DXは内製化すべき?5大メリット・デメリット、進め方も紹介

DXの内製化とは、企業が自社のリソース(社員、技術、ノウハウ、データなど)を活用して、自分たちでDXを推進していく体制を構築することです。

 

DXを内製化するメリットとして、外部委託コストを削減できること、自社の業務/業態に合った改革を行いやすいこと、社内に知見が蓄積されることなどが挙げられます。

 

一方で、社内のリソース不足により必要以上に時間と労力がかかったり、必要な人材を確保できなかったりなどの問題が発生するリスクもあります。

 

そのため、基本は内製化しつつ、難しい部分は外部委託で補うなど、柔軟なアプローチを採ることが重要となります。

 

本記事では、DXを内製化するメリットとデメリット、注意点、進め方などを分かりやすく解説していきます。


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目次

DXの内製化とは?

DXの内製化とは、企業が自社のリソース(社員、技術、ノウハウ、データなど)を活用して、自分たちでDXを推進していく体制を構築することです。

 

DXを推進する方法として、外部の開発会社やコンサル会社に支援を依頼する方法もありますが、自社にITに関する知見や人材がそろっている場合には、DXを内製化することができます。

 

DXの内製化により、コスト削減や自社独自のノウハウの蓄積、市場環境の変化への柔軟な対応が可能になるといったメリットがあります。

 

一方で、DX戦略の策定や人材の確保、ITツールの導入・メンテンナンスなどをすべて自社で行わなければならないため、多くの企業にとってハードルが高いのが現状です。

 

なお、DXの取り組みすべてを完全に内製化するのではなく、開発のみ外部の開発会社に委託するなど、一部を外部委託する例も見られます。

 

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DXを内製化する5つのメリット

DXを内製化する5つのメリット

DXを内製化するメリットとして、以下の5つが挙げられます。

 

  • ①外部委託のコストを削減できる
  • ②自社の業務/業態に合った改革を行いやすい
  • ③ベンダーへの依存を回避できる
  • ④社員のデジタルスキルが向上する
  • ⑤社内にノウハウ・知見が蓄積される

 

それぞれについてわかりやすく解説していきます。

 

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①外部委託のコストを削減できる

DXを内製化することで、コンサル会社や開発会社に支払うコンサル料や開発報酬を節約することができます。通常、コンサル会社や開発会社に外部委託した場合には、数十万~数百万のフィーを支払わなければなりません。

 

もっとも、戦略立案から開発・実装までをすべて自社で行うことによりかえって費用が高くなってしまう場合もあります。そのため、外部委託した場合と自社で行った場合とで、想定されるコストを比較検討することが重要です。

 

②自社の業務/業態に合った改革を行いやすい

DXを内製化することで、自社の業務や業態についてよく理解した社員がDXに取り組むことになります。

 

そのため、日頃の業務で感じている悩みや不便さをそのまま取り組みに反映するなど、自社に合った改革を行いやすくなるというメリットがあります。

 

仮に外部のコンサル会社や開発会社に一部の業務を外部委託する場合にも、自社の業態や業務、課題に関して丁寧に説明を行い、密にコミュニケーションを行うことが重要です。

 

③ベンダーへの依存を回避できる

DXを外部委託した場合、自社の取り組みや成果がベンダーに依存してしまうことになります。例えば、外部のベンダーが提供するITツールを導入した場合、そのベンダーが急にサービスを停止したり、大幅な値上げを行った場合には、ツールの利用を継続できなくなる可能性があります。

 

DXを内製化して、外部ベンダーへの依存を極力少なくすることで、安定して成果を維持し続けることができます。

 

④社員のデジタルスキルが向上する

DXを社員自ら取り組むようになることで、ITスキルやデジタル技術に関する知見を実践から学ぶ機会が社員に与えられることになります。

 

これにより、社員のデジタルスキルが向上し、DX時代に適用した強固な組織体制を構築することができます。

 

また、社員も、自身のスキルアップや自己成長を感じることができ、仕事に対する満足度が向上すると期待できます。

 

⑤社内にノウハウ・知見が蓄積される

DXを自社で推進することで、デジタル技術の仕組みやITツールの活用方法などのノウハウ・知見が社内に蓄積されます。

 

これにより、他社にはない独自の強みの確立や自社ならではのビジネスモデルの創出、自社にしかできない新サービスの提供などに繋がる可能性もあります。

 

DXを内製化する5つのデメリット・注意点

DXを内製化する5つのデメリット・注意点

DXを内製化するデメリットや注意点として、主に以下の5つが挙げられます。

 

  • ①初期的な導入費用やランニングコストが発生する
  • ②多くの時間とリソースがかかる
  • ③必要な人材の確保が難しい
  • ④導入した技術が陳腐化するおそれがある
  • ⑤意思決定プロセスが複雑化するおそれがある

 

それぞれについてわかりやすく解説していきます。

 

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①初期的な導入費用やランニングコストが発生する

初期的な導入費用やランニングコストが発生する

DXを自社で推進する場合、ツールの導入や新たなシステム開発などが必要となり、数百万円以上の費用が必要になることも少なくありません。

 

また、DXは、従来の個別改善型のデジタル化と比べ、業務プロセスやビジネス全体の大規模な変革に取り組むことになるため、比較的高額な初期費用が必要になります。

  

一方で、数年スパンで見ると大きな成果が期待できるため、中長期でのコスト削減や売上向上の効果を試算した上で、適切な範囲内で予算を確保し投資を行うことが重要です。

 

②多くの時間とリソースがかかる

DXを内製化すると、DXを推進する体制の整備や人材の確保、スケジュール策定、開発・導入、メンテナンスなどの一連の作業をすべて自社でまかなう必要があり、多くの時間とリソースがかかります

 

特に、自社に知見があまりない場合に無理に内製化しようとすると、知見の獲得から始めなければなりません。

 

そのため、完全な内製化にこだわるのではなく、必要に応じて一部の業務を外部委託するなど、柔軟なアプローチで臨むことがポイントとなります。

 

③必要な人材の確保が難しい

DX人材の確保が難しい
(出典:経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課

全社的なDXを推進する場合、最新のテクノロジーを使いこなせるエンジニアはもちろん、ビジネス戦略とデジタル活用の両方に知見をもつリーダーが各部門に必要となります。

 

すでに社内にそのような人材がいるのであれば問題ないですが、仮に必要な人材が社内にいない場合、外部から新たに採用したり、社員を育成するなどして人材を確保する必要があります。

 

しかし、経済産業省の調査によると、国内のIT人材の需要は拡大し続けるのに対し、供給は2019年をピークに減少しており、2030年にかけて40〜80万人規模で不足すると予想されています。このように、DX人材は新卒・中途問わず争奪戦が続いており、希望通りに採用が進むことは稀という状況です。

 

そのため、一時的に外部ベンダーを起用して足りない人材を補完することも選択肢に入れておくと良いでしょう。

 

④導入した技術が陳腐化するおそれがある

デジタル技術は急速に進化しており、ほんの数週間、数か月で市場シェアが大きく変わることも珍しくありません。生成AIを巡るMicrosoftやOpenAI、Googleの競争を見れば分かるように、短期間で市場環境が目まぐるしく変わる事態が当たり前のように起きています。

 

そのため、満を持して自分たちで新たなデジタル技術やITツールを導入しても、その後すぐに最新の技術が登場し、陳腐化する可能性があります。

 

外部ベンダーのツールやシステムを利用する場合には、サービスの切り替えにより新しいものに転換することが比較的容易ですが、自社で開発したツールやシステムの場合には、すぐに切り替えることが難しい場合がほとんどです。

 

そのため、自社開発をする場合には、技術の陳腐化というリスクも考慮した判断が重要となります。

 

⑤意思決定プロセスが複雑化するおそれがある

DXの取り組みは様々なプロセスに分かれます。目的の設定、戦略・計画の立案、ツールの導入・実装、開発・運用、メンテナンス、新サービスのリリースなどの各プロセスを遂行するためには、上司の決裁を得なければならない場合も多いです。

 

DXを内製化すると、これらすべてのプロセスを自社で行うこととなり、必要な意思決定の数も増加します。社内の意思決定が複雑になると、スピードが重視されるDXプロジェクトの進行が遅延するリスクもあります。

 

そのため、DXの計画を立てる段階で、自社の意思決定や決裁承認のプロセスも考慮しておくことが重要となります。

 

DXの内製化のデメリットへの4つの対策

DXの内製化のデメリットへの4つの対策

DXを内製化することによるデメリットへの対策として、以下の4つが挙げられます。

 

  • ①スモールスタートを切る
  • ②一部の業務を外部委託する
  • ③研修や勉強会で人材を育成する
  • ④継続的にアップデート・改善をする

 

それぞれについてわかりやすく解説していきます。

 

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①スモールスタートを切る

DXを全て内製化することによるコスト倒れや計画倒れを防ぐ対策として、まずは小さなプロジェクトから始めるという作戦が有効です。

 

RPAで一部の業務を自動化してみたり、特定の書類を電子化してみたりなど、失敗のリスクが低い簡単な取り組みから始めることで、DX推進のイメージが湧き、自社で内製化することの是非も判断しやすくなるでしょう。

 

②一部の業務を外部委託する

DXの取り組みすべてを自社で行うと、必要以上に時間がかかったり、リソースや知識不足で目的未達成のまま終わったりなど、DXが失敗するリスクが高まります。

 

これを防ぐためには、自社でまかなうことが難しい一部の業務を外部委託することが有効です。

 

開発ができるエンジニアがいない場合には開発会社に、良い戦略が思い浮かばない場合にはコンサル会社に、それぞれ依頼することで、リソース不足を補うとともに、DX推進のスピードを高め、成功確率を高めることができます。

 

③研修や勉強会で人材を育成する

DX実現に必要な人材がいない場合には、研修や勉強会等で必要な人材を育成することも有効な施策です。

 

社内にノウハウがない場合には、外部のコンサル会社等が提供する研修や勉強会サービスを利用したり、セミナーに参加したりすることも考えられます。

 

もっとも、DX人材の育成は、数か月・数年のスパンで行っていくべき長期的な取り組みであり、足元の必要人材を確保するためには、外部人材の採用や外部委託が必要になる点には注意が必要です。

 

④継続的にアップデート・改善をする

自社で開発したツールやシステムの陳腐化を防ぐためには、継続的にアップデート・改善ができる余地を残しておくことが重要となります。

 

それが難しい場合には、外部ベンダーのツールを利用して、すぐに新しいものに切り替えられる体制にしておきましょう。特に、生成AIなどの最新技術は、進化のスピードが激しく、最新技術に合わせて常に自社でアップデートを続けるのは困難です。

 

DXの内製化の進め方|具体的な6つのステップ

DXの進め方|具体的な6つのステップ

DXの内製化の進め方は大きく6つのステップに分けられます。

それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。

 

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ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する

ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する
(出典:経済産業省「DXレポート2.1」

DX推進の最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。

 

「DX推進後の理想の自社の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。

 

本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。

自社の業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、市場環境や自社の特性を踏まえ、検討しましょう。

 

例えば、業務のデジタル化すら進んでいない企業であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる企業であれば、3年後までに製品/サービスやビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。

 

ステップ2:自社の現状と課題を把握する

DX ステップ2:自社の現状と課題を把握する
(出典:独立行政法人情報処理推進機構「「DX 推進指標」とそのガイダンス」

続いて、自社が現状どの程度DXを推進できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。

 

本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のDX推進指標」を活用することで、企業文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。

 

それぞれの観点における自社の成熟度のレベルを把握することで、特にDX推進が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。

 

ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する

ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する
(出典:独立行政法人情報処理推進機構「「DX 推進指標」とそのガイダンス」

前ステップで策定したビジョンと自社の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。

 

検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。

 

デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。

 

そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DXを推進しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。

 

例えば、受発注のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした企業であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の受発注プロセスをデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。

 

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ステップ4:DX推進チームを構築する

ステップ4:DX推進チームを構築する

DXを推進するには、ビジョンや戦略を社員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。

 

そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。

 

また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。

  • プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
  • テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
  • UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
  • エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
  • データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当

 

これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、社員に対するDX人材育成を実施する方法があります。

 

DX推進のスケジュールや、社員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。

 

ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる

これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。

 

ここで、いきなり全社単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。

 

そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の事業部や部門単位から進めるのがおすすめです。

 

前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各社員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。

 

これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDXの推進が可能になります。

 

ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

ステップ3:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

業務のデジタル化を進めることで、企業は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。

 

これらのデータを分析し、新たな業務の課題やビジネスチャンスを発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。

 

さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、自社独自の詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強み蓄積こそが、他社には真似できない、ユニークな新サービスやビジネスモデルの創出の源泉となります。

 

DXの内製化に成功するための5つのポイント

DXを成功させるための5つのポイント

DXの内製化を成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。

 

  • ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
  • ②自社ならではのDX戦略を策定する
  • ③十分なDX人材を確保する
  • ④スモールスタートクイックウィンを実現する
  • ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

 

それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。

  

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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む

DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。

 

そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。 

 

具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。

 

一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。

 

②自社ならではのDX戦略を策定する

自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。

 

その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。

 

そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。

 

③十分なDX人材を確保する

DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。

 

本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。

 

また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。

 

そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。

 

④スモールスタートクイックウィンを実現する

DX スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。

 

そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。

 

そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。

 

取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。

 

これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。

 

⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

DX ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。 

 

そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。

 

一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。

 

もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。

 

DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。

 

DXの内製化に成功した企業の事例5選

DXの内製化に成功した企業の取り組み事例として、以下の5つが挙げられます。

 

  • ①【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築
  • ②【旭鉄工】製造現場の組織的なカイゼンに生成AIを活用
  • ③【鹿島建設】BIM技術を活用しデジタルツインを実現
  • ④【クレディセゾン】10年の歳月をかけ、レガシーシステムから脱却
  • ⑤【東京証券取引所】オンラインでETF取引ができるシステムをアジャイル開発

 

それぞれの事例について分かりやすく解説していきます。

 

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①【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築

【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築
(画像:ダイキン)

ダイキン工業は、空調機や化学製品の製造を手掛ける大阪に本拠を置く世界的なメーカーです。同社は、2021年より「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始し、IoTにより空調機をクラウド環境に接続して一括管理を可能にし、業務やエネルギー消費の効率化を実現しています。

 

【課題・背景】

  • オフィス空調設備のエネルギー消費量を最適化し、コスト削減と環境負荷の低減を目指す顧客企業のニーズが増加していた
  • 多くの顧客企業が、設備管理者の人手不足に伴い、オフィス空調設備の運用・制御を効率化する必要性に迫られていた

 

【具体的な取り組み】

  • 空調設備をインターネットでつなぐ「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始
  • 各拠点の空調設備をつなぐクラウド型の空調コントロールシステム「DK-CONNECT」の構築

 

【得られた成果】

  • 100万台以上のエアコンの接続と分単位のデータ取集・リアルタイム制御を実現
  • スマホやタブレットから空調設備の監視・運用が可能となり、オフィスを巡回する手間をカット、業務時間の短縮を実現
  • 部屋単位で空調を制御したり、人数に応じて自動で設定温度を調整するなど、空調設備の運用最適化によるエネルギー消費量の削減

 

②【旭鉄工】製造現場の組織的なカイゼンに生成AIを活用

【旭鉄工】製造現場の組織的なカイゼンに生成AIを活用
(画像:Smart Technologies)

旭鉄工は、トヨタなどの主要自動車メーカーと取引を行う、日本の自動車部品メーカーです。「人には付加価値の高い仕事を」をスローガンに、IoTを起点としたDXを行っています。

 

またノウハウを他社展開するため、2016年9月にi Smart Technologies株式会社を設立し、IoTモニタリングやコンサルティングサービスも提供しています。

 

【課題・背景】

  • IoT活用により改善活動のサイクルが早まったが、改善方法(ノウハウ)そのものは個人が紙やファイルで属人的に保存している状況であった
  • そこで、それらをまとめた「横展アイテムリスト(ノウハウ集)」を作成。しかし、事例数が膨大で探し出すのが困難であり、かつ書き方に個人差があるため活用しづらいという新たな課題が生まれた

 

【具体的な取り組み】

  • ChatGPTに「横展アイテムリスト」の内容を読み込ませ、ChatGPTに日本語で質問するだけで、最適な改善事例を回答できるように
  • 例えば「マシニングのサイクルタイムの事例は?」と質問すると、「設備」「狙い」「内容」「注意点」などを箇条書きで整理して回答してくれる

 

【得られた成果・今後の展望】

  • このシステムを本格導入することにより、社内の知見が現場の隅々にまで共有され、より生産性高くカイゼン活動を行うことが可能に
  • 今後は同システムを、カイゼンGAIとして外部に提供するソリューションにも組み込んでいく方針

 

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③【鹿島建設】BIM技術を活用しデジタルツインを実現

【鹿島建設】BIM技術を活用しデジタルツインを実現
(画像:鹿島建設)

鹿島建設は、BIM技術を活用したデジタルツインで建築生産プロセスのデジタル化を進めています。

  

【課題・背景】

  • 企画・設計から竣工後の維持管理・運営までの一貫した建物情報をデジタル化し、効率化を目指していた

  

【具体的な取り組み】

  • 筑波大学発のスタートアップ企業であるPXDTが有する先進的なセンシング/三次元データ処理技術と、同社が培ってきたBIM技術を融合させ、デジタルツイン基盤「鹿島ミラードコンストラクション」を構築
  • オービック御堂筋ビル新築工事にて、各フェーズにおける建物データの連携を可能にするBIMによるデジタルツインを実現

 

【解決した課題・成果】

  • 鹿島建設のデジタルツイン基盤「KMC(Kajima Mirrored Construction)」の構築により、これまで正確な記録が難しかった建築現場の施工プロセスをデジタルデータで蓄積できるように
  • 今後、BIMによるデジタルツインを全国の建築プロジェクトに展開することで、各フェーズにおける業務の効率化を図るとともに、高品質かつ高価値な建物を提供予定

  

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④【クレディセゾン】10年の歳月をかけ、レガシーシステムから脱却

【クレディセゾン】10年の歳月をかけ、レガシーシステムから脱却
(画像:クレディセゾン)

日本を代表するクレジットカード会社であるクレディセゾンは、他の金融機関と同様、レガシーシステムの存在に頭を悩ませており、中でもクレジットカードの基幹システムの複雑化は、新機能追加や改修を妨げる大きな障害となっていました。

 

今回の取り組みでは、クラウドを活用することで古いシステムを刷新し、レガシーシステムからの脱却に成功しました。

 

【課題・背景】

  • クレディセゾンのクレジットカード基幹システムは、古いプログラミング言語を基に形成された複雑なシステムで、機能追加や改修が困難であり、エンジニアの確保にも苦戦していた

 

【具体的な取り組み】

  • 社内API基盤を内製し、クラウドを活用して基幹システムの刷新を試みるプロジェクトを開始
  • 約10年の歳月をかけて新たなシステム「HELIOS」を構築。総投資額は2,200億円に

 

【得られた成果】

  • クレジットカード事業の新製品開発や新機能の追加が迅速に行えるようになり、事業の成長につながった

 

⑤【東京証券取引所】オンラインでETF取引ができるシステムをアジャイル開発

【東京証券取引所】オンラインでETF取引ができるシステムをアジャイル開発
※CONNEQTORでの取引の仕組み(出典:東京証券取引所資料

日本の主要株式市場を運営する東京証券取引所は、経済産業省と共同で、優れたDXの取り組みを行った企業を選定するDX銘柄の制度を推進しています。

 

一方で、東証自身もDXの取り組みに力を入れており、2021年2月には上場投資信託(ETF)のオンライン取引システムを導入しました。

 

【課題・背景】

  • ETFの取引では、証券会社が電話で各金融機関の希望価格を聞いたうえでマッチングを行っていたが、手間と時間がかかっていた

  

【具体的な取り組み】

  • 2019年11月から、富士通の協力のもと、ETFのオンライン取引システムの開発に着手。アジャイル開発の手法を取り入れ、MVP(Minimum Viable Product、検証可能な必要最小限のプロダクト)を素早く作って頻繁に改善を繰り返した
  • 2021年2月1日からETFのオンライン取引システム「CONNEQTOR(コネクター)」を本格的に導入、金融機関向けに開放

 

【得られた成果】

  • 機関投資家は、CONNEQTOR上でETFの価格提示や発注を行えるようになり、取引が円滑化
  • システム導入後の約5か月間で約40社の金融機関がCONNEQTORを利用、信用金庫・信用組合や地方銀行にまで利用が広がる
  • 2024年4月のCONNEQTOR経由の月間売買代金が過去最高の2,908億円を突破

 

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