LLM(大規模言語モデル)とは?生成AIとの違い~仕組み/活用法まで
LLMとは、Large Lnguage Modelの略で、日本語では大規模言語モデルといいます。膨大な量のテキストデータを読み込ませ、トレーニングすることで、本物の人間のように自然な会話をすることができる魔法のような技術です。
2022年11月にリリースされて以降、世界中で爆発的に普及しているChatGPTも、GPT-3.5やGPT-4と呼ばれるLLMを基盤としています。インターネットやスマホと同様、私たちの日常に欠かせない重要なテクノロジーになりつつあります。
一方で、「LLMって聞いたことがあるけど、何がすごいのかよくわからない」「LLMと生成AIやChatGPTとの違いを理解しておきたい」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、LLMについて学びたい方に向けて、LLMの基本や仕組み、生成AI・ChatGPTとの違い、代表的な種類、活用事例までわかりやすくご紹介します。
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目次
LLM(大規模言語モデル)とは?
LLMとは、Large Lnguage Modelの略で、日本語では大規模言語モデルといいます。膨大な量のテキストデータを読み込ませ、トレーニングされた自然言語処理のためのモデルのことです。
そもそも言語モデルとは、人間の言葉や文章をもとに単語の出現確率を予測する技術のことです。例えば、「日本で人気の観光地といえば」という文章の後に続く単語として、「東京」「京都」「大阪」「北海道」などの確率の高いものを判断します。これにより、言語をモデル化し、人間の言葉を理解できるようになっていきます。
LLMは、大量の文章のパターンや言語の特徴を学習しており、文章の生成や日常会話など様々な言語タスクを実行することができます。圧倒的なデータ量と学習能力により、人間と変わらない自然な会話や文章を作成できる点が大きな特徴です。
LLMは、ChatGPTなど、現在登場している多くの生成AIサービスのもとになっている技術であり、インターネットにも匹敵するほど人々の生活に欠かせない技術となっています。
【図解】LLMの仕組み
LLMの仕組みを、ChatGPTのLLMを例にして表すと、上の図の通りとなります。
ユーザーが質問を入力すると、LLMがWeb上の大量のテキストをスキャンして関連するワードを抽出します。
その後、抽出したワードから次に来るワードの確率をワードごとに計算し、最も確率の高いワードを選択して回答します。
ただし、回答にバリエーションをもたせるため、最も確率の高いワード以外のワードを選択して回答することもあります。
LLM(大規模言語モデル)と生成AIとの違い
LLMと生成AIの違い・関係を一言でいうと、LLMはテキスト処理に特化した生成AIの一種として位置付けられます。
LLMはテキストをもとに文章生成や情報検索、会話などを行うのに対し、生成AIはテキストだけでなく、画像や動画、音声など様々な情報を認識し、コンテンツを生成します。
LLM(大規模言語モデル)とChatGPTとの違い
LLMとChatGPTの違い・関係を一言でいうと、LLMは言語処理をする技術、ChatGPTはLLMを応用して人との自然な会話を可能にしたサービスと位置付けられます。
ChatGPTには、無料版ではGPT-3.5、有料版ではGPT-4というLLMが使われています。
LLMはChatGPTなどの対話型AIサービスの基盤となるものであり、生成AI時代に不可欠な技術となっています。
LLMでできること7選
LLMは、様々な言語処理タスクを行うことができます。LLMでできることの代表例として、以下の7つが挙げられます。
- ①文章の作成
- LLMは、メール文やブログ記事、企画書など、様々な文章を自動で作成することができます。単純な文章だけでなく、小説などクリエイティビティが要求される文章も作成できる点が大きなポイントです。
- ②アイデア出し
- LLMにあるテーマに関するアイデア出しを依頼すると、複数の案を瞬時に提案してくれます。人間では思いつかないようなクリエイティブな案を出してくることもあり、アイデア出しの作業の質が高まります。
- ③長文の要約
- 要点を押さえた的確な要約文を瞬時に生成することが可能です。LLMによっては、PDFファイルや特定のWebサイトの内容を一度にすべて要約できるものもあり、要約作業にかかる時間を大幅に短縮できます。
- ④文章の翻訳
- LLMは、指定した文章を様々な言語に翻訳することができます。機械翻訳と比べて、より自然な翻訳文の生成が可能となっています。
- ⑤文章の校正/添削
- LLMは、文章の誤字脱字や文法の誤りを的確に指摘し、正しい文章に修正することができます。まるで国語の教師のように自然な文章にブラッシュアップすることも可能です。
- ⑥情報の検索
- 検索エンジンを搭載しているLLMは、Web上の最新情報を検索することが可能です。自分が知りたい情報をLLMが代わりに見つけてくれるのでリサーチ作業の効率化に繋がります。
- ⑦コード生成
- LLMは、テキスト指示だけでプログラミングのコードを生成することができます。プログラミングの初心者でも簡単にコードを生成できるため、アプリやシステム開発のハードルが大きく下がるでしょう。
これだけは押さえたい代表的なLLM(大規模言語モデル)一覧
これだけは押さえておきたい代表的なLLMは上の図の通りです。
ほぼすべてのLLMは、Googleの研究者が考案した「Transformer」という仕組みを活用しています。Transformerは、文章中の単語同士の関連性を的確にとらえることで、長い文章の内容も正確に把握することを可能とする技術です。
LLM(大規模言語モデル)を活用した代表的なサービス3選
LLMを活用した代表的なサービスとして、以下の3つが挙げられます。
- ①ChatGPT:生成AIブームの火付け役となった世界中で最も人気のある万能生成AI
- ②Gemini:高度な知的タスクに優れ、「GPT超え」と言われるGoogleの生成AI
- ③Claude:大学レベルの知識もマスターした今最も勢いのある生成AI
それぞれのサービスについてわかりやすく紹介していきます。
①ChatGPT:生成AIブームの火付け役となった世界中で最も人気のある万能生成AI
ChatGPTとは、人間と会話しているような形式でやりとりができるAIツールのことです。
ユーザーの指示に基づき、質問への回答や文章の要約/翻訳、メールや企画書の文書作成などの幅広い知的作業を自動で行うことが可能です。
ChatGPTのGPTとは「Generative Pre-traind Transfomer」の略で、本に換算すると約25万冊分以上の、圧倒的に大規模な言語データを事前に学習させることで、従来人間にしかできなかった知的な作業を高精度で実施することが可能となっています。
ChatGPTは、アメリカのスタートアップ企業のOpenAI社により、2022年11月にリリースされました。その後、リリースから5日間で100万人、2ヶ月で1億人と世界最速でユーザーを獲得したサービスとなり、大きな注目を集めています。
使い方次第で仕事の生産性や効率を大幅に上げることができるので、すべてのビジネスパーソンが使いこなせるようになるべきツールと言えます。
②Gemini:高度な知的タスクに優れ、「GPT超え」と言われるGoogleの生成AI
Geminiとは、Googleが2023年12月に発表した対話型AIです。文章だけでなく、画像や動画、音声も理解できる”マルチモーダル機能”を備えている点が特徴で、複雑な数学の問題やプログラミング言語の理解など、難しいタスクもこなすことができると発表されています。
Geminiは性能に応じて3つのモデル「Gemini Ultra」、「Gemini Pro」、「Gemini Nano」に分かれています。最も性能の高いGemini Ultraは、数学、物理学、歴史、法律、医学、倫理など、あらゆる科目の知識・問題解決能力テストで人間の専門家を上回るパフォーマンスを発揮したと発表されています。
Googleは、GeminiがGPT-4を上回る性能を持つと強調しており、ChatGPTの有力な対抗馬として注目されています。
専門的で高度な内容を扱う研究職・専門職の方にとって、強力な味方になると考えられます。
③Claude:大学レベルの知識もマスターした今最も勢いのある生成AI
Claudeは、アメリカのAIスタートアップであるAnthoropicが提供する対話型生成AIです。高度で複雑なデータ分析や長文の処理に優れており、ビジネスでの利用に期待が高まっています。最新モデルのClaude 3.5 Sonnetは、大学レベルの知識問題にも解答できるほどの高い性能を示し、多くの専門家を驚愕させました。
Claudeの特徴や機能は以下の通りです。
- 本1冊分のテキストも1分程度で解析できるほどの長文処理能力を有する
- 本物の人間のような自然な言葉遣いでの回答が可能
- Slack、Zoom、Notionなどの各種ビジネスツールへの組み込みが容易
さらに、2024年6月に公開された新機能「Artifact」は、生成AIで生成したコードに基づいて制作したコンテンツが画面上で実際にどのように表示され、操作できるかを自由にシミュレーションすることができます。
LLM(大規模言語モデル)の業務への活用事例5選
LLMの業務への活用事例として、主に以下の5つが挙げられます。
- ①メール文作成:そのままコピペできるほど自然な文面を即ドラフト
- ②記事の執筆:SEOに強い良質な記事を自動で執筆
- ③カスタマーサポート:自然な会話により顧客からの問い合わせ対応を自動化
- ④社内情報の検索:雑多なマニュアルや規則から必要な情報を瞬時に抽出
- ⑤アプリ/ソフトウェア開発:コード生成やバグ修正を自動化し開発スピードの大幅UP
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
①メール文作成:そのままコピペできるほど自然な文面を即ドラフト
LLMの文章生成能力を活用すれば、顧客からのクレームに対する返信などの書きづらいメールも、瞬時に自動でドラフトすることができます。
毎日大量に送られてくるメールの処理で一日がつぶれてしまうといったことは、多くの人が体験したことがあるのではないでしょうか。
LLMを活用すれば、メール送信や返信にかかる時間を大幅に効率化することができるでしょう。
②記事の執筆:SEOに強い良質な記事を自動で執筆
LLMに対して上手に指示を出せば、SEOに強い良質な記事を自動で生成することができます。
人間が書いたものと同じかそれ以上のクオリティの文章を瞬時に生成できるため、Webメディアの記事やブログ記事などの執筆作業を大幅に効率化することが可能となります。
GPT-4を搭載したTranscopeというサービスは、SEOに強いライティングができる専用のツールとして、多くの日本人ユーザーに利用されています。
③カスタマーサポート:自然な会話により顧客からの問い合わせ対応を自動化
LLMの自然な会話能力は、顧客からの問い合わせに自動で対応するカスタマーサポートとしても活用することができます。
人間のオペレーターと異なり、24時間365日いつでも対応できることに加えて、顧客対応の質を標準化できるため、顧客サービスの質の向上や顧客満足度の向上に繋がるでしょう。
コールセンター事業を手掛けるベルシステムは、顧客からの簡単な質問に対して生成AIが回答する仕組みを採用し、顧客対応業務の大幅な効率化を実現しています。
④社内情報の検索:雑多なマニュアルや規則から必要な情報を瞬時に抽出
LLMを社内データベースと結びつけることで、会社のマニュアルやノウハウを学習したオリジナルな生成AIを構築することができます。
これにより、従業員は、生成AIに質問するだけで膨大なマニュアルの中から自分が求めている情報を探し出すことができ、情報共有の円滑化、業務効率化を実現することができます。
LLMに、社内のマニュアルやノウハウなどの独自情報を学習させる方法については、以下の記事で分かりやすく紹介しています。
⇒ChatGPTに独自情報を学習させる方法6選|選び方や注意点も紹介
⑤アプリ/ソフトウェア開発:コード生成やバグ修正を自動化し開発スピードの大幅UP
LLMは、テキスト指示だけでプログラミングのコードを自動で生成することができます。また、コード生成だけでなく、バグの修正やコードのレビューも行うことができ、プログラミングにかかる作業を大幅に短縮することが可能です。
これにより、アプリやソフトウェアの開発スピードが大幅にUPし、開発のPDCAの高速化、業務効率化を実現することができるでしょう。
例えば、LINEヤフーは、生成AIを全面的にソフトウェア開発に導入し、エンジニアの作業時間を1日当たり約2時間削減することに成功しています。
LLM(大規模言語モデル)の3つの課題や注意点
LLMの課題や注意点として、主に以下の3点が挙げられます。
- ①個人情報や機密情報を入力しない
- ②あまりにも専門的な内容には回答できない場合がある
- ③回答を業務等に活用する前にダブルチェックをする
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
なお、LLM及び生成AIを安全かつ効果的に利用するためには、専門の企業による研修や勉強会サービスを受講するのもおすすめです。AI総研では、LLM及び生成AI活用を専門とするコンサルタントが、企業様の目的・ご要望に応じたオーダーメイドの研修/勉強会サービスを提供しています。ご関心のある方はお気軽にAI総研までお問い合わせください。
①個人情報や機密情報を入力しない
LLMに入力した情報は、LLMが学習するために、基本的にはクラウド上で保管されます。
そのため、会社内部の機密情報や顧客の個人情報などを入力してしまうと、サービス提供者や他のユーザーに機密情報が流出してしまうリスクが存在します。
そのため、個人情報や機密情報を扱いたい場合には、匿名加工処理を施して本人を特定できないようにするか、入力した情報を学習しない設定になっているLLMを活用するなどの対策を講じる必要があります。
②あまりにも専門的な内容には回答できない場合がある
LLMも全知全能の万能ツールではないので、医学や法律に関する質問など、あまりにも高度に専門的な質問には応えられない場合があります。
LLMに専門的な内容や自社独自の情報を反映した回答をさせたい場合には、RAGやファインチューニング等の方法により、LLMに独自情報を学習させてカスタマイズする必要があります。
③回答を業務等に活用する前にダブルチェックをする
LLMによる回答や生成されたコンテンツは、基本的には正確なものですが、誤りや不適切な表現が含まれている場合もあります。
そのため、LLMの回答を業務等に活用する場合には、事前に人の目でダブルチェックをすることが重要です。
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