【事例5選】メタバース・デジタルツインの物流への活用方法を解説
近年IoTやAIなどの関連技術の進化やコロナによる行動制限などを背景に、デジタルツインの活用が幅広い業界から注目を集めています。
デジタルツインを活用することで、設備・製品の品質・効率向上はもちろん、物流の効率化など様々なメリットが存在します。
そんななか、「物流の効率化にデジタルツインの活用を検討している」、「物流分野に具体的にどのような活用が進んでいるのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、物流業務におけるメタバース・デジタルツインの活用方法を事例とともにわかりやすく紹介します。
本記事を読めば、物流業務におけるメタバース・デジタルツインの活用のヒントが得られるかと思いますので、ぜひ最後までご一読ください。
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目次
そもそもデジタルツインとは
デジタルツインとは一言でいうと、リアル空間から収集したデータをもとに、バーチャル空間上に全く同じ環境をまるで双子のように再現する技術のことです。
建物や設備に搭載されたIoTなどから集約した様々なデータをもとに、リアル空間に存在する都市全体や建物、設備をバーチャル空間上に再現し、AIなどを用いた分析を行うことで、効率的かつ正確なシミュレーションを行うことができます。
デジタルツインは幅広い対象や用途で活用が進んでおり、都市や建物、製品などの計画/設計・製造・運用・アフターフォローといった各プロセスのシミュレーションに活用されています。
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デジタルツインとメタバース・シミュレーションとの違い
デジタルツインはバーチャル空間上にリアル空間での環境を再現することによるシミュレーション技術のことをさし、様々なシミュレーション手法のうちの1つという位置づけです。
また、デジタルツインはメタバースと一部共通している部分があり、両者近い概念という関係です。構築する対象に関して、デジタルツインでは原則リアル空間に存在するものであるのに対し、メタバースでは必ずしもリアル空間に存在するものとは限りません。
用途に関しては、デジタルツインでは原則シミュレーションに用いるのに対し、メタバースはシミュレーションに限らず、ゲームやコミュニケーション、リアル/デジタル商品の売買など幅広い用途での利用が進んでいます。
メタバース・デジタルツインの物流への活用方法
メタバース・デジタルツインを物流に活用するステップとして大きく以下の3つが挙げられます。
- ①物流ラインのデジタルツインの構築
- ②物流・人流データの継続・取り込み
- ③デジタルツインによる物流最適化に向けたシミュレーション
それぞれのステップについてわかりやすく紹介していきます。
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①物流ラインのデジタルツインの構築
1つ目のステップは、物流ラインのデジタルツインの構築です。倉庫内の物流最適化であれば、倉庫内の設備や物流機械・人員のモデル、都市全体の物流の最適化であれば、道路や物流施設などのモデルをバーチャル上に構築します。
②物流・人流データの計測・取り込み
2つ目のステップは、物流・人流データの取り込みです。構築した物流ラインのデジタルツインに、実際に測定された物流・人流データを取り込みます。
③デジタルツインによる物流最適化に向けたシミュレーション
3つ目のステップは、デジタルツインによる物流最適化に向けたシミュレーションです。物流ラインのデジタルツインモデルに、物流・人流データを取り込んだ後、効率最大化に向けどのような物流設備の配置やオペレーションを行うべきかをシミュレーションします。
メタバース・デジタルツインの物流への活用事例5選
メタバース・デジタルツインの物流への活用事例として以下の5つが挙げられます。
- ①DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化
- ②Amazon:グローバル規模での倉庫の配送オペレーションを最適化
- ③PepsiCo:流通センターの効率化とコスト削減
- ④シンガポール:世界初 国全体をデジタルツイン化
- ⑤国交省:デジタルツイン構築により都市づくりのDXを推進
それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。
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①DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化
ドイツの大手物流企業のDHL社はグーグルのスマートグラス「Glass Enterprise Edition 2」を倉庫での配送業務に導入しています。従業員はピッキング作業の現場でグラス型デバイスを着用することで、適宜必要な情報を確認することができます。荷物を持ったまま視線を移動させる必要がないため、作業の精度と効率の向上に繋がります。
②Amazon:グローバル規模での倉庫の配送オペレーションを最適化
Amazonは全世界の倉庫内にある50万台以上の配送ロボットのオペレーションの最適化にNVIDIA Omniverseを活用しています。AIを活用したデジタルツインを構築し、倉庫の設計と流れを最適化しています。これにより、配送オペレーションの効率化や、シミュレーションのリードタイム・コストの削減が可能です。
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③PepsiCo:流通センターの効率化とコスト削減
PepsiCoは、流通センターの効率化とエネルギー消費量の削減にNVIDIA Omniverseを活用しています。
AIを活用したデジタルツインを構築し、機械と作業員の作業を最適化することで、ダウンタイムとエネルギー消費量を減らすことに成功しています。
④シンガポール:世界初 国全体をデジタルツイン化
シンガポール政府は、自然や建物、道路や人・車などのあらゆるデータを集約し、国全体のデジタルツイン化に世界で初めて成功しました。この空間は「バーチャルシンガポール」と呼ばれ、都市計画へのデジタルツインの活用事例として世界中から注目を集めています。
バーチャルシンガポールに活用されるデータは、政府機関やインターネット、IoTからのリアルタイムデータなど幅広いソースから集められています。
この取り組みの成果は、最適な都市計画の策定や自然災害のリスク評価・対策、国民への最適な交通ルートの提案など多岐にわたり、国全体のDX化の基盤となっています。
⑤国交省:デジタルツイン構築により都市づくりのDXを推進
2020年度より国土交通省は、「ProjectPLATEAU」で都市づくりのDXを推進しています。日本全国の都市で3D都市モデルを構築し、オープンデータとして公開することで、誰もが自由に都市データにアクセスし、防災やまちづくり、AR/VRなどさまざまな用途に活用できるようになります。
都市の3Dモデルは、都市計画・開発の様々な場面で利用することができます。例えば、交通の流れやバス停の混み具合、駐車場の空き状況、建物や公共施設に必要なスペースの把握、交通システムから排出されるCO2の量、自然災害の評価など、都市空間が持つさまざまなデータ・機能・特徴を把握することができるのです。
2021年には全国都市の3D都市モデルの整備が完了し、そのモデルを様々な地方公共団体や民間企業が活用し、数多くの未来のまちづくりにむけた実証実験が行われています。
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