進につながると考えられます。

②フォルクスワーゲン:車の修理にARを導入し作業効率が93%向上

フォルクスワーゲン:車の修理にARを導入し作業効率が93%向上
(画像:フォルクスワーゲン)

フォルクスワーゲンは、車の修理にARヘッドセットを活用しています。作業者の視界がヘッドセットを通してサポートセンターの専門家と共有され、リアルタイムで助言・指示をもらうことで作業時間の大幅な短縮が可能となります。

 

トライアルでは修理の効率が93%も改善されたとのことです。これによりユーザーが車を利用できなくなる期間も短縮でき、サービスの質の改善にも繋がります。

 

フォルクスワーゲンは、今後もARへの投資を続けていくと発表しており、イギリス国内の拠点にAR導入を進めていくとのことです。 

③NEXCO中日本:ARグラスで高速道路の点検作業を安全かつ効率的に

NEXCO中日本:ARグラスで高速道路の点検作業を安全かつ効率的に
(画像:NEXCO中日本)

高速道路の建設、維持管理を行っているNEXCO中日本は、高速道路の点検作業にARグラスを活用しています。

 

1人で作業を行う必要のある場所でも、ARグラスを通じてリアルタイムで状況をシェアし、音声でコミュニケーションを取ることで、より安全に作業することが可能となりました。また、業務経験の少ない作業者も、ARグラスを活用したOJTで、本来なら行くことのできない難しい現場での作業を実践できています。

自動車業界へのAR活用を成功に導く5つのポイント

自動車業界へのAR活用を成功に導く5つのポイント

自動車業界へのAR活用を成功に導くポイントとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
  • ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
  • ③ユーザーファーストなUX設計
  • ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
  • ⑤強力な開発・運用体制の構築

 

それぞれについて分かりやすく紹介していきます。

 

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①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ

1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。

デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。

 

AR活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。

②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案

2つ目のポイントは、ARを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。

現在AR活用に取り組む企業には、AR活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。

 

その結果、活用のPDCAが回らない、AR活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。

 

自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜARではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。

③ユーザーファーストな企画・UX設計

3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなARの企画・UX設計です。

現在、多くの企業がARに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなARが多く存在します。それらのARは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。

 

そのため、「ARならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。

④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進

4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。

AR市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。

 

そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。

⑤強力な開発・運用体制の構築

5つ目のポイントは、強力なAR開発・運用体制の構築です。

高いユーザー体験と事業性を両立するARの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。

 

AR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。

企業がARを活用するための4つのステップ

企業がARを活用するための4つのステップ

企業がARの活用を進めるステップとして、大きく以下の4つのフェーズが挙げられます。

 

  • Step1:市場動向・知見のキャッチアップ
  • Step2:戦略/企画の立案
  • Step3:事業計画の策定
  • Step4:開発・運用

 

それぞれのフェーズについて分かりやすく紹介していきます。

 

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Step1:市場動向・知見のキャッチアップ

1つ目のStepとして取り組むべきは、最先端の市場動向・知見のキャッチアップです。MetaやApple、Microsoftなどのビックテックやユーザーの動向・先行活用事例など、日々変化する市場動向やナレッジへのキャッチアップが必要です。

このフェーズが、成果に繋がる骨太な戦略/企画策定の基盤となります。

Step2:戦略/企画の立案

2つ目のStepはAR活用の戦略/企画です。活用目的を踏まえ、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方、実現に向けた企画を立案しましょう。

ユーザーバリューと自社の事業性の両方を満たす、質の高い戦略/企画の立案が、成果につながるAR活用の実現に向け最も重要なポイントとなります。

Step3:事業計画の策定

3つ目のStepは事業計画の策定です。事業に期待する成果や開発・運用のアプローチやタイムライン、必要な投資額などを検討しましょう。

AR開発・運用といっても、プロジェクト毎に求められるケイパビリティは様々であるため、自社にマッチするツール・ベンダーの選定が非常に重要です。

Step4:開発・運用

4つ目のStepが開発・運用です。AR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを有効活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完しつつ、ユーザーに届けたい体験を実現するARの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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