Microsoft Copilotに自社データを学習させる3つの方法とは?

Microsoft Copilotとは、Microsoftが提供する生成AIアシスタントであり、質問への回答や文章の生成のほか、WordやExcel等と連携して仕事を効率化することができます。

 

Copilotに自社データを学習させる方法としては、通常のプロンプトエンジニアリングのほか、RAGやファインチューニングなどの高度な手法もあります。

 

本記事では、Microsoft Copilotに自社データを学習させる方法について、メリット・デメリットや注意点とともにわかりやすくご紹介します。


またAI総研では、AI活用を検討する上で押さえておきたい、AI・ChatGPTの最新活用事例50選の狙いや取り組みをまとめたレポートを無料で配布しています。ご興味のある方は、以下リンクからダウンロードしてご活用ください。

AI・ChatGPT活用事例50選の資料ダウンロードはこちら(無料)

目次

Microsoft Copilotに自社データを学習させる3つの方法

Microsoft Copilotに自社データを学習させる3つの方法

Microsoft Copilotに自社データを学習させる代表的な方法として以下の3つが挙げられます。

 

  • ①プロンプトエンジニアリング:非エンジニアでも実装可能
  • ②RAG(Retrieval-Augmented Generation):膨大なデータからの検索に強み
  • ③ファインチューニング:自社の目的・用途に特化したCopilotを構築

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

※生成AI/ChatGPTを導入する前に必ず押さえておきたい、基礎知識や導入方法3パターンの比較、リスクと対策などをまとめた資料をダウンロード頂けます。
生成AI/ChatGPT導入マニュアルの資料ダウンロードはこちら(無料)

①プロンプトエンジニアリング:非エンジニアでも実装可能

1つ目の方法は、プロンプトエンジニアリングによるデータの学習です。

そもそもプロンプトエンジニアリングとは、Copilotに入力する質問や指示の内容を工夫することで、適切な回答を引き出すことを指します。

 

Copilotに入力する質問や指示に、自社データをテキストで入力したり、CSV、PDFファイル、URLなどを添付することで、自社データを学習した回答を得ることができます。

メリット

  • 非エンジニアでも実行可能:プロンプトエンジニアリングには、エンジニアリングの専門知識やスキルが必要ないため、非エンジニアの方でも比較的簡単に、自社データを学習させることができます。
  • コストが低い:Copilotへの入力内容を変更するだけなため、追加での料金などはかかりません。

デメリット

  • プロンプトエンジニアリングスキルが必要:自社データを活用しCopilotから適切な回答を得るためには、質問や指示の設計や記述のフォーマットなどのスキルが必要となります。
  • 学習データ量の制限:プロンプトエンジニアリングでは入力できるデータ量に限りがあるため、膨大な顧客とのやりとりや社内データなどを学習させることには向いていません。

 

※ChatGPTや生成AIツールを活用する際に、コピペで使える定番のプロンプト21選や、上手に書くコツをまとめた資料をダウンロード頂けます。
ChatGPT/生成AIツールの定番プロンプト21選の資料ダウンロードはこちら(無料)

②RAG(Retrieval-Augmented Generation):膨大なデータからの検索に強み

2つ目の方法は、RAG(Retrieval-Augmented Generation)によるデータ学習です。

RAGとは、Copilotが質問に回答する際に、Copilotのデータベースに加え、膨大な自社のデータベースから情報を検索し、回答させるように自社データを組み込む手法のことを指します。

メリット

  • 膨大なデータ量の学習が可能:RAGではプロンプトエンジニアリングと異なり、膨大な量のデータを学習させることができます。そのため、自社データをフル活用した業務効率化やサービス創出が可能となります。
  • 最新データに基づく回答:RAGではCopilotと自社のデータベースが接続されており、常に最新のデータを活用した回答を得ることが可能です

デメリット

  • 導入ハードルが高い:RAGには設計と実装に高度なエンジニアリング知識やスキルを有する人材による開発体制が必要となります。
  • 回答時間が長い:RAGでは回答の際に、膨大な自社データを検索させることになるため、回答までに長い時間を要する傾向があります。

③ファインチューニング:自社の目的・用途に特化したCopilotを構築

3つ目の方法はファインチューニングによるデータ学習です。

ファインチューニングによる学習では、Copilotの提供するAIモデルに、自社データを学習させることで、モデル自体を自社専用のものにアップデートします。

 

これにより、自社の業界や事業領域、特定のタスクに対して精度高く活用可能な自社専用のCopilotを構築することが可能です。

メリット

  • 業界やタスクに特化可能:モデル自体をアップデートするため、自社の業界、事業領域や特定のタスクに特化した精度の高い回答を得られるようになります。
  • ユーザーが利用しやすい:モデル自体が自社のニーズにカスタマイズされたものになっているため、AIの知識の乏しい社員でも簡単に自社独自のCopilotを利用できるようになります。

デメリット

  • 導入ハードルが高い:ファインチューニングには設計と実装に高度なエンジニアリング知識やスキルを有する人材による開発体制が必要となります。
  • コストが高い:モデルの学習には膨大なデータを学習させる必要があり、その過程でCopilotのAPIに対して従量課金での支払いをすることとなります。また、学習に用いるデータセットを収集・整理するコストもかかることとなります。

Microsoft Copilotに自社データを学習させる方法の選び方

Microsoft Copilotに自社データを活用させる方法を紹介してきましたが、自社にマッチする学習方法を選ぶ際には、以下の図をご参照ください。

 

ChatGPTに自社データを学習させる方法の選び方

図のように、自社の活用目的や内容によって、最適な自社データの学習方法は異なります。

 

社内のノウハウや顧客データの抽出など膨大なデータから検索・抽出するタイプの活用をする場合は、RAGが適しています。

 

一方で、AIモデル自体を自社の業界や特定の業務に特化したものに再構築したい場合はファインチューニングが適しています。

また、その両方の場合はRAGとファインチューンングを組み合わせた学習を行うことが適しています。

 

このように適切な方法を選んで学習をさせることが、Copilot活用の成果を大きく左右することになります。

Microsoft Copilotに自社データを学習させる3つのメリット

ChatGPTに自社データを学習させる3つのメリット

Microsoft Copilotに自社データを学習させるメリットとして以下の3つが挙げられます。

 

  • ①特定の業界に専門特化した回答の出力
  • ②自社の業態/業務にマッチした高精度な回答の出力
  • ③誤った回答が生成されるリスクの軽減

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

※200事例の分析に基づく、企業の生成AI/ChatGPT活用方法の9つの定石と最新事例をまとめた資料をダウンロード頂けます。
生成AI/ChatGPTの活用アイデア集の資料ダウンロードはこちら(無料)

①特定の業界に専門特化した回答の出力

Copilotにどのデータを学習させるかは、ユーザーが自由に選ぶことができます。特定の業界の専門用語などをまとめて学習させれば、その業界に特化した専門家のような回答を出力するCopilotを作ることができます。

②自社の業態/業務にマッチした高精度な回答の出力

Copilotに自社の顧客情報や取引履歴、ノウハウなど自社独自のデータを学習させることで、自社の業態や業務にマッチした高精度な回答を得ることができるようになります。

 

これにより、顧客ごとにパーソナライズされたサービスの提供や社内業務の効率化などを実現することができます。

③誤った回答が生成されるリスクの軽減

Copilotの利用方法によっては、誤った回答が出力されるハルシネーションという現象が起こる可能性があります。Copilotに正確なデータを学習させることでこのようなリスクを軽減することができます。

Microsoft Copilotに自社データを学習させる3つのデメリット・リスク

ChatGPTに自社データを学習させる3つのデメリット・リスク

Microsoft Copilotに自社データを学習させるデメリットやリスクとして以下の3つが挙げられます。

 

  • ①読み込まれた自社データが漏洩するリスク
  • ②処理するデータ量が増加し返答が遅くなるリスク
  • ③実装や人員確保に時間的・金銭的コストがかかるリスク

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

※生成AI/ChatGPTを導入する前に必ず押さえておきたい、主要なリスクと具体的な対策をまとめた資料をダウンロード頂けます。
生成AI/ChatGPT導入のリスクと対策ガイドブックの資料ダウンロードはこちら(無料)

①読み込まれた自社データが漏洩するリスク

Copilotに会社内部の機密情報や顧客の個人情報などを入力してしまうと、Copilotサービス提供者や他のユーザーに機密情報が漏洩してしまうリスクが存在します。

②処理するデータ量が増加し返答が遅くなるリスク

Copilotにデータを学習させると、処理するデータ量が増加し、自然処理に必要となる時間が長くなります。これにより、回答スピードが低下するリスクが存在します。

 

そのため、回答スピードの低下リスクを考慮し、学習させるデータを必要な範囲に絞る等の対策が重要となります。

③実装や人員確保に時間的・金銭的コストがかかるリスク

Copilotにデータを学習させるにあたっては、学習データの収集や整理、モデルのトレーニングなど各作業に時間がかかる可能性があります。

 

また、大量のデータを使用する場合などには、高度なスキルを有するエンジニアの存在が必要となり、人件費等の金銭的コストがかかる可能性があります。

Microsoft Copilotに自社データを学習させる際の6つの注意点

Microsoft Copilotに自社データを学習させる際の6つの注意点

Microsoft Copilotに自社データを学習させる際の注意点として、以下の6つが挙げられます。

 

  • ①データ範囲の適切な設定
  • ②最適なCopilotプラン選定
  • ③リスクを最小化するデータマネジメント
  • ④従業員向けの利用ルール・マニュアルの策定
  • ⑤従業員のCopilot活用リテラシーの向上
  • ⑥最新動向を踏まえたCopilot活用方法の定期的な見直し

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

※生成AIツールの導入を検討される方に、おすすめの10大生成AIツールの特徴や選び方、活用方法をまとめた資料をダウンロード頂けます。
10大生成AIツール徹底比較の資料ダウンロードはこちら(無料)

①データ範囲の適切な設定

Copilotにあまりにも多くのデータを学習させると、情報処理に時間がかかって回答スピードが遅くなったり、情報漏洩の危険性が高まったりするなどのリスクが生じます。

 

そのため、Copilotに学習させる必要があるデータと必要がないデータを区別し、適切な範囲に絞ることが重要です。

②最適なCopilotのプラン選定

Copilotには、無料プラン、有料プラン、企業向けプランなど複数のプランがあり、プランごとにセキュリティの強さや使える機能が異なります。

 

そのため、例えば、個人情報や機密情報を学習させる場合にはセキュリティが強化されたCopilot for Microsoft 365を利用するなど、自社の目的や学習させるデータの性質に応じて適切なプラン選定を行うことが重要です。

③リスクを最小化するデータマネジメント

Copilotは、学習したデータに基づいて動作するため、データマネジメントの質がCopilotの出力品質に直結します。

 

データの正確性、偏りのなさ、機密性の保持は、リスクを最小化する上で極めて重要です。

 

適切なデータマネジメントの実施により、データの質を確保し、情報漏洩や不正確な情報生成のリスクを低減します。

④従業員向けの利用ルール・マニュアルの策定

Copilotの効果的な利用とリスクの最小化のためには、企業が従業員向けの明確な利用ルールやマニュアルを策定することが重要です。

 

具体的には、社内でのAIの使用目的、使用範囲、倫理ガイドライン、データ取り扱いのルール・マニュアルを策定する必要があります。

⑤従業員のCopilot活用リテラシーの向上

Copilotのポテンシャルを最大限に活用し、同時にリスクを管理するためには、従業員のAIに関する理解とスキル、すなわちAIリテラシーを向上させることが不可欠です。

 

研修プログラムや実践的なトレーニングを通じて、従業員がCopilotの基本的な知識、適切な使用方法、関連するリスクを理解してもらい、効率的かつ責任ある方法で使用できる環境を構築することが求められます。

⑥最新動向を踏まえたCopilot活用方法の定期的な見直し

Copilotの技術・サービスは日々進化しており、新たな活用方法や利用プロセスが登場し、それに応じて新たなリスクが生じる可能性が高いです。

 

したがって、国内外のCopilotに関する最新の動向を常に把握し、企業のCopilot活用方法を定期的に見直し、更新することが必要となります。

企業がMicrosoft Copilotの活用を成功させるための5つのポイント

企業がCopilot Proの活用を成功させるための5つのポイント

企業がMicrosoft Copilotの活用を成功させるために抑えるべきポイントは以下の5つです。

 

  • ①業務内容の棚卸しと活用インパクトの試算
  • ②投資対効果の高い課題/目的と活用方法の選定
  • ③アジャイルアプローチでの開発・導入
  • ④システムとルールの両面からのリスク管理
  • ⑤研修等での社員のAI活用リテラシーの向上

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

※200事例の分析に基づく、企業の生成AI/ChatGPT活用でよくある失敗とベストプラクティスをまとめた資料をダウンロード頂けます。
生成AI/ChatGPT活用しくじり大全の資料ダウンロードはこちら(無料)

①業務内容の棚卸しと活用インパクトの試算

Copilot活用の成否を分ける最大のポイントは、Copilotを活用する意義の大きな業務に対して活用することに尽きます。 

 

活用の方針や戦略がないまま活用を進めるのではなく、自社の業務内容・フローをしっかりと棚卸しした上で、どの程度業務効率やアウトプット向上に繋がるかを試算することが重要となります。

②投資対効果の高い課題/目的と活用方法の選定

Copilotは全ての業務に対して万能という訳ではなく、膨大なデータに基づいたコンテンツ制作は得意だが、複雑な問いに対して正確な答えを出すのは苦手といった、明確な得意不得意が存在します。

 

そのため、自社の業務の現状やCopilotの特徴を踏まえた上で、どのような課題/目的に対して、どのようなアプローチ/範囲/ツールで活用を進めるかを、検討・選定するステップがプロジェクトの投資対効果を左右する、極めて重要なプロセスとなります。

③アジャイルアプローチでの開発・導入

Copilotは、一度開発・導入して終わりという進め方ではなく、何度もモデル・学習データ・利用方法等を細かくカスタマイズしなおすことで、より理想とする活用を実現することができます。

 

具体的には、初期仮説に基づいた簡易的なプロトタイプを構築し実際に利用してみる、というサイクルを、1サイクル数週間の期間で何度も繰り返し、ブラッシュアップしていくという、アジャイル開発のアプローチを取ることが適しています。

④システムとルールの両面からのリスク管理

企業がCopilotの活用に踏み切れない最大の理由として、機密情報漏洩や著作権侵害などのリスクへの懸念が挙げられます。

 

確かに、社員に特段ルールを設けず、一般に公開されているCopilotを活用させた場合、様々な問題が発生する可能性は存在します。

 

一方で、入力するデータが学習されないようなシステム構築や使用範囲・機密情報の取扱等の運用ルールの策定により、リスクをマネジメントし最小化することが可能です。

⑤研修等での社員のAI活用リテラシーの向上

Copilotの特徴として、AIとの対話によってアウトプットを引き出すことが求められるため、使い手のリテラシーによって成果が大きく左右されることが挙げられます。

 

そのため、Copilotのポテンシャルを最大限に活用するためには、従業員のAIに対する理解とスキル、すなわちAIリテラシーを向上させることが不可欠です。

 

研修プログラムや実践的なトレーニングを通じて、従業員がCopilotの基本的な知識、適切な使用方法、関連するリスクを理解してもらい、効率的かつ責任ある方法で使用できる環境の構築が必要となります。

AI・ChatGPT活用の個別無料相談会実施中

AI総研では、AI・ChatGPT活用の個別無料相談会を実施しています。

各社様のご要望に合わせ、最新の市場動向や具体的な活用アイデアなどを、個別のオンライン個別のオンラインMTGにて、無料でご紹介させていただきます。

 

以下のようなお悩みをお持ちのご担当者様は、この機会にぜひお申込みください。

  • 興味はあるが、そもそも活用するかどうか迷っている
  • 自社に合った活用方法へのアドバイスが欲しい
  • 自社の企画の参考になる活用事例を知りたい
  • どのように活用を進めていけば良いか分からず困っている

AI・ChatGPT活用の個別無料相談会の詳細はこちら

お問い合わせ

お客様のAI・ChatGPT活用推進に向け、戦略策定から実行支援までサポートします。お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

まずは問い合わせてみる >

個別無料相談

ご担当者様のお悩み解決に向けたアイデアや最新ノウハウを無料でご提供いたします。お気軽にご相談ください。

個別無料相談

無料で相談する >

資料ダウンロード

サービス紹介資料やお役立ち資料をダウンロードいただけます。AI・ChatGPT活用をご検討の方はぜひご一読ください。

資料ダウンロード 資料をダウンロードする >