DXの意味/定義とは?IT化との違い・具体例・5大メリットも紹介
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。
DXの具体例として、テレワークの推進、キャッシュレスの導入、ドローンや生成AIの活用など、様々な取り組みが挙げられます。
本記事では、DXを初めて学ぶ方に向けて、DXの意味・定義、IT化との違い、わかりやすい具体例などを簡単にご紹介いたします。
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目次
DXの意味・定義とは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。
DXという概念は、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授により提唱されました。その内容は、「進化し続けるテクノロジーが、人々の生活を豊かにしていく」というもので、ビジネスに限らず行政や社会全体を対象とする学術用語として使われていました。
参照:「Information Technology and the Good Life」の論文原文
一方で、2010年代に入り、スマートフォンやソーシャルメディアの急速な普及などに伴い、ビジネスの世界でデジタル活用が極めて重要なテーマとなっていったことから、DXという言葉が徐々にビジネス用語として用いられるようになりました。
経済産業省は、2018年に発表した「DX推進ガイドライン」において、DXを以下のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
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DXとIT化の違いとは?

DXはビジネスに「質的変化」をもたらすもので、IT化はビジネスに「量的変化」をもたらすものと区別でき、両者の関係はIT化はDXのための手段の1つと整理できます。
IT化は、既存の業務プロセスを効率化する手段です。例えば、書類に人手で記入・集計していたデータを、PC上の新たな社内システムに入力し、機械的に集計するようにすることで、作業時間が30%削減されるといったものが挙げられます。
それに対してDXは、IT化を含むデジタル活用による、業務やサービス、ビジネスモデルの大きな変革に向けた取り組みを指します。
DXの代表例として、動画配信大手のNetflixが挙げられます。同社は元々1997年にアメリカのカリフォルニア州で宅配型のDVDレンタルの会社としてスタートしました。その後、インターネットやデジタルデバイスの普及を受け、2007年にサブスプリクション型のオンライン動画配信サービスにビジネスモデルを変革しました。
この変革により、顧客は好きな時に好きな作品を視聴できるようになり、NetflixもDVDの仕入れや各家庭への配送などの膨大な業務が不要になり、かつ圧倒的な収益増加に成功しています。
また、このNetflixのDXの過程において、様々な既存の業務プロセスのIT化が進められているように、IT化はDXのための手段の1つと言うことがわかります。
DXに必要なデジタイゼーションとデジタライゼーションとは?

DXとともに語られることの多い、デジタイゼーションとデジタライゼーションという言葉は、DXを実現するまでの段階を表しており、それぞれがデジタル化をする対象が異なります。
- フェーズ1:デジタイゼーション=アナログデータのデジタル化
- フェーズ2:デジタライゼーション=業務プロセスのデジタル化
- フェーズ3:DX=事業・ビジネスモデルのデジタル化
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フェーズ1:デジタイゼーション=アナログデータのデジタル化
デジタイゼーション(Digitization)とは、紙などで管理しているアナログデータをデジタル化することを指し、DXを目指す企業が最初に取り組む必要があります。
例えば、過去の膨大な用紙に記入された取引データを、社内システムにデジタルデータとして転記するといった取り組みが挙げられます。
フェーズ2:デジタライゼーション=業務プロセスのデジタル化
デジタライゼーション(Digitalization)とは、デジタイゼーションで生み出されたデータを活用し、業務フローをデジタル化することを指します。
例えば、これまでは、取引データの管理方法を、用紙に人手で記入し、集計するというものから、PC上の新たな社内システムに入力し自動で集計されるようにすることで、業務効率化を図るといった取り組みが挙げられます。
“今”企業にDXが求められる3つの理由

近年あらゆる企業にDX推進が求められる代表的な理由として、以下の3つが挙げられます。
- ①企業間の競争激化への対応
- ②レガシーシステムの老朽化対策【2025年の崖】
- ③労働人口減少への対応
それぞれについて分かりやすく解説していきます。
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①企業間の競争激化への対応
2010年以降、誰もがスマートフォンやPCを通じてインターネットと繋がる時代となり、ビジネスの主戦場はリアルの世界からデジタルの世界にシフトしてきました。
そこで、各業界において、他社に先んじて、デジタルを活用した業務効率化/コスト削減や顧客体験の向上などを進めてきた企業が、市場シェアを拡大しています。
また、デジタルを活用し急成長を遂げるGAFAのようなテクノロジー企業は、国境や業界を問わず、それまでの勢力図を一変させるような動き(ディスラプション)を見せています。
そのため、ITやサービス業などはもちろん、小売や金融、製造業など比較的、リアルアセットの重要性や人手による仕事の割合が高かった業界でも、他業界や海外の新興企業から一気にシェアを奪われかねないという状況に置かれています。
このような状況に対応していくためには、これまで培った強みを活かしながら、DXを強力に推進し、競争優位性を高めていくことが求められます。
②レガシーシステムの老朽化対策【2025年の崖】

経済産業省によると、日本企業の約8割が、レガシーシステムと呼ばれる老朽化したITシステムを利用しています。
そのレガシーシステムの多くが、長年の継ぎ足しによって大きく複雑化しており、また開発担当の社員がいなくなっており中身が分からないブラックボックスになっています。
その結果、長期的に保守費や運用費が高くなってしまい、企業のIT関連予算の約8割が既存ビジネスの維持・運用にあてられているという問題があります。
経済産業省のレポートでは、このままDXが推進されない場合、2025年以降に国内全体で最大年間12兆円の経済損失が生じる可能性があると警鐘を鳴らしており、このリスクは「2025年の崖」と呼ばれています。
③労働人口減少への対応

日本は今後少子高齢化が加速していき、それに伴う経済成長の低迷が危惧されています。日本の生産活動を担う労働人口は、2008年をピークに減少に転じており、企業の人手不足は深刻化しています。
また、諸国と比べた現状の労働者一人当たりの生産性も、20位以下で低迷している傾向にあります。
そんななか、経済成長を実現していくためには生産性向上が必要不可欠となり、その実現のためには、デジタルを活用した高付加価値のビジネスの創出や業務効率化などのDX推進が重要となります。
DXのわかりやすい具体例12選
企業や自治体などによるDXの身近な具体例として、以下の12事例が挙げられます。
- ①テレワーク/オンライン会議
- ②Eコマース
- ③キャッシュレス決済
- ④配車サービス
- ⑤フードデリバリー
- ⑥ネットバンキング
- ⑦サブスクリプションサービス
- ⑧無人店舗
- ⑨スマート家電
- ⑩オンライン授業
- ⑪オンライン診療
- ⑫ドローンでの配送
それぞれの取り組みについて分かりやすく解説していきます。
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①テレワーク/オンライン会議

テレワークとは、「Tele(離れて)」と「Work(仕事)」を組み合わせた造語で、自宅やサテライトオフィスなど会社から離れた場所で仕事を行うことです。テレワークによって「場所にとらわれないビジネススタイル」が実現できます。
テレワークに必須なツールの1つとしてオンライン会議が挙げられます。オンライン会議は、インターネットを通じて遠隔で社内会議や外部との打ち合わせなどを行うことを指します。
総務省によると、テレワークの導入率は2019年の20.2%から2020年は47.5%へと一気に増加しており、2023年には51.7%に達しています。
オンライン会議ツールの代表例としてはZoomやGoogleMeet、Skypeなどが挙げられます。
②Eコマース

Eコマース(電子商取引)とは、インターネット上で商品やサービスの売買を行うビジネスモデルのことです。コロナによるオンラインシフトをきっかけに、Eコマースの需要が急増し、多くの企業がインターネット上での商品/サービスの提供・販売を開始しています。
Eコマースには、既存のプラットフォーマーが提供するECサイト上に多数のショップが出品するマーケットプレイス型ECサイトと、無数のECサイトがショッピングモールのように立ち並ぶモール型ECサイトの2種類に分けられます。
前者の代表例としては楽天市場やShopify、後者の代表例としてはAmazonや中国のEC大手アリババなどが挙げられます。
2023年8月に経済産業省が発表した調査結果によると、2022年におけるToCのEコマースの国内市場規模は22.7兆円(前年比9.91%増)、ToBのEコマースの国内市場規模は420.2兆円(前年比12.8%増)に達していることが明らかとなりました。企業のDX推進のトレンドとともに、Eコマースの市場規模は、今後もますます増加していくと予想されています。
③キャッシュレス決済

キャッシュレス決済とは、現金を使用せずに支払いを行うことです。キャッシュレス決済には、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、コード決済などさまざまな手段があります。
電子マネーはSuicaやnanacoなどの事前にチャージしたカードやアプリを専用機器にかざして支払う方法、コード決済は店舗側もしくは顧客側がQRコードを提示してもう一方が読み取る方法を指します。
現在ではスマートフォン所有者の72.8%がコード決済を利用しており、コード決済の代表例としてはPayPay、楽天ペイ、d払いなどがあります。
ITリサーチ会社であるMMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「2024年3月QRコード決済の利用に関する調査」によると、コード決済トップは「PayPay」で、PayPayは国内のコード決済利用者のうち49.5%が利用しており、それに次ぐ楽天ペイの25.9%と大きな差をつけています。
キャッシュレス決済は現在にかけて堅調な普及率の上昇を遂げており、経済産業省によると2010年は13.2%であったのに対し、2023年は39.3%となっています。特に、コード決済は2018年からの6年間で0.2%から10.9%と50倍以上の伸びを見せています。
④配車サービス

配車サービスとは、利用者がスマートフォンのアプリを通して利用したい時にタクシーなどの自動車を呼べるサービスです。「乗りたい」と「乗せたい」を瞬時にマッチングし、自動車利用の効率化を実現します。
配車サービスは個人が保有するモノや場所、スキルといった遊休資産の貸出を仲介するシェアリングエコノミーというビジネスモデルの一種です。
Straits Research社によると、世界の配車サービスおよびタクシー市場規模は、2023年に2,432.3億米ドルと評価されており、2024年の2,708.1億米ドルから2032年には6,395.5億米ドルに達し、予測期間(2024~32年)にわたって年平均成長率11.34%で成長すると予想されています。
配車サービスの代表例として、Uber taxiとDiDiが挙げられます。DiDiは、AIを活用した高度な分析・予測テクノロジーでタクシー配車の最適化を実現しています。
⑤フードデリバリー

フードデリバリーとは、飲食店の商品を顧客が指定した場所まで届けるサービスです。スマートフォンアプリなどを通じて商品を簡単に注文することができます。
フードデリバリーの市場は2016年の3,770億円から2023年には8,622億円に年々順調に拡大しています。特にコロナが流行した2020年には、巣ごもり需要の追い風を受けて、大幅に利用が増加しました。
日本でのフードデリバリーの代表例はUber Eats、出前館、Woltなどが挙げられます。アプリから届け先を指定し、好きな料理を選ぶことで簡単に配達を頼むことができます。また、オンライン決済を利用すれば置き配を利用することで配達者と顔を合わせることなく利用が可能です。
⑥ネットバンキング

ネットバンキングとは、パソコンやスマートフォンなどのインターネット端末を使って、銀行口座の残高照会や振込など、銀行の取引を行うサービスです。実店舗とインターネット上の両方で取引が行える銀行のほか、実店舗を持たずインターネットバンキングだけをサービスとして提供している「インターネット支店」や「インターネット専業銀行」もあります。
ネットリサーチ会社のマイボイスコムによると、現在インターネットバンキングの利用経験率は7割強に上っています。主な利用目的としては、「口座情報の照会・明細の確認」「振り込み・送金」がそれぞれ利用者の8割前後を占めています。
日本の代表的なネットバンキングとして、三井住友銀行のインターネットバンキング「SMBCダイレクト」があります。生体認証で安全にログインして取引を行うことができるほか、証券会社など他の口座や電子マネー、ポイントとの連携、毎月の収支や資産全体の管理も可能となっています。
⑦サブスクリプションサービス

サブスクリプションとは、定期的な料金を支払ってサービスや商品を利用するビジネスモデルのことです。代表例として、NetflixやAmazon Primeなどの動画ストリーミングサービス、定期的に届く食材やコスメのボックスなどが挙げられます。
サブスクリプション形態をとることで、企業は将来にわたり安定した収益を確保することができます。また、将来の収益の見通しが明確になるため、サービスの改善や開発にどれくらい資金を投下するかを比較的容易に判断することができます。
サブスクリプションは、一回きりの販売と異なり、顧客と継続的な関係を構築していくことを前提にしているため、提供する側は、常にサービスの質を改善し、顧客の体験価値を高めるための努力を続けることが求められます。
⑧無人店舗

無人店舗とは、店員が常駐せず顧客が自分で商品を選び、購入手続きを行う店舗のことを指します。AIカメラやAIセンサー、商品につけたICタグやキャッシュレス決済など、さまざまなIT技術を駆使することで、無人での買い物を実現しています。
顧客側はレジを待たずに会計を行うことができ、店舗側は人手不足を解消することができるため双方にメリットがあります。
無人店舗は主に「セルフレジが設置されている店舗」と「レジ無しの店舗」の2種類に分けられます。レジ無しの店舗は、事前にアプリ等に登録をしておくことで、認証ゲートで顧客認識を行ない、手に取った商品に基づいて自動精算するためレジを通さずにそのまま退店できます。
無人店舗の代表例として、Amazon GOが挙げられます。店内にはカメラとマイクが設置されており、AIが何の商品を手に取ったか認識します。また、商品の陳列棚には赤外線、圧力、重量センサーなどが設置されており、商品の在庫、移動などもトラッキングしています。それらをリアルタイムで専用アプリと連携させることにより、店を出ると同時にAmazonアカウントで決済できる仕組みです。
⑨スマート家電

スマート家電とは、スマートフォンやタブレット、音声アシスタントなどを通じて遠隔操作や自動化が可能な家電製品のことを指します。
「モノ」をインターネットに接続する技術であるIoT(Internet of things)を活用しており、快適な暮らしをサポートします。外出先からでも家電を動かせたり、タイマー機能で家電の自動化ができたりと、家事の負担を軽減することが可能です。
近年ではAIが搭載されているスマート家電も多く、家電をインターネットに繋げるだけでなく、AIが利用状況などを学習し、最適化されるようになっています。
スマート家電の代表例として、スマホと連携可能な冷蔵庫やエアコンが挙げられます。例えば、シャープのスマート冷蔵庫にはAIが搭載されており、ドアの開閉履歴から生活パターンを分析し、食品に影響のない範囲で庫内の温度を自動で下げて省エネを実現します。
⑩オンライン授業

オンライン授業とは、インターネットを利用して行われる授業のことです。学生と生徒が物理的に同じ空間にいなくても、パソコンやタブレット、スマートフォンを通じてリアルタイムで授業を受けたり、録画した講義を視聴したりすることができます。
オンライン授業により場所や時間の制約がなくなり、体調不良などの諸事情により対面での受講が難しい生徒が学びを継続できるほか、遠隔地に住む学生の学習の機会を増やすことができます。
オンライン授業はコロナウイルスの流行時に多くの学校で導入されました。文部科学省によると、「2020年後期はオンライン授業がほとんど又は全てだった」と回答した学生は全体の6割に上ったとのことです。
⑪オンライン診療

オンライン診療とは、インターネットを利用して医師や医療専門家が患者と遠隔で診察や相談を行う医療サービスのことです。
ビデオ通話、電話、チャット、専用アプリを通じて、患者は自宅や職場からでも医師に相談できるため、従来の対面診察に比べて便利で迅速な医療サービスを受けることができます。
一方で、オンライン診療は直接の対面による診療と異なり触診等ができないため、医師が得られる情報が限られます。そのため、以下のようなルールがあります。
- 対面診療と適切に組み合わせて実施することが基本
- 適切な診療のため、原則としてかかりつけの医師が実施
- 医師がオンラインによる診療が適切でないと判断した場合には利用できない
近年では、コロナウィルスをきっかけに遠隔診療の必要性が増加したことや地方での医師不足の問題などを受けて、オンライン診療の要件を緩和する動きも見られています。
医療業界におけるDXについては、以下の記事でも分かりやすく解説しています。
⇒医療DXとは?5大メリットとデメリット、成功事例7選も紹介
⑫ドローンでの配送

ドローンを使用して商品や荷物を指定された場所に配達する方法は、物流の新たな選択肢として期待されています。海外では実用化もされています。
日本では未だ実用化はされていませんが、2022年12月に「航空法等の一部を改正する法律」が施行され、日本国内でのドローンのレベル4飛行が解禁されたことにより有人地帯でもドローンの自律飛行ができるようになりました。
海外におけるドローン配達の事例として、ドミノピザは2016年にニュージーランドにおいて世界で初めてドローンによるピザの宅配サービスを実施しました。ユーザーがスマホでピザを注文すると、ドミノピザの無人航空機がGPSナビゲーションを利用して目的地まで移動、ワイヤーでピザの入った箱を下し、配達します。
DXの5つのメリット

DXを推進する代表的なメリットとして以下の5つが挙げられます。
- ①業務効率化やコスト削減を実現できる
- ②データ活用により企業の競争力を高められる
- ③新たなサービスやビジネスモデルを創出できる
- ④働き方改革を推進できる
- ⑤事業停止のリスクを回避できる(BCPの充実)
それぞれについて分かりやすく解説していきます。
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①業務効率化やコスト削減を実現できる
DXを推進し、手作業で行っていた各業務のデジタル化を進めることで、業務効率化やコスト削減を実現できます。
例えば、書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理したり、RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化したりといった取り組みが挙げられます。
これらの取り組みにより、作業時間の短縮やヒューマンエラーの防止、作業人員の縮小などの成果が期待できます。
また、個別作業のデジタル化だけでなく、デジタル活用を前提とした、既存の業務プロセス全体の見直し・カイゼンを行うことで、より大きな成果を上げることが可能です。
②データ活用により企業の競争力を高められる
DX推進により、より多くのデータを収集したり、蓄積しているデータを有効活用することで、企業の競争力を高めることができます。
例えば、購入前〜購入後までの一連の顧客接点のデジタル化を進めることで、より広範囲な顧客情報や消費行動データを収集したり、これまで社内の各チームでバラバラに管理していたデータを、一元管理できるシステムを構築するなどの取り組みが挙げられます。
これらの取り組みにより、よりパーソナライズされた商品提案やプロモーション施策を実施したり、より詳細なデータを活用し、精度の高い戦略や企画の立案を行ったりすることが可能になり、競合との差別化を図ることができます。
③新たなサービスやビジネスモデルを創出できる
DXを推進し、既存業務のデジタル化を進めることは、新たなサービスやビジネスモデルの創出に繋がります。
既存業務のデジタル化に取り組む過程で、詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどを得ることができます。
それらを、新たなサービスの企画や構築に活用することで、既存事業の延長線上にはない、新たな顧客体験・提供価値を実現することに繋がります。
デジタルをベースとした新規性の高いサービスやビジネスモデルの創出により、競合との差別化や収益性の向上を図ることができます。
④働き方改革を推進できる
DXを推進し、デジタル活用により業務効率化を進めることで、働き方改革を推進することができます。
DXによる業務効率化は、従業員の長時間労働の削減に直結します。また、業務プロセスのデジタル化やコミュニケーションツールの導入などにより、リモートワークがしやすい環境を整備することで、柔軟な働き方を実現することにも繋がります。
これらの取り組みにより、より働きやすい環境を整え、従業員の負担/ストレスの軽減、モチベーションの向上が期待できます。また、捻出した時間をより付加価値の高い事業や業務に集中させ生産性を向上させることも可能です。
⑤事業停止のリスクを回避できる(BCPの充実)
DXに取り組むことで、BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)の充実に繋がり、緊急時の事業停止のリスクを回避できるというメリットもあります。BCPとは、災害や感染症の流行、システム障害などの緊急事態が発生した際の対策の計画のことを指します。
例えば、リモートワークを推進することで災害や感染症の流行時にも大きな支障なく業務を進められる、レガシーシステムを脱却することでシステム障害が発生し復旧にも時間がかかるといったリスクを避けられるといったメリットがあります。
このようなBCPの充実は、取引先や株主からの信頼性の向上や企業価値向上にも繋がります。
DXの5つのデメリット

DXを推進する代表的なデメリットとして以下の5つが挙げられます。
- ①初期投資やランニングコストがかかる
- ②デジタル人材の確保が難しい
- ③すぐには成果が出ない場合もある
- ④社内の関係部署と協力・連携しなければならない
- ⑤既存システムからの移行が難しい
それぞれについて分かりやすく解説していきます。
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①初期投資やランニングコストがかかる

DXの推進にはツールの導入や新たなシステム開発などが必要となり、数百万円〜数千万円の費用が必要になることも少なくありません。
また、DXは、従来の個別改善型のデジタル化と比べ、業務プロセスやビジネス全体の大規模な変革に取り組むことになるため、比較的高額な初期費用が必要になります。
一方で、数年スパンで見ると大きな成果が期待できるため、中長期でのコスト削減や売上向上の効果を試算した上で、適切な範囲内で予算を確保し投資を行うことが重要です。
②すぐには成果が出ない場合もある
業務プロセスの根本的な変革/効率化や新規事業の創出など、DXで大きな成果を上げるには、3〜5年ほどの期間が必要となるのが一般的です。
一方で、DX推進を始めてもすぐには期待する成果が上がらず、プロジェクトを打ち切りにしてしまうという企業も少なくありません。
そのため、「DXで大きな成果を上げるには中長期で取り組む必要がある」という認識を社内ですりあわせることや、最終ゴールに向けたマイルストーンを引き、初期フェーズでも進捗の評価を正しく行えるようにすること、比較的早期に成果の出やすい小規模なプロジェクトを走らせることなどが有効です。
③DX人材の確保が難しい

全社的なDXを推進する場合、最新のテクノロジーを使いこなせるエンジニアはもちろん、ビジネス戦略とデジタル活用の両方に知見をもつリーダーが各部門に必要となります。
経済産業省の調査によると、国内のIT人材の需要は拡大し続けるのに対し、供給は2019年をピークに減少しており、2030年にかけて40〜80万人規模で不足すると予想されています。このように、DX人材は新卒・中途問わず争奪戦が続いており、希望通りに採用が進むことは稀という状況です。
そのため、短期的には、外部ベンダーの起用などで体制を強化しつつも、中長期的には人材育成や採用の仕組みを強化していく必要があります。
④社内の関係部署の協力・連携が必要になる
DXの推進には、部門を横断する業務プロセスやシステムの見直し、加えて組織やビジネスモデルの再構築などが必要となります。
それらの取り組みを進める際には、社内の幅広い関係部署間の協力・連携が必要不可欠です。一方で、各部署や現場のメンバーは、目の前の通常業務を抱えているため、プロジェクトが円滑に進まないというケースが多く存在します。
そのため、全社としてのDXの必要性やビジョンを周知し、現場の声も吸い上げた上で、協力を得ながらDXを推進することが求められます。
⑤既存システムからの移行が難しい
既存システムから新たなシステムへの移行は、システムの移行そのものに加え、データのフォーマット変換や新たな業務プロセスの設計、利用する社員への研修など、様々な取り組みが必要となります。
特に、複雑化・ブラックボックス化が進みレガシー化してしまったシステムからの移行に取り組む場合、その技術的・工数的なハードルはかなり高く、現場が難色を示すということは少なくありません。
一方で、移行の難易度が高くなっていることは、そのシステムを利用し続けるための運用コストやリスクが大きくなっていることを意味する場合が多いため、移行に取り組む意義はより大きいと言えます。
DXを成功させる5つのポイント

DXを成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
- ②自社ならではのDX戦略を策定する
- ③十分なDX人材を確保する
- ④スモールスタートクイックウィンを実現する
- ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。
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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。
そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。
具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。
一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。
②自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。
その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。
そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。
③十分なDX人材を確保する
DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。
本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。
また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。
そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。
④スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。
そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。
そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。
取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。
これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。
⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。
そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。
一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。
もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。
DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。
DXの進め方|具体的な6つのステップ

DXの進め方は大きく6つのステップに分けられます。
それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。
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ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する

DX推進の最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。
「DX推進後の理想の自社の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。
本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。
自社の業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、市場環境や自社の特性を踏まえ、検討しましょう。
例えば、業務のデジタル化すら進んでいない企業であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる企業であれば、3年後までに製品/サービスやビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。
ステップ2:自社の現状と課題を把握する

続いて、自社が現状どの程度DXを推進できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。
本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX推進指標」を活用することで、企業文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。
それぞれの観点における自社の成熟度のレベルを把握することで、特にDX推進が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。
ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する

前ステップで策定したビジョンと自社の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。
検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。
デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。
そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DXを推進しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。
例えば、受発注のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした企業であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の受発注プロセスをデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。
ステップ4:DX推進チームを構築する

DXを推進するには、ビジョンや戦略を社員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。
そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。
また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。
- プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
- テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
- UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
- エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
- データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当
これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、社員に対するDX人材育成を実施する方法があります。
DX推進のスケジュールや、社員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。
ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる
これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。
ここで、いきなり全社単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。
そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の事業部や部門単位から進めるのがおすすめです。
前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各社員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。
これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDXの推進が可能になります。
ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

業務のデジタル化を進めることで、企業は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。
これらのデータを分析し、新たな業務の課題やビジネスチャンスを発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。
さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、自社独自の詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強み蓄積こそが、他社には真似できない、ユニークな新サービスやビジネスモデルの創出の源泉となります。
日本企業によるDXの成功事例5選
経済産業省によりDXグランプリ企業として表彰された、DX成功事例の中から、特に注目すべき5社の取り組みをご紹介します。
- ①【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築
- ②【アシックス】デジタル上の顧客接点を強化しEC/D2C売上比率を大幅に向上
- ③【LIXIL】接客等のDXを進め業務効率化と顧客体験向上を同時に実現
- ④【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供
- ⑤【丸井グループ】百貨店×フィンテックにより売上の多角化を実現
それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。
※最新の企業のDX成功事例50選の取り組みや成果をまとめた資料をダウンロード頂けます。
①【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築

ダイキン工業は、空調機や化学製品の製造を手掛ける大阪に本拠を置く世界的なメーカーです。同社は、2021年より「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始し、IoTにより空調機をクラウド環境に接続して一括管理を可能にし、業務やエネルギー消費の効率化を実現しています。
【課題・背景】
- オフィス空調設備のエネルギー消費量を最適化し、コスト削減と環境負荷の低減を目指す顧客企業のニーズが増加していた
- 多くの顧客企業が、設備管理者の人手不足に伴い、オフィス空調設備の運用・制御を効率化する必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- 空調設備をインターネットでつなぐ「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始
- 各拠点の空調設備をつなぐクラウド型の空調コントロールシステム「DK-CONNECT」の構築
【得られた成果】
- 100万台以上のエアコンの接続と分単位のデータ取集・リアルタイム制御を実現
- スマホやタブレットから空調設備の監視・運用が可能となり、オフィスを巡回する手間をカット、業務時間の短縮を実現
- 部屋単位で空調を制御したり、人数に応じて自動で設定温度を調整するなど、空調設備の運用最適化によるエネルギー消費量の削減
②【アシックス】デジタル上の顧客接点を強化しEC/D2C売上比率を大幅に向上

アシックスは、スポーツ用のシューズやウェアなどを製造・販売する日本を代表するスポーツ用品メーカーです。同社は、ランナー向けのスマホアプリなどを通じてデジタル上での顧客との直接の繋がり強化を進めることで、販売に占めるEC/D2C比率を高め、収益率の向上を実現しています。
【課題・背景】
- コロナをきっかけとする買い物のオンラインシフトに伴い、ECやD2Cでの販売比率を向上させ、売上げ拡大を図る必要に迫られていた
- アシックスの売上のうちECでの比率はわずか数%であり、EC比率拡大に向けた施策が喫緊の課題となっていた
【具体的な取り組み】
- ECサイトと連動し、限定クーポン等が貰えるロイヤリティプログラム「OneASICS」を展開し顧客接点を強化
- ランニングの記録と仲間とのシェアができるスマホアプリ「アシックスランキーパー」を提供し購入後の顧客との接点も獲得
- 購入後を含めた顧客データを活用し、各顧客の身体にフィットした商品を提案
【得られた成果】
- 卸売中心で顧客接点が限定的だったが、デジタル顧客基盤が1,000万人超へ
- 購入後も含めた多様な顧客接点の獲得により、ファン化を促進しLTVも向上
- 課題としていたEC売上比率が5%から18%へ、D2C比率が17%から33%へ向上
③【LIXIL】接客等のDXを進め業務効率化と顧客体験向上を同時に実現

LIXILは、建築材料や住宅設備機器などを製造・販売する日本を代表するメーカーの一つです。同社は、製品設計から接客まであらゆる販売プロセスにAIやIoTなどのデジタル技術を取り入れて、業務効率化と顧客体験(CX)の向上を同時に実現しました。
【課題・背景】
- コロナをきっかけとするECの普及に伴い、オンラインでの顧客接点・販売チャネルの確保の必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- LIXILの製品を購入したい企業に対して、自宅から接客を受けられるサービス「LIXILオンラインショールーム」の提供
- AIが顧客の希望に寄り添った見積りプランを提示する「かんたんプラン選び」の提供
【得られた成果】
- 忙しい人でも気軽に製品購入に関する相談や見積りの取得が可能となり、累計相談数15万組突破、顧客満足度93%を達成
- 時間を選ばず利用できるサービスとして「日本子育て支援大賞2023」を受賞
④【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供

コマツは、ショベルやブルドーザーなどの建設機械や鉱山機械の製造を手掛ける日本の大手建設メーカーです。同社は、IoTやAIなどのデジタル技術を建設機械や産業機械に搭載した新たなソリューションを開発・提供し、製造業界や建設業界におけるモノづくりの現場のDXを支援しています。
【課題・背景】
- 建設業界の人手不足に伴う、現場作業の効率化・省人化のためのソリューションを求める顧客企業がますます増えていた
【具体的な取り組み】
- 建設・製造業界の企業に対して、遠隔地から機械の稼働状況を確認できるIoTを活用した管理システム「Komtrax」の開発・提供
- 建設・製造業界の企業に対して、AIが部品の劣化状態を把握し、故障前に交換時期を予測する予知保全システムの提供
- 建設業界の企業に対して、センサーを搭載し、自動制御を可能にしたICT建機の製造・販売
【得られた成果】
- 機械の稼働状況の一元管理が可能となり、稼働率の向上、メンテナンス時期の把握、生産量集計の自動化などによる顧客の現場作業の効率化・生産性向上を実現
- ある企業は、Komtraxにより、設備の稼働率が向上し、生産性が140%も増加するなど大幅な改善を実現
- 遠隔地から顧客の機械の稼働状況や部品の劣化状態の把握が可能となり、効率的かつ適切な修理・保全サービスの提案が可能に
⑤【丸井グループ】百貨店×フィンテックにより売上の多角化を実現

日本を代表するデパート「丸井」を運営する丸井グループは、DXを推進することで、金融サービスの提供など小売の周辺領域にもビジネスの幅を拡大しています。オンラインとオフラインを上手に統合し、実店舗・EC両方での売上拡大とクレジットカード発行による収益の拡大を同時に実現しています。
【課題・背景】
- ECの加速に対応すべく、販売チャネルを多角化するとともに、フィンテック等の周辺領域にも参入して収益基盤を拡大したい
【具体的な取り組み】
- フィンテック事業に参入。低収入の若年層にも低限度額でクレジットカードを発行
- ITの活用により独自の与信システムを確立
【得られた成果】
- 5年間でカード会員数が23倍に増加し、2021年3月時点で709万人・取扱高2兆円超に到達
- 利用と支払を繰り返すことで顧客の信用が創造される仕組みを構築し、会員一人当たりのLTVが2~4倍の増加を達成
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