住宅展示場へのVRの活用事例5選|4つのメリットも紹介
関連技術の進歩やオンラインコミュニケーション需要の高まりなどを背景とし、今後急速に人々の生活や仕事に普及していくと考えられるVR。
ゲームやエンタメ業界の活用が注目されがちですが、不動産業界との相性も良いことから東急不動産や大和ハウスなどの大手企業も相次いで参入を始めています。
一方で、「不動産業界にどのようにVRを活用するのかイメージが沸かない」、「具体的にどのような活用事例があるのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、不動産の中でもVRの住宅展示場への活用事例をメリットとともにわかりやすくご紹介します。
本記事は、以下のような方におすすめの記事となっています。
- 住宅展示場にVRを活用した先行事例を知りたい
- 住宅展示場にVRを活用するメリットについて知りたい
- VR活用は実際にどのように進めればいいのかわからない
本記事を読めば、住宅展示場へのVR活用についての知識を一気にキャッチアップできる内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。
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目次
そもそもVRとは?
VRとはVirtual Realityの略称で、別名仮想現実とも呼ばれます。最先端の3DモデリングやVRデバイス、ゴーグル等の技術により、まるでその世界に入り込んでいるかのように感じられる、デジタル上の仮想空間を提供する技術のことを指します。
日本バーチャルリアリティ学会ではVRを「みかけや形は原物そのものではないが、本質的あるいは効果としては現実であり原物であること」と定義しています。すなわち、VRは、現実世界そのものではないが、実質は現実世界とほとんど変わらないという意味です。
VRの定義についてはこの他にも色々な考え方がありますが、いずれにしても、本質的には現実とほとんど変わらないというところがポイントになります。
様々なユースケースの中でも特にゲームの使用を中心に利用が拡大しており、まるでゲームの世界に入り込んだかのような没入感・臨場感を感じながらプレイすることが出来ます。
また、最近ではゲームだけでなく、仮想現実に出店し商品を販売したり、仮想空間上で社員研修や教育を行ったり、建築のシミュレーションを行ったりするなど、様々な分野でVRが活用されています。
VRを住宅展示場に活用する4つのメリット
VRを住宅展示場に活用するメリットとして以下の4つが挙げられます。
- ①住宅展示場訪問の手間が解消され集客力が向上
- ②視覚的に魅力を伝え、成約率が向上
- ③コロナ禍でも安全に内見・住宅展示場訪問が可能
- ④住宅・不動産業者の内見対応などの業務効率が改善
それぞれのメリットについてわかりやすく紹介していきます。
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①住宅展示場訪問の手間が解消され集客力が向上
試しに物件を見たいだけなのに、いちいち現地に足を運ぶ手間が省けるため、顧客は便利なVR・VRを導入している不動産会社を好んで利用するようになることが想定されます。特に遠方の別荘などの物件は、VRによって集客力向上が期待できます。
②視覚的に魅力を伝え、成約率が向上
VR・ARを活用することで家に居ながらにして、実際に内見に訪れたかのような体験ができます。また、ARを活用することで、実際に内見に訪れた際に、家具をレイアウトした後のインテリアのイメージを視覚的に確認することが出来るなど、口頭や文章で説明するよりも、より具体的な入居後のイメージを湧かせることができます。
③コロナ禍でも安全に内見・住宅展示場訪問が可能
新型コロナウイルスの感染拡大をうけ、あらゆる対面の営業活動が制限されるようになりました。そんな状況下でもVRを活用することで、非対面で内見を実施することも可能です。
④住宅・不動産業者の対応などの業務効率が改善
VR・ARにより、不動産会社は様々な時間的制約を解消することができます。その結果、業務効率を向上させることができます。従来の方法では、不動産会社は顧客を物件に案内する必要がありましたが、VRを利用することで、この時間のかかる作業を省くことができます。不動産会社は「物件訪問」「物件への移動」の時間を省くことで、成約までの工数を大幅に削減することができます。
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VRを活用した住宅展示場の事例・サービス5選
VRを活用した住宅展示場の事例・サービスとして以下の5つが挙げられます。
- ①東急不動産:複数人での同時参加可能なVRモデルルーム
- ②大和ハウス:VR上の住宅展示場を自由に見学
- ③神稲建設:VR上のモデルハウスを自社で開発
- ④メタ住宅展示場:全国のVRモデルハウスを内覧できるプラットフォーム
- ⑤LIVRA WORLD:住宅業界初のバーチャル住宅展示場
それぞれの事例・サービスについてわかりやすく紹介していきます。
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①東急不動産:複数人での同時参加可能なVRモデルルーム
東急不動産は、複数人が同時に参加できるモデルルームをブランズシティ湘南台マンションギャラリーにて公開しました。こちらのVRモデルルームはVR企画制作を行うハシラス社のVRソリューションである「キネトスケイプ」を活用しています。
これまでのVRモデルルームは体験人数が1人に限定されていましたが、こちらのソリューションを活用することにより、複数人で同時にVRを視聴することが可能になり、ご家族と話をしながらのリアルな内見さながらの体験をすることが可能です。こちらの物件は若い世代がターゲットであることから、VRでの物件提案が有効と考え導入を決定したとのこと。今後も他のマンションギャラリーへの活用を進める方針です。
②大和ハウス:VR上の住宅展示場を自由に見学
大和ハウスはアバターを用いて担当者と見学者がコミュニケーションを図りながら仮想空間上の住宅展示場を自由に見学できる「VR住宅展示場」を公開しました。ユーザーはスマホやタブレット・PCからVRにアクセスでき、最大6名の見学者とともに担当者にリアルタイムに質問や相談を実施することが可能です。
VR上にある住宅展示場という特徴を活かし地面から屋根の上までさまざまな角度から見学できることに加え、室内では子どもやペットなどの視点でも見学が可能です。また、見学者が床や壁紙・天井等の色や素材、インテリアなどを瞬時に切り替えて、イメージを検討することもできます。今後、対応する住宅商品ラインナップを拡充していく方針とのことです。
③神稲建設:VR上のモデルハウスを自社で開発
総合建設業の神稲建設がVR上に同社の住宅展示場「くましろハウジング」を開設しました。ユーザーは同社HPより無料の専用アプリをダウンロードすることで見学が可能。住宅展示場ではCADデータを基に再現されたオリジナルの企画住宅をアバター姿で見学することができ、リビングや寝室、天井の高さなどの幅を確かめることができ、実際にモデルハウスを訪れているかのような臨場感を味わうことが可能です。
こちらの「くましろハウジング」はコロナ禍でモデルハウスを訪れる事が難しい、県外から移住したいといった要望を受け開発されました。今後は、イベントの開催などにより、来訪者同士でコミュニケーションが取れる場にしていきたいとのことです。
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④メタ住宅展示場:全国のVRモデルハウスを内覧できるプラットフォーム
リビン・テクノロジーズ株式会社は、VR上に全国の住宅会社のVRモデルハウスを一堂に集めたバーチャル住宅展示場を開設し、ゴーグル要らずでスマホやPCからVR内覧できる「メタ住宅展示場」をリリースしました。
メタ住宅展示場には全国の住宅会社のVRモデルハウスが一堂に集まるため、ユーザーは時間や場所の制限なく、住宅会社を比較検討することができます。実際に建築された住宅の屋内を高画質4Kデジタル撮影するため、リアルな質感で室内を歩いているように内覧することが可能です。
一方で、出展する住宅会社側のメリットとして多くの住宅購入希望者にリーチできること、超高画質のVRにより3Dパースよりも大幅に訴求力が向上すること、実際の住宅展示場と比較して大幅にコストが抑えられることなどが挙げられます。
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⑤LIVRA WORLD:住宅業界初のバーチャル住宅展示場
岡田工業株式会社はパソコンやスマートフォン で24 時間好きな時に、いつでもどこからでも内覧できるバーチャル住宅展示場「LIVRA(リブラ) WORLD」を一般公開しました。VRの特徴を活かし、従来の住宅展示場では難しい、ニーズに合わせた間取りの変更が可能であり、また複数の住宅を見比べるといったことも、家に居ながらにして可能です。さらに今後は、外壁や内装などの色合いを納得がいくまで試せるカラーシミュレーションや、素材やオプションをアレンジした際の費用を確認する価格シミュレーション機能なども随時実装予定とのこと。
出展する中小工務店のメリットとしては、顧客は、実際の住宅展示場やモデルハウスを訪れる前に、当サービスを利用し、シミュレーションを行うことで、戸建住宅を建てるイメージを家族で共有し、概算価格などの情報を把握したうえで、来店予約やオンライン相談となるため、購入確度の高い顧客の送客ができること、実物のモデルハウスを建築することよりもコストが抑えられることなどが挙げられます。
今後は、住宅購入に併せて検討される家具についても、バーチャルでサイズ感の確認や配置のシミュレーション行った後、気に入ったものをワンストップで購入できるサービスの実装など、顧客のライフスタイルをサポートできる様々なサービスの提供を実現するプラットフォームを目指しているとのことです。
住宅展示場へのVR活用で成果を上げるための5つのポイント
企業がVR活用で成果を上げるためのポイントとして以下の5つが挙げられます。
- ①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
- ②活用目的の明確化と骨太な戦略策定
- ③ユーザーファーストなUX設計
- ④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
- ⑤強力な開発・運用体制の構築
それぞれについて分かりやすく紹介していきます。
①最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップ
1つ目のポイントは、最先端の市場動向・ノウハウのキャッチアップです。
デバイスの進化やユーザーの動き、各領域の先進事例をキャッチアップし、自社が取り組むべき活用方法や成果に繋がる活用のポイントを抑えた上で活用に着手しましょう。
VR活用には取り組むのに一定の予算や工数が必要となるため、自社にとって重要な最新動向や活用のノウハウを抑えておくことが、成功確度の高い戦略・企画立案の大前提となります。
②活用目的の明確化と骨太な戦略の立案
2つ目のポイントは、VRを活用する目的の明確化と骨太な戦略の策定です。
現在VR活用に取り組む企業には、VR活用の取り組みが単発で終わってしまっている企業が見受けられます。
その結果、活用のPDCAが回らない、VR活用が小粒な施策の1つに留まってしまうなど大きな収益機会の獲得に繋がらないという結果に終わってしまいます。
自社の経営課題を踏まえ、「活用によりどのような経営課題を解決したいのか?」「課題解決の打ち手としてなぜVRではないといけないのか?」といった明確な活用目的を整理した上で、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方などの実現に向けた戦略を立案しましょう。
③ユーザーファーストな企画・UX設計
3つ目のポイントは、自社のターゲットにとってユーザーファーストなVRの企画・UX設計です。
現在、多くの企業がVRに参入を進めていますが、そのなかには、企業側の都合のみでサービス・体験が設計されたようなVRが多く存在します。それらのVRは、ユーザーに利用されず、企業の活用の目的を達成できない結果に終わってしまいます。
そのため、「VRならではの高い体験価値を届けられているか」や「ユーザーの利用にあたっての手間や負担が大きくないか」といった観点を踏まえたUX設計が重要です。
④アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進
4つ目のポイントは、アジャイルアプローチによるプロジェクトの推進です。
VR市場は今後大きな成長が予想されているものの、いまだ成長期にあり、様々な業界の企業が中長期的な収益最大化に向け、最適な活用を模索している段階にあります。
そのため、計画と実行のプロセスを短いスパンで回し、仮説立案・実行・検証・施策立案のサイクルを何度も繰り返すことが、プロジェクトを机上の空論で終わらせないために重要です。
⑤強力な開発・運用体制の構築
5つ目のポイントは、強力なVR開発・運用体制の構築です。
高いユーザー体験と事業性を両立するVRの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。
VR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完することも有効です。
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住宅展示場へのVR活用を進めるための4つのフェーズ
企業のVR活用の進める流れとして、大きく以下の4つのフェーズが挙げられます。
- Phase1:市場動向・知見のキャッチアップ
- Phase2:戦略/企画の立案
- Phase3:事業計画の策定
- Phase4:開発・運用
それぞれのフェーズについて分かりやすく紹介していきます。
Phase1:市場動向・知見のキャッチアップ
1つ目のPhaseとして取り組むべきは、最先端の市場動向・知見のキャッチアップです。MetaやApple、Microsoftなどのビックテックやユーザーの動向・先行活用事例など、日々変化する市場動向やナレッジへのキャッチアップが必要です。
このフェーズが、成果に繋がる骨太な戦略/企画策定の基盤となります。
Phase2:戦略/企画の立案
2つ目のPhaseはVR活用の戦略/企画です。活用目的を踏まえ、中長期で目指す事業の姿や自社の強みの活用の仕方、実現に向けた企画を立案しましょう。
ユーザーバリューと自社の事業性の両方を満たす、質の高い戦略/企画の立案が、成果につながるVR活用の実現に向け最も重要なポイントとなります。
Phase3:事業計画の策定
3つ目のPhaseは事業計画の策定です。事業に期待する成果や開発・運用のアプローチやタイムライン、必要な投資額などを検討しましょう。
VR開発・運用といっても、プロジェクト毎に求められるケイパビリティは様々であるため、自社にマッチするツール・ベンダーの選定が非常に重要です。
Phase4:開発・運用
4つ目のPhaseが開発・運用です。VR開発・運用には幅広い領域の知見や技術スタックが求められるため、外部のベンダーなどを有効活用し、不足するケイパビリティやリソースを補完しつつ、ユーザーに届けたい体験を実現するVRの開発とマーケティングを含めた運用を実施しましょう。
4つのフェーズで取り組むべき35のステップに関しては、以下の関連記事で詳しく解説しています。
※関連記事:VRを活用した事業を作る方法|全4フェーズと35ステップ【担当者必見】
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