データドリブンとは?注目の理由〜3大メリット、進め方まで紹介
データドリブンとは、意思決定や業務の改善を行う際に、データに基づいて行動するアプローチを指します。
データに基づく効果のある施策を迅速に実行・改善していく経営手法は、グローバル化により競争が激化し、他社と比べた競争優位性を保つための手段として、近年注目されています。
本記事では、「データドリブンについて一から学びたい」という方に向けて、データドリブンの定義、注目されている理由、メリット、進め方、企業の事例などをわかりやすく解説していきます。
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目次
データドリブンとは?
データドリブンとは、意思決定や業務の改善を行う際に、データに基づいて行動するアプローチを指します。これは、直感や経験に頼るのではなく、具体的な数値や事実をもとにして最適な判断を下すという考え方です。
例えば、マーケティング戦略を立てるときに、顧客の購買履歴やウェブサイトの閲覧データを分析して、どの商品がどの顧客層に売れるのかを予測し、その結果に基づいて販売戦略を立案するなどの取り組みが挙げられます。
従来の意思決定は、データに基づかず、もっぱらベテラン経営者や社員の感覚や経験に基づいたものが大半でした。そのため、一経営者/社員の独断で効果のない施策が実行されることも少なくありませんでした。
これに対して、データドリブンのメリットは、感覚や経験に左右されずに、客観的な情報に基づいた意思決定ができる点です。これにより、企業のパフォーマンス向上やリスクの最小化が期待されます。
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データドリブン経営とは?
データドリブン経営とは、企業の経営に関わる重要な意思決定をデータに基づいて行う経営手法を指します。企業が持つ様々なデータ(売上データ、顧客データ、マーケットトレンドなど)を分析し、その結果をもとに戦略を立て、日々の業務や長期的な経営方針を決定する方法です。
データドリブン経営では、リアルタイムでのデータ収集と分析が行われるため、顧客ニーズや市場環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できるようになります。
また、データに基づいた経営は、意思決定の結果を常にモニターし、データをフィードバックとして利用して改善を行います。これにより、企業全体のパフォーマンスが持続的に向上することが期待できます。
データドリブンマーケティングとは?
データドリブンマーケティングとは、マーケティング活動を行う際に、データを活用して意思決定や戦略立案を行うアプローチを指します。これにより、より効果的で効率的なマーケティング施策が実施でき、企業の目標達成に貢献します。
データドリブンマーケティングにおいては、顧客の購買履歴、ウェブサイトの閲覧データ、SNSでのエンゲージメントデータなど、あらゆるマーケティング関連のデータを収集します。集めたデータを詳細に分析して、顧客の行動パターンやニーズ、効果的なキャンペーンの特徴などを明らかにします。
そして、分析結果に基づいて、各顧客に最適なメッセージやオファーを提供します。これにより、マーケティング効果を最大化することが可能となります。
さらに、実施したマーケティング施策の効果をデータで測定し、成功した点や改善が必要な点を特定します。そこから得られた知見を次の施策に反映させることで、マーケティング効果をさらに高めることができるのです。
”今”データドリブンが注目されている3つの理由
近年、企業の間でデータドリブンが注目されている理由として、以下の3つが挙げられます。
- ①IoT/AI等のテクノロジーにより大量のデータを分析可能となったから
- ②消費者行動の複雑化やニーズの多様化に対応する必要があるから
- ③グローバル化により激化する競争下における重要な差別化要因となるから
それぞれについてわかりやすく解説していきます。
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①IoT/AI等のテクノロジーにより大量のデータを分析可能となったから
テクノロジーの発展により、大量のデータを取得できる環境と、取得したデータを高精度に分析できる技術が整いつつあります。
例えば、スマホアプリやWebサイトを通じたオンラインサービスが普及したことで、ユーザーの属性や行動履歴・購買履歴といったデータを取得することが容易になりました。
また、あらゆるモノをインターネットに接続するIoT(Internet of Things)の登場により、センサーを搭載した製品や機械設備等からも情報を取得できるようになっています。
さらに、AIの登場により、ビッグデータと呼ばれる人間では処理できないほどの膨大なデータを分析できるようになりました。
ビッグデータは、データ量(Volume)、データの種類(Variaty)、データ処理の速度(Velocity)という3つのVから構成されており、AIと組み合わせることで、大量かつ多種多様なデータを迅速に処理することができるようになります。
これらの要因から、現代は、データドリブンな経営/マーケティングを実施するのに適した環境が整っているといえます。
②消費者行動の複雑化やニーズの多様化に対応する必要があるから
スマートフォンの普及等をきっかけに、多種多様なサービスが登場したことで、消費者行動は複雑化し、そのニーズも多様化しています。そのため、購買行動など、成果につながる情報を特定するのが難しくなっています。
例えば、ある商品の購買一つをとっても、SNSでの広告を見て購入した消費者もいれば、口コミや知人からのおすすめをきっかけに購入した消費者、ふらっと店を立ち寄って購入した消費者など、購買に至る要因・プロセスは様々です。
また、人々が多くの情報にさらされるようになったことで、各消費者が普段目にする媒体も人それぞれ異なってきています。これにより、消費者のニーズも多様化しています。
このように、消費者行動が複雑化し、ニーズが多様化した状況において、人間の感覚や経験に基づいて、成果につながる要因を特定するのは非常に困難です。
このような状況下では、大量のデータを分析・処理して、成果要因を特定することが不可欠となり、データドリブンな意思決定の重要性がますます高まっているのです。
③グローバル化により激化する競争下における重要な差別化要因となるから
データドリブンは、グローバル化によって競争が激化する現代のビジネス環境において、他社と差別化するための強力な手段となります。
データの分析・活用により、顧客のニーズをより深く理解することで、顧客が求める商品やサービスを最適なタイミングで提供できるようになります。
また、グローバル市場では市場の変化が早いため、迅速な意思決定が求められます。データドリブンなアプローチにより、リアルタイムでのデータ分析が可能になり、素早く正確な決定ができるようになります。これにより、競合他社よりも先に新しい機会を捉えることができます。
データドリブンを推進する3つのメリット
データドリブンを推進するメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- ①経験や勘に依存しないため再現性が高まる
- ②根拠ある施策により費用対効果を格段に高めることができる
- ③パーソナライズされた商品/サービスの提案・提供が可能になる
それぞれについて分かりやすく解説していきます。
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①経験や勘に依存しないため再現性が高まる
データドリブンは、個人の経験や勘に依存せず、データという明確な根拠に基づいた意思決定がなされるため、誰が行っても画一的な判断が担保され、再現性が高まります。
個人の経験や勘に頼った意思決定は属人的であり、その人がいなくなると業務が回らなくなるなどのリスクがあります。データドリブンな業務体制を構築することで、判断基準が誰にとっても明確になり、業務の引き継ぎもスムーズに行えるようになります。
②根拠ある施策により費用対効果を格段に高めることができる
データドリブンな意思決定体制を整えることで、データに基づいた正確な判断が可能となります。
近年では、AIのデータ分析力の精度が高まっており、大量のデータをもとに正確な予測が行えるようになりました。例えば、過去の販売数や天候、トレンドなどのデータをもとに商品の需要を予測するAIシステムは、多くの小売店などで取り入れられています。AIの正確な需要予測により、各商品の最適な生産量を決定し、費用対効果を最小限に抑えることが可能となります。
このようにデータドリブンにより、1人の人間の経験や勘に依存した判断よりもはるかに質の高い意思決定が可能となり、費用対効果を格段に高めることができます。
③パーソナライズされた商品/サービスの提案・提供が可能になる
AIを活用して顧客ごとの購買履歴やサイトの閲覧履歴などのデータを分析することで、各顧客のニーズをより深く理解し、パーソナライズされた商品やサービスを提案・提供できるようになります。
これにより、顧客獲得競争において競合他社よりも優位に立ち、売上げの増加や認知度拡大へとつながります。
データドリブンを成功させる4つのステップ
データドリブンを成功させるためには、以下の4つのステップを経る必要があります。
- ①データ活用目的の設定
- ②データの収集・分析
- ③意思決定・実行
- ④フィードバック・改善
それぞれのステップについて、分かりやすく解説していきます。
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①データ活用目的の設定
まず最初に、データをどのように活用するか、その目的を明確に設定する必要があります。このステップでは、以下のような問いを立て、その答えを明確化することが重要です。
- どのようなビジネス課題を解決したいのか?
- データを活用して何を達成したいのか?
- 具体的なKPI(重要業績評価指標)は何か?
例えば、売上を増加させることが目的であれば、「顧客の購買パターンを分析して、パーソナライズされたマーケティングキャンペーンを展開する」といった目的を設定することが考えられます。
②データの収集・分析
次に、設定した目的に基づいて必要なデータを収集し、それを分析します。このステップでは、以下の作業が含まれます。
- データインフラの整備:データを管理するためのシステムやプラットフォームの導入。データ管理、特に情報漏洩を防ぐためのガバナンス体制の確立
- データの収集: 顧客データ、販売データ、マーケットデータなど、目的に関連する社内外のあらゆるデータを収集
- データの分析:収集したデータを分析して、パターンやトレンドを抽出。統計分析や機械学習を活用して、目的達成に向けたインサイトを得る
例えば、顧客の購買履歴データを分析し、どのタイミングでどの商品が売れやすいかなどを明らかにする作業が考えられます。
③意思決定・実行
データ分析の結果をもとに、具体的な意思決定を行い、実行に移します。このステップでは、以下のような作業を行います。
- 戦略の策定:分析結果に基づいて、どのようなアクションを取るべきかを決定(例:特定の顧客層に対してパーソナライズされた広告キャンペーンを実施するなど)
- 実行:策定した戦略を実際に行動に移す(マーケティングキャンペーンの開始や、プロダクトの改良など)
この段階では、絶えず変化する市場環境や消費者動向に合わせて迅速かつ柔軟に実行していくことが求められます。
④フィードバック・改善
最後に、実行した施策の結果を評価し、次のアクションに向けて改善を行います。このステップでは、以下の作業を行います。
- 効果測定::実施した施策がどの程度目的を達成したかを評価。KPIに対する結果を測定し、成功点と改善点を特定
- 改善策の検討::得られたフィードバックを元に、次の施策に反映させるための改善策を検討
成功したポイントを次の施策に活かしつつ、改善が必要な部分については新たなアプローチを試みます。このプロセスを繰り返すことで、データドリブンの効果を持続的に高めることができます。
データドリブンに欠かせない6つのツール
データドリブンを実践するために欠かせないツールとして、主に以下の6つが挙げられます。
- ①CDP(カスタマーデータプラットフォーム)
- ②DMP(データマネジメントプラットフォーム)
- ③MA(マーケティングオートメーション)
- ④SFA/CRM
- ⑤BI(ビジネスインテリジェンス)
- ⑥Web解析ツール
それぞれについて分かりやすく解説していきます。
①CDP(カスタマーデータプラットフォーム)
CDP(カスタマーデータプラットフォーム)は、顧客に関連するデータを一元的に収集・統合・管理するプラットフォームです。複数の異なるデータソース(ウェブサイト、メールキャンペーン、店舗での購買データなど)から得られる顧客データを一つにまとめ、個々の顧客ごとに統合されたプロファイルを作成します。
CDPは、顧客の全体像を把握するために不可欠なツールです。個々の顧客についての詳細なプロファイルが作成されることで、マーケティング担当者は顧客のニーズや行動を深く理解し、パーソナライズされたコミュニケーションやキャンペーンを展開できます。これにより、ターゲティングの精度が向上し、マーケティング活動の効果が高まります。
代表的なCDPとして、グローバルに利用されているTreasure Dataや、SalesforceのCustomer 360が挙げられます。
②DMP(データマネジメントプラットフォーム)
DMP(データマネジメントプラットフォーム)は、主に広告やマーケティングにおいて、様々なデータソース(ウェブ閲覧データ、広告のインプレッションデータ、ソーシャルメディアデータなど)を収集し、それを分析してセグメント化するプラットフォームです。
DMPは、特に匿名データやサードパーティデータを扱うことが多く、広範囲なオーディエンスをターゲットにした広告配信に活用されます。
DMPにより、より広範囲で効果的なターゲティングが可能となります。これにより、広告主は特定のオーディエンスセグメントに向けて、よりニーズ/嗜好にマッチした広告を配信することができます。
また、過去に特定のサイトを訪れたユーザーに対してリターゲティング広告を表示するなど、データに基づいた広告戦略を実行できるため、広告投資の効果を最大化します。
代表的なDMPとして、AdobeのAdobe Audience ManagerやオラクルのOracle BlueKaiが挙げられます。
③MA(マーケティングオートメーション)
MAツール(マーケティングオートメーションツール)とは、マーケティング業務を自動化・効率化するためのソフトウェアです。メール配信、ソーシャルメディアの運用、リード(見込み客)のスコアリング、パーソナライズされたコンテンツの提供、キャンペーンの分析などを自動化します。
MAツールにより、マーケティング活動の効率化と精度向上を実現することができます。例えば、顧客の行動データを分析し、その興味や行動に基づいて最適なタイミングで適切なコンテンツを提供することが可能です。これにより、リードの質が向上し、営業チームへの引き渡し時に成約率を高めることができます。
代表的なMAツールとして、導入実績1,500社以上を誇る「SATORI」や大手Webマーケティングメディアを運営するferretの「ferret One」が挙げられます。
④SFA/CRM
SFAツール(Sales Force Automationツール)とは、商談やプロジェクトの進捗状況を管理することで、営業活動を効率化するツールです。営業プロセスの自動化を通じた営業チームの生産性向上を実現します。
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客に関するあらゆる情報を管理することで、営業活動を効率化したり、顧客情報からインサイトを得たりすることができるツールのことです。徹底的な顧客理解により、顧客との関係強化を実現します。
SFAとCRMを組み合わせて利用することで、データに基づいてマーケティングから商談・受注までの流れを効率化し、営業力を飛躍的に向上させることができるようになります。
代表的なSFAツールとして、Salesforceが提供するSales CloudやHubSpotが提供するSales Hubなどが挙げられます。また、代表的なCRMツールとして、5,500社以上の導入実績を誇る国産のeセールスマネージャーなどが挙げられます。
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⑤BI(ビジネスインテリジェンス)
BI(ビジネスインテリジェンス)とは、企業が持つ大量のデータを整理・分析し、視覚化して、意思決定を支援するためのツールや技術の総称です。
売上データや顧客データ、在庫データなど、企業が持つ様々なデータを集め、グラフやチャート、ダッシュボードなどの形式で表示します。これにより、ユーザーはデータのトレンドやパターンを直感的に理解しやすくなります。
また、BIツールの中には、過去のデータをもとに将来のトレンドや結果を予測する機能を備えているものもあります。例えば、過去の商品の販売データをもとに今後の売行きを予測し、在庫量を最適化することができます。
BIツールは、データを効率的に活用し、企業の意思決定をサポートするための重要なツールです。データドリブンのアプローチを採用する企業にとって、BIツールは、競争力を維持し、成長を支えるための強力な武器となります。
代表的なBIツールとして、アメリカのソフトウェア会社が提供するTableau(タブロー)や、MicrosoftのPower BIなどが挙げられます。
⑥Web解析ツール
Web解析ツールは、ウェブサイトのパフォーマンスやユーザー行動を分析するためのツールです。代表的なツールにはGoogle Analyticsなどがあり、訪問者数、滞在時間、クリック率、離脱率など、ウェブサイトの利用状況に関する様々なデータを収集・分析します。
Web解析ツールを用いることで、ウェブサイトの訪問者がどのようにサイトを利用しているかを詳細に把握することができます。これにより、コンテンツやユーザーエクスペリエンスを最適化するための具体的な改善点を特定できます。データに基づいた意思決定が可能になることで、サイトの訪問者数の増加やコンバージョン率の向上につながります。
データドリブンを推進する上での3つの課題
データドリブンを推進する上で、多くの企業が直面しがちな課題として、主に以下の3つが挙げられます。
- ①初期費用やランニングコストがかかる
- ②データの扱いに長けた人材の確保が困難
- ③社内の関係部署の協力・連携が必要になる
それぞれについて分かりやすく解説していきます。
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①初期費用やランニングコストがかかる
データドリブンの推進にはデータ分析ツールの導入や新たなシステム開発などが必要となり、数百万円〜数千万円の費用が必要になることも少なくありません。
また、データドリブンは、従来の個別改善型のデジタル化と比べ、業務プロセスやビジネス全体を変化させる取り組みであるため、比較的高額な初期費用が必要になる場合もあります。
一方で、数年スパンで見ると大きな成果が期待できるため、中長期でのコスト削減や売上向上の効果を試算した上で、適切な範囲内で予算を確保し投資を行うことが重要です。
②データの扱いに長けた人材の確保が困難
全社的なデータドリブンを推進する場合、データ処理に長けたデータサイエンティストやエンジニアはもちろん、ビジネス戦略とデータ活用の両方に知見をもつリーダーが各部門に必要となります。
経済産業省の調査によると、国内のIT人材の需要は拡大し続けるのに対し、供給は2019年をピークに減少しており、2030年にかけて40〜80万人規模で不足すると予想されています。このように、デジタル人材は新卒・中途問わず争奪戦が続いており、希望通りに採用が進むことは稀という状況です。
そのため、短期的には、外部ベンダーの起用などで体制を強化しつつも、中長期的には人材育成や採用の仕組みを強化していく必要があります。
③社内の関係部署の協力・連携が必要になる
データドリブンの推進には、部門を横断する業務プロセスやシステムの見直し、加えて組織やビジネスモデルの再構築などが必要となります。
それらの取り組みを進める際には、社内の幅広い関係部署間の協力・連携が必要不可欠です。一方で、各部署や現場のメンバーは、目の前の通常業務を抱えているため、プロジェクトが円滑に進まないというケースが多く存在します。
そのため、全社としてのデータドリブンの必要性やビジョンを周知し、現場の声も吸い上げた上で、協力を得ながらデータドリブンを推進することが求められます。
企業によるデータドリブンの事例7選
データドリブンを推進している企業の事例として、以下の7事例が挙げられます。
- ①【星野リゾート】全国の営業拠点のデータを即時に集め来館予約のキャンセル率を半減
- ②【川崎重工】工場を丸ごとデジタルツイン化し、生産管理を効率化
- ③【SOMPOホールディングス】データに基づく適切な災害予測により防災対策に貢献
- ④【三井住友海上火災保険】AIのデータ分析による信用スコアリングや災害予測
- ⑤【ワコールホールディングス】3D計測したデータをもとに各顧客にフィットした下着を提供
- ⑥【東京ミッドタウンクリニック】疾病リスク予測AIで疾病リスクを正確に予測
- ⑦【Heuritech】SNSの投稿からファッショントレンドを予測するシステムを開発
それぞれの事例について分かりやすく解説していきます。
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①【星野リゾート】全国の営業拠点のデータを即時に集め来館予約のキャンセル率を半減
星野リゾートは、ブライダル事業における業務効率化と顧客対応の品質向上を目指して、AIを搭載した顧客管理・営業支援システムを導入しました。
【課題・背景】
- 全国各地の営業拠点に点在する顧客情報を手作業で集約する必要があり、タイムリーな状況判断や対応ができないという問題を抱えていた
- 成約に至るまでの営業プロセスの中で、ブライダル施設への来館予約はしたものの実際には施設に来館しないというケースに悩まされていた
【具体的な取り組み】
- 顧客管理・営業支援システム「Zoho CRM」とデータ可視化・分析ツール「Zoho Analytics」を導入し、営業プロセスの最適化と営業施策に対するデータに基づく分析を実施
- 「Zoho Analytics」と連携して営業プロセスの詳細を分析することで、データに基づく根拠ある施策が可能に
【得られた成果】
- 顧客情報を集約し、迅速なデータ分析が可能に
- 「予約から来館までの期間が一定日数を超えるとキャンセル率が上がる」という知見を得ることができた
- 営業プロセスの分析により、来館予約のキャンセル率を50%削減
②【川崎重工】工場を丸ごとデジタルツイン化し、生産管理を効率化
日本の大手重工業メーカーである川崎重工は、「Kawasaki DX」というスローガンを掲げ、新たな顧客価値の創出、モノ売りからコト売りへのビジネスモデル変革、事業基盤のアジリティ強化、従業員の働き方改革などの実現を目指しています。
DXの取り組みの一環として、同社の工場をデジタルツイン上に再現して、生産管理を効率化する取り組みが行われています。
【課題・背景】
- 工場での生産工程管理においては、稼働状況の監視や機器のメンテナンスなどのために、従業員が現地に集まる必要があり、大きな負担となっていた
【具体的な取り組み】
- 自社の工場をデジタルツイン上に再現し、生産工程をデジタル上で管理するシステムを構築
- 工場の各機器や設備はIoTによりインターネット接続され、そこで得られたデータがデジタルツインに即時反映される仕組み
【得られた成果】
- 工場の機器や設備の状態をリアルタイムで確認することができ、設備運用の効率化やトラブルの早期防止を実現
- 作業員は、現場にいなくても遠隔で工場の監視や設備のメンテナンス・機器の操作ができるようになり、作業員の負担軽減、安全確保につながる
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③【SOMPOホールディングス】データに基づく適切な災害予測により防災対策に貢献
SOMPOホールディングスは、「安心・安全・健康のテーマパーク」の実現に向け、保険事業を基盤として、モビリティやヘルスケア、ソフトウェアプラットフォームなど幅広い領域においてAIやビッグデータなどを用いたデータドリブンを推進しています
【課題・背景】
- 顧客にとって「安心・安全・健康」な世界を目指し、先端デジタル技術の積極的な活用を通じて社会課題の解決を図り、レジリエントで持続可能な社会を実現したい
【具体的な取り組み】
- 保険・介護事業で得られたデータを統合したリアルデータプラットフォーム(RDP)の構築
- データ活用によるバイタルデータ等の一元化など介護×RDPの取り組みを推進
- 国内損保事業から得られた保険金データとAIを組み合わせることで、正確な被害予測システムを開発
【得られた成果】
- 介護業界における早期の標準OS化を実現し、介護オペレーションを改善、最適化
- データに基づく正確な災害予測により、保険料の最適化を図るとともに、地域の防災対策に貢献
④【三井住友海上火災保険】AIのデータ分析による信用スコアリングや災害予測
大手損害保険会社の三井住友海上火災保険は、AIのデータ分析力を様々な業務に活用し、サービスの質の向上・顧客満足度向上といった成果をあげています。
【課題・背景】
- よりパーソナライズされた体験を提供するために、AIによりデータを科学的に分析・理解・活用し、効率的かつ正確なサービスを提供したい
【具体的な取り組み】
- AIによる自動車ローンスコアリングサービスを実装
- AIが災害時の被害推定を可視化する防災ダッシュボードを提供
- 損保業界で初めてAIチャットボットによる顧客対応を実施
【得られた成果】
- 公正かつ迅速な保険審査が可能となり、保険審査の質の向上や保険収益の増加を実現
- 災害発生時の被害推定をダッシュボード上にわかりやすく可視化することで、地域社会の防災対策を支援
- AIチャットボットが24時間265日、顧客からの問い合わせに即時に応答可能となり、顧客満足度が向上
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⑤【ワコールホールディングス】3D計測したデータをもとに各顧客にフィットした下着を提供
婦人用下着メーカーのワコールは、3D計測サービスで集めた顧客データをもとにパーソナライズされた商品提案を実施しています。
【課題・背景】
- 試着への心理的ハードルが高いなど、インナーウェアならではの対面での購入におけるストレスを解決する必要があった
- 発注件数が増加した場合も、人的リソースを増やすことなく対応できる体制を整えたかった
【具体的な取り組み】
- 3D計測サービスで集めたボディデータから体型タイプを診断し、身体に合うインナーウェアを提案する「わたしに合うブラ診断」をリリース
- ボディデータを分析し、一人ひとりにフィットするパーソナライズ設計された商品を開発
【得られた成果】
- 3D計測から始まる「自分を知る」顧客体験の価値を強化
- お客さまのタイムパフォーマンスを意識した接客とよりパーソナライズされた商品提案を実現
⑥【東京ミッドタウンクリニック】疾病リスク予測AIで疾病リスクを正確に予測
東京ミッドタウンクリニックは、人間ドックを受診した患者に対して疾病リスクの予測結果を報告する際に、疾病リスク予測AIサービスというツールを活用しています。
疾病リスク予測AIサービスとは、東芝デジタルソリューションズが提供するソリューションで、1年分の健康診断データをもとにAIが6年先までの6疾病(糖尿病・高血圧症・脂質異常症・腎機能障害・肝機能障害・肥満症)のリスクを予測するサービスです。
【課題・背景】
- 近年、個々人が自身の生活習慣の改善や健康増進を図り生活習慣病を予防することを目的に、発症リスクの把握に対するニーズが高まっている
【具体的な取り組み】
- 東芝デジタルソリューションズが提供するソリューション「疾病リスク予測AIサービス」を活用
- 生活習慣病の個別化予測データを健康診断レポートに反映
【得られた成果】
- より正確な疾病リスク予測を患者に届けることに成功
- 疾病リスクの予測にかかる医師の工数を削減し業務効率化を達成
⑦【Heuritech】SNSの投稿からファッショントレンドを予測するシステムを開発
フランスのスタートアップHeuritechは、SNSやブログなどのソーシャルメディアの投稿を分析し、ファッショントレンドを予測するシステムを開発しました。
【課題・背景】
- 正確なファッショントレンドがつかめず、過剰な在庫に悩まされる事業者が多くいた
- ファッション業界は過剰な在庫の廃棄による環境汚染が問題視されていた
【具体的な取り組み】
- AIを搭載したシステムがソーシャルメディアに投稿された写真やテキストデータから、ブランドに関する情報を抽出し、ファッショントレンドを予測
【得られた成果】
- 在庫数の最適化や効果的な販売戦略の遂行が可能に
- スカートの売り上げが12%増加した例もあり
- 過剰在庫や廃棄を防ぎ、サステイナブルな生産が可能となった
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- DXをどのように進めれば良いか分からない
- 自社にデジタル活用の経験や知識のある人がおらず困っている