DX推進はペーパーレスから!5大メリット・進め方・注意点も紹介
ペーパーレス化とは、紙の書類をデジタル化してコンピュータ上に格納し、紙でのやり取りをオンライン上のやり取りに移行する取り組みのことです。
DXの中でも、比較的簡単に取り組みやすく、短期で効果も表れやすいため、多くの企業や自治体がペーパーレス化に取り組んでいます。
本記事では、DXに初めて取り組む担当者がまずやるべきペーパーレス化について、メリット、進め方、注意点、成功事例等とともにわかりやすく解説していきます。
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目次
そもそもDXとは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。
単なるデジタル化・IT化ではなく、デジタル活用により、業務やサービス、ビジネスモデルを大きく変革していく取り組みであるという点が大きなポイントです。
経済産業省は、2018年に発表した「DX推進ガイドライン」において、DXを以下のように定義しています。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
ー出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0
例えば、動画配信大手のNetflixが、宅配型のDVDレンタル事業からサブスクリプション型のオンライン動画配信サービスへとビジネスモデルを変革したのは、DXの代表的な事例といえるでしょう。
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DXとペーパーレス化の関係は?
ペーパーレス化とは、紙の書類を電子データに変換して、コンピュータ上に格納することです。これにより、紙を持ち運ぶ必要性がなくなり業務の効率性が上がるほか、印刷や保管にかかるコストを削減することができます。
経済産業省が2022年7月に発表した「DXレポート2.2」によると、紙媒体で管理されている情報の電子データ化(=ペーパーレス化)に取り組んでいる企業は60.2%に達しており、そのうち24.5%はすでに実際の成果が出ています。
ペーパーレス化は、やるべきことが明確で、やり方もある程度決まっているため、DXの取り組みの中でも、最も手軽に始めやすい行動の一つです。DXを実現するための第一歩として位置付けることができるでしょう。
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ペーパーレス化を推進する5つのメリット
ペーパーレス化を推進するメリットとして、以下の5つが挙げられます。
- ①業務の効率化・生産性向上
- ②印刷代等のコスト削減
- ③従業員の働き方改革の実現
- ④事業停止の回避によるBCPの強化
- ⑤環境にやさしい業務体制の確立
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
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①業務の効率化・生産性向上
ペーパーレス化により、紙の書類を持ち運ぶ必要がなくなり、PCやタブレットさえあれば、いつでも必要なデータにアクセスできるようになります。
また、紙の書類を他の従業員に共有するためには、手渡ししたり、写真にとって転送する必要がありますが、オンライン上の情報であれば、共有フォルダ等を通じて複数人に簡単に情報共有することも可能となります。
このように、ペーパーレス化により、情報へのアクセスや情報共有をスムーズに行えるようになり、業務の効率化や生産性の向上につながります。
②印刷代等のコスト削減
紙の書類を使う場合には印刷代やインク代などのコストがかかりますが、オンライン化すれば、これらのコストを削減することができます。
また、紙の書類と異なり情報を物理的に保管するスペースを確保する必要がないため、コンパクトなオフィスで済みます。
③従業員の働き方改革の実現
ペーパーレス化により、あらゆる情報にコンピュータからアクセスできるようになります。これにより、自宅からでも仕事がしやすくなり、柔軟な働き方が可能となります。
コロナウィルスが流行した際にも、紙の書類に印鑑を押すためだけに出社する会社員が多いことが話題となりました。ペーパーレス化を実現できれば、そのような事態もなくすことができるでしょう。
④事業停止の回避によるBCPの強化
紙の書類をデジタル化しておくことで、非常時の事業停止リスクを回避し、BCP(事業継続計画、Business Continuity Plan)を強化することができます。
例えば、地震や台風などの災害や新型コロナウィルスのようなパンデミックが発生し、出社が困難となった場合でも、遠隔からオンライン上のデータにアクセスし、業務を継続できるようになります。
⑤環境にやさしい業務体制の確立
ペーパーレス化により、紙の資源を利用する必要がなくなるため、資源の節約・廃棄物の削減につながります。
このような環境にやさしい業務体制を確立することで、企業の社会的責任を果たすことができ、対外的な評価も上がると期待できます。
ペーパーレス化を阻む4つの課題と解決策
企業のペーパーレス化を阻む主な課題として以下の4つが挙げられます。
- ①ITに詳しいデジタル人材が社内にいない
- ②システムの導入/メンテナンスにコストがかかる
- ③既存システムからの移行が難しい
- ④全社の同意を得られず取り組みが進まない
それぞれについて具体的な解決策とともにわかりやすく解説していきます。
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①ITに詳しいデジタル人材が社内にいない
ペーパーレス化を実現するには、紙の書類をデジタル化するためのITツールを使いこなすスキルが必要になります。
しかし、業種によっては、社内にITに詳しいデジタル人材がいない会社も少なくないでしょう。現に、経済産業省の調査によると、国内のIT人材の需要は拡大し続けるのに対し、供給は2019年をピークに減少しており、2030年にかけて40〜80万人規模で不足すると予想されています。
そのような場合には、外部からIT人材を採用したり、社内で研修・勉強会を行ってIT人材を育成するなどして、人材確保に努める必要があります。
②システムの導入/メンテナンスにコストがかかる
ペーパーレス化を推進するためには、紙の書類をデジタル化するための専用ツールや、デジタル化した情報を管理するシステムを導入する必要があり、数百万円以上の費用が必要になることも少なくありません。
また、一度導入したシステムは、継続的にメンテナンス・更新していく必要があり、そのためにもコストがかかります。
③既存システムからの移行が難しい
紙の書類をデジタル化するためのシステムを導入するにあたっては、社内の既存システムからの移行を考慮する必要があります。
しかし、会社によっては、既存システムがあまりにも古く、複雑化・ブラックボックス化が進んでしまっている場合もあります。このような既存システムを刷新するための技術的・工数的なハードルはかなり高く、現場が難色を示すということは少なくありません。
④全社の同意を得られず取り組みが進まない
ペーパーレス化に限らずDXは、既存のビジネスモデルの変革や業務プロセス全体の刷新を伴うものであり、全社的に取り組んでいく必要があります。そのため、DXを進めるためには、各部署との連携・協力が不可欠です。
一方で、ペーパーレス化の推進は、既存の業務体制を大きく変えることにもなるため、全社的な同意が得られない可能性も否定できません。その場合には、バックオフィスなど一部の部署からペーパーレス化の取り組みを開始し、徐々に範囲を広げていくなど、スモールスタートを切ることも有効です。
ペーパーレス化によるDXを進める5つのステップ
ペーパーレス化によるDXを進めるためのステップは以下の5つに分けられます。
- Step 1:ペーパーレス化する対象の特定
- Step 2:デジタルツール/システムの導入
- Step 3:紙の文書のデジタル化
- Step 4:オペレーションの改善
- Step 5:ペーパーレス化の範囲の拡大
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
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Step 1:ペーパーレス化する対象の特定
まず、ペーパーレス化の対象とする文書の中身と範囲を特定します。社内文書には様々なものがあり、内容によってはデジタル化することが望ましくない文書も存在します。
デジタル化すべき文書とそうでない文書を振り分けて整理することで、ペーパーレス化にどれくらいの工数や費用がかかるのかも明確になり、それに応じて適切なツールも変わるでしょう。
Step 2:デジタルツール/システムの導入
次に、ペーパーレス化に必要なツールやシステムを導入します。紙の文書のデジタル化に当たっては、主に以下のようなツールやシステムが必要となります。
- クラウドストレージ:紙文書をデジタル化し、安全に保存できるサービス(例:Google Drive、Dropbox、OneDrive)
- 文書管理システム(Document Management System、DMS):文書の作成、管理、共有ができるシステム
- 電子署名・電子認証:契約書等の文書の署名や認証を電子的に行えるシステム(例:DocuSign、Adobe Sign)
また、紙の文書のデジタル化においては、紙に書かれた文字を自動でデジタル化するOCR(光学文字認識)という技術を活用することも有効です。中でも、AIを搭載したOCRツールは、手書きの文字も正確に読み取り、自動でデータ化することができるとして、多くの企業で導入が進んでいます。
Step 3:紙の文書のデジタル化
ペーパーレス化のためのツール/システムの導入が完了したら、早速、紙の文書のデジタル化に着手しましょう。
紙の文書をスキャンしてデジタル化し、クラウドストレージや文書管理システムなど、セキュリティ対策が施されたデータベースに保存します。
なお、ペーパーレス化の実行に当たっては、最初から一気にすべての文書をデジタル化するのではなく、一部の文書から小さく始めることが重要です。オペレーションに問題が生じたら速やかに修正・改善し、最終的に全社的なペーパーレス化に取り組める体制を構築していくことで、効率的にペーパーレス化を進めることができます。
Step 4:オペレーションの改善
文書のデジタル化は比較的単純な作業ですが、膨大な紙の書類をすべてデジタル化するには相応の時間がかかります。そのため、オペレーションをできるだけ効率化して、迅速かつ効率的にペーパーレス化を進められる体制を整えることが重要です。
そのため、一部の文書について試しにペーパーレス化を進めたら、一度作業を止めて、「より効率的な方法がないか」を再度検討するようにしましょう。
最適なオペレーションを組むことができれば、ペーパーレス化を一気に終わらせることができます。
Step 5:ペーパーレス化の範囲の拡大
オペレーションを改善し、最適な進め方を確立したら、ペーパーレス化の範囲を拡大し、対象となるすべての文書をデジタル化していきます。
その際には、他の部署からの協力も不可欠となるため、構築したオペレーションを全社的に共有し、理解を得ることが重要となります。
ペーパーレス化の成功事例6選
ペーパーレス化の成功事例として、以下の6つが挙げられます。
- ①【長野県長野市】ペーパーレス会議の導入で印刷費用を300万円カット
- ②【茨城県】4ヶ月で電子決裁率ほぼ100%を達成
- ③【ライフコーポレーション】店長会議の会議資料をペーパーレス化し、毎月6万枚の削減に成功
- ④【西松建設】社内会議資料をペーパーレス化し、年間約250万枚の用紙削減を実現
- ⑤【鈴花商事】Chatworkで情報伝達スピードが上がり、業務効率化を実現
- ⑥【デジタル庁】紙のやり取りが一切不要な「書かないワンストップ窓口」を実現
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
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①【長野県長野市】ペーパーレス会議の導入で印刷費用を300万円カット
長野県長野市は、紙の会議資料を準備するのに大きな手間とコストがかかっていたことを受け、ICTを活用したペーパーレス会議を導入し、省力化・省コスト化を図りました。
長野市は、紙の会議資料を配布せず、パソコン上で画面を共有することでペーパーレス会議を実現させました。また、複合機集中管理システムを導入し、プリンタ・コピー機・FAXを集中管理の複合機に入れ替えることで、合計約1,000台の機器を250台に集約するなど、不必要な印刷を避けるための仕組みも構築しています。
これにより、年間約14万枚の紙の使用を削減するとともに、印刷費用を約300万円カットすることに成功しました。また、紙の使用量の削減に伴い、文書の保管スペースが確保されました。
②【茨城県】4ヶ月で電子決裁率ほぼ100%を達成
茨城県は、決裁事務において紙決裁と電子決裁が混在していたことを受け、行政文書の電子化による業務効率性の向上を加速化していくために、平成30年4月から電子決裁率100%を目標にペーパーレス化の取り組みをスタートしました。
10年ほど前から電子化に必要なシステムは整備されていたものの、紙文書の方が書類と見比べながらの業務がやりやすいなど、短期的に見て効率的な部分があり、電子決裁の利用率は低迷していました。
これを受け、「例外は一切認めないかたちで電子決裁の徹底を図る」とのルールを定め、全庁一丸となって、決裁書類の電子化100%を目指す取り組みを始めました。
この取り組みの結果、7月の電子決裁率は99.1%となり、4ヶ月という非常に短期間で電子決裁率ほぼ100%を達成しました。
③【ライフコーポレーション】店長会議の会議資料をペーパーレス化し、毎月6万枚の削減に成功
全国でスーパーマーケットチェーン「ライフ」を展開するライフコーポレーションは、株式会社エステックが運営するペーパーレス会議システム「ECO Meeting」を導入し、大人数の会議をペーパーレス化しています。
ライフコーポレーションでは、店舗拡大により増加傾向にある店長会議の会議資料において、会議途中で紙資料が足りなくなり増刷しなければならないなどの問題が生じており、会議資料をペーパーレス化する必要性がありました。
そこで、導入コストの手軽さや200人規模の会議実績を持つなどの条件に適したECO Meeting を採用しました。
これにより、毎月6万枚の削減効果が得られています。さらに、 カラープリントやプリント用紙のコストを考慮する必要がないため、効果的に色を使用したり、1ページに情報を詰め込まなくてよい会議資料の作成ができるようになりました。
④【西松建設】社内会議資料をペーパーレス化し、年間約250万枚の用紙削減を実現
土木、建築、環境技術を中心とした幅広い建設事業を手がける西松建設は、富士ソフトのペーパーレスシステム「moreNOT」を導入し、社内会議資料をペーパーレス化しました。
同社では2012年から「各職場における自発的無駄の改善」プロジェクトを開始しており、「社内会議で配布するコピー用紙の削減」も取り組みの一部として進められています。
そこで、タブレットによるペーパーレス会議の推進をスタートするべく、充実したペアリング機能、万が一のリスクを考慮したセキュリティ機能、iOS、Windows、Androidにマルチ対応していることなどを理由に「moreNOT」が導入されました。
これにより、年間約250万枚の削減効果が出ています。また、コピー代を気にせずカラーで資料作成を行うことができるなどのメリットもあり、視覚的にわかりやすく会議進行できるようになりました。
⑤【鈴花商事】Chatworkで情報伝達スピードが上がり、業務効率化を実現
鈴花商事は、着物を中心に、宝飾、バッグなどの販売を行っており、西日本に105店舗を展開しています。
同社は以前、店舗に年配の方が多いことや、PCのスキルにも差があることから、店舗とのやり取りには電話、FAX、書面を使っていました。しかし、これらのツールは情報伝達が遅く、タイムラグに悩まされていました。
そこで同社はビジネスチャットツール「Chatwork」を導入しました。チャット画面の優れたデザイン性により、普段PCに触れない従業員や70歳以上の従業員でも問題なく利用できています。
これにより、情報伝達のスピードが上がり、業務効率化が達成されました。
また、出荷担当がトラブルになりそうな点をChatworkにあらかじめ書き込んでおくことで、全員に一斉に注意喚起をすることができ、商品を運ぶ際のトラブルが減少しました。
⑥【デジタル庁】紙のやり取りが一切不要な「書かないワンストップ窓口」を実現
デジタル庁では、マイナポータルや地方自治体独自の電子申請システムの利用による行政手続のオンライン化の推進に加え、窓口での手続における住民と地方自治体職員両方の負担解消を目指し、自治体窓口DX「書かないワンストップ窓口」の取り組みを進めています。
「書かないワンストップ窓口」とは、来庁者が申請書に記入せずに、各種証明書の発行や住民異動届などの手続きができる自治体の窓口サービスです。デジタル技術を活用することで、職員の負担を軽減しつつ、住民サービスの向上、マイナンバーカードのメリットを享受できる取り組みです。
人口減少による労働力不足が深刻化する中で、地方自治体の業務を従来どおりのやり方で高い品質を維持することには限界があります。そのため、職員数が減少する中で高品質の窓口サービスを継続させていくためには、DXを推し進め、さらなる業務効率化が必要となっています。
「書かないワンストップ窓口」では、窓口業務とともにバックヤード業務までを地方自治体が自ら改革し、保有情報やマイナンバーカード等のデジタルの力を最大限活用することで、「書かない」、「待たない」、「回らない」を実現します。これらの実現により、「窓口手続における住民の負担を軽減」と「地方自治体職員の業務負荷を軽減」の両立を目指し、窓口サービスの向上につなげる狙いがあります。
DXを成功させるための5つのポイント
DXを成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
- ②自社ならではのDX戦略を策定する
- ③十分なDX人材を確保する
- ④スモールスタートクイックウィンを実現する
- ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。
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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。
そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。
具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。
一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。
②自社ならではのDX戦略を策定する
あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。
その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。
そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。
③十分なDX人材を確保する
DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。
本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。
また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。
そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。
※DX総研では経験豊富なコンサルタントによる、DXに関する個別無料相談会を実施しております。DX人材の確保や自社に合った推進方法などでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
④スモールスタートクイックウィンを実現する
DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。
そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。
そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。
取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。
これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。
⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。
そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。
一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。
もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。
DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。
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- 自社にデジタル活用の経験や知識のある人がおらず困っている