DXの5つの種類とは?業務プロセス改革~顧客体験向上まで解説
DXには、業務プロセスのDX、製品・サービスのDX、サプライチェーンのDX、働き方のDXなど、目的に応じて様々な種類があります。
それぞれの種類に応じて、必要な人材やツール、進め方は異なってくるため、自社のDX推進の目的が、どの種類に当てはまるかを確認した上で、最適な計画を立案することが重要となります。
本記事では、DXの5つの種類、各種類に当てはまる具体的な取組事例、DXの進め方などについて、図表や画像とともに分かりやすく解説していきます。
またDX総研では、DXを検討・推進する上で必ず押さえておきたい、DX成功事例50選の取り組みや成果をまとめたレポートを無料で配布しています。ご興味のある方は、以下リンクからダウンロードしてご活用ください。
目次
そもそもDXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。
単なるデジタル化・IT化ではなく、デジタル活用により、業務やサービス、ビジネスモデルを大きく変革していく取り組みであるという点が大きなポイントです。
経済産業省は、2018年に発表した「DX推進ガイドライン」において、DXを以下のように定義しています。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
ー出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0
例えば、動画配信大手のNetflixが、宅配型のDVDレンタル事業からサブスクリプション型のオンライン動画配信サービスへとビジネスモデルを変革したのは、DXの代表的な事例といえるでしょう。
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DXの5つの種類

DXは、デジタル化の対象や目的に応じて、いくつかの種類があります。代表的なものを5つご紹介します。
- ①業務プロセスのDX
- ②製品・サービスのDX
- ③既存の顧客体験のDX
- ④サプライチェーン全体のDX
- ⑤組織・働き方のDX
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
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①業務プロセスのDX

業務プロセスのDXは、企業の業務プロセスをデジタル技術を活用して改善し、効率化や生産性向上を目指す取り組みのことです。
例えば、オンライン上で行う定型的な作業を自動化するRPA(Robotic Process Automation)というツールを導入し、データの入力・転記やメールの送受信などの単純作業を自動化・効率化する取り組みが挙げられます。
また、物流業界では、ロボットを導入して仕分け作業・ピッキング作業や荷物の運搬を行わせる取り組みが進められており、作業の効率化や従業員の負担軽減に繋がっています。
②製品・サービスのDX

製品・サービスのDXとは、デジタル技術により既存の製品・サービスに新たな機能を追加して価値を高めたり、全く新しい製品やビジネスモデルを開発する取り組みのことです。
近年では、家電や車などあらゆるモノをインターネットでつなぐIoT(Internet of Things)という技術を用いて、照明や空調、冷蔵庫などを遠隔で操作できるサービスも登場しています。
また、AIが顧客の購買履歴などの情報を分析することで、顧客ごとにパーソナライズされたオーダーメイドの製品を販売することも可能となりました。例えば、メガネブランドのJINSは、ユーザーがスマホでメガネをバーチャル試着すると、AIが似合い度を判定してオススメのメガネをレコメンドするアプリを提供しています。
③既存の顧客体験のDX

既存の顧客体験のDXでは、デジタル技術により顧客体験を向上させるための取り組みのことです。
例えば、近年、多くの企業がAIを搭載したチャットボットを導入し、顧客からの問い合わせに自動で対応しています。特に、ChatGPTで話題となった生成AIは、人間のように自然な会話が可能であり、本物の人間のように質の高い顧客対応が可能となります。
チャットボットにより、24時間365日の顧客対応が可能となったため、顧客へのサービスの質が向上し、体験価値の向上に役立っています。
④サプライチェーンのDX
サプライチェーンのDXとは、デジタル技術によりサプライチェーンの最適化・効率化を図る取り組みのことです。
サプライチェーンの各段階で取得したデータをもとに、ボトルネックやダウンタイムを特定し、生産プロセスを調整することで、サプライチェーン全体の最適化を図ることができます。
また、AIが過去の販売履歴やトレンドなどのデータを分析し、将来の製品の需要を正確に予測することで、需要に応じて生産量を最適化することが可能となります。例えば、イトーヨーカドーでは、AI が天候情報や過去の客数などのデータをもとに各商品の販売数を予測するシステムを導入し、在庫数の最適化を実現しています。
⑤組織・働き方のDX

組織・働き方のDXでは、デジタル技術を活用して、組織改革や働き方改革の実現を目指します。
ZoomやTeamsなどのWeb会議ツールを利用してオンライン会議を実施したり、ネット環境を整備してリモートワークを可能にする取り組みは、組織・働き方のDXの典型例です。
また、全社的なDXを推進して組織を改革するために、従業員向けにDX研修や勉強会を開催したり、DX推進部門などの専門の部署を立ち上げることも、組織・働き方のDXを実現するための重要な施策となります。
種類ごとのDX推進事例15選
種類ごとの代表的なDXの事例として、以下の15事例が挙げられます。
<業務プロセスのDX>
- ①【パナソニック】電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用
- ②【SGホールディングス】AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRでトラックドライバーの労働負担を軽減
- ③【川崎重工】工場を丸ごとデジタルツイン化し、生産管理を効率化
<製品・サービスのDX>
- ④【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供
- ⑤【東急リバブル】多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース
- ⑥【清水建設】設備機器をAPIで連携させて運用・制御する建設OS「DX-Core」を展開
<既存の顧客体験のDX>
- ⑦【LIXIL】接客等のDXを進め業務効率化と顧客体験向上を同時に実現
- ⑧【りそな銀行】ToC向けワンストップ金融サービスアプリの提供
- ⑨【JINS】ユーザーが試着したメガネの似合い度をAIが判定
<サプライチェーンのDX>
- ⑩【ロジスティード】EC物流向けシェアリング自動倉庫「SMART WAREHOUSE」を提供
- ⑪【ヤマトホールディングス】宅急便のネットワーク全体を変革する「ネットワーク・オペレーション構造改革」を推進
- ⑫【日本郵船】運航データの収集にAIを活用することで、船舶のIoT化を推進
<組織・働き方のDX>
- ⑬【サントリー】働き方の柔軟性向上によりテレワークの利用者が約15倍に
- ⑭【NECネッツエスアイ株式会社】ICTを活用したテレワークの導入を推進
- ⑮【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功
それぞれの事例について分かりやすく解説していきます。
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<業務プロセスのDX>
①【パナソニック】電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用

パナソニックは、日本を代表する大手家電メーカーです。同社は、DXを核とするグループ横断の取り組みを「Panasonic Transformation(PX)」と称し、AIなどの最先端技術を取り入れながら、事業戦略の基礎となる業務・プロセス・カルチャーそのものの変革を2021年5月から進めています。
【課題・背景】
- 同社の電動シェーバー「LAMDASH(ラムダッシュ)」は20年以上にわたり改良を続けてきた製品であり、伸びしろが限界に来ていた
- モーターの高出力化が大きな課題となっていたが、人間の経験と知見では、これ以上の進化の余地はない状態だった
【具体的な取り組み】
- LAMDASHシリーズ次期商品のモーター設計に生成AIを活用
- AIがモーターの中核部品であるムーバーの構造をゼロベースで設計し、シミュレーション結果を基に改善するプロセスを自動で繰り返すシステムを構築
【得られた成果・今後の展望】
- 生成AIが設計したモーターは、熟練技術者による最適設計と比較して出力が15%UPし、品質向上を実現
- 人間では改善に数か月も要していたが、AIであれば数日でPDCAを回し、同等の改善が可能に
- 今後は電動工具や車載用モーター、シーリングファンなど、他の製品開発にもAIによる設計を採用する方針
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②【SGホールディングス】AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRでトラックドライバーの労働負担を軽減

佐川急便を中核とした総合物流企業グループであるSGホールディングスは、AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRを活用し、業務効率化を実現しています。
【課題・背景】
- 物流業界では労働人口減少による労働力不足や、2030 年の輸送力不足を背景に、トラックドライバーの労働負担の軽減など労働環境の改善が求められていた
【具体的な取り組み】
- トラックの庫内に最適な荷積み作業ができる「AI搭載の荷積みロボット」を開発
- AI-OCRの機能を発展させ、給与支払報告書、コロナワクチン予診票、レセプト帳票などといった独自の帳票の読み取りも可能なソリューションを活用
【解決した課題・成果】
- トラックドライバーや積み込み作業者の業務負担軽減や荷役作業の省人化を実現
- 紙帳票のデータ化業務における人手不足やコスト増加に課題を抱える顧客に貢献できるサービスを提供
③【川崎重工】工場を丸ごとデジタルツイン化し、生産管理を効率化

日本の大手重工業メーカーである川崎重工は、「Kawasaki DX」というスローガンを掲げ、新たな顧客価値の創出、モノ売りからコト売りへのビジネスモデル変革、事業基盤のアジリティ強化、従業員の働き方改革などの実現を目指しています。
DXの取り組みの一環として、同社の工場をデジタルツイン上に再現して、生産管理を効率化する取り組みが行われています。
【課題・背景】
- 工場での生産工程管理においては、稼働状況の監視や機器のメンテナンスなどのために、従業員が現地に集まる必要があり、大きな負担となっていた
【具体的な取り組み】
- 自社の工場をデジタルツイン上に再現し、生産工程をデジタル上で管理するシステムを構築
- 工場の各機器や設備はIoTによりインターネット接続され、そこで得られたデータがデジタルツインに即時反映される仕組み
【得られた成果】
- 工場の機器や設備の状態をリアルタイムで確認することができ、設備運用の効率化やトラブルの早期防止を実現
- 作業員は、現場にいなくても遠隔で工場の監視や設備のメンテナンス・機器の操作ができるようになり、作業員の負担軽減、安全確保につながる
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<製品・サービスのDX>
④【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供

コマツは、ショベルやブルドーザーなどの建設機械や鉱山機械の製造を手掛ける日本の大手建設メーカーです。同社は、IoTやAIなどのデジタル技術を建設機械や産業機械に搭載した新たなソリューションを開発・提供し、製造業界や建設業界におけるモノづくりの現場のDXを支援しています。
【課題・背景】
- 建設業界の人手不足に伴う、現場作業の効率化・省人化のためのソリューションを求める顧客企業がますます増えていた
【具体的な取り組み】
- 建設・製造業界の企業に対して、遠隔地から機械の稼働状況を確認できるIoTを活用した管理システム「Komtrax」の開発・提供
- 建設・製造業界の企業に対して、AIが部品の劣化状態を把握し、故障前に交換時期を予測する予知保全システムの提供
- 建設業界の企業に対して、センサーを搭載し、自動制御を可能にしたICT建機の製造・販売
【得られた成果】
- 機械の稼働状況の一元管理が可能となり、稼働率の向上、メンテナンス時期の把握、生産量集計の自動化などによる顧客の現場作業の効率化・生産性向上を実現
- ある企業は、Komtraxにより、設備の稼働率が向上し、生産性が140%も増加するなど大幅な改善を実現
- 遠隔地から顧客の機械の稼働状況や部品の劣化状態の把握が可能となり、効率的かつ適切な修理・保全サービスの提案が可能に
⑤【東急リバブル】多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース

土地から建物まであらゆる不動産の情報を提供する東急リバブルは、DXの一環として、AIを活用した様々な新規サービスの創出を行っています。
【課題・背景】
- 「急な転勤等に備えて売却価格を知りたい」「自分に合った物件をすぐに見つけ出したい」といった顧客の様々なニーズに応えたい
【具体的な取り組み】
- AIにより所有不動産の価格を簡単査定する「スピードAI査定」のリリース
- AIを活用することで相性ぴったりの物件を探すことができる「AI相性診断」のリリース
- AIが投資用区分マンションのおすすめ度を顧客ごとに分析してレコメンドする「投資用区分マンションAIマッチングシステム」を 開発・運用
【得られた成果】
- スピードAI査定は、所有する不動産を登録するだけでAIが瞬時に価格を査定する利便性が評価され、登録者が1万人を突破
- AI相性診断は、パーソナライズされた物件情報をスピーディに提供、マッチ度95%を達成
- 投資用区分マンションAIマッチングシステムは、営業経験5年以上の担当者と同等レベルの物件選定・提案力を実現
⑥【清水建設】設備機器をAPIで連携させて運用・制御する建設OS「DX-Core」を展開

清水建設は、国内外における土木事業、建築事業などで事業展開している日本を代表するスーパーゼネコンです。同社は建設OS「DX-Core」を展開しており、設備連携時にかかる手間を解消しています。
【課題・背景】
- 従来型のシステム連携では設備間、システム間をそれぞれ接続連携する必要があり、コストや時間がかかっていた
【具体的な取り組み】
- 施工中に作成したBIMデータ等を、建物に備わるIoT情報を取り込める建物OS「DX-Core」へ展開
- 清水建設のエンジニアリング事業本部が関連設備API適用や個別システムのベンダーとの調整、全体動作確認を行う
- 複数の施設にあるDX-Coreから取得した情報をクラウド上で統合し、都市や建物のデジタルツインに活用することでスマートシティを実現
【解決した課題・成果】
- 関連設備は手間を考慮せず複数メーカーから選定可能となり、竣工後の更新コストを抑えることが可能に
- 「DX-Core」により、空調、照明、エレベーター、自動ドアなどの設備機器をメーカー問わずAPIで連携させて運用・制御することで利便性や業務効率性の向上を実現
<既存の顧客体験のDX>
⑦【LIXIL】接客等のDXを進め業務効率化と顧客体験向上を同時に実現

LIXILは、建築材料や住宅設備機器などを製造・販売する日本を代表するメーカーの一つです。同社は、製品設計から接客まであらゆる販売プロセスにAIやIoTなどのデジタル技術を取り入れて、業務効率化と顧客体験(CX)の向上を同時に実現しました。
【課題・背景】
- コロナをきっかけとするECの普及に伴い、オンラインでの顧客接点・販売チャネルの確保の必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- LIXILの製品を購入したい企業に対して、自宅から接客を受けられるサービス「LIXILオンラインショールーム」の提供
- AIが顧客の希望に寄り添った見積りプランを提示する「かんたんプラン選び」の提供
【得られた成果】
- 忙しい人でも気軽に製品購入に関する相談や見積りの取得が可能となり、累計相談数15万組突破、顧客満足度93%を達成
- 時間を選ばず利用できるサービスとして「日本子育て支援大賞2023」を受賞
⑧【りそな銀行】ToC向けワンストップ金融サービスアプリの提供

【課題・背景】
- 銀行の預貸金の利ザヤ減少により、アプリなどのサービス提供による手数料など、新たな収益確保の必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- 個人顧客向けに、残高確認、振込、公共料金支払い、海外送金、投資運用、ローン、保険申込などがすべて行える「りそなグループアプリ」の提供
- 提携企業に対し、りそなグループアプリ提携基盤の提供
- APIエコノミーで地銀連合形成
【得られた成果】
- 普通預金や定期預金、資産運用やローンなど、口座状況をいつでもワンタップで確認可能に
- お金を貯めたい目的と金額に応じた積み立て方の提案や、レポートであなたの支払いを自動で見える化など資産形成をアプリがサポート
- AIが口座状況や銀行取引を分析し、ムダな出費や貯金についてパーソナライズされたアドバイスを提供し、顧客満足度が向上
- 過去1か月で25,000件以上クリックされ、App Storeは4.6、Google Playは4.3の評価を獲得
⑨【JINS】ユーザーが試着したメガネの似合い度をAIが判定

メガネを中心としたアイウェアを提供するJINSは、ユーザーが試着したメガネの似合い度をAIが判定する「JINS BRAIN」というサービスを提供しています。
【課題・背景】
- 顧客の「自分に似合うメガネが分からない」「探しているメガネがなかなか見つからない」という問題を解決したい
【具体的な取り組み】
- ユーザーが画面上で試着したメガネの似合い度をAIが判定する「JINS BRAIN」をJINSのオンラインショップで提供
- AIがユーザーの顔の形や髪型をもとに、そのメガネが似合っているかどうかを判定
- ランキング形式で各ユーザーに似合うメガネをレコメンドする機能も搭載
【得られた成果】
- メガネがより選びやすく、スムーズに購入できる体験を実現
<サプライチェーンのDX>
⑩【ロジスティード】EC物流向けシェアリング自動倉庫「SMART WAREHOUSE」を提供

物流・流通・サービス分野に特化したソフトウェア会社のロジスティードは、EC物流向けシェアリング自動倉庫「SMART WAREHOUSE」を提供しています。
【課題・背景】
- 倉庫の許容量が不足している、出荷が追いつかないなどEC事業ならではの課題を抱えていた
- 『EC事業を始めたけれど、物流ノウハウがない』という声が多く届いていた
【具体的な取り組み】
- EC物流向けシェアリング自動倉庫「SMARTWAREHOUSE」を提供
- ダンボールの組み立てから、商品を入れてダンボールに封をし、伝票を貼り付けるまでの作業を自動化
- ほぼ自動化されたシステムに乗せるだけで配送まで完了するため、ユーザーとなる企業は知識やノウハウがなくても簡単に導入が可能
【解決した課題・成果】
- 自動化・標準化されたオペレーションで作業ミスを低減
- 省人化率72%の自動化で18,000個/日の発送を実現
⑪【ヤマトホールディングス】宅急便のネットワーク全体を変革する「ネットワーク・オペレーション構造改革」を推進

ヤマトホールディングスは、「宅急便」のネットワーク全体を変革する「ネットワーク・オペレーション構造改革」に取り組んでいます。
【課題・背景】
- 複数の営業拠点間の連携を強化し、宅配オペレーションを全体最適化することで、費用対効果を向上させたい
【具体的な取り組み】
- 業務量に応じてリソースを最適配置する仕組みの活用により、宅急便の営業所を集約・大型化
- 営業所の集約・大型化と連動し、日々の業務量変動に合わせてオペレーションを組み換える仕組みを導入
- 在庫管理システムなどを組み合わせ、大口から複数小口まで、必要な商品を必要な量だけ必要な時に適切な輸送モードで納品できるルート集配機能を確立
【解決した課題・成果】
- 拠点ごとの輸送・作業・事務・管理コストの適正化を達成
- 配達効率向上によるオペレーティングコストの削減を実現
⑫【日本郵船】運航データの収集にAIを活用することで、船舶のIoT化を推進

日本郵船は、船舶のIoT化を推進し、海難事故の撲滅やCO2排出量削減への取り組みを進めています。
【課題・背景】
- SDGsやESGが重要視される中、環境に配慮した船舶の航行を実現するためのデジタル技術の活用が大きな目標となっていた
【具体的な取り組み】
- 船舶に装備するセンサーの種類や数を拡充し、運航データの収集にAIを活用することで、船舶のIoT化を推進
- 海域データを活用し、実際の船を再現したシミュレーションを行うことで、高効率を追求したプロペラを設計
【解決した課題・成果】
- 船舶のIoT化により、海難事故リスクの低減、燃費効率の向上、温室効果ガス排出量の削減、乗組員の点検業務の負担軽減を実現
- 高効率プロペラにより、燃費が向上し、CO2排出量を約2%削減
<組織・働き方のDX>
⑬【サントリー】働き方の柔軟性向上によりテレワークの利用者が約15倍に

大手飲料メーカーのサントリーは、ボトムアップの働き方改革の一環としてテレワークを導入しています。
【課題・背景】
- 事業のグローバル展開など大きな変化のある環境下において、付加価値の創出による競争力強化の必要性に迫られていた
- 働き方改革を競争戦略と位置付け、「メリハリ」、「濃く働く」、「ライフワークバランス」の実現に向けた取り組みを推進
【具体的な取り組み】
- テレワークの範囲を拡大。自宅に限られていたテレワークの場所が、所属長の許可を受けた場所であればどこでも働けるように
- テレワークの取得単位を10分ごとにし、フレキシビリティを向上
- 高性能TV会議システムを導入
- 働き方ナレッジサイト「変えてみなはれ」を開設し、各部門の働き方ノウハウを共有
【解決した課題・成果】
- 個人の都合に応じて時間を有効かつ効率的に活用できる仕組みを整え、従業員のワークライフバランスを改善
- 2010年は294名だったテレワークの利用者数が2016年には4460名まで増加
- 各部署のアイデアや取り組みを共有し、部門の働き方ナカミ改革をサポート
⑭【NECネッツエスアイ株式会社】ICTを活用したテレワークの導入を推進

ICT技術を活用したシステム、サービスを提供するNECネッツエスアイ株式会社は、ICTを活用したテレワークの導入を進めています。
【課題・背景】
- 育児中の短時間勤務者や家族の介護に携わる従業員の増加により、投入可能な総労働時間が大きく減少するリスクを抱えていた
- 育児、介護を理由とする離職により、スキル・経験を有する中核社員の喪失リスクが懸念されていた
【具体的な取り組み】
- 2007年からノーペーパーワークの推進やフリーアドレスの導入など、テレワークの基盤となるオフィス改革に着手
- 半日単位や時間単位など、柔軟なテレワークの利用に対応
- 在宅勤務に加えサテライトオフィスの活用も推進
- 在宅勤務などをする社員の勤怠情報をキメ細かく把握できる管理ツールとして、「TeleworkWatch」を独自開発
- 「Skype for Bussiness」をはじめとしたコミュニケーションツールを活用
【解決した課題・成果】
- 仕事と生活の時間を自律的に配置できるフレキシブルなワークスタイルを実現
- コミュニケーションツールにより上司やチームメンバーとのコミュニケーションを円滑に実現
- 実証実験後のアンケート評価では、利用者の82%は「ワークライフバランスの充実」を、77%が「通勤に関する負担軽減」を実感し、上司の約80%が「部下のモチベーション向上」を実感したと回答
⑮【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功

日本を代表する運送会社である日本通運はRPAを導入して業務を自動化し、働き方改革を実現しました。
労働時間を削減することで、従業員の残業時間の削減や、人手不足の解消に成功しています。
【課題・背景】
- 2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限規制がかかる、いわゆる2024年問題を受けて、人手不足への対応が喫緊の課題となっていた
- 労働時間を削減し、少子高齢化による労働力不足を考慮した新しい働き方を実現する必要があった
【具体的な取り組み】
- 業務内容に応じて、業務の統括部門に導入する集約型ロボットと複数課所に導入する横展開型ロボットという2種類のロボットを使い分けながら、RPAを導入・展開
- 1万8,000人を超える事務系社員へのRPA基礎講習、全国に配置するRPAマスターに対して養成講習を開催するなど、積極的な教育・啓蒙活動を実施
【得られた成果・今後の展望】
- 労働時間を72万時間削減し、人手不足解消に貢献
- 今後はペーパレス化推進に対するRPAの活用や運転日報など手書きの伝票をデータ化して基幹システムに転記するRPAの導入といった新しい取り組みで、さらなる事務処理の自動化・効率化を目指す
DXの進め方|具体的な6つのステップ

DXの進め方は大きく6つのステップに分けられます。
それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。
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ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する

DX推進の最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。
「DX推進後の理想の自社の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。
本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。
自社の業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、市場環境や自社の特性を踏まえ、検討しましょう。
例えば、業務のデジタル化すら進んでいない企業であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる企業であれば、3年後までに製品/サービスやビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。
ステップ2:自社の現状と課題を把握する

続いて、自社が現状どの程度DXを推進できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。
本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX推進指標」を活用することで、企業文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。
それぞれの観点における自社の成熟度のレベルを把握することで、特にDX推進が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。
ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する

前ステップで策定したビジョンと自社の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。
検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。
デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。
そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DXを推進しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。
例えば、受発注のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした企業であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の受発注プロセスをデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。
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ステップ4:DX推進チームを構築する

DXを推進するには、ビジョンや戦略を社員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。
そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。
また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。
- プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
- テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
- UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
- エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
- データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当
これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、社員に対するDX人材育成を実施する方法があります。
DX推進のスケジュールや、社員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。
ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる
これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。
ここで、いきなり全社単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。
そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の事業部や部門単位から進めるのがおすすめです。
前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各社員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。
これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDXの推進が可能になります。
ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

業務のデジタル化を進めることで、企業は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。
これらのデータを分析し、新たな業務の課題やビジネスチャンスを発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。
さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、自社独自の詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強み蓄積こそが、他社には真似できない、ユニークな新サービスやビジネスモデルの創出の源泉となります。
DXを成功させるための5つのポイント

DXを成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
- ②自社ならではのDX戦略を策定する
- ③十分なDX人材を確保する
- ④スモールスタートクイックウィンを実現する
- ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。
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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。
そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。
具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。
一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。
②自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。
その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。
そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。
③十分なDX人材を確保する
DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。
本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。
また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。
そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。
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④スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。
そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。
そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。
取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。
これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。
⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。
そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。
一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。
もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。
DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。
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