VR上の店舗?業界別VRショッピングの事例6選|メリットも解説

コロナウイルス感染拡大による行動制限の影響で、多くの企業の実店舗での活動が大きな打撃を受けています。

 

そんななか、VRショッピングと呼ばれるVRでの販促・営業活動が大きな注目を集めています。

実は既に三越伊勢丹やBEAMS、日産自動車など、幅広い業界の大手企業がVRショッピングの活用を進めていることをご存知でしょうか?

 

そこで今回は、VRショッピングの業界別の活用事例6選をメリットとともにご紹介します。

本記事をお読みいただければ、VRを販促・営業活動に活用するためのヒントが得られるかと思いますので、ぜひ最後までご一読ください。


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VRショッピングとは

VRショッピングとは、消費者が実店舗を訪れることなく、VR空間上の仮想店舗で買い物などの体験を行うことです。

 

VR上の仮想店舗では実店舗と同様、様々な商品が陳列されており、アバター姿の店員と相談しながら商品を選んだり、気に入った商品は購入しリアルの世界で郵送して貰うなどの体験が可能です。

 

VRショッピングを行う際は、スマホやPCからもアクセス可能ですが、Oculas QuestなどのVRヘッドセットからアクセスすることでより没入感のあるまるで実店舗を訪れているかのような体験をすることができます。

 

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VRショッピングが注目される理由

VRショッピングは、デバイスや通信などの関連技術の発展により、より実店舗を訪れているような体験ができるようになった点やコロナウイルス感染拡大の影響により購買体験のオンラインシフトが加速している点などにより、多くの企業が活用をすすめるなど、近年より大きな注目を集めています。

VRショッピングを活用する3つのメリット

VRショッピングを活用する3つのメリット

VRショッピングを活用するメリットの代表的なものとして以下の3つが存在します。

 

  • ①コロナ禍対策としてのオンラインシフト
  • ②幅広い顧客へのリーチ
  • ③メタバースならではの体験による訴求力向上

 

それぞれの理由をわかりやすく説明していきます。

 

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➀コロナ禍対策としてのオンラインシフト

コロナウイルス感染拡大防止のための行動制限などの影響で、幅広い業界の店舗営業が打撃を受けています。商材によってはオンラインでのプロモーションへのシフトを成功させています。一方で、実物を確認して買いたいという人が多い商材や実店舗でのプロモーションイベントや顧客ひとり一人に寄り添った提案が重要な商材販売のオンラインシフトは非常に難易度が高く、幅広い業界の企業の課題となっています。そこで、VRショッピングを活用することで、実店舗での営業・販売活動のオンラインシフトを行うことが可能です。

②幅広い顧客へのリーチ

VRショッピングの特徴の1つとして、「いつでも、どこからでもアクセスしてもらえる」という点があります。従来の実店舗を中心とした営業・販売活動では、ターゲットとなる人が地理的に大きく制限されているため、リーチできる顧客が限られてしまうという課題がありました。そこで、VRショッピングを活用することで、幅広い地域の顧客にリーチすることが可能です。

 

また、VRショッピングを活用することで、従来若者世代との接点獲得に苦戦していた企業・商材のマーケティングを加速させることもできます。VR/メタバースがデジタルネイティブの比較的若い世代から人気を集めていることや、人気のコンテンツなどとコラボしたりゲーミフィケーションを取り入れたプロモーション施策との相性が良いことから、若者世代の顧客獲得への打ち手としての活用が進んでいくことが考えられます。

③VRならではの体験による訴求力向上

VRショッピングを活用することで、オンラインでの商材の訴求力を向上することができます。訴求力向上に繋がるポイントは大きく2点あります。

 

1点目は、3Dモデルを活用した訴求力の向上です。顧客が商材や店舗、施設を目の前にしているような体験を提供でき、従来オンラインで商材の魅力が伝わりづらく、オンラインプロモーションに苦戦していた商材の訴求力を向上することができます。

 

2点目は、VR/メタバースならではの体験を通じた、新たな購買体験による訴求力の向上です。オンラインでありながら、友人と一緒に買い物が出来る環境を構築したり、リアルでは簡単に提供できない非現実的な体験型のプロモーション施策を低コストで実施したりすることができます。

業界別VRショッピングの活用事例6選

VRショッピングの活用事例として以下の6つが挙げられます。

 

  • ①小売業界:三越伊勢丹がVR上に百貨店を再現
  • ②アパレル業界:BEAMSがVRイベントに仮想店舗を出店
  • ③自動車業界:日産がVR上で新車の試乗会を開催
  • ④大和ハウス:VR上で自由に見学できる住宅展示場を出店
  • ⑤観光業界:あしびかんぱにーがVR上に沖縄の観光名所を再現
  • ⑥金融業界:SMBC日興証券が金融を身近に感じられるイベント開催

 

それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。

 

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①小売業界:三越伊勢丹がVR上に百貨店を再現

小売業界:三越伊勢丹がVR上に百貨店を再現
(画像:三越伊勢丹)

三越伊勢丹は、独自のVR/メタバース上の仮想都市である「レヴ ワールズ」を構築し提供しています。来場者はアバターの姿で、デジタル空間の「バーチャル伊勢丹」での買い物を楽しむことができます。店員のアバターも配置され、チャット機能を使った接客も受けられます。

 

また、VR上ではバーチャルファッションショーを楽しんだりや人気格闘漫画『刃牙』シリーズに登場する“地下闘技場”をモデルとしたイベントスペースが設けられ、アバターとなった一部の人気キャラクターに会えたり、関連するデジタルアイテムを入手したりすることもできます。

 

現在は婦人服や食品など180ブランドを扱っていますが、今後は家具や日用品にも対象を広げる方針です。友人のアバターと一緒に会話しながら買い物できるようにするなど機能も強化する予定です。他社がメタバース上で開催されるイベントへの出展が中心のなか、三越伊勢丹は既に独自のメタバース空間を構築・提供しており、小売・百貨店業界のVRショッピングの活用をリードする存在といえます。

②アパレル業界:BEAMSがVRイベントに仮想店舗を出店

アパレル業界:BEAMSがVRイベントに仮想店舗を出店
(画像:BEAMS)

ファッション大手であるビームスは世界最大のVRイベントである「バーチャルマーケット」に4度出展を行っています。バーチャルマーケットとはメタバース上にある会場で、アバターなどのさまざまな 3D アイテムや、リアル商品(洋服、PC、飲食物など)を売り買いでき、日本はもとより世界中から100万人を超える来場者を誇る世界最大のVRイベントです。

 

バーチャルマーケットでは、アバター用の洋服であるデジタルアイテムの販売やライブなどのイベントの開催が行われました。アバター用の洋服であるデジタルアイテムは、ビームスの2022年の秋冬商品を3Dモデルに起こした、Tシャツやワンピースなどの全7種類が販売されました。

 

また、ライブでは池田エライザさんがバーチャルライブを開催し、メタバースに着想を得た新曲の発表も行われました。一方でリアルでの商品販売も行われ、バーチャルマーケットの出展を記念したリアルな洋服の商品もビームスの公式オンラインショップにて販売されました。

 

4度目の参加の際には、関西のショップスタッフも含む約50名の社員が交代でバーチャル接客にあたり、VR上での接客を通じてリアル店舗への来客に繋がっている事例も生まれてきているとのことです。

③自動車業界:日産がVR上で新車の試乗会を開催

自動車業界:日産がVR上で新車の試乗会を開催
(画像:日産自動車)

自動車業界では、ディーラーでの試乗会や接客をVR上で行い、多くの顧客との接点獲得を狙う取り組みが進んでいます。従来はわざわざ店舗に足を運び、契約書などの手続きを行う必要のあった試乗を、いつでも、どこからでも気軽に体験することができます。

 

日産自動車は、軽電気自動車「日産サクラ」の試乗会をVR上で開催しました。試乗会は、世界最大のVR SNS「VRChat」上で行われ、四季を感じられるドライブコースでバーチャルな日産サクラを運転することができました。自分で運転席に座って運転したり、後部座席に座ったりと現実の試乗に近い体験ができ、新車の特徴を立体的に確認することができます。メタバース上での試乗は通常の試乗とは違い、書類での手続きなども不要で、いつでもどこからでも体験可能なのが最大の強みです。

 

同社によると、「今回の取り組みにより営業担当者にアバターの操作経験がないことや、仮想空間でのリアルな商品訴求の難しさが明らかになった」とのこと。今回のような実証を重ねることで、将来的にVRのマーケティングのチャネルとしての活用が本格的に進んでいくことが期待されます。

 

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④大和ハウス:VR上で自由に見学できる住宅展示場を出店

大和ハウス:VR上で自由に見学できる住宅展示場を出店
(画像:大和ハウス)

大和ハウスはアバターを用いて担当者と見学者がコミュニケーションを図りながら仮想空間上の住宅展示場を自由に見学できる「メタバース住宅展示場」を公開しました。ユーザーはスマホやタブレット・PCからメタバースにアクセスでき、最大6名の見学者とともに担当者にリアルタイムに質問や相談を実施することが可能です。

 

VR上にある住宅展示場という特徴を活かし地面から屋根の上までさまざまな角度から見学できることに加え、室内では子どもやペットなどの視点でも見学が可能です。また、見学者が床や壁紙・天井等の色や素材、インテリアなどを瞬時に切り替えて、イメージを検討することもできます。今後、対応する住宅商品ラインナップを拡充していく方針とのことです。

⑤観光業界:あしびかんぱにーがVR上に沖縄の観光名所を再現

観光業界:あしびかんぱにーがVR上に沖縄の観光名所を再現
(画像:あしびかんぱにー)

沖縄発のエンターテインメントコンテンツ企業である、株式会社あしびかんぱにーがVR上で沖縄の観光名所を楽しむことのできる「バーチャルOKINAWA」をリリースしました。

 

バーチャルOKINAWAは、国際通り商店街やビーチなど、沖縄のさまざまな観光名所を再現しており、アバターを使って世界中の人々と交流できるソーシャルプラットフォーム「VRChat」をVRデバイスなどにダウンロードすることで利用可能です。恩納湾の贅沢なビーチから、沖縄の名所であるひめゆりの塔まで、美しい風景をいつでもどこからでも楽しむことができます。

 

2022年には、すでに公開している「国際通りエリア」「ビーチエリア」に続き、新たに「首里城エリア」として、守礼門から首里城正殿までの首里城公園を忠実に再現しています。見て楽しむだけでなく、エリア内のガイドと会話しながら、首里城の歴史や雑学を学ぶことができます。

 

このようないつでもどこからでも気軽に楽しめるVR上での観光をきっかけに、実際に現地に足を運ぶ人も増えていくでしょう。

 

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⑥金融業界:SMBC日興証券が金融を身近に感じられるイベント開催

金融業界:SMBC日興証券が金融を身近に感じられるイベント開催
(画像:SMBC日興証券)

SMBC日興証券は、2021年末に開催された、世界最大のVRイベントである「バーチャルマーケット2021」に特設ブースを出展しました。リーマンショックやアベノミクスなどの相場変動を疑似体験できる株価連動ジェットコースターや、証券アナリストなどの専門家とアバターを通して直接話せるバーチャル座談会など、VRならではの金融を身近に感じられるようなコンテンツを提供しました。

 

株価連動ジェットコースターでは、走行中に当時の株価の変動と関連した金融・経済トピックが目の前に現れるなど、メタバースならではの演出で金融の世界を楽しむことができました。さらに、コースター乗車中に撮影した写真が乗車後にブース内に表示されるなど、現実世界の某有名遊園地のアトラクションのような演出も用意されました。

 

バーチャル座談会では、投資や資産運用に関する情報を提供するパネルや動画を見ることができました。また、普段なかなか直接話せる機会のないSMBC日興証券のアナリストなどと相場解説などのスモールトークセッションも実施されました。

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このナレッジの著者

メタバース総研 代表取締役社長

今泉 響介

株式会社メタバース総研(現・CREX)代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。学生起業した事業を売却後、日本企業の海外展開/マーケティングを支援する株式会社Rec Loc を創業・社長就任を経て、現職に。メタバースのビジネス活用に特化した国内最大級の読者数を誇るメディア「メタバース総研」の運営やメタバースに関するコンサルティング及び開発サービスの提供を行っている。著書に『はじめてのメタバースビジネス活用図鑑』(中央経済社)

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