【全25選】国内外のDX成功事例集|業界別に取組〜成果まで紹介

本記事では、国内外のDXの取り組みの中でも、特に参考になる成功事例を全部で20個、具体的な成果とともにわかりやすく解説していきます。


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目次

【全20選】国内のDX事例集

業界別の日本企業によるDXの取り組みの中でも、特に参考になる取り組みとして以下の20事例をご紹介します。

 

<製造業界>

  • ①【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築
  • ②【パナソニック】電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用

 

<建設業界>

  • ③【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供
  • ④【鹿島建設】BIM技術を活用しデジタルツインを実現

 

<小売業界>

  • ⑤【丸井グループ】百貨店×フィンテックにより売上の多角化を実現

 

<飲食業界>

  • ⑥【サントリー】働き方の柔軟性向上によりテレワークの利用者が約15倍に

 

<不動産業界>

  • ⑦【三井不動産】ロボットが稼働しやすいオフィス環境の構築
  • ⑧【東急リバブル】多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース

 

<アパレル業界>

  • ⑨【ワコールホールディングス】3D計測したデータをもとに各顧客にフィットした下着を提供
  • ⑩【JINS】ユーザーが試着したメガネの似合い度をAIが判定

 

<金融業界>

  • ⑪【SMBCフィナンシャルグループ】契約件数200万件以上のモバイル総合金融サービス「Olive」を提供
  • ⑫【三菱UFJ銀行】ChatGPT利用で月22万時間の労働時間削減へ

 

<保険業界>

  • ⑬【三井住友海上火災保険】AIによるスコアリングなど様々な新規ソリューションを提供
  • ⑭【東京海上ホールディングス】IoT搭載のドラレコにより交通事故削減に貢献

 

<物流業界>

  • ⑮【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功
  • ⑯【SGホールディングス】AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRでトラックドライバーの労働負担を軽減

 

<医療業界>

  • ⑰【東京ミッドタウンクリニック】疾病リスク予測AIで疾病リスクを正確に予測
  • ⑱【国立がん研究センター】内視鏡画像をAIに解析・診断させ、がんの早期発見につなげる

 

<自治体>

  • ⑲【北海道北見市】「書かない窓口」の導入で行政手続きの時短に成功
  • ⑳【大阪府東大阪市】AIを活用し議事録作成にかかる時間を3割削減

 

それぞれの事例についてわかりやすく解説していきます。

 

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<製造業界>

①【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築

【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築
(画像:ダイキン)

ダイキン工業は、空調機や化学製品の製造を手掛ける大阪に本拠を置く世界的なメーカーです。同社は、2021年より「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始し、IoTにより空調機をクラウド環境に接続して一括管理を可能にし、業務やエネルギー消費の効率化を実現しています。

 

【課題・背景】

  • オフィス空調設備のエネルギー消費量を最適化し、コスト削減と環境負荷の低減を目指す顧客企業のニーズが増加していた
  • 多くの顧客企業が、設備管理者の人手不足に伴い、オフィス空調設備の運用・制御を効率化する必要性に迫られていた

 

【具体的な取り組み】

  • 空調設備をインターネットでつなぐ「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始
  • 各拠点の空調設備をつなぐクラウド型の空調コントロールシステム「DK-CONNECT」の構築

 

【得られた成果】

  • 100万台以上のエアコンの接続と分単位のデータ取集・リアルタイム制御を実現
  • スマホやタブレットから空調設備の監視・運用が可能となり、オフィスを巡回する手間をカット、業務時間の短縮を実現
  • 部屋単位で空調を制御したり、人数に応じて自動で設定温度を調整するなど、空調設備の運用最適化によるエネルギー消費量の削減

 

②【パナソニック】電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用

【パナソニック】電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用
(画像:パナソニック)

パナソニックは、日本を代表する大手家電メーカーです。同社は、DXを核とするグループ横断の取り組みを「Panasonic Transformation(PX)」と称し、AIなどの最先端技術を取り入れながら、事業戦略の基礎となる業務・プロセス・カルチャーそのものの変革を2021年5月から進めています。

 

【課題・背景】

  • 同社の電動シェーバー「LAMDASH(ラムダッシュ)」は20年以上にわたり改良を続けてきた製品であり、伸びしろが限界に来ていた
  • モーターの高出力化が大きな課題となっていたが、人間の経験と知見では、これ以上の進化の余地はない状態だった

 

【具体的な取り組み】

  • LAMDASHシリーズ次期商品のモーター設計に生成AIを活用
  • AIがモーターの中核部品であるムーバーの構造をゼロベースで設計し、シミュレーション結果を基に改善するプロセスを自動で繰り返すシステムを構築

 

【得られた成果・今後の展望】

  • 生成AIが設計したモーターは、熟練技術者による最適設計と比較して出力が15%UPし、品質向上を実現
  • 人間では改善に数か月も要していたが、AIであれば数日でPDCAを回し、同等の改善が可能に
  • 今後は電動工具や車載用モーター、シーリングファンなど、他の製品開発にもAIによる設計を採用する方針

 

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<建設業界>

③【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供

【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供
(画像:コマツ)

コマツは、ショベルやブルドーザーなどの建設機械や鉱山機械の製造を手掛ける日本の大手建設メーカーです。同社は、IoTやAIなどのデジタル技術を建設機械や産業機械に搭載した新たなソリューションを開発・提供し、製造業界や建設業界におけるモノづくりの現場のDXを支援しています。

 

【課題・背景】

  • 建設業界の人手不足に伴う、現場作業の効率化・省人化のためのソリューションを求める顧客企業がますます増えていた

 

【具体的な取り組み】

  • 建設・製造業界の企業に対して、遠隔地から機械の稼働状況を確認できるIoTを活用した管理システム「Komtrax」の開発・提供
  • 建設・製造業界の企業に対して、AIが部品の劣化状態を把握し、故障前に交換時期を予測する予知保全システムの提供
  • 建設業界の企業に対して、センサーを搭載し、自動制御を可能にしたICT建機の製造・販売

 

【解決した課題・成果】

  • 機械の稼働状況の一元管理が可能となり、稼働率の向上、メンテナンス時期の把握、生産量集計の自動化などによる顧客の現場作業の効率化・生産性向上を実現
  • ある企業は、Komtraxにより、設備の稼働率が向上し、生産性が140%も増加するなど大幅な改善を実現
  • 遠隔地から顧客の機械の稼働状況や部品の劣化状態の把握が可能となり、効率的かつ適切な修理・保全サービスの提案が可能に

 

④【鹿島建設】BIM技術を活用しデジタルツインを実現

【鹿島建設】BIM技術を活用しデジタルツインを実現
(画像:鹿島建設)

鹿島建設は、BIM技術を活用したデジタルツインで建築生産プロセスのデジタル化を進めています。

  

【課題・背景】

  • 企画・設計から竣工後の維持管理・運営までの一貫した建物情報をデジタル化し、効率化を目指していた

  

【具体的な取り組み】

  • 筑波大学発のスタートアップ企業であるPXDTが有する先進的なセンシング/三次元データ処理技術と、同社が培ってきたBIM技術を融合させ、デジタルツイン基盤「鹿島ミラードコンストラクション」を構築
  • オービック御堂筋ビル新築工事にて、各フェーズにおける建物データの連携を可能にするBIMによるデジタルツインを実現

 

【解決した課題・成果】

  • 鹿島建設のデジタルツイン基盤「KMC(Kajima Mirrored Construction)」の構築により、これまで正確な記録が難しかった建築現場の施工プロセスをデジタルデータで蓄積できるように
  • 今後、BIMによるデジタルツインを全国の建築プロジェクトに展開することで、各フェーズにおける業務の効率化を図るとともに、高品質かつ高価値な建物を提供予定

  

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<小売業界>

⑤【丸井グループ】百貨店×フィンテックにより売上の多角化を実現

【丸井グループ】百貨店×フィンテックにより売上の多角化を実現
(画像:丸井グループ)

日本を代表するデパート「丸井」を運営する丸井グループは、DXを推進することで、金融サービスの提供など小売の周辺領域にもビジネスの幅を拡大しています。オンラインとオフラインを上手に統合し、実店舗・EC両方での売上拡大とクレジットカード発行による収益の拡大を同時に実現しています。

 

【課題・背景】

  • ECの加速に対応すべく、販売チャネルを多角化するとともに、フィンテック等の周辺領域にも参入して収益基盤を拡大したい

 

【具体的な取り組み】

  • フィンテック事業に参入。低収入の若年層にも低限度額でクレジットカードを発行
  • ITの活用により独自の与信システムを確立

 

【得られた成果】

  • 5年間でカード会員数が23倍に増加し、2021年3月時点で709万人・取扱高2兆円超に到達
  • 利用と支払を繰り返すことで顧客の信用が創造される仕組みを構築し、会員一人当たりのLTVが2~4倍の増加を達成

 

<飲食業界>

⑥【サントリー】働き方の柔軟性向上によりテレワークの利用者が約15倍に

【サントリー】働き方の柔軟性向上によりテレワークの利用者が約15倍に
(画像:株式会社コンセント)

大手飲料メーカーのサントリーは、ボトムアップの働き方改革の一環としてテレワークを導入しています。

 

【課題・背景】

  • 事業のグローバル展開など大きな変化のある環境下において、付加価値の創出による競争力強化の必要性に迫られていた
  • 働き方改革を競争戦略と位置付け、「メリハリ」、「濃く働く」、「ライフワークバランス」の実現に向けた取り組みを推進

  

【具体的な取り組み】

  • テレワークの範囲を拡大。自宅に限られていたテレワークの場所が、所属長の許可を受けた場所であればどこでも働けるように
  • テレワークの取得単位を10分ごとにし、フレキシビリティを向上
  • 高性能TV会議システムを導入
  • 働き方ナレッジサイト「変えてみなはれ」を開設し、各部門の働き方ノウハウを共有

 

【解決した課題・成果】

  • 個人の都合に応じて時間を有効かつ効率的に活用できる仕組みを整え、従業員のワークライフバランスを改善
  • 2010年は294名だったテレワークの利用者数が2016年には4460名まで増加
  • 各部署のアイデアや取り組みを共有し、部門の働き方ナカミ改革をサポート

 

<不動産業界>

⑦【三井不動産】ロボットが稼働しやすいオフィス環境の構築

【三井不動産】ロボットが稼働しやすいオフィス環境の構築
(画像:三井不動産株式会社)

三井不動産は、事業本部とイノベーション部門が連携し、既存事業深化と新規事業探索の「両利き」でDXを推進しています。顧客満足度向上と社会課題解決を目的とし、幅広い既存事業のほぼすべてでDXを同時推進を行います。

 

東京ミッドタウン八重洲では、同社の技術力を集結させ、DXによる利便性向上を図っています。

  

【課題・背景】

  • ロボットがスムーズに動けるオフィス環境を構築することで、オフィス管理にかかる労働力の不足解消や利便性向上を図りたい

 

【具体的な取り組み】

  • 顔認証によるオフィス入退館システムやホログラムなどの非接触技術を導入
  • デリバリー/清掃/運搬の3つのロボットが稼働しやすいオフィス環境を整備
  • インフラシェアリングによる全フロア5G対応

 

【得られた成果】

  • フードデリバリーロボットが部屋まで食事を運べるようになり、利便性が圧倒的に向上
  • 5G導入による通信速度の向上
  • ロボット導入による清掃・運搬作業の自動化・効率化

 

⑧【東急リバブル】多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース

【東急リバブル】多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース
(画像:東急リバブル)

土地から建物まであらゆる不動産の情報を提供する東急リバブルは、DXの一環として、AIを活用した様々な新規サービスの創出を行っています。

 

【課題・背景】

  • 「急な転勤等に備えて売却価格を知りたい」「自分に合った物件をすぐに見つけ出したい」といった顧客の様々なニーズに応えたい

 

【具体的な取り組み】

  • AIにより所有不動産の価格を簡単査定する「スピードAI査定」のリリース
  • AIを活用することで相性ぴったりの物件を探すことができる「AI相性診断」のリリース
  • AIが投資用区分マンションのおすすめ度を顧客ごとに分析してレコメンドする「投資用区分マンションAIマッチングシステム」を 開発・運用

 

【得られた成果】

  • スピードAI査定は、所有する不動産を登録するだけでAIが瞬時に価格を査定する利便性が評価され、登録者が1万人を突破
  • AI相性診断は、パーソナライズされた物件情報をスピーディに提供、マッチ度95%を達成
  • 投資用区分マンションAIマッチングシステムは、営業経験5年以上の担当者と同等レベルの物件選定・提案力を実現

 

<アパレル業界>

⑨【ワコールホールディングス】3D計測したデータをもとに各顧客にフィットした下着を提供

【ワコールホールディングス】3D計測したデータをもとに各顧客にフィットした下着を提供
(画像:ワコールホールディングス)

婦人用下着メーカーのワコールは、3D計測サービスで集めた顧客データをもとにパーソナライズされた商品提案を実施しています。

 

【課題・背景】

  • 試着への心理的ハードルが高いなど、インナーウェアならではの対面での購入におけるストレスを解決する必要があった
  • 発注件数が増加した場合も、人的リソースを増やすことなく対応できる体制を整えたかった

 

【具体的な取り組み】

  • 3D計測サービスで集めたボディデータから体型タイプを診断し、身体に合うインナーウェアを提案する「わたしに合うブラ診断」をリリース
  • ボディデータを分析し、一人ひとりにフィットするパーソナライズ設計された商品を開発

 

【得られた成果】

  • 3D計測から始まる「自分を知る」顧客体験の価値を強化
  • お客さまのタイムパフォーマンスを意識した接客とよりパーソナライズされた商品提案を実現

 

⑩【JINS】ユーザーが試着したメガネの似合い度をAIが判定

【JINS】ユーザーが試着したメガネの似合い度をAIが判定
(画像:JINS)

メガネを中心としたアイウェアを提供するJINSは、ユーザーが試着したメガネの似合い度をAIが判定する「JINS BRAIN」というサービスを提供しています。

 

【課題・背景】

  • 顧客の「自分に似合うメガネが分からない」「探しているメガネがなかなか見つからない」という問題を解決したい

 

【具体的な取り組み】

  • ユーザーが画面上で試着したメガネの似合い度をAIが判定する「JINS BRAIN」をJINSのオンラインショップで提供
  • AIがユーザーの顔の形や髪型をもとに、そのメガネが似合っているかどうかを判定
  • ランキング形式で各ユーザーに似合うメガネをレコメンドする機能も搭載

  

【得られた成果】

  • メガネがより選びやすく、スムーズに購入できる体験を実現

 

<金融業界>

⑪【SMBCフィナンシャルグループ】契約件数200万件以上のモバイル総合金融サービス「Olive」を提供

【SMBCフィナンシャルグループ】契約件数200万件以上のモバイル総合金融サービス「Olive」を提供
(画像:SMBCフィナンシャルグループ)

SMBCフィナンシャルグループはDXの進展によるビジネスモデルの転換や業界地図の塗り替えを機会・脅威と認識し、プロダクト・サービスの高度化、新たなビジネスモデルの創造に取り組んでいます。

 

同社は新規預金口座開設数はネット銀行が席巻する状況を受け、SMBC・SMCCが中心となり、同社と資本業務提携関係にもあるSBIグループとも連携し、モバイル総合金融サービス「Olive」を開発しました。 

 

【課題・背景】

  • 多くのIT企業が金融サービス事業に参入する中、競争力を保つべくオンラインサービスの提供に乗り出す必要性に迫られていた

 

【具体的な取り組み】

  • モバイル総合金融サービス「Olive」を開発・提供。1つのスマホアプリ・1つのIDで、銀行口座、カード決済、証券、保険という複数のサービスを利用可能に
  • 振込業務がネットで完結する法人向けネットバンキング「Web21ライト」を提供

 

【得られた成果】

  • Oliveは、2023年3月のリリース後、2024年2月までの間で契約件数200万件を突破
  • 店舗網のない地域のお客さまや高齢のお客さまとの取引が拡大し、個人顧客の新規口座開設数は銀行業界トップクラスにまで増加
  • Web21ライトは、低コストで銀行取引を簡単に行えることから、多くの企業の支持を集め、9万社以上が利用

 

⑫【三菱UFJ銀行】ChatGPT利用で月22万時間の労働時間削減へ

【三菱UFJ銀行】ChatGPT利用で月22万時間の労働時間削減へ
(画像:三菱UFJ銀行)

三菱UFJ銀行は、AIを活用した様々な取り組みを実施し、DXを推進しています。近年では、対話型生成AI「ChatGPT」を自社専用にカスタマイズして導入し、稟議書などの文書作成業務の自動化・効率化を目指す取り組みが注目されています。

 

【課題・背景】

  • 銀行業務では、稟議書や融資申込書など様々な文書の作成業務が発生し、多くの工数がかかっており、行員の負担となっていた

 

【具体的な取り組み】

  • 4万人の行員を対象にChatGPTの利用を開放。自社独自にカスタマイズし、セキュリティ対策を施した安全な利用環境を構築
  • AIを搭載したチャットボットを導入し、顧客からの問い合わせに対応

 

【得られた成果】

  • ChatGPTを稟議書作成や社内文書ドラフトに活用することで、月22万時間以上の労働時間削減効果を試算
  • チャットボットにより24時間365日の顧客対応が可能となり、行員の業務負担の軽減と顧客満足度の向上を実現

 

<保険業界>

⑬【三井住友海上火災保険】AIによるスコアリングなど様々な新規ソリューションを提供

【三井住友海上火災保険】AIによるスコアリングなど様々な新規ソリューションを提供
(画像:三井住友海上火災保険)

大手損害保険会社の三井住友海上火災保険は、AIをさまざまな業務に活用し、サービスの質の向上・顧客満足度向上といった成果をあげています。

 

【課題・背景】

  • よりパーソナライズされた体験を提供するために、AIによりデータを科学的に分析・理解・活用し、効率的かつ正確なサービスを提供したい

  

【具体的な取り組み】

  • AIによる自動車ローンスコアリングサービスを実装
  • AIが災害時の被害推定を可視化する防災ダッシュボードを提供
  • 損保業界で初めてAIチャットボットによる顧客対応を実施

 

【得られた成果】

  • 公正かつ迅速な保険審査が可能となり、保険審査の質の向上や保険収益の増加を実現
  • 災害発生時の被害推定をダッシュボード上にわかりやすく可視化することで、地域社会の防災対策を支援
  • AIチャットボットが24時間265日、顧客からの問い合わせに即時に応答可能となり、顧客満足度が向上

 

⑭【東京海上ホールディングス】IoT搭載のドラレコにより交通事故削減に貢献

【東京海上ホールディングス】IoT搭載のドラレコにより交通事故削減に貢献
(画像:東京海上ホールディングス)

東京海上ホールディングスは、事故対応のプロセスにおいて各種デジタルツールを活用する価値の焦点を、顧客の不安やストレスの解消に置き、事故解決の初めから終わりまでシームレスなサービスを提供しています。

 

【課題・背景】

  • 交通事故を未然に防ぐソリューションによって、本業の損害保険事業の採算性を確保しつつ、人々の安全に貢献したい

 

【具体的な取り組み】

  • 国内大手損保としては初めて、IoT技術を活用した個人向けドライブレコーダーを開発・販売
  • ドライブレコーダー端末から得られた150億kmを超える自動車運行データを活用し、さらなる事故削減に向けたサービス開発を目指す

 

【得られた成果】

  • 事故削減効果約13%上昇、事故解決日数短縮効果として約15%上昇
  • 個人向けドライブレコーダー「ドライブエージェントパーソナル」は2023年3月に累計契約件数100 万台を突破

 

<物流業界>

⑮【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功

【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功
(画像:日本通運)

日本を代表する運送会社である日本通運はRPAを導入して業務を自動化し、働き方改革を実現しました。労働時間を削減することで、従業員の残業時間の削減や、人手不足の解消に成功しています。

 

【課題・背景】

  • 2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限規制がかかる、いわゆる2024年問題を受けて、人手不足への対応が喫緊の課題となっていた
  • 労働時間を削減し、少子高齢化による労働力不足を考慮した新しい働き方を実現する必要があった

 

【具体的な取り組み】

  • 業務内容に応じて、業務の統括部門に導入する集約型ロボットと複数課所に導入する横展開型ロボットという2種類のロボットを使い分けながら、RPAを導入・展開
  • 1万8,000人を超える事務系社員へのRPA基礎講習、全国に配置するRPAマスターに対して養成講習を開催するなど、積極的な教育・啓蒙活動を実施

 

【得られた成果・今後の展望】

  • 労働時間を72万時間削減し、人手不足解消に貢献
  • 今後はペーパレス化推進に対するRPAの活用や運転日報など手書きの伝票をデータ化して基幹システムに転記するRPAの導入といった新しい取り組みで、さらなる事務処理の自動化・効率化を目指す

 

⑯【SGホールディングス】AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRでトラックドライバーの労働負担を軽減

【SGホールディングス】AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRでトラックドライバーの労働負担を軽減
(画像:SGホールディングス)

佐川急便を中核とした総合物流企業グループであるSGホールディングスは、AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRを活用し、業務効率化を実現しています。

 

【課題・背景】

  • 物流業界では労働人口減少による労働力不足や、2030 年の輸送力不足を背景に、トラックドライバーの労働負担の軽減など労働環境の改善が求められていた

 

【具体的な取り組み】

  • トラックの庫内に最適な荷積み作業ができる「AI搭載の荷積みロボット」を開発
  • AI-OCRの機能を発展させ、給与支払報告書、コロナワクチン予診票、レセプト帳票などといった独自の帳票の読み取りも可能なソリューションを活用

 

【解決した課題・成果】

  • トラックドライバーや積み込み作業者の業務負担軽減や荷役作業の省人化を実現
  • 紙帳票のデータ化業務における人手不足やコスト増加に課題を抱える顧客に貢献できるサービスを提供

 

<医療業界>

⑰【東京ミッドタウンクリニック】疾病リスク予測AIで疾病リスクを正確に予測

【東京ミッドタウンクリニック】疾病リスク予測AIで疾病リスクを正確に予測
(画像:東芝デジタルソリューションズ)

東京ミッドタウンクリニックは、人間ドックを受診した患者に対して疾病リスクの予測結果を報告する際に、疾病リスク予測AIサービスというツールを活用しています。

 

疾病リスク予測AIサービスとは、東芝デジタルソリューションズが提供するソリューションで、1年分の健康診断データをもとにAIが6年先までの6疾病(糖尿病・高血圧症・脂質異常症・腎機能障害・肝機能障害・肥満症)のリスクを予測するサービスです。

 

【課題・背景】

  • 近年、個々人が自身の生活習慣の改善や健康増進を図り生活習慣病を予防することを目的に、発症リスクの把握に対するニーズが高まっている

 

【具体的な取り組み】

  • 東芝デジタルソリューションズが提供するソリューション「疾病リスク予測AIサービス」を活用
  • 生活習慣病の個別化予測データを健康診断レポートに反映

 

【得られた成果】

  • より正確な疾病リスク予測を患者に届けることに成功
  • 疾病リスクの予測にかかる医師の工数を削減し業務効率化を達成

 

⑱【国立がん研究センター】内視鏡画像をAIに解析・診断させ、がんの早期発見につなげる

【国立がん研究センター】内視鏡画像をAIに解析・診断させ、がんの早期発見につなげる
(画像:国立がん研究センター)

国立がん研究センターは、内視鏡画像をAIに解析・診断させ、消化器系のがんの早期発見につなげる取り組みを実施しています。これまで、内視鏡検査は医師が肉眼で行っており、医師によって診断内容にばらつきがあったり、がんの兆候の見逃しがあるなどの課題がありました。

 

【課題・背景】

  • 大腸内視鏡検査を受けていたにもかかわらず、内視鏡検査時の見逃しによりその後大腸がんになるケースが約3%に達している現状
  • 早期発見が重要である大腸がん治療において見逃しを防ぐことが喫緊の課題に

 
【具体的な取り組み】

  • NECと共同で、AIが早期大腸がんや前がん病変を内視鏡検査時にリアルタイムに発見するソフトウェアを開発
  • AIに約 5,000 例の大腸癌と前癌病変の内視鏡画像を学習、診断させる

 

【得られた成果】

  • 偽陽性率を1%に抑えたまま、98%の病変発見率を達成するなど、正確性が向上
  • 解析時間もわずか0.1秒以内に短縮  

 

<自治体>

⑲【北海道北見市】「書かない窓口」の導入で行政手続きの時短に成功

【北海道北見市】「書かない窓口」の導入で行政手続きの時短に成功
(画像:北海道北見市)

北海道北見市は、デジタルツールを活用した「書かない窓口」の導入で、行政手続きの時短に成功しています。

 

【課題・背景】

  • 窓口での手続きにおいて、来庁者が複数の窓口を回らなければならなかったり、記入ミスで時間がかかってしまったりと効率の悪い状況が続いていた
  • 工数のかかる窓口での手続きを簡易化し、職員と来庁者両方の負担を減らしたかった

 

【具体的な取り組み】

  • 北見市が独自に開発した「窓口支援システム」で各種手続きの情報を整理し、1つの窓口で手続きを完結できる書かないワンストップ窓口を実現
  • 入力したデータの処理には、定型的な作業を自動処理するRPA が活用され、入力と同時に自動で即時処理が可能

 

【得られた成果】

  • 手続きの大幅な時間短縮に成功
  • 2021年度での庁内全体の業務削減時間は、年間約 3,375 分短縮
  • 4人世帯で市内転居したときの転居届の時間は、7分が2分半に短縮
  • デジタル庁は「書かないワンストップ窓口」の仕組みを、自治体窓口DXと位置づけて、各自治体での導入を進めている

 

⑳【大阪府東大阪市】AIを活用し議事録作成にかかる時間を3割削減

【大阪府東大阪市】AIを活用し議事録作成にかかる時間を3割削減
(画像:東大阪市)

東大阪市はAI議事録の導入により議事録作成にかかる時間を大幅に短縮し、職員の負担を軽減することに成功しています。

 

【課題・背景】

  • 議事録作成において、録音した音声を複数回聞き直しながら作業を行うため、会議時間の約3〜8倍の作業時間を要していた
  • 府庁では職員数削減の影響で残業時間が年々増加していた

 

【具体的な取り組み】

  • AI を活用した音声認識技術による議事録作成支援システム用の端末を1台導入し、実証実験を行った
  • 実証実験で効果が確認できたため、令和2年6月より端末を2台増設して3台体制とし、全庁に周知をし、議事録作成支援システムの貸し出しを開始
  • AIは関西弁の変換も行うことが可能

 

【得られた成果】

  • 議事録作成にかかる時間を3割程度削減
  • 職員の残業時間を削減し、負担を軽減 

 

【全5選】海外のDX事例集

海外の企業によるDXの取り組みの中でも、特に注目すべき事例として、以下の5つが挙げられます。

 

  • ㉑【スターバックス】徹底した決済スピード向上によりレジ待ち時間を削減
  • ㉒【フォルクスワーゲン】ARヘッドセットを車体修理に導入し93%の作業効率改善
  • ㉓【Monzo】モバイルバンクサービスで国際送金の手数料高騰の問題を解消
  • ㉔【Heuritech】SNSの投稿からファッショントレンドを予測するシステムを開発
  • ㉕【ウォルマート】VRゴーグルを接客トレーニングに活用

 

それぞれの事例についてわかりやすく解説していきます。

 

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㉑【スターバックス】徹底した決済スピード向上によりレジ待ち時間を削減

(画像:スターバックス)

世界的に人気のあるアメリカ発のコーヒー店・スターバックスは、DXにより、来店客のレジ待ち時間を徹底的に削減する取り組みを行ってきました。特に、他の企業に先駆けて、その時代における最先端のキャッシュレス技術をいち早く導入したことは注目に値します。

 

【課題・背景】

  • 小売業において避けて通れない決済のプロセスによりレジ待ちが発生。これをできるだけ短縮して回転率を高めるための施策が急務となっていた

 

【具体的な取り組み】

  • 2008年にMy Starbucksというオンラインコミュニティとポイントプログラムを開始。ポイント制のStarbucksカードを導入することで、カード決済の利用を促進
  • 2011年に全米の全店舗にモバイル決済を導入し、決済スピードがさらに加速
  • 2015年には、スマホで事前オーダーができる仕組みを整え、レジでの決済行為そのものを省略

 

【得られた成果】

  • 徹底的な決済スピードの向上施策により、レジ待ち時間の短縮に成功
  • 回転率の向上により売上は拡大。コロナ禍においても世界で1,000店舗以上を新たにオープンするなど、着実な事業成長を遂げている

 

㉒【フォルクスワーゲン】ARヘッドセットを車体修理に導入し93%の作業効率改善

【フォルクスワーゲン】ARヘッドセットを車体修理に導入し93%の作業効率改善
(画像:フォルクスワーゲン)

ドイツの大手自動車メーカーであるフォルクスワーゲンは、工場のDX推進に力を入れており、そのための基盤となるクラウド環境「Volkswagen Industrial Cloud」の整備を進めています。

 

フォルクスワーゲンによる業務効率化の取り組みとして参考になるのが、ディーラーの車体修理作業へのARヘッドセット導入です。これにより作業効率を9割も改善するという大きな成果をあげたことで話題となっています。

 

【課題・背景】

  • 修理現場で働く技術者は、多種多様な車を修理しなければならないが、車種によって仕組みや構造が異なるため、あらゆる種類の車の修理を迅速に行うことが難しかった

 

【具体的な取り組み】

  • 修理現場にARヘッドセットを導入。遠隔地にいる専門家と視界を共有し、リアルタイムで指示を受けることができる仕組みを構築
  • どのような種類の車でも適切な修理方法をすぐに実行することが可能に

 

【得られた成果】

  • 試験段階の活用において、修理作業の効率が93%も改善したとの結果が出た
  • 修理のサポートをする専門家も、実際に現場に行く必要がなくなり、移動時間の短縮、負担軽減につながった
  • 今後はイギリス国内の各修理工場に展開予定

 

㉓【Monzo】モバイルバンクサービスで国際送金の手数料高騰の問題を解消

【Monzo】モバイルバンクサービスで国際送金の手数料高騰の問題を解消
(画像:Monzo)

Monzoは、チャレンジャーバンクと呼ばれる業態を採用しているロンドン発の銀行です。チャレンジャーバンクとは、無店舗型の次世代銀行を意味し、フィンテック業界で注目を浴びている業態です。日本では、ネットバンクの楽天銀行やセブン銀行がこれに近いと言えます。

 

Monzoは、便利なモバイルバンキングサービスにより、資金移動、特に国際送金を簡単・迅速に行えるようにしました。

 

【課題・背景】

  • イギリスのEU離脱を機に、他の欧州諸国との間での国際送金にかかる送金手数料の優遇措置を受けられなくなった
  • 送金手数料を抑え、低コストで簡単に国際送金ができるサービスが求められていた

 

【具体的な取り組み】

  • スマホアプリ上で銀行機能が完結し、送金手数料もATM引出しも原則無料なモバイルバンキングサービスをリリース
  • Monzoに口座を持つことで海外での引出しも可能となり、送金が不要
  • 送金の場合も、手数料はEU加盟国との間であれば3.75ポンドに固定

 

【得られた成果】

  • 国境を越える移動が一般的なヨーロッパ人にとって非常に便利なサービスとなり、2022年7月時点でユーザー数は580万人に到達
  • 2024年には1億9,000万円の資金調達に成功

 

㉔【Heuritech】SNSの投稿からファッショントレンドを予測するシステムを開発

【Heuritech】SNSの投稿からファッショントレンドを予測するシステムを開発
(画像:Heuritech)

フランスのスタートアップHeuritechは、SNSやブログなどのソーシャルメディアの投稿を分析し、ファッショントレンドを予測するシステムを開発しました。

 

【課題・背景】

  • 正確なファッショントレンドがつかめず、過剰な在庫に悩まされる事業者が多くいた
  • ファッション業界は過剰な在庫の廃棄による環境汚染が問題視されていた

 

【具体的な取り組み】

  • AIを搭載したシステムがソーシャルメディアに投稿された写真やテキストデータから、ブランドに関する情報を抽出し、ファッショントレンドを予測

 

【得られた成果】

  • 在庫数の最適化や効果的な販売戦略の遂行が可能に
  • スカートの売り上げが12%増加した例もあり
  • 過剰在庫や廃棄を防ぎ、サステイナブルな生産が可能となった

 

㉕【ウォルマート】VRゴーグルを接客トレーニングに活用

【ウォルマート】VRゴーグルを接客トレーニングに活用
(画像:ウォルマート)

アメリカの大手スーパーマーケットチェーンであるウォルマートは、様々なDXに関する取り組みで成功している海外企業として有名です。ネットスーパーの当日配送サービス「ウォルマートプラス」、オンラインとオフラインのオムニチャネルを持つ診療所事業「Walmart Health」など、オンラインビジネスに積極的に乗り出しています。

 

ウォルマートは、2018年から、Metaが提供するVRヘッドセット「Meta Quest」を用いて、仮想空間上に店舗を再現し、従業員が接客トレーニングを行えるプログラムを提供しています。

 

【課題・背景】

  • 接客については、講義形式での研修がメインであり、実際の接客のシチュエーションをイメージした実践的な練習をすることは難しかった

 

【具体的な取り組み】

  • ウォルマートの店舗を仮想空間上に再現。従業員にVRゴーグルを装着させて、仮想の客に対する接客のトレーニングを実施
  • 合計1万7,000台のVRヘッドセットを約4,700店舗に準備するなど、大規模な投資を行う

 

【得られた成果】

  • 従業員は本番に近い環境で接客の練習をすることが可能に
  • 従業員の7割は、VRを使わなかった従業員と比べて高いパフォーマンスを発揮したたという結果も

 

成功事例からわかるDXを成功させる5つのポイント

DXを成功させるための5つのポイント

国内外の企業によるDXの成功事例からわかる、DXを成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。

 

  • ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
  • ②自社ならではのDX戦略を策定する
  • ③十分なDX人材を確保する
  • ④スモールスタートクイックウィンを実現する
  • ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

 

それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。

 

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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む

DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。

 

そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。 

 

具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。

 

一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。

 

②自社ならではのDX戦略を策定する

自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。

 

その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。

 

そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。

 

③十分なDX人材を確保する

DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。

 

本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。

 

また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。

 

そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。

 

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④スモールスタートクイックウィンを実現する

DX スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。

 

そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。

 

そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。

 

取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。

 

これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。

 

⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

DX ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。 

 

そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。

 

一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。

 

もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。

 

DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。

 

DXの進め方|具体的な6つのステップを紹介

DXの進め方|具体的な6つのステップ

DXの進め方は大きく6つのステップに分けられます。

それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。

 

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ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する

ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する
(出典:経済産業省「DXレポート2.1」

DX推進の最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。

 

「DX推進後の理想の自社の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。

 

本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。

自社の業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、市場環境や自社の特性を踏まえ、検討しましょう。

 

例えば、業務のデジタル化すら進んでいない企業であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる企業であれば、3年後までに製品/サービスやビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。

 

ステップ2:自社の現状と課題を把握する

DX ステップ2:自社の現状と課題を把握する
(出典:独立行政法人情報処理推進機構「「DX 推進指標」とそのガイダンス」

続いて、自社が現状どの程度DXを推進できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。

 

本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のDX推進指標」を活用することで、企業文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。

 

それぞれの観点における自社の成熟度のレベルを把握することで、特にDX推進が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。

 

ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する

ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する
(出典:独立行政法人情報処理推進機構「「DX 推進指標」とそのガイダンス」

前ステップで策定したビジョンと自社の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。

 

検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。

 

デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。

 

そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DXを推進しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。

 

例えば、受発注のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした企業であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の受発注プロセスをデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。

 

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ステップ4:DX推進チームを構築する

ステップ4:DX推進チームを構築する

DXを推進するには、ビジョンや戦略を社員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。

 

そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。

 

また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。

  • プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
  • テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
  • UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
  • エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
  • データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当

 

これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、社員に対するDX人材育成を実施する方法があります。

 

DX推進のスケジュールや、社員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。

 

ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる

これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。

 

ここで、いきなり全社単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。

 

そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の事業部や部門単位から進めるのがおすすめです。

 

前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各社員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。

 

これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDXの推進が可能になります。

 

ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

ステップ3:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

業務のデジタル化を進めることで、企業は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。

 

これらのデータを分析し、新たな業務の課題やビジネスチャンスを発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。

 

さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、自社独自の詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強み蓄積こそが、他社には真似できない、ユニークな新サービスやビジネスモデルの創出の源泉となります。

 

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