DXとCXの違いは?DXによりCXを高める3つの方法や事例5選も紹介
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。CX(カスタマー・エクスペリエンス)とは、顧客が製品やサービスを利用する際に感じる体験全体を指します。
DXとCXの違い・関係性をひとことで言うと、DXはCXを実現するための手段と位置付けられます。
DXをうまく推進することで、既存の製品・サービスの付加価値を高めたり、より顧客のニーズにマッチした提案を行ったりなど、CXを効果的に高めることが可能となります。
本記事では、DXとCXの違い、DXによりCXを高める方法、DXでCXを向上させた国内の成功事例5選について分かりやすく解説していきます。
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目次
DXとは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。
単なるデジタル化・IT化ではなく、デジタル活用により、業務やサービス、ビジネスモデルを大きく変革していく取り組みであるという点が大きなポイントです。
経済産業省は、2018年に発表した「DX推進ガイドライン」において、DXを以下のように定義しています。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
ー出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0
例えば、動画配信大手のNetflixが、宅配型のDVDレンタル事業からサブスクリプション型のオンライン動画配信サービスへとビジネスモデルを変革したのは、DXの代表的な事例といえるでしょう。
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DXとIT化の違い
DXはビジネスに「質的変化」をもたらすもので、IT化はビジネスに「量的変化」をもたらすものと区別でき、両者の関係はIT化はDXのための手段の1つと整理できます。
IT化は、既存の業務プロセスを効率化する手段です。例えば、書類に人手で記入・集計していたデータを、PC上の新たな社内システムに入力し、機械的に集計するようにすることで、作業時間が30%削減されるといったものが挙げられます。
それに対してDXは、IT化を含むデジタル活用による、業務やサービス、ビジネスモデルの大きな変革に向けた取り組みを指します。
DXの代表例として、動画配信大手のNetflixが挙げられます。同社は元々1997年にアメリカのカリフォルニア州で宅配型のDVDレンタルの会社としてスタートしました。その後、インターネットやデジタルデバイスの普及を受け、2007年にサブスプリクション型のオンライン動画配信サービスにビジネスモデルを変革しました。
この変革により、顧客は好きな時に好きな作品を視聴できるようになり、NetflixもDVDの仕入れや各家庭への配送などの膨大な業務が不要になり、かつ圧倒的な収益増加に成功しています。
また、このNetflixのDXの過程において、様々な既存の業務プロセスのIT化が進められているように、IT化はDXのための手段の1つと言うことがわかります。
CXとは?
CX(カスタマー・エクスペリエンス)とは、顧客が製品やサービスを利用する際に感じる体験全体を指します。これには、商品の購入前から購入後のサポートまで、すべての接点で顧客が受ける印象や感情が含まれます。
CXを改善することで、顧客満足度を高め、リピート購入や口コミでの拡散を促進することができます。
CXとUXの違い
UX(ユーザー・エクスペリエンス)とは、特定の製品やサービスを利用する際の体験を指します。例えば、ウェブサイトやアプリの使いやすさ、デザインの分かりやすさ、操作の快適さなどが、UXが想定するものです。UXは、ユーザーが製品やサービスを使うときに感じる直感的な満足感や利便性に焦点を当てます。
このように、CXは商品やサービスの購入前・購入後など様々な段階における総合的な体験を、UXは特定の製品やサービスを使うときの体験を指します。UXはCXの一部であり、両者は密接に関連していますが、カバーする範囲が異なるのです。
CXとCSとの違い
CS(カスタマーサポート)とは、顧客が商品やサービスを利用する際に生じた問題や疑問を解決するためのサポート業務を指します。具体的には、電話やメール、チャットでの問い合わせ対応、技術サポートなどが含まれます。
このように、CXは商品やサービスの購入前・購入後など様々な段階における総合的な体験を、CSは主に商品・サービスの購入後における事後的な体験を指します。CSはCXの一部であり、顧客が満足のいくサポートを受けることで、CX全体の質の向上に繋がります。
【図解】DXとCXの関係性とは?
DXとCXの関係性をひとことで言うと、DXはCXを改善・強化するための一つの手段と位置付けられます。
DXの取り組みを通じて、企業はビジネスモデルの変革や業務プロセスの改革を行い、その結果として、商品やサービスの価値が高まり、顧客満足度の向上に繋がります。
DXによるCX改善・強化の策として、データ分析による顧客ごとにパーソナライズされた商品/サービスの提案・提供や、チャットボットによる24時間365日の顧客対応などが挙げられます。
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DX推進によりCXを高めるための3つの方法
DXを推進してCXを高めるための方法として、主に以下の3つが挙げられます。
- ①データ分析によるパーソナライズされた製品・サービスの提供
- ②オンラインチャネルの創出による顧客との接点強化
- ③顧客からの問い合わせ対応の自動化による利便性の向上
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
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①データ分析によるパーソナライズされた製品・サービスの提供
顧客の購入履歴やウェブサイトの閲覧データ、ソーシャルメディアでの行動などの様々なデータを収集・分析し、顧客一人ひとりの好みやニーズを深く理解することで、顧客ごとにパーソナライズされた製品やサービスを提案することができます。
AIを導入することで、大量かつ多様なデータを迅速・正確に分析できるようになり、顧客理解の正確性や解像度が格段に高まりました。
顧客は、自分の好みに合った商品やサービスの提案を受けることができるため、満足度が高まり、購買率・リピート率の向上につながります。
例えば、メガネ販売で有名なJINSは、顧客の顔の形や髪型などのデータをもとに、その人に似合うメガネをレコメンドするアプリをリリースしています。
②オンラインチャネルの創出による顧客との接点強化
SNSでの広告・宣伝やECサイトでの商品販売など、多種多様なオンラインチャネルを新設することで顧客との接点を強化することができます。
従来は実際の店舗まで行かなければ購入できなかった商品を自宅からインターネットで購入できるようになったり、SNSを通じて新製品の情報を手軽に入手できるようになることで、顧客にとっての利便性が向上し、CXの改善・強化に繋がります。
また、顧客との接点強化は、顧客理解の深化につながり、各顧客の好みにマッチしたより質の高い製品を提供できるようにもなります。
③顧客からの問い合わせ対応の自動化による利便性の向上
チャットボットを導入することで、顧客からの問い合わせ対応を自動化することができます。特に、ChatGPTで話題の生成AIは、本物の人間のように自然な会話が可能であり、あらゆる問い合わせにも臨機応変に応答することができます。
AIチャットボットは、24時間365日対応することができるため、顧客にとっての利便性が向上します。
具体例として、AIを活用したフィンテック事業を手掛けるMILIZEは、ChatGPTを搭載したAI金融アドバイザー「MILI」というサービスをリリースしました。ユーザーからのお金に関する相談や質問に対してAIが的確に回答することができるサービスです。
DXによるCX向上に成功した事例5選
DXを推進してCXを高めることに成功した日本企業の事例として、以下の5つが挙げられます。
- ①【LIXIL】接客等のDXを進め業務効率化と顧客体験向上を同時に実現
- ②【アシックス】デジタル上の顧客接点を強化しEC/D2C売上比率を大幅に向上
- ③【りそな銀行】ToC向けワンストップ金融サービスアプリの提供
- ④【JINS】ユーザーが試着したメガネの似合い度をAIが判定
- ⑤【東急リバブル】多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース
それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。
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①【LIXIL】接客等のDXを進め業務効率化と顧客体験向上を同時に実現
LIXILは、建築材料や住宅設備機器などを製造・販売する日本を代表するメーカーの一つです。同社は、製品設計から接客まであらゆる販売プロセスにAIやIoTなどのデジタル技術を取り入れて、業務効率化と顧客体験(CX)の向上を同時に実現しました。
【課題・背景】
- コロナをきっかけとするECの普及に伴い、オンラインでの顧客接点・販売チャネルの確保の必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- LIXILの製品を購入したい企業に対して、自宅から接客を受けられるサービス「LIXILオンラインショールーム」の提供
- AIが顧客の希望に寄り添った見積りプランを提示する「かんたんプラン選び」の提供
【得られた成果】
- 忙しい人でも気軽に製品購入に関する相談や見積りの取得が可能となり、累計相談数15万組突破、顧客満足度93%を達成
- 時間を選ばず利用できるサービスとして「日本子育て支援大賞2023」を受賞
②【アシックス】デジタル上の顧客接点を強化しEC/D2C売上比率を大幅に向上
アシックスは、スポーツ用のシューズやウェアなどを製造・販売する日本を代表するスポーツ用品メーカーです。同社は、ランナー向けのスマホアプリなどを通じてデジタル上での顧客との直接の繋がり強化を進めることで、販売に占めるEC/D2C比率を高め、収益率の向上を実現しています。
【課題・背景】
- コロナをきっかけとする買い物のオンラインシフトに伴い、ECやD2Cでの販売比率を向上させ、売上げ拡大を図る必要に迫られていた
- アシックスの売上のうちECでの比率はわずか数%であり、EC比率拡大に向けた施策が喫緊の課題となっていた
【具体的な取り組み】
- ECサイトと連動し、限定クーポン等が貰えるロイヤリティプログラム「OneASICS」を展開し顧客接点を強化
- ランニングの記録と仲間とのシェアができるスマホアプリ「アシックスランキーパー」を提供し購入後の顧客との接点も獲得
- 購入後を含めた顧客データを活用し、各顧客の身体にフィットした商品を提案
【得られた成果】
- 卸売中心で顧客接点が限定的だったが、デジタル顧客基盤が1,000万人超へ
- 購入後も含めた多様な顧客接点の獲得により、ファン化を促進しLTVも向上
- 課題としていたEC売上比率が5%から18%へ、D2C比率が17%から33%へ向上
③【りそな銀行】ToC向けワンストップ金融サービスアプリの提供
【課題・背景】
- 銀行の預貸金の利ザヤ減少により、アプリなどのサービス提供による手数料など、新たな収益確保の必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- 個人顧客向けに、残高確認、振込、公共料金支払い、海外送金、投資運用、ローン、保険申込などがすべて行える「りそなグループアプリ」の提供
- 提携企業に対し、りそなグループアプリ提携基盤の提供
- APIエコノミーで地銀連合形成
【得られた成果】
- 普通預金や定期預金、資産運用やローンなど、口座状況をいつでもワンタップで確認可能に
- お金を貯めたい目的と金額に応じた積み立て方の提案や、レポートであなたの支払いを自動で見える化など資産形成をアプリがサポート
- AIが口座状況や銀行取引を分析し、ムダな出費や貯金についてパーソナライズされたアドバイスを提供し、顧客満足度が向上
- 過去1か月で25,000件以上クリックされ、App Storeは4.6、Google Playは4.3の評価を獲得
④【JINS】ユーザーが試着したメガネの似合い度をAIが判定
メガネを中心としたアイウェアを提供するJINSは、ユーザーが試着したメガネの似合い度をAIが判定する「JINS BRAIN」というサービスを提供しています。
【課題・背景】
- 顧客の「自分に似合うメガネが分からない」「探しているメガネがなかなか見つからない」という問題を解決したい
【具体的な取り組み】
- ユーザーが画面上で試着したメガネの似合い度をAIが判定する「JINS BRAIN」をJINSのオンラインショップで提供
- AIがユーザーの顔の形や髪型をもとに、そのメガネが似合っているかどうかを判定
- ランキング形式で各ユーザーに似合うメガネをレコメンドする機能も搭載
【得られた成果】
- メガネがより選びやすく、スムーズに購入できる体験を実現
⑤【東急リバブル】多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース
土地から建物まであらゆる不動産の情報を提供する東急リバブルは、DXの一環として、AIを活用した様々な新規サービスの創出を行っています。
【課題・背景】
- 「急な転勤等に備えて売却価格を知りたい」「自分に合った物件をすぐに見つけ出したい」といった顧客の様々なニーズに応えたい
【具体的な取り組み】
- AIにより所有不動産の価格を簡単査定する「スピードAI査定」のリリース
- AIを活用することで相性ぴったりの物件を探すことができる「AI相性診断」のリリース
- AIが投資用区分マンションのおすすめ度を顧客ごとに分析してレコメンドする「投資用区分マンションAIマッチングシステム」を 開発・運用
【得られた成果】
- スピードAI査定は、所有する不動産を登録するだけでAIが瞬時に価格を査定する利便性が評価され、登録者が1万人を突破
- AI相性診断は、パーソナライズされた物件情報をスピーディに提供、マッチ度95%を達成
- 投資用区分マンションAIマッチングシステムは、営業経験5年以上の担当者と同等レベルの物件選定・提案力を実現
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CX向上のためにDXを成功させる5つのポイント
CX向上のためのDXを成功させるポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
- ②自社ならではのDX戦略を策定する
- ③十分なDX人材を確保する
- ④スモールスタートクイックウィンを実現する
- ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。
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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。
そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。
具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。
一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。
②自社ならではのDX戦略を策定する
あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。
その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。
そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。
③十分なDX人材を確保する
DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。
本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。
また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。
そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。
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④スモールスタートクイックウィンを実現する
DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。
そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。
そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。
取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。
これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。
⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。
そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。
一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。
もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。
DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。
CX向上のためのDXを推進する6つのステップ
CXを高めるためのDXの進め方は大きく6つのステップに分けられます。
それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。
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ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する
DX推進の最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。
「DX推進後の理想の自社の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。
本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。
自社の業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、市場環境や自社の特性を踏まえ、検討しましょう。
例えば、業務のデジタル化すら進んでいない企業であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる企業であれば、3年後までに製品/サービスやビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。
ステップ2:自社の現状と課題を把握する
続いて、自社が現状どの程度DXを推進できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。
本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX推進指標」を活用することで、企業文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。
それぞれの観点における自社の成熟度のレベルを把握することで、特にDX推進が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。
ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する
前ステップで策定したビジョンと自社の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。
検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。
デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。
そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DXを推進しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。
例えば、受発注のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした企業であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の受発注プロセスをデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。
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ステップ4:DX推進チームを構築する
DXを推進するには、ビジョンや戦略を社員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。
そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。
また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。
- プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
- テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
- UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
- エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
- データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当
これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、社員に対するDX人材育成を実施する方法があります。
DX推進のスケジュールや、社員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。
ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる
これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。
ここで、いきなり全社単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。
そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の事業部や部門単位から進めるのがおすすめです。
前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各社員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。
これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDXの推進が可能になります。
ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる
業務のデジタル化を進めることで、企業は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。
これらのデータを分析し、新たな業務の課題やビジネスチャンスを発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。
さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、自社独自の詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強み蓄積こそが、他社には真似できない、ユニークな新サービスやビジネスモデルの創出の源泉となります。
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