自治体DX推進計画とは?7つの重点取り組みや成功事例3選も紹介

自治体DX推進計画とは、総務省が自治体におけるDX推進のために公開したガイドラインのことです。

 

自治体が実施すべきDXの取組事項やそのための準備事項などがまとめられており、自治体がDXを推進する上で非常に参考になる内容となっています。

 

本記事では、自治体DX推進計画の要点、DX推進計画を策定した自治体の事例、具体的なDXの進め方などについて分かりやすく解説していきます。


またDX総研では、DXを検討・推進する上で必ず押さえておきたい、DX成功事例50選の取り組みや成果をまとめたレポートを無料で配布しています。ご興味のある方は、以下リンクからダウンロードしてご活用ください。

DX成功事例50選の資料ダウンロードはこちら(無料)

目次

自治体DX推進計画とは?

自治体DX推進計画とは、総務省が自治体におけるDX推進のために公開したガイドラインのことです。すべての都道府県・市区町村を対象に、DXを推進するために自治体が取り組むべき事項・内容やDX推進体制を構築する上で重要となるポイントなどをまとめたものです。

 

自治体DX推進計画は、「デジタル社会の構築に向けた取り組みを全自治体において着実に進めていく」ことを目的に策定されたもので、2021年1月から2026年3月までの期間に自治体が重点的に取り組むべき事項について助言を与えるものになります。

 

自治体DX推進計画は2020年12月25日に策定され、その後数回改訂されています。2024年8月時点の最新版は、2024年4月24日に公開された第3.0版で、新たにデジタル人材の確保・育成のポイントや全国の自治体のDX推進状況が追加されました。

 

※DXを検討・推進する際に必ず押さえておきたい、基礎知識から進め方、ポイントまでをまとめた資料をダウンロード頂けます。

【ゼロから分かる】DX推進まるわかりガイドブックの資料ダウンロードはこちら(無料)

 

自治体がDX推進体制を構築するための4つの準備

自治体がDX推進体制を構築するための4つの準備

自治体DX推進計画は、自治体がDXを推進するために必要な体制を構築するために、以下の4つの準備に取り組むことが望ましいとしています。

 

  • ①組織体制の整備
  • ②デジタル人材の確保・育成
  • ③計画的な取組
  • ④都道府県と市区町村の連携による推進体制の構築

 

それぞれについてわかりやすく解説していきます。

  

※300事例の分析に基づく、自治体や企業によるDX推進方法の13の王道パターンと成功事例をまとめた資料をダウンロード頂けます。

DX推進アイデア集の資料ダウンロードはこちら(無料)

 

①組織体制の整備

限られた予算の中、全体最適化の見地からDXを推進するためには、効果的な推進体制の構築が不可欠であるとして、全庁的・横断的な推進体制を構築するための各担当者の役割を解説しています。

 

例えば、以下のように、各担当者が果たすべき役割や心構えを示しています。

 

  • 首長:自らが変革に強いコミットメントを持って取り組む
  • CIO(Chief Information Officer):首長の下で全庁的なDX推進体制の整備を行う
  • 情報政策担当部門:自治体の保有する情報を一元的に把握・整理する
  • 人事部門:外部人材確保の必要性や任用形態の検討、職員の研修計画の整理などを行う

 

②デジタル人材の確保・育成

DX推進のためには、ICTの知見を持ち、現場実務に即して技術導入の判断や助言を行えるデジタル人材を確保することが必要であるとしています。

 

市区町村においては適任者が見つけられないなど、人材確保が困難であることを踏まえ、外部人材の活用を積極的に検討すべきであると指摘しています。また、人材の有効活用の観点から他の自治体との兼務を前提とした任用を推奨しています。

 

さらに、DXの推進に当たっては、自治体の各部門の役割に見合ったデジタル人材が職員として適切に配置されるよう人材育成に取り組むことが重要であるとして、デジタル人材の育成に積極的に取り組むことを推奨しています。

 

③計画的な取組

情報システムの標準化・共通化の目標時期が2025年度であることを踏まえて、計画的なDXの推進に向けた検討を行うことを求めています。

 

新しいシステムに移行するためには、業務プロセス全般の見直しが必要であり、相応に時間がかかることが予測されることから、早期から計画的に取り組むことが重要であると指摘しています。

 

④都道府県と市区町村の連携による推進体制の構築

小規模な市町村については、極めて少人数の職員しかいないため、DXを推進する体制が十分に確保できていない現状にあります。

 

そのため、管轄する都道府県が各市町村のDX推進状況を把握した上で、都道府県と市町村が連携してDX推進体制を構築していくことが重要であると指摘しています。

 

自治体DXにおける7つの重点取組事項

自治体DXにおける7つの重点取組事項

自治体DX推進計画において挙げられている自治体が実践すべき重点取組事項として、以下の7つが挙げられます。

 

  • ①自治体フロントヤード改革の推進
  • ②自治体の情報システムの標準化・共通化
  • ③公金収納におけるeLTAXの活用
  • ④マイナンバーカードの普及促進・利用の推進
  • ⑤セキュリティ対策の徹底
  • ⑥自治体のAI・RPAの利用促進
  • ⑦テレワークの推進

 

それぞれについてわかりやすく解説していきます。

 

※DX総研では経験豊富なコンサルタントによる、DXに関する個別無料相談会を実施しております。自治体におけるDXの進め方などでお困りの方は、お気軽にご相談ください。

DXに関する個別無料相談会の詳細はこちら

 

①自治体フロントヤード改革の推進

自治体フロントヤード改革の推進 北見市
(画像:北海道北見市)

フロントヤード(接点)とは、各市役所の窓口など、自治体と住民との接点となるポイントのことです。

 

住民票や印鑑証明書の取得、マイナンバーカードの更新、転居手続きなど、あらゆる行政手続きにおける住民の利便性を高めるために、住民との接点を多様化・充実化することを方針に掲げています。

 

具体的には、オンラインでも転出届の提出等を可能にしたり、コンビニで住民票を取得できるようにするなどの取り組みが挙げられます。

 

また、役所の窓口においても、書類の記入を一切不要にする「書かない窓口」の取り組みが進められており、行政手続きにおける住民の負担を減らす施策が進められています。

 

②自治体の情報システムの標準化・共通化

各自治体の基幹業務システムは、それぞれの自治体が独自に発展させてきたものであるため、クラウド利用が円滑に進まなかったり、効果のある施策を全国的に普及させることが困難であるなど、様々な課題を抱えています。

 

このような状況を踏まえ、各自治体に対し、ある一定の基準を満たす基幹業務システムの利用を義務付け、自治体情報システムの標準化・共通化を推進することを目指しています。

 

③公金収納におけるeLTAXの活用

公金収納におけるeLTAXの活用
(画像:地方税共同機構)

地方税や水道料金などの公金収納事務の効率化・合理化を図り、住民や事業者による公金納付の利便性を高めるため、地方税ポータルシステム「eLTAX」を活用した納付を行うことができる仕組みを構築する取り組みです。

 

特に、国民健康保険料などほぼすべての住民が支払う公金については、eLTAXを活用した納付を行うことができるような体制の整備を優先的に進めていく方針です。

 

④マイナンバーカードの普及促進・利用の推進

マイナンバーカードの普及促進・利用の推進
(画像:総務省)

マイナンバーカードの本人確認・本人認証の手段としての有用性・確実性を踏まえ、今後もあらゆる場面でマイナンバーカードを利用していく方針を採っています。そのために、住民がマイナンバーカードを円滑に取得できるような仕組み・体制を構築していきます。

 

具体的な取組方針として、申請から1週間以内で交付できる特急発行の仕組み構築や、身体的に不自由で外出できない人のための出張申請受付、認知症の方向けの暗証番号不要なカードの交付などが挙げられます。

 

⑤セキュリティ対策の徹底

あらゆる行政手続きのオンライン化や基幹システムの標準化・共通化の動きに合わせて、情報セキュリティ対策の徹底も重要視されています。

 

総務省やデジタル庁を中心に国からもセキュリティ対策の支援策が提唱されており、具体的には、最新のセキュリティ関連技術のキャッチアップ、情報ガイドラインの改訂、ガバメントクラウドの導入などが挙げられます。

 

⑥自治体のAI・RPAの利用促進

自治体の定型的な業務の効率化については、業務プロセスの見直しや情報システムの標準化・共通化などの根本的な対応策を検討した上で、AIやRPAの導入・活用を進めていく方針が示されています。

 

国が作成する「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック」や「自治体におけるRPA導入ガイドブック」を参考にして導入を進める方針であり、データの有効活用や費用負担軽減の観点から複数の自治体での共同利用も検討されています。

 

⑦テレワークの推進

地方公務員の人手が不足している状況において、柔軟で多様な働き方を推進し、優秀な人材を確保するために、テレワークの推進を掲げています。

 

情報セキュリティに留意しつつ、在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイルワークを含む様々な形態のワークスタイルの導入に積極的に取り組んでいく方針です。

 

また、テレワークを推進する意義として、感染症や災害発生時における行政機能の維持というBCP(Business Continuity Plan、業務継続計画)の観点も挙げられています。

 

DX推進計画を作成している自治体の事例3選

DX推進計画を作成している自治体の代表例として、以下の3つが挙げられます。

 

  • ①【東京都港区】港区DX推進計画
  • ②【岡山市】岡山市DX推進計画
  • ③【群馬県館林市】館林市DX推進計画

 

それぞれの事例についてわかりやすく解説していきます。

 

※自治体や企業による最新のDX成功事例50選の取り組みや成果をまとめた資料をダウンロード頂けます。

DX成功事例50選の資料ダウンロードはこちら(無料)

 

①【東京都港区】港区DX推進計画

【東京都港区】港区DX推進計画
(画像:港区)

東京都港区は、上位計画である「港区基本計画」で示された「誰もが住みやすく、地域に愛着と誇りを持てるまち・港区をめざして」という目標の実現に向け、情報化の視点から施策の方向性及び具体的な事業を示すため「港区DX推進計画」を策定しました。

 

港区DX推進計画では、以下の4つを指針としてそれぞれに関連する取り組みをまとめています。

 

  • 区民サービス向上のための取り組みの推進
  • 情報発信と協働推進に向けた取り組みの推進
  • 効率的な区政運営のための取り組みの推進
  • 信頼されるデジタル活用に向けた取り組みの推進

 

例えば、区民サービス向上のために、行政手続きのオンライン化や緊急時のAIを活用した安否確認など、デジタル技術を駆使したサービスの拡充に取り組んでいます。

  

また、効率的な区政運営実現のために、業務自動化ツールRPAの庁内業務への適用拡大や、簡易に開発可能なノーコードツール・ローコードツールの導入を進めています。

  

今後、毎年度取組の進捗を事務事業評価で点検・評価し、港区情報システム管理検討委員会へ報告を行い次年度以降に反映することで、適切な計画の更新を行う予定です。

 

②【岡山市】岡山市DX推進計画

【岡山市】岡山市DX推進計画
(画像:岡山市)

岡山県岡山市は、住みやすく躍動感のあるまちづくりを目指し、制度や政策、組織のあり方等も含めた分野横断的な視点の下、具体的な工程表も含めた「岡山市DX推進計画」を策定しました。

 

本計画では、「地域社会のDX」「市民サービスの向上」「業務事務の効率化」という3つの分野に分けて施策を進めています。

 

例えば、地域社会のDXでは、デジタル技術とマーケティング手法を活⽤したより効果的な岡山のプロモーションを展開し、岡山の魅力を世界に発信していくようなブランディングを目指すなどの取り組みを進めています。

 

また、市民サービスの向上を目指すDXでは、行政手続きのオンライン化を推進し、窓口での手続きも「書かない」「待たない」体制をつくるほか、コンビニエンスストアやスマートフォンでの税・公金等の納付方法を増やし、キャッシュレス化を進めています。

 

岡山市はこれまで、①昭和40年代の電子計算機の導入に始まる「行政事務の効率化」、②その後の市ホームページの開設や施設予約システムの導入といった「市⺠サービスの向上」、③さらには電子町内会の創設に代表される「地域社会の情報化」と、段階的に情報化施策を行ってきました。

 

今回のDX推進計画に基づき、デジタル化による地域経済のさらなる発展と市⺠⼀⼈ひとりの幸せを実現することを目指しています。

 

③【群馬県館林市】館林市DX推進計画

【群馬県館林市】館林市DX推進計画
(画像:館林市)

群馬県館林市は、2024年3月、総務省が取りまとめた自治体DX推進計画の内容を反映した独自の館林市DX推進計画を策定しました。

 

「市民サービスのDX」と「庁内業務のDX」という2つの分類を掲げ、利用者にとっての利便性と業務の効率化という視点から、具体的な取組事項を設定しています。

 

例えば、市民サービスのDXであれば、スマート窓口の設置やチャットボットの活用といった一般的なものから、図書館のデジタル化やスマート農業の促進などの市独自のものまで様々な取組を掲げています。

 

また、庁内業務のDXについては、テレワークの推進やペーパーレスの拡大、デジタル人材の育成などの取り組みを挙げています。

 

館林市はこれまで、公式LINEの導入、DX推進アドバイザーの登用、RPAやAI議事録の導入、デジタル地域通貨の発行など、様々なDXの取り組みを実施してきました。今回、DX推進計画を定めたことで、全体方針に基づき体系的・効率的に各取り組みを行っていく体制が整いました

 

自治体におけるDXを推進する6つのステップ

自治体におけるDXを推進する6つのステップ

自治体におけるDXの進め方は大きく6つのステップに分けられます。

それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。

 

※300事例の分析に基づく、自治体によるDXの成功に向けて外せない25のポイントをまとめた資料をダウンロード頂けます。

DX成功へのチェックリストの資料ダウンロードはこちら(無料)

 

ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する

ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する
(出典:経済産業省「DXレポート2.1」

DX推進の最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。

 

「DX推進後の理想の自治体の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。

 

本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。

自治体の業務、住民へのサービス、業務プロセスのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、他の自治体の状況等も踏まえ、検討しましょう。

 

例えば、業務のデジタル化すら進んでいない自治体であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる自治体であれば、3年後までにサービスのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。

 

ステップ2:組織の現状と課題を把握する

DX ステップ2:自社の現状と課題を把握する
(出典:独立行政法人情報処理推進機構「「DX 推進指標」とそのガイダンス」

続いて、現状どの程度DXを推進できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。

 

本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のDX推進指標」を活用することで、組織文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。

 

それぞれの観点における自治体の成熟度のレベルを把握することで、特にDX推進が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。

 

ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する

ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する
(出典:独立行政法人情報処理推進機構「「DX 推進指標」とそのガイダンス」

前ステップで策定したビジョンと自治体の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。

 

検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。

 

デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。

 

そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DXを推進しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。

 

例えば、補助金申請のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした自治体であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の申請プロセス全体をデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。

 

※300事例の分析に基づく、自治体や企業のDX推進方法の13つの王道パターンと最新事例をまとめた資料をダウンロード頂けます。

DX推進アイデア集の資料ダウンロードはこちら(無料)

 

ステップ4:DX推進チームを構築する

ステップ4:DX推進チームを構築する

DXを推進するには、ビジョンや戦略を職員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。

 

そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。

 

また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。

  • プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
  • テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
  • UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
  • エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
  • データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当

 

これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、職員に対するDX人材育成を実施する方法があります。

 

DX推進のスケジュールや、職員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。

 

ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる

これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。

 

ここで、いきなり全組織単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。

 

そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の課や部門単位から進めるのがおすすめです。

 

前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各職員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。

 

これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDXの推進が可能になります。

 

ステップ6:PDCAを回し、新たな価値の創出まで繋げる

DX ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

業務のデジタル化を進めることで、自治体は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。

 

これらのデータを分析し、新たな業務の課題や大幅な効率化等の余地を発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。

 

さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、独自の詳細な住民データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強み蓄積こそが、斬新な住民サービス創出の源泉となります。

 

自治体がDX推進を成功させる5つのポイント

自治体におけるDX推進を成功させる5つのポイント

自治体がDX推進を成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。

 

  • ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
  • ②自社ならではのDX戦略を策定する
  • ③十分なDX人材を確保する
  • ④スモールスタートクイックウィンを実現する
  • ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

 

それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。

 

※300事例の分析に基づく、DXの成功に向けて外せない25のポイントをまとめた資料をダウンロード頂けます。

DX成功へのチェックリストの資料ダウンロードはこちら(無料)

 

①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む

DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全組織規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、自治体のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。

 

そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、組織全体を強力に動かしていく必要があります。 

 

具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務やユーザー体験、業務フローをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。

 

一方で、管理者やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。

 

②自社ならではのDX戦略を策定する

自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。

 

その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての自治体の運営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=戦略を考えること、と言っても過言ではありません。

 

そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、他の自治体が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全組織のビジョンや戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。

 

③十分なDX人材を確保する

DXの成功に向けては、テクノロジーと戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。

 

本来であれば、既にDX人材が組織内にいればよいのですが、ほとんどの自治体で人材が不足しているという現状があります。

 

また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。

 

そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。

 

※DX総研では経験豊富なコンサルタントによる、DXに関する個別無料相談会を実施しております。自社に合った推進方法や進め方などでお困りの方は、お気軽にご相談ください。

DXに関する個別無料相談会の詳細はこちら

 

④スモールスタートクイックウィンを実現する

DX スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全組織規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。

 

そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。

 

そこで、全組織単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を組織内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。

 

取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。

 

これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。

 

⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

DX ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。 

 

そもそものDXの目的は、業務を効率化することや住民により便利なサービスを届けることです。

 

一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、他の自治体が取り組んでいるからといった理由で、自分たちにマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。

 

もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。

 

DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全組織単位での運営の視点や戦略思考が必要になります。

 

DXに関する活用個別無料相談会実施中

DX総研では、DXに関する個別無料相談会を実施しています。

各社様のご要望に合わせ、最新の市場動向や具体的な活用アイデアなどを、個別のオンラインMTGにて、無料でご紹介させていただきます。

 

以下のようなお悩みをお持ちのご担当者様は、この機会にぜひお申込みください。

  • 自社がデジタルを活用してどんなことができるか知りたい
  • DXをどのように進めれば良いか分からない
  • 自社にデジタル活用の経験や知識のある人がおらず困っている

DXに関する個別無料相談会の詳細はこちら

お問い合わせ

お客様のDX推進に向け、戦略/企画策定から開発/運用支援までサポートします。まずは問い合わせてみる

お問い合わせ

まずは問い合わせてみる >

個別無料相談

ご担当者様のお悩み解決に向けたアイデアや最新ノウハウを無料でご提供いたします。お気軽にご相談ください。

個別無料相談

無料で相談する >

資料ダウンロード

サービス紹介資料やお役立ち資料をダウンロードいただけます。DXをご検討・推進されている方はぜひご一読ください。

資料ダウンロード 資料をダウンロードする >