不動産業界のDXとは?課題や3大メリット、成功事例5選も紹介

不動産業界におけるDXとは、デジタル技術を活用して、既存の業務を大幅に見直したり、顧客の多様なニーズに応える新たなサービスを創出する取り組みのことを指します。

 

例えば、紙の契約書や申込書を電子化してコストを削減したり、AIが各顧客に最適な物件をレコメンドする機能を提供したり、デジタル空間上に物件を再現して内見を可能としたりなど、様々な取り組みが挙げられます。

 

本記事では、不動産業界が抱える3つの課題を紹介した上で、それらの課題を解決する不動産DXのメリット、具体的な取り組み例、日本企業の成功事例、成功のポイント、具体的な進め方をわかりやすく解説していきます。


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目次

不動産業界が抱える3つの課題

不動産業界が抱える3つの課題

不動産業界が抱える課題として、以下の3つが挙げられます。

 

  • ①アナログ文化の常態化
  • ②顧客対応にあたる人員の不足
  • ③既存システムの老朽化

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

①アナログ文化の常態化

不動産業界でもデジタル化の動きは進んでいますが、売買契約や賃貸借契約などの各種契約書のやり取りをはじめとする多くの業務がいまだに紙の文書で行われています。

 

総務省の「令和5年 通信利用動向調査報告書」によると、不動産業界において、IoTやAIなどのシステムやサービスを導入している割合は2割弱にとどまっています。

 

紙でのやり取りにはコストがかかるだけでなく、従業員のテレワークの妨げとなったり、紛失や情報漏洩のおそれがあったりと、様々なデメリットが生じます。そのため、デジタル化を推し進め、アナログ文化からいち早く脱却することが重要となっています。

 

②顧客対応にあたる人員の不足

不動産業界における業務の多くは、いまだに対面で行われています。売買や賃貸借の申込み・契約締結や、物件の内覧・見学などは、一部オンライン化の動きもありますが、基本的には従業員と顧客が対面で行う場合が多いです。

 

近年、このような対面での顧客対応にあたる人員不足が問題となっています。

厚生労働省が公表している「令和4年 雇用動向調査結果の概要」によると、不動産業における離職率は、2021年に11.4%だったのが、2022年には13.8%に増加しています。

 

また、国土交通省が公表している「不動産業ビジョン2030 参考資料集」によると、不動産業における後継者不在率は68.9%となっており、高齢化や後継者不在が喫緊の課題となっていることがわかります。

 

このような人手不足の問題を解消するためにも、DX推進による業務の自動化・効率化を進める必要性が高いといえます。

 

③既存システムの老朽化

既存システムの老朽化は、不動産業界に限らず、多くの業界でも話題となっています。不動産業界においては、顧客や物件のデータベース、申込みや契約処理を行うシステムなど、様々なITシステムが活用されていますが、老朽化により刷新が困難になっているケースも少なくありません

 

このような古くなったシステムを使い続けていると、DXの推進の妨げとなるだけでなく、システム障害や情報漏洩のリスクにさらされることにもなります。

 

そのため、DXの取り組みにより、このような老朽化システムを刷新して、セキュリティ対策を万全に施した新しいシステムを実装する必要性が高まっています。

 

不動産業界におけるDXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。

 

不動産業界においてもDXの動きは進んでいます。デジタル技術やITツールを導入して、新たなサービスを提供したり、業務を効率化することに成功している企業も多くあります。

 

アットホームが行った「不動産DXに関する実態調査」によると、DXに取り組んでいる、または、取り組んでいないが検討中と答えた不動産会社の割合は合計で54.2%に達しています。一方で、実際にDXツールを導入していると回答した割合は22.8%にとどまっており、まだまだDXによる改善の余地があることがうかがえます。

 

不動産業界における具体的なDXの事例として、以下のような取り組みが挙げられます。

  • 紙の契約書や申込書を電子化してコストを削減する
  • AIが各顧客に最適な物件をレコメンドする機能を提供する
  • デジタル空間上に物件を再現して内見を可能にする

 

コロナウィルスをきっかけに、あらゆる業種でオンラインシフトが進む中、不動産業界においても、デジタル化の流れを受けて多くの企業が変化を迫られている状況にあります。

 

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不動産業界におけるDXの取り組み例5選

不動産業界におけるDXの取り組み例5選

不動産業界におけるDXの取り組みの例として、主に以下の5つが挙げられます。

 

  • ①不動産契約の電子化
  • ②チャットボットによる顧客問い合わせ対応
  • ③物件検索・内見のオンライン化
  • ④不動産管理の電子化
  • ⑤物件価格査定の自動化

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

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①不動産契約の電子化

2022年5月の法改正により、不動産の売買契約や重要事項説明を含め、不動産に関する契約の電子化が全面的に解禁されました。これをきっかけに、多くの不動産会社が、契約の電子化を進めています。

 

これにより、従来は対面で行われていた契約手続きの一部をオンラインで行うことも可能となりました。また、紙のやり取りが不要になったことで、コスト削減にもつながっています。

 

②チャットボットによる顧客問い合わせ対応

チャットボットによる顧客問い合わせ対応
(画像:レオパレス21)

物件に関する質問や内覧・契約の申込みなど、顧客からの様々な問い合わせへの対応を、チャットボットに代替させることができます。特に、生成AIを搭載したチャットボットは、人間のように自然な応答が可能であり、様々な問い合わせに柔軟に対応することが可能です。

 

例えば、レオパレス21は、AIの店員がチャット形式で顧客の部屋探しをサポートする「バーチャルデスク」というサービスを提供しています。

 

チャットボットにより、従業員の負担が軽減されるだけでなく、24時間365日の顧客対応が可能となり、顧客満足度の向上にもつながります。

 

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③物件検索・内見のオンライン化

物件検索・内見のオンライン化
(画像:東急不動産)

DXの取り組みの一環として、物件情報の検索や内見のオンライン化を進める企業も多いです。

 

物件情報の検索については、AIを導入することで、顧客ごとにパーソナライズされた物件のレコメンドを行うことができるようになります。これにより、顧客が自分が求める物件を容易に見つけ出せるようになり、成約率の向上にもつながるでしょう。

 

また、VRやARなどの技術を用いて物件をデジタル空間上に再現し、オンラインで内見が可能となるサービスも登場しています。例えば、東急不動産は、マンションのモデルルームをデジタル空間上に再現して、自宅からでも内見を可能にするサービスをリリースしています。

 

これにより、遠隔地に住む人でも手軽に内見をすることが可能となり、利便性の向上や人件費等のコスト削減につながります。

 

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④不動産管理の電子化

不動産管理の電子化
(画像:大京) 

不動産管理会社は、賃料の徴収、光熱費の請求、空調のオンオフ、設備のメンテナンス・修繕、固定資産税の納付など、物件を維持するために様々な管理業務を行わなければなりません。

 

近年、これら不動産管理にかかる業務をオンライン上で一元化できるサービスが登場しています。例えば、東京建物は、八重洲にあるオフィスビルにおいて、AIが自動で空調制御を行うシステムを導入する実証実験を行いました。これにより、消費エネルギーの5割を削減することができたとのことです。

 

このように、不動産管理をオンライン化し、AIなどを導入することで、管理漏れや手続きミスなどを減らし、確実かつ効率的な不動産管理が可能になります。

 

⑤物件価格査定の自動化

物件価格査定の自動化
(画像:東急リバブル)

AIを活用し、物件の価格査定を自動で算出できるサービスが登場しています。類似物件の価格や過去の価格の推移等の様々なデータを分析することで、指定した物件の相場価格を瞬時に算出することができるようになります。

 

例えば、東急リバブルは、所有不動産を登録するだけでAIがスピーディに物件価格を査定できる「スピードAI査定」というサービスを提供しています。

 

これにより、顧客は瞬時に自分の物件の相場がわかるようになり、売買や賃貸借の際に役立ちます。

 

不動産業界においてDXを推進する3つのメリット

不動産業界においてDXを推進する3つのメリット

不動産業界においてDXを推進するメリットとして、主に以下の3つが挙げられます。

 

  • ①事務作業の自動化・効率化
  • ②顧客サービスの質の向上
  • ③新規サービス・提供価値の創出

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

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①事務作業の自動化・効率化

DXにより様々な事務作業の自動化や効率化が可能となります。チャットボットによる顧客問い合わせへの対応や各種書類のデジタル化による書面管理の効率化などはその典型例です。

 

また、ChatGPTで話題となっている生成AIは、人間が書いたような自然な文章の作成が可能であり、物件紹介サイトに掲載するキャッチコピーや紹介文の自動作成などもできるようになります。

 

このように、DXの推進によりあらゆる事務作業を効率化し、従業員の負担を軽減することができます。

 

②顧客サービスの質の向上

DXは顧客サービスの質の向上や顧客満足度向上にもつながります。

 

例えば、顧客からの問い合わせ対応をチャットボットにより自動化することで、24時間365日の顧客対応が可能となります。

 

また、今までは対面で行う必要があった、契約締結などの各種手続きがオンライン上でできるようになることで、顧客が店舗を訪れる必要がなくなり、利便性を向上させることができます。

 

③新規サービス・提供価値の創出

不動産DX 新規サービス・提供価値の創出
(画像:BUILT) 

DXにより、顧客に対して新たなサービスを提供したり、既存サービスに新たな価値を付加することが可能となります。

 

AIにより瞬時に不動産の価格を査定するサービスやオンラインで内見ができるサービスはその代表例です。

 

近年では、IoT技術を導入して家具や家電をインターネットでつなぎ、遠隔で操作できるようにするスマートホームなど、近未来的な技術の開発・実装も進められています。

 

例えば、西松建設は、AIが部屋の温度・湿度や振動・音声などのあらゆるデータを測定し、室温や照明の色を自動で調整したり、エアコンのオンオフやカーテンの開閉を自動で操作するスマートハウスAIを開発しています。

 

不動産業界におけるDXの成功事例5選

不動産業界におけるDXの成功事例として、以下の5つが挙げられます。

 

  • ①【三菱地所】IT技術を駆使して次世代型スマートシティの推進
  • ②【三井不動産】ロボットが稼働しやすいオフィス環境の構築
  • ③【東急リバブル】多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース
  • ④【東急不動産】物件をデジタルツイン上に再現し、自宅からの内見を可能に
  • ⑤【プロパティエージェント】顔認証技術によりスマートなマンションを実現

 

それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。

 

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①【三菱地所】IT技術を駆使して次世代型スマートシティの推進

【三菱地所】IT技術を駆使して次世代型スマートシティの推進
(画像:三菱地所株式会社)

三菱地所は、経済産業省と東京証券取引所が選定する「DX注目企業2023」に選ばれるなど、DX推進に積極的な企業として注目されています。不動産業ならではのオリジナリティのあるDXでUX(顧客体験)を飛躍的に向上させる次世代型スマートシティを推進しています。

 

【課題・背景】

  • 生活者が暮らしやすさを実感できる新しいまちづくりを目指す上で、様々なオフラインとオンラインでの接点をシームレスに繋げた顧客体験実現の必要性があった

 

【具体的な取り組み】

  • まちで提供されるオンライン/オフラインの体験・サービスを1つのIDで利用可能にする共通認証 ID「Machi Pass」を開発
  • 利用希望者が顔画像をMachi Passに紐づけることで顔認証サービスの利用を可能とする顔認証プラットフォーム「Machi Pass FACE」を開発
  • 警備ロボットによる空調や冷温水ポンプの設備点検などロボット・フレンドリーなまちづくりの推進
  • 総合スマートホームサービス「HOMETACTホームタクト」を開発

 

【得られた成果】

  • 様々なサービスを1IDで利用できる”まち”の実現を推進
  • 施設とロボットが連動したより付加価値の高い次世代型施設運営を実現
  • 「HOMETACTホームタクト」により、スマホアプリやスマートスピーカーを使い、住設機器・家電などの IoT 機器をまとめて操作・管理できる

 

②【三井不動産】ロボットが稼働しやすいオフィス環境の構築

【三井不動産】ロボットが稼働しやすいオフィス環境の構築
(画像:三井不動産株式会社)

三井不動産は、事業本部とイノベーション部門が連携し、既存事業深化と新規事業探索の「両利き」でDXを推進しています。顧客満足度向上と社会課題解決を目的とし、幅広い既存事業のほぼすべてでDXを同時推進を行います。

東京ミッドタウン八重洲では、同社の技術力を集結させ、DXによる利便性向上を図っています。

  

【課題・背景】

  • ロボットがスムーズに動けるオフィス環境を構築することで、オフィス管理にかかる労働力の不足解消や利便性向上を図りたい

 

【具体的な取り組み】

  • 顔認証によるオフィス入退館システムやホログラムなどの非接触技術を導入
  • デリバリー/清掃/運搬の3つのロボットが稼働しやすいオフィス環境を整備
  • インフラシェアリングによる全フロア5G対応

 

【得られた成果】

  • フードデリバリーロボットが部屋まで食事を運べるようになり、利便性が圧倒的に向上
  • 5G導入による通信速度の向上
  • ロボット導入による清掃・運搬作業の自動化・効率化

 

③【東急リバブル】多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース

【東急リバブル】多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース
(画像:東急リバブル)

土地から建物まであらゆる不動産の情報を提供する東急リバブルは、DXの一環として、AIを活用した様々な新規サービスの創出を行っています。

 

【課題・背景】

  • 「急な転勤等に備えて売却価格を知りたい」「自分に合った物件をすぐに見つけ出したい」といった顧客の様々なニーズに応えたい

 

【具体的な取り組み】

  • AIにより所有不動産の価格を簡単査定する「スピードAI査定」のリリース
  • AIを活用することで相性ぴったりの物件を探すことができる「AI相性診断」のリリース
  • AIが投資用区分マンションのおすすめ度を顧客ごとに分析してレコメンドする「投資用区分マンションAIマッチングシステム」を 開発・運用

 

【得られた成果】

  • スピードAI査定は、所有する不動産を登録するだけでAIが瞬時に価格を査定する利便性が評価され、登録者が1万人を突破
  • AI相性診断は、パーソナライズされた物件情報をスピーディに提供、マッチ度95%を達成
  • 投資用区分マンションAIマッチングシステムは、営業経験5年以上の担当者と同等レベルの物件選定・提案力を実現

 

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④【東急不動産】物件をデジタルツイン上に再現し、自宅からの内見を可能に

【東急不動産】物件をデジタルツイン上に再現し、自宅からの内見を可能に
(画像:東急不動産)

東急不動産は、デジタルツインで住まいを自由にシミュレーションできる「BRANZデジタルツイン」で新しい不動産体験を実現しました。

 

【課題・背景】

  • コロナ以降、密を避けるために販売拠点の来場者数を限定せざるを得ず、対面販売の機会が減少していた

 

【具体的な取り組み】

  • モデルルームをデジタルツイン上に再現し、内見を可能に
  • 昼夜の光の入り具合など、生活の中で感じる情緒まで高精細CGIでリアルに再現

 

【解決した課題・成果】

  • 遠方に住む人や高齢者など、実際のモデルルームの訪問にハードルがある人も、実際に現地にいるかのような体験が可能に
  • モデルルーム見学と遜色のない体験価値、さらに一部においてはシミュレーション機能などモデルルーム以上の体験価値を提供

 

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⑤【プロパティエージェント】顔認証技術によりスマートなマンションを実現

【プロパティエージェント】顔認証技術によりスマートなマンションを実現
(画像:プロパティエージェント株式会社)

不動産投資を手掛けているプロパティエージェントは、IDでも物理的な鍵でもなく、管理や持ち運びが不要となる顔情報登録アプリを開発し、顔情報を共通IDプラットフォーム化しました。

 

【課題・背景】

  • 物理的な鍵やIDカードの紛失、返却忘れ等のトラブルを回避できる便利なソリューションへの需要に応えたい

 

【具体的な取り組み】

  • 顔認証IDプラットフォーム「FreeiD(フリード)」のアプリに登録すると、マンションに設置されている顔認証端末に顔をかざすだけで、エントランスの入場、メールBOX・宅配BOXの解錠、エレベーターの呼び出し、各戸への入室が可能となる仕組みを構築
  • ⼊居者が家族・知⼈にFreeiDアプリを通じて⼀時的な⼊室権限を付与できる「One Time(鍵貸し)機能」を実装
  • FreeiDと配送会社のシステムとを連動し、必要な配達員の顔情報及び配達営業時間等を予め登録
  • オフィスにおける入退室・来客受付にも顔認証を導入

 

【解決した課題・成果】

  • ⼊居者が不在の場合でも、家族・知⼈を指定の時間、⾃宅に招待することが可能に
  • 宅配BOXがない物件でも置き配が可能になり、宅配業社の再配達の負担を軽減
  • オフィスの来客者は、担当者名等の入力が不要となり、顔認証だけで担当者呼び出しが可能に

 

不動産業界におけるDXを進める6つのステップ

DXの進め方|具体的な6つのステップ

不動産業界におけるDXの進め方は大きく6つのステップに分けられます。

それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。

 

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ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する

ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する
(出典:経済産業省「DXレポート2.1」

DX推進の最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。

 

「DX推進後の理想の自社の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。

 

本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。

自社の業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、市場環境や自社の特性を踏まえ、検討しましょう。

 

例えば、業務のデジタル化すら進んでいない企業であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる企業であれば、3年後までに製品/サービスやビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。

 

ステップ2:自社の現状と課題を把握する

DX ステップ2:自社の現状と課題を把握する
(出典:独立行政法人情報処理推進機構「「DX 推進指標」とそのガイダンス」

続いて、自社が現状どの程度DXを推進できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。

 

本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のDX推進指標」を活用することで、企業文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。

 

それぞれの観点における自社の成熟度のレベルを把握することで、特にDX推進が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。

 

ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する

ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する
(出典:独立行政法人情報処理推進機構「「DX 推進指標」とそのガイダンス」

前ステップで策定したビジョンと自社の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。

 

検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。

 

デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。

 

そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DXを推進しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。

 

例えば、受発注のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした企業であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の受発注プロセスをデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。

 

ステップ4:DX推進チームを構築する

ステップ4:DX推進チームを構築する

DXを推進するには、ビジョンや戦略を社員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。

 

そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。

 

また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。

  • プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
  • テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
  • UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
  • エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
  • データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当

 

これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、社員に対するDX人材育成を実施する方法があります。

 

DX推進のスケジュールや、社員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。

 

ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる

これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。

 

ここで、いきなり全社単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。

 

そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の事業部や部門単位から進めるのがおすすめです。

 

前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各社員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。

 

これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDXの推進が可能になります。

 

ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

DX ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

業務のデジタル化を進めることで、企業は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。

 

これらのデータを分析し、新たな業務の課題やビジネスチャンスを発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。

 

さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、自社独自の詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強み蓄積こそが、他社には真似できない、ユニークな新サービスやビジネスモデルの創出の源泉となります。

 

不動産業界におけるDXを成功させる5つのポイント

リスキリングによるDX人材育成を成功させる5つのポイント

不動産業界におけるDXを成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。

 

  • ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
  • ②自社ならではのDX戦略を策定する
  • ③十分なDX人材を確保する
  • ④スモールスタートクイックウィンを実現する
  • ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

 

それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。

 

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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む

DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。

 

そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。 

 

具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。

 

一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。

 

②自社ならではのDX戦略を策定する

自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。

 

その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。

 

そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。

 

③十分なDX人材を確保する

DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。

 

本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。

 

また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。

 

そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。

 

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④スモールスタートクイックウィンを実現する

DX スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。

 

そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。

 

そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。

 

取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。

 

これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。

 

⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

DX ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。 

 

そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。

 

一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。

 

もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。

 

DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。

 

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