生成AI搭載のOCRとは?従来のOCRとの3つの違いや事例4選も紹介

OCRとは、「Optical Character Recognition」の略で、日本語では光学的文字認識と言います。手書きや印刷された文字をスキャナやカメラで読み取り、デジタルの文字に変換する技術のことで、書類のデジタル化やデータ入力作業の自動化などに活用されています。

 

近年、生成AIの普及を背景に、生成AIを搭載したOCRが登場しており、手書きやインクの擦れた文字でも正確に読み取れるほどの精度の高さで注目を集めています。

 

すでに多くの大手企業が業務に活用し、年間4000時間のリソースを削減するなど、大きな成果を上げている企業もあります。

 

本記事では、生成AI搭載のOCRの基本や従来のOCRとの違い、企業の活用事例までわかりやすくご紹介します。


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そもそもOCRとは?

OCRとは、「Optical Character Recognition」の略で、日本語では光学的文字認識と言います。手書きや印刷された文字をスキャナやカメラで読み取り、デジタルの文字に変換する技術のことです。

 

紙の書類のデジタル化による保管スペースの確保、データ入力作業の自動化、名刺情報等のデータベース化など様々な場面で活用されています。

生成AI搭載のOCRとは?

近年、OCRに生成AIを搭載させたAI-OCRが注目されています。OCRの文字認識技術に生成AIの画像認識・文章生成技術を組み合わせた技術です。

 

生成AI搭載のOCRでは、OCRで読み取れなかった文字を生成AIによる自然言語処理技術で補完することで、手書きの文字やインクの擦れた文字なども正確に読み取ることができるようになります。

 

これにより、OCR技術の活用の幅が広がり、あらゆる事務作業の効率化・省力化を加速させるとして期待されています。

 

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生成AI搭載OCRと従来のOCRの3つの違い

生成AI搭載OCRと従来のOCRの3つの違い

生成AI搭載のOCRと従来のOCRの違いとして、以下の3つが挙げられます。

 

  • ①圧倒的な文字認識精度の高さ
  • ②文字の読み取り位置や項目を自動検出
  • ③学習による精度の向上

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

①圧倒的な文字認識精度の高さ

生成AI搭載のOCRは、従来のOCRと比べて圧倒的に精度が高くなっています。生成AIの画像認識技術や自然言語処理技術により、従来のOCRでは読み取れなかった文字も読み取ることが可能となったため、手書き文字やインクの擦れた文字にも対応できるようになりました。

②文字の読み取り位置や項目を自動検出

従来のOCRでは、定型的なフォーマットの枠内にある文字のみを認識し、枠外の文字を読み取ることは困難でした。

 

これに対し、生成AI搭載のOCRでは、枠外の文字や非定型のフォーマットにかかれた文字も正確に認識することができます。

③学習による精度の向上

従来のOCRには学習という概念がないため、いくら使っても精度が向上することはありませんでした。

 

これに対し、生成AI搭載のOCRは、文字を認識するたびに学習を重ね、使用すれば使用するほど精度が上がっていきます

AI OCRの活用事例4選

AI OCRの活用事例4選

AI搭載のOCR(AI OCR)の活用事例として、以下の4つが挙げられます。

 

  • ①イオングループ:請求書のデータ入力を自動化し、年4000時間を創出
  • ②ゆうちょ銀行:手書きの帳票の読み取り作業の自動化を実現
  • ③住友倉庫:通関業務での煩雑な帳票読取りにAIスキャンロボを活用
  • ④キャノンマーケティングジャパン:契約書チェックを自動化し、月100時間の創出に成功

 

それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。

 

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①イオングループ:請求書のデータ入力を自動化し、年4000時間を創出

イオングループ:請求書のデータ入力を自動化し、年4000時間を創出
(画像:イオングループ)

イオングループ傘下のスーパーマーケット「マックスバリュ」は、AI OCRとRPAを導入し、毎月約5,000件も発生する請求書のデータ入力業務を自動化しました。AI OCRとRPAにより作業の大半を自動化し、店舗スタッフは最終確認をするだけとなりました。

 

請求書には様々なフォーマットのものがあり、中には手書きのものもあるため、従来のOCRでは正確に読み取ることが困難でしたが、AIの活用により、対応できるようになりました。近時は、インボイス制度の対応にもAI OCRの活用を検討しているとのことです。

 

イオングループは、AI OCRとRPAの活用により、年間で4,000時間相当の労働時間を創出することに成功しました。

②ゆうちょ銀行:手書きの帳票の読み取り作業の自動化を実現

ゆうちょ銀行:手書きの帳票の読み取り作業の自動化を実現
(画像:ゆうちょ銀行)

ゆうちょ銀行は、AI OCRを導入し、帳票の読み取り作業や自動払込利用申込書の内容と顧客情報の照合作業を効率化しています。

 

銀行の書類は手書きで作成されることも多く、従来のOCR技術では読み取ることが困難でした。ゆうちょ銀行は、AIに帳票の手書き文字を学習させることでゆうちょ銀行の書類業務に特化した学習モデルを作成し、手書きの文字も正確に読み取ることができるようにしました。

 

これにより、膨大で煩雑な事務作業の効率化、顧客の待ち時間短縮によるサービスの質の向上などを実現することができます。

 

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③住友倉庫:通関業務での煩雑な帳票読取りにAIスキャンロボを活用

住友倉庫:通関業務での煩雑な帳票読取りにAIスキャンロボを活用
(画像:住友倉庫)

住友倉庫は、国内物流事業の一環である通関業務において、AIによるOCRデジタルスキャナー「AIスキャンロボ」を導入する実証実験を行っています。

 

通関業務では、一つ一つの荷物に付けられた様々な形態の帳票に対応しなければならず、非常に煩雑な作業です。従来のOCRでは、帳票の複雑なフォーマットに対応できず、自動化は困難でした。

 

AI OCRの導入により、複雑多様なフォーマットの帳票も読み取ることができるようになり、通関業務の大幅な効率化が期待されています。

④キャノンマーケティングジャパン:契約書チェックを自動化し、月100時間の創出に成功

キャノンマーケティングジャパン:契約書チェックを自動化し、月100時間の創出に成功
(画像:キャノンマーケティングジャパン)

キャノンマーケティングジャパンは、AI OCRを導入し、契約書入力作業の効率化を実現しました。具体的には、顧客に販売したプリンターの保守サービスを申し込むために顧客が記入した手書きの契約書をチェックし、システムに転記入力する作業にAI OCRを活用しました。

 

AIによるOCRの結果を自動で補正する辞書機能も搭載されるなど、読み取りミスを防止するための仕組みも導入しています。

 

この取組みで、契約書の手書き文字の入力作業の負荷を削減したことで、月に約100時間の創出に成功しました。

企業が生成AI活用を成功させるための5つのポイント

企業が生成AI活用を成功させるための5つのポイント

企業が生成AI活用を成功させるために抑えるべきポイントは以下の5つです。

 

  • ①業務内容の棚卸しと活用インパクトの試算
  • ②投資対効果の高い課題/目的と活用方法の選定
  • ③アジャイルアプローチでの開発・導入
  • ④システムとルールの両面からのリスク管理
  • ⑤研修等での社員のAI活用リテラシーの向上

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

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①業務内容の棚卸しと活用インパクトの試算

生成AI活用の成否を分ける最大のポイントは、生成AIを活用する意義の大きな業務に対して活用することに尽きます。 

 

活用の方針や戦略がないまま活用を進めるのではなく、自社の業務内容・フローをしっかりと棚卸しした上で、どの程度業務効率やアウトプット向上に繋がるかを試算することが重要となります。

②投資対効果の高い課題/目的と活用方法の選定

生成AIは全ての業務に対して万能という訳ではなく、膨大なデータに基づいたコンテンツ制作は得意だが、複雑な問いに対して正確な答えを出すのは苦手といった、明確な得意不得意が存在します。

 

そのため、自社の業務の現状や生成AIの特徴を踏まえた上で、どのような課題/目的に対して、どのようなアプローチ/範囲/ツールで活用を進めるかを、検討・選定するステップがプロジェクトの投資対効果を左右する、極めて重要なプロセスとなります。

③アジャイルアプローチでの開発・導入

生成AIは、一度開発・導入して終わりという進め方ではなく、何度もモデル・学習データ・利用方法等を細かくカスタマイズしなおすことで、より理想とする活用を実現することができます。

 

具体的には、初期仮説に基づいた簡易的なプロトタイプを構築し実際に利用してみる、というサイクルを、1サイクル数週間の期間で何度も繰り返し、ブラッシュアップしていくという、アジャイル開発のアプローチを取ることが適しています。

④システムとルールの両面からのリスク管理

企業が生成AIの活用に踏み切れない最大の理由として、機密情報漏洩や著作権侵害などのリスクへの懸念が挙げられます。

 

確かに、社員に特段ルールを設けず、一般に公開されている生成AIを活用させた場合、様々な問題が発生する可能性は存在します。

 

一方で、入力するデータが学習されないようなシステム構築や使用範囲・機密情報の取扱等の運用ルールの策定により、リスクをマネジメントし最小化することが可能です。

⑤研修等での社員のAI活用リテラシーの向上

生成AIの特徴として、AIとの対話によってアウトプットを引き出すことが求められるため、使い手のリテラシーによって成果が大きく左右されることが挙げられます。

 

そのため、生成AIのポテンシャルを最大限に活用するためには、従業員のAIに対する理解とスキル、すなわちAIリテラシーを向上させることが不可欠です。

 

研修プログラムや実践的なトレーニングを通じて、従業員に生成AIの基本的な知識、適切な使用方法、関連するリスクを理解してもらい、効率的かつ責任ある方法で使用できる環境の構築が必要となります。

企業が生成AIを導入するための4つのステップ

企業が生成AIを活用するための4つのステップ

企業が生成AIの導入を進めるための流れとして、以下の4つのステップがあげられます。

 

<Step1:活用方針の検討>

  • 最新の市場動向のキャッチアップ
  • 自社の活用可能性の整理
  • 生成AIの活用目的・ゴールの設定

 

<Step2:利用環境構築>

  • セキュリティ・データ管理体制の強化
  • ガイドライン・マニュアルの策定
  • 社員向けのAIリテラシー研修
  • 社内業務での試験運用

 

<Step3:試験開発・運用(PoC)>

  • PoCを行うユースケースの検討
  • 要件定義・プロトタイプ開発
  • 運用と評価

 

<Step4:本開発>

  • 本開発を行うユースケースの検討
  • 要件定義・本開発
  • 運用と評価
  • 活用方針・内容の継続的なカイゼン

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

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Step1:活用方針の検討

1つ目のステップは、自社として生成AIをどのように活用していくかの大方針の検討です。

 

生成AIは社内業務効率化や顧客体験の向上、新規事業創出など様々な目的で活用が可能だからこそ、自社の課題にマッチした目的とユースケースで活用することが、投資対効果を大きく左右します。

 

最新の技術や競合の動向をキャッチアップした上で、自社の活用可能性の幅出し・整理を行います。その上で、生成AIをどのような領域で、どの程度ダイナミックに活用していくかの目的やゴールを初期的に設定しましょう。

Step2:利用環境構築

2つ目のステップは、生成AIを安全かつ効率的に活用できる、社内のシステムやルールなどの利用環境の構築です。

 

企業が生成AI活用に踏み切れない理由として、機密情報漏洩などのセキュリティリスクの懸念が挙げられますが、適切なシステム設計・データ管理やガイドラインの策定などを行うことで、それらのリスクに対処しながら、業務効率化に繋げることが可能です。

  

社員に対し、生成AIをリサーチや文書作成などの日常的な業務に安心して活用できる環境を提供することで、自社のどのような業務と生成AIの相性が良いのかという現場からの示唆を得ることができ、プロトタイプ・本開発の企画への重要なインプットとなります。

Step3:試験開発・運用(PoC)

3つ目のステップは、自社にマッチするユースケースの検証に向けた、プロトタイプの開発と運用です。

 

顧客対応支援や社内のナレッジ検索、新機能・サービスの実装などの生成AIの幅広いユースケースの中から、自社の経営課題解決にマッチするいくつかのユースケースに絞り込み、プロトタイプを開発し、実際の業務で運用します。

  

PoCを実施することで、コストを抑えながら生成AI活用のインパクトを検証しつつ、見えてきた改善点から本開発の精度を高めることが可能です。

Step4:本開発と運用

4つ目のステップは、本格的な生成AIを活用したシステムの開発と運用、継続的なカイゼンです。

 

自社独自のデータ基盤の構築・連携や活用シーンに特化したアウトプット精度の改善などを実施し、自社の目的達成に特化した生成AIシステムを開発します。

 

PoCの結果を踏まえ、本開発を行うユースケースや活用範囲を決定することで、生成AI活用の費用対効果を最大化することが可能です。

 

また、開発しっぱなしで終わるのではなく、本開発したシステムを運用し上がった成果や改善点、技術進化などを踏まえて、活用方法や内容を継続的にカイゼンしていくことが重要です。

 

このプロセスを通じ、生成AI活用のポテンシャルを最大限に発揮することで、業務生産性や顧客への提供価値の観点から、大きな競争優位性を構築することに繋がります。

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