DX化とは?身近な事例12選やIT化との違いもわかりやすく紹介
「DXやDX化という言葉が最近話題になっているけど、具体的に何のことかわからない」「DXについて、具体例とともに理解しておきたい」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、誰にでもわかる身近な例とともに、DX化とは何かについて、IT化との違いにも触れつつ、わかりやすく解説していきます。
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目次
DX化とは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。
単なるデジタル化・IT化ではなく、デジタル活用により、業務やサービス、ビジネスモデルを大きく変革していく取り組みであるという点が大きなポイントです。
経済産業省は、2018年に発表した「DX推進ガイドライン」において、DXを以下のように定義しています。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
ー出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0
そして、DX化とは、DXを実現した状態、すなわちデジタル技術による変革により競争力が高まった状態になることを意味します。
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DX化とIT化の違いとは?

DX化はビジネスに「質的変化」をもたらすもので、IT化はビジネスに「量的変化」をもたらすものと区別でき、両者の関係はIT化はDX化のための手段の1つと整理できます。
IT化は、既存の業務プロセスを効率化する手段です。例えば、書類に人手で記入・集計していたデータを、PC上の新たな社内システムに入力し、機械的に集計するようにすることで、作業時間が30%削減されるといったものが挙げられます。
それに対してDX化は、IT化を含むデジタル活用による、業務やサービス、ビジネスモデルの大きな変革を指します。
DX化の代表例として、動画配信大手のNetflixが挙げられます。同社は元々1997年にアメリカのカリフォルニア州で宅配型のDVDレンタルの会社としてスタートしました。その後、インターネットやデジタルデバイスの普及を受け、2007年にサブスプリクション型のオンライン動画配信サービスにビジネスモデルを変革しました。
この変革により、顧客は好きな時に好きな作品を視聴できるようになり、NetflixもDVDの仕入れや各家庭への配送などの膨大な業務が不要になり、かつ圧倒的な収益増加に成功しています。
また、このNetflixのDX化の過程において、様々な既存の業務プロセスのIT化が進められているように、IT化はDX化のための手段の1つと言うことがわかります。
DX化の身近な事例12選
企業や自治体などによるDXの身近な具体例として、以下の12事例が挙げられます。
- ①テレワーク/オンライン会議
- ②Eコマース
- ③キャッシュレス決済
- ④配車サービス
- ⑤フードデリバリー
- ⑥ネットバンキング
- ⑦サブスクリプションサービス
- ⑧無人店舗
- ⑨スマート家電
- ⑩オンライン授業
- ⑪オンライン診療
- ⑫ドローンでの配送
それぞれの取り組みについて分かりやすく解説していきます。
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①テレワーク/オンライン会議

テレワークとは、「Tele(離れて)」と「Work(仕事)」を組み合わせた造語で、自宅やサテライトオフィスなど会社から離れた場所で仕事を行うことです。テレワークによって「場所にとらわれないビジネススタイル」が実現できます。
テレワークに必須なツールの1つとしてオンライン会議が挙げられます。オンライン会議は、インターネットを通じて遠隔で社内会議や外部との打ち合わせなどを行うことを指します。
総務省によると、テレワークの導入率は2019年の20.2%から2020年は47.5%へと一気に増加しており、2023年には51.7%に達しています。
オンライン会議ツールの代表例としてはZoomやGoogleMeet、Skypeなどが挙げられます。
②Eコマース

Eコマース(電子商取引)とは、インターネット上で商品やサービスの売買を行うビジネスモデルのことです。コロナによるオンラインシフトをきっかけに、Eコマースの需要が急増し、多くの企業がインターネット上での商品/サービスの提供・販売を開始しています。
Eコマースには、既存のプラットフォーマーが提供するECサイト上に多数のショップが出品するマーケットプレイス型ECサイトと、無数のECサイトがショッピングモールのように立ち並ぶモール型ECサイトの2種類に分けられます。
前者の代表例としては楽天市場やShopify、後者の代表例としてはAmazonや中国のEC大手アリババなどが挙げられます。
2023年8月に経済産業省が発表した調査結果によると、2022年におけるToCのEコマースの国内市場規模は22.7兆円(前年比9.91%増)、ToBのEコマースの国内市場規模は420.2兆円(前年比12.8%増)に達していることが明らかとなりました。企業のDX推進のトレンドとともに、Eコマースの市場規模は、今後もますます増加していくと予想されています。
③キャッシュレス決済

キャッシュレス決済とは、現金を使用せずに支払いを行うことです。キャッシュレス決済には、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、コード決済などさまざまな手段があります。
電子マネーはSuicaやnanacoなどの事前にチャージしたカードやアプリを専用機器にかざして支払う方法、コード決済は店舗側もしくは顧客側がQRコードを提示してもう一方が読み取る方法を指します。
現在ではスマートフォン所有者の72.8%がコード決済を利用しており、コード決済の代表例としてはPayPay、楽天ペイ、d払いなどがあります。
ITリサーチ会社であるMMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「2024年3月QRコード決済の利用に関する調査」によると、コード決済トップは「PayPay」で、PayPayは国内のコード決済利用者のうち49.5%が利用しており、それに次ぐ楽天ペイの25.9%と大きな差をつけています。
キャッシュレス決済は現在にかけて堅調な普及率の上昇を遂げており、経済産業省によると2010年は13.2%であったのに対し、2023年は39.3%となっています。特に、コード決済は2018年からの6年間で0.2%から10.9%と50倍以上の伸びを見せています。
④配車サービス

配車サービスとは、利用者がスマートフォンのアプリを通して利用したい時にタクシーなどの自動車を呼べるサービスです。「乗りたい」と「乗せたい」を瞬時にマッチングし、自動車利用の効率化を実現します。
配車サービスは個人が保有するモノや場所、スキルといった遊休資産の貸出を仲介するシェアリングエコノミーというビジネスモデルの一種です。
Straits Research社によると、世界の配車サービスおよびタクシー市場規模は、2023年に2,432.3億米ドルと評価されており、2024年の2,708.1億米ドルから2032年には6,395.5億米ドルに達し、予測期間(2024~32年)にわたって年平均成長率11.34%で成長すると予想されています。
配車サービスの代表例として、Uber taxiとDiDiが挙げられます。DiDiは、AIを活用した高度な分析・予測テクノロジーでタクシー配車の最適化を実現しています。
⑤フードデリバリー

フードデリバリーとは、飲食店の商品を顧客が指定した場所まで届けるサービスです。スマートフォンアプリなどを通じて商品を簡単に注文することができます。
フードデリバリーの市場は2016年の3,770億円から2023年には8,622億円に年々順調に拡大しています。特にコロナが流行した2020年には、巣ごもり需要の追い風を受けて、大幅に利用が増加しました。
日本でのフードデリバリーの代表例はUber Eats、出前館、Woltなどが挙げられます。アプリから届け先を指定し、好きな料理を選ぶことで簡単に配達を頼むことができます。また、オンライン決済を利用すれば置き配を利用することで配達者と顔を合わせることなく利用が可能です。
⑥ネットバンキング

ネットバンキングとは、パソコンやスマートフォンなどのインターネット端末を使って、銀行口座の残高照会や振込など、銀行の取引を行うサービスです。実店舗とインターネット上の両方で取引が行える銀行のほか、実店舗を持たずインターネットバンキングだけをサービスとして提供している「インターネット支店」や「インターネット専業銀行」もあります。
ネットリサーチ会社のマイボイスコムによると、現在インターネットバンキングの利用経験率は7割強に上っています。主な利用目的としては、「口座情報の照会・明細の確認」「振り込み・送金」がそれぞれ利用者の8割前後を占めています。
日本の代表的なネットバンキングとして、三井住友銀行のインターネットバンキング「SMBCダイレクト」があります。生体認証で安全にログインして取引を行うことができるほか、証券会社など他の口座や電子マネー、ポイントとの連携、毎月の収支や資産全体の管理も可能となっています。
⑦サブスクリプションサービス

サブスクリプションとは、定期的な料金を支払ってサービスや商品を利用するビジネスモデルのことです。代表例として、NetflixやAmazon Primeなどの動画ストリーミングサービス、定期的に届く食材やコスメのボックスなどが挙げられます。
サブスクリプション形態をとることで、企業は将来にわたり安定した収益を確保することができます。また、将来の収益の見通しが明確になるため、サービスの改善や開発にどれくらい資金を投下するかを比較的容易に判断することができます。
サブスクリプションは、一回きりの販売と異なり、顧客と継続的な関係を構築していくことを前提にしているため、提供する側は、常にサービスの質を改善し、顧客の体験価値を高めるための努力を続けることが求められます。
⑧無人店舗

無人店舗とは、店員が常駐せず顧客が自分で商品を選び、購入手続きを行う店舗のことを指します。AIカメラやAIセンサー、商品につけたICタグやキャッシュレス決済など、さまざまなIT技術を駆使することで、無人での買い物を実現しています。
顧客側はレジを待たずに会計を行うことができ、店舗側は人手不足を解消することができるため双方にメリットがあります。
無人店舗は主に「セルフレジが設置されている店舗」と「レジ無しの店舗」の2種類に分けられます。レジ無しの店舗は、事前にアプリ等に登録をしておくことで、認証ゲートで顧客認識を行ない、手に取った商品に基づいて自動精算するためレジを通さずにそのまま退店できます。
無人店舗の代表例として、Amazon GOが挙げられます。店内にはカメラとマイクが設置されており、AIが何の商品を手に取ったか認識します。また、商品の陳列棚には赤外線、圧力、重量センサーなどが設置されており、商品の在庫、移動などもトラッキングしています。それらをリアルタイムで専用アプリと連携させることにより、店を出ると同時にAmazonアカウントで決済できる仕組みです。
⑨スマート家電

スマート家電とは、スマートフォンやタブレット、音声アシスタントなどを通じて遠隔操作や自動化が可能な家電製品のことを指します。
「モノ」をインターネットに接続する技術であるIoT(Internet of things)を活用しており、快適な暮らしをサポートします。外出先からでも家電を動かせたり、タイマー機能で家電の自動化ができたりと、家事の負担を軽減することが可能です。
近年ではAIが搭載されているスマート家電も多く、家電をインターネットに繋げるだけでなく、AIが利用状況などを学習し、最適化されるようになっています。
スマート家電の代表例として、スマホと連携可能な冷蔵庫やエアコンが挙げられます。例えば、シャープのスマート冷蔵庫にはAIが搭載されており、ドアの開閉履歴から生活パターンを分析し、食品に影響のない範囲で庫内の温度を自動で下げて省エネを実現します。
⑩オンライン授業

オンライン授業とは、インターネットを利用して行われる授業のことです。学生と生徒が物理的に同じ空間にいなくても、パソコンやタブレット、スマートフォンを通じてリアルタイムで授業を受けたり、録画した講義を視聴したりすることができます。
オンライン授業により場所や時間の制約がなくなり、体調不良などの諸事情により対面での受講が難しい生徒が学びを継続できるほか、遠隔地に住む学生の学習の機会を増やすことができます。
オンライン授業はコロナウイルスの流行時に多くの学校で導入されました。文部科学省によると、「2020年後期はオンライン授業がほとんど又は全てだった」と回答した学生は全体の6割に上ったとのことです。
⑪オンライン診療

オンライン診療とは、インターネットを利用して医師や医療専門家が患者と遠隔で診察や相談を行う医療サービスのことです。
ビデオ通話、電話、チャット、専用アプリを通じて、患者は自宅や職場からでも医師に相談できるため、従来の対面診察に比べて便利で迅速な医療サービスを受けることができます。
一方で、オンライン診療は直接の対面による診療と異なり触診等ができないため、医師が得られる情報が限られます。そのため、以下のようなルールがあります。
- 対面診療と適切に組み合わせて実施することが基本
- 適切な診療のため、原則としてかかりつけの医師が実施
- 医師がオンラインによる診療が適切でないと判断した場合には利用できない
近年では、コロナウィルスをきっかけに遠隔診療の必要性が増加したことや地方での医師不足の問題などを受けて、オンライン診療の要件を緩和する動きも見られています。
医療業界におけるDXについては、以下の記事でも分かりやすく解説しています。
⇒医療DXとは?5大メリットとデメリット、成功事例7選も紹介
⑫ドローンでの配送

ドローンを使用して商品や荷物を指定された場所に配達する方法は、物流の新たな選択肢として期待されています。海外では実用化もされています。
日本では未だ実用化はされていませんが、2022年12月に「航空法等の一部を改正する法律」が施行され、日本国内でのドローンのレベル4飛行が解禁されたことにより有人地帯でもドローンの自律飛行ができるようになりました。
海外におけるドローン配達の事例として、ドミノピザは2016年にニュージーランドにおいて世界で初めてドローンによるピザの宅配サービスを実施しました。ユーザーがスマホでピザを注文すると、ドミノピザの無人航空機がGPSナビゲーションを利用して目的地まで移動、ワイヤーでピザの入った箱を下し、配達します。
DX化の5つのメリット

DX化を推進するメリットの代表的なものとして以下の5つが挙げられます。
- ①業務効率化やコスト削減を実現できる
- ②データ活用により企業の競争力を高められる
- ③新たなサービスやビジネスモデルを創出できる
- ④働き方改革を推進できる
- ⑤事業停止のリスクを回避できる(BCPの充実)
それぞれについて分かりやすく解説していきます。
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①業務効率化やコスト削減を実現できる
DX化を推進し、手作業で行っていた各業務のデジタル化を進めることで、業務効率化やコスト削減を実現できます。
例えば、書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理したり、RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化したりといった取り組みが挙げられます。
これらの取り組みにより、作業時間の短縮やヒューマンエラーの防止、作業人員の縮小などの成果が期待できます。
また、個別作業のデジタル化だけでなく、デジタル活用を前提とした、既存の業務プロセス全体の見直し・カイゼンを行うことで、より大きな成果を上げることが可能です。
②データ活用により企業の競争力を高められる
DX化により、より多くのデータを収集したり、蓄積しているデータを有効活用することで、企業の競争力を高めることができます。
例えば、購入前〜購入後までの一連の顧客接点のデジタル化を進めることで、より広範囲な顧客情報や消費行動データを収集したり、これまで社内の各チームでバラバラに管理していたデータを、一元管理できるシステムを構築するなどの取り組みが挙げられます。
これらの取り組みにより、よりパーソナライズされた商品提案やプロモーション施策を実施したり、より詳細なデータを活用し、精度の高い戦略や企画の立案を行ったりすることが可能になり、競合との差別化を図ることができます。
③新たなサービスやビジネスモデルを創出できる
DX化を推進し、既存業務のデジタル化を進めることは、新たなサービスやビジネスモデルの創出に繋がります。
既存業務のデジタル化に取り組む過程で、詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどを得ることができます。
それらを、新たなサービスの企画や構築に活用することで、既存事業の延長線上にはない、新たな顧客体験・提供価値を実現することに繋がります。
デジタルをベースとした新規性の高いサービスやビジネスモデルの創出により、競合との差別化や収益性の向上を図ることができます。
④働き方改革を推進できる
DX化を推進し、デジタル活用により業務効率化を進めることで、働き方改革を推進することができます。
DX化による業務効率化は、従業員の長時間労働の削減に直結します。また、業務プロセスのデジタル化やコミュニケーションツールの導入などにより、リモートワークがしやすい環境を整備することで、柔軟な働き方を実現することにも繋がります。
これらの取り組みにより、より働きやすい環境を整え、従業員の負担/ストレスの軽減、モチベーションの向上が期待できます。また、捻出した時間をより付加価値の高い事業や業務に集中させ生産性を向上させることも可能です。
⑤事業停止のリスクを回避できる(BCPの充実)
DX化に取り組むことで、BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)の充実に繋がり、緊急時の事業停止のリスクを回避できるというメリットもあります。BCPとは、災害や感染症の流行、システム障害などの緊急事態が発生した際の対策の計画のことを指します。
例えば、リモートワークを推進することで災害や感染症の流行時にも大きな支障なく業務を進められる、レガシーシステムを脱却することでシステム障害が発生し復旧にも時間がかかるといったリスクを避けられるといったメリットがあります。
このようなBCPの充実は、取引先や株主からの信頼性の向上や企業価値向上にも繋がります。
【業界別】企業によるDX化の成功事例30選
大手企業によるDXの取り組みのうち、特に参考になるものとして、業界別に以下の30事例が挙げられます。
<製造業界>
- ①【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築
- ②【パナソニック】電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用
- ③【日産自動車】メタバース上に3Dの自動車を再現し、新車発表会・試乗会を開催
<建設業界>
- ④【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供
- ⑤【戸田建設】現場点検用のAIカメラで動画確認時間を9割削減
- ⑥【清水建設】設備機器をAPIで連携させて運用・制御する建設OS「DX-Core」を展開
- ⑦【鹿島建設】BIM技術を活用しデジタルツインを実現
<小売業界>
- ⑧【丸井グループ】百貨店×フィンテックにより売上の多角化を実現
- ⑨【ファミリーマート】外国籍従業員の在留資格の確認が瞬時にできるアプリを導入
<飲食業界>
- ⑩【サントリー】働き方の柔軟性向上によりテレワークの利用者が約15倍に
<不動産業界>
- ⑪【三菱地所】IT技術を駆使して次世代型スマートシティの推進
- ⑫【三井不動産】ロボットが稼働しやすいオフィス環境の構築
- ⑬【東急リバブル】多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース
<アパレル業界>
- ⑭【ワコールホールディングス】3D計測したデータをもとに各顧客にフィットした下着を提供
- ⑮【JINS】ユーザーが試着したメガネの似合い度をAIが判定
<金融業界>
- ⑯【SMBCフィナンシャルグループ】契約件数200万件以上のモバイル総合金融サービス「Olive」を提供
- ⑰【三菱UFJ銀行】ChatGPT利用で月22万時間の労働時間削減へ
- ⑱【東京証券取引所】オンラインでETF取引ができるシステムをアジャイル開発
<保険業界>
- ⑲【三井住友海上火災保険】AIによるスコアリングなど様々な新規ソリューションを提供
- ⑳【東京海上ホールディングス】IoT搭載のドラレコにより交通事故削減に貢献
<物流業界>
- ㉑【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功
- ㉒【SGホールディングス】AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRでトラックドライバーの労働負担を軽減
- ㉓【日本郵船】運航データの収集にAIを活用することで、船舶のIoT化を推進
<医療業界>
- ㉔【東京ミッドタウンクリニック】疾病リスク予測AIで疾病リスクを正確に予測
- ㉕【第一三共】AIやビッグデータを活用して創薬プロセスを刷新
- ㉖【国立がん研究センター】内視鏡画像をAIに解析・診断させ、がんの早期発見につなげる
<エンタメ・観光業界>
- ㉗【星野リゾート】全国の営業拠点のデータを即時に集め来館予約のキャンセル率を半減
<その他>
- ㉘【マクニカ】SCMシステム刷新により需要予測の自動化率80%を達成
- ㉙【KDDI×長野県伊那市】ドローンデリバリーサービス構築事業「ゆうあいマーケット」を運用開始
- ㉚【NECネッツエスアイ株式会社】ICTを活用したテレワークの導入を推進
それぞれの事例について分かりやすく解説していきます。
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<製造業界>
①【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築

ダイキン工業は、空調機や化学製品の製造を手掛ける大阪に本拠を置く世界的なメーカーです。同社は、2021年より「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始し、IoTにより空調機をクラウド環境に接続して一括管理を可能にし、業務やエネルギー消費の効率化を実現しています。
【課題・背景】
- オフィス空調設備のエネルギー消費量を最適化し、コスト削減と環境負荷の低減を目指す顧客企業のニーズが増加していた
- 多くの顧客企業が、設備管理者の人手不足に伴い、オフィス空調設備の運用・制御を効率化する必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- 空調設備をインターネットでつなぐ「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始
- 各拠点の空調設備をつなぐクラウド型の空調コントロールシステム「DK-CONNECT」の構築
【得られた成果】
- 100万台以上のエアコンの接続と分単位のデータ取集・リアルタイム制御を実現
- スマホやタブレットから空調設備の監視・運用が可能となり、オフィスを巡回する手間をカット、業務時間の短縮を実現
- 部屋単位で空調を制御したり、人数に応じて自動で設定温度を調整するなど、空調設備の運用最適化によるエネルギー消費量の削減
②【パナソニック】電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用

パナソニックは、日本を代表する大手家電メーカーです。同社は、DXを核とするグループ横断の取り組みを「Panasonic Transformation(PX)」と称し、AIなどの最先端技術を取り入れながら、事業戦略の基礎となる業務・プロセス・カルチャーそのものの変革を2021年5月から進めています。
【課題・背景】
- 同社の電動シェーバー「LAMDASH(ラムダッシュ)」は20年以上にわたり改良を続けてきた製品であり、伸びしろが限界に来ていた
- モーターの高出力化が大きな課題となっていたが、人間の経験と知見では、これ以上の進化の余地はない状態だった
【具体的な取り組み】
- LAMDASHシリーズ次期商品のモーター設計に生成AIを活用
- AIがモーターの中核部品であるムーバーの構造をゼロベースで設計し、シミュレーション結果を基に改善するプロセスを自動で繰り返すシステムを構築
【得られた成果・今後の展望】
- 生成AIが設計したモーターは、熟練技術者による最適設計と比較して出力が15%UPし、品質向上を実現
- 人間では改善に数か月も要していたが、AIであれば数日でPDCAを回し、同等の改善が可能に
- 今後は電動工具や車載用モーター、シーリングファンなど、他の製品開発にもAIによる設計を採用する方針
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③【日産自動車】メタバース上に3Dの自動車を再現し、新車発表会・試乗会を開催

日産自動車は、メタバース事業に力を入れており、2021年11月から、世界最大のメタバースSNSプラットフォームである「VRChat」上に独自のワールドを開設し、様々なイベントを開催しています。
なかでも、2022年5月に開催された新型軽電気自動車である「日産サクラ」の発表会・試乗会は、まるで本物の車に乗っているかのようなリアルな試乗体験ができるとして話題となりました。
【課題・背景】
- コロナウィルスの流行により、通常は対面で行われる新車の発表会・試乗会の開催が困難に
- オンラインでは、車の魅力を十分にアピールできないことが課題であった
【具体的な取り組み】
- VRChatのメタバース空間上に独自のワールドを開設。満開の桜を背景に3Dのリアルな自動車を再現
- アクセスしたユーザーは、実際に仮想の自動車に乗って運転したり、四季折々の景色を眺めることができるなど仮想空間ならではの体験を提供
【得られた成果】
- ユーザーは、自宅にいながらまるで本物の車に乗っているかのように、リアルな試乗体験を満喫
- 現実の会場で開催する場合と異なり、物理的コストがかからず、低コストで多くのユーザーに新車をアピールすることに成功
<建設業界>
④【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供

コマツは、ショベルやブルドーザーなどの建設機械や鉱山機械の製造を手掛ける日本の大手建設メーカーです。同社は、IoTやAIなどのデジタル技術を建設機械や産業機械に搭載した新たなソリューションを開発・提供し、製造業界や建設業界におけるモノづくりの現場のDXを支援しています。
【課題・背景】
- 建設業界の人手不足に伴う、現場作業の効率化・省人化のためのソリューションを求める顧客企業がますます増えていた
【具体的な取り組み】
- 建設・製造業界の企業に対して、遠隔地から機械の稼働状況を確認できるIoTを活用した管理システム「Komtrax」の開発・提供
- 建設・製造業界の企業に対して、AIが部品の劣化状態を把握し、故障前に交換時期を予測する予知保全システムの提供
- 建設業界の企業に対して、センサーを搭載し、自動制御を可能にしたICT建機の製造・販売
【解決した課題・成果】
- 機械の稼働状況の一元管理が可能となり、稼働率の向上、メンテナンス時期の把握、生産量集計の自動化などによる顧客の現場作業の効率化・生産性向上を実現
- ある企業は、Komtraxにより、設備の稼働率が向上し、生産性が140%も増加するなど大幅な改善を実現
- 遠隔地から顧客の機械の稼働状況や部品の劣化状態の把握が可能となり、効率的かつ適切な修理・保全サービスの提案が可能に
⑤【戸田建設】現場点検用のAIカメラで動画確認時間を9割削減

戸田建設はAIを活用し、点検現場や医療現場など多岐にわたり効率化を実現しています。
【課題・背景】
- 点検現場での移動カメラ導入は進んでいたが、映像のブレが激しいもの、重機や人のみが撮影されている不要な映像も多く含まれており現場管理者の動画視聴時間が長時間化していた
- 精神科病院では、現在、人による目視での見守り対応が中心となっており、緊急事態における初動体制の強化を図る必要があった
【具体的な取り組み】
- 距離推計・除外処理をもとにAIが重要度を評価し「不安全そうな箇所」のダイジェスト動画を自動生成、現場管理者の動画視聴時間を削減するプラットフォームを導入
- 精神科病棟成仁病院にて、既設の防犯カメラなどの映像から、人の行動を検知・通知できる『asilla』による患者見守り等の実証実験を開始
【解決した課題・成果】
- 現場管理者の動画視聴時間を9割削減、15倍再生で55分もの時間がかかっていた視聴時間を、7分40秒に短縮することが可能に
⑥【清水建設】設備機器をAPIで連携させて運用・制御する建設OS「DX-Core」を展開

清水建設は、国内外における土木事業、建築事業などで事業展開している日本を代表するスーパーゼネコンです。同社は建設OS「DX-Core」を展開しており、設備連携時にかかる手間を解消しています。
【課題・背景】
- 従来型のシステム連携では設備間、システム間をそれぞれ接続連携する必要があり、コストや時間がかかっていた
【具体的な取り組み】
- 施工中に作成したBIMデータ等を、建物に備わるIoT情報を取り込める建物OS「DX-Core」へ展開
- 清水建設のエンジニアリング事業本部が関連設備API適用や個別システムのベンダーとの調整、全体動作確認を行う
- 複数の施設にあるDX-Coreから取得した情報をクラウド上で統合し、都市や建物のデジタルツインに活用することでスマートシティを実現
【解決した課題・成果】
- 関連設備は手間を考慮せず複数メーカーから選定可能となり、竣工後の更新コストを抑えることが可能
- 「DX-Core」は、空調、照明、エレベーター、自動ドアなどの設備機器をメーカー問わずAPIで連携させて運用・制御することで利便性や業務効率性の向上を実現
⑦【鹿島建設】BIM技術を活用しデジタルツインを実現

鹿島建設は、BIM技術を活用したデジタルツインで建築生産プロセスのデジタル化を進めています。
【課題・背景】
- 企画・設計から竣工後の維持管理・運営までの一貫した建物情報をデジタル化し、効率化を目指していた
【具体的な取り組み】
- 筑波大学発のスタートアップ企業であるPXDTが有する先進的なセンシング/三次元データ処理技術と、同社が培ってきたBIM技術を融合させ、デジタルツイン基盤「鹿島ミラードコンストラクション」を構築
- オービック御堂筋ビル新築工事にて、各フェーズにおける建物データの連携を可能にするBIMによるデジタルツインを実現
【解決した課題・成果】
- 鹿島建設のデジタルツイン基盤「KMC(Kajima Mirrored Construction)」の構築により、これまで正確な記録が難しかった建築現場の施工プロセスをデジタルデータで蓄積できるように
- 今後、BIMによるデジタルツインを全国の建築プロジェクトに展開することで、各フェーズにおける業務の効率化を図るとともに、高品質かつ高価値な建物を提供予定
※700社以上のご担当者様にお読みいただいている、建設業界を含む、国内外の最新メタバース/デジタルツイン活用事例101選をまとめた資料をダウンロード頂けます。
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<小売業界>
⑧【丸井グループ】百貨店×フィンテックにより売上の多角化を実現

日本を代表するデパート「丸井」を運営する丸井グループは、DXを推進することで、金融サービスの提供など小売の周辺領域にもビジネスの幅を拡大しています。オンラインとオフラインを上手に統合し、実店舗・EC両方での売上拡大とクレジットカード発行による収益の拡大を同時に実現しています。
【課題・背景】
- ECの加速に対応すべく、販売チャネルを多角化するとともに、フィンテック等の周辺領域にも参入して収益基盤を拡大したい
【具体的な取り組み】
- フィンテック事業に参入。低収入の若年層にも低限度額でクレジットカードを発行
- ITの活用により独自の与信システムを確立
【得られた成果】
- 5年間でカード会員数が23倍に増加し、2021年3月時点で709万人・取扱高2兆円超に到達
- 利用と支払を繰り返すことで顧客の信用が創造される仕組みを構築し、会員一人当たりのLTVが2~4倍の増加を達成
⑨【ファミリーマート】外国籍従業員の在留資格の確認が瞬時にできるアプリを導入

全国に約16,500店舗を展開するファミリーマートでは、約25万人のストアスタッフが働いており、その中には外国籍の従業員もいます。ファミリーマートは、外国籍従業員の採用にあたって必要となる在留資格の確認作業を、独自ツールを使って効率化しています。
【課題・背景】
- ストアスタッフ全体に占める外国籍従業員は10%未満だが、都心部では外国籍従業員が7~8割を締める地域・店舗もある
- 外国籍従業員の採用に当たっては在留資格の確認が必要だが、法制度が複雑で確認ミスが発生しかねない状況だった
【具体的な取り組み】
- 在留カードのICチップ情報を読み取り、在留資格の有無を正確に確認できるアプリ「ロムテン」を導入
【得られた成果】
- 1人当たり平均10~20分かかっていた在留資格の確認作業を約5分程度に短縮
- 就労可能な時間もわかるため、労務管理の効率化も実現
- 偽造の在留カードを見破ることができる仕組みとなっており、不法就労を防ぐことも可能に
<飲食業界>
⑩【サントリー】働き方の柔軟性向上によりテレワークの利用者が約15倍に

大手飲料メーカーのサントリーは、ボトムアップの働き方改革の一環としてテレワークを導入しています。
【課題・背景】
- 事業のグローバル展開など大きな変化のある環境下において、付加価値の創出による競争力強化の必要性に迫られていた
- 働き方改革を競争戦略と位置付け、「メリハリ」、「濃く働く」、「ライフワークバランス」の実現に向けた取り組みを推進
【具体的な取り組み】
- テレワークの範囲を拡大。自宅に限られていたテレワークの場所が、所属長の許可を受けた場所であればどこでも働けるように
- テレワークの取得単位を10分ごとにし、フレキシビリティを向上
- 高性能TV会議システムを導入
- 働き方ナレッジサイト「変えてみなはれ」を開設し、各部門の働き方ノウハウを共有
【解決した課題・成果】
- 個人の都合に応じて時間を有効かつ効率的に活用できる仕組みを整え、従業員のワークライフバランスを改善
- 2010年は294名だったテレワークの利用者数が2016年には4460名まで増加
- 各部署のアイデアや取り組みを共有し、部門の働き方ナカミ改革をサポート
<不動産業界>
⑪【三菱地所】IT技術を駆使して次世代型スマートシティの推進

三菱地所は、経済産業省と東京証券取引所が選定する「DX注目企業2023」に選ばれるなど、DX推進に積極的な企業として注目されています。不動産業ならではのオリジナリティのあるDXでUX(顧客体験)を飛躍的に向上させる次世代型スマートシティを推進しています。
【課題・背景】
- 生活者が暮らしやすさを実感できる新しいまちづくりを目指す上で、様々なオフラインとオンラインでの接点をシームレスに繋げた顧客体験実現の必要性があった
【具体的な取り組み】
- まちで提供されるオンライン/オフラインの体験・サービスを1つのIDで利用可能にする共通認証 ID「Machi Pass」を開発
- 利用希望者が顔画像をMachi Passに紐づけることで顔認証サービスの利用を可能とする顔認証プラットフォーム「Machi Pass FACE」を開発
- 警備ロボットによる空調や冷温水ポンプの設備点検などロボット・フレンドリーなまちづくりの推進
- 総合スマートホームサービス「HOMETACTホームタクト」を開発
【得られた成果】
- 様々なサービスを1IDで利用できる”まち”の実現を推進
- 施設とロボットが連動したより付加価値の高い次世代型施設運営を実現
- 「HOMETACTホームタクト」により、スマホアプリやスマートスピーカーを使い、住設機器・家電などの IoT 機器をまとめて操作・管理できる
⑫【三井不動産】ロボットが稼働しやすいオフィス環境の構築

三井不動産は、事業本部とイノベーション部門が連携し、既存事業深化と新規事業探索の「両利き」でDXを推進しています。顧客満足度向上と社会課題解決を目的とし、幅広い既存事業のほぼすべてでDXを同時推進を行います。
東京ミッドタウン八重洲では、同社の技術力を集結させ、DXによる利便性向上を図っています。
【課題・背景】
- ロボットがスムーズに動けるオフィス環境を構築することで、オフィス管理にかかる労働力の不足解消や利便性向上を図りたい
【具体的な取り組み】
- 顔認証によるオフィス入退館システムやホログラムなどの非接触技術を導入
- デリバリー/清掃/運搬の3つのロボットが稼働しやすいオフィス環境を整備
- インフラシェアリングによる全フロア5G対応
【得られた成果】
- フードデリバリーロボットが部屋まで食事を運べるようになり、利便性が圧倒的に向上
- 5G導入による通信速度の向上
- ロボット導入による清掃・運搬作業の自動化・効率化
⑬【東急リバブル】多様化する不動産顧客のニーズに応えるAIサービスを続々リリース

土地から建物まであらゆる不動産の情報を提供する東急リバブルは、DXの一環として、AIを活用した様々な新規サービスの創出を行っています。
【課題・背景】
- 「急な転勤等に備えて売却価格を知りたい」「自分に合った物件をすぐに見つけ出したい」といった顧客の様々なニーズに応えたい
【具体的な取り組み】
- AIにより所有不動産の価格を簡単査定する「スピードAI査定」のリリース
- AIを活用することで相性ぴったりの物件を探すことができる「AI相性診断」のリリース
- AIが投資用区分マンションのおすすめ度を顧客ごとに分析してレコメンドする「投資用区分マンションAIマッチングシステム」を 開発・運用
【得られた成果】
- スピードAI査定は、所有する不動産を登録するだけでAIが瞬時に価格を査定する利便性が評価され、登録者が1万人を突破
- AI相性診断は、パーソナライズされた物件情報をスピーディに提供、マッチ度95%を達成
- 投資用区分マンションAIマッチングシステムは、営業経験5年以上の担当者と同等レベルの物件選定・提案力を実現
<アパレル業界>
⑭【ワコールホールディングス】3D計測したデータをもとに各顧客にフィットした下着を提供

婦人用下着メーカーのワコールは、3D計測サービスで集めた顧客データをもとにパーソナライズされた商品提案を実施しています。
【課題・背景】
- 試着への心理的ハードルが高いなど、インナーウェアならではの対面での購入におけるストレスを解決する必要があった
- 発注件数が増加した場合も、人的リソースを増やすことなく対応できる体制を整えたかった
【具体的な取り組み】
- 3D計測サービスで集めたボディデータから体型タイプを診断し、身体に合うインナーウェアを提案する「わたしに合うブラ診断」をリリース
- ボディデータを分析し、一人ひとりにフィットするパーソナライズ設計された商品を開発
【得られた成果】
- 3D計測から始まる「自分を知る」顧客体験の価値を強化
- お客さまのタイムパフォーマンスを意識した接客とよりパーソナライズされた商品提案を実現
⑮【JINS】ユーザーが試着したメガネの似合い度をAIが判定

メガネを中心としたアイウェアを提供するJINSは、ユーザーが試着したメガネの似合い度をAIが判定する「JINS BRAIN」というサービスを提供しています。
【課題・背景】
- 顧客の「自分に似合うメガネが分からない」「探しているメガネがなかなか見つからない」という問題を解決したい
【具体的な取り組み】
- ユーザーが画面上で試着したメガネの似合い度をAIが判定する「JINS BRAIN」をJINSのオンラインショップで提供
- AIがユーザーの顔の形や髪型をもとに、そのメガネが似合っているかどうかを判定
- ランキング形式で各ユーザーに似合うメガネをレコメンドする機能も搭載
【得られた成果】
- メガネがより選びやすく、スムーズに購入できる体験を実現
<金融業界>
⑯【SMBCフィナンシャルグループ】契約件数200万件以上のモバイル総合金融サービス「Olive」を提供

SMBCフィナンシャルグループはDXの進展によるビジネスモデルの転換や業界地図の塗り替えを機会・脅威と認識し、プロダクト・サービスの高度化、新たなビジネスモデルの創造に取り組んでいます。
同社は新規預金口座開設数はネット銀行が席巻する状況を受け、SMBC・SMCCが中心となり、同社と資本業務提携関係にもあるSBIグループとも連携し、モバイル総合金融サービス「Olive」を開発しました。
【課題・背景】
- 多くのIT企業が金融サービス事業に参入する中、競争力を保つべくオンラインサービスの提供に乗り出す必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- モバイル総合金融サービス「Olive」を開発・提供。1つのスマホアプリ・1つのIDで、銀行口座、カード決済、証券、保険という複数のサービスを利用可能に
- 振込業務がネットで完結する法人向けネットバンキング「Web21ライト」を提供
【得られた成果】
- Oliveは、2023年3月のリリース後、2024年2月までの間で契約件数200万件を突破
- 店舗網のない地域のお客さまや高齢のお客さまとの取引が拡大し、個人顧客の新規口座開設数は銀行業界トップクラスにまで増加
- Web21ライトは、低コストで銀行取引を簡単に行えることから、多くの企業の支持を集め、9万社以上が利用
⑰【三菱UFJ銀行】ChatGPT利用で月22万時間の労働時間削減へ

三菱UFJ銀行は、AIを活用した様々な取り組みを実施し、DXを推進しています。近年では、対話型生成AI「ChatGPT」を自社専用にカスタマイズして導入し、稟議書などの文書作成業務の自動化・効率化を目指す取り組みが注目されています。
【課題・背景】
- 銀行業務では、稟議書や融資申込書など様々な文書の作成業務が発生し、多くの工数がかかっており、行員の負担となっていた
【具体的な取り組み】
- 4万人の行員を対象にChatGPTの利用を開放。自社独自にカスタマイズし、セキュリティ対策を施した安全な利用環境を構築
- AIを搭載したチャットボットを導入し、顧客からの問い合わせに対応
【得られた成果】
- ChatGPTを稟議書作成や社内文書ドラフトに活用することで、月22万時間以上の労働時間削減効果を試算
- チャットボットにより24時間365日の顧客対応が可能となり、行員の業務負担の軽減と顧客満足度の向上を実現
⑱【東京証券取引所】オンラインでETF取引ができるシステムをアジャイル開発

日本の主要株式市場を運営する東京証券取引所は、経済産業省と共同で、優れたDXの取り組みを行った企業を選定するDX銘柄の制度を推進しています。
一方で、東証自身もDXの取り組みに力を入れており、2021年2月には上場投資信託(ETF)のオンライン取引システムを導入しました。
【課題・背景】
- ETFの取引では、証券会社が電話で各金融機関の希望価格を聞いたうえでマッチングを行っていたが、手間と時間がかかっていた
【具体的な取り組み】
- 2019年11月から、富士通の協力のもと、ETFのオンライン取引システムの開発に着手。アジャイル開発の手法を取り入れ、MVP(Minimum Viable Product、検証可能な必要最小限のプロダクト)を素早く作って頻繁に改善を繰り返した
- 2021年2月1日からETFのオンライン取引システム「CONNEQTOR(コネクター)」を本格的に導入、金融機関向けに開放
【得られた成果】
- 機関投資家は、CONNEQTOR上でETFの価格提示や発注を行えるようになり、取引が円滑化
- システム導入後の約5か月間で約40社の金融機関がCONNEQTORを利用、信用金庫・信用組合や地方銀行にまで利用が広がる
- 2024年4月のCONNEQTOR経由の月間売買代金が過去最高の2,908億円を突破
<保険業界>
⑲【三井住友海上火災保険】AIによるスコアリングなど様々な新規ソリューションを提供

大手損害保険会社の三井住友海上火災保険は、AIをさまざまな業務に活用し、サービスの質の向上・顧客満足度向上といった成果をあげています。
【課題・背景】
- よりパーソナライズされた体験を提供するために、AIによりデータを科学的に分析・理解・活用し、効率的かつ正確なサービスを提供したい
【具体的な取り組み】
- AIによる自動車ローンスコアリングサービスを実装
- AIが災害時の被害推定を可視化する防災ダッシュボードを提供
- 損保業界で初めてAIチャットボットによる顧客対応を実施
【得られた成果】
- 公正かつ迅速な保険審査が可能となり、保険審査の質の向上や保険収益の増加を実現
- 災害発生時の被害推定をダッシュボード上にわかりやすく可視化することで、地域社会の防災対策を支援
- AIチャットボットが24時間265日、顧客からの問い合わせに即時に応答可能となり、顧客満足度が向上
⑳【東京海上ホールディングス】IoT搭載のドラレコにより交通事故削減に貢献

東京海上ホールディングスは、事故対応のプロセスにおいて各種デジタルツールを活用する価値の焦点を、顧客の不安やストレスの解消に置き、事故解決の初めから終わりまでシームレスなサービスを提供しています。
【課題・背景】
- 交通事故を未然に防ぐソリューションによって、本業の損害保険事業の採算性を確保しつつ、人々の安全に貢献したい
【具体的な取り組み】
- 国内大手損保としては初めて、IoT技術を活用した個人向けドライブレコーダーを開発・販売
- ドライブレコーダー端末から得られた150億kmを超える自動車運行データを活用し、さらなる事故削減に向けたサービス開発を目指す
【得られた成果】
- 事故削減効果約13%上昇、事故解決日数短縮効果として約15%上昇
- 個人向けドライブレコーダー「ドライブエージェントパーソナル」は2023年3月に累計契約件数100 万台を突破
<物流業界>
㉑【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功

日本を代表する運送会社である日本通運はRPAを導入して業務を自動化し、働き方改革を実現しました。労働時間を削減することで、従業員の残業時間の削減や、人手不足の解消に成功しています。
【課題・背景】
- 2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限規制がかかる、いわゆる2024年問題を受けて、人手不足への対応が喫緊の課題となっていた
- 労働時間を削減し、少子高齢化による労働力不足を考慮した新しい働き方を実現する必要があった
【具体的な取り組み】
- 業務内容に応じて、業務の統括部門に導入する集約型ロボットと複数課所に導入する横展開型ロボットという2種類のロボットを使い分けながら、RPAを導入・展開
- 1万8,000人を超える事務系社員へのRPA基礎講習、全国に配置するRPAマスターに対して養成講習を開催するなど、積極的な教育・啓蒙活動を実施
【得られた成果・今後の展望】
- 労働時間を72万時間削減し、人手不足解消に貢献
- 今後はペーパレス化推進に対するRPAの活用や運転日報など手書きの伝票をデータ化して基幹システムに転記するRPAの導入といった新しい取り組みで、さらなる事務処理の自動化・効率化を目指す
㉒【SGホールディングス】AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRでトラックドライバーの労働負担を軽減

佐川急便を中核とした総合物流企業グループであるSGホールディングスは、AI搭載の荷積みロボットやAI-OCRを活用し、業務効率化を実現しています。
【課題・背景】
- 物流業界では労働人口減少による労働力不足や、2030 年の輸送力不足を背景に、トラックドライバーの労働負担の軽減など労働環境の改善が求められていた
【具体的な取り組み】
- トラックの庫内に最適な荷積み作業ができる「AI搭載の荷積みロボット」を開発
- AI-OCRの機能を発展させ、給与支払報告書、コロナワクチン予診票、レセプト帳票などといった独自の帳票の読み取りも可能なソリューションを活用
【解決した課題・成果】
- トラックドライバーや積み込み作業者の業務負担軽減や荷役作業の省人化を実現
- 紙帳票のデータ化業務における人手不足やコスト増加に課題を抱える顧客に貢献できるサービスを提供
㉓【日本郵船】運航データの収集にAIを活用することで、船舶のIoT化を推進

日本郵船は、船舶のIoT化を推進し、海難事故の撲滅やCO2排出量削減への取り組みを進めています。
【課題・背景】
- SDGsやESGが重要視される中、環境に配慮した船舶の航行を実現するためのデジタル技術の活用が大きな目標となっていた
【具体的な取り組み】
- 船舶に装備するセンサーの種類や数を拡充し、運航データの収集にAIを活用することで、船舶のIoT化を推進
- 海域データを活用し、実際の船を再現したシミュレーションを行うことで、高効率を追求したプロペラを設計
【解決した課題・成果】
- 船舶のIoT化により、海難事故リスクの低減、燃費効率の向上、温室効果ガス排出量の削減、乗組員の点検業務の負担軽減を実現
- 高効率プロペラにより、燃費が向上し、CO2排出量を約2%削減
<医療業界>
㉔【東京ミッドタウンクリニック】疾病リスク予測AIで疾病リスクを正確に予測

東京ミッドタウンクリニックは、人間ドックを受診した患者に対して疾病リスクの予測結果を報告する際に、疾病リスク予測AIサービスというツールを活用しています。
疾病リスク予測AIサービスとは、東芝デジタルソリューションズが提供するソリューションで、1年分の健康診断データをもとにAIが6年先までの6疾病(糖尿病・高血圧症・脂質異常症・腎機能障害・肝機能障害・肥満症)のリスクを予測するサービスです。
【課題・背景】
- 近年、個々人が自身の生活習慣の改善や健康増進を図り生活習慣病を予防することを目的に、発症リスクの把握に対するニーズが高まっている
【具体的な取り組み】
- 東芝デジタルソリューションズが提供するソリューション「疾病リスク予測AIサービス」を活用
- 生活習慣病の個別化予測データを健康診断レポートに反映
【得られた成果】
- より正確な疾病リスク予測を患者に届けることに成功
- 疾病リスクの予測にかかる医師の工数を削減し業務効率化を達成
㉕【第一三共】AIやビッグデータを活用して創薬プロセスを刷新

第一三共は、ビッグデータやAIなどの技術を組み合わせて活用することで創薬を革新させています。同社は多様なデータや先進技術を活用し一人ひとりに寄り添った最適な健康・医療サービスを提供する ”HaaS(Healthcare as aService)”の実現を目指してDXに取り組んでいます。
【課題・背景】
- 2万分の1以下の成功確率といわれる新薬開発において、良質な薬をいち早く患者に届けるために、AIやビッグデータを活用して創薬に革新をもたらす必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- 約60億種類もの化合物群の中から、病気に効果のある最適な化合物を見つけるためのAIスクリーニングを実施
- バイオ医薬品の生産工程にAIや機械学習技術を応用
【得られた成果】
- AIとビッグデータにより、約2か月という短期間で大量の良質な新薬候補化合物の創出に成功
- AIや機械学習技術の応用により、バイオ医薬品の生産工程の効率と安定性の向上を実現
㉖【国立がん研究センター】内視鏡画像をAIに解析・診断させ、がんの早期発見につなげる

国立がん研究センターは、内視鏡画像をAIに解析・診断させ、消化器系のがんの早期発見につなげる取り組みを実施しています。これまで、内視鏡検査は医師が肉眼で行っており、医師によって診断内容にばらつきがあったり、がんの兆候の見逃しがあるなどの課題がありました。
【課題・背景】
- 大腸内視鏡検査を受けていたにもかかわらず、内視鏡検査時の見逃しによりその後大腸がんになるケースが約3%に達している現状
- 早期発見が重要である大腸がん治療において見逃しを防ぐことが喫緊の課題に
【具体的な取り組み】
- NECと共同で、AIが早期大腸がんや前がん病変を内視鏡検査時にリアルタイムに発見するソフトウェアを開発
- AIに約 5,000 例の大腸癌と前癌病変の内視鏡画像を学習、診断させる
【得られた成果】
- 偽陽性率を1%に抑えたまま、98%の病変発見率を達成するなど、正確性が向上
- 解析時間もわずか0.1秒以内に短縮
<エンタメ・観光業界>
㉗【星野リゾート】全国の営業拠点のデータを即時に集め来館予約のキャンセル率を半減

星野リゾートは、ブライダル事業における業務効率化と顧客対応の品質向上を目指して、AIを搭載した顧客管理・営業支援システムを導入しました。
【課題・背景】
- 全国各地の営業拠点に点在する顧客情報を手作業で集約する必要があり、タイムリーな状況判断や対応ができないという問題を抱えていた
- 成約に至るまでの営業プロセスの中で、ブライダル施設への来館予約はしたものの実際には施設に来館しないというケースに悩まされていた
【具体的な取り組み】
- 顧客管理・営業支援システム「Zoho CRM」とデータ可視化・分析ツール「Zoho Analytics」を導入し、営業プロセスの最適化と営業施策に対するデータに基づく分析を実施
- 「Zoho Analytics」と連携して営業プロセスの詳細を分析することで、データに基づく根拠ある施策が可能に
【得られた成果】
- 顧客情報を集約し、迅速なデータ分析が可能に
- 「予約から来館までの期間が一定日数を超えるとキャンセル率が上がる」という知見を得ることができた
- 営業プロセスの分析により、来館予約のキャンセル率を50%削減
<その他>
㉘【マクニカ】SCMシステム刷新により需要予測の自動化率80%を達成

マクニカとは、半導体やサイバーセキュリティを取り扱う技術商社です。同社は、システムの刷新によって2025年に売上2倍になっても同等の従業員数で業務ができることを目標に業務効率化を進めています。
【課題・背景】
- 問い合わせ業務において、顧客対応の属人化によるリードタイムの長さが課題となっていた
- 発注件数が増加した場合も、人的リソースを増やすことなく対応できる体制を整えたかった
【具体的な取り組み】
- 問合せ業務をポータル上に集約し、顧客ポータルを立ち上げ後も顧客要望の吸い上げによる継続的な改善を可能にする機能を追加
- 原材料の調達から販売を一元管理するSCM(サプライチェーンマネジメント)システム刷新による需給予測自動化で7万件に及ぶ需給計画のシステム化、需要予測の自動化率80%を達成
【得られた成果】
- 問合せ回答のリードタイム短縮や見積書の即日回答など、納期短縮やサポート品質の向上を実現
- 需要予測担当者を25%削減し、削減した人員をより付加価値の高い業務に再配置することに成功
㉙【KDDI×長野県伊那市】ドローンデリバリーサービス構築事業「ゆうあいマーケット」を運用開始

伊那市は「空飛ぶデリバリーサービス構築事業」として2018年からKDDIと実証を重ね構築した「ゆうあいマーケット」を、2020年から本格運用しています。
【課題・背景】
- 物流網が整っていない山間地では、高齢者を中心に買物困難者が増加していた
【具体的な取り組み】
- KDDIと共同で、ケーブルテレビによる注文とドローンによる配送を組み合わせた買い物サービス「ゆうあいマーケット」を運用開始
- 日用品などを最大5kgまで積載可能なドローンを活用し、約10km離れた地点まで配送を実施
【解決した課題・成果】
- 午前11時までに注文された商品はその日の夕方までに届くなど、迅速な配送の実現により、買物困難者を救済
- ドローンは可能な限り河川上空を飛行。河川のカメラ画像を国土交通省に提供することで、河川の管理にも貢献
㉚【NECネッツエスアイ株式会社】ICTを活用したテレワークの導入を推進

ICT技術を活用したシステム、サービスを提供するNECネッツエスアイ株式会社は、ICTを活用したテレワークの導入を進めています。
【課題・背景】
- 育児中の短時間勤務者や家族の介護に携わる従業員の増加により、投入可能な総労働時間が大きく減少するリスクを抱えていた
- 育児、介護を理由とする離職により、スキル・経験を有する中核社員の喪失リスクが懸念されていた
【具体的な取り組み】
- 2007年からノーペーパーワークの推進やフリーアドレスの導入など、テレワークの基盤となるオフィス改革に着手
- 半日単位や時間単位など、柔軟なテレワークの利用に対応
- 在宅勤務に加えサテライトオフィスの活用も推進
- 在宅勤務などをする社員の勤怠情報をキメ細かく把握できる管理ツールとして、「TeleworkWatch」を独自開発
- 「Skype for Bussiness」をはじめとしたコミュニケーションツールを活用
【解決した課題・成果】
- 仕事と生活の時間を自律的に配置できるフレキシブルなワークスタイルを実現
- コミュニケーションツールにより上司やチームメンバーとのコミュニケーションを円滑に実現
- 実証実験後のアンケート評価では、利用者の82%は「ワークライフバランスの充実」を、77%が「通勤に関する負担軽減」を実感し、上司の約80%が「部下のモチベーション向上」を実感したと回答
DX化を阻む5つの課題

DX化を推進する企業が直面し得る課題として、主に以下の5つが挙げられます。
- ①初期投資やランニングコストがかかる
- ②デジタル人材の確保が難しい
- ③すぐには成果が出ない場合もある
- ④社内の関係部署と協力・連携しなければならない
- ⑤既存システムからの移行が難しい
それぞれについて分かりやすく解説していきます。
※DX総研では経験豊富なコンサルタントによる、DXに関する個別無料相談会を実施しております。自社に合った推進方法や検討の進め方などでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
①初期投資やランニングコストがかかる

DX化にはツールの導入や新たなシステム開発などが必要となり、数百万円〜数千万円の費用が必要になることも少なくありません。
また、DX化は、従来の個別改善型のデジタル化と比べ、業務プロセスやビジネス全体の大規模な変革に取り組むことになるため、比較的高額な初期費用が必要になります。
一方で、数年スパンで見ると大きな成果が期待できるため、中長期でのコスト削減や売上向上の効果を試算した上で、適切な範囲内で予算を確保し投資を行うことが重要です。
②すぐには成果が出ない場合もある
業務プロセスの根本的な変革/効率化や新規事業の創出など、DX化で大きな成果を上げるには、3〜5年ほどの期間が必要となるのが一般的です。
一方で、DX推進を始めてもすぐには期待する成果が上がらず、プロジェクトを打ち切りにしてしまうという企業も少なくありません。
そのため、「DXで大きな成果を上げるには中長期で取り組む必要がある」という認識を社内ですりあわせることや、最終ゴールに向けたマイルストーンを引き、初期フェーズでも進捗の評価を正しく行えるようにすること、比較的早期に成果の出やすい小規模なプロジェクトを走らせることなどが有効です。
③DX人材の確保が難しい

全社的なDX化を目指す場合、最新のテクノロジーを使いこなせるエンジニアはもちろん、ビジネス戦略とデジタル活用の両方に知見をもつリーダーが各部門に必要となります。
経済産業省の調査によると、国内のIT人材の需要は拡大し続けるのに対し、供給は2019年をピークに減少しており、2030年にかけて40〜80万人規模で不足すると予想されています。このように、DX人材は新卒・中途問わず争奪戦が続いており、希望通りに採用が進むことは稀という状況です。
そのため、短期的には、外部ベンダーの起用などで体制を強化しつつも、中長期的には人材育成や採用の仕組みを強化していく必要があります。
④社内の関係部署の協力・連携が必要になる
DX化には、部門を横断する業務プロセスやシステムの見直し、加えて組織やビジネスモデルの再構築などが必要となります。
それらの取り組みを進める際には、社内の幅広い関係部署間の協力・連携が必要不可欠です。一方で、各部署や現場のメンバーは、目の前の通常業務を抱えているため、プロジェクトが円滑に進まないというケースが多く存在します。
そのため、全社としてのDXの必要性やビジョンを周知し、現場の声も吸い上げた上で、協力を得ながらDXを推進することが求められます。
⑤既存システムからの移行が難しい
既存システムから新たなシステムへの移行は、システムの移行そのものに加え、データのフォーマット変換や新たな業務プロセスの設計、利用する社員への研修など、様々な取り組みが必要となります。
特に、複雑化・ブラックボックス化が進みレガシー化してしまったシステムからの移行に取り組む場合、その技術的・工数的なハードルはかなり高く、現場が難色を示すということは少なくありません。
一方で、移行の難易度が高くなっていることは、そのシステムを利用し続けるための運用コストやリスクが大きくなっていることを意味する場合が多いため、移行に取り組む意義はより大きいと言えます。
DX化を成功させるための5つのポイント

DX化を実現させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
- ②自社ならではのDX戦略を策定する
- ③十分なDX人材を確保する
- ④スモールスタートクイックウィンを実現する
- ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。
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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
DX化は、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。
そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DX化のビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。
具体的には、「どのような中長期的なDX化のビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。
一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。
②自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。
その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。
そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。
③十分なDX人材を確保する
DX化の成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。
本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。
また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。
そのため、足元のDX化にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。
※DX総研では経験豊富なコンサルタントによる、DXに関する個別無料相談会を実施しております。DX人材の確保や自社に合った推進方法などでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
④スモールスタートクイックウィンを実現する

DX化がなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。
そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。
そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。
取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。
これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDX化を実現しやすい状況を実現できます。
⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DX化の投資対効果を飛躍的に高めます。
そもそものDX化の目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。
一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。
もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。
DX化の実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。
DX化の進め方|具体的な6つのステップ

DX化を実現するまでには、大きく6つのステップを経る必要があります。
それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。
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ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する

DX化の最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。
「DX推進後の理想の自社の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。
本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。
自社の業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、市場環境や自社の特性を踏まえ、検討しましょう。
例えば、業務のデジタル化すら進んでいない企業であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる企業であれば、3年後までに製品/サービスやビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。
ステップ2:自社の現状と課題を把握する

続いて、自社が現状どの程度DX化を実現できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。
本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX推進指標」を活用することで、企業文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。
それぞれの観点における自社の成熟度のレベルを把握することで、特にDX化が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。
ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する

前ステップで策定したビジョンと自社の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。
検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。
デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。
そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DX化を実現しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。
例えば、受発注のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした企業であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の受発注プロセスをデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。
ステップ4:DX推進チームを構築する

DX化を実現するには、ビジョンや戦略を社員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。
そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。
また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。
- プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
- テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
- UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
- エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
- データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当
これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、社員に対するDX人材育成を実施する方法があります。
DX化のスケジュールや、社員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。
ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる
これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。
ここで、いきなり全社単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。
そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の事業部や部門単位から進めるのがおすすめです。
前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各社員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。
これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDX化が可能になります。
ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

業務のデジタル化を進めることで、企業は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。
これらのデータを分析し、新たな業務の課題やビジネスチャンスを発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。
さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、自社独自の詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強み蓄積こそが、他社には真似できない、ユニークな新サービスやビジネスモデルの創出の源泉となります。
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