ChatGPT プロンプトエンジニアリングとは?基本〜応用まで
2022年11月のリリース以降、2ヶ月で1億ユーザーを突破するなど、驚異的なペースで普及が進むChatGPT。
近年、ChatGPTから望ましい回答を引き出すための技術として、プロンプトエンジニアリングが話題となっています。ChatGPTに入力する質問や指示であるプロンプトを上手に入力することで、複雑な質問への回答も高精度で引き出せる可能性が高まります。
本記事では、ChatGPTのプロンプトエンジニアリングの基礎から応用まで、実際のプロンプト例とともにわかりやすくご紹介します。
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目次
ChatGPTのプロンプトエンジニアリングとは
プロンプトとは、ChatGPTなどの生成AIから回答を得るために行う指示や質問文のことです。
プロンプトエンジニアリングとは、生成AIから望ましい回答を得るために、生成AIに入力するプロンプトを最適化する技術やそのような技術を学ぶ学問分野のことです。
ChatGPTをはじめとする生成AIの普及に伴い、近年注目が高まっており、生成AIから望み通りの回答を引き出し、上手に使いこなしていくために欠かせないスキルとなっています。
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プロンプトの3つの構成要素
プロンプトを構成する要素として以下の3つが挙げられます。
- ①指示:特定のタスクを行ってもらうための具体的な命令
- ②背景・文脈:生成AIに的を得た回答をさせるためのガイド
- ③出力形式:望み通りの形式で出力するための条件設定
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
①指示:特定のタスクを行ってもらうための具体的な命令
指示・命令は、プロンプトの核となる要素です。生成AIに行ってほしいタスクを明確に指示・命令することは、適切なプロンプトを入力する上で必要不可欠な条件となります。
②背景・文脈:生成AIに的を得た回答をさせるためのガイド
生成AIに対して行った指示や命令の背景や文脈を説明することで、生成AIが適切な回答をできるように誘導することができます。
③出力形式:望み通りの形式で出力するための条件設定
出力形式は、生成AIによる回答文の文体や文字数などの形式面の条件を設定するものです。これにより、生成AIによる回答を望み通りの形式で出力することができます。
ChatGPTのプロンプトの4つの型
ChatGPTのプロンプトにはいくつかの型があります。代表的なものとして、以下の4つが挙げられます。
- ①Zero-shot prompting:質問のみを投げて、迅速な回答出力を目指す
- ②Few-shot prompting:例や背景も入力して最適な回答の取得を目指す
- ③Chain-of-thought(CoT)Prompting:ステップを踏んでタスク完了を目指す
- ④ReAct:推論・行動・結果を繰り返してより良い解決策への到達を目指す
それぞれについて、実際のプロンプト例とともにわかりやすく紹介していきます。
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①Zero-shot prompting:質問のみを投げて、迅速な回答出力を目指す
Zero-shot promptingとは、背景や文脈などを入力せずに、質問のみを投げる型のことです。ChatGPTのように過去のデータを大量に学習している生成AIであれば、単純な質問であれば、背景や文脈などを入力しなくても、適切な回答が返ってくる可能性が高いです。
【プロンプト例】
生成AIとは何か説明してください。
【実際の回答例】
※上記は、「生成AIとは何か説明して」というシンプルな質問をChatGPTに投げた結果です。単純な質問であれば、背景や文脈などを入力しなくても正確な回答を得ることができます。
②Few-shot prompting:例や背景も入力して最適な回答の取得を目指す
Few-shot promptingとは、質問に加えて、例や背景を入力するプロンプトの型のことです。これにより、複雑なタスク・質問でも正確に回答してもらえる可能性が高まります。
【プロンプト例】
以下の?に当てはまる言葉を教えてください。
日本⇒東京
アメリカ⇒ワシントン
フランス⇒パリ
ドイツ⇒ベルリン
スペイン⇒?
【実際の回答例】
※上記は、国の首都を回答させるにあたって、例をいくつか示したものです。複雑な質問になればなるほど、例や背景を示す必要性・重要性は高まります。
③Chain-of-thought(CoT)Prompting:ステップを踏んでタスク完了を目指す
Chain-of-thought(CoT)Promptingとは、タスクを完了するまでの一連の手順・ステップをプロンプトに含めるものです。論理的な思考が求められるタスクにおいて、いくつかのステップに分けて推論させることで、正しい答えを導いてくれる可能性が高まります。
【プロンプト例】
5、4、9、3、12、7、8、10のうち、奇数は「5、3、7」の3つです。
以下のグループに記載された数字のうち、奇数のみを合計した値を計算してください。
###グループ:
4、8、5、7、2、11、9、10、4
【実際の回答例】
※上記は、ある数字のグループから奇数のみを抽出して合計を計算させるというタスクを実行させた結果です。まず最初に奇数の定義を示すなど、思考過程を経ることで、正確な回答が得られる可能性が高まります。
④ReAct:推論・行動・結果を繰り返してより良い解決策への到達を目指す
ReActとは、ReasonとActを組み合わせた言葉です。あるタスクに関して、「推論」(Thought)・「行動」(Action)・「結果」(Observation)の3段階に分けて回答してもらうことを繰り返すことで、タスクの解決を目指していくプロンプトです。
【ReAct式プロンプトの例】
生成AIのセキュリティ問題を解決するための方法を教えてください。
・Thought:
・Action:
・Observation:
【実際の回答例】
※上記は、生成AIのセキュリティ問題への解決策について、ReAct式で回答してもらった結果です。問題に対して、フォーマットに従い論理的な検討を組み立てています。
OpenAI社が推奨するプロンプトを上手く書く8つのコツ【実例有】
OpenAI社が公式ページで推奨するプロンプトを書くコツとして以下の8つが挙げられます。
- コツ①最新モデルのChatGPTを使用する
- コツ②指示/命令と補足情報を書き分ける
- コツ③できるだけ具体的に書く
- コツ④参考になる回答例を書く
- コツ⑤最初はシンプルに書き、その後修正していく
- コツ⑥あいまいな説明や表現を避ける
- コツ⑦何をしないべきかよりも何をすべきかを書く
- コツ⑧コード作成時は書き始めで適切な回答に誘導する
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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コツ①最新モデルのChatGPTを使用する
最新モデルのChatGPTを使用することで、より精度の高い回答を得ることができます。
現在ChatGPTの最新モデルはGPT-4であり、月額20ドルの有料プランである「ChatGPT Plus」を契約することで利用が可能です。
GPT-4は無料プランで利用できるGPT-3.5に比べ、最新のデータを学習していたり、日本語での入出力性能が向上していたりと、性能が大幅に向上しています。
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コツ②指示/命令と補足情報を書き分ける
プロンプトの構成要素は、大きく①指示/命令②文脈の補足情報③出力形式の指示の3つに分けられますが、最初に①指示/命令を書くことが重要です。
また、これらの構成要素を、「###」や「”””」といった区切り記号を使い、書き分けることで、ChatGPTはそれぞれのテキストが何を意味しているのかを高精度で理解してくれます。
×悪いプロンプト例
※ある程度正しい回答が得られていますが、基礎知識がない人には、やや理解が難しい専門用語や表現が使用されています。
◯良いプロンプト例
※冒頭の指示に加えて、文脈や出力形式を書き分けて入力することで、自分の目的にマッチする回答を引き出すことができています。
コツ③できるだけ具体的に書く
自分が期待する回答を得るためには、5W1Hを示したり、文字数や文章構成を指定するなど、プロンプトをできるだけ具体的に書くことが重要です。
また、複雑な指示をする場合には、複数のステップに分けて指示を出すなどの工夫をすることで、精度の高い回答が得られる可能性が高まります。
×悪いプロンプト例
※内容はある程度正しいですが、回答が冗長で、やや理解が難しい専門用語や表現も使用されています。
◯良いプロンプト例
※説明する対象や文量を具体的に指定することで、自分の目的にマッチしたわかりやすい回答を引き出すことができています。
コツ④参考になる回答例を書く
プロンプトに、自分が期待する回答の例を含めることで、自分が求める回答が出力される確率を高めることができます。
例えば、ある会社について説明してほしい場合には、回答に含めてほしい内容の例(CEOの名前、設立年、所在地、代表的なサービスなど)をプロンプトに含めることで、自分が求める情報が得られる可能性が高まります。
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×悪いプロンプト例
※内容はある程度正しいですが、質問が漠然としているため、自分が求めていない情報も多く含まれています。
◯良いプロンプト例
※回答に含めてほしい内容の例や回答の形式を示すことで、自分が求めている情報を含んだ回答を引き出すことができています。
コツ⑤最初はシンプルに書き、その後修正していく
プロンプトを書く際は、最初は具体例や形式の指示などを入れずにシンプルに書き、その後、具体例を示したり文章構成を指定したりして修正していくことがコツです。
特に複雑な指示を出す場合には、一回の指示で自分の望む回答を得ようとするのではなく、シンプルな指示から得られた回答をもとに、地道にプロンプトを修正していくと、うまくいく可能性が高まります。
シンプルなプロンプトの例
例えば、ChatGPTについてあまり知らない人が、ChatGPTを利用するメリットを知りたい場合、まずは、以下のように、シンプルに質問を入力します。
ChatGPTのメリットを様々な角度から説明してくれていますが、今回はデスクワークの場面で利用するメリットに絞って知りたかったため、期待する回答は得られませんでした。
修正のためのプロンプトの例
次に、上記のプロンプトを修正し、デスクワークで利用するメリットをシーンごとに説明するように依頼し直しました。
これにより、期待していた通り、デスクワークを効率化するヒントを得ることができました。
コツ⑥あいまいな説明や表現を避ける
プロンプトにあいまいな説明や表現を含めると、自分が意図しない回答が出力される可能性があります。このような記載は避け、できるだけ明確に指示を出すことが重要です。
×悪いプロンプト例
※「環境問題について」「できるだけわかりやすく」というあいまいで抽象的な表現を用いたため、様々な話題が散在してしまい、脈絡のない回答になっています。
〇良いプロンプト例
※環境問題の中でも特に何が知りたいのかを、文量や文体とともに条件として示すことで、自分が求めている回答をうまく引き出せています。
コツ⑦何をしないべきかよりも何をすべきかを書く
プロンプトには、「何をしないべきか」よりも「何をすべきか」をしっかりと書いた方が回答の精度が高まります。
×悪いプロンプト例
※「専門用語を使わない」「文量が多くなりすぎない」という「してはいけないこと」を指示しました。確かに専門用語は使われていませんが、「まるで物語を作る作家のように」「友達のようなもの」といった余計な表現が含まれ、簡潔さやわかりやすさの点ではいまひとつです。
〇良いプロンプト例
※「初心者にも理解できるように」「200文字以内」という「すべきこと」を指示したため、初心者でも理解できるような簡潔でわかりやすい回答を得られています。
コツ⑧コード作成時は書き始めで適切な回答に誘導する
ChatGPT でコードを作成する場合には、最初にリーディングワード(コード生成時にモデルを特定のプログラムに誘導する言葉)を使うことで、適切なコード生成が行われやすくなります。
例えば、ChatGPTでPythonのコードを作成したい場合には、以下のように「import」というPythonのリーディングワードを追加することで、ChatGPTにPythonでコーディングすべきであることを認識させることができます。
【コピペ可】今日から使えるChatGPTのプロンプトテンプレート例文集17選
日常の業務で使えるChatGPTのプロンプトのテンプレートとして、利用目的別に以下をご紹介します。
<日々の業務効率化>
- ①メールの返信
- ②文章/ブログの執筆
- ③文章の要約
- ④特定のWebサイトの内容の要約
- ⑤添付したファイルの内容の要約
- ⑥文章の校正
- ⑦議事録の作成
<企画立案>
- ⑧企画案のブレスト・幅出し
- ⑨企画書の作成
- ⑩キャッチコピー・セールスコピーの作成
- ⑪リスクや問題点の洗い出し
<資料作成>
- ⑫骨子・構成の作成
- ⑬各構成の叩き台のブラッシュアップ
- ⑭画像・アイコンの作成
<その他>
- ⑮Excel関数の作成
- ⑯文章の翻訳
- ⑰契約書のドラフトの作成
それぞれの目的に応じたプロンプトのテンプレートは、以下の記事でわかりやすく紹介していきます。
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