AIによる予知保全の事例5選|導入方法や2大メリットも紹介

予知保全とは、工場や建設現場などでの機械設備の異常や不具合を事前に検知して、事故やトラブルを未然に防ぐ取り組みのことです。

 

異常の見逃しは、重大な事故やトラブルにも繋がりかねないため、予知保全業務には慎重さが求められる一方、一つ一つの機械設備をくまなく点検する必要があります。そのため、作業員にとって非常に負担のかかる作業となっています。

 

しかし、予知保全にAIを活用することで、保全業務を大きく効率化することができます。人間では気付けないような小さな破損や劣化をとらえ、より正確かつ迅速な不具合の特定が可能となるのです。

 

本記事では、AIで予知保全業務を効率化したい方に向けて、AIに予知保全を活用するメリットや具体的な事例について、わかりやすくご紹介します。


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予知保全とは?

予知保全とは?

予知保全とは、工場や建設現場などでの機械設備の異常や不具合を事前に検知して、事故やトラブルを未然に防ぐ取り組みのことです。

 

通常は、作業員が定期的に機械設備を点検し、異常や不具合がないかを肉眼で確認します。しかし、一つ一つの機械設備をくまなく点検するには時間がかかることに加え、わずかな破損や劣化に気付くためには、一定の経験やスキルが求められます。

 

そのため、予知保全作業にかかる作業員の負担や十分なスキルを持った人材の不足が、大きな課題となっています。

予知保全にAIを活用する2つのメリット

予知保全にAIを活用する2つのメリット

予知保全にAIを活用するメリットとして、以下の2つが挙げられます。

 

  • ①異常や不具合の検知精度の向上
  • ②予知保全業務の効率化

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

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①異常や不具合の検知精度の向上

AIにあらかじめ異常や不具合が発生した機械設備の画像データを学習させることで、異常や不具合の有無を正確に判断・検知することが可能となります。

 

人間では見逃すような小さな破損や劣化にも気付くことができ、予知保全の精度を格段に高めることが可能です。人間の目による検知との二重チェック体制をとれば、異常や不具合を見逃すリスクを最小限に抑えることが可能となるでしょう。

②予知保全業務の効率化

AIは、機械設備の画像を認識すると、異常や不具合の有無を迅速に判断することができます。

 

人間のように疲れることなく、常に一定のペースで判断することができるため、予知保全業務を効率化し、作業員の負担を軽減することができます。

AI×予知保全の活用事例5選

AI×予知保全の活用事例5選

AIによる予知保全機能の活用事例として、以下の5つが挙げられます。

 

  • ①トヨタ:AIで機械の寿命を予測し、部品の交換頻度を必要最小限に
  • ②花王:製品製造プロセスの異常をAIが検知、新人オペレータをサポート
  • ③前川製作所:冷凍機の故障の兆候をAIが事前に察知し、保守コストの削減
  • ④三井物産グローバルロジスティクス:AIが製品の自動封函の異常を検知するシステムを導入
  • ⑤清水建設:AIが施工状況のOK/NGを判定し、検査作業を1/10に短縮

 

それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。

 

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①トヨタ:AIで機械の寿命を予測し、部品の交換頻度を必要最小限に

トヨタ:AIで機械の寿命を予測し、部品の交換頻度を必要最小限に
(画像:トヨタ)

トヨタは、建設機械メーカーのコマツが提供するAI予知保全システムを工場に導入しています。

 

このシステムは、AIが機械部品の寿命を予測し、壊れる前に通知します。また、市場の機会から劣化時・故障時のデータを収集し、AIに学習させることで、AIが機械設備の劣化部位を判定することも可能です。

 

これにより、自動車製造に必要な機械設備の部品交換頻度を必要最小限に抑えることが可能となり、保守費用の削減や保全業務の効率化を実現しました。

②花王:製品製造プロセスの異常をAIが検知、新人オペレータをサポート

花王:製品製造プロセスの異常をAIが検知、新人オペレータをサポート
(画像:花王)

花王は、製品製造過程でのプロセス異常を正確に検知するため、AIを搭載した異常予兆検知システムを導入しました。

 

AIが製造プロセスのデータを蓄積し、生産設備の正常な振る舞いを学習します。これに基づき、正常な振る舞いとの微小な違いを検知します。

 

これにより、経験の浅いオペレータでもAIの力を借りて、正確に設備の監視を行うことができるようになりました。また、AIモデルの作成過程で、新人のオペレータが監視のノウハウを学習するなど、技術継承にも役立ちました。

③前川製作所:冷凍機の故障の兆候をAIが事前に察知し、保守コストの削減

前川製作所:冷凍機の故障の兆候をAIが事前に察知し、保守コストの削減
(画像:前川製作所)

産業用冷凍機や食品加工機械などの製造販売を手掛けている前川製作所は、産業用冷凍機の保守作業にAIを導入しました。

 

冷凍機が故障を起こすと、その中の食材や薬品などの物質が劣化し、大きな損失が発生します。そのため、前川製作所は、冷凍機の故障を予防するために頻繁に部品交換等を行っていましたが、保守にかかるコストが問題となっていました。

 

冷凍機の各部にセンサを設置し、そこから得られるデータをAIが分析することで、故障の兆候を事前に察知。故障の兆候が現れた部品のみを交換することで、保守コストの削減に成功しました。

 

また、早期に故障の兆候を察知することで、システムダウンによる製造機会のロス発生を防止することにも役立っています。

 

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④三井物産グローバルロジスティクス:AIが製品の自動封函の異常を検知するシステムを導入

三井物産グローバルロジスティクス:AIが製品の自動封函の異常を検知するシステムを導入
(画像:CRC)

三井物産グローバルロジスティクスは、商品発送用のパッケージに自動で封をする際の異常を検知できるAIを導入しています。

 

三井物産グローバルロジスティクスの物流倉庫では、商品を顧客に発送する業務を行っており、作業効率化のため、商品を自動で封函する機械も導入しています。しかし、不適切な状態で封函される事態が発生することがしばしばあったため、AIによる異常検知システムの導入に至りました。

 

これにより、異常検知にかかる時間を大幅に短縮し、商品発送業務の効率化を実現しています。

⑤清水建設:AIが施工状況のOK/NGを判定し、検査作業を1/10に短縮

清水建設:画像認識AIにより施工状況のOK/NGを判定
(画像:NTTコムウェア)

清水建設は、ガス圧接継手の施工現場に画像認識AIを導入する取組みを実施しました。ビルの鉄筋継手をスマホで撮影した画像を画像認識AIに解析させ、施工状況が問題ないか否かを判定させます。

 

清水建設は、問題ないか否かを正しく判断させるために、正しく施工したガス圧接継手の数百枚の写真を教師データとして学習させました。

 

これにより、1か所当たり5分ほどかかっていた検査作業が、20~30秒に短縮されるなど、大幅な業務効率化を実現しています。

企業がAI活用を成功させるための5つのポイント

企業がAI活用を成功させるための5つのポイント

企業がAI活用を成功させるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①中長期でのAI活用戦略の策定
  • ②投資対効果の高い活用目的・方法の選定
  • ③アジャイルアプローチでの開発・導入
  • ④システムとルールの両面からのリスク管理
  • ⑤研修等での社員のAI活用リテラシー向上

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

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①中長期でのAI活用戦略の策定

AIの性能進化が加速しているこれからの時代、足元の取り組みはもちろん、3年・5年スパンでAIをどこまでダイナミックに活用できるかが、企業の競争優位性に直結します。

 

また、AI活用のレベルは、比較的簡単な各社員のAIツール利用による生産性向上から、AI活用による業務プロセス革新、顧客向けサービスの進化、新サービス/商品の創出まで様々です。

 

そのため、中長期で目指すAI活用の姿を見据え、その実現に向け逆算したロードマップや、まず足元進めるべき活用を設計することが重要です。

②投資対効果の高い活用目的・方法の選定

AIは人間と同様、全ての業務に対して万能という訳ではなく、膨大なデータに基づいた分析や対応、コンテンツ制作は得意だが、複雑な問いに対して正確な答えを出すのは苦手といった、得意不得意が明確に存在します。

 

そのため、自社の業務の現状やAIの特徴を踏まえた上で、どのような課題/目的に対して、どのようなアプローチ/範囲/ツールで活用を進めるかを、検討・選定するステップがプロジェクトの投資対効果を左右する、極めて重要なプロセスとなります。

③アジャイルアプローチでの開発・導入

AIは、一度開発・導入して終わりという進め方ではなく、何度もモデル・学習データ・利用方法等を細かくカスタマイズしなおすことで、より理想とする活用を実現することができます。

 

具体的には、初期仮説に基づいた簡易的なプロトタイプを構築し実際に利用してみる、というサイクルを、1サイクル数週間~数ヶ月の期間で何度も繰り返し、ブラッシュアップしていくという、アジャイル開発のアプローチを取ることが適しています。

④システムとルールの両面からのリスク管理

企業がAI活用に踏み切れない最大の理由として、機密情報漏洩などのリスクへの懸念が挙げられます。

 

確かに、社員に特段ルールを設けず、一般に公開されているAIツールを使用させるなどの場合、様々な問題が発生する可能性は存在します。

 

一方で、セキュリティ対策を行ったシステム構築や、社員向けのAIの使用ルールやガイドラインの策定により、リスクをマネジメントし最小化することが可能です。

⑤研修等での社員のAI活用リテラシー向上

AI(特に生成AI)を活用するにあたっては、同じAIを利用していても、使い手のリテラシーによって成果が大きく左右されるという点に注意が必要です。

 

そのため、AIのポテンシャルを最大限に活用するためには、従業員のAIに対する理解とスキル、すなわちAI活用リテラシーを向上させることが不可欠です。

 

そこで、研修プログラムや実践的なトレーニングを通じて、従業員がAIの基本的な知識、適切な使用方法、関連するリスクを理解してもらい、効率的かつ責任ある方法で使用できる環境の構築が重要となります。

企業がAIを導入するための4つのステップ

企業がAIを導入するための4つのステップ

企業がAI導入を進めるための流れとして、以下の4つのステップがあげられます。

 

<STEP1:活用業務の選定>

  • 最新の市場動向のリサーチ
  • 自社での活用対象業務の幅出し・選定
  • AI活用の目的・目標の設定

 

<STEP2:活用範囲と業務プロセスの決定>

  • 対象業務の棚卸し・効率化余地の検討
  • AIを活用する業務範囲の決定
  • AIと人間の役割分担の設計

 

<STEP3:試験開発・運用(PoC)>

  • 要件定義・プロトタイプ開発
  • 試験運用
  • フィードバック収集・評価

 

<STEP4:本開発・運用>

  • PoCを踏まえた本開発
  • 運用・評価
  • 活用方針・方法の継続的なカイゼン

 

各ステップについてわかりやすく紹介していきます。

 

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STEP1:活用業務の選定

AIは、定型的な社内業務の効率化から新規事業創出まで幅広い業務に活用可能だからこそ、AI活用の投資対効果が高い業務を適切に選定することが最も重要となります。

  

最新の技術や競合の活用動向をキャッチアップした上で、自社の活用可能性の幅出し・整理を行います。その上で、AIをどのような業務・目的・成果目標で導入するかを設定しましょう。

STEP2:活用範囲と業務プロセスの決定

大きなポテンシャルを持つAI活用ですが、人間と同様、どのようなシチュエーション・任せ方でも万能というわけではありません

 

そのため、活用業務の現状・課題と、AI・人間の得意/不得意を踏まえた上で、どの範囲の業務をどのように人間と協業しながら任せるかを決定することが重要になります。

STEP3:試験開発・運用(PoC)

いきなり大規模な導入を進めるのではなく、比較的小規模な試験開発・運用(PoC)により、その有効性を確かめることで、AI活用全体の投資対効果を大きく高めることが可能です。

 

検証したい仮説を事前に明確にした上で、実際にプロトタイプでの試験運用を行い、活用業務や方法の改善ポイントを洗い出しましょう。

STEP4:本開発・運用

PoCで得られた改善ポイントに基づき、自社の経営課題・業務の現状にベストマッチするAI活用の内容やシステムの要件を再度設計し、本開発を行います。

 

また、本開発後も継続的に成果や活用状況を評価し、継続的なカイゼンを行うことで、自社でのAI活用のインパクトを最大化することができます。

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