ChatGPTの有料版はいくら?無料版との違いや選び方も紹介
2022年11月のリリース以降、2ヶ月で1億ユーザーを突破するなど爆発的に普及しているChatGPT。特に有料版のChatGPT Plusは、人間を超えるほどの精度の高い回答ができるとして大きな話題になっています。
本記事では有料版のChatGPT Plusの料金から無料版との違い、選び方までわかりやすくご紹介します。
またAI総研では、AI活用を検討する上で押さえておきたい、AI・ChatGPTの最新活用事例50選の狙いや取り組みをまとめたレポートを無料で配布しています。ご興味のある方は、以下リンクからダウンロードしてご活用ください。
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目次
- ChatGPTの有料版はいくら?
- ChatGPTの有料版と無料版との違い・選び方
- 【画像あり】ChatGPT 有料版の始め方
- ChatGPT 有料版の使い方【具体例有】
- ChatGPTをビジネスに活用する7つの方法
- ChatGPTをビジネスに活用する7つの注意点・リスク
- ChatGPTのリスクに対してとるべき6つの対応策
- 企業がChatGPTの活用を成功させるための5つのポイント
- 企業がChatGPTを導入するための4つのステップ
- 日本企業によるChatGPTの導入事例16選
- ①七十七銀行:商品の販売状況の分析・可視化にChatGPTを活用
- ②西松建設:ChatGPTを活用し高精度な建設コストの予測へ
- ③セブンイレブン:ChatGPTを活用し商品企画の期間を10分の1に
- ④サントリー:ChatGPTからのアドバイスを活用しユニークなCMを企画
- ⑤三菱UFJ銀行:ChatGPTの導入で月22万時間の労働時間の削減へ
- ⑥SMBCグループ:独自の対話AI開発で従業員の生産性向上へ
- ⑦LINE:エンジニアがChatGPTを活用し1日2時間の業務効率化
- ⑧みずほグループ:ChatGPTを活用しシステム開発の品質向上へ
- ⑨パナソニックコネクト:AIアシスタントを導入し1日5000回の利用
- ⑩アサヒビール:ChatGPTを活用し従業員の社内情報検索を効率化
- ⑪メルカリ:AIアシスタントが売れやすい商品名や説明文を提案
- ⑫ビズリーチ:ChatGPTを活用した職務経歴書の作成でスカウト率40%UP
- ⑬ベネッセ:ChatGPTが自由研究のテーマ選びをサポート
- ⑭学研:ChatGPTを活用した個別アドバイスを提供
- ⑮旭鉄工:製造現場の組織的なカイゼンにChatGPTを活用
- ⑯横浜銀行:独自の行内ChatGPTを開発し文書作成業務の効率化へ
ChatGPTの有料版はいくら?
ChatGPTの有料版であるChatGPT Plusの料金は月額20ドル、日本円で約3,000円です。
ChatGPT Plusは、最新版モデルのGPT-4を搭載しており、ChatGPT 3.5を搭載した無料版と比べ、より精度の高い回答が可能となっています。
ChatGPT Plusには、PDF資料の読み取りやプラグイン機能の追加など、業務を効率化する便利な要素が多く備わっています。
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ChatGPTの有料版と無料版との違い・選び方
有料版のChatGPT Plusと無料版との主な違いは上記表の通りです。
有料プランがおすすめの方
有料プランであるChatGPT Plusは、より回答の精度やスピードが高く、また資料の読み取りやデータ分析など様々な機能が利用可能です。
そのため、ビジネスでChatGPTを活用する方は、利用頻度も高く、活用の用途も多岐に渡るため、有料プランを選択されるのがおすすめです。
無料プランがおすすめの方
ChatGPTは無料プランでも、日常会話や文章作成、翻訳などの一通りの用途で十分に利用可能です。
また、回答の精度や速度などの性能は、1年前と比べると飛躍的に向上しています。
そのため、どんなツールなのか試してみたい方や、プライベートでChatGPTを利用する方などは、まずは無料プランから利用を始めるのがおすすめです。
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【画像あり】ChatGPT 有料版の始め方
PC/WebブラウザでのChatGPT 有料版の始め方
PC/WebブラウザからChatGPT 有料版を始める場合、まずは、公式サイトからChatGPTのアカウントを登録する必要があります。具体的な手順について、6つのステップに分けてわかりやすく紹介していきます。
1.ChatGPTの公式サイトにアクセスし、「Try ChatGPT」をクリック
2.初めて利用する場合はアカウントがまだないので、以下の「Sign up」をクリック
3.メールアドレスまたはGoogle/Microsoft/Appleのいずれかのアカウントで登録。メールアドレスで登録した場合にはパスワードの設定が必要となります。
4.登録したメールアドレスまたはアカウント宛てにメールが届くので、「Verify email address」をクリック。その後、名前と電話番号を入力し、ショートメッセージで送られてきた6桁の認証コードを入力。
その後画面に従ってログインすれば、ChatGPTの無料版を使えるようになります。
5.初回のログイン時点では無料版のGPT3.5が適用されているため、ChatGPT 有料版を申し込む必要があります。ChatGPTの画面左下にある「Upgrade Plan」をクリックします。
6.以下の通りプランを選択する画面が表示されるため、「Upgrade to Plus」を選択。その後クレジットカード情報や住所を入力すれば決済完了です。
決済完了後は「Continue」をクリックすることでChatGPT Plusの登録が完了し、GPT 4を備えた有料版が使えるようになります。
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スマホアプリでのChatGPT 有料版の始め方
ChatGPT 有料版はスマホアプリ(iOS・Android)でも提供されています。無料版のアプリをインストールし、ChatGPT Plusにアップグレードすることで利用できるようになります。
1.無料版アプリのインストール
iOSであればApp Store、AndroidであればGoogle Play StoreからChatGPTのアプリをインストールすれば、すぐに無料版を利用することができます。
2.ChatGPT Plusへのアップグレード
ChatGPT Plusは、①自分のアカウント名の右横にある「・・・」のマークをクリック⇒②設定画面から「Subscription」の項目を選択⇒③ChatGPT Plusの画面で「Subscribe」をクリックという手順を経ることで、申込みが完了し、利用可能となります。
ChatGPT 有料版の使い方【具体例有】
ChatGPT 有料版の使い方は基本的には無料版と同様であり、非常に簡単です。まるで人間に質問するように日本語でメッセージを送るだけで回答を得ることができます。
ホーム画面下部のテキストボックスに、日本語で質問を入力すると、自動で日本語の回答がなされます。
以下は私が、ChatGPTに「ChatGPTでできることは?」と質問した際の回答です。
また、ChatGPTでは、”対話型AI”とも呼ばれる通り、前の質問に続ける形で、何度も質問を繰り返すことができます。
以下は、先ほどの回答の中で「特に初心者におすすめの利用方法は?」と質問した際の回答です。
このように、初心者でも幅広い用途で手軽に活用できるAIであることが、ChatGPTの最大の特徴になります。
ChatGPTをビジネスに活用する7つの方法
ChatGPTをビジネスに活用する方法として以下の7つが挙げられます。
- ①リサーチ・翻訳・要約・分析
- ②企画立案・フィードバック
- ③メール・企画書等の文書作成
- ④ソフトウェア開発・デバッグ
- ⑤チャットボット等による社内知見の検索・業務支援
- ⑥チャットボット等による顧客対応自動化
- ⑦サービス機能・顧客体験の進化
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①リサーチ・翻訳・要約・分析
ChatGPTを活用することで、webサイトでのリサーチやリサーチ結果の翻訳・要約、分析の大部分を自動化し、大幅に効率化することが可能です。
ChatGPTなどの生成AIサービスは、近年脅威的なスピードで進化を遂げており、最新のwebサイトからの情報の取得や、従来Excelで行っていたような定量分析も、チャット形式の操作で行うことができます。
そのため、リサーチ・分析業務におけるChatGPT活用は、活用すると効率的というフェーズから、活用しないと非効率というフェーズに移行し始めています。
②企画立案・フィードバック
ChatGPTを活用することで、多様なバリエーションの企画案の幅出しの自動化や、壁打ち相手として自分の企画に対するフィードバックを受けることが可能です。
ChatGPTの強みは、思考体力が無限にあることであり、人間では不可能な、15分で300通りの企画案を立案するといった活用が可能で、特に幅出しのプロセスで強みを発揮します。
今後多くの業界での企画立案業務が、幅出しはAI、評価・ブラッシュアップは人間という役割分担にシフトしていくと考えられます。
③メール・企画書等の文書作成
メール・企画書などの文章作成は、ChatGPTが最も得意とするユースケースの1つです。
活用の際は、背景や目的、出力項目などをしっかりと指示することで、スピードはもちろん、人間以上のクオリティの文章を作成することが可能になります。
また、社内稟議用の文章など定型的な文書作成であれば、一度設定してしまえば、作成をほぼ完全に自動化することができます。
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④ソフトウェア開発・デバッグ
ChatGPTの活用により、一部のシステム設計とコーディングの自動化が実現され、開発工数とリソースの節約につながります。
これにより、非エンジニアが開発業務の一部を担当したり、エンジニアがより重要な業務にフォーカスすることが可能となります。
⑤チャットボット等による社内知見の検索・業務支援
独自のデータを学習させたChatGPTを使ったチャットボットの導入等により、各社員に最適な社内の専門知識をリアルタイムで共有することが可能です。
この取り組みにより、従業員は必要な情報を即座に取得し、業務の質とスピードを向上させます。
⑥チャットボット等による顧客対応自動化
ChatGPTを活用したチャットボット等の導入により、顧客からの問い合わせへの対応の一部が自動化され、24時間365日の迅速なサービス提供が可能になります。
これにより、顧客満足度が向上し、同時にオペレーター等の業務負担も大幅に軽減されます。
⑦サービス機能・顧客体験の進化
ChatGPTを活用することで、既存サービスの機能や顧客体験をよりユーザー中心のものに進化させることが可能です。
例えば、専属のコンシェルジュのように最適な商品を最適な文脈/文面で提案したり、顧客のサービス利用にあたってのデータ入力の手間を、候補の提案により省略するなどの活用が進んでいます。
この活用により、業務効率化という領域を超え、競合のサービス/事業に対する差別化を図り、競争優位性を構築することが可能です。
ChatGPTをビジネスに活用する7つの注意点・リスク
ChatGPTをビジネスに活用する際の代表的な注意点・リスクとして以下の7つが挙げられます。
- ①機密情報の漏洩
- ②プロンプトインジェクション
- ③著作権・商標権などの権利侵害
- ④ディープフェイク
- ⑤間違ったアウトプットの生成(ハルシネーション)
- ⑥倫理的に不適切なアウトプットの生成
- ⑦ChatGPTの過信による業務ミス
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①機密情報の漏洩
各ユーザーがChatGPTに入力したデータは、生成AIが学習し進化するために、基本的にはクラウド上で保管されます。
そのため、会社内部の機密情報や顧客の個人情報などを入力してしまうと、ChatGPTサービス提供者や他のユーザーに機密情報が流出してしまうリスクが存在します。
②プロンプトインジェクション
プロンプトインジェクションとは、悪意あるユーザーが、ChatGPTなどの対話型AIに、特殊な指示や質問を入力することで、本来公開すべきでない機密情報やデータを引き出すサイバー攻撃の一種です。
2023年2月には、米国の大学生がマイクロソフト社のBingに搭載される生成AI検索エンジンに対し、プロンプトインジェクションを行い、非公開の指示やBingチャットの開発用コードネームを引き出すことに成功したなど、実際に機密情報が流出する事例も存在します。
③著作権・商標権などの権利侵害
ChatGPTの既存の著作物を学習データとして活用することは、原則として著作権者の許諾なく可能とされています。
一方で、ChatGPTによって生成されたコンテンツの公開や販売をする際には、基本的には通常の著作権侵害の検討が適用されます。
生成されたコンテンツに、既存のコンテンツとの類似性や依拠性が認められれば、著作権者は著作権侵害として損害賠償請求・差止請求が可能であるほか、刑事罰の対象となりえます。
④ディープフェイク
ディープフェイクとはディープラーニング技術を活用し、実際に存在しない、人物の動画や画像を生成する技術です。
この技術により、人間が見ても区別がつかないほど高精度なメディアが作成可能となり、そのリアルさから、詐欺やフェイクニュースの拡散などに悪用され、大きな問題となっています。
⑤間違ったアウトプットの生成(ハルシネーション)
ChatGPTの利用方法によっては、事実と異なる誤った情報/アウトプットを真実のように堂々と生成するハルシネーションという現象が起こります。
例えば、高度な専門性を要する分野での回答や定量データの抽出や計算において、ハルシネーションが多く見られる傾向にあります。
⑥倫理的に不適切なアウトプットの生成
ChatGPTのアウトプットは学習データの内容に大きく左右されます。
そのため、学習データのボリュームが少なく、内容にバイアスがある場合、人種や性意識に関する差別や憎悪を助長する内容など、倫理的に不適切なアウトプットが生成されてしまうリスクが存在します。
⑦ChatGPTの過信による業務ミス
ChatGPTは非常に便利なツールであり、適切に利用することで業務生産性を大きく高めることが可能ですが、どのようなシチュエーションでも万能という訳ではありません。
ChatGPTは入力データに依存して機能するため、そのデータが不完全だったり偏りを持っていたりすると、生成される結果も誤りを含むことがあります。さらに、ChatGPTは人間の倫理感覚や判断能力を有していないので、提供する情報が常に正確であるわけではありません。
例えば、ChatGPTを利用して法的な契約書を作成した場合、誤った法的内容を含む文書が作成されることも考えられます。このような状況では、法的な問題に発展する可能性が高まり、その結果、深刻なトラブルに繋がるリスクがあります。
ChatGPTのリスクに対してとるべき6つの対応策
ChatGPTのリスクに対してとるべき対応策として以下の6つが挙げられます。
- ①最適なChatGPT活用範囲の設定
- ②最適なAIツールの選定・導入
- ③リスクを最小化するデータマネジメント
- ④従業員向けの利用ルール・マニュアルの策定
- ⑤従業員のChatGPT活用リテラシーの向上
- ⑥最新動向を踏まえたChatGPT活用方法の定期的な見直し
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①最適なChatGPT活用範囲の設定
ChatGPTは全ての業務に対して万能という訳ではなく、明確に得意不得意が存在します。
そのため、ChatGPT活用の成果を最大化し、リスクを最小化するためには、活用に活用する範囲を適切に設定することが極めて重要です。
これにより、不適切な情報生成や不意の法的問題の防止につながります。
②最適なAIツールの選定・導入
各企業の状況や目的に最適なAIツールの選定と導入は、安全かつ効率的なAI活用に向けて非常に重要です。
ChatGPTを活用し構築された様々なAIツールの中から、その機能、性能、セキュリティ対策が自社の要求を満たしているかを評価し、適切なものを選ぶ必要があります。
さらに、AIツールの導入時も、ユーザーが入力した内容を学習させない「オプトアウト」を選択する等の対処を取ることで、自社のリスクを最小化することができます。
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③リスクを最小化するデータマネジメント
ChatGPTは、入力されたデータに基づいて動作するため、データマネジメントの質がChatGPTの出力品質に直結します。
データの正確性、偏りのなさ、機密性の保持は、リスクを最小化する上で極めて重要です。
適切なデータマネジメントの実施により、データの質を確保し、情報漏洩や不正確な情報生成のリスクを低減します。
④従業員向けの利用ルール・マニュアルの策定
ChatGPTの効果的な利用とリスクの最小化のためには、企業が従業員向けの明確な利用ルールやマニュアルを策定することが重要です。
具体的には、社内でのAIの使用目的、使用範囲、倫理ガイドライン、データ取り扱いのルール・マニュアルを策定する必要があります。
⑤従業員のChatGPT活用リテラシーの向上
ChatGPTのポテンシャルを最大限に活用し、同時にリスクを管理するためには、従業員のAIに関する理解とスキル、すなわちAIリテラシーを向上させることが不可欠です。
研修プログラムや実践的なトレーニングを通じて、従業員がChatGPTの基本的な知識、適切な使用方法、関連するリスクを理解してもらい、効率的かつ責任ある方法で使用できる環境を構築することが求められます。
⑥最新動向を踏まえたChatGPT活用方法の定期的な見直し
ChatGPTの技術・サービスは日々進化しており、新たな活用方法や利用プロセスが登場し、それに応じて新たなリスクが生じる可能性が高いです。
したがって、国内外のChatGPTに関する最新の動向を常に把握し、企業のChatGPT活用方法を定期的に見直し、更新することが必要となります。
企業がChatGPTの活用を成功させるための5つのポイント
企業がChatGPT活用を成功させるために抑えるべきポイントは以下の5つです。
- ①業務内容の棚卸しと活用インパクトの試算
- ②投資対効果の高い課題/目的と活用方法の選定
- ③アジャイルアプローチでの開発・導入
- ④システムとルールの両面からのリスク管理
- ⑤研修等での社員のAI活用リテラシーの向上
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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①業務内容の棚卸しと活用インパクトの試算
ChatGPT活用の成否を分ける最大のポイントは、ChatGPTを活用する意義の大きな業務に対して活用することに尽きます。
活用の方針や戦略がないまま活用を進めるのではなく、自社の業務内容・フローをしっかりと棚卸しした上で、どの程度業務効率やアウトプット向上に繋がるかを試算することが重要となります。
②投資対効果の高い課題/目的と活用方法の選定
ChatGPTは全ての業務に対して万能という訳ではなく、膨大なデータに基づいたコンテンツ制作は得意だが、複雑な問いに対して正確な答えを出すのは苦手といった、明確な得意不得意が存在します。
そのため、自社の業務の現状やChatGPTの特徴を踏まえた上で、どのような課題/目的に対して、どのようなアプローチ/範囲/ツールで活用を進めるかを、検討・選定するステップがプロジェクトの投資対効果を左右する、極めて重要なプロセスとなります。
③アジャイルアプローチでの開発・導入
ChatGPTは、一度開発・導入して終わりという進め方ではなく、何度もモデル・学習データ・利用方法等を細かくカスタマイズしなおすことで、より理想とする活用を実現することができます。
具体的には、初期仮説に基づいた簡易的なプロトタイプを構築し実際に利用してみる、というサイクルを、1サイクル数週間の期間で何度も繰り返し、ブラッシュアップしていくという、アジャイル開発のアプローチを取ることが適しています。
④システムとルールの両面からのリスク管理
企業がChatGPTの活用に踏み切れない最大の理由として、機密情報漏洩や著作権侵害などのリスクへの懸念が挙げられます。
確かに、社員に特段ルールを設けず、一般に公開されているChatGPTを活用させた場合、様々な問題が発生する可能性は存在します。
一方で、入力するデータが学習されないようなシステム構築や使用範囲・機密情報の取扱等の運用ルールの策定により、リスクをマネジメントし最小化することが可能です。
⑤研修等での社員のAI活用リテラシーの向上
ChatGPTの特徴として、AIとの対話によってアウトプットを引き出すことが求められるため、使い手のリテラシーによって成果が大きく左右されることが挙げられます。
そのため、ChatGPTのポテンシャルを最大限に活用するためには、従業員のAIに対する理解とスキル、すなわちAIリテラシーを向上させることが不可欠です。
研修プログラムや実践的なトレーニングを通じて、従業員がChatGPTの基本的な知識、適切な使用方法、関連するリスクを理解してもらい、効率的かつ責任ある方法で使用できる環境の構築が必要となります。
企業がChatGPTを導入するための4つのステップ
企業がChatGPTの導入を進めるための流れとして、以下の4つのステップがあげられます。
<Step1:活用方針の検討>
- 最新の市場動向のキャッチアップ
- 自社の活用可能性の整理
- ChatGPTの活用目的・ゴールの設定
<Step2:利用環境構築>
- セキュリティ・データ管理体制の強化
- ガイドライン・マニュアルの策定
- 社員向けのAIリテラシー研修
- 社内業務での試験運用
<Step3:試験開発・運用(PoC)>
- PoCを行うユースケースの検討
- 要件定義・プロトタイプ開発
- 運用と評価
<Step4:本開発>
- 本開発を行うユースケースの検討
- 要件定義・本開発
- 運用と評価
- 活用方針・内容の継続的なカイゼン
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
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Step1:活用方針の検討
1つ目のステップは、自社としてChatGPTをどのように活用していくかの大方針の検討です。
ChatGPTは社内業務効率化や顧客体験の向上、新規事業創出など様々な目的で活用が可能だからこそ、自社の課題にマッチした目的とユースケースで活用することが、投資対効果を大きく左右します。
最新の技術や競合の動向をキャッチアップした上で、自社の活用可能性の幅出し・整理を行います。その上で、ChatGPTをどのような領域で、どの程度ダイナミックに活用していくかの目的やゴールを初期的に設定しましょう。
Step2:利用環境構築
2つ目のステップは、ChatGPTを安全かつ効率的に活用できる、社内のシステムやルールなどの利用環境の構築です。
企業がChatGPT活用に踏み切れない理由として、機密情報漏洩などのセキュリティリスクの懸念が挙げられますが、適切なシステム設計・データ管理やガイドラインの策定などを行うことで、それらのリスクに対処しながら、業務効率化に繋げることが可能です。
社員に対し、ChatGPTをリサーチや文書作成などの日常的な業務に安心して活用できる環境を提供することで、自社のどのような業務とChatGPTの相性が良いのかという現場からの示唆を得ることができ、プロトタイプ・本開発の企画への重要なインプットとなります。
Step3:試験開発・運用(PoC)
3つ目のステップは、自社にマッチするユースケースの検証に向けた、プロトタイプの開発と運用です。
顧客対応支援や社内のナレッジ検索、新機能・サービスの実装などのChatGPTの幅広いユースケースの中から、自社の経営課題解決にマッチするいくつかのユースケースに絞り込み、プロトタイプを開発し、実際の業務で運用します。
PoCを実施することで、コストを抑えながらChatGPT活用のインパクトを検証しつつ、見えてきた改善点から本開発の精度を高めることが可能です。
Step4:本開発と運用
4つ目のステップは、本格的なChatGPTを活用したシステムの開発と運用、継続的なカイゼンです。
自社独自のデータ基盤の構築・連携や活用シーンに特化したアウトプット精度の改善などを実施し、自社の目的達成に特化したChatGPTシステムを開発します。
PoCの結果を踏まえ、本開発を行うユースケースや活用範囲を決定することで、ChatGPT活用の費用対効果を最大化することが可能です。
また、開発しっぱなしで終わるのではなく、本開発したシステムを運用し上がった成果や改善点、技術進化などを踏まえて、活用方法や内容を継続的にカイゼンしていくことが重要です。
このプロセスを通じ、ChatGPT活用のポテンシャルを最大限に発揮することで、業務生産性や顧客への提供価値の観点から、大きな競争優位性を構築することに繋がります。
日本企業によるChatGPTの導入事例16選
日本企業によるChatGPT の代表的な導入事例として以下の16事例が挙げられます。
- ①七十七銀行:商品の販売状況の分析・可視化にChatGPTを活用
- ②西松建設:ChatGPTを活用し高精度な建設コストの予測へ
- ③セブンイレブン:ChatGPTを活用し商品企画の期間を10分の1に
- ④サントリー:ChatGPTからのアドバイスを活用しユニークなCMを企画
- ⑤三菱UFJ銀行:ChatGPTの導入で月22万時間の労働時間の削減へ
- ⑥SMBCグループ:独自の対話AI開発で従業員の生産性向上へ
- ⑦LINE:エンジニアがChatGPTを活用し1日2時間の業務効率化
- ⑧みずほグループ:ChatGPTを活用しシステム開発の品質向上へ
- ⑨パナソニックコネクト:AIアシスタントを導入し1日5000回の利用
- ⑩アサヒビール:ChatGPTを活用し従業員の社内情報検索を効率化
- ⑪メルカリ:AIアシスタントが売れやすい商品名や説明文を提案
- ⑫ビズリーチ:ChatGPTを活用した職務経歴書の作成でスカウト率40%UP
- ⑬ベネッセ:ChatGPTが自由研究のテーマ選びをサポート
- ⑭学研:ChatGPTを活用した個別アドバイスを提供
- ⑮旭鉄工:製造現場の組織的なカイゼンにChatGPTを活用
- ⑯横浜銀行:独自の行内ChatGPTを開発し文書作成業務の効率化へ
それぞれについてわかりやすく紹介していきます。
※国内外の最新AI/ChatGPT活用事例50選をまとめた資料をダウンロード頂けます。
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①七十七銀行:商品の販売状況の分析・可視化にChatGPTを活用
七十七銀行はChatGPTを活用して、商品販売状況をチャネル別に分析・可視化するプロジェクトを開始しました。
プログラミングコードの自動生成や表・グラフの可視化、分析結果のレビュー文書生成などが主な活用領域です。
すでに、PDFやHTMLなどの非構造化データをアップロードすると、AIが記載内容を認識・抽出し、大規模言語モデル(LLM)がこれらを構造化して指定したフォーマットに自動で転記するシステムを構築済みとのことです。
②西松建設:ChatGPTを活用し高精度な建設コストの予測へ
西松建設は、建設業界特有の大幅な物価変動に対応するため、建設コストの予測にChatGPTを活用したツールを導入しています。
本ツールでは、建設コストへの影響要因となるニュースや統計を基に物価変動の精度高い予測を提供し、建設費用の見積もりにおけるリスクを軽減します。
この取り組みにより、価格上昇が見込まれる際には早期の発注を行うなど、購買戦略に大きな効果をもたらすことが期待されています。
③セブンイレブン:ChatGPTを活用し商品企画の期間を10分の1に
セブンイレブン・ジャパンは、商品企画の時間を大幅に削減するためにChatGPTの活用を始めました。
この取り組みにより、店舗の販売データやSNS上での消費者の反応を分析し、新商品に関する文章や画像を迅速に作成することが可能になります。
ChatGPTの導入により、商品企画にかかる時間が最大で90%削減され、市場のトレンドや顧客のニーズに迅速に応える、新たな商品を提供できる見込みとのことです。
④サントリー:ChatGPTからのアドバイスを活用しユニークなCMを企画
サントリー食品インターナショナルは、ChatGPTを企画に活用したwebCM、「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」を公開しました。
キャストとして誰を起用するかや、実際にどのような企画のCMにするかも、ChatGPTからのアドバイスを参考に決定されているとのことです。
キャストがバレエダンサーとなり高速回転したり、周りでボウリングのピンが踊る中、ダブルピースで「やさしい麦茶」を飲んだりと予想外な展開で、人間には難しい奇想天外な内容が話題を呼んでいます。
※200事例の分析に基づく、企業のAI/ChatGPT活用方法の9つの定石と最新事例をまとめた資料をダウンロード頂けます。
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⑤三菱UFJ銀行:ChatGPTの導入で月22万時間の労働時間の削減へ
三菱UFJ銀行が生成AI「ChatGPT」の導入により、業務プロセスを革新し、月22万時間分の労働時間が削減可能との試算を発表しました。
ChatGPTの導入により、社内文書のドラフト作成や稟議書の作成が効率化され、顧客との対話やサービス提供の質の向上に時間を割くことができるようになります。
さらに、ウェルスマネジメント業務においてもAIの活用が検討されており、顧客の詳細なニーズに基づいたパーソナライズされた提案が可能になると検討しているとのことです。
⑥SMBCグループ:独自の対話AI開発で従業員の生産性向上へ
三井住友フィナンシャルグループは、「SMBC-GPT」という、ChatGPTを活用し開発した、AIアシスタントツールの実証実験を開始しました。
本ツールは、SMBCグループ専用環境上で動作し、文章の作成、要約、翻訳、ソースコード生成など多岐にわたる業務を支援し、従業員の生産性向上を図ります。
また、AIアシスタントツールの回答内容の正確性を従業員が判断し、外部AIの利用禁止などの規制も順次見直していく予定です。
⑦LINE:エンジニアがChatGPTを活用し1日2時間の業務効率化
LINEヤフーは、ChatGPTを全面的にソフトウェア開発に導入し、エンジニアの作業時間を1日当たり約2時間削減しています。
具体的には、米マイクロソフトの子会社であるギットハブの「GitHub Copilot」を利用し、エンジニアが実装したい機能や動作に必要なコードを自動生成し、開発時間を短縮しています。
これにより、約7000人のエンジニアが新サービスの考案など高付加価値の業務に集中できるようになり、企業の競争力向上への寄与が期待されます。
⑧みずほグループ:ChatGPTを活用しシステム開発の品質向上へ
みずほフィナンシャルグループは、ChatGPTを活用したシステム開発と保守の実証実験を開始しました。
この取り組みにより、システム開発段階での設計書レビューを支援し、設計書の記載間違いや漏れを自動検出することで、開発品質の向上を目指しています。
特に、勘定系システム「MINORI」の一部商品に関するアプリケーションとインフラ基盤の設計手法が対象です。
米Microsoftの「Azure OpenAI Service」を利用し、富士通がカスタマイズしたChatGPTで、システム設計書の精度を高め、迅速な復旧力の向上を狙います。
※AI/ChatGPTの活用を検討する際に必ず押さえておきたい、基礎知識から活用の進め方、ポイントまでをまとめた資料をダウンロード頂けます。
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⑨パナソニックコネクト:AIアシスタントを導入し1日5000回の利用
パナソニック コネクトでは、社内データベースを連携させたChatGPT搭載のAIアシスタントによる業務効率化のプロジェクトを進めています。
この取り組みにより、自社業務や現場の個別課題に対応した回答生成が可能となり、社外秘情報にも対応する自社特化AIの運用開始も予定しています。
導入後3カ月で、想定の5倍以上の約26万回の利用があり、日々約5000回もの質問がAIに投げかけられているとのことです。
⑩アサヒビール:ChatGPTを活用し従業員の社内情報検索を効率化
アサヒビールは、研究開発部門を中心にChatGPTを活用した社内情報検索システムの開発に取り組んでいます。
このシステムは、ビール醸造技術や商品開発に関連する技術情報の要約と検索を効率化することを目的としています。
開発者は、このシステムにより、従業員が必要な情報に素早くアクセスできるようになり、研究開発のスピードと効率が向上することを期待しています。
⑪メルカリ:AIアシスタントが売れやすい商品名や説明文を提案
メルカリは、ChatGPTを活用して出品者のサポートを強化する「メルカリAIアシスト」機能の提供を開始しました。
本機能では、出品済みの商品情報を分析し、売れ行きを良くするための商品名や説明文を自動生成して提案します。
本取り組みは、フリマアプリ内で商品が購入者の目に留まりやすくすることを目的としており、取引の活性化に寄与することが期待されます。
⑫ビズリーチ:ChatGPTを活用した職務経歴書の作成でスカウト率40%UP
ビズリーチは、転職活動をサポートするための新機能「職務経歴書の自動作成」を発表しました。
ユーザーはChatGPTを活用し、職種やポジションなどの簡単な入力だけで、最短30秒でプロフェッショナルな職務経歴書を作成できるようになります。
この新機能は、転職希望者が自己のスキルや経験を効果的にアピールできるように設計されており、転職活動のハードルを大きく下げることを目指しています。
また、効果検証の結果、本機能を活用して職務経歴書を作成したユーザーは、スカウトの受信率が40%向上したという成果も上がっているとのことです。
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⑬ベネッセ:ChatGPTが自由研究のテーマ選びをサポート
ベネッセは、小学生とその親をターゲットに「自由研究おたすけAI」をリリースしました。
このサービスは、生成AI「ChatGPT」の技術を利用し、自由研究のテーマ選定を支援し、子供たちの疑問に対してアドバイスを提供します。
子供たちは、自由研究にかけられる時間や興味のあるジャンルを入力することで、ラボリーから具体的なテーマやアイデアを受け取ることができます。
ベネッセのこの取り組みは、デジタルリテラシー教育においても保護者から好意的な反応を得ており、子供たちの学習をサポートする新しい形として注目されています。
⑭学研:ChatGPTを活用した個別アドバイスを提供
学研ホールディングスは、オリジナル学習システム「GDLS」でChatGPTを活用し、個別に最適な学習アドバイスを提供するベータ版を開始しました。
このシステムは、生徒の学習履歴や理解度の変化に基づいて各生徒に対して適切な学習アドバイスを提供し、学習効果を最大化します。
学研オリジナル学習システム(GDLS)は、生徒が毎日ログインする習慣を促し、学習への意欲を高めます。さらに、学研メソッドはこれまでもAIを活用し、正答率に合わせた問題出題などを行っており、GDLSはその発展形となっています。
⑮旭鉄工:製造現場の組織的なカイゼンにChatGPTを活用
旭鉄工では、ChatGPTを活用することで、改善活動を属人的に管理するのではなく、共有されたノウハウ活用により、改善方法をシステム化しています。
ChatGPTを活用することで、カイゼンに向けた過去事例や注意点をまとめた「横展アイテムリスト」というノウハウ集から、目的や状況に合った情報を簡単に引き出すことができるようになりました。
このシステムを本格導入することにより、社内の知見が現場の隅々までに共有され、より生産性高くカイゼン活動を行うことが可能になります。
⑯横浜銀行:独自の行内ChatGPTを開発し文書作成業務の効率化へ
横浜銀行は、「行内ChatGPT」を利用して従業員の業務効率化を図っています。
このシステムは、文書作成業務の効率化を実現し、利用することで作業時間を大幅に削減します。
この「行内ChatGPT」は、横浜銀行の各種規程やマニュアルなど行内情報の照会に対応可能であり、高いセキュリティ基準のもとで管理されています。
この取り組みにより、従業員は高度な業務や新たな業務に集中することが可能となります。
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