企業のARイベント活用事例3選|メリットや活用のポイントを解説

スマートグラスなど関連技術の進歩や、オンラインコミュニケーション需要の高まりなどを背景とし、今後急速に人々の生活や仕事に普及していくと考えられるAR。

 

そんな中、強力なIPホルダーである集英社などの大手企業が他社とコラボするなど、ARをイベントに活用する動きが注目を集めています。

 

一方で、「ARって最近よく聞くけどどんなメリットがあるかまでは分からない」、「具体的にどのような活用事例があるのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか?

 

そこで今回は、ARのイベントへの活用事例やメリット、活用にあたってのポイントをわかりやすく紹介します。

本記事をお読みいただければ、自社でのARイベント活用の検討へのヒントが得られるかと思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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そもそもARとは?

AR Pokemon Go
(画像:任天堂)

ARとはAugumeted Realityの略称で、拡張現実とも呼ばれます。リアルの世界にデジタルの情報/コンテンツを視覚的に重ね合わせることで、リアルの世界を拡張する技術のことを指します。

 

ARを活用することで、「Pokemon Go」のように、リアルの街にポケモンが存在するかのようなゲームを楽しんだり、「GoogleMap」のARナビのように、リアルの街に道順を示す矢印などの情報が表示され、スムーズに目的地にたどり着くことができたりと、私たちの暮らしをより豊かに・便利にすることができます。

企業がARをイベントに活用する3つのメリット

企業がARをイベントに活用するメリットとして以下の3つの点が挙げられます。 

 

  • ①施設工事なしで演出を追加できる
  • ②ARならではの体験を提供できる
  • ③多くのビジネスチャンスにつながる

 

それぞれについてわかりやすく紹介します。

 

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①施設工事なしで演出を追加できる

Augmented Reality dinosaurs: Jurassic Park BroadcastAR experience at Universal Studios by INDE
(動画:INDE)

ARは施設工事不要でソフトウェアにより提供可能なため、実際に施設工事を行うよりコストを抑えられます。リアルでは時間や費用がかさみがちなシーズン毎の演出の切り替えなどにも相性が良いです。

 

これにより企業は施設工事に時間をかけず、コンテンツ制作やマーケティング活動に限られたリソースを投下できます。また、物理的な構造物やインフラが不要なため、大規模イベントで近年問題になっている環境への影響を最小限に抑えることができます。

②ARならではの体験を提供できる

東京都 AR 街づくり
(画像:東京都)

ARを活用したイベントでは、リアルのみのイベントでは実現の難しい体験をユーザーに提供することができます

 

デジタルの情報やコンテンツを現実世界に拡張できるという特徴を活かし、リアルとデジタルを混合した表現や視覚的にわかりやすくユーザーに訴えかける体験が提供可能です。例として、アニメの人気キャラクターがあたかもリアルの世界で動いているかのように見せたり、リアルの構造物にビジュアライズされたデータを重ねて表現したりできます。

③多くのビジネスチャンスにつながる

AR ライブ
(画像:SATANIC CARNIVAL’17)

ARをイベントに活用することでそれまで得られなかったビジネスチャンスを獲得することができます。

 

これまでビジネスの主戦場がデジタル空間だったデジタルIP・コンテンツホルダーにとっては、リアルイベントへの入場券やリアル空間に投影可能なデジタルコンテンツの販売など収益性の高い新たなビジネス展開が可能です。

企業がARをイベントに活用する際の6つのポイント

企業がARイベントを開催する際の6つのポイント

企業がARをイベントに活用する際のポイントとして以下の6つのポイントが挙げられます。

 

  • ①ARを活用する目的やターゲットの明確化
  • ②有力IP・コンテンツとのコラボ
  • ③キャンペーンの実施
  • ④Web・SNS広告やインフルエンサーの活用
  • ⑤直感的に操作できるUI設定
  • ⑥自社/他社の顧客基盤の活用

 

それぞれについてわかりやすく紹介します。

 

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①ARを活用する目的やターゲットの明確化

必要なAR体験

ARをイベントに活用するにあたって、イベントの目的とターゲットのニーズを明確にすることが、どんなARの機能や体験を実装するべきか考えるにあたり重要なポイントとなります。新製品の発表会のイベントでは、ブランドの認知度向上や顧客エンゲージメントの促進に資するAR体験を実装する必要があり、ターゲットの年齢や性別などに応じて体験を提供するデバイスを決定する必要があります。

 

活用の目的とターゲットを明確にすることで、そのARイベントは参加者にとってより魅力的なものとなり、活用する企業にとってよりリターンの大きいものとなります

②有力IP・コンテンツとのコラボ

AR ドラゴンボール
(画像:集英社)

有力IP・コンテンツとコラボを行うことはARイベントを成功させる上で重要なポイントです。有名キャラクターなどのIPやコンテンツとのコラボレーションを行うことで、それらのファン層がイベントに参加するきっかけをつくることができます

 

闇雲に有名IP・コンテンツとコラボを試みるのではなく、①の目的やターゲットを明確にしたうえで、ターゲットと親和性の高いIP・コンテンツとコラボを行うことが重要です。

 

また、ARはデジタルの画面の姿がそのままデバイスに映し出すことが可能であるため、リアルでは再現の難しいキャラクターであってもコラボレーションが行いやすいという特徴があります。

③キャンペーンの実施

AR 松戸市
(画像:松戸市)

イベントに合わせてキャンペーンを行うことも、イベントへの集客を行う上で重要なポイントです。キャンペーンの例としては、イベントに来場しAR体験を行うと、来場者限定のグッズやコラボしたIP・コンテンツが貰えるものが代表的です。

 

また、単にイベントに来場するだけでなく、全てのAR体験を回り切ったり、メインターゲットがイベントに来場しにくい曜日・時間帯での来場したりといった、特定のアクションに対して報酬を与えることで、集客力を高めつつユーザーがARイベントを深く楽しむきっかけをつくることができます。

④Web・SNS広告やインフルエンサーの活用

AR マーケティング
(画像:ANYCOLOR)

Web・SNS広告やインフルエンサーの活用も重要なポイントです。今後、ARでのイベントが増え希少性が低くなっていくにつれ、ARを活用したイベントもよりニッチなものが多数登場すると予想されます。

 

そのため、ターゲットとなるセグメントの属性に合わせたインフルエンサーの活用や、WebやSNSでのターゲット広告を活用しプロモーションを行うことで、費用対効果の高い集客を実現することが可能です。

⑤直感的に操作できるUI設計

直感的に操作できるUI設計を行うことも、ARをイベントに活用するために必要な要素です。イベントで提供するARコンテンツは、ターゲットのセグメントが普段よく使うデバイスに合わせた設計とすることが望ましいです。

 

他にも障がいや年齢による制約があるユーザーを想定しアクセシビリティに配慮したUI設計を行う、プロトタイプで実際のユーザーを対象としたテストを行いフィードバックを得てUIを改善するなど、ARコンテンツがターゲットのセグメントに対して快適かつ直感的に操作できる工夫を行う必要があります。

⑥自社/他社の顧客基盤の活用

自社/他社の顧客基盤の活用です。顧客基盤の活用により、大規模なユーザーに対しARイベントの利用促進を図ることが出来ます

 

また、自社で顧客基盤を抱えていない場合でも、イベントのターゲットとなる顧客基盤を有する企業やIP・コンテンツとの提携による送客が可能です。

企業によるARイベント活用事例3選

企業によるARイベント活用事例として以下の3事例が挙げられます。

 

  • ①ソフトバンクホークス:ARを活用し新たな球場での観戦スタイルを実現
  • ②テレビ朝日×井上商事:AR×VRで六本木に「メタバースカフェ」をオープン
  • ③Psychic VR Lab×東京都:西新宿でARを活用した新しい都市づくりのイベントを開催

 

それぞれについてわかりやすく紹介します。

 

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①ソフトバンクホークス:ARを活用し新たな球場での観戦スタイルを実現

AR ソフトバンク
(画像:福岡ソフトバンクホークス)

福岡ソフトバンクホークスは球場に訪れた観客向けに、選手の成績などのデータが表示されるARサービスの提供を期間限定で行いました。この取り組みは、ソフトバンクが提供するコンテンツサービス「5G LAB」のラインアップの一部として展開され、球場全体のメタバース化へ向けたトライアルの意味合いがあります。

 

観客がフィールドにスマホをかざすと、各選手のパネルが表示され、それらのパネルをタップすると各選手の成績などのデータを確認することができます。球場でも各種データを確認しながら選手たちのプレーを観戦するという、リアルとバーチャルがミックスされた新たな観戦スタイルにより、より試合を楽しむことができます。

 

球団側は将来のビジョンとして「PayPayドームから順次拡大して、福岡の街自体をメタバース化していければと構想している」と表明しています。

②テレビ朝日×井上商事:AR×VRで六本木に「メタバースカフェ」をオープン

AR メタバースカフェ ゴーちゃん
(画像:TV朝日)

TV朝日と井上商事は、2022年4月から5月にかけて、EX GARDEN CAFE(東京・六本木)にて、テレビ朝日のマスコットキャラクター「ゴーちゃん。」とコラボしてARとVRの技術を活用した「メタバースカフェ」をオープンしました。

 

ユーザーはリアルの世界にキャラクターが飛び出してきて同じ空間を共有しているかのような体験を得ることができます。

具体的には、「ゴーちゃん。」がスマホ上に現れ、会場をエスコートしてくれたり、リアルのケーキにスマホをかざすとキャラクターがお皿の上を走り回る姿を見たりすることができます。

 

ARの活用によって既存のイベントの顧客にとっての価値向上と新たなビジネスチャンスの拡大が実現されました

 

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③Psychic VR Lab×東京都:西新宿でARを活用した新しい都市づくりのイベントを開催

AR 東京
(画像:東京都)

Psychic VR Labは2023年2月、東京都と協働でARを活用した新しい都市づくりの魅力を体感できる実証イベントを開催しました。

 

このイベントでは、ユーザーはイベント会場の壁にスマホをかざすことで西新宿の過去、現在、未来を街のビジュアライズデータとともに体験することができます。

 

再開発の舞台である西新宿でこのイベントを行うことで、ユーザーに再開発後のイメージをよりリアルに体感させ、都市づくりに対する都民の関心や理解を高める目的で開催されました。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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