ChatGPTとチャットボットの違い|連携のメリットや事例も紹介

2022年11月のリリース以降、2ヶ月で1億ユーザーを突破するなど、驚異的なペースで普及が進むChatGPT。人間と同じくらい自然な会話や応対ができることから、業務効率化やコスト削減、顧客へのサービスの質向上に貢献しています。

 

本記事では、ChatGPTと従来のチャットボットの違いについて、メリットや事例とともにわかりやすくご紹介します。


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チャットボットとは

チャットボットとは、テキストや音声を通じて自律的に会話を行うプログラムのことです。特に、AIを搭載したチャットボットは、本物の人間のような自然な会話をすることができます。

 

ユーザーがAIを搭載したチャットボットにテキストや音声で質問をすると、AIが、学習した過去のデータや記録に基づき、自然で正確な返答をします。

 

主に、顧客対応の窓口や社内での情報共有などに利用されており、自動化による業務効率化や標準化、コスト削減などを実現することができます。

ChatGPTと従来のチャットボットの違い

ChatGPTと従来のチャットボットの違い

ChatGPTと従来のチャットボットの違いとして、以下の3つの観点が挙げられます。

 

  • ①回答の元となるデータ
  • ②回答の精度・一貫性
  • ③活用方法

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

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①回答の元となるデータ

従来のチャットボットは、あらかじめ学習したデータのみをもとに回答します。そのため、事前に学習していない内容の質問に回答することはできません。

 

一方で、ChatGPTの場合、インターネット上の膨大なデータを学習しているため、従来のチャットボットよりはるかに幅広い質問に回答することができます。また、有料版では、質問に対し、リアルタイムでインターネット上を検索して回答するなど、最新の情報も踏まえた回答をすることもできます。

②回答の精度・一貫性

従来のチャットボットは、質問に対し決められた通りの型で回答します。一貫性はありますが、人間らしい自然な応答ができるわけではありません。

 

一方で、ChatGPTの場合、同じ質問をしても、異なる回答が返ってくる場合があります。また、より人間らしい自然な文章で回答することができ、考察や新たなアイデアも含まれるなど、回答の精度も高いです。

③活用方法

従来のチャットボットは、特定のサービスにおける顧客への窓口対応など、定型的な業務で活用されることが多いです。

 

一方で、ChatGPTは、顧客対応はもちろん、リサーチやアイデア出し、企画書等の文書作成など、従来のチャットボットより幅広い用途で活用することができます。

ChatGPTと連携したチャットボットを導入する3大メリット

ChatGPTを活用したチャットボットを導入する3大メリット

ChatGPTと連携したチャットボットを導入するメリットとして以下の3つが挙げられます。

 

  • ①社内知見の共有・業務の標準化
  • ②顧客対応の最適化・自動化による顧客満足度向上
  • ③顧客対応の最適化・自動化による業務効率化・コスト削減

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

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①社内知見の共有・業務の標準化

社内知見の共有・業務の標準化 ConnectAI
(画像:パナソニックコネクト)

社内向けのチャットボットを構築することで、これまで、社内の各所に文書やPDFデータの形で点在していた知見を、ChatGPTを活用し構築したデータ基盤に統合することが可能です。

 

従業員は自分の置かれた状況や知りたい知見をチャット形式で入力することで、業務マニュアルやノウハウなどの最適な知見に即座にアクセスすることが可能となります。

②顧客対応の最適化・自動化による顧客満足度向上

ChatGPTと社内データを活用し、顧客対応向けの独自のチャットボットなどを構築することで、顧客からの問い合わせ等に対して、24時間365日自動対応し、パーソナライズされた回答やサポートを行うことができます。

 

AIと人間が適切な分担を行うことで、従来よりスムーズできめ細やかな顧客が提供可能となり、顧客/ユーザーの満足度が向上します。

③顧客対応の最適化・自動化による業務効率化・コスト削減

ChatGPTを活用したチャットボットを導入することで、一部の顧客対応業務を自動化することができ、業務効率化やコスト削減を実現することができます。

 

特に従来コールセンターやお客様対応窓口などが行っていた、定型的な顧客対応はChatGPTによる自動化が容易で、それらの業務担当を従業員からChatGPTに置き換えることで、コストを削減したり、より重要な業務に注力してもらったりと、企業の競争力強化に繋げることができます。

ChatGPTと連携したチャットボットの事例5選

ChatGPTを活用したチャットボットの事例5選

ChatGPTと連携したチャットボットの代表的な事例として以下の5つが挙げられます。

 

  • ①パナソニックコネクト:チャットボット型AIを導入し1日5000回の利用
  • ②SMBCグループ:独自のチャットボット型AI開発で生産性向上へ
  • ③鹿島建設:業務に関する質問を行える独自のチャットボット型AIを導入
  • ④MILIZE:金融に関する相談ができるAIチャットボットをLINE上で提供
  • ⑤京都市:ChatGPTを活用した子育て支援チャットボットサービスを提供

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

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①パナソニックコネクト:チャットボット型AIを導入し1日5000回の利用

パナソニックコネクト:チャットボット型AIを導入し1日5000回の利用
(画像:パナソニックコネクト)

パナソニック コネクトでは、社内データベースを連携させたチャットボット型AIによる業務効率化のプロジェクトを進めています。

 

この取り組みにより、自社業務や現場の個別課題に対応した回答生成が可能となり、社外秘情報にも対応する自社特化AIの運用開始も予定しています。

 

導入後3カ月で、想定の5倍以上の約26万回の利用があり、日々約5000回もの質問がAIに投げかけられているとのことです。

②SMBCグループ:独自のチャットボット型AI開発で生産性向上へ

SMBCグループ:独自のチャットボット型AI開発で生産性向上へ
(画像:SMBCグループ)

三井住友フィナンシャルグループは、「SMBC-GPT」という、ChatGPTを活用し開発した、AIアシスタントツールの実証実験を開始しました。

 

本ツールは、SMBCグループ専用環境上で動作し、文章の作成、要約、翻訳、ソースコード生成など多岐にわたる業務を支援し、従業員の生産性向上を図ります。

 

また、AIアシスタントツールの回答内容の正確性を従業員が判断し、外部AIの利用禁止などの規制も順次見直していく予定です。

 

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③鹿島建設:業務に関する質問を行える独自のチャットボット型AIを導入

鹿島建設:業務に関する質問を行える独自のチャットボット型AIを導入
(画像:鹿島建設)

鹿島建設は、自社および国内外のグループ会社従業員約2万人を対象に、独自開発した対話型AI「Kajima ChatAI」の運用を開始しました。

 

このAIの導入により、従業員は社内固有の業務に対する質問や情報検索を迅速に行え、業務効率と生産性が向上することが期待されます。

  

このAIは、情報が外部に漏洩しない安全な環境で動作しており、さらに、利用時の従業員認証や利用履歴の記録など、独自のセキュリティ機能を付加し、より安全に利用できるようになっています。

④MILIZE:金融に関する相談ができるAIチャットボットをLINE上で提供

MILIZE:金融に関する相談ができるAIチャットボットをLINE上で提供
(画像:MILIZE)

株式会社MILIZEは、ChatGPT技術を駆使した「MILII TALK(β版)」をリリースしました。

このサービスでは、LINEを通じてユーザーからのお金に関する質問にAI金融アドバイザー「MILI」が即座に回答します。

 

回答はChatGPT(GPT-3.5)のAPIによって生成され、ユーザーは家計、不動産、年金、保険など幅広いトピックについて質問可能です。 

 

このサービスにより、ユーザーはいつでもどこでも手軽に質問し、専門的な金融アドバイスを受けられるようになります。

⑤京都市:ChatGPTを活用した子育て支援チャットボットサービスを提供

京都市:ChatGPTを活用した子育て支援チャットボットサービスを提供
(画像:京都市)

京都市は、子育て施策に関する制度や手続きの問い合わせに対応するため、24時間365日サービスを提供するChatGPT搭載のチャットボットを導入しました。

  

利用者は自由なテキスト入力や選択肢を通じて、AIと対話しながら必要な情報を得ることができます。

 

このサービスにより、利用者は時間や場所に制限されずに、簡単かつ迅速に子育てに関する支援を受けられるようになりました。

企業がChatGPTの活用を成功させるための5つのポイント

企業がChatGPTの活用を成功させるための5つのポイント

企業がChatGPT活用を成功させるために抑えるべきポイントは以下の5つです。

 

  • ①業務内容の棚卸しと活用インパクトの試算
  • ②投資対効果の高い課題/目的と活用方法の選定
  • ③アジャイルアプローチでの開発・導入
  • ④システムとルールの両面からのリスク管理
  • ⑤研修等での社員のAI活用リテラシーの向上

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

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①業務内容の棚卸しと活用インパクトの試算

ChatGPT活用の成否を分ける最大のポイントは、ChatGPTを活用する意義の大きな業務に対して活用することに尽きます。 

 

活用の方針や戦略がないまま活用を進めるのではなく、自社の業務内容・フローをしっかりと棚卸しした上で、どの程度業務効率やアウトプット向上に繋がるかを試算することが重要となります。

②投資対効果の高い課題/目的と活用方法の選定

ChatGPTは全ての業務に対して万能という訳ではなく、膨大なデータに基づいたコンテンツ制作は得意だが、複雑な問いに対して正確な答えを出すのは苦手といった、明確な得意不得意が存在します。

 

そのため、自社の業務の現状やChatGPTの特徴を踏まえた上で、どのような課題/目的に対して、どのようなアプローチ/範囲/ツールで活用を進めるかを、検討・選定するステップがプロジェクトの投資対効果を左右する、極めて重要なプロセスとなります。

③アジャイルアプローチでの開発・導入

ChatGPTは、一度開発・導入して終わりという進め方ではなく、何度もモデル・学習データ・利用方法等を細かくカスタマイズしなおすことで、より理想とする活用を実現することができます。

 

具体的には、初期仮説に基づいた簡易的なプロトタイプを構築し実際に利用してみる、というサイクルを、1サイクル数週間の期間で何度も繰り返し、ブラッシュアップしていくという、アジャイル開発のアプローチを取ることが適しています。

④システムとルールの両面からのリスク管理

企業がChatGPTの活用に踏み切れない最大の理由として、機密情報漏洩や著作権侵害などのリスクへの懸念が挙げられます。

 

確かに、社員に特段ルールを設けず、一般に公開されているChatGPTを活用させた場合、様々な問題が発生する可能性は存在します。

 

一方で、入力するデータが学習されないようなシステム構築や使用範囲・機密情報の取扱等の運用ルールの策定により、リスクをマネジメントし最小化することが可能です。

⑤研修等での社員のAI活用リテラシーの向上

ChatGPTの特徴として、AIとの対話によってアウトプットを引き出すことが求められるため、使い手のリテラシーによって成果が大きく左右されることが挙げられます。

 

そのため、ChatGPTのポテンシャルを最大限に活用するためには、従業員のAIに対する理解とスキル、すなわちAIリテラシーを向上させることが不可欠です。

 

研修プログラムや実践的なトレーニングを通じて、従業員がChatGPTの基本的な知識、適切な使用方法、関連するリスクを理解してもらい、効率的かつ責任ある方法で使用できる環境の構築が必要となります。

企業がChatGPTを導入するための4つのステップ

企業がChatGPTを活用するための4つのステップ

企業がChatGPTの導入を進めるための流れとして、以下の4つのステップがあげられます。

 

<Step1:活用方針の検討>

  • 最新の市場動向のキャッチアップ
  • 自社の活用可能性の整理
  • ChatGPTの活用目的・ゴールの設定

 

<Step2:利用環境構築>

  • セキュリティ・データ管理体制の強化
  • ガイドライン・マニュアルの策定
  • 社員向けのAIリテラシー研修
  • 社内業務での試験運用

 

<Step3:試験開発・運用(PoC)>

  • PoCを行うユースケースの検討
  • 要件定義・プロトタイプ開発
  • 運用と評価

 

<Step4:本開発>

  • 本開発を行うユースケースの検討
  • 要件定義・本開発
  • 運用と評価
  • 活用方針・内容の継続的なカイゼン

 

それぞれについてわかりやすく紹介していきます。

 

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Step1:活用方針の検討

1つ目のステップは、自社としてChatGPTをどのように活用していくかの大方針の検討です。

 

ChatGPTは社内業務効率化や顧客体験の向上、新規事業創出など様々な目的で活用が可能だからこそ、自社の課題にマッチした目的とユースケースで活用することが、投資対効果を大きく左右します。

 

最新の技術や競合の動向をキャッチアップした上で、自社の活用可能性の幅出し・整理を行います。その上で、ChatGPTをどのような領域で、どの程度ダイナミックに活用していくかの目的やゴールを初期的に設定しましょう。

Step2:利用環境構築

2つ目のステップは、ChatGPTを安全かつ効率的に活用できる、社内のシステムやルールなどの利用環境の構築です。

 

企業がChatGPT活用に踏み切れない理由として、機密情報漏洩などのセキュリティリスクの懸念が挙げられますが、適切なシステム設計・データ管理やガイドラインの策定などを行うことで、それらのリスクに対処しながら、業務効率化に繋げることが可能です。

  

社員に対し、ChatGPTをリサーチや文書作成などの日常的な業務に安心して活用できる環境を提供することで、自社のどのような業務とChatGPTの相性が良いのかという現場からの示唆を得ることができ、プロトタイプ・本開発の企画への重要なインプットとなります。

Step3:試験開発・運用(PoC)

3つ目のステップは、自社にマッチするユースケースの検証に向けた、プロトタイプの開発と運用です。

 

顧客対応支援や社内のナレッジ検索、新機能・サービスの実装などのChatGPTの幅広いユースケースの中から、自社の経営課題解決にマッチするいくつかのユースケースに絞り込み、プロトタイプを開発し、実際の業務で運用します。

  

PoCを実施することで、コストを抑えながらChatGPT活用のインパクトを検証しつつ、見えてきた改善点から本開発の精度を高めることが可能です。

Step4:本開発と運用

4つ目のステップは、本格的なChatGPTを活用したシステムの開発と運用、継続的なカイゼンです。

 

自社独自のデータ基盤の構築・連携や活用シーンに特化したアウトプット精度の改善などを実施し、自社の目的達成に特化したChatGPTシステムを開発します。

 

PoCの結果を踏まえ、本開発を行うユースケースや活用範囲を決定することで、ChatGPT活用の費用対効果を最大化することが可能です。

 

また、開発しっぱなしで終わるのではなく、本開発したシステムを運用し上がった成果や改善点、技術進化などを踏まえて、活用方法や内容を継続的にカイゼンしていくことが重要です。

 

このプロセスを通じ、ChatGPT活用のポテンシャルを最大限に発揮することで、業務生産性や顧客への提供価値の観点から、大きな競争優位性を構築することに繋がります。

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