【全20選】DXでの業務効率化事例集|RPA~AI/IoT活用まで
DXの一環として、ロボットやRPAなどのツールの導入、データ活用、チャットボット構築等により業務を大幅に効率化することができます。
日本でも多くの企業がデジタル技術の導入により業務効率化に成功しており、中には労働時間を合計で72万時間も削減した例もあります。
本記事では、DXでの業務効率化事例を全部で20個、業務効率化の方法や具体的な進め方とともにわかりやすく解説していきます。
またDX総研では、DXを検討・推進する上で必ず押さえておきたい、DX成功事例50選の取り組みや成果をまとめたレポートを無料で配布しています。ご興味のある方は、以下リンクからダウンロードしてご活用ください。
目次
- そもそもDXとは?
- DXで業務効率化を実現する5つの方法
- DXによる業務効率化の成功事例20選
- ①【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功
- ②【三菱UFJ銀行】ChatGPT利用で月22万時間の労働時間削減へ
- ③【佐川グローバルロジスティクス】無線通信自動認識システムや仕分けシステムで倉庫内作業を効率化
- ④【パナソニック】電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用
- ⑤【東京電力】ドローンやAIの活用により発電所の保守・点検・管理業務を省力化
- ⑥【NTTデータ】生成AIとNTT DATA独自開発のクローラーを組み合わせて社内業務効率化を実現
- ⑦【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築
- ⑧【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供
- ⑨【旭鉄工】製造現場の組織的なカイゼンに生成AIを活用
- ⑩【川崎重工】工場を丸ごとデジタルツイン化し、生産管理を効率化
- ⑪【ファミリーマート】外国籍従業員の在留資格の確認が瞬時にできるアプリを導入
- ⑫【東北大学病院】日本語大規模言語モデルで医療文書の作成時間を47%削減
- ⑬【SGホールディングス】AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRでトラックドライバーの労働負担を軽減
- ⑭【ロジスティード】EC物流向けシェアリング自動倉庫「SMART WAREHOUSE」を提供
- ⑮【SOMPOホールディングス】データに基づく適切な災害予測により防災対策に貢献
- ⑯【日本赤十字】AI事前問診ツールを導入し、1回の診察時間を3分短縮
- ⑰【マクニカ】SCMシステム刷新により需要予測の自動化率80%を達成
- ⑱【大阪府東大阪市】AIを活用し議事録作成にかかる時間を3割削減
- ⑲【北海道北見市】「書かない窓口」の導入で行政手続きの時短に成功
- ⑳【兵庫県神戸市】ペーパーレス化や電子決裁によりテレワークを実現
- DXで業務効率化を進める6つのステップ
- DXでの業務効率化を成功させる5つのポイント
そもそもDXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。
単なるデジタル化・IT化ではなく、デジタル活用により、業務やサービス、ビジネスモデルを大きく変革していく取り組みであるという点が大きなポイントです。
経済産業省は、2018年に発表した「DX推進ガイドライン」において、DXを以下のように定義しています。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
ー出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0
例えば、動画配信大手のNetflixが、宅配型のDVDレンタル事業からサブスクリプション型のオンライン動画配信サービスへとビジネスモデルを変革したのは、DXの代表的な事例といえるでしょう。
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DXで業務効率化を実現する5つの方法

DXで業務効率化を実現するための代表的な方法として、以下の5つが挙げられます。
- ①自動化による手作業の削減
- ②リアルタイムの情報共有・可視化
- ③業務プロセスの最適化
- ④データドリブンな意思決定
- ⑤顧客による問い合わせへの自動応答
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
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①自動化による手作業の削減

ロボット、RPA、AIなどのツールを活用することで従来人の手で行なっていた作業の全部又は一部を自動化・効率化することができます。
例えば、物流業界では、ロボットによる製品のピッキング作業や運搬の自動化が行われています。これにより、単なる業務効率化だけでなく、作業員の身体の安全確保にもつながっています。
また、ChatGPTやMicrosoft Copilotなどの生成AIを活用することで、メール文や記事などの文書作成、翻訳・要約、プログラミングコード生成などを自動化することも可能となりました。中には、業務時間を従来の半分以下にまで削減することに成功した企業もあります。
②リアルタイムの情報共有・可視化

ITツールを活用することで、社員同士の情報共有を円滑化することができます。
SlackやTeamsなどの従来からあるコミュニケーションはもちろん、近年は、ChatGPTなどの生成AIやメタバース/VRなどの最新技術を用いた情報共有やコミュニケーションも行われています。
例えば、生成AIに社内のマニュアルやノウハウを学習させることで、社員が簡単にこれらの情報を質問して聞き出せるチャットボットを構築することができます。
また、建築業界では、メタバース上に完成後の建物のイメージを再現して、施工主や建設業者が設計のすり合わせを行うといった取り組みも実施されています。
③業務プロセスの最適化

ITツールを活用することで、様々な業務のプロセスを効率化することができます。
例えば、製造業では、工場の機械設備にIoTセンサーを設置して稼働状況をリアルタイムで把握することで、製造のボトルネックやダウンタイムの改善、生産プロセスの最適化を図ることができます。
また、物流業界においては、トラックの過去の配送ルートや走行距離等のデータを分析することで、配送ルートを最適化し、配達時間の短縮を図る取り組みがなされています。
さらに、小売業界では、過去の商品の販売数の推移や各顧客の購買記録等のデータをもとに、AIが各商品の需要予測を行うことで、在庫量を最適化するという活用方法が推進されています。
④データドリブンな意思決定
データドリブンとは、データを分析した結果に基づいて意思決定を行なっていく経営手法のことです。
IoTやスマホなどのツールが普及したことで、様々な情報に容易にアクセスできるようになりました。例えば、スマホ上でのユーザーの行動データから各ユーザーの好みを把握したり、工場の機械設備にIoTセンサーを搭載して稼働状況等のデータを取得することも可能です。
さらに、収集した多種多様なデータをAIに分析させることで、人間では見出せないようなパターンを見つけ出すことができます。
このように、IoTやAIなどの新技術の導入により、大量のデータを活用してデータドリブンな意思決定を行える状況が整っています。これにより、経営者や社員個人の経験や勘に頼るのではない、実効性のある施策を実行することが可能となります。
⑤顧客による問い合わせへの自動応答
人間と自動で会話することができるチャットボットを導入することで、顧客による問い合わせ対応を自動化することができます。
チャットボットには、音声での会話ができるものや、テキスト形式での会話ができるものなど様々なタイプがあり、活用場面ごとに使い分けることが可能です。
また、ChatGPTをはじめとする生成AIは、人間レベルの自然な会話を行うことができ、幅広い質問に柔軟に回答することができます。
これにより、人間のオペレーターが対応すべき問い合わせの範囲が狭まり、大幅な業務効率化につながります。
DXによる業務効率化の成功事例20選
DXによる業務効率化に成功した企業の事例として、以下の20事例が挙げられます。
- ①【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功
- ②【三菱UFJ銀行】ChatGPT利用で月22万時間の労働時間削減へ
- ③【佐川グローバルロジスティクス】無線通信自動認識システムや仕分けシステムで倉庫内作業を効率化
- ④【パナソニック】電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用
- ⑤【東京電力】ドローンやAIの活用により発電所の保守・点検・管理業務を省力化
- ⑥【NTTデータ】生成AIとNTT DATA独自開発のクローラーを組み合わせて社内業務効率化を実現
- ⑦【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築
- ⑧【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供
- ⑨【旭鉄工】製造現場の組織的なカイゼンに生成AIを活用
- ⑩【川崎重工】工場を丸ごとデジタルツイン化し、生産管理を効率化
- ⑪【ファミリーマート】外国籍従業員の在留資格の確認が瞬時にできるアプリを導入
- ⑫【東北大学病院】日本語大規模言語モデルで医療文書の作成時間を47%削減
- ⑬【SGホールディングス】AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRでトラックドライバーの労働負担を軽減
- ⑭【ロジスティード】EC物流向けシェアリング自動倉庫「SMART WAREHOUSE」を提供
- ⑮【SOMPOホールディングス】データに基づく適切な災害予測により防災対策に貢献
- ⑯【日本赤十字】AI事前問診ツールを導入し、1回の診察時間を3分短縮
- ⑰【マクニカ】SCMシステム刷新により需要予測の自動化率80%を達成
- ⑱【大阪府東大阪市】AIを活用し議事録作成にかかる時間を3割削減
- ⑲【北海道北見市】「書かない窓口」の導入で行政手続きの時短に成功
- ⑳【兵庫県神戸市】ペーパーレス化や電子決裁によりテレワークを実現
それぞれの事例についてわかりやすく解説していきます。
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①【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功

日本を代表する運送会社である日本通運はRPAを導入して業務を自動化し、働き方改革を実現しました。
労働時間を削減することで、従業員の残業時間の削減や、人手不足の解消に成功しています。
【課題・背景】
- 2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限規制がかかる、いわゆる2024年問題を受けて、人手不足への対応が喫緊の課題となっていた
- 労働時間を削減し、少子高齢化による労働力不足を考慮した新しい働き方を実現する必要があった
【具体的な取り組み】
- 業務内容に応じて、業務の統括部門に導入する集約型ロボットと複数課所に導入する横展開型ロボットという2種類のロボットを使い分けながら、RPAを導入・展開
- 1万8,000人を超える事務系社員へのRPA基礎講習、全国に配置するRPAマスターに対して養成講習を開催するなど、積極的な教育・啓蒙活動を実施
【得られた成果・今後の展望】
- 労働時間を72万時間削減し、人手不足解消に貢献
- 今後はペーパレス化推進に対するRPAの活用や運転日報など手書きの伝票をデータ化して基幹システムに転記するRPAの導入といった新しい取り組みで、さらなる事務処理の自動化・効率化を目指す
②【三菱UFJ銀行】ChatGPT利用で月22万時間の労働時間削減へ

三菱UFJ銀行は、AIを活用した様々な取り組みを実施し、DXを推進しています。近年では、対話型生成AI「ChatGPT」を自社専用にカスタマイズして導入し、稟議書などの文書作成業務の自動化・効率化を目指す取り組みが注目されています。
【課題・背景】
- 銀行業務では、稟議書や融資申込書など様々な文書の作成業務が発生し、多くの工数がかかっており、行員の負担となっていた
【具体的な取り組み】
- 4万人の行員を対象にChatGPTの利用を開放。自社独自にカスタマイズし、セキュリティ対策を施した安全な利用環境を構築
- AIを搭載したチャットボットを導入し、顧客からの問い合わせに対応
【得られた成果】
- ChatGPTを稟議書作成や社内文書ドラフトに活用することで、月22万時間以上の労働時間削減効果を試算
- チャットボットにより24時間365日の顧客対応が可能となり、行員の業務負担の軽減と顧客満足度の向上を実現
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③【佐川グローバルロジスティクス】無線通信自動認識システムや仕分けシステムで倉庫内作業を効率化

SGホールディングスグループの中でロジスティクス事業を展開する佐川グローバルロジスティクスは、無線通信自動認識システム(RFID)を導入することで入出荷検品作業を効率化したり、仕分けシステム「t-Sort」を導入することで仕分け作業の生産性を向上させています。
【課題・背景】
- 倉庫内作業を効率化し、作業員の負担軽減や生産性向上を図りたい
【具体的な取り組み】
- 商品につけた無線通信自動認識システム「RFID(Radio Frequency Identification)」を認識させて検品を行う
- 仕分けシステム「t-Sort」で従来作業員が移動して行っていた仕分け作業をロボットが代わりに行う
【解決した課題・成果】
- t-SortとRFIDシステムの組み合わせで、作業スキル修得時間は約7割削減を達成するなど、新規就労者の早期戦力化を実現
- 作業生産性の大幅な向上に加え、作業品質も向上。仕分けミスは、ほぼゼロに
④【パナソニック】電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用

パナソニックは、日本を代表する大手家電メーカーです。同社は、DXを核とするグループ横断の取り組みを「Panasonic Transformation(PX)」と称し、AIなどの最先端技術を取り入れながら、事業戦略の基礎となる業務・プロセス・カルチャーそのものの変革を2021年5月から進めています。
【課題・背景】
- 同社の電動シェーバー「LAMDASH(ラムダッシュ)」は20年以上にわたり改良を続けてきた製品であり、伸びしろが限界に来ていた
- モーターの高出力化が大きな課題となっていたが、人間の経験と知見では、これ以上の進化の余地はない状態だった
【具体的な取り組み】
- LAMDASHシリーズ次期商品のモーター設計に生成AIを活用
- AIがモーターの中核部品であるムーバーの構造をゼロベースで設計し、シミュレーション結果を基に改善するプロセスを自動で繰り返すシステムを構築
【得られた成果・今後の展望】
- 生成AIが設計したモーターは、熟練技術者による最適設計と比較して出力が15%UPし、品質向上を実現
- 人間では改善に数か月も要していたが、AIであれば数日でPDCAを回し、同等の改善が可能に
- 今後は電動工具や車載用モーター、シーリングファンなど、他の製品開発にもAIによる設計を採用する方針
⑤【東京電力】ドローンやAIの活用により発電所の保守・点検・管理業務を省力化

東京電力は、発電所の管理業務の省力化、安全性向上のためにドローンやAIを活用しています。
【課題・背景】
- 発電所の保守・点検には多くの工数がかかり、人身事故のリスクを伴うものであり、安全かつ効率的な管理方法が求められていた
【具体的な取り組み】
- 水力・風力発電所の保全作業にドローンを活用。各種設備の点検や周辺環境の状況の把握を省人化
- 原子力発電所を3Dモデル化し、設備全体の効率的な管理や関係者間の情報共有を実施
【得られた成果】
- 発電所トラブル発生時から調査開始までの所要時間を2日以上から2時間以内に短縮。点検作業における人身事故リスクを排除
- 原子力発電所の設計・施工を可視化することで、正確さが向上。会社間での意思疎通の漏れを防止し、施工ミスのリスク低減
⑥【NTTデータ】生成AIとNTT DATA独自開発のクローラーを組み合わせて社内業務効率化を実現

複数のITサービスを提供するNTTデータは、生成AIの導入に加え、NTT DATA独自開発のクローラー(LITRON® Generative Assistant)と組み合わせることで、より社員満足度の高いサービスを実現しています。
【課題・背景】
- 社員の日常業務の効率化を支援し、生産性を向上したい
- 複数の社内サイト上に存在する膨大な社内マニュアルや規程類、といったサイロ化された社内情報を検索するのに大きな工数がかかっていた
【具体的な取り組み】
- 日ごろのオフィス業務・事務作業に即したプロンプトを出力できる生成AIを用いたチャットサービスを構築
- 生成AI技術とNTT DATA独自開発のクローラーによって構築された社内情報を統合的に取得し自然言語で回答するナレッジ検索機能を社内で活用
【得られた成果】
- チャットサービスを介して技術調査などの汎用的な業務への負担軽減に貢献
- 生成AIを用いたチャットサービス導入から4カ月後、利用社員にアンケートを実施したところ、9割以上の社員から今後も継続して利用したいとの声を得られた
- 今後さらなる利用者数の拡大ならびに利用頻度の増加に向け、利用社員をセグメントした分析を実施予定
⑦【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築

ダイキン工業は、空調機や化学製品の製造を手掛ける大阪に本拠を置く世界的なメーカーです。同社は、2021年より「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始し、IoTにより空調機をクラウド環境に接続して一括管理を可能にし、業務やエネルギー消費の効率化を実現しています。
【課題・背景】
- オフィス空調設備のエネルギー消費量を最適化し、コスト削減と環境負荷の低減を目指す顧客企業のニーズが増加していた
- 多くの顧客企業が、設備管理者の人手不足に伴い、オフィス空調設備の運用・制御を効率化する必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- 空調設備をインターネットでつなぐ「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始
- 各拠点の空調設備をつなぐクラウド型の空調コントロールシステム「DK-CONNECT」の構築
【得られた成果】
- 100万台以上のエアコンの接続と分単位のデータ取集・リアルタイム制御を実現
- スマホやタブレットから空調設備の監視・運用が可能となり、オフィスを巡回する手間をカット、業務時間の短縮を実現
- 部屋単位で空調を制御したり、人数に応じて自動で設定温度を調整するなど、空調設備の運用最適化によるエネルギー消費量の削減
⑧【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供

コマツは、ショベルやブルドーザーなどの建設機械や鉱山機械の製造を手掛ける日本の大手建設メーカーです。同社は、IoTやAIなどのデジタル技術を建設機械や産業機械に搭載した新たなソリューションを開発・提供し、製造業界や建設業界におけるモノづくりの現場のDXを支援しています。
【課題・背景】
- 建設業界の人手不足に伴う、現場作業の効率化・省人化のためのソリューションを求める顧客企業がますます増えていた
【具体的な取り組み】
- 建設・製造業界の企業に対して、遠隔地から機械の稼働状況を確認できるIoTを活用した管理システム「Komtrax」の開発・提供
- 建設・製造業界の企業に対して、AIが部品の劣化状態を把握し、故障前に交換時期を予測する予知保全システムの提供
- 建設業界の企業に対して、センサーを搭載し、自動制御を可能にしたICT建機の製造・販売
【得られた成果】
- 機械の稼働状況の一元管理が可能となり、稼働率の向上、メンテナンス時期の把握、生産量集計の自動化などによる顧客の現場作業の効率化・生産性向上を実現
- ある企業は、Komtraxにより、設備の稼働率が向上し、生産性が140%も増加するなど大幅な改善を実現
- 遠隔地から顧客の機械の稼働状況や部品の劣化状態の把握が可能となり、効率的かつ適切な修理・保全サービスの提案が可能に
⑨【旭鉄工】製造現場の組織的なカイゼンに生成AIを活用

旭鉄工は、トヨタなどの主要自動車メーカーと取引を行う、日本の自動車部品メーカーです。「人には付加価値の高い仕事を」をスローガンに、IoTを起点としたDXを行っています。
またノウハウを他社展開するため、2016年9月にi Smart Technologies株式会社を設立し、IoTモニタリングやコンサルティングサービスも提供しています。
【課題・背景】
- IoT活用により改善活動のサイクルが早まったが、改善方法(ノウハウ)そのものは個人が紙やファイルで属人的に保存している状況であった
- そこで、それらをまとめた「横展アイテムリスト(ノウハウ集)」を作成。しかし、事例数が膨大で探し出すのが困難であり、かつ書き方に個人差があるため活用しづらいという新たな課題が生まれた
【具体的な取り組み】
- ChatGPTに「横展アイテムリスト」の内容を読み込ませ、ChatGPTに日本語で質問するだけで、最適な改善事例を回答できるように
- 例えば「マシニングのサイクルタイムの事例は?」と質問すると、「設備」「狙い」「内容」「注意点」などを箇条書きで整理して回答してくれる
【得られた成果・今後の展望】
- このシステムを本格導入することにより、社内の知見が現場の隅々にまで共有され、より生産性高くカイゼン活動を行うことが可能に
- 今後は同システムを、カイゼンGAIとして外部に提供するソリューションにも組み込んでいく方針
⑩【川崎重工】工場を丸ごとデジタルツイン化し、生産管理を効率化

日本の大手重工業メーカーである川崎重工は、「Kawasaki DX」というスローガンを掲げ、新たな顧客価値の創出、モノ売りからコト売りへのビジネスモデル変革、事業基盤のアジリティ強化、従業員の働き方改革などの実現を目指しています。
DXの取り組みの一環として、同社の工場をデジタルツイン上に再現して、生産管理を効率化する取り組みが行われています。
【課題・背景】
- 工場での生産工程管理においては、稼働状況の監視や機器のメンテナンスなどのために、従業員が現地に集まる必要があり、大きな負担となっていた
【具体的な取り組み】
- 自社の工場をデジタルツイン上に再現し、生産工程をデジタル上で管理するシステムを構築
- 工場の各機器や設備はIoTによりインターネット接続され、そこで得られたデータがデジタルツインに即時反映される仕組み
【得られた成果】
- 工場の機器や設備の状態をリアルタイムで確認することができ、設備運用の効率化やトラブルの早期防止を実現
- 作業員は、現場にいなくても遠隔で工場の監視や設備のメンテナンス・機器の操作ができるようになり、作業員の負担軽減、安全確保につながる
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⑪【ファミリーマート】外国籍従業員の在留資格の確認が瞬時にできるアプリを導入

全国に約16,500店舗を展開するファミリーマートでは、約25万人のストアスタッフが働いており、その中には外国籍の従業員もいます。ファミリーマートは、外国籍従業員の採用にあたって必要となる在留資格の確認作業を、独自ツールを使って効率化しています。
【課題・背景】
- ストアスタッフ全体に占める外国籍従業員は10%未満だが、都心部では外国籍従業員が7~8割を締める地域・店舗もある
- 外国籍従業員の採用に当たっては在留資格の確認が必要だが、法制度が複雑で確認ミスが発生しかねない状況だった
【具体的な取り組み】
- 在留カードのICチップ情報を読み取り、在留資格の有無を正確に確認できるアプリ「ロムテン」を導入
【得られた成果】
- 1人当たり平均10~20分かかっていた在留資格の確認作業を約5分程度に短縮
- 就労可能な時間もわかるため、労務管理の効率化も実現
- 偽造の在留カードを見破ることができる仕組みとなっており、不法就労を防ぐことも可能に
⑫【東北大学病院】日本語大規模言語モデルで医療文書の作成時間を47%削減

東北大学病院は、生成AIにおける日本語大規模言語モデル(Large Language Model、LLM)を活用し、電子カルテなどの情報をもとに医療文書を自動作成する実証実験を行いました。
【課題・背景】
- 生成AIを医療文書作成に活用して業務を効率化することで、医師の働き方改革を推進することを目指していた
【具体的な取り組み】
- NECが開発した医療テキスト分析用のAIモデルで、電子カルテに記録された患者の症状、検査結果、経過、処方などの情報を時系列に整理
- NECのLLMを用いて治療経過の要約文を自動生成
【得られた成果】
- 医療文書の作成時間を平均47%削減
- 医師の記録・報告書作成にかかる業務負担を減らし、時間外労働を軽減
- 文章の表現や正確性において医師から高い評価を受ける
⑬【SGホールディングス】AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRでトラックドライバーの労働負担を軽減

佐川急便を中核とした総合物流企業グループであるSGホールディングスは、AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRを活用し、業務効率化を実現しています。
【課題・背景】
- 物流業界では労働人口減少による労働力不足や、2030 年の輸送力不足を背景に、トラックドライバーの労働負担の軽減など労働環境の改善が求められていた
【具体的な取り組み】
- トラックの庫内に最適な荷積み作業ができる「AI搭載の荷積みロボット」を開発
- AI-OCRの機能を発展させ、給与支払報告書、コロナワクチン予診票、レセプト帳票などといった独自の帳票の読み取りも可能なソリューションを活用
【解決した課題・成果】
- トラックドライバーや積み込み作業者の業務負担軽減や荷役作業の省人化を実現
- 紙帳票のデータ化業務における人手不足やコスト増加に課題を抱える顧客に貢献できるサービスを提供
⑭【ロジスティード】EC物流向けシェアリング自動倉庫「SMART WAREHOUSE」を提供

物流・流通・サービス分野に特化したソフトウェア会社のロジスティードは、EC物流向けシェアリング自動倉庫「SMART WAREHOUSE」を提供しています。
【課題・背景】
- 倉庫の許容量が不足している、出荷が追いつかないなどEC事業ならではの課題を抱えていた
- 『EC事業を始めたけれど、物流ノウハウがない』という声が多く届いていた
【具体的な取り組み】
- EC物流向けシェアリング自動倉庫「SMARTWAREHOUSE」を提供
- ダンボールの組み立てから、商品を入れてダンボールに封をし、伝票を貼り付けるまでの作業を自動化
- ほぼ自動化されたシステムに乗せるだけで配送まで完了するため、ユーザーとなる企業は知識やノウハウがなくても簡単に導入が可能
【解決した課題・成果】
- 自動化・標準化されたオペレーションで作業ミスを低減
- 省人化率72%の自動化で18,000個/日の発送を実現
⑮【SOMPOホールディングス】データに基づく適切な災害予測により防災対策に貢献

SOMPOホールディングスは、「安心・安全・健康のテーマパーク」の実現に向け、保険事業を基盤として、モビリティやヘルスケア、ソフトウェアプラットフォームなど幅広い領域においてAIやビッグデータなどの先端デジタル技術の活用を進めつつ、DXの取り組みを進めています。
【課題・背景】
- 顧客にとって「安心・安全・健康」な世界を目指し、先端デジタル技術の積極的な活用を通じて社会課題の解決を図り、レジリエントで持続可能な社会を実現したい
【具体的な取り組み】
- 保険・介護事業で得られたデータを統合したリアルデータプラットフォーム(RDP)の構築
- データ活用によるバイタルデータ等の一元化など介護×RDPの取り組みを推進
- 国内損保事業から得られた保険金データとAIを組み合わせることで、正確な被害予測システムを開発
【得られた成果】
- 介護業界における早期の標準OS化を実現し、介護オペレーションを改善、最適化
- データに基づく正確な災害予測により、保険料の最適化を図るとともに、地域の防災対策に貢献
⑯【日本赤十字】AI事前問診ツールを導入し、1回の診察時間を3分短縮

日本赤十字社の石巻赤十字病院では、診察時間を短縮するために、AIを搭載した事前問診ツール「Ubie」を導入しました。Ubieは、AIによる患者への事前問診の実施、電子カルテの記入の自動化、参考となる病名の提案などを行うことができる医療機関向けのDX支援ツールです。
【課題・背景】
- 患者への事前問診やカルテの記入といった事務作業の工数を減らし、医師や看護師の負担を減らしたい
【具体的な取り組み】
- AI搭載の事前問診ツール「Ubie」を導入し、カルテの記入作業や患者への問診などに活用
- 問診結果をもとに参考病名を提案する機能を研修医向けに活用
【得られた成果】
- カルテの記入や患者への問診の自動化により医師や看護師の負担軽減、患者の待ち時間の解消
- 1回の診察当たりの作業時間を3分短縮、導入2か月半で合計44時間分の作業時間短縮に成功
- 参考病名の提案機能が研修医のインプットに貢献
⑰【マクニカ】SCMシステム刷新により需要予測の自動化率80%を達成

マクニカとは、半導体やサイバーセキュリティを取り扱う技術商社です。同社は、システムの刷新によって2025年に売上2倍になっても同等の従業員数で業務ができることを目標に業務効率化を進めています。
【課題・背景】
- 問い合わせ業務において、顧客対応の属人化によるリードタイムの長さが課題となっていた
- 発注件数が増加した場合も、人的リソースを増やすことなく対応できる体制を整えたかった
【具体的な取り組み】
- 問合せ業務をポータル上に集約し、顧客ポータルを立ち上げ後も顧客要望の吸い上げによる継続的な改善を可能にする機能を追加
- 原材料の調達から販売を一元管理するSCM(サプライチェーンマネジメント)システム刷新による需給予測自動化で7万件に及ぶ需給計画のシステム化、需要予測の自動化率80%を達成
【得られた成果】
- 問合せ回答のリードタイム短縮や見積書の即日回答など、納期短縮やサポート品質の向上を実現
- 需要予測担当者を25%削減し、削減した人員をより付加価値の高い業務に再配置することに成功
⑱【大阪府東大阪市】AIを活用し議事録作成にかかる時間を3割削減

東大阪市はAI議事録の導入により議事録作成にかかる時間を大幅に短縮し、職員の負担を軽減することに成功しています。
【課題・背景】
- 議事録作成において、録音した音声を複数回聞き直しながら作業を行うため、会議時間の約3〜8倍の作業時間を要していた
- 府庁では職員数削減の影響で残業時間が年々増加していた
【具体的な取り組み】
- AI を活用した音声認識技術による議事録作成支援システム用の端末を1台導入し、実証実験を行った
- 実証実験で効果が確認できたため、令和2年6月より端末を2台増設して3台体制とし、全庁に周知をし、議事録作成支援システムの貸し出しを開始
- AIは関西弁の変換も行うことが可能
【得られた成果】
- 議事録作成にかかる時間を3割程度削減
- 職員の残業時間を削減し、負担を軽減
⑲【北海道北見市】「書かない窓口」の導入で行政手続きの時短に成功

北海道北見市は、デジタルツールを活用した「書かない窓口」の導入で、行政手続きの時短に成功しています。
【課題・背景】
- 窓口での手続きにおいて、来庁者が複数の窓口を回らなければならなかったり、記入ミスで時間がかかってしまったりと効率の悪い状況が続いていた
- 工数のかかる窓口での手続きを簡易化し、職員と来庁者両方の負担を減らしたかった
【具体的な取り組み】
- 北見市が独自に開発した「窓口支援システム」で各種手続きの情報を整理し、1つの窓口で手続きを完結できる書かないワンストップ窓口を実現
- 入力したデータの処理には、定型的な作業を自動処理するRPA が活用され、入力と同時に自動で即時処理が可能
【得られた成果】
- 手続きの大幅な時間短縮に成功
- 2021年度での庁内全体の業務削減時間は、年間約 3,375 分短縮
- 4人世帯で市内転居したときの転居届の時間は、7分が2分半に短縮
- デジタル庁は「書かないワンストップ窓口」の仕組みを、自治体窓口DXと位置づけて、各自治体での導入を進めている
⑳【兵庫県神戸市】ペーパーレス化や電子決裁によりテレワークを実現

兵庫県神戸市は、ペーパーレス化や電子決裁などテレワークしやすい環境を整え、働き方改革を推進しています。
【課題・背景】
- 庁内アンケート調査において、「既存の業務の中で改善すべき点がある」との回答が8割弱と高い割合にのぼったことや、庁内に「閉塞感、疲労感がある」との意見が多かったことを受けて、テレワークを中心とする働き方改革に取り組む必要があった
【具体的な取り組み】
- ペーパーレス化や電子決裁、フリーアドレスオフィスの導入等、場所にとらわれず働ける環境整備を推進し、在宅勤務しやすい環境を整備
- チャットや Web 会議の活用を推進し、非対面でのコミュニケーションを促進
【得られた成果】
- コロナ禍でも以前から体制を整えていたことにより、問題なくテレワークを行うことができた
- 電子決裁率は25.4%から 97.3%へ上昇
DXで業務効率化を進める6つのステップ

DXで業務効率化を進めるためには大きく6つのステップを経る必要があります。
それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。
※DX総研では経験豊富なコンサルタントによる、DXに関する個別無料相談会を実施しております。自社に合った推進方法や業務効率化の方法などでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する

DXで業務効率化を進める最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。
「DX推進後の理想の自社の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。
本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。
自社の業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、市場環境や自社の特性を踏まえ、検討しましょう。
例えば、業務のデジタル化すら進んでいない企業であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる企業であれば、3年後までに製品/サービスやビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。
ステップ2:自社の現状と課題を把握する

続いて、自社が現状どの程度DXを推進できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。
本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX推進指標」を活用することで、企業文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。
それぞれの観点における自社の成熟度のレベルを把握することで、特にDX推進が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。
ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する

前ステップで策定したビジョンと自社の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。
検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。
デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。
そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DXを推進しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。
例えば、受発注のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした企業であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の受発注プロセスをデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。
ステップ4:DX推進チームを構築する

DXを推進するには、ビジョンや戦略を社員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。
そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。
また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。
- プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
- テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
- UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
- エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
- データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当
これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、社員に対するDX人材育成を実施する方法があります。
DX推進のスケジュールや、社員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。
ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる
これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。
ここで、いきなり全社単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。
そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の事業部や部門単位から進めるのがおすすめです。
前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各社員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。
これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDXの推進が可能になります。
ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

業務のデジタル化を進めることで、企業は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。
これらのデータを分析し、新たな業務の課題やビジネスチャンスを発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。
さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、自社独自の詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強み蓄積こそが、他社には真似できない、ユニークな新サービスやビジネスモデルの創出の源泉となります。
DXでの業務効率化を成功させる5つのポイント

DXでの業務効率化を成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
- ②自社ならではのDX戦略を策定する
- ③十分なDX人材を確保する
- ④スモールスタートクイックウィンを実現する
- ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。
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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。
そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。
具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。
一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。
②自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。
その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。
そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。
③十分なDX人材を確保する
DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。
本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。
また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。
そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。
④スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。
そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。
そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。
取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。
これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。
⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。
そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。
一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。
もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。
DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。
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