DXを推進すべき5つの領域とは?進め方や成功事例15選も紹介
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。
DXは、新規事業や新サービス/製品の開発、マーケティング、カスタマーサポート、バックオフィスなど、ビジネスのあらゆる領域で推進することができます。
本記事では、DXを推進すべき領域、各領域におけるDXの取り組み事例、DXの進め方などを分かりやすく解説していきます。
またDX総研では、DXを検討・推進する上で必ず押さえておきたい、DX成功事例50選の取り組みや成果をまとめたレポートを無料で配布しています。ご興味のある方は、以下リンクからダウンロードしてご活用ください。
目次
DXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。
単なるデジタル化・IT化ではなく、デジタル活用により、業務やサービス、ビジネスモデルを大きく変革していく取り組みであるという点が大きなポイントです。
経済産業省は、2018年に発表した「DX推進ガイドライン」において、DXを以下のように定義しています。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
ー出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0
例えば、動画配信大手のNetflixが、宅配型のDVDレンタル事業からサブスクリプション型のオンライン動画配信サービスへとビジネスモデルを変革したのは、DXの代表的な事例といえるでしょう。
※DXを検討・推進する際に必ず押さえておきたい、基礎知識から進め方、ポイントまでをまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒DX推進まるわかりガイドブックの資料ダウンロードはこちら(無料)
DXを推進すべき5つの領域

DXを推進すべき領域として、以下の5つが挙げられます。
- ①新規事業・新サービス/製品開発
- ②マーケティング
- ③カスタマーサポート
- ④バックオフィス
- ⑤働き方改革
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
※300事例の分析に基づく、企業によるDX推進方法の13の王道パターンと成功事例をまとめた資料をダウンロード頂けます。
①新規事業・新サービス/製品開発

新規事業の立ち上げや新サービス・製品の開発において、DXは重要な役割を果たします。
新規事業の立ち上げに関しては、インターネットやSNSの活用により、比較的小さなコストからでもオンラインでの新規事業を開始できるようになりました。例えば、ECサイトを構築してオンラインでの商品販売を行ったり、サブスクリプション型のサービスを立ち上げるなどの取り組みが考えられます。
新サービス・製品の開発に関しては、新たなスマホアプリをリリースしたり、生成AIが作成した画像をコンテンツ化するなどの取り組みが考えられます。
②マーケティング

DXによりマーケティングの効果を最大化することができます。例えば、顧客の購買データ等の分析により、顧客ごとのニーズに応じたパーソナライズされた販売施策を実行し、満足度やリピート率を高めることができます。
また、MA(マーケティングオートメーション)ツールやCRM(Customer Relationship Management)ツールを導入することで、営業活動や顧客管理の効率化を進め、費用対効果の高いマーケティング施策を実行することも可能です。
近年では、生成AIやメタバースなどの最新技術を活用したマーケティングも盛んにおこなわれています。
例えば、伊藤園は、生成AIが生成したモデルをCMに起用して話題となりました。人間のモデルと異なり、出演料を支払う必要がなく、スキャンダルなどのリスクも押さえることができます。
また、メタバース上に仮想店舗を開設して商品の宣伝を行う取り組みも見られます。例えば、アパレルブランドのBEAMSはメタバースイベントであるバーチャルマーケットに仮想店舗を出店し、そこでの自社ブランドの宣伝を通じてリアル店舗への送客を促すことに成功しています。
③カスタマーサポート
DXにより、カスタマーサポートを自動化・効率化することができます。例えば、AIを搭載したチャットボットを導入することで、顧客からの問い合わせに対して自動で応答することができるようになります。特に近年話題の生成AIは、人間が話しているかのような自然な会話が可能であり、顧客からのあらゆる問い合わせに柔軟に回答することができます。
チャットボットを導入することで、人件費を削減できるだけでなく、24時間365日の応答が可能となり、サービスの質が向上します。
④バックオフィス
DXにより、バックオフィス業務を自動化・効率化することができます。freeeやマネーフォワードなどの経理・会計処理を自動で行う会計ソフトの導入、勤怠管理を自動で行うツールの導入、紙の書類の電子化など様々な取り組みが挙げられます。
単純な事務作業などをITツールにより自動化することで、従業員の負担が軽減されるとともに、創造性を要するより本質的な業務に集中できるようになります。
⑤働き方改革
DXは働き方改革を実現するための強力な手段となります。DXによる変革の対象を従業員体験(Employee Experience=EX)とすることで、従業員の働き方を大きく改善することができます。
例えば、通信環境を整備してテレワークができる環境を整えたり、各種業務を自動化できるRPA等のツールを導入して労働時間を削減したりなど、様々な形で従業員のワークライフバランスに貢献します。
領域ごとのDX推進の成功事例15選
領域ごとにDX推進に成功した企業の事例として、以下の15事例が挙げられます。
<新規事業・新サービス/製品開発>
- ①【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供
- ②【パナソニック】電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用
- ③【ロジスティード】EC物流向けシェアリング自動倉庫「SMART WAREHOUSE」を提供
<マーケティング>
- ④【アシックス】デジタル上の顧客接点を強化しEC/D2C売上比率を大幅に向上
- ⑤【大塚商会】AIが半年で7万件以上の商談を提案、商談数が3倍に増加
- ⑥【日産自動車】メタバース上に3Dの自動車を再現し、新車発表会・試乗会を開催
- ⑦【星野リゾート】全国の営業拠点のデータを即時に集め来館予約のキャンセル率を半減
<カスタマーサポート>
- ⑧【京都市】AIチャットボット搭載の子育て支援ツールを導入
- ⑨【アステラス製薬】「オンラインMR」を専任し、非対面で医薬品情報を提供
<バックオフィス>
- ⑩【日本通運】AI-OCR(光学文字認識)や自動フォークリフトで業務効率化を実現
- ⑪【佐川グローバルロジスティクス】無線通信自動認識システムや仕分けシステムで倉庫内作業を効率化
- ⑫【大阪府東大阪市】AIを活用し議事録作成にかかる時間を3割削減
<働き方改革>
- ⑬【サントリー】働き方の柔軟性向上によりテレワークの利用者が約15倍に
- ⑭【NECネッツエスアイ株式会社】ICTを活用したテレワークの導入を推進
- ⑮【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功
それぞれの事例について分かりやすく解説していきます。
※企業による最新のDX成功事例50選の取り組みや成果をまとめた資料をダウンロード頂けます。
<新規事業・新サービス/製品開発>
①【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供

コマツは、ショベルやブルドーザーなどの建設機械や鉱山機械の製造を手掛ける日本の大手建設メーカーです。同社は、IoTやAIなどのデジタル技術を建設機械や産業機械に搭載した新たなソリューションを開発・提供し、製造業界や建設業界におけるモノづくりの現場のDXを支援しています。
【課題・背景】
- 建設業界の人手不足に伴う、現場作業の効率化・省人化のためのソリューションを求める顧客企業がますます増えていた
【具体的な取り組み】
- 建設・製造業界の企業に対して、遠隔地から機械の稼働状況を確認できるIoTを活用した管理システム「Komtrax」の開発・提供
- 建設・製造業界の企業に対して、AIが部品の劣化状態を把握し、故障前に交換時期を予測する予知保全システムの提供
- 建設業界の企業に対して、センサーを搭載し、自動制御を可能にしたICT建機の製造・販売
【解決した課題・成果】
- 機械の稼働状況の一元管理が可能となり、稼働率の向上、メンテナンス時期の把握、生産量集計の自動化などによる顧客の現場作業の効率化・生産性向上を実現
- ある企業は、Komtraxにより、設備の稼働率が向上し、生産性が140%も増加するなど大幅な改善を実現
- 遠隔地から顧客の機械の稼働状況や部品の劣化状態の把握が可能となり、効率的かつ適切な修理・保全サービスの提案が可能に
②【パナソニック】電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用

パナソニックは、日本を代表する大手家電メーカーです。同社は、DXを核とするグループ横断の取り組みを「Panasonic Transformation(PX)」と称し、AIなどの最先端技術を取り入れながら、事業戦略の基礎となる業務・プロセス・カルチャーそのものの変革を2021年5月から進めています。
【課題・背景】
- 同社の電動シェーバー「LAMDASH(ラムダッシュ)」は20年以上にわたり改良を続けてきた製品であり、伸びしろが限界に来ていた
- モーターの高出力化が大きな課題となっていたが、人間の経験と知見では、これ以上の進化の余地はない状態だった
【具体的な取り組み】
- LAMDASHシリーズ次期商品のモーター設計に生成AIを活用
- AIがモーターの中核部品であるムーバーの構造をゼロベースで設計し、シミュレーション結果を基に改善するプロセスを自動で繰り返すシステムを構築
【得られた成果・今後の展望】
- 生成AIが設計したモーターは、熟練技術者による最適設計と比較して出力が15%UPし、品質向上を実現
- 人間では改善に数か月も要していたが、AIであれば数日でPDCAを回し、同等の改善が可能に
- 今後は電動工具や車載用モーター、シーリングファンなど、他の製品開発にもAIによる設計を採用する方針
※国内外の最新AI/ChatGPT活用事例50選をまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒AI/ChatGPT活用事例50選の資料ダウンロードはこちら(無料)
③【ロジスティード】EC物流向けシェアリング自動倉庫「SMART WAREHOUSE」を提供

物流・流通・サービス分野に特化したソフトウェア会社のロジスティードは、EC物流向けシェアリング自動倉庫「SMART WAREHOUSE」を提供しています。
【課題・背景】
- 倉庫の許容量が不足している、出荷が追いつかないなどEC事業ならではの課題を抱えていた
- 『EC事業を始めたけれど、物流ノウハウがない』という声が多く届いていた
【具体的な取り組み】
- EC物流向けシェアリング自動倉庫「SMARTWAREHOUSE」を提供
- ダンボールの組み立てから、商品を入れてダンボールに封をし、伝票を貼り付けるまでの作業を自動化
- ほぼ自動化されたシステムに乗せるだけで配送まで完了するため、ユーザーとなる企業は知識やノウハウがなくても簡単に導入が可能
【解決した課題・成果】
- 自動化・標準化されたオペレーションで作業ミスを低減
- 省人化率72%の自動化で18,000個/日の発送を実現
<マーケティング>
④【アシックス】デジタル上の顧客接点を強化しEC/D2C売上比率を大幅に向上

アシックスは、スポーツ用のシューズやウェアなどを製造・販売する日本を代表するスポーツ用品メーカーです。同社は、ランナー向けのスマホアプリなどを通じてデジタル上での顧客との直接の繋がり強化を進めることで、販売に占めるEC/D2C比率を高め、収益率の向上を実現しています。
【課題・背景】
- コロナをきっかけとする買い物のオンラインシフトに伴い、ECやD2Cでの販売比率を向上させ、売上げ拡大を図る必要に迫られていた
- アシックスの売上のうちECでの比率はわずか数%であり、EC比率拡大に向けた施策が喫緊の課題となっていた
【具体的な取り組み】
- ECサイトと連動し、限定クーポン等が貰えるロイヤリティプログラム「OneASICS」を展開し顧客接点を強化
- ランニングの記録と仲間とのシェアができるスマホアプリ「アシックスランキーパー」を提供し購入後の顧客との接点も獲得
- 購入後を含めた顧客データを活用し、各顧客の身体にフィットした商品を提案
【得られた成果】
- 卸売中心で顧客接点が限定的だったが、デジタル顧客基盤が1,000万人超へ
- 購入後も含めた多様な顧客接点の獲得により、ファン化を促進しLTVも向上
- 課題としていたEC売上比率が5%から18%へ、D2C比率が17%から33%へ向上
⑤【大塚商会】AIが半年で7万件以上の商談を提案、商談数が3倍に増加

さまざまなメーカーのハードウェアやソフトウェアなどを取り扱っている大塚商会は、AIによるデータ分析を活用した商談数の拡大・営業活動の効率化を推進しています。
【課題・背景】
- 長期持続的なビジネスモデル構築のために、営業プロセスの変革で生産性を高めたい
【具体的な取り組み】
- 20年以上にわたり積み上げた販売履歴等のビッグデータをAIが解析して、商談に繋がる特徴を自動的に抽出し、最適な商談先を提案
【得られた成果】
- AIが半年で7万件以上の商談を提案しており、商談数が3倍に増加
- AIの分析により、人間では気付けなかったデータ同士の関係性が見つかることもあり、より効果的な商談先選びが可能に
⑥【日産自動車】メタバース上に3Dの自動車を再現し、新車発表会・試乗会を開催

日産自動車は、メタバース事業に力を入れており、2021年11月から、世界最大のメタバースSNSプラットフォームである「VRChat」上に独自のワールドを開設し、様々なイベントを開催しています。
なかでも、2022年5月に開催された新型軽電気自動車である「日産サクラ」の発表会・試乗会は、まるで本物の車に乗っているかのようなリアルな試乗体験ができるとして話題となりました。
【課題・背景】
- コロナウィルスの流行により、通常は対面で行われる新車の発表会・試乗会の開催が困難に
- オンラインでは、車の魅力を十分にアピールできないことが課題であった
【具体的な取り組み】
- VRChatのメタバース空間上に独自のワールドを開設。満開の桜を背景に3Dのリアルな自動車を再現
- アクセスしたユーザーは、実際に仮想の自動車に乗って運転したり、四季折々の景色を眺めることができるなど仮想空間ならではの体験を提供
【得られた成果】
- ユーザーは、自宅にいながらまるで本物の車に乗っているかのように、リアルな試乗体験を満喫
- 現実の会場で開催する場合と異なり、物理的コストがかからず、低コストで多くのユーザーに新車をアピールすることに成功
※700社以上のご担当者様にお読みいただいている、国内外の最新メタバース/XR活用事例101選をまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒メタバース/XR活用事例101選の資料ダウンロードはこちら(無料)
⑦【星野リゾート】全国の営業拠点のデータを即時に集め来館予約のキャンセル率を半減

星野リゾートは、ブライダル事業における業務効率化と顧客対応の品質向上を目指して、AIを搭載した顧客管理・営業支援システムを導入しました。
【課題・背景】
- 全国各地の営業拠点に点在する顧客情報を手作業で集約する必要があり、タイムリーな状況判断や対応ができないという問題を抱えていた
- 成約に至るまでの営業プロセスの中で、ブライダル施設への来館予約はしたものの実際には施設に来館しないというケースに悩まされていた
【具体的な取り組み】
- 顧客管理・営業支援システム「Zoho CRM」とデータ可視化・分析ツール「Zoho Analytics」を導入し、営業プロセスの最適化と営業施策に対するデータに基づく分析を実施
- 「Zoho Analytics」と連携して営業プロセスの詳細を分析することで、データに基づく根拠ある施策が可能に
【得られた成果】
- 顧客情報を集約し、迅速なデータ分析が可能に
- 「予約から来館までの期間が一定日数を超えるとキャンセル率が上がる」という知見を得ることができた
- 営業プロセスの分析により、来館予約のキャンセル率を50%削減
<カスタマーサポート>
⑧【京都市】AIチャットボット搭載の子育て支援ツールを導入

京都市は子育て支援ポータルサイト「はぐくーもKYOTO」の運営や、子どもの成長やスケジュールを簡単に管理・共有できる子育てアプリ「京都はぐくみアプリ」を通して子育て支援を行っています。
【課題・背景】
- 民間のサイトと比較すると、京都市の既存の子育て支援サイトは目的の情報を探しにくいという問題を抱えていた
【具体的な取り組み】
- 子育て支援ポータルサイト「はぐくーもKYOTO」を開設
- 子供の年齢や境遇に合わせてパーソナライズされた情報を得ることができる機能を搭載
- 子育ての相談が可能なAIチャットボットを導入
- 健康診断の記録や共有、地域のお知らせを受け取ることができる「京都はぐくみアプリ」をリリース
【得られた成果】
- 住民が子育てに関する行政情報や教育環境の魅力について簡単に知れるように
- AIチャットボットで24時間365日子育て支援できる体制を構築
⑨【アステラス製薬】「オンラインMR」を専任し、非対面で医薬品情報を提供

アステラス製薬は、医療関係者への医薬品に関する情報提供の顧客接点強化を目的に「アステラス オンラインMR」を任命し、オンラインによる情報提供・収集サービスを開始しました。
情報提供できる情報は、承認された「効能又は効果」、「用法及び用量」の範囲内に限定されており、オンラインMRが情報提供活動を行うほか、製品説明会などを担い、全国の医療従事者に広く同社製品の情報を発信しています。
【課題・背景】
- 新型コロナウイルスの感染拡大やそれに伴うリモートワークの普及に伴い医療関係者への情報提供・収集活動のあり方を見直す必要があった
【具体的な取り組み】
- オンライン面談ツール等を用いて自社の製品情報を提供するオンライン専任MR「アステラス オンラインMR」を30人配置
- 現時点では前立腺癌治療剤(イクスタンジ錠)、抗悪性腫瘍剤(ゾスパタ錠)、腎性貧血治療薬(エベレンゾ錠)、関節リウマチ治療剤であるJAK阻害剤(スマイラフ錠)・TNF-α阻害薬(シムジア皮下注)の5製品の情報提供・収集を行う
【得られた成果】
- オンラインで行うことにより、MR・医療関係者それぞれの移動にかかる負担を軽減
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴う医療関係者への情報提供・収集活動のあり方の変化に対応
<バックオフィス>
⑩【日本通運】AI-OCR(光学文字認識)や自動フォークリフトで業務効率化を実現

物流業界最大手の日本通運は、AIが手書きの文字などを読み取ってデータ化することができるAI-OCR(光学文字認識)や自動フォークリフトで業務時間や担当者の負担軽減を実現しています。
【課題・背景】
- 慢性的な人手不足や長時間労働が問題となっている物流業界において、従業員の労働時間を削減する施策の遂行が課題となっていた
【具体的な取り組み】
- AIを用いた光学文字認識技術であるAI-OCRを導入し、ドライバーの運転日報やアルバイト勤務日報の入力業務を自動化
- 物流倉庫に自動フォークリフトを導入し、出荷準備作業や荷受け作業を自動化
【解決した課題・成果】
- 毎月平均450件の帳票を手入力で行っていたが、AI-OCRで入力を自動化したことで、年間6万時間弱の事務作業を削減
- 深夜の搬送作業自動化により、1人当たりの残業時間を約1~2時間/日削減。入出庫作業の自動化による安全性の向上
⑪【佐川グローバルロジスティクス】無線通信自動認識システムや仕分けシステムで倉庫内作業を効率化

SGホールディングスグループの中でロジスティクス事業を展開する佐川グローバルロジスティクスは、無線通信自動認識システム(RFID)を導入することで入出荷検品作業を効率化したり、仕分けシステム「t-Sort」を導入することで仕分け作業の生産性を向上させています。
【課題・背景】
- 倉庫内作業を効率化し、作業員の負担軽減や生産性向上を図りたい
【具体的な取り組み】
- 商品につけた無線通信自動認識システム「RFID(Radio Frequency Identification)」を認識させて検品を行う
- 仕分けシステム「t-Sort」で従来作業員が移動して行っていた仕分け作業をロボットが代わりに行う
【解決した課題・成果】
- t-SortとRFIDシステムの組み合わせで、作業スキル修得時間は約7割削減を達成するなど、新規就労者の早期戦力化を実現
- 作業生産性の大幅な向上に加え、作業品質も向上。仕分けミスは、ほぼゼロに
⑫【大阪府東大阪市】AIを活用し議事録作成にかかる時間を3割削減

東大阪市はAI議事録の導入により議事録作成にかかる時間を大幅に短縮し、職員の負担を軽減することに成功しています。
【課題・背景】
- 議事録作成において、録音した音声を複数回聞き直しながら作業を行うため、会議時間の約3〜8倍の作業時間を要していた
- 府庁では職員数削減の影響で残業時間が年々増加していた
【具体的な取り組み】
- AI を活用した音声認識技術による議事録作成支援システム用の端末を1台導入し、実証実験を行った
- 実証実験で効果が確認できたため、令和2年6月より端末を2台増設して3台体制とし、全庁に周知をし、議事録作成支援システムの貸し出しを開始
- AIは関西弁の変換も行うことが可能
【得られた成果】
- 議事録作成にかかる時間を3割程度削減
- 職員の残業時間を削減し、負担を軽減
<働き方改革>
⑬【サントリー】働き方の柔軟性向上によりテレワークの利用者が約15倍に

大手飲料メーカーのサントリーは、ボトムアップの働き方改革の一環としてテレワークを導入しています。
【課題・背景】
- 事業のグローバル展開など大きな変化のある環境下において、付加価値の創出による競争力強化の必要性に迫られていた
- 働き方改革を競争戦略と位置付け、「メリハリ」、「濃く働く」、「ライフワークバランス」の実現に向けた取り組みを推進
【具体的な取り組み】
- テレワークの範囲を拡大。自宅に限られていたテレワークの場所が、所属長の許可を受けた場所であればどこでも働けるように
- テレワークの取得単位を10分ごとにし、フレキシビリティを向上
- 高性能TV会議システムを導入
- 働き方ナレッジサイト「変えてみなはれ」を開設し、各部門の働き方ノウハウを共有
【解決した課題・成果】
- 個人の都合に応じて時間を有効かつ効率的に活用できる仕組みを整え、従業員のワークライフバランスを改善
- 2010年は294名だったテレワークの利用者数が2016年には4460名まで増加
- 各部署のアイデアや取り組みを共有し、部門の働き方ナカミ改革をサポート
⑭【NECネッツエスアイ株式会社】ICTを活用したテレワークの導入を推進

ICT技術を活用したシステム、サービスを提供するNECネッツエスアイ株式会社は、ICTを活用したテレワークの導入を進めています。
【課題・背景】
- 育児中の短時間勤務者や家族の介護に携わる従業員の増加により、投入可能な総労働時間が大きく減少するリスクを抱えていた
- 育児、介護を理由とする離職により、スキル・経験を有する中核社員の喪失リスクが懸念されていた
【具体的な取り組み】
- 2007年からノーペーパーワークの推進やフリーアドレスの導入など、テレワークの基盤となるオフィス改革に着手
- 半日単位や時間単位など、柔軟なテレワークの利用に対応
- 在宅勤務に加えサテライトオフィスの活用も推進
- 在宅勤務などをする社員の勤怠情報をキメ細かく把握できる管理ツールとして、「TeleworkWatch」を独自開発
- 「Skype for Bussiness」をはじめとしたコミュニケーションツールを活用
【解決した課題・成果】
- 仕事と生活の時間を自律的に配置できるフレキシブルなワークスタイルを実現
- コミュニケーションツールにより上司やチームメンバーとのコミュニケーションを円滑に実現
- 実証実験後のアンケート評価では、利用者の82%は「ワークライフバランスの充実」を、77%が「通勤に関する負担軽減」を実感し、上司の約80%が「部下のモチベーション向上」を実感したと回答
⑮【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功

日本を代表する運送会社である日本通運はRPAを導入して業務を自動化し、働き方改革を実現しました。
労働時間を削減することで、従業員の残業時間の削減や、人手不足の解消に成功しています。
【課題・背景】
- 2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限規制がかかる、いわゆる2024年問題を受けて、人手不足への対応が喫緊の課題となっていた
- 労働時間を削減し、少子高齢化による労働力不足を考慮した新しい働き方を実現する必要があった
【具体的な取り組み】
- 業務内容に応じて、業務の統括部門に導入する集約型ロボットと複数課所に導入する横展開型ロボットという2種類のロボットを使い分けながら、RPAを導入・展開
- 1万8,000人を超える事務系社員へのRPA基礎講習、全国に配置するRPAマスターに対して養成講習を開催するなど、積極的な教育・啓蒙活動を実施
【得られた成果・今後の展望】
- 労働時間を72万時間削減し、人手不足解消に貢献
- 今後はペーパレス化推進に対するRPAの活用や運転日報など手書きの伝票をデータ化して基幹システムに転記するRPAの導入といった新しい取り組みで、さらなる事務処理の自動化・効率化を目指す
DXの領域を拡大することの5つのメリット

DXの領域を拡大するメリットの代表的なものとして以下の5つが挙げられます。
- ①業務効率化やコスト削減を実現できる
- ②データ活用により企業の競争力を高められる
- ③新たなサービスやビジネスモデルを創出できる
- ④働き方改革を推進できる
- ⑤事業停止のリスクを回避できる(BCPの充実)
それぞれについて分かりやすく解説していきます。
※300事例の分析に基づく、DXの領域を拡大するための13の王道パターンと成功事例をまとめた資料をダウンロード頂けます。
①業務効率化やコスト削減を実現できる
DXを推進し、手作業で行っていた各業務のデジタル化を進めることで、業務効率化やコスト削減を実現できます。
例えば、書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理したり、RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化したりといった取り組みが挙げられます。
これらの取り組みにより、作業時間の短縮やヒューマンエラーの防止、作業人員の縮小などの成果が期待できます。
また、個別作業のデジタル化だけでなく、デジタル活用を前提とした、既存の業務プロセス全体の見直し・カイゼンを行うことで、より大きな成果を上げることが可能です。
②データ活用により企業の競争力を高められる
DX推進により、より多くのデータを収集したり、蓄積しているデータを有効活用することで、企業の競争力を高めることができます。
例えば、購入前〜購入後までの一連の顧客接点のデジタル化を進めることで、より広範囲な顧客情報や消費行動データを収集したり、これまで社内の各チームでバラバラに管理していたデータを、一元管理できるシステムを構築するなどの取り組みが挙げられます。
これらの取り組みにより、よりパーソナライズされた商品提案やプロモーション施策を実施したり、より詳細なデータを活用し、精度の高い戦略や企画の立案を行ったりすることが可能になり、競合との差別化を図ることができます。
③新たなサービスやビジネスモデルを創出できる
DXを推進し、既存業務のデジタル化を進めることは、新たなサービスやビジネスモデルの創出に繋がります。
既存業務のデジタル化に取り組む過程で、詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどを得ることができます。
それらを、新たなサービスの企画や構築に活用することで、既存事業の延長線上にはない、新たな顧客体験・提供価値を実現することに繋がります。
デジタルをベースとした新規性の高いサービスやビジネスモデルの創出により、競合との差別化や収益性の向上を図ることができます。
④働き方改革を推進できる
DXを推進し、デジタル活用により業務効率化を進めることで、働き方改革を推進することができます。
DXによる業務効率化は、従業員の長時間労働の削減に直結します。また、業務プロセスのデジタル化やコミュニケーションツールの導入などにより、リモートワークがしやすい環境を整備することで、柔軟な働き方を実現することにも繋がります。
これらの取り組みにより、より働きやすい環境を整え、従業員の負担/ストレスの軽減、モチベーションの向上が期待できます。また、捻出した時間をより付加価値の高い事業や業務に集中させ生産性を向上させることも可能です。
⑤事業停止のリスクを回避できる(BCPの充実)
DXに取り組むことで、BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)の充実に繋がり、緊急時の事業停止のリスクを回避できるというメリットもあります。BCPとは、災害や感染症の流行、システム障害などの緊急事態が発生した際の対策の計画のことを指します。
例えば、リモートワークを推進することで災害や感染症の流行時にも大きな支障なく業務を進められる、レガシーシステムを脱却することでシステム障害が発生し復旧にも時間がかかるといったリスクを避けられるといったメリットがあります。
このようなBCPの充実は、取引先や株主からの信頼性の向上や企業価値向上にも繋がります。
DX領域を広げるうえでの5つの課題

DXの領域を拡大する上で企業が直面し得る課題として以下の5つが挙げられます。
- ①初期投資やランニングコストがかかる
- ②デジタル人材の確保が難しい
- ③すぐには成果が出ない場合もある
- ④社内の関係部署と協力・連携しなければならない
- ⑤既存システムからの移行が難しい
それぞれについて分かりやすく解説していきます。
※DX総研では経験豊富なコンサルタントによる、DXに関する個別無料相談会を実施しております。自社に合った推進方法や検討の進め方などでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
①初期投資やランニングコストがかかる

DXの推進にはツールの導入や新たなシステム開発などが必要となり、数百万円〜数千万円の費用が必要になることも少なくありません。
また、DXは、従来の個別改善型のデジタル化と比べ、業務プロセスやビジネス全体の大規模な変革に取り組むことになるため、比較的高額な初期費用が必要になります。
一方で、数年スパンで見ると大きな成果が期待できるため、中長期でのコスト削減や売上向上の効果を試算した上で、適切な範囲内で予算を確保し投資を行うことが重要です。
②すぐには成果が出ない場合もある
業務プロセスの根本的な変革/効率化や新規事業の創出など、DXで大きな成果を上げるには、3〜5年ほどの期間が必要となるのが一般的です。
一方で、DX推進を始めてもすぐには期待する成果が上がらず、プロジェクトを打ち切りにしてしまうという企業も少なくありません。
そのため、「DXで大きな成果を上げるには中長期で取り組む必要がある」という認識を社内ですりあわせることや、最終ゴールに向けたマイルストーンを引き、初期フェーズでも進捗の評価を正しく行えるようにすること、比較的早期に成果の出やすい小規模なプロジェクトを走らせることなどが有効です。
③DX人材の確保が難しい

全社的なDXを推進する場合、最新のテクノロジーを使いこなせるエンジニアはもちろん、ビジネス戦略とデジタル活用の両方に知見をもつリーダーが各部門に必要となります。
経済産業省の調査によると、国内のIT人材の需要は拡大し続けるのに対し、供給は2019年をピークに減少しており、2030年にかけて40〜80万人規模で不足すると予想されています。このように、DX人材は新卒・中途問わず争奪戦が続いており、希望通りに採用が進むことは稀という状況です。
そのため、短期的には、外部ベンダーの起用などで体制を強化しつつも、中長期的には人材育成や採用の仕組みを強化していく必要があります。
④社内の関係部署の協力・連携が必要になる
DXの推進には、部門を横断する業務プロセスやシステムの見直し、加えて組織やビジネスモデルの再構築などが必要となります。
それらの取り組みを進める際には、社内の幅広い関係部署間の協力・連携が必要不可欠です。一方で、各部署や現場のメンバーは、目の前の通常業務を抱えているため、プロジェクトが円滑に進まないというケースが多く存在します。
そのため、全社としてのDXの必要性やビジョンを周知し、現場の声も吸い上げた上で、協力を得ながらDXを推進することが求められます。
⑤既存システムからの移行が難しい
既存システムから新たなシステムへの移行は、システムの移行そのものに加え、データのフォーマット変換や新たな業務プロセスの設計、利用する社員への研修など、様々な取り組みが必要となります。
特に、複雑化・ブラックボックス化が進みレガシー化してしまったシステムからの移行に取り組む場合、その技術的・工数的なハードルはかなり高く、現場が難色を示すということは少なくありません。
一方で、移行の難易度が高くなっていることは、そのシステムを利用し続けるための運用コストやリスクが大きくなっていることを意味する場合が多いため、移行に取り組む意義はより大きいと言えます。
DXを成功させる5つのポイント

DXを成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
- ②自社ならではのDX戦略を策定する
- ③十分なDX人材を確保する
- ④スモールスタートクイックウィンを実現する
- ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。
※300事例の分析に基づく、DXの成功に向けて外せない25のポイントをまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒DX成功へのチェックリストの資料ダウンロードはこちら(無料)
①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。
そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。
具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。
一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。
②自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。
その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。
そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。
③十分なDX人材を確保する
DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。
本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。
また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。
そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。
※DX総研では経験豊富なコンサルタントによる、DXに関する個別無料相談会を実施しております。DX人材の確保や自社に合った推進方法などでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
④スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。
そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。
そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。
取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。
これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。
⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。
そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。
一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。
もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。
DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。
DXの進め方|具体的な6つのステップ

DXの進め方は大きく6つのステップに分けられます。
それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。
※300事例の分析に基づく、DXの成功に向けて外せない25のポイントをまとめた資料をダウンロード頂けます。
⇒DX成功へのチェックリストの資料ダウンロードはこちら(無料)
ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する

DX推進の最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。
「DX推進後の理想の自社の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。
本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。
自社の業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、市場環境や自社の特性を踏まえ、検討しましょう。
例えば、業務のデジタル化すら進んでいない企業であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる企業であれば、3年後までに製品/サービスやビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。
ステップ2:自社の現状と課題を把握する

続いて、自社が現状どの程度DXを推進できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。
本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX推進指標」を活用することで、企業文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。
それぞれの観点における自社の成熟度のレベルを把握することで、特にDX推進が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。
ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する

前ステップで策定したビジョンと自社の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。
検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。
デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。
そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DXを推進しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。
例えば、受発注のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした企業であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の受発注プロセスをデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。
※300事例の分析に基づく、企業のDX推進方法の13つの王道パターンと最新事例をまとめた資料をダウンロード頂けます。
ステップ4:DX推進チームを構築する

DXを推進するには、ビジョンや戦略を社員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。
そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。
また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。
- プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
- テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
- UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
- エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
- データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当
これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、社員に対するDX人材育成を実施する方法があります。
DX推進のスケジュールや、社員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。
ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる
これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。
ここで、いきなり全社単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。
そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の事業部や部門単位から進めるのがおすすめです。
前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各社員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。
これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDXの推進が可能になります。
ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

業務のデジタル化を進めることで、企業は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。
これらのデータを分析し、新たな業務の課題やビジネスチャンスを発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。
さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、自社独自の詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強みの蓄積こそが、他社には真似できない、ユニークな新サービスやビジネスモデルの創出の源泉となります。
DXに関する活用個別無料相談会実施中
DX総研では、DXに関する個別無料相談会を実施しています。
各社様のご要望に合わせ、最新の市場動向や具体的な活用アイデアなどを、個別のオンラインMTGにて、無料でご紹介させていただきます。
以下のようなお悩みをお持ちのご担当者様は、この機会にぜひお申込みください。
- 自社がデジタルを活用してどんなことができるか知りたい
- DXをどのように進めれば良いか分からない
- 自社にデジタル活用の経験や知識のある人がおらず困っている