DXソリューションとは?9つの種類/具体例や成功事例12選も紹介
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ビジネス戦略DXソリューションとは、DXを通じて企業の特定の課題を解決したり、目的を達成したりする取り組み、及びそのためのツールのことをいいます。
DXソリューションの中には、RPAやCRMなど従来から使われているソリューションもあれば、生成AIやIoT、デジタルツインなどの最新のソリューションまで様々なものがあります。
本記事では、DXソリューションとは何か、代表的な9つのソリューションと具体例、ソリューションを活用したDXの成功事例についてわかりやすく解説していきます。
またDX総研では、DXを検討・推進する上で必ず押さえておきたい、DX成功事例50選の取り組みや成果をまとめたレポートを無料で配布しています。ご興味のある方は、以下リンクからダウンロードしてご活用ください。
目次
そもそもDXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。
単なるデジタル化・IT化ではなく、デジタル活用により、業務やサービス、ビジネスモデルを大きく変革していく取り組みであるという点が大きなポイントです。
経済産業省は、2018年に発表した「DX推進ガイドライン」において、DXを以下のように定義しています。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
ー出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0
例えば、動画配信大手のNetflixが、宅配型のDVDレンタル事業からサブスクリプション型のオンライン動画配信サービスへとビジネスモデルを変革したのは、DXの代表的な事例といえるでしょう。
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DXソリューションとは?
DXソリューションとは、DXを通じて企業の特定の課題を解決したり、目的を達成したりする取り組み、及びそのためのツールのことをいいます。
例えば、大量のデータを分析して特定のパターンを見出すAIや、顧客の情報を一元管理できるCRM、オンラインでの定型的な作業を自動化できるRPAなどが挙げられます。
企業は、DXソリューションを活用することで、業務の効率化や新規サービスの創出などを実現し、企業の価値・競争力を高めることができます。
DXを実現させるDXソリューション9選

DXを実現させるDXソリューションとして、主に以下の9つが挙げられます。
- ①クラウド:自社でサーバーを持たずにネット接続が可能に
- ②AI/生成AI:人間のように知的作業を行える魔法のような技術
- ③IoT:あらゆるモノをインターネットに接続する技術
- ④SFA/CRM:マーケティングから商談・受注までのプロセスを変革するツール
- ⑤MA:見込み客を増やすマーケティング業務自動化ツール
- ⑥RPA:定型的なPC作業を代替するオンライン上で動くロボット
- ⑦ERP:財務・人事・在庫管理などあらゆる部門のデータを統合
- ⑧VR/AR:仮想空間を活用した新規サービス創出や業務効率化を実現
- ⑨デジタルツイン:仮想空間に双子のようなリアルな環境を再現
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
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①クラウド:自社でサーバーを持たずにネット接続が可能に

クラウド(クラウド・コンピューティング)とは、インターネットを通じて、データやアプリケーションを外部サーバーで管理・保存・利用する仕組みのことです。
従来のようにデータを個々のコンピューターや社内サーバーに保存するのではなく、クラウドサービスプロバイダーのデータセンターに保存します。これにより、ユーザーはインターネットにさえ接続していれば、いつでもどこからでもデータやアプリケーションにアクセスできるようになります。
自社でサーバー等を用意する必要がなく、低コストで迅速にソフトウェアを利用できるという便利さから、企業がDX推進のためのITツールを導入する際にも、クラウド経由で利用することが一般的となっています。
代表的なクラウドサービスとして、Amazon Web Services、Micorosoft Azure、Google Cloud Platformなどがあります。
②AI/生成AI:人間のように知的作業を行える魔法のような技術

AIとは、「Artificial Intelligence(人工知能)」の略称で、コンピューターがまるで人間のように学習・判断・予測などの知的作業を行うことを可能にする技術のことを指します。
画像を認識し異常を検知する、過去のデータから未来を予測する、依頼を元に文章や画像を作成するなどの様々な活用が可能です。
生成AIとは、AIの中でも、文章・画像・音声など新たなコンテンツを生成するAIのことを指します。
近年の急速な技術進歩により、簡単な利用方法で、人間が作成したものと同等、あるいはそれ以上の質のコンテンツを自動で生成できるようになったことから、既存のビジネスや業務のあり方を変えていく存在として、大きな注目を集めています。
既に人間の作業をサポートするツールとしての活用が進んでおり、例えば、テキスト生成AIで長文のレポートを要約する、画像生成AIで広告用の独自の画像を作成する等の活用が可能です。
AIや生成AIは、人間に代わって単純作業を行ったり、自動で新たなコンテンツを作成したりするなど、ビジネスモデルや業務プロセスを大きく変革します。DXを実現する上で、欠かすことのできない技術といえるでしょう。
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③IoT:あらゆるモノをインターネットに接続する技術

IoTとは、「Internet of Things」の略で、日本語では「モノのインターネット」と言います。家電、自動車、建物など、日常で使うあらゆるモノにセンサーを設置し、インターネット接続することで生活の利便性を大きく向上させる技術です。
IoTにより、センサーを搭載したモノから大量の情報を取得することで、様々なことが実現できます。例えば、冷蔵庫にセンサーを設置すれば、その中の食材の状況がわかり、どの食材を買い足す必要があるのかが一瞬でわかります。また、指輪型やブレスレット型のウェアラブルデバイスを装着することで、心拍数や睡眠パターンをモニタリングするためにも利用できます。
IoT技術が広まっていけば、あらゆるモノがインターネットに繋がり、生活の利便性が大きく向上します。導入のためには、専用のセンサーやデバイスの用意、ネットワーク環境の整備、データの収集・管理システムの構築などの準備が必要となります。
④SFA/CRM:マーケティングから商談・受注までのプロセスを変革するツール

SFAツール(Sales Force Automationツール)とは、商談やプロジェクトの進捗状況を管理することで、営業活動を効率化するツールです。営業プロセスの自動化を通じた営業チームの生産性向上を実現します。
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客に関するあらゆる情報を管理することで、営業活動を効率化したり、顧客情報からインサイトを得たりすることができるツールのことです。徹底的な顧客理解により、顧客との関係強化を実現します。
SFAとCRMを組み合わせて利用することで、マーケティングから商談・受注までの流れを効率化し、営業力を飛躍的に向上させることができるようになります。
代表的なSFAツールとして、Salesforceが提供するSales CloudやHubSpotが提供するSales Hubなどが挙げられます。また、代表的なCRMツールとして、5,500社以上の導入実績を誇る国産のeセールスマネージャーなどが挙げられます。
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⑤MA:見込み客を増やすマーケティング業務自動化ツール

MAツール(マーケティングオートメーションツール)とは、マーケティング業務を自動化・効率化するためのソフトウェアです。メール配信、ソーシャルメディアの運用、リード(見込み客)のスコアリング、パーソナライズされたコンテンツの提供、キャンペーンの分析などを自動化します。
MAツールにより、マーケティング活動の効率化と精度向上を実現することができます。例えば、顧客の行動データを分析し、その興味や行動に基づいて最適なタイミングで適切なコンテンツを提供することが可能です。これにより、リードの質が向上し、営業チームへの引き渡し時に成約率を高めることができます。
代表的なMAツールとして、導入実績1,500社以上を誇る「SATORI」や大手Webマーケティングメディアを運営するferretの「ferret One」が挙げられます。
⑥RPA:定型的なPC作業を代替するオンライン上で動くロボット

RPA(Robotic Process Automation)とは、オンライン上で行う定型的な作業を自動化するソフトウェアのことです。データの入力・転記やメールの送受信などの単純作業を、人間の代わりに実行する技術です。「オンライン上で働くロボット」と考えるとわかりやすいでしょう。
RPAにより、オンライン上で行う様々な定型作業を自動化・効率化するとともに、ケアレスミスの防止や人件費の削減といったメリットを得ることができます。人間の従業員は、より本質的な仕事に取り組めるようになり、DXが目指す業務プロセスの改革や新たな価値の創出につながります。
RPAで業務を効率化するためには、自社の業務の中から自動化したい業務を特定し、最適なツールを選定する必要があります。
現在、多くの企業がRPAツールをリリースしていますが、中でも、NTTアドバンステクノロジが提供する「WinActor」というツールは、国内シェアNo. 1を誇る代表的なRPAツールです。
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⑦ERP:財務・人事・在庫管理などあらゆる部門のデータを統合

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業の主要な業務プロセスを統合管理するためのシステムです。財務、人事、製造、販売、在庫管理など、さまざまな部門のデータを一元化し、効率的な業務運営を支援します。
ERPにより、情報の一元化によるデータの整理とリアルタイムな情報共有が可能になります。これにより、従業員は社内のマニュアルやノウハウなどの知見に迅速にアクセスできるようになり、経営者にとっては迅速かつ正確な意思決定が可能となります。
ERPを導入するためには、既存の業務プロセスを棚卸し、ERPでカバーする範囲を特定した上で、最適なツールを選定する必要があります。
現在、多くの企業がERPツールをリリースしていますが、中でも、マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウドERP」は、既存のマネーフォワードの会計システム等との連携が容易であり、多くの企業に導入されています。
⑧VR/AR:仮想空間を活用した新規サービス創出や業務効率化を実現

VRとは、Virtual Reality(仮想現実)の略称で、コンピューターを介してバーチャルの空間に入り込んだユーザーに、まるでそれが現実であるかのように感じさせる技術です。
現実世界では物理的な制約により再現が難しい、さまざまな空間やシチュエーションを再現し、そこに没入する体験が可能になります。近年では、ゲームや動画などのエンタメコンテンツだけでなく、企業研修や教育、完成前の建物や製品のイメージ共有などの用途でも活用が急速に進んでいます。
また、ARとは、Augumeted Reality(拡張現実)の略称で、スマートフォンやグラス型デバイスなどを通じて、リアルの世界にデジタルの情報を視覚的に重ね合わせ、情報を追加することで、ユーザーから見えるリアルの世界を拡張する技術です。
街中にポケモンが現れる「ポケモンGO」は、ARサービスの代表的な例です。ビジネスの場面では、工場や建設現場での作業の際に画面上に作業手順を表示して現場作業を効率化するといった用途で活用されています。
VRやARは、新規サービスやコンテンツの創出、業務プロセスの改善・変革など、様々な目的を達成することができ、DXを推進する重要な技術となっています。
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⑨デジタルツイン:仮想空間に双子のようなリアルな環境を再現

デジタルツインとは、リアル空間から収集したデータをもとに、バーチャル空間上に全く同じ環境をまるで双子のように再現する技術です。
建物や設備に搭載されたセンサーやIoTデバイスなどから集約したさまざまなデータをもとに、リアル空間に存在する都市全体や建物、設備をバーチャル空間上に再現し、AIなどを活用しながらさまざまな分析を行うことで、より高度なシミュレーションを行うことができます。
デジタルツインを導入するためには、センサー等のIoT機器からデータを収集した上で、3Dモデルを作成し、デジタルツインとして運用できるようにシステムを構築する必要があります。
実装には高度な技術が必要であるため、外部の専門家やコンサルティング会社に依頼するのがおすすめです。
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DXソリューションを活用したDX推進の成功事例12選
DXソリューションを活用したDX推進の成功事例として以下の12事例が挙げられます。
<クラウド>
- ①【PayPay】AWSを導入しPayPayをわずか3ヶ月でリリース
<AI/生成AI>
- ②【パナソニック】電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用
- ③【旭鉄工】製造現場の組織的なカイゼンに生成AIを活用
- ④【JFEスチール】画像認識AIが製鉄所の作業員を検知し安全を確保
<IoT>
- ⑤【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築
<SFA/CRM>
- ⑥【TIS株式会社】SFAで組織横断型の情報共有を促進
<MA>
- ⑦【キリン】MAツールを活用し、顧客情報の一元管理を実現
<RPA>
- ⑧【ニチレイ】RPA・ロボットにより40万時間の物流業務を自動化
<ERP>
- ⑨【味の素株式会社】SAPの次世代ERP「SAP S/4HANA®」で 新会社の基幹システムを構築
<VR/AR>
- ⑩【みずほ銀行】VR空間上に店舗を開設し、決済機能提供などを検討
- ⑪【ニトリ】スマホアプリのAR機能により家具や設置場所を測定し、サイズ間違いの不安を解消
<デジタルツイン>
- ⑫【東急不動産】デジタル空間上にモデルルームを再現し、自宅からでも内見が可能に
それぞれの事例についてわかりやすく解説していきます。
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<クラウド>
①【PayPay】AWSを導入しPayPayをわずか3ヶ月でリリース

PayPay株式会社は、自社が運営する決済アプリ『PayPay』のサービスプラットフォームに AWS(アマゾンウェブサービス) を採用しています。
【課題・背景】
- 市場シェアの早期獲得のため、PayPayの迅速な開発、リリースが求められた
- 時間と手間を省くため、自社保有のオンプレミス環境ではなくクラウドサービスを利用する必要があった
【具体的な取り組み】
- システム構築に時間が掛からないクラウドサービス「AWS」を採用
- サービス開発において技術連携したインド最大の決済サービス事業者である Paytm(ペイティーエム)での開発実績があったことも「AWS」採用の理由に
【得られた成果】
- 3ヶ月という短い期間でファーストローンチを達成
- PayPayのファーストローンチ後も AWS のアカウントチームやエンタープライズサポートを活用して新たなサービスを追加したり、マイクロサービスごとに機能を強化するなどアップデートを続けることができた
<AI/生成AI>
②【パナソニック】電気シェーバーのモーター設計に生成AIを活用

パナソニックは、日本を代表する大手家電メーカーです。同社は、DXを核とするグループ横断の取り組みを「Panasonic Transformation(PX)」と称し、AIなどの最先端技術を取り入れながら、事業戦略の基礎となる業務・プロセス・カルチャーそのものの変革を2021年5月から進めています。
【課題・背景】
- 同社の電動シェーバー「LAMDASH(ラムダッシュ)」は20年以上にわたり改良を続けてきた製品であり、伸びしろが限界に来ていた
- モーターの高出力化が大きな課題となっていたが、人間の経験と知見では、これ以上の進化の余地はない状態だった
【具体的な取り組み】
- LAMDASHシリーズ次期商品のモーター設計に生成AIを活用
- AIがモーターの中核部品であるムーバーの構造をゼロベースで設計し、シミュレーション結果を基に改善するプロセスを自動で繰り返すシステムを構築
【得られた成果・今後の展望】
- 生成AIが設計したモーターは、熟練技術者による最適設計と比較して出力が15%UPし、品質向上を実現
- 人間では改善に数か月も要していたが、AIであれば数日でPDCAを回し、同等の改善が可能に
- 今後は電動工具や車載用モーター、シーリングファンなど、他の製品開発にもAIによる設計を採用する方針
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③【旭鉄工】製造現場の組織的なカイゼンに生成AIを活用

旭鉄工は、トヨタなどの主要自動車メーカーと取引を行う、日本の自動車部品メーカーです。「人には付加価値の高い仕事を」をスローガンに、IoTを起点としたDXを行っています。
またノウハウを他社展開するため、2016年9月にi Smart Technologies株式会社を設立し、IoTモニタリングやコンサルティングサービスも提供しています。
【課題・背景】
- IoT活用により改善活動のサイクルが早まったが、改善方法(ノウハウ)そのものは個人が紙やファイルで属人的に保存している状況であった
- そこで、それらをまとめた「横展アイテムリスト(ノウハウ集)」を作成。しかし、事例数が膨大で探し出すのが困難であり、かつ書き方に個人差があるため活用しづらいという新たな課題が生まれた
【具体的な取り組み】
- ChatGPTに「横展アイテムリスト」の内容を読み込ませ、ChatGPTに日本語で質問するだけで、最適な改善事例を回答できるように
- 例えば「マシニングのサイクルタイムの事例は?」と質問すると、「設備」「狙い」「内容」「注意点」などを箇条書きで整理して回答してくれる
【得られた成果・今後の展望】
- このシステムを本格導入することにより、社内の知見が現場の隅々にまで共有され、より生産性高くカイゼン活動を行うことが可能に
- 今後は同システムを、カイゼンGAIとして外部に提供するソリューションにも組み込んでいく方針
④【JFEスチール】画像認識AIが製鉄所の作業員を検知し安全を確保

JFEスチールは、2017年10月に全社横断の組織として「データサイエンスプロジェクト部」を新設し、技術開発戦略の推進を図っています。今後もICT、AI、データサイエンス等を活用し、さらなる新技術の開発と実用化を進めていきます。
【課題・背景】
- JFEスチールは、「安全は全てに優先する」という基本理念のもと、安全で健康な職場づくりを推進
- 世代交代の進行とともに作業経験の少ない若手社員が増加している中、さらなる安全な職場づくりを実現するためには最新のITを取り入れていくことが最良であると判断
- 製鉄所の工場内は場所によって照明条件が異なり、多種多様な装置が配置されていることに加え、作業者も様々な姿勢で作業を行うため、人物検知そのものが困難な環境
【具体的な取り組み】
- AIによる画像認識技術を、製鉄所における作業者の安全行動サポートに活用する技術を開発し、導入
- 製鉄所における安全推進に関するAIを活用した画像認識技術の適用は、国内業界では初の取り組み
- 大量の人物画像を撮像してディープラーニングによって学習させることで、実用レベルの人物検知を実現
- 条件によって立ち入り禁止エリアが変化する特殊な工場内においても、AIが正しくエリアを認識する技術を確立
【得られた成果・今後の展望】
- 立ち入り禁止エリアに作業者が進入してしまった場合には、AIが警報を発するとともに自動でラインを停止させるシステムを実現
- JFEスチールの知多製造所(愛知県半田市)の中径シームレス管工場に導入され、有効性が確認できたことから、2019年より全社展開する予定
<IoT>
⑤【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築

ダイキン工業は、空調機や化学製品の製造を手掛ける大阪に本拠を置く世界的なメーカーです。同社は、2021年より「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始し、IoTにより空調機をクラウド環境に接続して一括管理を可能にし、業務やエネルギー消費の効率化を実現しています。
【課題・背景】
- オフィス空調設備のエネルギー消費量を最適化し、コスト削減と環境負荷の低減を目指す顧客企業のニーズが増加していた
- 多くの顧客企業が、設備管理者の人手不足に伴い、オフィス空調設備の運用・制御を効率化する必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- 空調設備をインターネットでつなぐ「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始
- 各拠点の空調設備をつなぐクラウド型の空調コントロールシステム「DK-CONNECT」の構築
【得られた成果】
- 100万台以上のエアコンの接続と分単位のデータ取集・リアルタイム制御を実現
- スマホやタブレットから空調設備の監視・運用が可能となり、オフィスを巡回する手間をカット、業務時間の短縮を実現
- 部屋単位で空調を制御したり、人数に応じて自動で設定温度を調整するなど、空調設備の運用最適化によるエネルギー消費量の削減
<SFA/CRM>
⑥【TIS株式会社】SFAで組織横断型の情報共有を促進

クレジットカードの基幹システム開発などを手がけるTIS株式会社は、SFAの導入によって営業活動の属人化を解決し、営業をはじめとするフロントラインの全員が等しく顧客情報にアクセスできる組織横断型の情報共有を実現しました。
【課題・背景】
- 情報共有の仕組みが構築できていないため、各メンバーによって情報の受け取り方や粒度に差が生まれ、営業活動が属人化していた
- 中期経営計画のキーワードである「フロントラインの強化」と「社会課題の解決」を達成するために、社員が自ら提案・解決を実現できる体制の強化が必要だった
【具体的な取り組み】
- フロントラインの従業員間による顧客情報の円滑な共有のために、SFAを導入
- SFAツールとして、社員が利用しやすい直感的なわかりやすさや見やすさに優れた「Mazrica Sales」を採用
【得られた成果】
- 情報蓄積やデータ活用の文化が定着し、情報共有が促進
- お客様と接点をもつフロントラインの全員が等しく情報にアクセスできるため、全員の顧客理解が促された
- 過去のやり取りを基にした提案や、他のお客様での成功事例を取り入れた提案など提案の幅が広がり顧客に対する訴求力向上に寄与
<MA>
⑦【キリン】MAツールを活用し、顧客情報の一元管理を実現

キリン株式会社は、業界トップクラスの品揃えを誇り、国内に留まらず海外進出も積極的に行う大手飲料メーカーです。同社は、顧客ごとに最適化したコミュニケーションを行うため、MAツールを活用しています。
【課題・背景】
- オウンドメディアを通して顧客情報の収集とコミュニケーションの接点強化を行い、部内の体制を整えデータを蓄積を進めていた
- その後、実際にメールやSNSでお客様ごとに最適化したコミュニケーションを行うOne to Oneマーケティングには、MAツールが必要不可欠だった
【具体的な取り組み】
- デジタルを意識した接点拡大のためにMAツール「Salesforce Marketing Cloud(SMC)」を導入
- 目の前の業務対応に手一杯で十分なリソースがないことから、SMCの運用支援「DNP MA運用支援サービス」を利用
【得られた成果】
- お客様の関心カテゴリーにフラグをつけて一元管理し、一人ひとりに最適化されたメール配信が可能になるなど、One to Oneマーケティングが大きく前進
- 「DNP MA運用支援サービス」を活用することでゼロベースでも作業ができるマニュアルの作成ができ、SMCのオペレーションミスが減少
<RPA>
⑧【ニチレイ】RPA・ロボットにより40万時間の物流業務を自動化

加工食品事業と低温物流事業を手がけるニチレイはRPAを活用し、業務の大幅な自動化に成功しています。
【課題・背景】
- 物流・製造業界での人手不足に対応するため、ロボットやAI等を活用した業務の自動化・効率化を図る必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- 無人搬送ロボットによる自動搬送、RPA導入による事務作業の自動化などの業務効率化施策を実施
- 各拠点の空調設備をつなぐクラウド型の空調コントロールシステム「DK-CONNECT」の構築
【得られた成果】
- RPAを全国に導入。2024年3月までに累計40万時間の業務を自動化
<ERP>
⑨【味の素株式会社】SAPの次世代ERP「SAP S/4HANA®」で 新会社の基幹システムを構築

食品の製造・販売を手がける大手メーカーである味の素は、SAPの次世代ERP「SAP S/4HANA」により開発機能数を半減、基幹システムのシンプル化に成功しました。
【課題・背景】
- クノール食品株式会社を承継会社として国内食品生産体制を集約・再編分散するタイミングでシステムを集約し、SAP S/4HANAによるグループ共通の経営基盤を実現する必要があった
- クノール食品株式会社が利用していたSAP S/4HANAの先代商品である「ECC6.0」において業務要望を受けて増え続けていた外付け機能やアドオン機能をシンプル化する必要があった
【具体的な取り組み】
- 「とにかくシンプルに標準機能をそのまま使うことに拘る」というシステム整備の基本方針を設定
- 基幹システムを可能な限り業務を標準化し、S/4HANA の標準機能を使う形に変更
【得られた成果】
- 476個もあった基幹システムの機能を約半分の210個に削減し、シンプル化に成功
- S/4HANA標準機能の性能向上により、クノール食品が利用していたECC6.0では1時間以上を要していたバッチ処理が10分程度に削減
<VR/AR>
⑩【みずほ銀行】VR空間上に店舗を開設し、決済機能提供などを検討

みずほフィナンシャルグループは次世代チャネルとしての有用性を検証する目的で、2022年8月に開かれる世界最大のVRイベントである「バーチャルマーケット2022」への出展を発表しました。
【課題・背景】
- 金融と非金融の融合による「次世代金融への転換」を推進し、新たなビジネスの創出や生産性向上を目指したい
【具体的な取り組み】
- 銀行店舗をイメージしたブースを出店し、ボルダリング体験やオリジナル3Dモデルの配布をはじめ、ゲストを招いた金融知識に関する座談会が行う
- 将来的にはVR空間上の店舗にて資産形成の相談や商談を実施したり、決済手段の提供などを含めたVR空間上での新たな経済活動に対するソリューションの提供を目指す
【解決した課題・成果】
- VRの特性を活かした今までにない顧客体験やビジネスチャンスを創造
- 資産形成・住宅ローン・相続などに関する個人のお客さま向けコンサルティングサービス、為替相場・産業動向等のセミナー開催、法人のお客さま同士の交流(ミートアップや商談会)等、幅広い領域が対象となる見込み
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⑪【ニトリ】スマホアプリのAR機能により家具や設置場所を測定し、サイズ間違いの不安を解消

家具やインテリアの販売を行っている株式会社ニトリは、累計利用者数2,000万人を突破しているニトリアプリにAR家具試し置き機能を搭載しました。
【課題・背景】
- 「⾒たい商品が店頭になかった」「商品の⼤きさのイメージがわかりにくい」「お家のコーディネートに合うかわからない」といった顧客の声を反映したい
- ECのコンバージョン率を向上させ、返品率を低下させたい
【具体的な取り組み】
- ニトリのアプリ上で、家具や設置場所をiPhoneのAR機能を活用し、簡単に計測できる機能「サイズwithメモ」を提供
- 作成した商品3Dモデルを活⽤し、バーチャルでコーディネートを作成可能にするシミュレーションサービス「3Dインテリアシミュレーター」を2024年6⽉1⽇に導⼊
【解決した課題・成果】
- サイズ間違いの心配をせずに家具をECで購入可能に
<デジタルツイン>
⑫【東急不動産】デジタル空間上にモデルルームを再現し、自宅からでも内見が可能に

東急不動産は、デジタルツインで住まいを自由にシミュレーションできる「BRANZデジタルツイン」で新しい不動産体験を実現しました。
【課題・背景】
- コロナ以降、密を避けるために販売拠点の来場者数を限定せざるを得ず、対面販売の機会が減少していた
【具体的な取り組み】
- 従来のモデルルームでの体験をデジタルツイン上に集約・再現
- 昼夜の光の入り具合など、生活の中で感じる情緒まで高精細CGIでリアルに再現
【解決した課題・成果】
- 遠方に住む人や高齢者など、モデルルームの訪問にハードルがある人もモデルルーム同様の体験が可能
- 現実のモデルルーム見学と遜色のない体験価値、さらに一部においてはシミュレーション機能などモデルルーム以上の体験価値を提供
DXソリューションでDXを成功させる5つのポイント

DXソリューションを活用してDXを成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
- ②自社ならではのDX戦略を策定する
- ③十分なDX人材を確保する
- ④スモールスタートクイックウィンを実現する
- ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。
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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。
そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。
具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。
一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。
②自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。
その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。
そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。
③十分なDX人材を確保する
DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。
本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。
また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。
そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。
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④スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。
そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。
そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。
取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。
これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。
⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。
そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。
一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。
もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。
DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。
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