DX人材に求められる6つのマインドセットと3つのスキルとは?
DX人材には、不確実な未来への創造力、臨機応変/柔軟な対応力、いざというときの自身の突破力など、様々なマインドセット・姿勢を身に付けておくことが求められます。
これらはいずれも、変化の激しいデジタル技術の進歩、市場環境、競合環境などに柔軟かつ適切に対応するためのものです。DX人材の育成に当たっては、このようなマインドセットを意識して浸透させることが重要です。
本記事では、DX人材に欠かせない6つのマインドセットについて、浸透させる方法や必要なスキルとともにわかりやすく解説していきます。
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目次
そもそもDXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。
単なるデジタル化・IT化ではなく、デジタル活用により、業務やサービス、ビジネスモデルを大きく変革していく取り組みであるという点が大きなポイントです。
経済産業省は、2018年に発表した「DX推進ガイドライン」において、DXを以下のように定義しています。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
ー出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0
例えば、動画配信大手のNetflixが、宅配型のDVDレンタル事業からサブスクリプション型のオンライン動画配信サービスへとビジネスモデルを変革したのは、DXの代表的な事例といえるでしょう。
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DX人材が身に付けるべき6つのマインドセット

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2020年5月に公表した「DX推進に向けた企業とIT人材の実態調査」では、DX人材が身に付けるべき6つのマインドセットについて規定しています。
- ①不確実な未来への創造力
- ②臨機応変/柔軟な対応力
- ③社外や異種の巻き込み力
- ④失敗したときの姿勢/思考
- ⑤モチベーション/意味づけする力
- ⑥いざというときの自身の突破力
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
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①不確実な未来への創造力
不確実な未来への創造力とは、DXの取り組みとして自身が集中する領域を自ら定め、新分野への挑戦もいとわない姿勢のことです。
現在は、VUCA(「Volatility=変動性」、「Uncertainty=不確実性」、「Complexity=複雑性」、「Ambiguity=曖昧性」)の時代とも呼ばれ、新しい技術の急速な進歩や市場環境の激しい変化により、未来のことが全くわからない時代に突入しています。
そのような中で重要なのは、今まで挑戦したことがない分野にも果敢に挑み、自ら未来を切り開いていく力です。DXは、全く新しいデジタル技術を積極的に取り入れ、業務プロセスやビジネスモデルを変革していく取り組みであり、まさに未来を創造していくスキルが問われる分野と言えます。
②臨機応変/柔軟な対応力
臨機応変/柔軟な対応力とは、計画通りのマネジメントではなく、市場環境や顧客動向などの外部の状況変化を踏まえて、目標を見失わず、適切にピボットしながら進んでいく姿勢のことです。
変化の激しい時代においては、顧客のニーズや競合の状況も絶え間なく移り変わります。そのため、DXのプロジェクトを推進するにあたっても、当初の計画に縛られず、絶えず状況の変化に応じて方向性を修正していく柔軟性が求められるのです。
このような、周りの変化に応じて方向性ややり方を修正していくことをアジャイルと呼び、このような形でプロダクトやシステムの開発をしていくことをアジャイル開発と呼びます。DXにおいては、このアジャイル開発を前提としたプロジェクトが主流となっています。
③社外や異種の巻き込み力
社外や異種の巻き込み力とは、対立する周囲のメンバーを巻き込むだけでなく、外部の人とも関係を構築し、自己成長や変化の糧にできる受容力を言います。
DXは、既存のビジネスの変革を伴うものであり、単一部門ではなく、全社的に取り組んでいくべき施策になります。そのため、DXを実現するには、他の部署との連携が必要不可欠であり、自分と異なる考えを持った他者とも協力していく必要があります。
そのため、DX人材には、どのような相手とも上手にコミュニケーションをとり、協力体勢を構築していくコミュニケーション能力が求められます。
④失敗したときの姿勢/思考
DXという未知の領域に挑戦するからには失敗もつきものです。仮に失敗したとしても、立ち止まらず、そこから学べることを吸収して改善を重ねていく姿勢が重要となります。
DXにおけるよくある失敗として、既存の古いシステムから移行ができない、DX人材を十分に確保できない、従業員のITリテラシーが不足しているなどといった例が挙げられます。
これらの失敗は誰もが経験していることであり、このような失敗に直面してでも前進を続けるか、プロジェクトを中止するかで、中長期的な会社としての強さは大きく変わってくるでしょう。
⑤モチベーション/意味づけする力
モチベーション/意味づけする力とは、自ら解決したい課題を明確にし、自らの言葉で話し、前向きに取り組む姿勢のことです。主体性や好奇心とも言い換えられます。
DXの推進に当たっては、DXで何を解決したいのかを明確にすることが何よりも重要となります。これが不明確なまま闇雲にプロジェクトを進めても、成果に繋がる施策にはなりません。
自ら課題を設定し、それを解決するための戦略や計画を主体的に作成するリーダーシップも、DXにおいては重要となるのです。
⑥いざというときの自身の突破力
自身の突破力とは、解決困難な状況に陥った時でもあきらめずに様々な方法を探索し、壁を突破するためにリーダーシップを発揮する姿勢のことです。
自ら取り組むと決めた施策に対して、最後まで責任をもってやり通すことは、DX人材に限らず、マネジメント的な立場を務めるすべての人がもつべき姿勢と言えるでしょう。
特に、DXという未知の領域では、前例のない解決困難な課題に直面する可能性が高いです。そのような状況でも、冷静に頭を使い、柔軟に解決策を導いていく突破力が、DX人材には必要なのです。
DXマインドセットを社内に浸透させる3つの方法

DXマインドセットを社内に浸透させる方法として、主に以下の3つが挙げられます。
- ①DX推進の目的とビジョンを共有する
- ②研修/教育等を通してDX人材を育成する
- ③DXを担当する専任部署をつくる
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
①DX推進の目的とビジョンを共有する
DXを推進する目的・目的は企業によって様々です。デジタル技術によって業務を大幅に効率化し、安くて質の高い製品を提供することを目的としている企業もあれば、最先端のビジネスモデルを構築するというビジョンを掲げている企業もあります。
DXの推進に当たっては、このような会社の目的やビジョンを社員全員に共有し、浸透させることが重要となります。DXは、既存の業務プロセス全体の変革や新規ビジネスの創出に関わるものであり、部門横断的に取り組むべきプロジェクトとなります。そのため、社員全員が目的やビジョンを認識して、コミットしていくことが必要不可欠なのです。
目的やビジョンを共有する方法としては、マニュアルやガイドラインを作成する、ホームページに掲載するなどが考えられます。これにより、社員一人一人に当事者意識をもたせ、DX人材としてのマインドセットを意識させることができるようになります。
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②研修/教育等を通してDX人材を育成する
社内の勉強会・研修・教育を実施することで、正しいマインドセットを持ったDX人材を育成することができます。DX人材としてのマインドセットは一朝一夕に身につくものではありませんが、このような研修や教育を定期的に開催することで、徐々に社内にマインドセットを浸透させていくことができます。
また、社内に研修や教育を行える人材がいない場合には、外部のコンサル会社などが提供する研修サービスや学習プログラムを活用することも有効です。
DX総研では、各企業様の事業形態や業務/業態に応じたオーダーメイドのDX研修サービスを提供しております。DX人材の育成や研修の実施について相談されたい方は、お気軽に無料相談にお申し込みください。
③DXを担当する専任部署をつくる
DXに取り組んでいる多くの企業は、DX推進部など、DXに取り組む専任の部署を設置しています。
このような部署を中心に、全社に対してDXに関する知識や自社の取組状況を発信することで、社員のDXに対する理解を深め、マインドセットを醸成する下地を作ることができます。
まずはDX専任部署の担当者がマインドセットを身に付け、徐々にそれが他の部署などに拡大していくことで、全社的にDXマインドセットを持たせることが可能となるでしょう。
DX人材に求められる3つのスキル

DX人材に求められるスキルとして、主に以下の3つが挙げられます。
- ①デジタルスキル
- ②プロジェクトマネジメントスキル
- ③コミュニケーションスキル
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
①デジタルスキル
DXにより業務プロセスの変革や新規サービスを創出するためには、デジタル技術を上手に活用する必要があります。そのためには、ITツールやシステムを使いこなすデジタルスキルが必要不可欠です。
社内にこのような人材がいない場合には、外部のコンサル会社やエンジニアに相談することも考えられます。
②プロジェクトマネジメントスキル
DXを推進するためには、プロジェクトを実行するためのマネジメントスキルが欠かせません。
DXプロジェクトのマネージャーは、DX推進のためのスケジュール策定、チーム体制の構築、進捗管理、関係各部署との連携など、プロジェクト全体を俯瞰して、計画通りにプロジェクトが進んでいるかを管理する責任があります。
③コミュニケーションスキル
DXは、既存のビジネスモデルの変革や業務プロセスの刷新を伴う全社的な取り組みです。そのため、複数の部署が連携してプロジェクトを進めていく必要があります。
したがって、DXを推進するためには、関係各部署と密に連携し、協力関係を築いていくコミュニケーションスキルが重要となります。
DX人材を育成する際の3つの注意点

DX人材を採用・育成する際の注意点として、主に以下の3つが挙げられます。
- ①どのような人材がほしいのかを明確にする
- ②DX人材を適切な部署に配置する
- ③最新知識を継続的にキャッチアップする
それぞれの事例について分かりやすく解説していきます。
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①どのような人材がほしいのかを明確にする
一口にDX人材と言っても、プロジェクト全体のマネジメントをするマネージャー、ITツールに詳しいエンジニア、データ分析を得意とするデータサイエンティストなど、様々なタイプが存在します。
そのため、自社にどのようなスキル・知見が不足しているのかを確認した上で、必要な人材像を明確にすることが重要です。
このステップを踏まないと、自社の課題解決・目的達成にマッチしない人材を雇うこととなり、採用コストが無駄になるという自体に繋がりかねません。
②DX人材を適切な部署に配置する
獲得したDX人材を適切な部署に配置し、適切な役割を与えることも重要です。通常は、企業のDX推進室や経営企画部などに配置することが多いですが、DX推進の目的や獲得した人材の役割・スキルによっては、別の部署に配置した方がうまく回る可能性もあります。
DX人材を配置するにあたっては、既存の枠組みにとらわれず、部署同士の関係も踏まえ、各人材が最も働きやすい環境で働けるように取り計らう必要があります。
③最新知識を継続的にキャッチアップする
AIやIoTをはじめとするデジタル技術の進化とそれに伴う各種ITツールのアップデート・趨勢は目まぐるしく変化しています。
継続的に最新知識をキャッチアップしておかないと、自分がもっているスキルも陳腐化し、使い物にならなくなってしまう可能性があります。
そのため、「DX人材を獲得して終わり」とするのではなく、継続的に最新情報の収集や学び直しを行い、知識をアップデートしていくことが重要です。
DXを成功させるための5つのポイント

DXを成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
- ②自社ならではのDX戦略を策定する
- ③十分なDX人材を確保する
- ④スモールスタートクイックウィンを実現する
- ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。
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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。
そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。
具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。
一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。
②自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。
その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。
そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。
③十分なDX人材を確保する
DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。
本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。
また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。
そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。
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④スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。
そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。
そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。
取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。
これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。
⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。
そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。
一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。
もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。
DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。
DXの進め方|具体的な6つのステップ

DXの進め方は大きく6つのステップに分けられます。
それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。
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ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する

DX推進の最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。
「DX推進後の理想の自社の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。
本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。
自社の業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、市場環境や自社の特性を踏まえ、検討しましょう。
例えば、業務のデジタル化すら進んでいない企業であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる企業であれば、3年後までに製品/サービスやビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。
ステップ2:自社の現状と課題を把握する

続いて、自社が現状どの程度DXを推進できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。
本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX推進指標」を活用することで、企業文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。
それぞれの観点における自社の成熟度のレベルを把握することで、特にDX推進が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。
ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する

前ステップで策定したビジョンと自社の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。
検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。
デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。
そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DXを推進しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。
例えば、受発注のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした企業であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の受発注プロセスをデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。
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ステップ4:DX推進チームを構築する

DXを推進するには、ビジョンや戦略を社員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。
そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。
また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。
- プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
- テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
- UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
- エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
- データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当
これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、社員に対するDX人材育成を実施する方法があります。
DX推進のスケジュールや、社員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。
ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる
これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。
ここで、いきなり全社単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。
そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の事業部や部門単位から進めるのがおすすめです。
前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各社員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。
これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDXの推進が可能になります。
ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

業務のデジタル化を進めることで、企業は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。
これらのデータを分析し、新たな業務の課題やビジネスチャンスを発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。
さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、自社独自の詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強み蓄積こそが、他社には真似できない、ユニークな新サービスやビジネスモデルの創出の源泉となります。
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- DXをどのように進めれば良いか分からない
- 自社にデジタル活用の経験や知識のある人がおらず困っている