DXを実現する12の技術とは?IoT・AI~デジタルツインまで
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基礎知識DXを実現するためにはデジタル技術の活用が欠かせません。DXを加速するデジタル技術としては、クラウド、AI/生成AI、IoT、デジタルツイン、VR/ARなど様々なものが挙げられます。
目的に応じて適切なデジタル技術を導入し、正しく活用することで、競合より抜きんでた大きな成果を上げることができます。
本記事では、DXを実現する12の技術、各技術を活用した企業の事例、活用の進め方、成功のポイントをわかりやすく解説していきます。
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目次
- そもそもDXとは?
- DXを実現するデジタル技術12選
- ①ICT:人とインターネット、人と人をつなげる情報通信技術
- ②IoT:あらゆるモノをインターネットに接続する技術
- ③ビッグデータ:人間では処理しきれない大量かつ多様なデータ群
- ④AI/生成AI:人間のように知的作業を行える魔法のような技術
- ⑤クラウド:自社でサーバーを持たずにネット接続が可能に
- ⑥SFA/CRM:マーケティングから商談・受注までのプロセスを変革するツール
- ⑦MA:見込み客を増やすマーケティング業務自動化ツール
- ⑧RPA:定型的なPC作業を代替するオンライン上で動くロボット
- ⑨ERP:財務・人事・在庫管理などあらゆる部門のデータを統合
- ⑩VR/AR:仮想空間を活用した新規サービス創出や業務効率化を実現
- ⑪デジタルツイン:仮想空間に双子のようなリアルな環境を再現
- ⑫ブロックチェーン:データを分散管理し、オンライン取引の安全化を実現する技術
- 各技術を活用したDXの推進事例12選
- ①IoT:ダイキンが空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムを構築
- ②IoT:日本郵船が運航データの収集にAIを活用することで、船舶のIoT化を推進
- ③ビッグデータ:ローソンがカメラやマイクで取得したビッグデータをAIで分析
- ④AI/生成AI:東急リバブルが多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース
- ⑤AI/生成AI:パナソニックが電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用
- ⑥クラウド:クレディセゾンが10年の歳月をかけ、レガシーシステムから脱却
- ⑦RPA:日本通運がRPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功
- ⑧VR/AR:日立製作所がメタバース上に熟練作業員の作業を再現し、技術承継を容易に
- ⑨VR/AR:東急建設が「建築模型AR」を導入し、ZEBの最新のエコ建築技術を可視化
- ⑩デジタルツイン:東急不動産が物件をデジタルツイン上に再現し、自宅からの内見を可能に
- ⑪デジタルツイン:川崎重工が工場を丸ごとデジタルツイン化し、生産管理を効率化
- ⑫ブロックチェーン:日本通運がブロックチェーン上で医薬品情報を管理
- DXの進め方|具体的な6つのステップ
- デジタル技術を活用したDXを成功させる5つのポイント
そもそもDXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。
単なるデジタル化・IT化ではなく、デジタル活用により、業務やサービス、ビジネスモデルを大きく変革していく取り組みであるという点が大きなポイントです。
経済産業省は、2018年に発表した「DX推進ガイドライン」において、DXを以下のように定義しています。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
ー出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0
例えば、動画配信大手のNetflixが、宅配型のDVDレンタル事業からサブスクリプション型のオンライン動画配信サービスへとビジネスモデルを変革したのは、DXの代表的な事例といえるでしょう。
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DXを実現するデジタル技術12選
DXを実現するために欠かせない主要なデジタル技術として、以下の12の技術をご紹介します。
- ①ICT:人とインターネット、人と人をつなげる情報通信技術
- ②IoT:あらゆるモノをインターネットに接続する技術
- ③ビッグデータ:人間では処理しきれない大量かつ多様なデータ群
- ④AI/生成AI:人間のように知的作業を行える魔法のような技術
- ⑤クラウド:自社でサーバーを持たずにネット接続が可能に
- ⑥SFA/CRM:マーケティングから商談・受注までのプロセスを変革するツール
- ⑦MA:見込み客を増やすマーケティング業務自動化ツール
- ⑧RPA:定型的なPC作業を代替するオンライン上で動くロボット
- ⑨ERP:財務・人事・在庫管理などあらゆる部門のデータを統合
- ⑩VR/AR:仮想空間を活用した新規サービス創出や業務効率化を実現
- ⑪デジタルツイン:仮想空間に双子のようなリアルな環境を再現
- ⑫ブロックチェーン:データを分散管理し、オンライン取引の安全化を実現する技術
それぞれの技術についてわかりやすく解説していきます。
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①ICT:人とインターネット、人と人をつなげる情報通信技術

ICTとは、「Information and Communication Technology」の略で、情報通信技術を意味します。SNS、メール、ネット検索などが例として挙げられ、通信技術を使って人とインターネット、または人と人がつながること、またはそのための技術を表します。
ICTはさまざまな業界で活用されています。教育の場では「ICT教育」が進んでおり、タブレットやオンライン教材を使って生徒の学び方に応じた柔軟な指導が行われています。また、オンラインで授業資料の配布や課題の提出、評価を行うことで、生徒と教師のやり取りがスムーズになり、学びの質や効率が向上しています。
ICT技術が広まることで複数の社会課題が解決されます。地理的障壁がなくなるため、遠隔地からも買い物をしたり、教育を受けたりすることができ、地方の過疎問題の解消につながります。またテレワークが実現されることで柔軟な働き方が可能になり、子育てと仕事の両立、身体障がいを持つ人が働きやすい社会を実現します。
②IoT:あらゆるモノをインターネットに接続する技術

IoTとは、「Internet of Things」の略で、日本語では「モノのインターネット」と言います。家電、自動車、建物など、日常で使うあらゆるモノにセンサーを設置し、インターネット接続することで生活の利便性を大きく向上させる技術です。
IoTにより、センサーを搭載したモノから大量の情報を取得することで、様々なことが実現できます。例えば、冷蔵庫にセンサーを設置すれば、その中の食材の状況がわかり、どの食材を買い足す必要があるのかが一瞬でわかります。また、指輪型やブレスレット型のウェアラブルデバイスを装着することで、心拍数や睡眠パターンをモニタリングするためにも利用できます。
IoT技術が広まっていけば、あらゆるモノがインターネットに繋がり、生活の利便性が大きく向上します。導入のためには、専用のセンサーやデバイスの用意、ネットワーク環境の整備、データの収集・管理システムの構築などの準備が必要となります。
③ビッグデータ:人間では処理しきれない大量かつ多様なデータ群
ビッグデータとは、従来のデータ処理方法では扱いきれないほど大量で多様なデータ群のことです。
ビッグデータは、Volume(膨大なデータ量)、Variety(多様なデータの種類)、Velocity(データ生成・処理のスピード)、Veracity(データの正確性)という4つのVから始まる特徴をもっています。
ビッグデータを分析することで、企業は新たな洞察を得たり、予測モデルを構築することができます。例えば、顧客の行動履歴のデータから購買に繋がる特定の行動パターンを見出したり、工場の機械設備に設置されたセンサーから取得したデータに基づいて故障の兆候を発見したりすることが可能となります。
ビッグデータを活用するためには、目的を明確にしたうえで必要なデータの量と範囲を定め、適切なデータソースからデータを取得するとともに、大量のデータを格納するためのデータストレージの準備が必要となります。
④AI/生成AI:人間のように知的作業を行える魔法のような技術

AIとは、「Artificial Intelligence(人工知能)」の略称で、コンピューターがまるで人間のように学習・判断・予測などの知的作業を行うことを可能にする技術のことを指します。
画像を認識し異常を検知する、過去のデータから未来を予測する、依頼を元に文章や画像を作成するなどの様々な活用が可能です。
生成AIとは、AIの中でも、文章・画像・音声など新たなコンテンツを生成するAIのことを指します。
近年の急速な技術進歩により、簡単な利用方法で、人間が作成したものと同等、あるいはそれ以上の質のコンテンツを自動で生成できるようになったことから、既存のビジネスや業務のあり方を変えていく存在として、大きな注目を集めています。
既に人間の作業をサポートするツールとしての活用が進んでおり、例えば、テキスト生成AIで長文のレポートを要約する、画像生成AIで広告用の独自の画像を作成する等の活用が可能です。
AIや生成AIは、人間に代わって単純作業を行ったり、自動で新たなコンテンツを作成したりするなど、ビジネスモデルや業務プロセスを大きく変革します。DXを実現する上で、欠かすことのできない技術といえるでしょう。
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⑤クラウド:自社でサーバーを持たずにネット接続が可能に

クラウド(クラウド・コンピューティング)とは、インターネットを通じて、データやアプリケーションを外部サーバーで管理・保存・利用する仕組みのことです。
従来のようにデータを個々のコンピューターや社内サーバーに保存するのではなく、クラウドサービスプロバイダーのデータセンターに保存します。これにより、ユーザーはインターネットにさえ接続していれば、いつでもどこからでもデータやアプリケーションにアクセスできるようになります。
自社でサーバー等を用意する必要がなく、低コストで迅速にソフトウェアを利用できるという便利さから、企業がDX推進のためのITツールを導入する際にも、クラウド経由で利用することが一般的となっています。
代表的なクラウドサービスとして、Amazon Web Services、Micorosoft Azure、Google Cloud Platformなどがあります。
⑥SFA/CRM:マーケティングから商談・受注までのプロセスを変革するツール

SFAツール(Sales Force Automationツール)とは、商談やプロジェクトの進捗状況を管理することで、営業活動を効率化するツールです。営業プロセスの自動化を通じた営業チームの生産性向上を実現します。
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客に関するあらゆる情報を管理することで、営業活動を効率化したり、顧客情報からインサイトを得たりすることができるツールのことです。徹底的な顧客理解により、顧客との関係強化を実現します。
SFAとCRMを組み合わせて利用することで、マーケティングから商談・受注までの流れを効率化し、営業力を飛躍的に向上させることができるようになります。
代表的なSFAツールとして、Salesforceが提供するSales CloudやHubSpotが提供するSales Hubなどが挙げられます。また、代表的なCRMツールとして、5,500社以上の導入実績を誇る国産のeセールスマネージャーなどが挙げられます。
⑦MA:見込み客を増やすマーケティング業務自動化ツール

MAツール(マーケティングオートメーションツール)とは、マーケティング業務を自動化・効率化するためのソフトウェアです。メール配信、ソーシャルメディアの運用、リード(見込み客)のスコアリング、パーソナライズされたコンテンツの提供、キャンペーンの分析などを自動化します。
MAツールにより、マーケティング活動の効率化と精度向上を実現することができます。例えば、顧客の行動データを分析し、その興味や行動に基づいて最適なタイミングで適切なコンテンツを提供することが可能です。これにより、リードの質が向上し、営業チームへの引き渡し時に成約率を高めることができます。
代表的なMAツールとして、導入実績1,500社以上を誇る「SATORI」や大手Webマーケティングメディアを運営するferretの「ferret One」が挙げられます。
⑧RPA:定型的なPC作業を代替するオンライン上で動くロボット

RPA(Robotic Process Automation)とは、オンライン上で行う定型的な作業を自動化するソフトウェアのことです。データの入力・転記やメールの送受信などの単純作業を、人間の代わりに実行する技術です。「オンライン上で働くロボット」と考えるとわかりやすいでしょう。
RPAにより、オンライン上で行う様々な定型作業を自動化・効率化するとともに、ケアレスミスの防止や人件費の削減といったメリットを得ることができます。人間の従業員は、より本質的な仕事に取り組めるようになり、DXが目指す業務プロセスの改革や新たな価値の創出につながります。
RPAで業務を効率化するためには、自社の業務の中から自動化したい業務を特定し、最適なツールを選定する必要があります。
現在、多くの企業がRPAツールをリリースしていますが、中でも、NTTアドバンステクノロジが提供する「WinActor」というツールは、国内シェアNo. 1を誇る代表的なRPAツールです。
⑨ERP:財務・人事・在庫管理などあらゆる部門のデータを統合

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業の主要な業務プロセスを統合管理するためのシステムです。財務、人事、製造、販売、在庫管理など、さまざまな部門のデータを一元化し、効率的な業務運営を支援します。
ERPにより、情報の一元化によるデータの整理とリアルタイムな情報共有が可能になります。これにより、従業員は社内のマニュアルやノウハウなどの知見に迅速にアクセスできるようになり、経営者にとっては迅速かつ正確な意思決定が可能となります。
ERPを導入するためには、既存の業務プロセスを棚卸し、ERPでカバーする範囲を特定した上で、最適なツールを選定する必要があります。
現在、多くの企業がERPツールをリリースしていますが、中でも、マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウドERP」は、既存のマネーフォワードの会計システム等との連携が容易であり、多くの企業に導入されています。
⑩VR/AR:仮想空間を活用した新規サービス創出や業務効率化を実現

VRとは、Virtual Reality(仮想現実)の略称で、コンピューターを介してバーチャルの空間に入り込んだユーザーに、まるでそれが現実であるかのように感じさせる技術です。
現実世界では物理的な制約により再現が難しい、さまざまな空間やシチュエーションを再現し、そこに没入する体験が可能になります。近年では、ゲームや動画などのエンタメコンテンツだけでなく、企業研修や教育、完成前の建物や製品のイメージ共有などの用途でも活用が急速に進んでいます。
また、ARとは、Augumeted Reality(拡張現実)の略称で、スマートフォンやグラス型デバイスなどを通じて、リアルの世界にデジタルの情報を視覚的に重ね合わせ、情報を追加することで、ユーザーから見えるリアルの世界を拡張する技術です。
街中にポケモンが現れる「ポケモンGO」は、ARサービスの代表的な例です。ビジネスの場面では、工場や建設現場での作業の際に画面上に作業手順を表示して現場作業を効率化するといった用途で活用されています。
VRやARは、新規サービスやコンテンツの創出、業務プロセスの改善・変革など、様々な目的を達成することができ、DXを推進する重要な技術となっています。
⑪デジタルツイン:仮想空間に双子のようなリアルな環境を再現

デジタルツインとは、リアル空間から収集したデータをもとに、バーチャル空間上に全く同じ環境をまるで双子のように再現する技術です。
建物や設備に搭載されたセンサーやIoTデバイスなどから集約したさまざまなデータをもとに、リアル空間に存在する都市全体や建物、設備をバーチャル空間上に再現し、AIなどを活用しながらさまざまな分析を行うことで、より高度なシミュレーションを行うことができます。
デジタルツインを導入するためには、センサー等のIoT機器からデータを収集した上で、3Dモデルを作成し、デジタルツインとして運用できるようにシステムを構築する必要があります。
実装には高度な技術が必要であるため、外部の専門家やコンサルティング会社に依頼するのがおすすめです。
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⑫ブロックチェーン:データを分散管理し、オンライン取引の安全化を実現する技術

ブロックチェーンとは、分散型台帳とも呼ばれ、取引データを各端末に分散的に処理・記録する技術です。
一連の取引データ(ブロック)が鎖(チェーン)のように連結されており、各ブロック同士は暗号化によって容易に差し替えることができなくなっています。これにより、取引記録の改ざんを防ぎ、オンライン上での取引の安全化を図ります。
ブロックチェーンの主な特徴は、透明性とセキュリティの高さです。すべての参加者が同じデータを持ち、取引が検証されるため、不正行為の防止が可能です。
ビットコインなどの仮想通貨で使われていることで有名ですが、契約締結をオンライン化するスマートコントラクト(自動契約執行)や商品の追跡を行うサプライチェーン管理などにも活用することができます。
各技術を活用したDXの推進事例12選
各技術を活用した企業によるDXの取り組み事例として、以下の12事例が挙げられます。
- ①IoT:ダイキンが空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムを構築
- ②IoT:日本郵船が運航データの収集にAIを活用することで、船舶のIoT化を推進
- ③ビッグデータ:ローソンがカメラやマイクで取得したビッぐデータをAIで分析
- ④AI/生成AI:東急リバブルが多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース
- ⑤AI/生成AI:パナソニックが電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用
- ⑥クラウド:クレディセゾンが10年の歳月をかけ、レガシーシステムから脱却
- ⑦RPA:日本通運がRPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功
- ⑧VR/AR:日立製作所がメタバース上に熟練作業員の作業を再現し、技術承継を容易に
- ⑨VR/AR:東急建設が「建築模型AR」を導入し、ZEBの最新のエコ建築技術を可視化
- ⑩デジタルツイン:東急不動産が物件をデジタルツイン上に再現し、自宅からの内見を可能に
- ⑪デジタルツイン:川崎重工が工場を丸ごとデジタルツイン化し、生産管理を効率化
- ⑫ブロックチェーン:日本通運がブロックチェーン上で医薬品情報を管理
それぞれの事例についてわかりやすく解説していきます。
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①IoT:ダイキンが空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムを構築

ダイキン工業は、空調機や化学製品の製造を手掛ける大阪に本拠を置く世界的なメーカーです。同社は、2021年より「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始し、IoTにより空調機をクラウド環境に接続して一括管理を可能にし、業務やエネルギー消費の効率化を実現しています。
【課題・背景】
- オフィス空調設備のエネルギー消費量を最適化し、コスト削減と環境負荷の低減を目指す顧客企業のニーズが増加していた
- 多くの顧客企業が、設備管理者の人手不足に伴い、オフィス空調設備の運用・制御を効率化する必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- 空調設備をインターネットでつなぐ「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始
- 各拠点の空調設備をつなぐクラウド型の空調コントロールシステム「DK-CONNECT」の構築
【得られた成果】
- 100万台以上のエアコンの接続と分単位のデータ取集・リアルタイム制御を実現
- スマホやタブレットから空調設備の監視・運用が可能となり、オフィスを巡回する手間をカット、業務時間の短縮を実現
- 部屋単位で空調を制御したり、人数に応じて自動で設定温度を調整するなど、空調設備の運用最適化によるエネルギー消費量の削減
②IoT:日本郵船が運航データの収集にAIを活用することで、船舶のIoT化を推進

日本郵船は、船舶のIoT化を推進し、海難事故の撲滅やCO2排出量削減への取り組みを進めています。
【課題・背景】
- SDGsやESGが重要視される中、環境に配慮した船舶の航行を実現するためのデジタル技術の活用が大きな目標となっていた
【具体的な取り組み】
- 船舶に装備するセンサーの種類や数を拡充し、運航データの収集にAIを活用することで、船舶のIoT化を推進
- 海域データを活用し、実際の船を再現したシミュレーションを行うことで、高効率を追求したプロペラを設計
【解決した課題・成果】
- 船舶のIoT化により、海難事故リスクの低減、燃費効率の向上、温室効果ガス排出量の削減、乗組員の点検業務の負担軽減を実現
- 高効率プロペラにより、燃費が向上し、CO2排出量を約2%削減
③ビッグデータ:ローソンがカメラやマイクで取得したビッグデータをAIで分析

大手コンビニチェーンを手がけるローソンは店舗内に設置したカメラやマイクから取得したビックデータをAIで分析し、販売改善を行っています。
【課題・背景】
- これまで、お客様の声を参考に売り場の改善施策を検討・実施してきた
- 一方で、データに基づく根拠ある施策を実行することで、改善の効果を一層高めたかった
【具体的な取り組み】
- 店舗に設置したカメラやマイクで売場の通過人数や客の滞留時間、棚の接触時間、商品の購入率等のデータを取得
- 取得したデータを個人が特定されない形で可視化し、POSの売上データ等と合わせて分析
- データの分析はセキュリティが万全なMicrosoft Azure上に構築した「店舗運営支援AI」で行う
【得られた成果】
- 分析したデータを参考に、棚割を変更したり、商品の配置を工夫するなど、各店舗の状況に合わせて改善
- 販売数の最大化・売上げの向上に貢献
④AI/生成AI:東急リバブルが多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース

土地から建物まであらゆる不動産の情報を提供する東急リバブルは、DXの一環として、AIを活用した様々な新規サービスの創出を行っています。
【課題・背景】
- 「急な転勤等に備えて売却価格を知りたい」「自分に合った物件をすぐに見つけ出したい」といった顧客の様々なニーズに応えたい
【具体的な取り組み】
- AIにより所有不動産の価格を簡単査定する「スピードAI査定」のリリース
- AIを活用することで相性ぴったりの物件を探すことができる「AI相性診断」のリリース
- AIが投資用区分マンションのおすすめ度を顧客ごとに分析してレコメンドする「投資用区分マンションAIマッチングシステム」を 開発・運用
【得られた成果】
- スピードAI査定は、所有する不動産を登録するだけでAIが瞬時に価格を査定する利便性が評価され、登録者が1万人を突破
- AI相性診断は、パーソナライズされた物件情報をスピーディに提供、マッチ度95%を達成
- 投資用区分マンションAIマッチングシステムは、営業経験5年以上の担当者と同等レベルの物件選定・提案力を実現
⑤AI/生成AI:パナソニックが電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用

パナソニックは、日本を代表する大手家電メーカーです。同社は、DXを核とするグループ横断の取り組みを「Panasonic Transformation(PX)」と称し、AIなどの最先端技術を取り入れながら、事業戦略の基礎となる業務・プロセス・カルチャーそのものの変革を2021年5月から進めています。
【課題・背景】
- 同社の電動シェーバー「LAMDASH(ラムダッシュ)」は20年以上にわたり改良を続けてきた製品であり、伸びしろが限界に来ていた
- モーターの高出力化が大きな課題となっていたが、人間の経験と知見では、これ以上の進化の余地はない状態だった
【具体的な取り組み】
- LAMDASHシリーズ次期商品のモーター設計に生成AIを活用
- AIがモーターの中核部品であるムーバーの構造をゼロベースで設計し、シミュレーション結果を基に改善するプロセスを自動で繰り返すシステムを構築
【得られた成果・今後の展望】
- 生成AIが設計したモーターは、熟練技術者による最適設計と比較して出力が15%UPし、品質向上を実現
- 人間では改善に数か月も要していたが、AIであれば数日でPDCAを回し、同等の改善が可能に
- 今後は電動工具や車載用モーター、シーリングファンなど、他の製品開発にもAIによる設計を採用する方針
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⑥クラウド:クレディセゾンが10年の歳月をかけ、レガシーシステムから脱却

日本を代表するクレジットカード会社であるクレディセゾンは、他の金融機関と同様、レガシーシステムの存在に頭を悩ませており、中でもクレジットカードの基幹システムの複雑化は、新機能追加や改修を妨げる大きな障害となっていました。
今回の取り組みでは、クラウドを活用することで古いシステムを刷新し、レガシーシステムからの脱却に成功しました。
【課題・背景】
- クレディセゾンのクレジットカード基幹システムは、古いプログラミング言語を基に形成された複雑なシステムで、機能追加や改修が困難であり、エンジニアの確保にも苦戦していた
【具体的な取り組み】
- 社内API基盤を内製し、クラウドを活用して基幹システムの刷新を試みるプロジェクトを開始
- 約10年の歳月をかけて新たなシステム「HELIOS」を構築。総投資額は2,200億円に
【得られた成果】
- クレジットカード事業の新製品開発や新機能の追加が迅速に行えるようになり、事業の成長につながった
⑦RPA:日本通運がRPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功

日本を代表する運送会社である日本通運はRPAを導入して業務を自動化し、働き方改革を実現しました。
労働時間を削減することで、従業員の残業時間の削減や、人手不足の解消に成功しています。
【課題・背景】
- 2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限規制がかかる、いわゆる2024年問題を受けて、人手不足への対応が喫緊の課題となっていた
- 労働時間を削減し、少子高齢化による労働力不足を考慮した新しい働き方を実現する必要があった
【具体的な取り組み】
- 業務内容に応じて、業務の統括部門に導入する集約型ロボットと複数課所に導入する横展開型ロボットという2種類のロボットを使い分けながら、RPAを導入・展開
- 1万8,000人を超える事務系社員へのRPA基礎講習、全国に配置するRPAマスターに対して養成講習を開催するなど、積極的な教育・啓蒙活動を実施
【得られた成果・今後の展望】
- 労働時間を72万時間削減し、人手不足解消に貢献
- 今後はペーパレス化推進に対するRPAの活用や運転日報など手書きの伝票をデータ化して基幹システムに転記するRPAの導入といった新しい取り組みで、さらなる事務処理の自動化・効率化を目指す
⑧VR/AR:日立製作所がメタバース上に熟練作業員の作業を再現し、技術承継を容易に

日本最大級の総合電機メーカーである日立製作所は、コーポレートの改革推進部門とIT部門が連携し、トップダウンで全社的なDXを推進する体制をとっています。
最新技術の活用にも積極的で、メタバース上に熟練作業員の作業を再現して、新人作業員が容易に学べるようにするシステムを開発しました。
【課題・背景】
- 労働不足が深刻化する製造業界において、熟練作業員の業を絶やさないために、スムーズな技術承継ができる仕組みを構築する必要があった
【具体的な取り組み】
- メタバースを活用して、熟練の作業員が新人作業員に対して、工場での作業を遠隔指導できるシステムを開発
- 工場の天井や壁面に設置されたカメラやセンサーから取得したデータをもとに、メタバース上に工場を再現
- 熟練の作業員がこのメタバース上で作業を実施すると、その様子を映した映像がリアルの工場の設備に投影される
【得られた成果】
- 新人の作業員は、熟練の作業員の手業を見ながら、その場で作業を実施することができ、早期の技術習得が可能に
- 熟練作業員の技術のスムーズな承継が可能に
- 将来的には、他社の工場にもこのシステムを提供し、マネタイズの機会を得ることを検討
⑨VR/AR:東急建設が「建築模型AR」を導入し、ZEBの最新のエコ建築技術を可視化

東急建設は、年間を通じてのエネルギー消費量の収支がゼロであることを目指した建物「ZEB(ゼブ:ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」への取り組みをARで可視化しました。
【課題・背景】
- 同社は持続可能な未来への取り組みの一環として、高い断熱性能、エネルギー効率の良い設備の導入、再生可能エネルギーを活用した「創エネ」などさまざまな技術を組み合わせて創られる「ZEB」実現への取り組みを進めていた
- これらの活動を一般の人にも知ってもらうため、より簡単な形で技術の可視化を行う必要があった
【具体的な取り組み】
- 「建築模型AR」を導入し、ZEBの要素を直感的に理解できるよう、ARを通じてZEBによる熱の流れ、気流の可視化を実現
- 建築模型にタブレット等のデバイスをかざすことで、建物の内部構造を含めたZEBの構成要素を理解することが可能
【解決した課題・成果】
- 建築模型ARを導入することで、建築専門家だけでなく一般の来場者にとっても分かりやすい形で、最新のエコ建築技術の理解を深める機会を提供
⑩デジタルツイン:東急不動産が物件をデジタルツイン上に再現し、自宅からの内見を可能に

東急不動産は、デジタルツインで住まいを自由にシミュレーションできる「BRANZデジタルツイン」で新しい不動産体験を実現しました。
【課題・背景】
- コロナ以降、密を避けるために販売拠点の来場者数を限定せざるを得ず、対面販売の機会が減少していた
【具体的な取り組み】
- モデルルームをデジタルツイン上に再現し、内見を可能に
- 昼夜の光の入り具合など、生活の中で感じる情緒まで高精細CGIでリアルに再現
【解決した課題・成果】
- 遠方に住む人や高齢者など、実際のモデルルームの訪問にハードルがある人も、実際に現地にいるかのような体験が可能に
- モデルルーム見学と遜色のない体験価値、さらに一部においてはシミュレーション機能などモデルルーム以上の体験価値を提供
⑪デジタルツイン:川崎重工が工場を丸ごとデジタルツイン化し、生産管理を効率化

日本の大手重工業メーカーである川崎重工は、「Kawasaki DX」というスローガンを掲げ、新たな顧客価値の創出、モノ売りからコト売りへのビジネスモデル変革、事業基盤のアジリティ強化、従業員の働き方改革などの実現を目指しています。
DXの取り組みの一環として、同社の工場をデジタルツイン上に再現して、生産管理を効率化する取り組みが行われています。
【課題・背景】
- 工場での生産工程管理においては、稼働状況の監視や機器のメンテナンスなどのために、従業員が現地に集まる必要があり、大きな負担となっていた
【具体的な取り組み】
- 自社の工場をデジタルツイン上に再現し、生産工程をデジタル上で管理するシステムを構築
- 工場の各機器や設備はIoTによりインターネット接続され、そこで得られたデータがデジタルツインに即時反映される仕組み
【得られた成果】
- 工場の機器や設備の状態をリアルタイムで確認することができ、設備運用の効率化やトラブルの早期防止を実現
- 作業員は、現場にいなくても遠隔で工場の監視や設備のメンテナンス・機器の操作ができるようになり、作業員の負担軽減、安全確保につながる
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⑫ブロックチェーン:日本通運がブロックチェーン上で医薬品情報を管理

総合物流事業を手がける日本通運は、医薬品物流において米インテルと共同開発したIoTデバイスを活用し、取得した温度情報などをブロックチェーンで管理しています。
【課題・背景】
- 高い専門性と厳格な品質管理が求められる医薬品物流において、より安心、安全な医療品を提供するために、品質管理向上の必要性があった
【具体的な取り組み】
- 医療品の温度管理をリアルタイムで見える化できるIoTデバイス「GCWA(Global Cargo Watcher Advance、輸送状況可視化サービス)」をインテルと共同開発
- 取得した医療品の温度情報などをブロックチェーンで管理
【得られた成果・今後の展望】
- 医療品の個体レベルで温度や湿度、衝撃などの動態管理が可能に
- ウェブ上でリアルタイムで計測データがアップできるため、異常の早期発見が可能
- 同様の仕組みを、同社が持つグローバル輸送網でも活用予定
DXの進め方|具体的な6つのステップ

DXの進め方は大きく6つのステップに分けられます。
それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。
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ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する

DX推進の最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。
「DX推進後の理想の自社の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。
本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。
自社の業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、市場環境や自社の特性を踏まえ、検討しましょう。
例えば、業務のデジタル化すら進んでいない企業であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる企業であれば、3年後までに製品/サービスやビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。
ステップ2:自社の現状と課題を把握する

続いて、自社が現状どの程度DXを推進できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。
本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX推進指標」を活用することで、企業文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。
それぞれの観点における自社の成熟度のレベルを把握することで、特にDX推進が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。
ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する

前ステップで策定したビジョンと自社の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。
検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。
デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。
そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DXを推進しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。
例えば、受発注のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした企業であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の受発注プロセスをデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。
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ステップ4:DX推進チームを構築する

DXを推進するには、ビジョンや戦略を社員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。
そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。
また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。
- プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
- テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
- UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
- エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
- データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当
これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、社員に対するDX人材育成を実施する方法があります。
DX推進のスケジュールや、社員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。
ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる
これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。
ここで、いきなり全社単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。
そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の事業部や部門単位から進めるのがおすすめです。
前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各社員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。
これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDXの推進が可能になります。
ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

業務のデジタル化を進めることで、企業は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。
これらのデータを分析し、新たな業務の課題やビジネスチャンスを発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。
さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、自社独自の詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強みの蓄積こそが、他社には真似できない、ユニークな新サービスやビジネスモデルの創出の源泉となります。
デジタル技術を活用したDXを成功させる5つのポイント

デジタル技術を活用して、DXを成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
- ②自社ならではのDX戦略を策定する
- ③十分なDX人材を確保する
- ④スモールスタートクイックウィンを実現する
- ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。
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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。
そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。
具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。
一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。
②自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。
その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。
そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。
③十分なDX人材を確保する
DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。
本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。
また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。
そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。
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④スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。
そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。
そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。
取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。
これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。
⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。
そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。
一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。
もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。
DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。
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