DXとIoT/ICTの違いとは?IoTを活用したDX推進事例5選も紹介

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。

 

DXとIoT/ICTの違いをひとことでいうと、IoT/ICTはDXを実現するための手段の一つと位置付けられます。

 

本記事では、DXとIoT/ICTの違い、IoTを活用したDX推進事例、IoTを活用したDXを成功させるポイントなどを分かりやすく解説していきます。


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DXとは?

DXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。

 

単なるデジタル化・IT化ではなく、デジタル活用により、業務やサービス、ビジネスモデルを大きく変革していく取り組みであるという点が大きなポイントです。

 

経済産業省は、2018年に発表した「DX推進ガイドライン」において、DXを以下のように定義しています。

 

“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”

 ー出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0

 

例えば、動画配信大手のNetflixが、宅配型のDVDレンタル事業からサブスクリプション型のオンライン動画配信サービスへとビジネスモデルを変革したのは、DXの代表的な事例といえるでしょう。

 

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【図解】DXとIoTの違い

【図解】DXとIoTの違い

DXとIoTの違いをひとことでいうと、IoTはDXを実現するための手段の一つと位置付けられます。

 

DXとは、デジタル技術を活用し、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。

 

一方で、IoT(Internet of Things)とは、「モノのインターネット」ともいい、家電、自動車、建物など、日常で使うあらゆるモノにセンサーを設置し、インターネット接続することで生活の利便性を大きく向上させる技術です。

 

IoTを顧客に販売する商品に搭載すれば、顧客による商品の使用状況がわかり、UIやデザインの改善に役立てることができます。また、工場機械にIoTを搭載することで、生産のボトルネックを発見し、より効率的な業務プロセスを構築することができるようになります。

 

このように、IoTは、既存の業務プロセスの変革やサービスの体験価値向上に貢献し、DXを実現するための有効な手段となるのです。

 

【図解】DXとICTの違い

【図解】DXとICTの違い

DXとICTの違いをひとことで表すと、ICTはDXを実現するための手段の一つと位置付けられます。

 

ICT(Information and Communication Technology)とは、コンピュータやインターネットを用いて情報を処理・伝達するための技術全般を指す言葉です。電子メール、Web会議システム、クラウドなどはICTの典型例です。ICTにより、情報の処理や伝達・共有が効率化され、社内でのコミュニケーションが促進されます。

 

このように、ICTはデジタル技術を用いて情報伝達を効率化することを目的としているのに対し、DXはデジタル技術を用いてビジネスモデルの変革や業務プロセス全体の改革を目的としています。ICTによる情報伝達技術は、DXを実現する上で重要な要素となっています。

 

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IoTを活用したDXの推進事例5選

企業によるIoTを活用したDXの推進事例として、以下の5つが挙げられます。

 

  • ①【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築
  • ②【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供
  • ③【トヨタ】工場と現場などの部署間にまたがる情報共有基盤「工場IoT」を構築
  • ④【IHI】AIによるデータ分析も活用したIoTプラットフォームを構築
  • ⑤【三菱電機】FA技術とIT技術を活用したソリューション「e-F@ctory」を提案

 

それぞれの事例についてわかりやすく解説していきます。

 

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①【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築

【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築
(画像:ダイキン)

ダイキン工業は、空調機や化学製品の製造を手掛ける大阪に本拠を置く世界的なメーカーです。同社は、2021年より「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始し、IoTにより空調機をクラウド環境に接続して一括管理を可能にし、業務やエネルギー消費の効率化を実現しています。

 

【課題・背景】

  • オフィス空調設備のエネルギー消費量を最適化し、コスト削減と環境負荷の低減を目指す顧客企業のニーズが増加していた
  • 多くの顧客企業が、設備管理者の人手不足に伴い、オフィス空調設備の運用・制御を効率化する必要性に迫られていた

 

【具体的な取り組み】

  • 空調設備をインターネットでつなぐ「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始
  • 各拠点の空調設備をつなぐクラウド型の空調コントロールシステム「DK-CONNECT」の構築

 

【得られた成果】

  • 100万台以上のエアコンの接続と分単位のデータ取集・リアルタイム制御を実現
  • スマホやタブレットから空調設備の監視・運用が可能となり、オフィスを巡回する手間をカット、業務時間の短縮を実現
  • 部屋単位で空調を制御したり、人数に応じて自動で設定温度を調整するなど、空調設備の運用最適化によるエネルギー消費量の削減

 

②【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供

【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供
(画像:コマツ)

コマツは、ショベルやブルドーザーなどの建設機械や鉱山機械の製造を手掛ける日本の大手建設メーカーです。同社は、IoTやAIなどのデジタル技術を建設機械や産業機械に搭載した新たなソリューションを開発・提供し、製造業界や建設業界におけるモノづくりの現場のDXを支援しています。

 

【課題・背景】

  • 建設業界の人手不足に伴う、現場作業の効率化・省人化のためのソリューションを求める顧客企業がますます増えていた

 

【具体的な取り組み】

  • 建設・製造業界の企業に対して、遠隔地から機械の稼働状況を確認できるIoTを活用した管理システム「Komtrax」の開発・提供
  • 建設・製造業界の企業に対して、AIが部品の劣化状態を把握し、故障前に交換時期を予測する予知保全システムの提供
  • 建設業界の企業に対して、センサーを搭載し、自動制御を可能にしたICT建機の製造・販売

 

【得られた成果】

  • 機械の稼働状況の一元管理が可能となり、稼働率の向上、メンテナンス時期の把握、生産量集計の自動化などによる顧客の現場作業の効率化・生産性向上を実現
  • ある企業は、Komtraxにより、設備の稼働率が向上し、生産性が140%も増加するなど大幅な改善を実現
  • 遠隔地から顧客の機械の稼働状況や部品の劣化状態の把握が可能となり、効率的かつ適切な修理・保全サービスの提案が可能に

 

③【トヨタ】工場と現場などの部署間にまたがる情報共有基盤「工場IoT」を構築

【トヨタ】工場と現場などの部署間にまたがる情報共有基盤「工場IoT」を構築
(画像:トヨタ)

トヨタは、CADデータなど既存のデジタル化データを一元管理し、工場と現場などの部署間にまたがる情報共有基盤「工場IoT」を構築しています。

 

【課題・背景】

  • 顧客から得たデータから取得したインサイトを技術開発や実際の製造にタイムリーに反映させるのに苦戦していた

   

【具体的な取り組み】

  • 工場横断の共有プラットフォームを2~3年かけて段階的投資
  • 組み付けの工程において、工具交換に起因する設定、加工精度などの情報の変化と相関を把握し、それらの情報から原因を推定し、対策すべきポイントを特定

 

【得られた成果・今後の展望】

  • 「工場IoT」で得られた成果を受け、エンジニアリングチェーンやサプライチェーンのデジタル化に着手し、品質向上や商品力向上、法規への対応等、付加価値向上を目指す

 

④【IHI】AIによるデータ分析も活用したIoTプラットフォームを構築

【IHI】AIによるデータ分析も活用したIoTプラットフォームを構築
(画像:IHI)

日本の大手重工業メーカーであるIHIは、IoTとAIによるデータ分析を融合させたIoTプラットフォームを整備しています。

 

【課題・背景】

  • AI及びデータ分析の利活用によってIHIの新たな価値を創造したい

    

【具体的な取り組み】

  • IoTプラットフォーム「ILIPS」(IHI group Lifecycle Partner System)を整備・運用
  • ILIPSでお客さまに納めた装置からクラウドサービスに稼働データを集め、モニタリングや異常通知、データ分析に基づく異常診断などを提供
  • 連携機能を標準搭載した IHI オリジナルの制御ユニット「CSIGS」を提供
  • 装置の稼働データを集めて ILIPS に送ることに特化したエッジデバイスを開発

 

【得られた成果】

  • ILIPS、IoT デバイスの CSIGS とエッジデバイスの 3本柱によって構成されるIHIグループのIoTプラットフォームが実現され、顧客の多様なニーズに迅速に応えられる高度なプラットフォームが生まれた
  • ILIPSをIHIグループ内外のシステムと連携させ、より付加価値の高いサービスを提供したいというニーズが高まった

 

⑤【三菱電機】FA技術とIT技術を活用したソリューション「e-F@ctory」を提案

【三菱電機】FA技術とIT技術を活用したソリューション「e-F@ctory」を提案
(画像:三菱電機株式会社)

三菱電機は、生産工程の自動化を図るシステムであるFA(Factory Automation)技術とIT技術を活用することで開発・生産・保守の全般にわたるトータルコストを削減し、お客様の改善活動を継続して支援するソリューション「e-F@ctory」を提案しています。

 

【課題・背景】

  • グローバル化により、国内製造メーカーの多くが海外メーカーとの熾烈な競争に巻き込まれている中、競争力向上のためにものづくり全体のIoT化・最適化を遂行する必要に迫られていた

  

【具体的な取り組み】

  • 「生産現場」、「ITシステム」、およびそれらを連携するための「エッジコンピューティング」の3階層に分かれたe-F@ctoryを提供
  • 生産現場では、様々なデータをリアルタイムに収集・蓄積して可視化
  • エッジコンピューティングでは、生産現場で収集したデータを分析し、即座に生産現場へフィードバックすることで、予知保全などを実現
  • ITシステムでは、SCADAやシミュレータなどのソフトウェアや、クラウドサービスを活用し、生産現場の改善を実現

 

【得られた成果・今後の展望】

  • FA機器システムを開発製造する名古屋製作所ではe-F@ctoryを導入し、生産性・品質・省エネ・安全性等の向上を実現
  • 顧客の改善活動を継続して支援予定

 

IoTを活用したDX推進を成功させる5つのポイント

DXを成功させるための5つのポイント

IoTを活用して、DXを成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。

 

  • ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
  • ②自社ならではのDX戦略を策定する
  • ③十分なDX人材を確保する
  • ④スモールスタートクイックウィンを実現する
  • ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

 

それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。

 

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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む

DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。

 

そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。 

 

具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。

 

一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。

 

②自社ならではのDX戦略を策定する

自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。

 

その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。

 

そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。

 

③十分なDX人材を確保する

DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。

 

本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。

 

また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。

 

そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。

 

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④スモールスタートクイックウィンを実現する

DX スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。

 

そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。

 

そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。

 

取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。

 

これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。

 

⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

DX ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。 

 

そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。

 

一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。

 

もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。

 

DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。

 

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