AIによる人手不足解消の事例9選|4大メリットや注意点も紹介
2022年末に登場したChatGPTなど、AIはますます性能が向上しており、幅広い業界の企業が活用を進めています。
本記事では、AIを人手不足解消のために活用したい方向けに、AIの導入により人手不足解消に成功した事例について、4つのメリットや注意点とともにまとめてご紹介します。
また、AI総研では経験豊富なコンサルタントによる、AI・ChatGPT活用の個別無料相談会を実施しております。自社に合った活用方法や導入の進め方などでお困りの方はお気軽にご相談ください。
そもそもAI(人工知能)とは?
AIとは、「Artificial Intelligence(人工知能)」の略称で、コンピューターがまるで人間のように学習・判断・予測などの知的作業を行うことを可能にする技術のことを指します。
例えば、画像を認識し異常を検知する、過去のデータから未来を予測する、依頼を元に文章や画像を作成するなどの様々な活用が可能です。
近年、ビッグデータの蓄積や分析技術の進歩などにより、2020年以降その性能が飛躍的に向上し、幅広い業界・用途での活用が急激に進んでいます。
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AIにより人手不足を解消する4つのメリット
AIにより人手不足を解消するメリットとして以下の4つが挙げられます。
- ①作業時間の短縮と効率化
- ②コスト削減
- ③エラー数の減少
- ④サービスの質向上
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①作業時間の短縮と効率化
特に、計算や事務作業などの単純作業については、AIに任せることで人間よりもはるかに早く効率的に完了することができ、大幅な作業時間の短縮と業務効率化を実現できます。
②コスト削減
定型的な業務を中心に、AIが業務の全部又は一部を人間に代替することにより、人件費や採用・教育にかかるコストを削減することができます。
③エラー数の減少
AIによる業務の自動化により、ケアレスミスなどのヒューマンエラーをなくすことが可能です。
④サービスの質向上
AIによって、サービスの質の標準化や、24時間365日の丁寧な顧客対応を実現し、サービスの質を向上させることが可能です。
AIによる人手不足解消の事例9選
AIによる人手不足の解消に成功した事例として、以下の9つが挙げられます。
- ①ヤマト運輸:AIオペレータによる集荷依頼対応の自動化
- ②デンソー:トマトの自動収穫ロボットを開発し、農作業を自動化
- ③LINE:エンジニアが生成AIを活用し1日2時間の業務効率化
- ④清水建設:画像認識AIにより施工状況のOK/NGを判定
- ⑤オムロン:言語指示で動くロボットを開発し、自動化に期待
- ⑥英検:ライティングとスピーキングの採点にAIを導入し効率化
- ⑦共栄火災海上保険:社内問い合わせの自動化により定型的な照会が減少
- ⑧三菱UFJ銀行:生成AIの導入で月22万時間の労働時間の削減へ
- ⑨福岡和白病院:来院前のAI問診で受付・問診業務の自動化
それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。
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①ヤマト運輸:AIオペレータによる集荷依頼対応の自動化
ヤマト運輸は、顧客からの集荷依頼の電話にAIの自動音声オペレータが対応する「AIオペレータ」を導入しました。
顧客がヤマト運輸のサービスセンターに電話し、音声ガイダンスに従いボタンを押すと、AIオペレータの受付が開始されます。オペレータに、集荷先の住所や希望する配達時間を伝えると、AIが音声を認識します。
これにより、顧客からの電話対応にかかる人員コストの大幅な削減、業務効率化・人手不足解消に成功しました。
②デンソー:トマトの自動収穫ロボットを開発し、農作業を自動化
デンソーは、AIを搭載したトマトの自動収穫ロボットを開発しました。AIロボットが24時間稼働し、完全に自動でトマトを収穫することができます。
AIの画像認識技術を用いてトマトの実がどこにあるかを認識し、それをもとにAIがロボットアームの動きを制御します。
これにより、収穫作業の自動化を実現でき、人手不足の解消や農作業の効率化、生産性の向上に貢献すると期待されています。
③LINE:エンジニアが生成AIを活用し1日2時間の業務効率化
LINEヤフーは、生成AIを全面的にソフトウェア開発に導入し、エンジニアの作業時間を1日当たり約2時間削減しています。
具体的には、米マイクロソフトの子会社であるギットハブの「GitHub Copilot」を利用し、エンジニアが実装したい機能や動作に必要なコードを自動生成し、開発時間を短縮しています。
これにより、エンジニアの人材不足を解消するとともに、エンジニアの貴重なリソースを高付加価値の業務に集中できるようになり、企業の競争力向上への寄与が期待されます。
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④清水建設:画像認識AIにより施工状況のOK/NGを判定
清水建設は、ガス圧接継手の施工現場に画像認識AIを導入する取組みを実施しました。ビルの鉄筋継手をスマホで撮影した画像を画像認識AIに解析させ、施工状況が問題ないか否かを判定させます。
清水建設は、問題ないか否かを正しく判断させるために、正しく施工したガス圧接継手の数百枚の写真を教師データとして学習させました。
これにより、1か所当たり5分ほどかかっていた検査作業が、20秒から30秒に短縮されるなど、大幅な業務効率化を実現し、検査にかかる人員不足の解消に貢献しています。
⑤オムロン:言語指示で動くロボットを開発し、自動化に期待
オムロンサイニックエックス(OSX)は、ロボットアームが自然言語の指示に応じて動作する技術の開発に取り組んでいます。
この技術は、食材の切り方など、特定の作業動作を学習したAIモデルが生成することで実現されます。
このプロジェクトは、人間の思考プロセスを模倣することで、ロボットがより自然な方法で人間の代わりにタスクを実行できるようにし、人手不足解消につながると期待されています。
⑥英検:ライティングとスピーキングの採点にAIを導入し効率化
日本英語検定協会は、2019年度から英検のライティングとスピーキングの採点にAIを導入しています。採点へのAI導入により、採点者の負担軽減・人手不足解消と採点精度の向上を目指します。
英検協会は、AI採点の導入により、品質を維持しながら24時間稼動が可能となり、より迅速で正確な採点が実現するとしています。
また、この技術導入によって、英検の受験者増にも柔軟に対応でき、時代に即した英語教育への貢献が期待されます。
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⑦共栄火災海上保険:社内問い合わせの自動化により定型的な照会が減少
共栄火災海上保険は、パナソニックソリューションテクノロジーが提供する社内問い合わせ向けAIチャットボット「WisTalk」を導入しました。
同社は、1000名以上の営業担当者から日々問い合わせが来ており、朝から晩まで電話が鳴り続けている状態でした。この状況を改善するため、AIチャットボットを導入し、問い合わせ対応を自動化しました。
これにより、マニュアルを読めばわかるような定型的な照会が減少し、業務効率化や従業員の負担軽減を実現することができました。
⑧三菱UFJ銀行:生成AIの導入で月22万時間の労働時間の削減へ
三菱UFJ銀行が生成AI「ChatGPT」の導入により、業務プロセスを革新し、月22万時間分の労働時間が削減可能との試算を発表しました。
生成AIの導入により、社内文書のドラフト作成や稟議書の作成が効率化され、顧客との対話やサービス提供の質の向上に時間を割くことができるようになります。
さらに、ウェルスマネジメント業務においてもAIの活用が検討されており、顧客の詳細なニーズに基づいたパーソナライズされた提案が可能になると検討しているとのことです。
⑨福岡和白病院:来院前のAI問診で受付・問診業務の自動化
福岡和白病院は、患者が来院前に問診を受けることができる来院前AI問診を実施しています。
患者は、来院前にスマホ又はパソコンからホームページにアクセスし、AIによる事前問診に答えるだけで簡単に問診を受けることができます。
これにより、病院側としては、問診業務の自動化による業務効率化や人手不足の解消を実現でき、患者としては来院後の待ち時間を短縮することができます。
企業がAI活用を成功させるための5つのポイント
企業がAI活用を成功させるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。
- ①中長期でのAI活用戦略の策定
- ②投資対効果の高い活用目的・方法の選定
- ③アジャイルアプローチでの開発・導入
- ④システムとルールの両面からのリスク管理
- ⑤研修等での社員のAI活用リテラシー向上
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①中長期でのAI活用戦略の策定
AIの性能進化が加速しているこれからの時代、足元の取り組みはもちろん、3年・5年スパンでAIをどこまでダイナミックに活用できるかが、企業の競争優位性に直結します。
また、AI活用のレベルは、比較的簡単な各社員のAIツール利用による生産性向上から、AI活用による業務プロセス革新、顧客向けサービスの進化、新サービス/商品の創出まで様々です。
そのため、中長期で目指すAI活用の姿を見据え、その実現に向け逆算したロードマップや、まず足元進めるべき活用を設計することが重要です。
②投資対効果の高い活用目的・方法の選定
AIは人間と同様、全ての業務に対して万能という訳ではなく、膨大なデータに基づいた分析や対応、コンテンツ制作は得意だが、複雑な問いに対して正確な答えを出すのは苦手といった、得意不得意が明確に存在します。
そのため、自社の業務の現状やAIの特徴を踏まえた上で、どのような課題/目的に対して、どのようなアプローチ/範囲/ツールで活用を進めるかを、検討・選定するステップがプロジェクトの投資対効果を左右する、極めて重要なプロセスとなります。
③アジャイルアプローチでの開発・導入
AIは、一度開発・導入して終わりという進め方ではなく、何度もモデル・学習データ・利用方法等を細かくカスタマイズしなおすことで、より理想とする活用を実現することができます。
具体的には、初期仮説に基づいた簡易的なプロトタイプを構築し実際に利用してみる、というサイクルを、1サイクル数週間~数ヶ月の期間で何度も繰り返し、ブラッシュアップしていくという、アジャイル開発のアプローチを取ることが適しています。
④システムとルールの両面からのリスク管理
企業がAI活用に踏み切れない最大の理由として、機密情報漏洩などのリスクへの懸念が挙げられます。
確かに、社員に特段ルールを設けず、一般に公開されているAIツールを使用させるなどの場合、様々な問題が発生する可能性は存在します。
一方で、セキュリティ対策を行ったシステム構築や、社員向けのAIの使用ルールやガイドラインの策定により、リスクをマネジメントし最小化することが可能です。
⑤研修等での社員のAI活用リテラシー向上
AI(特に生成AI)を活用するにあたっては、同じAIを利用していても、使い手のリテラシーによって成果が大きく左右されるという点に注意が必要です。
そのため、AIのポテンシャルを最大限に活用するためには、従業員のAIに対する理解とスキル、すなわちAI活用リテラシーを向上させることが不可欠です。
そこで、研修プログラムや実践的なトレーニングを通じて、従業員がAIの基本的な知識、適切な使用方法、関連するリスクを理解してもらい、効率的かつ責任ある方法で使用できる環境の構築が重要となります。
企業がAIを導入するための4つのステップ
企業がAI導入を進めるための流れとして、以下の4つのステップがあげられます。
<STEP1:活用業務の選定>
- 最新の市場動向のリサーチ
- 自社での活用対象業務の幅出し・選定
- AI活用の目的・目標の設定
<STEP2:活用範囲と業務プロセスの決定>
- 対象業務の棚卸し・効率化余地の検討
- AIを活用する業務範囲の決定
- AIと人間の役割分担の設計
<STEP3:試験開発・運用(PoC)>
- 要件定義・プロトタイプ開発
- 試験運用
- フィードバック収集・評価
<STEP4:本開発・運用>
- PoCを踏まえた本開発
- 運用・評価
- 活用方針・方法の継続的なカイゼン
各ステップについてわかりやすく紹介していきます。
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STEP1:活用業務の選定
AIは、定型的な社内業務の効率化から新規事業創出まで幅広い業務に活用可能だからこそ、
AI活用の投資対効果が高い業務を適切に選定することが最も重要となります。
最新の技術や競合の活用動向をキャッチアップした上で、自社の活用可能性の幅出し・整理を行います。その上で、AIをどのような業務・目的・成果目標で導入するかを設定しましょう。
STEP2:活用範囲と業務プロセスの決定
大きなポテンシャルを持つAI活用ですが、人間と同様、どのようなシチュエーション・任せ方でも万能というわけではありません。
そのため、活用業務の現状・課題と、AI・人間の得意/不得意を踏まえた上で、どの範囲の業務をどのように人間と協業しながら任せるかを決定することが重要になります。
STEP3:試験開発・運用(PoC)
いきなり大規模な導入を進めるのではなく、比較的小規模な試験開発・運用(PoC)により、その有効性を確かめることで、AI活用全体の投資対効果を大きく高めることが可能です。
検証したい仮説を事前に明確にした上で、実際にプロトタイプでの試験運用を行い、活用業務や方法の改善ポイントを洗い出しましょう。
STEP4:本開発・運用
PoCで得られた改善ポイントに基づき、自社の経営課題・業務の現状にベストマッチするAI活用の内容やシステムの要件を再度設計し、本開発を行います。
また、本開発後も継続的に成果や活用状況を評価し、継続的なカイゼンを行うことで、自社でのAI活用のインパクトを最大化することができます。
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