音楽ライブへのARの活用事例7選|3つのメリットも紹介
関連技術の進歩などを背景とし、今後急速に人々の生活や仕事に普及していくと考えられるAR。
その注目度の高さから、音楽ライブでも、ARを活用する動きが活発化しています。
一方で、「ARをどのようにして音楽ライブに活用するかがわからない」、「ARを音楽ライブに活用するメリットが知りたい」という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、ARの音楽ライブへの活用方法について、メリットや事例とともに分かりやすくご紹介します。
本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。
- ARをどのようにして音楽ライブに活用するかがわからない
- ARを音楽ライブで活用するメリットが知りたい
- ARを活用している音楽ライブの企業の事例をおさえておきたい
本記事を読めば、ARの音楽ライブへの活用方法から事例まで一気にキャッチアップできる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。
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目次
そもそもARとは?
ARとはAugumeted Realityの略称で、拡張現実とも呼ばれます。リアルの世界にデジタルの情報/コンテンツを視覚的に重ね合わせることで、リアルの世界を拡張する技術のことを指します。ARには、ゴーグルを装着せずに、スマートフォンやタブレットの画面にデジタルの情報/コンテンツを表示させるものも含みます。
ARを活用することで、「Pokemon Go」のように、リアルの街にポケモンが存在するかのようなゲームを楽しんだり、「GoogleMap」のARナビのように、リアルの街に道順を示す矢印などの情報が表示され、スムーズに目的地にたどり着くことができたりと、私たちの暮らしをより豊かに・便利にすることができます。
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音楽ライブにARを活用する3つのメリット
音楽ライブにARを活用するメリットとして、大きく以下の3点が挙げられます
- ①ARならではの演出による顧客体験の向上
- ②物理的な工事などが不要で演出を追加できる
- ③ARを活用したグッズ販売による売上向上
それぞれについて、以下でわかりやすく解説します。
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①ARならではの体験を届けることができる
ARを活用したライブでは、リアルだけのライブでは実現の難しい体験をユーザーに提供することができます。
開催者側は、シーンを一瞬で切り替える、アクロバティックなパフォーマンスの実現など演出の幅を広げられます。
観客は音楽ライブでアーティストの目線でライブへ参加できたり、イベント会場内での移動に時間がかからなかったりと、ARならではの体験が可能です。
②物理的な工事などが不要で演出を追加できる
ARは施設工事不要でソフトウェアにより提供可能なため、実際に施設工事を行うよりコストを抑えられます。リアルでは時間や費用がかさみがちなシーズン毎の演出の切り替えなどにも相性が良いです。
これにより企業は施設工事に時間をかけず、ライブの演出の工夫やプロモーション施策に限られたリソースを投下できます。また、物理的な構造物やインフラが不要なため、大規模イベントで近年問題になっている環境への影響を最小限に抑えることができます。
③ARを活用したグッズ販売による売上向上
ARをライブグッズの物販に活用することで、売上向上を見込める可能性があります。
現状のライブグッズ販売のチャネルは、会場での直販もしくはECでの販売がメインとなっています。現状のやり方では試着や実際の商品に触れてイメージを確かめることが難しいのに対し、ARを活用すれば、購入前に商品を3D映像として表示しあらゆる角度から見ることができるため、AR活用によるリターンが大きいと考えられます。
直販のための行列に並んでいる間にARでの試着を行うことで、サイズ違いやイメージとギャップがあるなどのリスクを軽減でき、グッズの顧客満足度の向上、売上向上に繋がる可能性があります。
音楽ライブへのARの活用事例7選
音楽ライブへのARの活用事例として代表的なものに、以下の7事例が挙げられます。
- ①マドンナ:ARを使って自分の分身と共演するライブを開催
- ②いきものがかり:ARを活用してソニーストアからライブ鑑賞が可能
- ③GLAY:ライブと並行してARを活用した聖地巡礼イベントを開催
- ④AR Artist KENTO:ARを活用した演出のライブを全世界に配信
- ⑤ソニーミュージック:最先端のXRライブプロジェクトを実施
- ⑥にじさんじ:バーチャルライバーと生バンドによるARライブイベントを開催
- ⑦KAGI NIGHT:ARアーティストと生バンドのセッション
それぞれについて、わかりやすく解説します。
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①マドンナ:ARを使って自分の分身と共演するライブを開催
マドンナは、2019年のビルボード・ミュージック・アワードの授賞式でのパフォーマンスにおいて、ARを活用して自身の分身と共演する演出を行いました。
パフォーマンスでは、本人がエージェント、ミュージシャン、インストラクター、花嫁の衣装を着た自身のAR映像と共にパフォーマンスを行い、まるでマドンナ本人が5人いるかのような演出を施しました。4人の分身は突然現れ、泡のように消えるなどARでしかできない演出でパフォーマンスを盛り上げました。
②いきものがかり:ARを活用してソニーストアからライブ鑑賞が可能
いきものがかりは、2020年にリアルで開催したライブを撮影してAR動画として全国のソニーストアで鑑賞できるキャンペーンを行いました。
観客は、ソニーストアに設置されたXperiaの向きを変えることで様々な視点からライブを視聴できる点が特徴です。これは「Volumetric Capture」と呼ばれる技術で、実世界の空間を丸ごと撮影し、視点を動かしてあらゆる角度から視聴できるようにするAR技術です。
AR技術を活用することで、楽曲の世界観やライブそのものを、場所を選ばずによりリアルに臨場感を持って楽しむことができるという新しい体験を提供し、ユーザーの満足度向上や新規ファンの獲得につながったとのことです。
③GLAY:ライブと並行してARを活用した聖地巡礼イベントを開催
GLAYは、自身の野外ライブと並行して、音声AR技術を利用した聖地巡礼イベント「グレナビ」を開催して、ファンと自身の音楽観やバックボーンを共有しました。
ファンは、メンバーの地元である函館をめぐり、GLAYゆかりの地を訪れるとアプリから通知が届き、GLAYの楽曲をBGMにメンバーによる裏話やその地に関するコメントを楽しむことができました。
コンテンツが用意された19か所のGLAYゆかりの地では、イベント開催期間中に人流が112%増加し、コラボした函館市の地域振興にも繋がりました。
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④AR Artist KENTO:ARを活用した演出のライブを全世界に配信
マイケルジャクソンにも認められたダンサーであるKENTOは、ARを活用した演出を使ったライブ配信を行いました。
パフォーマンス中は、最先端のリアルタイムモーションキャプチャーにより認識されたKENTOの身体動作に連動する形で、その場その場でARエフェクトが加えられました。これにより、KENTOの今回のコンセプトである「目に見える音楽」を存分に届けることができました。
⑤ソニーミュージック:最先端のXRライブプロジェクトを実施
株式会社ソニー・ミュージックレーベルズは新たな仮想空間プロジェクト「ReVers3:x(リバースクロス)」の始動を発表しています。「ReVers3:x」では独自に制作した仮想空間を舞台に様々なアーティストのライブを楽しむことができるショートライブプロジェクトです。
「ReVers3:x」の第1弾として、ラッパーのKEIJUのライブが配信されました。仮想空間上に作られた東京のストリートに設置されたステージ上にはデジタルアーティストによるアートも配置され、音楽のみならず、空間としても楽しめるコンテンツとなっています。
⑥にじさんじ:バーチャルライバーと生バンドによるARライブイベントを開催
ARバーチャルライバーグループのにじさんじは、2021年にバーチャルライバーと生バンドのコラボによるARライブを開催しました。
このライブは、リアル会場でのライブビューイングとネット配信の二つの形式で行われ、観客はライバーと生バンドの演奏に加えて、ARによる豪華な演出を合わせて楽しむことができました。
ARの活用によって、ネット配信が中心だったライバーの活動の場がリアルイベントまで広がり、バーチャルライバーの新たな活動のチャネルとして注目される事例となりました。
⑦KAGI NIGHT:ARアーティストと生バンドのセッション
ARアーティストによるライブイベントである「KAGI NIGHT2022」は、リアルとバーチャルの会場の両方で開催され、実際のライブ会場でARアーティストと生バンドのセッションを行いました。
観客はリアル会場とオンライン会場のどちらからでも、ARアーティストと生バンドによる演奏を楽しむことができます。また、リアル会場の特典として、ARパフォーマンスがいつでも見られるQRコードがついたオリジナルカードがプレゼントされました。
オンラインで手軽に鑑賞する、リアル会場で他の観客とともに盛り上がるなど、観客の好みに応じて様々な楽しみ方を提供できた取り組みとなりました。
音楽ライブでAR活用を進めるための4つのフェーズ
音楽ライブでAR活用の進める流れとして、大きく以下の4つのフェーズが挙げられます。
- Phase1:市場動向・知見のキャッチアップ
- Phase2:戦略/企画の立案
- Phase3:事業計画の策定
- Phase4:開発・運用
それぞれのフェーズについて分かりやすく紹介していきます。
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Phase1:市場動向・知見のキャッチアップ
1つ目のPhaseとして取り組むべきは、最先端の市場動向・知見のキャッチアップです。MetaやApple、Microsoftなどのビックテックやユーザーの動向・先行活用事例など、日々変化する市場動向やナレッジへのキャッチアップが必要です。
このフェーズが、成果に繋がる骨太な戦略/企画策定の基盤となります。
Phase2:戦略/企画の立案
2つ目のPhaseはAR活用の戦略/企画です。活用目的を踏まえ、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方、実現に向けた企画を立案しましょう。
ユーザーバリューと自社の事業性の両方を満たす、質の高い戦略/企画の立案が、成果につながるAR活用の実現に向け最も重要なポイントとなります。
Phase3:事業計画の策定
3つ目のPhaseは事業計画の策定です。事業に期待する成果や開発・運用のアプローチやタイムライン、必要な投資額などを検討しましょう。
AR開発・運用といっても、プロジェクト毎に求められるケイパビリティは様々であるため、自社にマッチするツール・ベンダーの選定が非常に重要です。
Phase4:開発・運用
4つ目のPhaseが開発・運用です。AR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを有効活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完しつつ、ユーザーに届けたい体験を実現するARの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。
4つのフェーズで取り組むべき35のステップに関しては、以下の関連記事で詳しく解説しています。
※関連記事:メタバースを活用した事業を作る方法|全4フェーズと35ステップ【担当者必見】
音楽ライブでAR活用で成果を上げるための5つのポイント
音楽ライブでのAR活用で成果を上げるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。
- ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
- ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
- ③ユーザーファーストなUX設計
- ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
- ⑤強力な開発・運用体制の構築
それぞれについて分かりやすく紹介していきます。
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①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。
デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。
AR活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。
②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案
2つ目のポイントは、ARを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。
現在AR活用に取り組む企業には、AR活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。
その結果、活用のPDCAが回らない、AR活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。
自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜARではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。
③ユーザーファーストな企画・UX設計
3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなARの企画・UX設計です。
現在、多くの企業がARに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなARが多く存在します。それらのARは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。
そのため、「ARならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。
④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。
AR市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。
そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。
⑤強力な開発・運用体制の構築
5つ目のポイントは、強力なAR開発・運用体制の構築です。
高いユーザー体験と事業性を両立するARの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。
AR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。
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