DX人材とは?必要スキルや5つの職種、人材獲得方法3選も紹介
DX人材とは、DXを推進するために必要となるスキルを持った人材のことです。DXを推進するためには、プロジェクトを推進するマネージャーや、データ分析により効果を検証するデータサイエンティストなど、様々なタイプの人材が必要となります。
DX人材に必要なスキルは多岐にわたり、単なるITに関する知識にとどまらず、マネジメントスキル、コミュニケーションスキル、デザインスキルなど様々な能力が問われます。
本記事では、DX人材の育成や採用を検討している方に向けて、DX人材に必要なスキル、種類、人材獲得の方法などをわかりやすく解説していきます。
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目次
DX人材とは?
そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。そして、DX人材とは、DXを推進するために必要となるスキルを持った人材全般を意味します。
DX人材というと、ITツールに詳しいエンジニアを想起する方も多いかもしれません。しかし、DXを推進するためには、プロジェクトを推進するマネージャーや、データ分析により効果を検証するデータサイエンティストなど、様々なタイプの人材が必要となり、これらの人材もDX人材に含まれます。
特に、全社的なDXを推進する場合、最新のテクノロジーを使いこなせるエンジニアはもちろん、ビジネス戦略とデジタル活用の両方に知見をもつリーダーが各部門に必要となります。
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DX人材の不足

DX人材の重要性がますます高まっている一方で、多くの企業が人材確保に苦戦しています。
経済産業省の調査によると、国内のIT人材の需要は拡大し続けるのに対し、供給は2019年をピークに減少しており、2030年にかけて40〜80万人規模で不足すると予想されています。このように、DX人材は新卒・中途問わず争奪戦が続いており、希望通りに採用が進むことは稀という状況です。
そのため、短期的には、外部ベンダーの起用などで体制を強化しつつも、中長期的には人材育成や採用の仕組みを強化していく必要があります。
経産省が掲げるDX人材の5つのタイプ

経済産業省は、DX人材の重要性を踏まえて、企業のデジタル人材確保・育成の指針として「デジタルスキル標準」を策定しています。これによると、DX人材は、大きく以下の5つのタイプにわかれるとされています。
タイプ | 概要/役割 |
---|---|
ビジネスアーキテクト | DX推進の目的の設定関係者間のマネジメント含む、プロジェクト全体の進捗管理 |
デザイナー | ビジネス視点と顧客視点を総合的にとらえ、製品・サービスの方針や開発プロセスを策定それらに沿った製品・サービスのデザイン検討 |
データサイエンティスト | データを活用した業務変革・新規ビジネスの創出に向けて、データ収集・解析の仕組みづくりデータから得られた示唆を踏まえた製品・サービスのアイデア検討 |
ソフトウェアエンジニア | デジタル技術を活用した製品・サービスを提供するためのシステム・ソフトウェアの設計・運用新技術やツールを起点とした製品・サービスのアイデア検討 |
サイバーセキュリティ | 業務プロセスの基盤となるデジタル環境におけるセキュリティリスク対策の実行セキュリティルールやプライバシーポリシーの策定 |
デジタルスキル標準では、DX推進のためには、上記5つのタイプの人材が、様々な場面で協働関係を構築することが重要であるとしています。
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DX人材に求められる3つのスキル

DX人材に求められるスキルとして、主に以下の3つが挙げられます。
- ①デジタルスキル
- ②プロジェクトマネジメントスキル
- ③コミュニケーションスキル
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
①デジタルスキル
DXにより業務プロセスの変革や新規サービスを創出するためには、デジタル技術を上手に活用する必要があります。そのためには、ITツールやシステムを使いこなすデジタルスキルが必要不可欠です。
社内にこのような人材がいない場合には、外部のコンサル会社やエンジニアに相談することも考えられます。
②プロジェクトマネジメントスキル
DXを推進するためには、プロジェクトを実行するためのマネジメントスキルが欠かせません。
DXプロジェクトのマネージャーは、DX推進のためのスケジュール策定、チーム体制の構築、進捗管理、関係各部署との連携など、プロジェクト全体を俯瞰して、計画通りにプロジェクトが進んでいるかを管理する責任があります。
③コミュニケーションスキル
DXは、既存のビジネスモデルの変革や業務プロセスの刷新を伴う全社的な取り組みです。そのため、複数の部署が連携してプロジェクトを進めていく必要があります。
したがって、DXを推進するためには、関係各部署と密に連携し、協力関係を築いていくコミュニケーションスキルが重要となります。
DX人材を獲得する3つの方法

DX人材を獲得する方法として、以下の3つが挙げられます。
- ①社内でDX人材を育成する
- ②DX人材を採用する
- ③DXコンサルティングを依頼する
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
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①社内でDX人材を育成する
現時点で社内にDX人材がいなかったとしても、研修や勉強会を開催することでDX人材を育成し、将来のDX人材の獲得につなげることができます。
例えば、空調機メーカーのダイキンは、社内にダイキン情報技術大学を開設し、希望する社員に対して2年間のICT教育を実施しています。
また、社内で研修や勉強会、プログラムを計画・実行することが難しい場合には、外部の研修・勉強会サービスを活用することもおすすめです。
②DX人材を採用する
社内でDX人材を育成する方法は中長期的なものであり、足元のDX人材獲得には繋がりません。すぐにDX人材がほしい場合には、外部からDX人材を新たに採用する必要があります。
DX人材を採用する上で重要なポイントとして、DX人材の中でもどのタイプの人材がほしいのかを明確にすることが挙げられます。この点を明確にしておかないと、自社の課題解決にマッチしないスキルをもった人材を雇うことになり、採用コストが無駄になってしまうので注意しましょう。
③DXコンサルティングを依頼する
DX人材が不足している中、外部から新たにDX人材を採用するのも簡単ではありません。DX人材の育成・採用に代わる方法として、DXコンサルティングに依頼する方法があります。
DX推進を専門とするコンサルティング会社に依頼することで、自社に知見がなくても、効率的にDXを進めることができます。
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DX人材を採用・育成する際の3つの注意点

DX人材を採用・育成する際の注意点として、主に以下の3つが挙げられます。
- ①どのような人材がほしいのかを明確にする
- ②DX人材を適切な部署に配置する
- ③最新知識を継続的にキャッチアップする
それぞれの事例について分かりやすく解説していきます。
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①どのような人材がほしいのかを明確にする
一口にDX人材と言っても、プロジェクト全体のマネジメントをするマネージャー、ITツールに詳しいエンジニア、データ分析を得意とするデータサイエンティストなど、様々なタイプが存在します。
そのため、自社にどのようなスキル・知見が不足しているのかを確認した上で、必要な人材像を明確にすることが重要です。
このステップを踏まないと、自社の課題解決・目的達成にマッチしない人材を雇うこととなり、採用コストが無駄になるという自体に繋がりかねません。
②DX人材を適切な部署に配置する
獲得したDX人材を適切な部署に配置し、適切な役割を与えることも重要です。通常は、企業のDX推進室や経営企画部などに配置することが多いですが、DX推進の目的や獲得した人材の役割・スキルによっては、別の部署に配置した方がうまく回る可能性もあります。
DX人材を配置するにあたっては、既存の枠組みにとらわれず、部署同士の関係も踏まえ、各人材が最も働きやすい環境で働けるように取り計らう必要があります。
③最新知識を継続的にキャッチアップする
AIやIoTをはじめとするデジタル技術の進化とそれに伴う各種ITツールのアップデート・趨勢は目まぐるしく変化しています。
継続的に最新知識をキャッチアップしておかないと、自分がもっているスキルも陳腐化し、使い物にならなくなってしまう可能性があります。
そのため、「DX人材を獲得して終わり」とするのではなく、継続的に最新情報の収集や学び直しを行い、知識をアップデートしていくことが重要です。
企業のDX人材採用・育成の成功事例3選
企業のDX人材採用・育成の成功事例として、主に以下の3つが挙げられます。
- ①【ダイキン】社内に情報技術大学を開設し、2年間のICT教育を実施
- ②【ニチレイ】レベルに応じたDXプログラムを実施し、約3,900名が受講
- ③【双日】5段階のレベルでデジタル人材を育成し、様々なDX-PJを推進
それぞれの事例について分かりやすく解説していきます。
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①【ダイキン】社内に情報技術大学を開設し、2年間のICT教育を実施

空調機製造メーカーであるダイキンは、2017年12月、社内にダイキン情報技術大学(DICT)を開設し、希望する社員に対して2年間の徹底したICT教育を実施しています。
2023年3月までに390人がDICTを卒業しました。今後もこの取り組みを継続し、2026年3月期末までにデジタル人材を2,000人育成する計画を掲げています。
さらに、DICT修了後は、IT企業等に出向できるプログラムも用意し、学んだスキルを実践の場で活用できる機会も提供しています。
②【ニチレイ】レベルに応じたDXプログラムを実施し、約3,900名が受講

ニチレイグループは、レベルに応じたDX研修プログラムを行い、従業員に対するDX教育を進めています。2023年度末には国内全社員の約3,900 名が受講を修了しました。
レベルに応じて「DXブロンズ」「DXシルバー」「DXゴールド」の3ステップのプログラムを実施。それぞれ「DXを知る」「DXに触れる」「DXを実践する」をテーマに、最終的には全社視点で具体的な行動を起こすことができるレベルを目標としています。
また、上位のプログラムを受講した従業員の中から、DXを牽引する人財として「デジタルリーダー」を任命。彼らが今後のDX活動の中心的役割を担い、それぞれの現場の課題をデジタルで解決することを目指しています。
③【双日】5段階のレベルでデジタル人材を育成し、様々なDX-PJを推進

双日は、デジタルの活用によってビジネスモデルや業務プロセスの変革を実践できる「デジタル人材」の育成に注力しています。
デジタル人材育成プログラムは、入門・基礎・応用基礎・エキスパート・ソートリーダーの5段階にレベルを設定。2023年には入門・基礎を全社員が修了、応用基礎も目標値(300人)を達成しました。
また、カリキュラムの中に生成AI等の科目を追加するなど、日々進化するテクノロジーにも対応できるよう、動的KPIを導入し、適宜見直す体制としています。
それらのデジタル人材を活用し、以下のようなDX-PJを進めています。
- 鉱物取引での顧客毎の製品販売価格の分析・最適化による収益性向上PJ
- マグロ養殖事業での、デジタルツインとAIを組み合わせた生簀内尾数の推定技術の開発と特許出願を行ったスマート水産PJ
- 東南アジア農業事業における、土壌、施肥、品種、生育期間をシミュレーションするアプリ開発とその実証実験、データ流通による保険や資材の共同購買等の新サービスを提供する営農プラットフォームPJ
- 中古車流通事業での、デジタルツインとカメラ等の技術を用いた車両検査の自動化技術の開発PJ
育成・採用したDX人材でDXを成功させる5つのステップ

育成・採用したDX人材で、DXを成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
- ②自社ならではのDX戦略を策定する
- ③十分なDX人材を確保する
- ④スモールスタートクイックウィンを実現する
- ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。
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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。
そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。
具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。
一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。
②自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。
その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。
そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。
③十分なDX人材を確保する
DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。
本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。
また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。
そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。
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④スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。
そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。
そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。
取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。
これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。
⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。
そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。
一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。
もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。
DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。
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