DXで業務改善する3つの方法とは?成功事例12選や進め方も紹介
DXで業務改善を行う方法としては、ITツールの導入による業務の自動化、コミュニケーションツールによる情報共有の円滑化、データ活用による生産の最適化などが挙げられます。
日本でも多くの企業がDXによる業務改善に成功しており、中には作業時間を半分以上削減することに成功した事例もあります。
本記事では、DXで業務改善を行う3つの方法、企業の成功事例、具体的な進め方などをわかりやすく解説していきます。
またDX総研では、DXを検討・推進する上で必ず押さえておきたい、DX成功事例50選の取り組みや成果をまとめたレポートを無料で配布しています。ご興味のある方は、以下リンクからダウンロードしてご活用ください。
目次
- そもそもDXとは?
- DXで業務改善を行う3つの方法
- DXによる業務改善を阻む5つの課題
- DXで業務改善に成功した事例12選
- ①【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功
- ②【三菱UFJ銀行】ChatGPT利用で月22万時間の労働時間削減へ
- ③【佐川グローバルロジスティクス】無線通信自動認識システムや仕分けシステムで倉庫内作業を効率化
- ④【東京電力】ドローンやAIの活用により発電所の保守・点検・管理業務を省力化
- ⑤【NTTデータ】生成AIとNTT DATA独自開発のクローラーを組み合わせて社内業務効率化を実現
- ⑥【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築
- ⑦【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供
- ⑧【旭鉄工】製造現場の組織的なカイゼンに生成AIを活用
- ⑨【川崎重工】工場を丸ごとデジタルツイン化し、生産管理を効率化
- ⑩【ファミリーマート】外国籍従業員の在留資格の確認が瞬時にできるアプリを導入
- ⑪【東北大学病院】日本語大規模言語モデルで医療文書の作成時間を47%削減
- ⑫【大阪府東大阪市】AIを活用し議事録作成にかかる時間を3割削減
- DXで業務改善を進める6つのステップ
- DXによる業務改善を成功させる5つのポイント
そもそもDXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、業務やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める取り組みのことです。
単なるデジタル化・IT化ではなく、デジタル活用により、業務やサービス、ビジネスモデルを大きく変革していく取り組みであるという点が大きなポイントです。
経済産業省は、2018年に発表した「DX推進ガイドライン」において、DXを以下のように定義しています。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
ー出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0
例えば、動画配信大手のNetflixが、宅配型のDVDレンタル事業からサブスクリプション型のオンライン動画配信サービスへとビジネスモデルを変革したのは、DXの代表的な事例といえるでしょう。
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DXで業務改善を行う3つの方法

DXで業務を改善する方法として、以下の3つが挙げられます。
- ①デジタル技術/ツールの導入による作業の自動化・効率化
- ②情報の円滑な共有によるコミュニケーションの促進
- ③データ活用による需要予測や生産最適化
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
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①デジタル技術/ツールの導入による作業の自動化・効率化

DXの取り組みの中でも最も基本的なものとして、目的に応じて適切なITツールやシステムを導入するという施策が挙げられます。ITツールやシステムを導入することで、あらゆる作業を自動化・効率化することができるようになります。
例えば、RPA(Robotic Process Automation)ツールを導入してExcel上でのデータ入力などPC上の定型的な作業を自動化したり、CRM(Customer Relationship Management)を用いて顧客の情報管理を効率化するなどの取り組みが挙げられます。
また、近年では、多くの企業が、対話型生成AIである「ChatGPT」を導入して業務を大幅に効率化しています。まるで人間が書いたような自然な文章を生成する能力を活かして、あらゆる文書の作成を自動化したり、翻訳・要約・議事録作成などにかかる時間を大幅に削減することに成功しています。
②情報の円滑な共有によるコミュニケーションの促進

デジタル技術やITツールを用いることで、情報共有やコミュニケーションを効率化することができます。
例えば、SlackやChatworkなどのチャットコミュニケーションツールを導入することで、離れていても社員同士が円滑に会話できるようにしたり、情報検索システムを導入して会社の情報や蓄積した知見を社員がいつでもアクセスできるようにするなどの取り組みが挙げられます。
近年では、ChatGPTなどの生成AIに社内のマニュアルやノウハウ・データを学習させることで、生成AIに質問するだけで、必要な社内情報が手に入る情報検索システムを導入している企業も増えています。
これらの取り組みにより社内の情報共有を円滑化し、社員同士のコミュニケーションを効率化することができます。
③データ活用による需要予測や生産最適化
データの活用は、DXの取り組みにおける重要な要素です。データを上手に使いこなせるかどうかによって、業務の効率性や生産性が大きく変わってきます。
データ活用のカギを握るのが、AIとビッグデータです。この2つを組み合わせることで、人間では処理しきれないほどの大量のデータを分析し、新たなパターンやトレンドを見つけ出すことができるようになります。
例えば、ある商品の過去の販売数の推移、気象条件、周辺の交通状況や人口の変化などの諸々のデータをAIを活用して分析することで、その商品の将来の需要や販売数を正確に予測できるようになります。将来需要に応じて生産量を調整することで、生産工程を効率化することが可能となります。
また、デジタルツインという技術により、仮想空間上に工場や建築物などを再現し、そこからデータを取得することで、生産工程を最適化したり、より効率的な建築計画を立案することができるようになります。例えば、鹿島建設は、デジタルツイン上で建物の建設プロセス全体のシミュレーションに成功し、より効率的な建築計画を策定することに成功しています。
DXによる業務改善を阻む5つの課題

DXによる業務改善に取り組む企業が直面し得る課題として、主に以下の5つが挙げられます。
- ①初期投資やランニングコストがかかる
- ②デジタル人材の確保が難しい
- ③すぐには成果が出ない場合もある
- ④社内の関係部署と協力・連携しなければならない
- ⑤既存システムからの移行が難しい
それぞれについて分かりやすく解説していきます。
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①初期投資やランニングコストがかかる

DXの推進にはツールの導入や新たなシステム開発などが必要となり、数百万円〜数千万円の費用が必要になることも少なくありません。
また、DXは、従来の個別改善型のデジタル化と比べ、業務プロセスやビジネス全体の大規模な変革に取り組むことになるため、比較的高額な初期費用が必要になります。
一方で、数年スパンで見ると大きな成果が期待できるため、中長期でのコスト削減や売上向上の効果を試算した上で、適切な範囲内で予算を確保し投資を行うことが重要です。
②すぐには成果が出ない場合もある
業務プロセスの根本的な変革/効率化や新規事業の創出など、DXで大きな成果を上げるには、3〜5年ほどの期間が必要となるのが一般的です。
一方で、DX推進を始めてもすぐには期待する成果が上がらず、プロジェクトを打ち切りにしてしまうという企業も少なくありません。
そのため、「DXで大きな成果を上げるには中長期で取り組む必要がある」という認識を社内ですりあわせることや、最終ゴールに向けたマイルストーンを引き、初期フェーズでも進捗の評価を正しく行えるようにすること、比較的早期に成果の出やすい小規模なプロジェクトを走らせることなどが有効です。
③DX人材の確保が難しい

全社的なDXを推進する場合、最新のテクノロジーを使いこなせるエンジニアはもちろん、ビジネス戦略とデジタル活用の両方に知見をもつリーダーが各部門に必要となります。
経済産業省の調査によると、国内のIT人材の需要は拡大し続けるのに対し、供給は2019年をピークに減少しており、2030年にかけて40〜80万人規模で不足すると予想されています。このように、DX人材は新卒・中途問わず争奪戦が続いており、希望通りに採用が進むことは稀という状況です。
そのため、短期的には、外部ベンダーの起用などで体制を強化しつつも、中長期的には人材育成や採用の仕組みを強化していく必要があります。
④社内の関係部署の協力・連携が必要になる
DXの推進には、部門を横断する業務プロセスやシステムの見直し、加えて組織やビジネスモデルの再構築などが必要となります。
それらの取り組みを進める際には、社内の幅広い関係部署間の協力・連携が必要不可欠です。一方で、各部署や現場のメンバーは、目の前の通常業務を抱えているため、プロジェクトが円滑に進まないというケースが多く存在します。
そのため、全社としてのDXの必要性やビジョンを周知し、現場の声も吸い上げた上で、協力を得ながらDXを推進することが求められます。
⑤既存システムからの移行が難しい
既存システムから新たなシステムへの移行は、システムの移行そのものに加え、データのフォーマット変換や新たな業務プロセスの設計、利用する社員への研修など、様々な取り組みが必要となります。
特に、複雑化・ブラックボックス化が進みレガシー化してしまったシステムからの移行に取り組む場合、その技術的・工数的なハードルはかなり高く、現場が難色を示すということは少なくありません。
一方で、移行の難易度が高くなっていることは、そのシステムを利用し続けるための運用コストやリスクが大きくなっていることを意味する場合が多いため、移行に取り組む意義はより大きいと言えます。
DXで業務改善に成功した事例12選
DXにおける業務改善の成功事例として、以下の12事例が挙げられます。
- ①【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功
- ②【三菱UFJ銀行】ChatGPT利用で月22万時間の労働時間削減へ
- ③【佐川グローバルロジスティクス】無線通信自動認識システムや仕分けシステムで倉庫内作業を効率化
- ④【東京電力】ドローンやAIの活用により発電所の保守・点検・管理業務を省力化
- ⑤【NTTデータ】生成AIとNTT DATA独自開発のクローラーを組み合わせて社内業務効率化を実現
- ⑥【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築
- ⑦【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供
- ⑧【旭鉄工】製造現場の組織的なカイゼンに生成AIを活用
- ⑨【川崎重工】工場を丸ごとデジタルツイン化し、生産管理を効率化
- ⑩【ファミリーマート】外国籍従業員の在留資格の確認が瞬時にできるアプリを導入
- ⑪【東北大学病院】日本語大規模言語モデルで医療文書の作成時間を47%削減
- ⑫【大阪府東大阪市】AIを活用し議事録作成にかかる時間を3割削減
それぞれの事例についてわかりやすく解説していきます。
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①【日本通運】RPA導入で労働時間を72万時間削減することに成功

日本を代表する運送会社である日本通運はRPAを導入して業務を自動化し、働き方改革を実現しました。
労働時間を削減することで、従業員の残業時間の削減や、人手不足の解消に成功しています。
【課題・背景】
- 2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限規制がかかる、いわゆる2024年問題を受けて、人手不足への対応が喫緊の課題となっていた
- 労働時間を削減し、少子高齢化による労働力不足を考慮した新しい働き方を実現する必要があった
【具体的な取り組み】
- 業務内容に応じて、業務の統括部門に導入する集約型ロボットと複数課所に導入する横展開型ロボットという2種類のロボットを使い分けながら、RPAを導入・展開
- 1万8,000人を超える事務系社員へのRPA基礎講習、全国に配置するRPAマスターに対して養成講習を開催するなど、積極的な教育・啓蒙活動を実施
【得られた成果・今後の展望】
- 労働時間を72万時間削減し、人手不足解消に貢献
- 今後はペーパレス化推進に対するRPAの活用や運転日報など手書きの伝票をデータ化して基幹システムに転記するRPAの導入といった新しい取り組みで、さらなる事務処理の自動化・効率化を目指す
②【三菱UFJ銀行】ChatGPT利用で月22万時間の労働時間削減へ

三菱UFJ銀行は、AIを活用した様々な取り組みを実施し、DXを推進しています。近年では、対話型生成AI「ChatGPT」を自社専用にカスタマイズして導入し、稟議書などの文書作成業務の自動化・効率化を目指す取り組みが注目されています。
【課題・背景】
- 銀行業務では、稟議書や融資申込書など様々な文書の作成業務が発生し、多くの工数がかかっており、行員の負担となっていた
【具体的な取り組み】
- 4万人の行員を対象にChatGPTの利用を開放。自社独自にカスタマイズし、セキュリティ対策を施した安全な利用環境を構築
- AIを搭載したチャットボットを導入し、顧客からの問い合わせに対応
【得られた成果】
- ChatGPTを稟議書作成や社内文書ドラフトに活用することで、月22万時間以上の労働時間削減効果を試算
- チャットボットにより24時間365日の顧客対応が可能となり、行員の業務負担の軽減と顧客満足度の向上を実現
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③【佐川グローバルロジスティクス】無線通信自動認識システムや仕分けシステムで倉庫内作業を効率化

SGホールディングスグループの中でロジスティクス事業を展開する佐川グローバルロジスティクスは、無線通信自動認識システム(RFID)を導入することで入出荷検品作業を効率化したり、仕分けシステム「t-Sort」を導入することで仕分け作業の生産性を向上させています。
【課題・背景】
- 倉庫内作業を効率化し、作業員の負担軽減や生産性向上を図りたい
【具体的な取り組み】
- 商品につけた無線通信自動認識システム「RFID(Radio Frequency Identification)」を認識させて検品を行う
- 仕分けシステム「t-Sort」で従来作業員が移動して行っていた仕分け作業をロボットが代わりに行う
【解決した課題・成果】
- t-SortとRFIDシステムの組み合わせで、作業スキル修得時間は約7割削減を達成するなど、新規就労者の早期戦力化を実現
- 作業生産性の大幅な向上に加え、作業品質も向上。仕分けミスは、ほぼゼロに
④【東京電力】ドローンやAIの活用により発電所の保守・点検・管理業務を省力化

東京電力は、発電所の管理業務の省力化、安全性向上のためにドローンやAIを活用しています。
【課題・背景】
- 発電所の保守・点検には多くの工数がかかり、人身事故のリスクを伴うものであり、安全かつ効率的な管理方法が求められていた
【具体的な取り組み】
- 水力・風力発電所の保全作業にドローンを活用。各種設備の点検や周辺環境の状況の把握を省人化
- 原子力発電所を3Dモデル化し、設備全体の効率的な管理や関係者間の情報共有を実施
【得られた成果】
- 発電所トラブル発生時から調査開始までの所要時間を2日以上から2時間以内に短縮。点検作業における人身事故リスクを排除
- 原子力発電所の設計・施工を可視化することで、正確さが向上。会社間での意思疎通の漏れを防止し、施工ミスのリスク低減
⑤【NTTデータ】生成AIとNTT DATA独自開発のクローラーを組み合わせて社内業務効率化を実現

複数のITサービスを提供するNTTデータは、生成AIの導入に加え、NTT DATA独自開発のクローラー(LITRON® Generative Assistant)と組み合わせることで、より社員満足度の高いサービスを実現しています。
【課題・背景】
- 社員の日常業務の効率化を支援し、生産性を向上したい
- 複数の社内サイト上に存在する膨大な社内マニュアルや規程類、といったサイロ化された社内情報を検索するのに大きな工数がかかっていた
【具体的な取り組み】
- 日ごろのオフィス業務・事務作業に即したプロンプトを出力できる生成AIを用いたチャットサービスを構築
- 生成AI技術とNTT DATA独自開発のクローラーによって構築された社内情報を統合的に取得し自然言語で回答するナレッジ検索機能を社内で活用
【得られた成果】
- チャットサービスを介して技術調査などの汎用的な業務への負担軽減に貢献
- 生成AIを用いたチャットサービス導入から4カ月後、利用社員にアンケートを実施したところ、9割以上の社員から今後も継続して利用したいとの声を得られた
- 今後さらなる利用者数の拡大ならびに利用頻度の増加に向け、利用社員をセグメントした分析を実施予定
⑥【ダイキン】空調機の効率的な稼働を実現するIoTシステムの構築

ダイキン工業は、空調機や化学製品の製造を手掛ける大阪に本拠を置く世界的なメーカーです。同社は、2021年より「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始し、IoTにより空調機をクラウド環境に接続して一括管理を可能にし、業務やエネルギー消費の効率化を実現しています。
【課題・背景】
- オフィス空調設備のエネルギー消費量を最適化し、コスト削減と環境負荷の低減を目指す顧客企業のニーズが増加していた
- 多くの顧客企業が、設備管理者の人手不足に伴い、オフィス空調設備の運用・制御を効率化する必要性に迫られていた
【具体的な取り組み】
- 空調設備をインターネットでつなぐ「オールコネクテッド戦略」というプロジェクトを開始
- 各拠点の空調設備をつなぐクラウド型の空調コントロールシステム「DK-CONNECT」の構築
【得られた成果】
- 100万台以上のエアコンの接続と分単位のデータ取集・リアルタイム制御を実現
- スマホやタブレットから空調設備の監視・運用が可能となり、オフィスを巡回する手間をカット、業務時間の短縮を実現
- 部屋単位で空調を制御したり、人数に応じて自動で設定温度を調整するなど、空調設備の運用最適化によるエネルギー消費量の削減
⑦【コマツ】IoT・AIを搭載したスマート建機ソリューションの提供

コマツは、ショベルやブルドーザーなどの建設機械や鉱山機械の製造を手掛ける日本の大手建設メーカーです。同社は、IoTやAIなどのデジタル技術を建設機械や産業機械に搭載した新たなソリューションを開発・提供し、製造業界や建設業界におけるモノづくりの現場のDXを支援しています。
【課題・背景】
- 建設業界の人手不足に伴う、現場作業の効率化・省人化のためのソリューションを求める顧客企業がますます増えていた
【具体的な取り組み】
- 建設・製造業界の企業に対して、遠隔地から機械の稼働状況を確認できるIoTを活用した管理システム「Komtrax」の開発・提供
- 建設・製造業界の企業に対して、AIが部品の劣化状態を把握し、故障前に交換時期を予測する予知保全システムの提供
- 建設業界の企業に対して、センサーを搭載し、自動制御を可能にしたICT建機の製造・販売
【得られた成果】
- 機械の稼働状況の一元管理が可能となり、稼働率の向上、メンテナンス時期の把握、生産量集計の自動化などによる顧客の現場作業の効率化・生産性向上を実現
- ある企業は、Komtraxにより、設備の稼働率が向上し、生産性が140%も増加するなど大幅な改善を実現
- 遠隔地から顧客の機械の稼働状況や部品の劣化状態の把握が可能となり、効率的かつ適切な修理・保全サービスの提案が可能に
⑧【旭鉄工】製造現場の組織的なカイゼンに生成AIを活用

旭鉄工は、トヨタなどの主要自動車メーカーと取引を行う、日本の自動車部品メーカーです。「人には付加価値の高い仕事を」をスローガンに、IoTを起点としたDXを行っています。
またノウハウを他社展開するため、2016年9月にi Smart Technologies株式会社を設立し、IoTモニタリングやコンサルティングサービスも提供しています。
【課題・背景】
- IoT活用により改善活動のサイクルが早まったが、改善方法(ノウハウ)そのものは個人が紙やファイルで属人的に保存している状況であった
- そこで、それらをまとめた「横展アイテムリスト(ノウハウ集)」を作成。しかし、事例数が膨大で探し出すのが困難であり、かつ書き方に個人差があるため活用しづらいという新たな課題が生まれた
【具体的な取り組み】
- ChatGPTに「横展アイテムリスト」の内容を読み込ませ、ChatGPTに日本語で質問するだけで、最適な改善事例を回答できるように
- 例えば「マシニングのサイクルタイムの事例は?」と質問すると、「設備」「狙い」「内容」「注意点」などを箇条書きで整理して回答してくれる
【得られた成果・今後の展望】
- このシステムを本格導入することにより、社内の知見が現場の隅々にまで共有され、より生産性高くカイゼン活動を行うことが可能に
- 今後は同システムを、カイゼンGAIとして外部に提供するソリューションにも組み込んでいく方針
⑨【川崎重工】工場を丸ごとデジタルツイン化し、生産管理を効率化

日本の大手重工業メーカーである川崎重工は、「Kawasaki DX」というスローガンを掲げ、新たな顧客価値の創出、モノ売りからコト売りへのビジネスモデル変革、事業基盤のアジリティ強化、従業員の働き方改革などの実現を目指しています。
DXの取り組みの一環として、同社の工場をデジタルツイン上に再現して、生産管理を効率化する取り組みが行われています。
【課題・背景】
- 工場での生産工程管理においては、稼働状況の監視や機器のメンテナンスなどのために、従業員が現地に集まる必要があり、大きな負担となっていた
【具体的な取り組み】
- 自社の工場をデジタルツイン上に再現し、生産工程をデジタル上で管理するシステムを構築
- 工場の各機器や設備はIoTによりインターネット接続され、そこで得られたデータがデジタルツインに即時反映される仕組み
【得られた成果】
- 工場の機器や設備の状態をリアルタイムで確認することができ、設備運用の効率化やトラブルの早期防止を実現
- 作業員は、現場にいなくても遠隔で工場の監視や設備のメンテナンス・機器の操作ができるようになり、作業員の負担軽減、安全確保につながる
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⑩【ファミリーマート】外国籍従業員の在留資格の確認が瞬時にできるアプリを導入

全国に約16,500店舗を展開するファミリーマートでは、約25万人のストアスタッフが働いており、その中には外国籍の従業員もいます。ファミリーマートは、外国籍従業員の採用にあたって必要となる在留資格の確認作業を、独自ツールを使って効率化しています。
【課題・背景】
- ストアスタッフ全体に占める外国籍従業員は10%未満だが、都心部では外国籍従業員が7~8割を締める地域・店舗もある
- 外国籍従業員の採用に当たっては在留資格の確認が必要だが、法制度が複雑で確認ミスが発生しかねない状況だった
【具体的な取り組み】
- 在留カードのICチップ情報を読み取り、在留資格の有無を正確に確認できるアプリ「ロムテン」を導入
【得られた成果】
- 1人当たり平均10~20分かかっていた在留資格の確認作業を約5分程度に短縮
- 就労可能な時間もわかるため、労務管理の効率化も実現
- 偽造の在留カードを見破ることができる仕組みとなっており、不法就労を防ぐことも可能に
⑪【東北大学病院】日本語大規模言語モデルで医療文書の作成時間を47%削減

東北大学病院は、生成AIにおける日本語大規模言語モデル(Large Language Model、LLM)を活用し、電子カルテなどの情報をもとに医療文書を自動作成する実証実験を行いました。
【課題・背景】
- 生成AIを医療文書作成に活用して業務を効率化することで、医師の働き方改革を推進することを目指していた
【具体的な取り組み】
- NECが開発した医療テキスト分析用のAIモデルで、電子カルテに記録された患者の症状、検査結果、経過、処方などの情報を時系列に整理
- NECのLLMを用いて治療経過の要約文を自動生成
【得られた成果】
- 医療文書の作成時間を平均47%削減
- 医師の記録・報告書作成にかかる業務負担を減らし、時間外労働を軽減
- 文章の表現や正確性において医師から高い評価を受ける
⑫【大阪府東大阪市】AIを活用し議事録作成にかかる時間を3割削減

東大阪市はAI議事録の導入により議事録作成にかかる時間を大幅に短縮し、職員の負担を軽減することに成功しています。
【課題・背景】
- 議事録作成において、録音した音声を複数回聞き直しながら作業を行うため、会議時間の約3〜8倍の作業時間を要していた
- 府庁では職員数削減の影響で残業時間が年々増加していた
【具体的な取り組み】
- AI を活用した音声認識技術による議事録作成支援システム用の端末を1台導入し、実証実験を行った
- 実証実験で効果が確認できたため、令和2年6月より端末を2台増設して3台体制とし、全庁に周知をし、議事録作成支援システムの貸し出しを開始
- AIは関西弁の変換も行うことが可能
【得られた成果】
- 議事録作成にかかる時間を3割程度削減
- 職員の残業時間を削減し、負担を軽減
DXで業務改善を進める6つのステップ

DXで業務改善を進める方法は大きく6つのステップに分けられます。
それぞれのステップについてわかりやすく解説していきます。
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ステップ1:DXの目的・ビジョンを明確化する

DX推進の最初のステップとして、DXの目的・ビジョンを明確化しましょう。
「DX推進後の理想の自社の姿」を明確に設定することで、その後の取り組み内容や優先度、進め方などを決定する軸とすることができ、ブレることなくプロジェクトを推進できます。
本ステップの検討には経済産業省の「DXレポート2.1」のフレームワークが役に立ちます。
自社の業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれが、どの程度までデジタル化された状態を理想とするかを、市場環境や自社の特性を踏まえ、検討しましょう。
例えば、業務のデジタル化すら進んでいない企業であれば、3年後までにまずは業務のデジタライゼーションを目指す。一方で、業務のデジタル化が進んでいる企業であれば、3年後までに製品/サービスやビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを目指す。といったビジョンの設定が考えられます。
ステップ2:自社の現状と課題を把握する

続いて、自社が現状どの程度DXを推進できているのか、ビジョンの実現に向け何が課題なのかを把握しましょう。
本ステップの検討には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX推進指標」を活用することで、企業文化、推進体制、人材育成など、多角的な観点から評価を行うことができます。
それぞれの観点における自社の成熟度のレベルを把握することで、特にDX推進が遅れているポイントを明確にすることができ、その後の戦略や計画の策定に活かすことが可能です。
ステップ3:DXに関する戦略と計画を策定する

前ステップで策定したビジョンと自社の現状・課題に基づき、DXに関する戦略・計画を策定しましょう。
検討すべき項目は上記画像のように多岐に渡りますが、特に重要なのは、「戦略=デジタル化の優先度付け」です。
デジタル化の対象や取り組み内容の候補は極めて幅広いため、バラバラと取り組みを進めてしまうことでリソースが分散し、思うような成果が上がらないというケースは少なくありません。
そのため、取り組みの候補を幅出し・整理した上で、DXを推進しやすくインパクトも期待できる取り組みから着手し、その後難易度が高くよりインパクトの期待できる取り組みにシフトしていくといった進め方が有効となります。
例えば、受発注のやりとりに関する膨大な作業の効率化を重点課題とした企業であれば、まずは資料のペーパーレス化や判子の電子印化を進めた上で、その後一連の受発注プロセスをデジタル活用により自動化するといった進め方が考えられます。
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ステップ4:DX推進チームを構築する

DXを推進するには、ビジョンや戦略を社員に周知し、現場からの課題を吸い上げながら、各部門と連携・調整し、実行支援も行う、DX推進専門のチームが必要になります。
そのため、DX推進チームのメンバーには特に、デジタルへの知見、コミュニケーション能力、業務の知見などのスキルが求められます。
また、DX人材の具体的な職種の例は以下の通りです。
- プロジェクトマネージャー:DXやデジタルビジネス構築を主導するリーダー
- テックリード:システム設計や要件定義を担当し、開発を主導
- UI/UXデザイナー:DXやデジタルビジネスのユーザー向けのデザインを担当
- エンジニア:デジタルシステムの実装・インフラ構築を担当
- データサイエンティスト:事業・業務に精通しデータの収集・分析を担当
これらのDX人材の確保には、外部ベンダー等の人材を活用する方法と、社員に対するDX人材育成を実施する方法があります。
DX推進のスケジュールや、社員のDXスキルの有無、既存業務を含めたリソースの有無などを考慮し、自社に最適な方法を選択しましょう。
ステップ5:デジタル化により業務効率を向上させる
これまでに策定したビジョン・戦略・計画に基づき、実際に業務効率化に向けたデジタル化を推進していきましょう。
ここで、いきなり全社単位や部門横断の大規模なDXに着手してしまうと、デジタル化の難易度が高く、成果が出るまで長期間を要し、コストも膨大になってしまいます。
そこで、デジタイゼーション(書類で管理していたデータをクラウド上で一元管理する等)やデジタライゼーション(RPAの導入によりデスクワークの一部を自動化する等)など着実に成果の上がる取り組みを、特定の事業部や部門単位から進めるのがおすすめです。
前のステップまでは比較的トップダウン的な取り組みですが、本ステップからはいかに現場の各社員と深く対話し、小さな成功を積み重ねるというボトムアップ的な取り組みが重要です。
これにより、多くの人材から共感と信頼を勝ち取り、DX推進に巻き込んでいくことで、より大規模なDXの推進が可能になります。
ステップ6:PDCAを回し、ビジネスモデル変革まで繋げる

業務のデジタル化を進めることで、企業は今まで見えていなかった業務や顧客に関する様々なデータを収集・蓄積・可視化できるようになります。
これらのデータを分析し、新たな業務の課題やビジネスチャンスを発見し、取り組みを改善するというPDCAサイクルを、数ヶ月単位で何度も回すことで、大きな成果を上げることが可能です。
さらに、PDCAサイクルを回し続けることで、自社独自の詳細な顧客データやより効率的なオペレーション、先端技術活用のノウハウなどの強みが蓄積されていきます。この強み蓄積こそが、他社には真似できない、ユニークな新サービスやビジネスモデルの創出の源泉となります。
DXによる業務改善を成功させる5つのポイント

DXによる業務改善を成功させるためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- ①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
- ②自社ならではのDX戦略を策定する
- ③十分なDX人材を確保する
- ④スモールスタートクイックウィンを実現する
- ⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する
それぞれのポイントについて分かりやすく紹介していきます。
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①リーダーのコミットメントにより社内を巻き込む
DXは、個別業務のデジタル化だけでなく、全社規模の業務やビジネスモデル、組織文化の変革など、会社のコアとなる部分を大きく変えていく取り組みです。
そのため、経営陣や事業部のリーダーが起点となり、DXのビジョン・方針を明確に示し、社内全体を強力に動かしていく必要があります。
具体的には、「どのような中長期的なDXのビジョンを描くのか」、「業務や顧客体験、ビジネスモデルをどのように変えていくのか」、そのために「どの程度人材や予算を割り当てていくのか」などに対して、大きな権限を持って意思決定をしていくことが求められます。
一方で、経営陣やリーダー陣がDXに対する危機意識が低い場合などは、DX推進部門や経営企画部門などが主導し、リーダー陣を含め、DXに関する社内向けの勉強会/ワークショップを実施することも有効です。
②自社ならではのDX戦略を策定する

あらゆる人・モノ・コトがインターネットと繋がる現代で、人々の生活や業務、ビジネスの主戦場は、リアルの世界からデジタルの世界に加速度的にシフトし続けています。
その変化を踏まえ、いかにデジタルを活用し競争優位性を築いていくかは、全ての企業の経営戦略を考える上で必須のテーマとなっており、DX戦略を考えること=経営戦略を考えること、と言っても過言ではありません。
そのため、DX戦略を策定する際は、特定の事業部/部門×個別の業務×デジタル化という範囲で考えたり、同業他社が進めている取り組みをベースにして考えるといった、個別具体的なアプローチではなく、より中長期や全体のアプローチから、全社のビジョンや経営戦略、テクノロジートレンドや業界への影響などと連動させて考える必要があります。
③十分なDX人材を確保する
DXの成功に向けては、テクノロジーと経営戦略に対して深い知見を持つプロジェクトマネージャーや、専門的なスキルを有するエンジニア、デザイナーなどのDX人材を十分に確保することが必須となります。
本来であれば、既にDX人材が社内にいればよいのですが、ほとんどの日本企業で人材が不足しているという現状があります。
また、市場全体として人手不足で、DX人材の争奪戦となっており、採用も思うようには進められないというケースも多く見られます。
そのため、足元のDX推進にむけては、経営課題とデジタルの両方に精通した外部のエキスパートを活用しながら、中長期目線では実践や研修を通じた人材育成をしていくといったアプローチが有効です。
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④スモールスタートクイックウィンを実現する

DXがなかなか進まない理由として、業務や組織を大胆に変えていくことが必要な一方で、全社規模の大きな成果が上がるまでには5年程度を有するという点があります。
そのため、取り組みの方向性が正しくても、短期間では成果が見えにくいことから、部門間の軋轢や現場からの反発が生まれ、変革のスピードが落ちてしまうケースが少なくありません。
そこで、全社単位でのインパクトは小さくとも、比較的短期で成果が出る取り組みを進め、その成果を社内外に発信し巻き込んでいくことは非常に有効です。
取り組みの例としては、アナログデータのデジタル化や各種データの一元管理化、業務自動化ツールの導入などが挙げられます。
これらの取り組みにより小さな成功を積み重ね、他部門のリーダー陣や現場の社員のマインドが徐々に変わっていくことで、連鎖的に大規模なDXを推進しやすい状況を実現できます。
⑤ゴールへの最短かつ低コストなアプローチを設計する

業務の現状や課題を踏まえて設定したゴールに向けて、最適かつ低コストなアプローチ設計をすることは、DXの投資対効果を飛躍的に高めます。
そもそものDXの目的は、業務を効率化することや顧客により良い製品/サービスを届けることです。
一方で、「DXプロジェクトをやるぞ!」となると、本来目的であるはずのデジタル化自体が目的になってしまい、競合が取り組んでいるからといった理由で、自社にマッチしない大掛かりなデジタル化をすすめてしまうケースが少なくありません。
もし大規模なシステム開発をせずに効率化を実現できるのならそれがベストであり、そもそも業務は必要か、効率化のインパクトは大きいか、SaaSの導入で解決できないか、アジャイルな進め方で小規模なPoCで仮説を検証する余地はないか、などより幅広い視点で検討をするようにしましょう。
DXの実行フェーズになっても、デジタルへの知見はもちろんですが、全社単位での経営の視点や戦略思考が必要になります。
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