【2024年最新】自治体でのAIの活用事例|導入状況や3大メリットも紹介
本記事では、AI×自治体に関心のある方向けに、AIの自治体での活用事例をわかりやすくご紹介します。
こんな方におススメ
- AIを自治体業務で活用するメリットを知りたい
- 具体的な活用事例を知りたい
- AIの自治体業務での活用を検討している
本記事を読めば、自治体によるAIの導入状況から、メリット、具体的な活用事例まで、一気に理解することができますのでぜひ最後までご一読ください。
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目次
- 自治体によるAIの導入状況
- 自治体がAIを導入する3つのメリット
- AIの自治体での活用事例
- 東京都:全局5万人の生成AI活用に向けガイドラインを策定
- 三豊市:生成AIを活用したゴミ出し案内サービスを提供
- 京都市:生成AIを活用した子育て支援チャットボットサービスを提供
- 茨城県高萩市:AIを活用したデマンド型乗合バス「My Ride のるる」の運行を開始
- 富山県富山市:AIオンデマンド交通「あいのり大山」を導入
- 佐賀県神埼郡吉野ヶ里町:乗合型デマンドタクシー「よしくる」を運行
- 茨城県龍ケ崎市:AIオンデマンド交通「龍ケ崎のるーと」の実証実験を実施
- 静岡県藤枝市:AIオンデマンド交通「ふじえだmobi」の実証運行
- 栃木県真岡市:24時間365日問い合わせ可能な「真岡市AIチャットボット」を提供
- 東京都羽村市:生成AIに関する市民講座を開催
- 自治体がAIを活用する5つの注意点・リスク
- 自治体によるAI活用のリスクへの3つの対応策
- 自治体がAI活用を成功させるための5つのポイント
- 自治体がAIを導入するための4つのステップ
自治体によるAIの導入状況
総務省が全国の地方自治体のAI導入状況を調査した結果によると、2022年12月31日時点において、AIを導入済みの都道府県・政令都市は100%、その他の市区町村は45%という結果となりました。実証中や導入検討中の自治体を含めると約69%になります。
AIの中でも、音声のテキスト化や声の識別などの音声認識機能の導入件数が最も多く、文字認識機能やチャットボット機能がこれに続いています。
生成AIやChatGPTの普及により、自治体によるAIの導入は今後も加速していくと考えられます。
※参考:総務省「自治体におけるAI・RPA活用促進」
自治体がAIを導入する3つのメリット
自治体がAIを導入するメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- ①自動化による生産性向上
- ②コスト削減・人手不足解消
- ③住民向けサービスの品質向上
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①自動化による生産性向上
生成AIなどの技術発展により、定型的な作業はもちろん、判断や創造性の求められる業務でもAI活用による自動化・業務サポートが進んでいます。
例えば、新規政策の立案やソフトウェアのコーディング、サイトや掲示物の作成、採用における候補者の絞り込みなど、幅広い業務領域で大幅な生産性向上が可能です。
また、自動化できる業務はAIに任せて、人間は人間にしかできない高付加価値の業務にフォーカスすることで、住民の満足度向上や、新たな自治体サービスの創出などに繋げることができます。
②コスト削減・人手不足解消
AIは、人手を確保しずらい、定型的で繰り返される作業の自動化・サポートを得意としており、24時間/365日、体調やモチベーションに左右されることなく働いてくれます。
例えば、書類の発行や住民からの問い合わせ対応などの業務の大部分をAIにより自動化することが可能です。これにより、人手不足の解消や人件費などのコスト削減を実現することができます。
③住民向けサービスの品質向上
AIによる業務プロセスの自動化により、ヒューマンエラーや属人的な仕事の仕方のズレをなくすことで、業務品質向上や標準化が可能です。
また、AIを活用し内部のデータ・知見を統合、チャットボットなどの形式で手軽にアクセス可能とすることで、全職員がタイムリーに最適な判断や作業を可能にする取組も進んでいます。
AIの自治体での活用事例
東京都:全局5万人の生成AI活用に向けガイドラインを策定
東京都は、職員を対象にした文章生成AIの利活用ガイドラインを策定し、全局約5万人がChatGPTを利用できる環境を構築しました。
この動きは、都政サービスの品質向上と効率化を目指すもので、特にガイドラインには個人情報保護や著作権に関するルールがなど、安全な利用に向けた方針が含まれています。
今後、本取り組みにより職員へのガイドライン浸透とAIの効果的な活用が期待されています。
三豊市:生成AIを活用したゴミ出し案内サービスを提供
香川県三豊市は、市民からのゴミ出しのルール等に関する問い合わせに対応するために、ChatGPTを活用した実証実験を開始しました。
このチャットボットは、AIが市民からの問い合わせに24時間365日回答することで、業務の効率化と市民サービスの向上を目指しています。
また、本サービスは市内の外国人市民からの問い合わせにも対応できるよう、50カ国語以上に対応しています。
京都市:生成AIを活用した子育て支援チャットボットサービスを提供
京都市は、子育て施策に関する制度や手続きの問い合わせに対応するため、24時間365日サービスを提供する生成AIチャットボットを導入しました。
利用者は自由なテキスト入力や選択肢を通じて、AIと対話しながら必要な情報を得ることができます。
このサービスにより、利用者は時間や場所に制限されずに、簡単かつ迅速に子育てに関する支援を受けられるようになりました。
茨城県高萩市:AIを活用したデマンド型乗合バス「My Ride のるる」の運行を開始
(画像: 茨城県高萩市)
茨城県高萩市では、日中(8:30~15:00)のバス利用が低調であり、時間帯によっては乗客なしでの運行が発生しておりました。また、利用が低調であることから、路線数・運行便数が少なくなり、利用者としても使いづらさを感じるところでした。
これらの課題を解決するために交通事業者と協議を重ねた結果、令和3年7月より、AIを活用した呼出型最適経路バス(以下、MyRideのるる)の実証実験を開始いたしました。
MyRideのるるは、お客様からのスマホアプリまたは電話での呼出(出発地・目的地)に応じて、AIが最適な乗車場所・降車場所・運行ルート等を提案する呼出型のバスです。従来の路線バスで使用しているバス停(標柱あり)の他に“仮想バス停”という標柱が無い乗降地点をシステム上に設定することで、従来よりも近い場所から利用出来るようになりました(既存バス停:96、仮想バス停:141の計237か所で乗降可能)。
利用実績や利便性・安全性の確保について、関係機関と十分に協議を行った結果、令和4年10月より本格運行を開始しました。移行前の同路線と比較し、利用者数は増加していることからも、MyRideのるるは新たな公共交通として浸透してきております。
さらに詳しい情報はこちらの市HPをご覧ください。
富山県富山市:AIオンデマンド交通「あいのり大山」を導入
(画像:富山県富山市)
富山県富山市では、月岡・大庄・上滝エリアにおいて、令和6年度4月よりAIオンデマンドバス「あいのり大山」を本格運行しています。
運行エリア内に設けた停留所から停留所まで、10人乗りのハイエースで乗客を送迎するもので、バスのような時刻表や運行ルートがなく、タクシーとバスの中間に位置する公共交通です。利用者は事前に会員登録が必要です。予約は乗車予定の30分前までに、ウェブサイトや電話で行うことが可能です。予約を受けると、AIが相乗りを含めた目的地まで最適なルートを決定します。
運行は、月〜土曜日(祝・祭日・年末年始を除く)の9時から17時までです。運賃は1回200円(65歳以上・障害者・通学時の高校生は100円)、中学生以下無料。定期券や回数券も利用できます。また、大山コミュニティバスの才覚地線や小坂線など、他路線からあいのり大山へ乗り継ぐ場合、1回の乗車運賃で乗り継ぎが可能です。
新しい交通サービスのため、地元で予約方法などについての説明会や乗車体験会を開催しています。また、地域住民の意見を反映し、停留所の場所・数を柔軟に変更しています。「あいのり大山」は地域住民の生活の足として、新たな移動手段となっています。
詳しくはこちらの市HPをご覧ください。
佐賀県神埼郡吉野ヶ里町:乗合型デマンドタクシー「よしくる」を運行
(画像: 佐賀県神埼郡野ヶ里町)
令和5年10月2日、佐賀県神埼郡吉野ヶ里町は、新しいAI乗合型デマンドタクシー「よしくる」の運行を開始しました。
「よしくる」は、AIを活用して最適な時間とルートを算出し、移動をもっと便利にする新しい乗合型デマンドタクシーです。令和5年9月までで、コミュニティバス循環線を廃止し、代わりに、タクシーの便利さと路線バスの手軽さを併せ持つ、新たな乗合タクシーサービスとして「よしくる」の運行を開始しました。
乗合によって運賃は1乗車300円という低料金となっており、町内どこでも乗降することができます。電話・スマホ(WEB)から配車予約をして利用します。
さらに詳しい情報はこちらのHPをご覧ください。
茨城県龍ケ崎市:AIオンデマンド交通「龍ケ崎のるーと」の実証実験を実施
茨城県龍ケ崎市では、効率的で持続可能な地域公共交通ネットワークの構築を目指し、利用者の少ないコミュニティバスとの代替可能性を検証するため、AIオンデマンド交通「龍ケ崎のるーと」の実証実験を行いました。
実証実験では、AIが予約状況に応じて最適な経路を瞬時に判断するため、即時性の高い、効率的なルートでの運行が可能となり、またオンデマンド型の特徴の一つである、お客様の乗りたい場所・時間に合わせた質の高い交通サービスを提供することができました。
この実験は、限られた運行エリアで、また令和5年11月から令和6年3月末までの5ヵ月間での実施でしたが、延べ2,000人を超える方々にご利用いただき、利用者満足度も95%以上と、非常に高い評価をいただく結果となりました。
こうした結果や様々な実績を踏まえ、今後は、令和7年4月の地域公共交通全体の再編に合わせた、AIオンデマンド交通の本格運行の実施に向け、準備を進めてまいります。
静岡県藤枝市:AIオンデマンド交通「ふじえだmobi」の実証運行
(画像:静岡県藤枝市)
令和5年度より静岡県藤枝市では、将来的な移動サービスMaaSを視野に入れた民間主体の共創プラットフォームによる、AIオンデマンド交通「ふじえだmobi」実証運行が行われ,
今年で2年目を迎えます。
実証運行は、静岡鉄道株式会社が主体となり、藤枝市や市内タクシー会社、商業・観光事業者が参画する共創プラットフォームを推進組織として行われています。市民や来訪者などみんなでシェア(相乗り)することにより、効率的な移動手段の提供を目指します。また、商業者との連携によりお得なクーポンも使える、移動のスタイルを変える新しいサービスの有効性を検証します。市としても経済効果や交通課題の解決に向けてこの実証実験に期待をしています。
昨年度の実証実験で得られた知見を活かし、令和6年度の実証実験では市内3社のタクシー会社が協調し運行するほか、配車予約も可能となるなど、より利便性の高い実施体制の構築を図っています。
詳しい情報はこちらの市HPをご覧ください。
栃木県真岡市:24時間365日問い合わせ可能な「真岡市AIチャットボット」を提供
(画像:真岡市)
栃木県真岡市は、市民の皆様が24時間いつでもお問い合わせできるAIチャットボットサービスを提供しています。このサービスは、真岡市公式LINEアカウントおよび公式ホームページから利用可能で、各種証明書の申請方法、引っ越しの手続き、戸籍の届出、マイナンバー、子育て支援などについての質問に対応しています。
利用方法は簡単です。LINE公式アカウントからは、チャットで質問を選択し、質問内容を入力するだけで回答が得られます。公式ホームページからは、トップ画面の右下の女性のアイコンをクリックし、質問を入力することで回答が表示されます。
このAIチャットボットは、市民の皆様が必要な情報を迅速かつ的確に取得できるように設計されており、24時間365日対応しています。真岡市は、このサービスを通じて、真岡市民の利便性向上を目指し、より良い行政サービスの提供に努めています。
東京都羽村市:生成AIに関する市民講座を開催
(画像:東京都羽村市)
東京都羽村市では、令和元年度にAIに関する市民講座を開催しました。
日々進化していくAIについて、日本工業大学 先進工学部 情報メディア工学科の粂野文洋教授に、AIとは何なのか?人間の脳とAIの違いは何か?AIの研究開発の歴史や身近なAIの紹介などをしていただきました。
また、令和6年9月28日(土)には、ここ数年で注目されている生成AIをテーマに、市民講座の開催を予定しています。
詳しい情報は羽村市公式サイトをご覧ください。
自治体がAIを活用する5つの注意点・リスク
自治体がAIを活用する際の代表的な注意点・リスクとして以下の5つが挙げられます。
- ①個人情報や機密情報の漏洩
- ②サイバー攻撃等のセキュリティ
- ③AIの過信による業務ミスの発生
- ④AI人材の不足
- ⑤一時的なコストの増大
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①個人情報や機密情報の漏洩
AI活用で大きな成果を上げるためには、膨大な顧客の個人情報や社内の機密情報などを学習に活用することが有効です。
一方で、学習に使用する際のデータの匿名化処理や、アウトプットの管理、活用用途の制限などのセキュリティ対策を行わずに運用をしてしまうと、個人情報や機密情報が外部に流出するリスクが存在します。
②サイバー攻撃等のセキュリティ
AI活用をする際は、AIならではの脆弱性を狙ったサイバー攻撃等のセキュリティリスクへの対応を進める必要があります。
例えば、特定の自治体のAIに対して悪質なデータを学習させ、誤ったアウトプット・挙動を引き起こす攻撃や、生成AIに対して特殊な質問をすることで、本来非公開の機密データを引き出す攻撃などが挙げられます。
③AIの過信による業務ミスの発生
AIは適切に利用することで業務生産性を大きく高めることが可能ですが、どのようなシチュエーションでも万能という訳ではありません。
例えば、倫理的に問題のあるコンテンツの社外への公開や、製造ラインやロボット制御ミスによる事故などの深刻な問題に繋がる可能性があります。
④AI人材の不足
AI活用で大きな成果を上げるためには、AI導入後の活用や運用をリードできるAI人材の確保が非常に重要となります。
一方で、近年AI人材は需要が急拡大しており採用のハードルが高いこともあり、社内人材の育成や外部ベンダーの活用なども含めて対応していく必要があります。
⑤一時的なコストの増大
AI活用により中長期では生産性向上やコスト削減に繋がるものの、導入時には一定のシステム構築やコンサルティング等のコストが発生します。
また、適切な目的や範囲の選定や、大規模導入前のスモールスタートによる有効性の検証などの取り組みを進めないと、投資対効果は低下してしまいます。
自治体によるAI活用のリスクへの3つの対応策
自治体によるAI活用のリスクへの対応策として以下の3つが挙げられます。
- ①AIと人間の適切な役割分担
- ②セキュアなAIツール選定・システム構築
- ③リスクを最小化するデータ管理
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
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①AIと人間の適切な役割分担
AI活用の成果を最大化し、リスクを最小化するためには、AIは得意な業務範囲を中心に活用し、それ以外は人間が担うという分担が重要になります。
例えば、判別やシステム操作に活用する際は、リスクの大きい部分は人間が最終確認をする、コンテンツ生成に活用する際は、叩き台や幅出しはAIに任せ、選定やブラッシュアップは人間が行うなどの分担が効果的です。
②セキュアなAIツール選定・システム構築
AIを活用したツール選定や、自治体でのシステム構築の際は、情報漏洩やサイバー攻撃などのリスクへの対応が十分かどうかを検討する必要があります。
例えば、ChatGPTを導入する場合、プランやシステム構築方法によってセキュリティが十分とは言えないものもあり、セキュリティリスクを抱えたまま運用をすることになってしまいます。
③リスクを最小化するデータ管理
AI活用に使用する個人情報・機密情報を保護するには、プライバシーポリシー等の整備や匿名化処理、セキュリティ対策などを行う必要があります。
また、AI活用による不適切な判断やアウトプット生成を防ぐためには、良質なデータの収集や整備、人間による最終アウトプットの確認などが有効です。
自治体がAI活用を成功させるための5つのポイント
自治体がAI活用を成功させるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。
- ①中長期でのAI活用戦略の策定
- ②投資対効果の高い活用目的・方法の選定
- ③アジャイルアプローチでの開発・導入
- ④システムとルールの両面からのリスク管理
- ⑤研修等での社員のAI活用リテラシー向上
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①中長期でのAI活用戦略の策定
AIの性能進化が加速しているこれからの時代、足元の取り組みはもちろん、3年・5年スパンでAIをどこまでダイナミックに活用できるかが、自治体の競争優位性に直結します。
また、AI活用のレベルは、比較的簡単な各社員のAIツール利用による生産性向上から、AI活用による業務プロセス革新、顧客向けサービスの進化、新サービス/商品の創出まで様々です。
そのため、中長期で目指すAI活用の姿を見据え、その実現に向け逆算したロードマップや、まず足元進めるべき活用を設計することが重要です。
②投資対効果の高い活用目的・方法の選定
AIは人間と同様、全ての業務に対して万能という訳ではなく、膨大なデータに基づいた分析や対応、コンテンツ制作は得意だが、複雑な問いに対して正確な答えを出すのは苦手といった、得意不得意が明確に存在します。
そのため、自治体の業務の現状やAIの特徴を踏まえた上で、どのような課題/目的に対して、どのようなアプローチ/範囲/ツールで活用を進めるかを、検討・選定するステップがプロジェクトの投資対効果を左右する、極めて重要なプロセスとなります。
③アジャイルアプローチでの開発・導入
AIは、一度開発・導入して終わりという進め方ではなく、何度もモデル・学習データ・利用方法等を細かくカスタマイズしなおすことで、より理想とする活用を実現することができます。
具体的には、初期仮説に基づいた簡易的なプロトタイプを構築し実際に利用してみる、というサイクルを、1サイクル数週間~数ヶ月の期間で何度も繰り返し、ブラッシュアップしていくという、アジャイル開発のアプローチを取ることが適しています。
④システムとルールの両面からのリスク管理
自治体がAI活用に踏み切れない最大の理由として、機密情報漏洩などのリスクへの懸念が挙げられます。
確かに、社員に特段ルールを設けず、一般に公開されているAIツールを使用させるなどの場合、様々な問題が発生する可能性は存在します。
一方で、セキュリティ対策を行ったシステム構築や、社員向けのAIの使用ルールやガイドラインの策定により、リスクをマネジメントし最小化することが可能です。
⑤研修等での社員のAI活用リテラシー向上
AI(特に生成AI)を活用するにあたっては、同じAIを利用していても、使い手のリテラシーによって成果が大きく左右されるという点に注意が必要です。
そのため、AIのポテンシャルを最大限に活用するためには、従業員のAIに対する理解とスキル、すなわちAI活用リテラシーを向上させることが不可欠です。
そこで、研修プログラムや実践的なトレーニングを通じて、従業員がAIの基本的な知識、適切な使用方法、関連するリスクを理解してもらい、効率的かつ責任ある方法で使用できる環境の構築が重要となります。
自治体がAIを導入するための4つのステップ
自治体がAI導入を進めるための流れとして、以下の4つのステップがあげられます。
<STEP1:活用業務の選定>
- 最新の市場動向のリサーチ
- 自治体での活用対象業務の幅出し・選定
- AI活用の目的・目標の設定
<STEP2:活用範囲と業務プロセスの決定>
- 対象業務の棚卸し・効率化余地の検討
- AIを活用する業務範囲の決定
- AIと人間の役割分担の設計
<STEP3:試験開発・運用(PoC)>
- 要件定義・プロトタイプ開発
- 試験運用
- フィードバック収集・評価
<STEP4:本開発・運用>
- PoCを踏まえた本開発
- 運用・評価
- 活用方針・方法の継続的なカイゼン
各ステップについてわかりやすく紹介していきます。
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STEP1:活用業務の選定
AIは、定型的な社内業務の効率化から新規事業創出まで幅広い業務に活用可能だからこそ、
AI活用の投資対効果が高い業務を適切に選定することが最も重要となります。
最新の技術や競合の活用動向をキャッチアップした上で、自治体の活用可能性の幅出し・整理を行います。その上で、AIをどのような業務・目的・成果目標で導入するかを設定しましょう。
STEP2:活用範囲と業務プロセスの決定
大きなポテンシャルを持つAI活用ですが、人間と同様、どのようなシチュエーション・任せ方でも万能というわけではありません。
そのため、活用業務の現状・課題と、AI・人間の得意/不得意を踏まえた上で、どの範囲の業務をどのように人間と協業しながら任せるかを決定することが重要になります。
STEP3:試験開発・運用(PoC)
いきなり大規模な導入を進めるのではなく、比較的小規模な試験開発・運用(PoC)により、その有効性を確かめることで、AI活用全体の投資対効果を大きく高めることが可能です。
検証したい仮説を事前に明確にした上で、実際にプロトタイプでの試験運用を行い、活用業務や方法の改善ポイントを洗い出しましょう。
STEP4:本開発・運用
PoCで得られた改善ポイントに基づき、自治体の課題・業務の現状にベストマッチするAI活用の内容やシステムの要件を再度設計し、本開発を行います。
また、本開発後も継続的に成果や活用状況を評価し、継続的なカイゼンを行うことで、自治体でのAI活用のインパクトを最大化することができます。
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