DXの身近な具体例12選|IoT・生成AI・ドローンの活用例も紹介

コロナウィルスの流行をきっかけにDXという概念が普及し、多くの企業や自治体がDXに関する様々な取り組みを行っています。

 

テレワークやオンライン会議といった簡単なものから、ドローンや生成AIなどの最新技術を活用した高度な取り組みまで、企業によって取り組み内容は様々です。

 

本記事では、AIやドローン、IoTなどを活用したDXの身近な具体例、DX推進のメリット、具体的な進め方などを分かりやすく解説していきます。


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目次

そもそもDXとは?

DXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。

 

単なるデジタル化・IT化ではなく、デジタル活用により、業務やサービス、ビジネスモデルを大きく変革していく取り組みであるという点が大きなポイントです。

 

経済産業省は、2018年に発表した「DX推進ガイドライン」において、DXを以下のように定義しています。

 

“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”

 ー出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0

 

例えば、動画配信大手のNetflixが、宅配型のDVDレンタル事業からサブスクリプション型のオンライン動画配信サービスへとビジネスモデルを変革したのは、DXの代表的な事例といえるでしょう。

 

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DXの身近な具体例12選

企業や自治体などによるDXの身近な具体例として、以下の12事例が挙げられます。

 

  • ①テレワーク/オンライン会議
  • ②Eコマース
  • ③キャッシュレス決済
  • ④配車サービス
  • ⑤フードデリバリー
  • ⑥ネットバンキング
  • ⑦サブスクリプションサービス
  • ⑧無人店舗
  • ⑨スマート家電
  • ⑩オンライン授業
  • ⑪オンライン診療
  • ⑫ドローンでの配送

 

それぞれの取り組みについて分かりやすく解説していきます。

 

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①テレワーク/オンライン会議

テレワーク/オンライン会議 Zoom
(画像:Zoom)

テレワークとは、「Tele(離れて)」と「Work(仕事)」を組み合わせた造語で、自宅やサテライトオフィスなど会社から離れた場所で仕事を行うことです。テレワークによって「場所にとらわれないビジネススタイル」が実現できます。

 

テレワークに必須なツールの1つとしてオンライン会議が挙げられます。オンライン会議は、インターネットを通じて遠隔で社内会議や外部との打ち合わせなどを行うことを指します。

 

総務省によると、テレワークの導入率は2019年の20.2%から2020年は47.5%へと一気に増加しており、2023年には51.7%に達しています。

 

オンライン会議ツールの代表例としてはZoomやGoogleMeet、Skypeなどが挙げられます。

 

②Eコマース

Eコマース Amazon
(画像:Amazon)

Eコマース(電子商取引)とは、インターネット上で商品やサービスの売買を行うビジネスモデルのことです。コロナによるオンラインシフトをきっかけに、Eコマースの需要が急増し、多くの企業がインターネット上での商品/サービスの提供・販売を開始しています。

 

Eコマースには、既存のプラットフォーマーが提供するECサイト上に多数のショップが出品するマーケットプレイス型ECサイトと、無数のECサイトがショッピングモールのように立ち並ぶモール型ECサイトの2種類に分けられます。

 

前者の代表例としては楽天市場やShopify、後者の代表例としてはAmazonや中国のEC大手アリババなどが挙げられます。

 

2023年8月に経済産業省が発表した調査結果によると、2022年におけるToCのEコマースの国内市場規模は22.7兆円(前年比9.91%増)、ToBのEコマースの国内市場規模は420.2兆円(前年比12.8%増)に達していることが明らかとなりました。企業のDX推進のトレンドとともに、Eコマースの市場規模は、今後もますます増加していくと予想されています。

 

③キャッシュレス決済

キャッシュレス決済 PayPay
(画像:paypay株式会社)

キャッシュレス決済とは、現金を使用せずに支払いを行うことです。キャッシュレス決済には、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、コード決済などさまざまな手段があります。

 

電子マネーはSuicaやnanacoなどの事前にチャージしたカードやアプリを専用機器にかざして支払う方法、コード決済は店舗側もしくは顧客側がQRコードを提示してもう一方が読み取る方法を指します。

 

現在ではスマートフォン所有者の72.8%がコード決済を利用しており、コード決済の代表例としてはPayPay、楽天ペイ、d払いなどがあります。

 

ITリサーチ会社であるMMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「2024年3月QRコード決済の利用に関する調査」によると、コード決済トップは「PayPay」で、PayPayは国内のコード決済利用者のうち49.5%が利用しており、それに次ぐ楽天ペイの25.9%と大きな差をつけています。

 

キャッシュレス決済は現在にかけて堅調な普及率の上昇を遂げており、経済産業省によると2010年は13.2%であったのに対し、2023年は39.3%となっています。特に、コード決済は2018年からの6年間で0.2%から10.9%と50倍以上の伸びを見せています。

 

④配車サービス

配車サービス Uber
(画像:日の丸リムジン)

配車サービスとは、利用者がスマートフォンのアプリを通して利用したい時にタクシーなどの自動車を呼べるサービスです。「乗りたい」と「乗せたい」を瞬時にマッチングし、自動車利用の効率化を実現します。

 

配車サービスは個人が保有するモノや場所、スキルといった遊休資産の貸出を仲介するシェアリングエコノミーというビジネスモデルの一種です。

 

Straits Research社によると、世界の配車サービスおよびタクシー市場規模は、2023年に2,432.3億米ドルと評価されており、2024年の2,708.1億米ドルから2032年には6,395.5億米ドルに達し、予測期間(2024~32年)にわたって年平均成長率11.34%で成長すると予想されています。

 

配車サービスの代表例として、Uber taxiとDiDiが挙げられます。DiDiは、AIを活用した高度な分析・予測テクノロジーでタクシー配車の最適化を実現しています。

 

⑤フードデリバリー

フードデリバリー Uber Eats
(画像:Uber Eats)

フードデリバリーとは、飲食店の商品を顧客が指定した場所まで届けるサービスです。スマートフォンアプリなどを通じて商品を簡単に注文することができます。

 

フードデリバリーの市場は2016年の3,770億円から2023年には8,622億円に年々順調に拡大しています。特にコロナが流行した2020年には、巣ごもり需要の追い風を受けて、大幅に利用が増加しました。

 

日本でのフードデリバリーの代表例はUber Eats、出前館、Woltなどが挙げられます。アプリから届け先を指定し、好きな料理を選ぶことで簡単に配達を頼むことができます。また、オンライン決済を利用すれば置き配を利用することで配達者と顔を合わせることなく利用が可能です。

 

⑥ネットバンキング

ネットバンキング SMBC
(画像:三井住友銀行)

ネットバンキングとは、パソコンやスマートフォンなどのインターネット端末を使って、銀行口座の残高照会や振込など、銀行の取引を行うサービスです。実店舗とインターネット上の両方で取引が行える銀行のほか、実店舗を持たずインターネットバンキングだけをサービスとして提供している「インターネット支店」や「インターネット専業銀行」もあります。

 

ネットリサーチ会社のマイボイスコムによると、現在インターネットバンキングの利用経験率は7割強に上っています。主な利用目的としては、「口座情報の照会・明細の確認」「振り込み・送金」がそれぞれ利用者の8割前後を占めています。

 

日本の代表的なネットバンキングとして、三井住友銀行のインターネットバンキング「SMBCダイレクト」があります。生体認証で安全にログインして取引を行うことができるほか、証券会社など他の口座や電子マネー、ポイントとの連携、毎月の収支や資産全体の管理も可能となっています。

 

⑦サブスクリプションサービス

サブスクリプションサービス Netflix
(画像:Netflix)

サブスクリプションとは、定期的な料金を支払ってサービスや商品を利用するビジネスモデルのことです。代表例として、NetflixやAmazon Primeなどの動画ストリーミングサービス、定期的に届く食材やコスメのボックスなどが挙げられます。

 

サブスクリプション形態をとることで、企業は将来にわたり安定した収益を確保することができます。また、将来の収益の見通しが明確になるため、サービスの改善や開発にどれくらい資金を投下するかを比較的容易に判断することができます。

 

サブスクリプションは、一回きりの販売と異なり、顧客と継続的な関係を構築していくことを前提にしているため、提供する側は、常にサービスの質を改善し、顧客の体験価値を高めるための努力を続けることが求められます。

 

⑧無人店舗

無人店舗 amazon go
(画像:CNET Japan)

無人店舗とは、店員が常駐せず顧客が自分で商品を選び、購入手続きを行う店舗のことを指します。AIカメラやAIセンサー、商品につけたICタグやキャッシュレス決済など、さまざまなIT技術を駆使することで、無人での買い物を実現しています。

 

顧客側はレジを待たずに会計を行うことができ、店舗側は人手不足を解消することができるため双方にメリットがあります。

 

無人店舗は主に「セルフレジが設置されている店舗」と「レジ無しの店舗」の2種類に分けられます。レジ無しの店舗は、事前にアプリ等に登録をしておくことで、認証ゲートで顧客認識を行ない、手に取った商品に基づいて自動精算するためレジを通さずにそのまま退店できます。

 

無人店舗の代表例として、Amazon GOが挙げられます。店内にはカメラとマイクが設置されており、AIが何の商品を手に取ったか認識します。また、商品の陳列棚には赤外線、圧力、重量センサーなどが設置されており、商品の在庫、移動などもトラッキングしています。それらをリアルタイムで専用アプリと連携させることにより、店を出ると同時にAmazonアカウントで決済できる仕組みです。

 

⑨スマート家電

スマート家電
(画像:シャープ)

スマート家電とは、スマートフォンやタブレット、音声アシスタントなどを通じて遠隔操作や自動化が可能な家電製品のことを指します。

 

「モノ」をインターネットに接続する技術であるIoT(Internet of things)を活用しており、快適な暮らしをサポートします。外出先からでも家電を動かせたり、タイマー機能で家電の自動化ができたりと、家事の負担を軽減することが可能です。

 

近年ではAIが搭載されているスマート家電も多く、家電をインターネットに繋げるだけでなく、AIが利用状況などを学習し、最適化されるようになっています。

 

スマート家電の代表例として、スマホと連携可能な冷蔵庫やエアコンが挙げられます。例えば、シャープのスマート冷蔵庫にはAIが搭載されており、ドアの開閉履歴から生活パターンを分析し、食品に影響のない範囲で庫内の温度を自動で下げて省エネを実現します。

 

⑩オンライン授業

オンライン授業

オンライン授業とは、インターネットを利用して行われる授業のことです。学生と生徒が物理的に同じ空間にいなくても、パソコンやタブレット、スマートフォンを通じてリアルタイムで授業を受けたり、録画した講義を視聴したりすることができます。

 

オンライン授業により場所や時間の制約がなくなり、体調不良などの諸事情により対面での受講が難しい生徒が学びを継続できるほか、遠隔地に住む学生の学習の機会を増やすことができます。

 

オンライン授業はコロナウイルスの流行時に多くの学校で導入されました。文部科学省によると、「2020年後期はオンライン授業がほとんど又は全てだった」と回答した学生は全体の6割に上ったとのことです。

 

⑪オンライン診療

オンライン診療

オンライン診療とは、インターネットを利用して医師や医療専門家が患者と遠隔で診察や相談を行う医療サービスのことです。

 

ビデオ通話、電話、チャット、専用アプリを通じて、患者は自宅や職場からでも医師に相談できるため、従来の対面診察に比べて便利で迅速な医療サービスを受けることができます。

 

一方で、オンライン診療は直接の対面による診療と異なり触診等ができないため、医師が得られる情報が限られます。そのため、以下のようなルールがあります。

 

  • 対面診療と適切に組み合わせて実施することが基本
  • 適切な診療のため、原則としてかかりつけの医師が実施
  • 医師がオンラインによる診療が適切でないと判断した場合には利用できない

 

近年では、コロナウィルスをきっかけに遠隔診療の必要性が増加したことや地方での医師不足の問題などを受けて、オンライン診療の要件を緩和する動きも見られています。

 

医療業界におけるDXについては、以下の記事でも分かりやすく解説しています。

医療DXとは?5大メリットとデメリット、成功事例7選も紹介

 

⑫ドローンでの配送

ドローンでの配送
(画像:CNET Japan)

ドローンを使用して商品や荷物を指定された場所に配達する方法は、物流の新たな選択肢として期待されています。海外では実用化もされています。

 

日本では未だ実用化はされていませんが、2022年12月に「航空法等の一部を改正する法律」が施行され、日本国内でのドローンのレベル4飛行が解禁されたことにより有人地帯でもドローンの自律飛行ができるようになりました。

 

海外におけるドローン配達の事例として、ドミノピザは2016年にニュージーランドにおいて世界で初めてドローンによるピザの宅配サービスを実施しました。ユーザーがスマホでピザを注文すると、ドミノピザの無人航空機がGPSナビゲーションを利用して目的地まで移動、ワイヤーでピザの入った箱を下し、配達します。

 

”今”DXが注目されている3つの理由

DXが必要である3つの理由

近年DXが注目されている代表的な理由として、以下の3つが挙げられます。

  

  • ①企業間の競争激化への対応
  • ②レガシーシステムの老朽化対策【2025年の崖】
  • ③労働人口減少への対応

 

それぞれについて分かりやすく解説していきます。

 

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①企業間の競争激化への対応

2010年以降、誰もがスマートフォンやPCを通じてインターネットと繋がる時代となり、ビジネスの主戦場はリアルの世界からデジタルの世界にシフトしてきました。

 

そこで、各業界において、他社に先んじて、デジタルを活用した業務効率化/コスト削減や顧客体験の向上などを進めてきた企業が、市場シェアを拡大しています。

 

また、デジタルを活用し急成長を遂げるGAFAのようなテクノロジー企業は、国境や業界を問わず、それまでの勢力図を一変させるような動き(ディスラプション)を見せています。

 

そのため、ITやサービス業などはもちろん、小売や金融、製造業など比較的、リアルアセットの重要性や人手による仕事の割合が高かった業界でも、他業界や海外の新興企業から一気にシェアを奪われかねないという状況に置かれています。

 

このような状況に対応していくためには、これまで培った強みを活かしながら、DXを強力に推進し、競争優位性を高めていくことが求められます。

 

②レガシーシステムの老朽化対策【2025年の崖】

DX レガシーシステムの老朽化対策【2025年の崖】
(画像:経済産業省「DXレポート(サマリー)」

経済産業省によると、日本企業の約8割が、レガシーシステムと呼ばれる老朽化したITシステムを利用しています。

  

そのレガシーシステムの多くが、長年の継ぎ足しによって大きく複雑化しており、また開発担当の社員がいなくなっており中身が分からないブラックボックスになっています。 

 

その結果、長期的に保守費や運用費が高くなってしまい、企業のIT関連予算の約8割が既存ビジネスの維持・運用にあてられているという問題があります。

 

経済産業省のレポートでは、このままDXが推進されない場合、2025年以降に国内全体で最大年間12兆円の経済損失が生じる可能性があると警鐘を鳴らしており、このリスクは「2025年の崖」と呼ばれています。

 

③労働人口減少への対応

DX 労働人口減少への対応
(画像:国土交通白書2021「デジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れと成長の停滞」

日本は今後少子高齢化が加速していき、それに伴う経済成長の低迷が危惧されています。日本の生産活動を担う労働人口は、2008年をピークに減少に転じており、企業の人手不足は深刻化しています。

 

また、諸国と比べた現状の労働者一人当たりの生産性も、20位以下で低迷している傾向にあります。 

 

そんななか、経済成長を実現していくためには生産性向上が必要不可欠となり、その実現のためには、デジタルを活用した高付加価値のビジネスの創出や業務効率化などのDX推進が重要となります。

 

DX推進の5つのメリット

DXを推進する5つのメリット

DXを推進する代表的なメリットとして以下の5つが挙げられます。

 

  • ①業務効率化やコスト削減を実現できる
  • ②データ活用により企業の競争力を高められる
  • ③新たなサービスやビジネスモデルを創出できる
  • ④働き方改革を推進できる
  • ⑤事業停止のリスクを回避できる(BCPの充実)

 

それぞれについて分かりやすく解説していきます。

 

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①業務効率化やコスト削減を実現できる

DXを推進し、手作業で行っていた各業務のデジタル化を進めることで、業務効率化やコスト削減を実現できます。

 

例えば、書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理したり、RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化したりといった取り組みが挙げられます。

 

これらの取り組みにより、作業時間の短縮やヒューマンエラーの防止、作業人員の縮小などの成果が期待できます。

 

また、個別作業のデジタル化だけでなく、デジタル活用を前提とした、既存の業務プロセス全体の見直し・カイゼンを行うことで、より大きな成果を上げることが可能です。

 

②データ活用により企業の競争力を高められる

DX推進により、より多くのデータを収集したり、蓄積しているデータを有効活用することで、企業の競争力を高めることができます。

 

例えば、購入前〜購入後までの一連の顧客接点のデジタル化を進めることで、より広範囲な顧客情報や消費行動データを収集したり、これまで社内の各チームでバラバラに管理していたデータを、一元管理できるシステムを構築するなどの取り組みが挙げられます。

 

これらの取り組みにより、よりパーソナライズされた商品提案やプロモーション施策を実施したり、より詳細なデータを活用し、精度の高い戦略や企画の立案を行ったりすることが可能になり、競合との差別化を図ることができます。

 

③新たなサービスやビジネスモデルを創出できる

DXを推進し、既存業務のデジタル化を進めることは、新たなサービスやビジネスモデルの創出に繋がります。

 

既存業務のデジタル化に取り組む過程で、詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどを得ることができます。

 

それらを、新たなサービスの企画や構築に活用することで、既存事業の延長線上にはない、新たな顧客体験・提供価値を実現することに繋がります。

 

デジタルをベースとした新規性の高いサービスやビジネスモデルの創出により、競合との差別化や収益性の向上を図ることができます。

 

④働き方改革を推進できる

DXを推進し、デジタル活用により業務効率化を進めることで、働き方改革を推進することができます。

 

DXによる業務効率化は、従業員の長時間労働の削減に直結します。また、業務プロセスのデジタル化やコミュニケーションツールの導入などにより、リモートワークがしやすい環境を整備することで、柔軟な働き方を実現することにも繋がります。

 

これらの取り組みにより、より働きやすい環境を整え、従業員の負担/ストレスの軽減、モチベーションの向上が期待できます。また、捻出した時間をより付加価値の高い事業や業務に集中させ生産性を向上させることも可能です。

 

⑤事業停止のリスクを回避できる(BCPの充実)

DXに取り組むことで、BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)の充実に繋がり、緊急時の事業停止のリスクを回避できるというメリットもあります。BCPとは、災害や感染症の流行、システム障害などの緊急事態が発生した際の対策の計画のことを指します。

 

例えば、リモートワークを推進することで災害や感染症の流行時にも大きな支障なく業務を進められるレガシーシステムを脱却することでシステム障害が発生し復旧にも時間がかかるといったリスクを避けられるといったメリットがあります。

 

このようなBCPの充実は、取引先や株主からの信頼性の向上や企業価値向上にも繋がります

 

DXを成功させるための5つのポイント

DXを成功させるための5つのポイント

DXを成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。

 

  • ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
  • ②自社ならではのDX戦略を策定する
  • ③十分なDX人材を確保する
  • ④スモールスタートクイックウィンを実現する
  • ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

 

それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。

 

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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む

DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。

 

そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。 

 

具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。

 

一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。

 

②自社ならではのDX戦略を策定する

自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。

 

その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。

 

そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。

 

③十分なDX人材を確保する

DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。

 

本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。

 

また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。

 

そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。

 

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④スモールスタートクイックウィンを実現する

DX スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。

 

そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。

 

そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。

 

取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。

 

これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。

 

⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

DX ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。 

 

そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。

 

一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。

 

もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。

 

DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。

 

DXの進め方|具体的な6つのステップ

DXの進め方|具体的な6つのステップ

DXの進め方は大きく6つのステップに分けられます。

それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。

 

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ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する

ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する
(出典:経済産業省「DXレポート2.1」

DX推進の最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。

 

「DX推進後の理想の自社の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。

 

本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。

自社の業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、市場環境や自社の特性を踏まえ、検討しましょう。

 

例えば、業務のデジタル化すら進んでいない企業であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる企業であれば、3年後までに製品/サービスやビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。

 

ステップ2:自社の現状と課題を把握する

DX ステップ2:自社の現状と課題を把握する
(出典:独立行政法人情報処理推進機構「「DX 推進指標」とそのガイダンス」

続いて、自社が現状どの程度DXを推進できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。

 

本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のDX推進指標」を活用することで、企業文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。

 

それぞれの観点における自社の成熟度のレベルを把握することで、特にDX推進が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。

 

ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する

ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する
(出典:独立行政法人情報処理推進機構「「DX 推進指標」とそのガイダンス」

前ステップで策定したビジョンと自社の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。

 

検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。

 

デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。

 

そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DXを推進しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。

 

例えば、受発注のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした企業であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の受発注プロセスをデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。

 

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ステップ4:DX推進チームを構築する

ステップ4:DX推進チームを構築する

DXを推進するには、ビジョンや戦略を社員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。

 

そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。

 

また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。

  • プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
  • テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
  • UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
  • エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
  • データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当

 

これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、社員に対するDX人材育成を実施する方法があります。

 

DX推進のスケジュールや、社員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。

 

ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる

これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。

 

ここで、いきなり全社単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。

 

そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の事業部や部門単位から進めるのがおすすめです。

 

前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各社員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。

 

これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDXの推進が可能になります。

 

ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

DX ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

業務のデジタル化を進めることで、企業は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。

 

これらのデータを分析し、新たな業務の課題やビジネスチャンスを発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。

 

さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、自社独自の詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強み蓄積こそが、他社には真似できない、ユニークな新サービスやビジネスモデルの創出の源泉となります。

 

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