【2024年】DXの取り組み事例30選|成功事例の5つの共通点も紹介
近年、大手企業をはじめとする多くの日本企業がDXの取り組みを実施しています
中には、業務時間を9割も削減することに成功した企業や新たな産業に参入した企業、メタバース・生成AI等の最新技術を活用している企業など、DXで大きな変革を遂げている企業も多々あります。
本記事では、日本の大手企業によるDXの取り組み事例を全部で30個、得られた成果とともに分かりやすく解説していきます。
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目次
そもそもDXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。
単なるデジタル化・IT化ではなく、デジタル活用により、業務やサービス、ビジネスモデルを大きく変革していく取り組みであるという点が大きなポイントです。
経済産業省は、2018年に発表した「DX推進ガイドライン」において、DXを以下のように定義しています。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
ー出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0
例えば、動画配信大手のNetflixが、宅配型のDVDレンタル事業からサブスクリプション型のオンライン動画配信サービスへとビジネスモデルを変革したのは、DXの代表的な事例といえるでしょう。
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【2024年最新】DXの取り組みの成功事例30選
日本企業によるDXの取り組みの成功事例として、以下の30事例が挙げられます。
<製造業界>
- ①【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築
- ②【パナソニック】電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用
- ③【日産自動車】メタバース上に3Dの自動車を再現し、新車発表会・試乗会を開催
<建設業界>
- ④【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供
- ⑤【戸田建設】現場点検用のAIカメラで動画確認時間を9割削減
- ⑥【清水建設】設備機器をAPIで連携させて運用・制御する建設OS「DX-Core」を展開
- ⑦【鹿島建設】BIM技術を活用しデジタルツインを実現
<小売業界>
- ⑧【丸井グループ】百貨店×フィンテックにより売上の多角化を実現
- ⑨【ファミリーマート】外国籍従業員の在留資格の確認が瞬時にできるアプリを導入
<飲食業界>
- ⑩【サントリー】働き方の柔軟性向上によりテレワークの利用者が約15倍に
<不動産業界>
- ⑪【三菱地所】IT技術を駆使して次世代型スマートシティの推進
- ⑫【三井不動産】ロボットが稼働しやすいオフィス環境の構築
- ⑬【東急リバブル】多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース
<アパレル業界>
- ⑭【ワコールホールディングス】3D計測したデータをもとに各顧客にフィットした下着を提供
- ⑮【JINS】ユーザーが試着したメガネの似合い度をAIが判定
<金融業界>
- ⑯【SMBCフィナンシャルグループ】契約件数200万件以上のモバイル総合金融サービス「Olive」を提供
- ⑰【三菱UFJ銀行】ChatGPT利用で月22万時間の労働時間削減へ
- ⑱【東京証券取引所】オンラインでETF取引ができるシステムをアジャイル開発
<保険業界>
- ⑲【三井住友海上火災保険】AIによるスコアリングなど様々な新規ソリューションを提供
- ⑳【東京海上ホールディングス】IoT搭載のドラレコにより交通事故削減に貢献
<物流業界>
- ㉑【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功
- ㉒【SGホールディングス】AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRでトラックドライバーの労働負担を軽減
- ㉓【日本郵船】運航データの収集にAIを活用することで、船舶のIoT化を推進
<医療業界>
- ㉔【東京ミッドタウンクリニック】疾病リスク予測AIで疾病リスクを正確に予測
- ㉕【第一三共】AIやビッグデータを活用して創薬プロセスを刷新
- ㉖【国立がん研究センター】内視鏡画像をAIに解析・診断させ、がんの早期発見につなげる
<エンタメ・観光業界>
- ㉗【星野リゾート】全国の営業拠点のデータを即時に集め来館予約のキャンセル率を半減
<自治体>
- ㉘【北海道北見市】「書かない窓口」の導入で行政手続きの時短に成功
- ㉙【大阪府東大阪市】AIを活用し議事録作成にかかる時間を3割削減
- ㉚【東京都】人気メタバースRoblox上に名所を再現し、魅力を発信
それぞれの事例について分かりやすく解説していきます。
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<製造業界>
①【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築

ダイキン工業は、空調機や化学製品の製造を手掛ける大阪に本拠を置く世界的なメーカーです。同社は、2021年より「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始し、IoTにより空調機をクラウド環境に接続して一括管理を可能にし、業務やエネルギー消費の効率化を実現しています。
【課題・背景】
- オフィス空調設備のエネルギー消費量を最適化し、コスト削減と環境負荷の低減を目指す顧客企業のニーズが増加していた
- 多くの顧客企業が、設備管理者の人手不足に伴い、オフィス空調設備の運用・制御を効率化する必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- 空調設備をインターネットでつなぐ「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始
- 各拠点の空調設備をつなぐクラウド型の空調コントロールシステム「DK-CONNECT」の構築
【得られた成果】
- 100万台以上のエアコンの接続と分単位のデータ取集・リアルタイム制御を実現
- スマホやタブレットから空調設備の監視・運用が可能となり、オフィスを巡回する手間をカット、業務時間の短縮を実現
- 部屋単位で空調を制御したり、人数に応じて自動で設定温度を調整するなど、空調設備の運用最適化によるエネルギー消費量の削減
②【パナソニック】電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用

パナソニックは、日本を代表する大手家電メーカーです。同社は、DXを核とするグループ横断の取り組みを「Panasonic Transformation(PX)」と称し、AIなどの最先端技術を取り入れながら、事業戦略の基礎となる業務・プロセス・カルチャーそのものの変革を2021年5月から進めています。
【課題・背景】
- 同社の電動シェーバー「LAMDASH(ラムダッシュ)」は20年以上にわたり改良を続けてきた製品であり、伸びしろが限界に来ていた
- モーターの高出力化が大きな課題となっていたが、人間の経験と知見では、これ以上の進化の余地はない状態だった
【具体的な取り組み】
- LAMDASHシリーズ次期商品のモーター設計に生成AIを活用
- AIがモーターの中核部品であるムーバーの構造をゼロベースで設計し、シミュレーション結果を基に改善するプロセスを自動で繰り返すシステムを構築
【得られた成果・今後の展望】
- 生成AIが設計したモーターは、熟練技術者による最適設計と比較して出力が15%UPし、品質向上を実現
- 人間では改善に数か月も要していたが、AIであれば数日でPDCAを回し、同等の改善が可能に
- 今後は電動工具や車載用モーター、シーリングファンなど、他の製品開発にもAIによる設計を採用する方針
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③【日産自動車】メタバース上に3Dの自動車を再現し、新車発表会・試乗会を開催

日産自動車は、メタバース事業に力を入れており、2021年11月から、世界最大のメタバースSNSプラットフォームである「VRChat」上に独自のワールドを開設し、様々なイベントを開催しています。
なかでも、2022年5月に開催された新型軽電気自動車である「日産サクラ」の発表会・試乗会は、まるで本物の車に乗っているかのようなリアルな試乗体験ができるとして話題となりました。
【課題・背景】
- コロナウィルスの流行により、通常は対面で行われる新車の発表会・試乗会の開催が困難に
- オンラインでは、車の魅力を十分にアピールできないことが課題であった
【具体的な取り組み】
- VRChatのメタバース空間上に独自のワールドを開設。満開の桜を背景に3Dのリアルな自動車を再現
- アクセスしたユーザーは、実際に仮想の自動車に乗って運転したり、四季折々の景色を眺めることができるなど仮想空間ならではの体験を提供
【得られた成果】
- ユーザーは、自宅にいながらまるで本物の車に乗っているかのように、リアルな試乗体験を満喫
- 現実の会場で開催する場合と異なり、物理的コストがかからず、低コストで多くのユーザーに新車をアピールすることに成功
<建設業界>
④【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供

コマツは、ショベルやブルドーザーなどの建設機械や鉱山機械の製造を手掛ける日本の大手建設メーカーです。同社は、IoTやAIなどのデジタル技術を建設機械や産業機械に搭載した新たなソリューションを開発・提供し、製造業界や建設業界におけるモノづくりの現場のDXを支援しています。
【課題・背景】
- 建設業界の人手不足に伴う、現場作業の効率化・省人化のためのソリューションを求める顧客企業がますます増えていた
【具体的な取り組み】
- 建設・製造業界の企業に対して、遠隔地から機械の稼働状況を確認できるIoTを活用した管理システム「Komtrax」の開発・提供
- 建設・製造業界の企業に対して、AIが部品の劣化状態を把握し、故障前に交換時期を予測する予知保全システムの提供
- 建設業界の企業に対して、センサーを搭載し、自動制御を可能にしたICT建機の製造・販売
【解決した課題・成果】
- 機械の稼働状況の一元管理が可能となり、稼働率の向上、メンテナンス時期の把握、生産量集計の自動化などによる顧客の現場作業の効率化・生産性向上を実現
- ある企業は、Komtraxにより、設備の稼働率が向上し、生産性が140%も増加するなど大幅な改善を実現
- 遠隔地から顧客の機械の稼働状況や部品の劣化状態の把握が可能となり、効率的かつ適切な修理・保全サービスの提案が可能に
⑤【戸田建設】現場点検用のAIカメラで動画確認時間を9割削減

戸田建設はAIを活用し、点検現場や医療現場など多岐にわたり効率化を実現しています。
【課題・背景】
- 点検現場での移動カメラ導入は進んでいたが、映像のブレが激しいもの、重機や人のみが撮影されている不要な映像も多く含まれており現場管理者の動画視聴時間が長時間化していた
- 精神科病院では、現在、人による目視での見守り対応が中心となっており、緊急事態における初動体制の強化を図る必要があった
【具体的な取り組み】
- 距離推計・除外処理をもとにAIが重要度を評価し「不安全そうな箇所」のダイジェスト動画を自動生成、現場管理者の動画視聴時間を削減するプラットフォームを導入
- 精神科病棟成仁病院にて、既設の防犯カメラなどの映像から、人の行動を検知・通知できる『asilla』による患者見守り等の実証実験を開始
【解決した課題・成果】
- 現場管理者の動画視聴時間を9割削減、15倍再生で55分もの時間がかかっていた視聴時間を、7分40秒に短縮することが可能に
⑥【清水建設】設備機器をAPIで連携させて運用・制御する建設OS「DX-Core」を展開

清水建設は、国内外における土木事業、建築事業などで事業展開している日本を代表するスーパーゼネコンです。同社は建設OS「DX-Core」を展開しており、設備連携時にかかる手間を解消しています。
【課題・背景】
- 従来型のシステム連携では設備間、システム間をそれぞれ接続連携する必要があり、コストや時間がかかっていた
【具体的な取り組み】
- 施工中に作成したBIMデータ等を、建物に備わるIoT情報を取り込める建物OS「DX-Core」へ展開
- 清水建設のエンジニアリング事業本部が関連設備API適用や個別システムのベンダーとの調整、全体動作確認を行う
- 複数の施設にあるDX-Coreから取得した情報をクラウド上で統合し、都市や建物のデジタルツインに活用することでスマートシティを実現
【解決した課題・成果】
- 関連設備は手間を考慮せず複数メーカーから選定可能となり、竣工後の更新コストを抑えることが可能
- 「DX-Core」は、空調、照明、エレベーター、自動ドアなどの設備機器をメーカー問わずAPIで連携させて運用・制御することで利便性や業務効率性の向上を実現
⑦【鹿島建設】BIM技術を活用しデジタルツインを実現

鹿島建設は、BIM技術を活用したデジタルツインで建築生産プロセスのデジタル化を進めています。
【課題・背景】
- 企画・設計から竣工後の維持管理・運営までの一貫した建物情報をデジタル化し、効率化を目指していた
【具体的な取り組み】
- 筑波大学発のスタートアップ企業であるPXDTが有する先進的なセンシング/三次元データ処理技術と、同社が培ってきたBIM技術を融合させ、デジタルツイン基盤「鹿島ミラードコンストラクション」を構築
- オービック御堂筋ビル新築工事にて、各フェーズにおける建物データの連携を可能にするBIMによるデジタルツインを実現
【解決した課題・成果】
- 鹿島建設のデジタルツイン基盤「KMC(Kajima Mirrored Construction)」の構築により、これまで正確な記録が難しかった建築現場の施工プロセスをデジタルデータで蓄積できるように
- 今後、BIMによるデジタルツインを全国の建築プロジェクトに展開することで、各フェーズにおける業務の効率化を図るとともに、高品質かつ高価値な建物を提供予定
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<小売業界>
⑧【丸井グループ】百貨店×フィンテックにより売上の多角化を実現

日本を代表するデパート「丸井」を運営する丸井グループは、DXを推進することで、金融サービスの提供など小売の周辺領域にもビジネスの幅を拡大しています。オンラインとオフラインを上手に統合し、実店舗・EC両方での売上拡大とクレジットカード発行による収益の拡大を同時に実現しています。
【課題・背景】
- ECの加速に対応すべく、販売チャネルを多角化するとともに、フィンテック等の周辺領域にも参入して収益基盤を拡大したい
【具体的な取り組み】
- フィンテック事業に参入。低収入の若年層にも低限度額でクレジットカードを発行
- ITの活用により独自の与信システムを確立
【得られた成果】
- 5年間でカード会員数が23倍に増加し、2021年3月時点で709万人・取扱高2兆円超に到達
- 利用と支払を繰り返すことで顧客の信用が創造される仕組みを構築し、会員一人当たりのLTVが2~4倍の増加を達成
⑨【ファミリーマート】外国籍従業員の在留資格の確認が瞬時にできるアプリを導入

全国に約16,500店舗を展開するファミリーマートでは、約25万人のストアスタッフが働いており、その中には外国籍の従業員もいます。ファミリーマートは、外国籍従業員の採用にあたって必要となる在留資格の確認作業を、独自ツールを使って効率化しています。
【課題・背景】
- ストアスタッフ全体に占める外国籍従業員は10%未満だが、都心部では外国籍従業員が7~8割を締める地域・店舗もある
- 外国籍従業員の採用に当たっては在留資格の確認が必要だが、法制度が複雑で確認ミスが発生しかねない状況だった
【具体的な取り組み】
- 在留カードのICチップ情報を読み取り、在留資格の有無を正確に確認できるアプリ「ロムテン」を導入
【得られた成果】
- 1人当たり平均10~20分かかっていた在留資格の確認作業を約5分程度に短縮
- 就労可能な時間もわかるため、労務管理の効率化も実現
- 偽造の在留カードを見破ることができる仕組みとなっており、不法就労を防ぐことも可能に
<飲食業界>
⑩【サントリー】働き方の柔軟性向上によりテレワークの利用者が約15倍に

大手飲料メーカーのサントリーは、ボトムアップの働き方改革の一環としてテレワークを導入しています。
【課題・背景】
- 事業のグローバル展開など大きな変化のある環境下において、付加価値の創出による競争力強化の必要性に迫られていた
- 働き方改革を競争戦略と位置付け、「メリハリ」、「濃く働く」、「ライフワークバランス」の実現に向けた取り組みを推進
【具体的な取り組み】
- テレワークの範囲を拡大。自宅に限られていたテレワークの場所が、所属長の許可を受けた場所であればどこでも働けるように
- テレワークの取得単位を10分ごとにし、フレキシビリティを向上
- 高性能TV会議システムを導入
- 働き方ナレッジサイト「変えてみなはれ」を開設し、各部門の働き方ノウハウを共有
【解決した課題・成果】
- 個人の都合に応じて時間を有効かつ効率的に活用できる仕組みを整え、従業員のワークライフバランスを改善
- 2010年は294名だったテレワークの利用者数が2016年には4460名まで増加
- 各部署のアイデアや取り組みを共有し、部門の働き方ナカミ改革をサポート
<不動産業界>
⑪【三菱地所】IT技術を駆使して次世代型スマートシティの推進

三菱地所は、経済産業省と東京証券取引所が選定する「DX注目企業2023」に選ばれるなど、DX推進に積極的な企業として注目されています。不動産業ならではのオリジナリティのあるDXでUX(顧客体験)を飛躍的に向上させる次世代型スマートシティを推進しています。
【課題・背景】
- 生活者が暮らしやすさを実感できる新しいまちづくりを目指す上で、様々なオフラインとオンラインでの接点をシームレスに繋げた顧客体験実現の必要性があった
【具体的な取り組み】
- まちで提供されるオンライン/オフラインの体験・サービスを1つのIDで利用可能にする共通認証 ID「Machi Pass」を開発
- 利用希望者が顔画像をMachi Passに紐づけることで顔認証サービスの利用を可能とする顔認証プラットフォーム「Machi Pass FACE」を開発
- 警備ロボットによる空調や冷温水ポンプの設備点検などロボット・フレンドリーなまちづくりの推進
- 総合スマートホームサービス「HOMETACTホームタクト」を開発
【得られた成果】
- 様々なサービスを1IDで利用できる”まち”の実現を推進
- 施設とロボットが連動したより付加価値の高い次世代型施設運営を実現
- 「HOMETACTホームタクト」により、スマホアプリやスマートスピーカーを使い、住設機器・家電などの IoT 機器をまとめて操作・管理できる
⑫【三井不動産】ロボットが稼働しやすいオフィス環境の構築

三井不動産は、事業本部とイノベーション部門が連携し、既存事業深化と新規事業探索の「両利き」でDXを推進しています。顧客満足度向上と社会課題解決を目的とし、幅広い既存事業のほぼすべてでDXを同時推進を行います。
東京ミッドタウン八重洲では、同社の技術力を集結させ、DXによる利便性向上を図っています。
【課題・背景】
- ロボットがスムーズに動けるオフィス環境を構築することで、オフィス管理にかかる労働力の不足解消や利便性向上を図りたい
【具体的な取り組み】
- 顔認証によるオフィス入退館システムやホログラムなどの非接触技術を導入
- デリバリー/清掃/運搬の3つのロボットが稼働しやすいオフィス環境を整備
- インフラシェアリングによる全フロア5G対応
【得られた成果】
- フードデリバリーロボットが部屋まで食事を運べるようになり、利便性が圧倒的に向上
- 5G導入による通信速度の向上
- ロボット導入による清掃・運搬作業の自動化・効率化
⑬【東急リバブル】多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース

土地から建物まであらゆる不動産の情報を提供する東急リバブルは、DXの一環として、AIを活用した様々な新規サービスの創出を行っています。
【課題・背景】
- 「急な転勤等に備えて売却価格を知りたい」「自分に合った物件をすぐに見つけ出したい」といった顧客の様々なニーズに応えたい
【具体的な取り組み】
- AIにより所有不動産の価格を簡単査定する「スピードAI査定」のリリース
- AIを活用することで相性ぴったりの物件を探すことができる「AI相性診断」のリリース
- AIが投資用区分マンションのおすすめ度を顧客ごとに分析してレコメンドする「投資用区分マンションAIマッチングシステム」を 開発・運用
【得られた成果】
- スピードAI査定は、所有する不動産を登録するだけでAIが瞬時に価格を査定する利便性が評価され、登録者が1万人を突破
- AI相性診断は、パーソナライズされた物件情報をスピーディに提供、マッチ度95%を達成
- 投資用区分マンションAIマッチングシステムは、営業経験5年以上の担当者と同等レベルの物件選定・提案力を実現
<アパレル業界>
⑭【ワコールホールディングス】3D計測したデータをもとに各顧客にフィットした下着を提供

婦人用下着メーカーのワコールは、3D計測サービスで集めた顧客データをもとにパーソナライズされた商品提案を実施しています。
【課題・背景】
- 試着への心理的ハードルが高いなど、インナーウェアならではの対面での購入におけるストレスを解決する必要があった
- 発注件数が増加した場合も、人的リソースを増やすことなく対応できる体制を整えたかった
【具体的な取り組み】
- 3D計測サービスで集めたボディデータから体型タイプを診断し、身体に合うインナーウェアを提案する「わたしに合うブラ診断」をリリース
- ボディデータを分析し、一人ひとりにフィットするパーソナライズ設計された商品を開発
【得られた成果】
- 3D計測から始まる「自分を知る」顧客体験の価値を強化
- お客さまのタイムパフォーマンスを意識した接客とよりパーソナライズされた商品提案を実現
⑮【JINS】ユーザーが試着したメガネの似合い度をAIが判定

メガネを中心としたアイウェアを提供するJINSは、ユーザーが試着したメガネの似合い度をAIが判定する「JINS BRAIN」というサービスを提供しています。
【課題・背景】
- 顧客の「自分に似合うメガネが分からない」「探しているメガネがなかなか見つからない」という問題を解決したい
【具体的な取り組み】
- ユーザーが画面上で試着したメガネの似合い度をAIが判定する「JINS BRAIN」をJINSのオンラインショップで提供
- AIがユーザーの顔の形や髪型をもとに、そのメガネが似合っているかどうかを判定
- ランキング形式で各ユーザーに似合うメガネをレコメンドする機能も搭載
【得られた成果】
- メガネがより選びやすく、スムーズに購入できる体験を実現
<金融業界>
⑯【SMBCフィナンシャルグループ】契約件数200万件以上のモバイル総合金融サービス「Olive」を提供

SMBCフィナンシャルグループはDXの進展によるビジネスモデルの転換や業界地図の塗り替えを機会・脅威と認識し、プロダクト・サービスの高度化、新たなビジネスモデルの創造に取り組んでいます。
同社は新規預金口座開設数はネット銀行が席巻する状況を受け、SMBC・SMCCが中心となり、同社と資本業務提携関係にもあるSBIグループとも連携し、モバイル総合金融サービス「Olive」を開発しました。
【課題・背景】
- 多くのIT企業が金融サービス事業に参入する中、競争力を保つべくオンラインサービスの提供に乗り出す必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- モバイル総合金融サービス「Olive」を開発・提供。1つのスマホアプリ・1つのIDで、銀行口座、カード決済、証券、保険という複数のサービスを利用可能に
- 振込業務がネットで完結する法人向けネットバンキング「Web21ライト」を提供
【得られた成果】
- Oliveは、2023年3月のリリース後、2024年2月までの間で契約件数200万件を突破
- 店舗網のない地域のお客さまや高齢のお客さまとの取引が拡大し、個人顧客の新規口座開設数は銀行業界トップクラスにまで増加
- Web21ライトは、低コストで銀行取引を簡単に行えることから、多くの企業の支持を集め、9万社以上が利用
⑰【三菱UFJ銀行】ChatGPT利用で月22万時間の労働時間削減へ

三菱UFJ銀行は、AIを活用した様々な取り組みを実施し、DXを推進しています。近年では、対話型生成AI「ChatGPT」を自社専用にカスタマイズして導入し、稟議書などの文書作成業務の自動化・効率化を目指す取り組みが注目されています。
【課題・背景】
- 銀行業務では、稟議書や融資申込書など様々な文書の作成業務が発生し、多くの工数がかかっており、行員の負担となっていた
【具体的な取り組み】
- 4万人の行員を対象にChatGPTの利用を開放。自社独自にカスタマイズし、セキュリティ対策を施した安全な利用環境を構築
- AIを搭載したチャットボットを導入し、顧客からの問い合わせに対応
【得られた成果】
- ChatGPTを稟議書作成や社内文書ドラフトに活用することで、月22万時間以上の労働時間削減効果を試算
- チャットボットにより24時間365日の顧客対応が可能となり、行員の業務負担の軽減と顧客満足度の向上を実現
⑱【東京証券取引所】オンラインでETF取引ができるシステムをアジャイル開発

日本の主要株式市場を運営する東京証券取引所は、経済産業省と共同で、優れたDXの取り組みを行った企業を選定するDX銘柄の制度を推進しています。
一方で、東証自身もDXの取り組みに力を入れており、2021年2月には上場投資信託(ETF)のオンライン取引システムを導入しました。
【課題・背景】
- ETFの取引では、証券会社が電話で各金融機関の希望価格を聞いたうえでマッチングを行っていたが、手間と時間がかかっていた
【具体的な取り組み】
- 2019年11月から、富士通の協力のもと、ETFのオンライン取引システムの開発に着手。アジャイル開発の手法を取り入れ、MVP(Minimum Viable Product、検証可能な必要最小限のプロダクト)を素早く作って頻繁に改善を繰り返した
- 2021年2月1日からETFのオンライン取引システム「CONNEQTOR(コネクター)」を本格的に導入、金融機関向けに開放
【得られた成果】
- 機関投資家は、CONNEQTOR上でETFの価格提示や発注を行えるようになり、取引が円滑化
- システム導入後の約5か月間で約40社の金融機関がCONNEQTORを利用、信用金庫・信用組合や地方銀行にまで利用が広がる
- 2024年4月のCONNEQTOR経由の月間売買代金が過去最高の2,908億円を突破
<保険業界>
⑲【三井住友海上火災保険】AIによるスコアリングなど様々な新規ソリューションを提供

大手損害保険会社の三井住友海上火災保険は、AIをさまざまな業務に活用し、サービスの質の向上・顧客満足度向上といった成果をあげています。
【課題・背景】
- よりパーソナライズされた体験を提供するために、AIによりデータを科学的に分析・理解・活用し、効率的かつ正確なサービスを提供したい
【具体的な取り組み】
- AIによる自動車ローンスコアリングサービスを実装
- AIが災害時の被害推定を可視化する防災ダッシュボードを提供
- 損保業界で初めてAIチャットボットによる顧客対応を実施
【得られた成果】
- 公正かつ迅速な保険審査が可能となり、保険審査の質の向上や保険収益の増加を実現
- 災害発生時の被害推定をダッシュボード上にわかりやすく可視化することで、地域社会の防災対策を支援
- AIチャットボットが24時間265日、顧客からの問い合わせに即時に応答可能となり、顧客満足度が向上
⑳【東京海上ホールディングス】IoT搭載のドラレコにより交通事故削減に貢献

東京海上ホールディングスは、事故対応のプロセスにおいて各種デジタルツールを活用する価値の焦点を、顧客の不安やストレスの解消に置き、事故解決の初めから終わりまでシームレスなサービスを提供しています。
【課題・背景】
- 交通事故を未然に防ぐソリューションによって、本業の損害保険事業の採算性を確保しつつ、人々の安全に貢献したい
【具体的な取り組み】
- 国内大手損保としては初めて、IoT技術を活用した個人向けドライブレコーダーを開発・販売
- ドライブレコーダー端末から得られた150億kmを超える自動車運行データを活用し、さらなる事故削減に向けたサービス開発を目指す
【得られた成果】
- 事故削減効果約13%上昇、事故解決日数短縮効果として約15%上昇
- 個人向けドライブレコーダー「ドライブエージェントパーソナル」は2023年3月に累計契約件数100 万台を突破
<物流業界>
㉑【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功

日本を代表する運送会社である日本通運はRPAを導入して業務を自動化し、働き方改革を実現しました。労働時間を削減することで、従業員の残業時間の削減や、人手不足の解消に成功しています。
【課題・背景】
- 2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限規制がかかる、いわゆる2024年問題を受けて、人手不足への対応が喫緊の課題となっていた
- 労働時間を削減し、少子高齢化による労働力不足を考慮した新しい働き方を実現する必要があった
【具体的な取り組み】
- 業務内容に応じて、業務の統括部門に導入する集約型ロボットと複数課所に導入する横展開型ロボットという2種類のロボットを使い分けながら、RPAを導入・展開
- 1万8,000人を超える事務系社員へのRPA基礎講習、全国に配置するRPAマスターに対して養成講習を開催するなど、積極的な教育・啓蒙活動を実施
【得られた成果・今後の展望】
- 労働時間を72万時間削減し、人手不足解消に貢献
- 今後はペーパレス化推進に対するRPAの活用や運転日報など手書きの伝票をデータ化して基幹システムに転記するRPAの導入といった新しい取り組みで、さらなる事務処理の自動化・効率化を目指す
㉒【SGホールディングス】AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRでトラックドライバーの労働負担を軽減

佐川急便を中核とした総合物流企業グループであるSGホールディングスは、AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRを活用し、業務効率化を実現しています。
【課題・背景】
- 物流業界では労働人口減少による労働力不足や、2030 年の輸送力不足を背景に、トラックドライバーの労働負担の軽減など労働環境の改善が求められていた
【具体的な取り組み】
- トラックの庫内に最適な荷積み作業ができる「AI搭載の荷積みロボット」を開発
- AI-OCRの機能を発展させ、給与支払報告書、コロナワクチン予診票、レセプト帳票などといった独自の帳票の読み取りも可能なソリューションを活用
【解決した課題・成果】
- トラックドライバーや積み込み作業者の業務負担軽減や荷役作業の省人化を実現
- 紙帳票のデータ化業務における人手不足やコスト増加に課題を抱える顧客に貢献できるサービスを提供
㉓【日本郵船】運航データの収集にAIを活用することで、船舶のIoT化を推進

日本郵船は、船舶のIoT化を推進し、海難事故の撲滅やCO2排出量削減への取り組みを進めています。
【課題・背景】
- SDGsやESGが重要視される中、環境に配慮した船舶の航行を実現するためのデジタル技術の活用が大きな目標となっていた
【具体的な取り組み】
- 船舶に装備するセンサーの種類や数を拡充し、運航データの収集にAIを活用することで、船舶のIoT化を推進
- 海域データを活用し、実際の船を再現したシミュレーションを行うことで、高効率を追求したプロペラを設計
【解決した課題・成果】
- 船舶のIoT化により、海難事故リスクの低減、燃費効率の向上、温室効果ガス排出量の削減、乗組員の点検業務の負担軽減を実現
- 高効率プロペラにより、燃費が向上し、CO2排出量を約2%削減
<医療業界>
㉔【東京ミッドタウンクリニック】疾病リスク予測AIで疾病リスクを正確に予測

東京ミッドタウンクリニックは、人間ドックを受診した患者に対して疾病リスクの予測結果を報告する際に、疾病リスク予測AIサービスというツールを活用しています。
疾病リスク予測AIサービスとは、東芝デジタルソリューションズが提供するソリューションで、1年分の健康診断データをもとにAIが6年先までの6疾病(糖尿病・高血圧症・脂質異常症・腎機能障害・肝機能障害・肥満症)のリスクを予測するサービスです。
【課題・背景】
- 近年、個々人が自身の生活習慣の改善や健康増進を図り生活習慣病を予防することを目的に、発症リスクの把握に対するニーズが高まっている
【具体的な取り組み】
- 東芝デジタルソリューションズが提供するソリューション「疾病リスク予測AIサービス」を活用
- 生活習慣病の個別化予測データを健康診断レポートに反映
【得られた成果】
- より正確な疾病リスク予測を患者に届けることに成功
- 疾病リスクの予測にかかる医師の工数を削減し業務効率化を達成
㉕【第一三共】AIやビッグデータを活用して創薬プロセスを刷新

第一三共は、ビッグデータやAIなどの技術を組み合わせて活用することで創薬を革新させています。同社は多様なデータや先進技術を活用し一人ひとりに寄り添った最適な健康・医療サービスを提供する ”HaaS(Healthcare as aService)”の実現を目指してDXに取り組んでいます。
【課題・背景】
- 2万分の1以下の成功確率といわれる新薬開発において、良質な薬をいち早く患者に届けるために、AIやビッグデータを活用して創薬に革新をもたらす必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- 約60億種類もの化合物群の中から、病気に効果のある最適な化合物を見つけるためのAIスクリーニングを実施
- バイオ医薬品の生産工程にAIや機械学習技術を応用
【得られた成果】
- AIとビッグデータにより、約2か月という短期間で大量の良質な新薬候補化合物の創出に成功
- AIや機械学習技術の応用により、バイオ医薬品の生産工程の効率と安定性の向上を実現
㉖【国立がん研究センター】内視鏡画像をAIに解析・診断させ、がんの早期発見につなげる

国立がん研究センターは、内視鏡画像をAIに解析・診断させ、消化器系のがんの早期発見につなげる取り組みを実施しています。これまで、内視鏡検査は医師が肉眼で行っており、医師によって診断内容にばらつきがあったり、がんの兆候の見逃しがあるなどの課題がありました。
【課題・背景】
- 大腸内視鏡検査を受けていたにもかかわらず、内視鏡検査時の見逃しによりその後大腸がんになるケースが約3%に達している現状
- 早期発見が重要である大腸がん治療において見逃しを防ぐことが喫緊の課題に
【具体的な取り組み】
- NECと共同で、AIが早期大腸がんや前がん病変を内視鏡検査時にリアルタイムに発見するソフトウェアを開発
- AIに約 5,000 例の大腸癌と前癌病変の内視鏡画像を学習、診断させる
【得られた成果】
- 偽陽性率を1%に抑えたまま、98%の病変発見率を達成するなど、正確性が向上
- 解析時間もわずか0.1秒以内に短縮
<エンタメ・観光業界>
㉗【星野リゾート】全国の営業拠点のデータを即時に集め来館予約のキャンセル率を半減

星野リゾートは、ブライダル事業における業務効率化と顧客対応の品質向上を目指して、AIを搭載した顧客管理・営業支援システムを導入しました。
【課題・背景】
- 全国各地の営業拠点に点在する顧客情報を手作業で集約する必要があり、タイムリーな状況判断や対応ができないという問題を抱えていた
- 成約に至るまでの営業プロセスの中で、ブライダル施設への来館予約はしたものの実際には施設に来館しないというケースに悩まされていた
【具体的な取り組み】
- 顧客管理・営業支援システム「Zoho CRM」とデータ可視化・分析ツール「Zoho Analytics」を導入し、営業プロセスの最適化と営業施策に対するデータに基づく分析を実施
- 「Zoho Analytics」と連携して営業プロセスの詳細を分析することで、データに基づく根拠ある施策が可能に
【得られた成果】
- 顧客情報を集約し、迅速なデータ分析が可能に
- 「予約から来館までの期間が一定日数を超えるとキャンセル率が上がる」という知見を得ることができた
- 営業プロセスの分析により、来館予約のキャンセル率を50%削減
<自治体>
㉘【北海道北見市】「書かない窓口」の導入で行政手続きの時短に成功

北海道北見市は、デジタルツールを活用した「書かない窓口」の導入で、行政手続きの時短に成功しています。
【課題・背景】
- 窓口での手続きにおいて、来庁者が複数の窓口を回らなければならなかったり、記入ミスで時間がかかってしまったりと効率の悪い状況が続いていた
- 工数のかかる窓口での手続きを簡易化し、職員と来庁者両方の負担を減らしたかった
【具体的な取り組み】
- 北見市が独自に開発した「窓口支援システム」で各種手続きの情報を整理し、1つの窓口で手続きを完結できる書かないワンストップ窓口を実現
- 入力したデータの処理には、定型的な作業を自動処理するRPA が活用され、入力と同時に自動で即時処理が可能
【得られた成果】
- 手続きの大幅な時間短縮に成功
- 2021年度での庁内全体の業務削減時間は、年間約 3,375 分短縮
- 4人世帯で市内転居したときの転居届の時間は、7分が2分半に短縮
- デジタル庁は「書かないワンストップ窓口」の仕組みを、自治体窓口DXと位置づけて、各自治体での導入を進めている
㉙【大阪府東大阪市】AIを活用し議事録作成にかかる時間を3割削減

東大阪市はAI議事録の導入により議事録作成にかかる時間を大幅に短縮し、職員の負担を軽減することに成功しています。
【課題・背景】
- 議事録作成において、録音した音声を複数回聞き直しながら作業を行うため、会議時間の約3〜8倍の作業時間を要していた
- 府庁では職員数削減の影響で残業時間が年々増加していた
【具体的な取り組み】
- AI を活用した音声認識技術による議事録作成支援システム用の端末を1台導入し、実証実験を行った
- 実証実験で効果が確認できたため、令和2年6月より端末を2台増設して3台体制とし、全庁に周知をし、議事録作成支援システムの貸し出しを開始
- AIは関西弁の変換も行うことが可能
【得られた成果】
- 議事録作成にかかる時間を3割程度削減
- 職員の残業時間を削減し、負担を軽減
㉚【東京都】人気メタバースRoblox上に名所を再現し、魅力を発信

Robloxは、若年層を中心に全世界で約4億人ものユーザーを抱える大人気メタバースゲームです。近年、多くの企業や自治体がRobloxなどのメタバース上にワールドを開設し、製品・サービスのPRやマーケティングを行っています。
2024年2月、東京都は、Roblox上に東京の街を再現したワールドを開設し、Robloxの多くのユーザーに東京の魅力を発信する取り組みを行いました。
【課題・背景】
- コロナで減少した観光客を取り戻すため、国内外に東京の魅力を広めて観光客を増やすための施策に取り組みたい
【具体的な取り組み】
- メタバースゲーム「Roblox」上に東京の観光名所を再現した「Hello!Tokyo Friends」というワールドを開設
- メタバース上の東京タワーでゲームを楽しめるなど、エンタメコンテンツを提供
- VTuberを観光大使として、メタバース上で記念イベントを開催
【得られた成果】
- 4億人以上のユーザーを抱えるRoblox上でのコンテンツ提供により、多くの人に東京の魅力を発信することに成功
成功した取り組みに共通する5つのポイント

成功したDXの取り組みに共通するポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
- ②自社ならではのDX戦略を策定する
- ③十分なDX人材を確保する
- ④スモールスタートクイックウィンを実現する
- ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。
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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。
そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。
具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。
一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。
②自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。
その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。
そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。
③十分なDX人材を確保する
DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。
本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。
また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。
そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。
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④スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。
そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。
そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。
取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。
これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。
⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。
そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。
一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。
もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。
DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。
DXの取り組みの進め方|具体的な6つのステップ

DXの取り組みの進め方は大きく6つのステップに分けられます。
それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。
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ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する

DX推進の最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。
「DX推進後の理想の自社の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。
本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。
自社の業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、市場環境や自社の特性を踏まえ、検討しましょう。
例えば、業務のデジタル化すら進んでいない企業であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる企業であれば、3年後までに製品/サービスやビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。
ステップ2:自社の現状と課題を把握する

続いて、自社が現状どの程度DXを推進できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。
本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX推進指標」を活用することで、企業文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。
それぞれの観点における自社の成熟度のレベルを把握することで、特にDX推進が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。
ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する

前ステップで策定したビジョンと自社の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。
検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。
デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。
そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DXを推進しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。
例えば、受発注のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした企業であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の受発注プロセスをデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。
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ステップ4:DX推進チームを構築する

DXを推進するには、ビジョンや戦略を社員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。
そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。
また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。
- プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
- テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
- UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
- エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
- データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当
これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、社員に対するDX人材育成を実施する方法があります。
DX推進のスケジュールや、社員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。
ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる
これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。
ここで、いきなり全社単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。
そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の事業部や部門単位から進めるのがおすすめです。
前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各社員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。
これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDXの推進が可能になります。
ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

業務のデジタル化を進めることで、企業は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。
これらのデータを分析し、新たな業務の課題やビジネスチャンスを発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。
さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、自社独自の詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強み蓄積こそが、他社には真似できない、ユニークな新サービスやビジネスモデルの創出の源泉となります。
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