DX推進担当者がまずやるべき3つのこと|役割や必要スキルも紹介
DXの重要性が多くの企業の間で認識されている中、社内にDX推進部門やDX本部など、DXを専任で担当する部署を設置する企業も増えています。また、そのような部門を設けていなくても、既存の部署においてDXを推進する役職や役割が設けられるパターンも多いです。
そのため、ある日突然、企業のDX推進担当者に指名される可能性も十分にあり得るでしょう。
本記事では、DX推進担当者に指名された方に向けて、指名されたらまずやるべき3つのこと、DX推進担当者の役割、求められるスキル、DXの進め方などをわかりやすく解説していきます。
またDX総研では、DXを検討・推進する上で必ず押さえておきたい、DX成功事例50選の取り組みや成果をまとめたレポートを無料で配布しています。ご興味のある方は、以下リンクからダウンロードしてご活用ください。
目次
DX推進担当者に任命されたらまずやるべき3つのこと

DXを推進する担当者に任命されたらまずやるべきこととして、以下の3つが挙げられます。
- ①DXの基礎知識を理解する
- ②DX推進担当者の役割を理解する
- ③DX推進担当者に必要なスキルを身に付ける
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
①DXの基礎知識を理解する
まずはDXの基礎知識を理解しましょう。DXの意味や定義、普及している背景、具体的な取り組み内容、企業の事例など、DX推進担当者として最低限身に付けておくべき基本的な事項をインプットします。
DXについては、専門のWebサイト記事や書籍などが多数公開されているため、比較的学習しやすい分野といえます。
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②DX推進担当者の役割を理解する
次にDX推進担当者の役割を理解します。ひとことでDXと言っても、その範囲は広く、目的や取り組み内容は会社ごとに異なります。
そのため、自社が、どのような目的のもとでどのようなDXの取り組みを推進しているのかを把握した上で、そのために必要な役割を押さえておくことが重要です。
DX推進担当者が一般的に担う役割として、DX戦略の策定とプロジェクトの推進、DX人材の採用、組織のカルチャーづくりなどが挙げられます。DX人材の役割に関する詳細については、後述します。
③DX推進担当者に必要なスキルを身に付ける
DX推進担当者が身に付けるべきスキルには様々なものが挙げられます。
自社のDX推進の目的によっても変わりますが、一般的なITツールやデジタル技術に関する知識のほか、プロジェクトを推進するリーダーシップやマネジメントスキル、データ分析力、コミュニケーションスキルなども重要となります。
DX推進担当者に必要なスキルについては、本記事の後半で詳しく解説します。
DX推進担当者の5つの役割

DX推進担当者が果たすべき究極の役割は、自社のDXを推進する主体となり、企業の競争力を高めることです。そのような大きな目的のもとで、DX推進担当者が具体的に担う役割としては、以下のようなものが挙げられます。
- ①DX戦略の立案・計画策定
- ②DXプロジェクトの推進
- ③DX人材の育成・採用
- ④DX推進体制の構築・カルチャーづくり
- ⑤関係部署との連携体制の構築
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
①DX戦略の立案・計画策定
DXを推進するにあたっては、自社の業務における課題を洗い出した上で、どの課題に対してDXを推進し、どのように解決していくかの戦略を立てる必要があります。この戦略立案・計画策定を担うのがDX推進担当者です。
課題の洗い出しにおいては、必要に応じて各部署の担当者へのヒアリングも必要となります。現場の従業員の生の声を聞くことで、自社に合ったDXの取り組みに対する解像度が高まります。
業務課題を洗い出したら、その中でデジタル化により解決できる課題を特定し、具体的な解決策や計画を策定します。
戦略や計画を綿密に立てることは、その後のDXの取り組みを成果あるものにする上で非常に重要です。必要に応じて経営陣や他部門も巻き込むなど、横断的な協力がカギとなります。
②DXプロジェクトの推進
DX推進担当者は、立案したDX戦略・計画に基づいて実際にプロジェクトを推進していきます。
ゴールから逆算した現実的なスケジュールの策定、プロジェクトに必要なチーム体制の構築とリソースの確保、定期的な進捗状況の確認・マネジメントなど、プロジェクトの推進に当たって必要となるあらゆる取り組み・タスクを遂行する必要があります。
また、DXは全社的な取り組みであるため、必要に応じて、他部門の担当者と連携・協力することも重要です。
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③DX人材の育成・採用
DX人材の確保もDX推進担当者の重要な仕事の一つです。デジタル人材が不足している現状においては、外部から新たな人材を採用するのにも限界があります。
そのため、社員研修や教育プログラムを用意して社員向けに提供するなど、社内でDX人材を育成する取り組みを行っていくことが重要となります。
このような研修・教育プログラムの策定が難しい場合には、外部の専門コンサル企業等が提供する研修サービス等を活用することも一案です。
④DX推進体制の構築・カルチャーづくり
DX推進は全社的な取り組みであるため、すべての部門が目的を共通認識し、同じ方向に向かって進んでいく必要があります。DXを推進する体制の構築やカルチャーづくりもDX推進担当者の重要な役割です。
DX推進体制の構築については、自社のDXビジョン・目的を達成するために最適なチーム体制を整える必要があります。DX推進部門が主体的に引っ張っていくのが有効な場合もあれば、各事業部が独立してDXを進めていく方が効率的な場合もあるなど、最適な推進体制はケースバイケースです。
また、DXに向けてのカルチャーづくりの第一歩として、全従業員が共感できる適切なDXビジョンを定め、それを全社に共有する必要があります。さらに、定期的にDXに関する勉強会を開催するなど、従業員のDXに対する関心を高める取り組みを行っていくことも重要です。
DXのビジョンの定め方や注意点については、以下の記事で分かりやすく解説しています。
⇒DXのビジョンとは?3大要素・策定手順・企業の事例3選も紹介
⑤関係部署との連携体制の構築
DXは、既存のビジネスモデルの変革や業務プロセス全体の効率化などを目指す全社的な取り組みです。そのため、DX推進部門単体ではなく、各関係部署と協力・連携しながらDXを推進していくことが重要となります。
DX推進担当者は、積極的に関係部署の担当者とコミュニケーションをとり、目的のすり合わせやリソースの共有など、効率的にDXを推進できる仕組みを整えていく必要があります。
また、DXの内容によっては、部門間で利害対立が生じる場合もあります。例えば、小売の店舗を展開する企業が、DXの一環として新しくEC事業を立ち上げる場合、実店舗を担当する部門からの反発が予想されます。
このような利害対立が生じた場合に、双方の利害を調整し、弁証法的な解決策を導き出していくのも、DX推進担当者が果たすべき責任と言えます。
DX推進担当者に必要な3つのスキル~求められる人物像~

DX推進担当者に求められるスキルとして、主に以下の3つが挙げられます。
- ①デジタルスキル
- ②プロジェクトマネジメントスキル
- ③コミュニケーションスキル
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
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①デジタルスキル
DXにより業務プロセスの変革や新規サービスを創出するためには、デジタル技術を上手に活用する必要があります。そのためには、ITツールやシステムを使いこなすデジタルスキルが必要不可欠です。
社内にこのような人材がいない場合には、外部のコンサル会社やエンジニアに相談することも考えられます。
②プロジェクトマネジメントスキル
DXを推進するためには、プロジェクトを実行するためのマネジメントスキルが欠かせません。
DXプロジェクトのマネージャーは、DX推進のためのスケジュール策定、チーム体制の構築、進捗管理、関係各部署との連携など、プロジェクト全体を俯瞰して、計画通りにプロジェクトが進んでいるかを管理する責任があります。
③コミュニケーションスキル
DXは、既存のビジネスモデルの変革や業務プロセスの刷新を伴う全社的な取り組みです。そのため、複数の部署が連携してプロジェクトを進めていく必要があります。
したがって、DXを推進するためには、関係各部署と密に連携し、協力関係を築いていくコミュニケーションスキルが重要となります。
DX推進担当者が直面し得る5つの課題

DX推進担当者が直面し得る課題として以下の5つが挙げられます。
- ①初期投資やランニングコストがかかる
- ②デジタル人材の確保が難しい
- ③すぐには成果が出ない場合もある
- ④社内の関係部署と協力・連携しなければならない
- ⑤既存システムからの移行が難しい
それぞれについて分かりやすく解説していきます。
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①初期投資やランニングコストがかかる

DXの推進にはツールの導入や新たなシステム開発などが必要となり、数百万円〜数千万円の費用が必要になることも少なくありません。
また、DXは、従来の個別改善型のデジタル化と比べ、業務プロセスやビジネス全体の大規模な変革に取り組むことになるため、比較的高額な初期費用が必要になります。
一方で、数年スパンで見ると大きな成果が期待できるため、中長期でのコスト削減や売上向上の効果を試算した上で、適切な範囲内で予算を確保し投資を行うことが重要です。
②すぐには成果が出ない場合もある
業務プロセスの根本的な変革/効率化や新規事業の創出など、DXで大きな成果を上げるには、3〜5年ほどの期間が必要となるのが一般的です。
一方で、DX推進を始めてもすぐには期待する成果が上がらず、プロジェクトを打ち切りにしてしまうという企業も少なくありません。
そのため、「DXで大きな成果を上げるには中長期で取り組む必要がある」という認識を社内ですりあわせることや、最終ゴールに向けたマイルストーンを引き、初期フェーズでも進捗の評価を正しく行えるようにすること、比較的早期に成果の出やすい小規模なプロジェクトを走らせることなどが有効です。
③DX人材の確保が難しい

全社的なDXを推進する場合、最新のテクノロジーを使いこなせるエンジニアはもちろん、ビジネス戦略とデジタル活用の両方に知見をもつリーダーが各部門に必要となります。
経済産業省の調査によると、国内のIT人材の需要は拡大し続けるのに対し、供給は2019年をピークに減少しており、2030年にかけて40〜80万人規模で不足すると予想されています。このように、DX人材は新卒・中途問わず争奪戦が続いており、希望通りに採用が進むことは稀という状況です。
そのため、短期的には、外部ベンダーの起用などで体制を強化しつつも、中長期的には人材育成や採用の仕組みを強化していく必要があります。
④社内の関係部署の協力・連携が必要になる
DXの推進には、部門を横断する業務プロセスやシステムの見直し、加えて組織やビジネスモデルの再構築などが必要となります。
それらの取り組みを進める際には、社内の幅広い関係部署間の協力・連携が必要不可欠です。一方で、各部署や現場のメンバーは、目の前の通常業務を抱えているため、プロジェクトが円滑に進まないというケースが多く存在します。
そのため、全社としてのDXの必要性やビジョンを周知し、現場の声も吸い上げた上で、協力を得ながらDXを推進することが求められます。
⑤既存システムからの移行が難しい
既存システムから新たなシステムへの移行は、システムの移行そのものに加え、データのフォーマット変換や新たな業務プロセスの設計、利用する社員への研修など、様々な取り組みが必要となります。
特に、複雑化・ブラックボックス化が進みレガシー化してしまったシステムからの移行に取り組む場合、その技術的・工数的なハードルはかなり高く、現場が難色を示すということは少なくありません。
一方で、移行の難易度が高くなっていることは、そのシステムを利用し続けるための運用コストやリスクが大きくなっていることを意味する場合が多いため、移行に取り組む意義はより大きいと言えます。
課題を乗り越えてDX推進を成功させる5つのポイント

課題を乗り越えてDX推進を成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
- ②自社ならではのDX戦略を策定する
- ③十分なDX人材を確保する
- ④スモールスタートクイックウィンを実現する
- ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。
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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。
そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。
具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。
一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。
②自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。
その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。
そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。
③十分なDX人材を確保する
DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。
本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。
また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。
そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。
※DX総研では経験豊富なコンサルタントによる、DXに関する個別無料相談会を実施しております。DX人材の確保や自社に合った推進方法などでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
④スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。
そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。
そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。
取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。
これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。
⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。
そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。
一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。
もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。
DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。
DXの進め方|具体的な6つのステップ

DXの進め方は大きく6つのステップに分けられます。
それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。
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ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する

DX推進の最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。
「DX推進後の理想の自社の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。
本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。
自社の業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、市場環境や自社の特性を踏まえ、検討しましょう。
例えば、業務のデジタル化すら進んでいない企業であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる企業であれば、3年後までに製品/サービスやビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。
ステップ2:自社の現状と課題を把握する

続いて、自社が現状どの程度DXを推進できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。
本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX推進指標」を活用することで、企業文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。
それぞれの観点における自社の成熟度のレベルを把握することで、特にDX推進が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。
ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する

前ステップで策定したビジョンと自社の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。
検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。
デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。
そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DXを推進しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。
例えば、受発注のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした企業であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の受発注プロセスをデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。
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ステップ4:DX推進チームを構築する

DXを推進するには、ビジョンや戦略を社員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。
そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。
また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。
- プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
- テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
- UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
- エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
- データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当
これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、社員に対するDX人材育成を実施する方法があります。
DX推進のスケジュールや、社員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。
ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる
これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。
ここで、いきなり全社単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。
そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の事業部や部門単位から進めるのがおすすめです。
前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各社員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。
これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDXの推進が可能になります。
ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

業務のデジタル化を進めることで、企業は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。
これらのデータを分析し、新たな業務の課題やビジネスチャンスを発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。
さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、自社独自の詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強みの蓄積こそが、他社には真似できない、ユニークな新サービスやビジネスモデルの創出の源泉となります。
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